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{{Infobox animanga/Header2}}
『'''七色いんこ'''』(なないろいんこ)は、[[手塚治虫]]の[[漫画]]作品。[[1981年]]から[[1982年]]まで、[[週刊少年チャンピオン]]([[秋田書店]])に連載、全47話。[[2000年]]に[[稲垣吾郎]]、[[2018年]]に[[伊藤純奈]]の主演で舞台化。
{{Infobox animanga/Manga
|タイトル=七色いんこ
|作者=[[手塚治虫]]
|出版社=[[秋田書店]]
|掲載誌=[[週刊少年チャンピオン]]
|レーベル=[[少年チャンピオン・コミックス]]
|開始号=1981年3月20日号
|終了号=1982年6月4日号
|巻数=全7巻
|話数=全47話
|その他=
}}
{{Infobox animanga/Footer}}
『'''七色いんこ'''』(なないろいんこ、英題:Rainbow Parakeet)は、[[手塚治虫]]による[[日本]]の[[漫画]]作品。[[1981年]]から[[1982年]]にかけて『[[週刊少年チャンピオン]]』([[秋田書店]])に連載。全47話。


== 概要 ==
== 概要 ==
代役専門舞台[[俳優|役者]]を請け負いながら、幕間に金持ち客の金品を失敬する役者[[泥棒]]・七色いんことを追う女刑事・千里万里子の物語である。
天才的な演技力を持つ代役専門の[[舞台]][[俳優|役者]]でありながら、裏では裕福な観客から金品を盗み取という役者[[泥棒]]・七色いんこの物語である。エピソードごに舞台や登場人物が変わる『[[ブラック・ジャック]]』のような1話完結形式で、これに、いんこへの恋心を抑えながら犯行を追う女性[[刑事]]・千里万里子を巡[[ラブコメディ]]要素などが絡みながら展開していく


本作のエピソードの多くは、実在する[[演劇]]の内容がベースになっている。手塚は演劇通に加え映画通でもあることから、本作で題材となった演劇は映画化されているものが多い<ref name="tezuka_official">{{Cite web|和書|url=https://tezukaosamu.net/jp/manga/320.html|title=七色いんこ|publisher=TEZUKA OSAMU OFFICIAL|accessdate=2019-5-13}}</ref>。
当初は『[[ブラック・ジャック]]』のような、七色いんこを狂言回しとしたシリアスな話が多かったが、次第に名作劇をパロディ化した作品が多くなっていった。また、連載当時に開催されていた[[神戸ポートアイランド博覧会|ポートピア'81]]に関する記述が多々見られる。


手塚は漫画家になる以前の昭和20年代初期に大阪の劇団で3年ほど活動していた経歴があり、芝居に関する自分のイメージや芝居好きだからこそ漫画を描いているということをわかってもらうために「七色いんこ」を始めたと語っている{{R|tezuka_official}}。
== あらすじ ==

あらゆる人物になりきる優れた演技力を持つ正体不明のアマチュア舞台俳優にして大泥棒・七色いんこ。彼を追いながらも次第に心惹かれていく女性刑事・千里万里子の追求をかわしつつ、いんこは今日も相棒の玉サブローと共に、世界各地を舞台にその心奪われる名演技で観客たちを魅了しつつも、裏で金持ちの金品を掠め取る。果たして、彼の素顔とは…。
[[2000年]]、[[2018年]]には舞台化され、[[2024年]]にも上演予定。また、[[2019年]]には[[石田敦子 (漫画家)|石田敦子]]と[[中谷チカ]]によるリメイク漫画の連載がそれぞれ行われている。


== 登場人物 ==
== 登場人物 ==
; 七色いんこ(なないろいんこ)
; 七色いんこ(なないろいんこ)
: 老若男女どんな役でもこなす、[[代役]]専門の舞台[[俳優]]。通常は青緑色の[[おかっぱ]]の[[かつら (装身具)|カツラ]]と赤いレンズの[[サングラス]]を身につけた姿をしている<ref>{{Cite web|和書|url= https://tezukaosamu.net/jp/character/517.html |title=七色いんこ |website=キャラクター |publisher=TEZUKA OSAMU OFFICIAL |accessdate=2023-05-23}}</ref> 。
: 老若男女どんな役でもこなす、代役専門の舞台俳優。
: まったくの素人で本業の役者ではないのだが、卓越した変装と声色の技術を持っており、客のみならず有名演出家や一流の女優を唸らせるほどの演技持つセリフの記憶力非常に高く、当日ギリギリの依頼でも難なく引き受ける
: [[変装]][[声色]]の技術を駆使し、客のみならず有名[[演出家]]や一流の女優を唸らせるほどの演技を見せる[[台詞]]覚えく、上演当日依頼された舞台でも難なくこなす
: しかし、観客を熱狂させる名優というのは彼の一面でしかなく、その本業は泥棒。舞台に立つ際には出演料を貰わない代わりに、その変装術を活かして劇場内にやっ金持ちから宝石などの金品を盗む。の際以外も、金持ちぶりを振りまいている人間や悪党をターゲットにし、彼を騙すなどしてしばしば盗みを働いたり儲け話に介入したりしている。本人に言わせると「モノマネがうまい素人役者、そしてドロボー」らしい。読唇術や格闘能力にも長けており、後者に関してはベルトを武器として駆使ることもある。
: しかし、役者というのは彼の一面でしかなく、その本業は[[泥棒]]である。舞台出演の際には出演料を貰わないが、その代わりに、劇場を訪れ名士から宝石などの金品を盗む。また、以外の場所でも、悪党ら盗みを働いたり儲け話に介入したりする。
: 舞台への出演を依頼するには「[[新宿区]][[私書箱]]5826432」宛てに手紙を郵送する必要があり、出演条件として「劇場で何が起きても(=盗難事件が発生しても)見て見ぬふりをすること」を挙げている。
: 盗みをする理由は本人曰く、「かつて、演劇が大道芸だった頃は見物人の中の金持ちが気前よくお金を払い、貧乏人はお金を払わなくても黙認されていた、かつての美習を踏襲した」という事だが、どうにも言い訳くさく、実際には演劇とは全く関係無く盗みをする場合も多い(作中では何らかの事情で結局は失敗、もしくはいんこ自身が盗みをやめることが多い)。
: 各地にアジトが存在し、その中には練習用の舞台を備えたものもある。また、手乗り[[インコ]]と[[イヌ|犬]]の玉サブローを飼っている。
: 演技をしていない時は青みがかった緑色のおかっぱの[[かつら (装身具)|カツラ]]とサングラスで変装しているが、これはカツラの裏にビニールマスクなどの[[変装|変装道具]]を隠しているためである。また、有名な劇場などには必ずと言っていいほど変装道具を隠している。お気に入りのコーヒーショップがあり、いつもそこでコーヒーを飲んだり漫画を読んだりしてくつろいでいる。よくなついた[[インコ|手乗りインコ]]を飼っているほか、ある事件をきっかけに犬の玉サブローと一緒に暮らしている。
: 出演の依頼をするには「新宿区私書箱5826432」に速達で手紙を郵送すること。正装したインコの絵が描かれている独自の名刺を持っており、自己紹介の際にはそれを使っている。キザで知性的な印象だが、憧れの役者に出会ってテンションが上がる、ホンネらに振り回されて困惑したりドジを踏むなど、時折コミカルな描写も見せる。
:; いんこのホンネ
:; いんこのホンネ
:: いんこにしか見えない覚(姿は「[[手塚漫画のキャラクター一覧#シモフリ・ママー|ママー]]」そっくり)。他人にはボロ切れにしか見えない。ウサギのような丸い糞を大量に排便することも。医者によれば、常日頃から他人を演じ続けることで潜在的な自分の欲求が幻覚として現れたものらしい。
:: いんこの前度々現れる影。外見手塚漫画のキャラクター「[[手塚漫画のキャラクター一覧#シモフリ・ママー|ママー]]」<ref>{{Cite web|和書|url=https://tezukaosamu.net/jp/character/3140.html |title=ママー |website=キャラクター |publisher=TEZUKA OSAMU OFFICIAL |accessdate=2023-05-23}}</ref> で、ほか妻と2人の子供も登場する。いんこ以外からはボロ切れにしか見えない。
:: いんこが意地をっているときに現れ「本当はしたいんだろう」と嫌味ったらしい言葉をかける。いんこはホンネの言葉のせいでさらに意地をはってとんでもない結果を招いたり良心の呵責に耐えかね渋々ホンネに従ったりするなる。他にも家中の食べ物を食い荒り、妻や2人の子供と共にいんこの周囲で騒ぎして度々事態を引っかき回したりと、いんこはこのホンネのせいで度々ひどい目に遭っている。
:: いんこが意地をっているときに現れ「本当は〇〇したいんだろう」と揺さぶりをかけ、こたいんこひどい目に遭うことになる。
:: 28話「セールスマンの死」に登場する医師によれば、常日頃から別の人間になり続けることで欲求不満が高まった結果、欲求が具現化したものであるという。
; 千里 万里子(せんり まりこ)
; 千里 万里子(せんり まりこ)
: [[警視庁]]捜査二課所属の[[刑事]]。七色いんこ担当。頭に人民帽をかぶっている<ref>{{Cite web|和書|url=https://tezukaosamu.net/jp/character/370.html |title=千里万里子 |website=キャラクター |publisher=TEZUKA OSAMU OFFICIAL |accessdate=2023-05-23}}</ref> 。年齢は18話「青い鳥」で明らかになるが、チャンピオン・コミックス初版時点では「19歳2か月」と記され、後の出版物では「24歳2か月」と変更されている。
: いんこを追う女性[[刑事]]。捜査二課、詐欺・知能犯担当。年齢は第7話時点で24歳2か月(初版では19歳2ヶ月)。当初は[[SP]]志望だった。
: がさつで男勝りな性格を持つ。高校時代には関東女番長連合の中ボス「[[スケバン]]千里」として名を馳せ、卒業後も後輩達から慕われている。[[射撃]]や[[体術]]の技量に優れ、25話「ピグマリオン」では国賓の護衛を、33話「結婚申込」では海外での女性警察官の教育を依頼される。一方、強烈な鳥[[アレルギー]]の持ち主で、鳥の姿を見たり声を聞いたりすると、[[蕁麻疹|じんましん]]の発症に加え、身体が子供のような背丈まで縮んでしまう。
: 高校時代は関東女番長連合の中ボス「スケバン千里」として名を馳せていて、他校の男番長の肋骨を3本折ったこともあるらしい。演劇や恋愛を好む奴はひ弱な奴だと言って馬鹿にしていたせいか、あまり教養は無い。女らしい服装や言動は好まず、怒るとすぐに手が出る。その経歴から腕っ節は非常に強く、女性警官としても射撃大会などで成績を残し既に相当の名を上げている模様。この他、[[空手]]や[[フェンシング]]も嗜んでいる。愛読書は週刊少年チャンピオン。
: これまで[[恋愛]]経験がなく男女交際は不潔とまで考えていたが、1話「ハムレット」でいんこと初めて対面した際に恋心を抱く。しかしその想いは内に秘め、いんこの捜査を続ける。
: 鳥に強烈なアレルギーを持っており、鳥の姿を見たり声を聞いたりすると、じんましんが出て身体が三頭身ほどの子供じみた体格(バストはやや小ぶりになるが大きいまま)に縮んでしまう<ref group="注">種類を問わずあらゆる鳥に拒否反応を起こし、挙句にフライドチキンまでにも反応する。また、東京都心でカラスの群れに出くわした際にはダルマのような体型にまで縮んでしまったことも。</ref>。鳥から離れた上で体を洗うか一定時間が経過すると元に戻るが、一度その姿で[[七五三]]の時の着物を着た(基本的に縮んでいるときに服を着ると体に合わせたサイズになるものの、縮んだ体に合う晴れ着がなかったため)まま元に戻り、反対に服の大きさが体に合わなくなる一幕も見られた。
: いんこを追っているが、その一方で初対面にて急接近されたことが切っ掛けで好意を抱いていて、本人は否定するものの実際は彼に会いたがっている。いんこに危機が訪れた際には本気で心配し、いんこがラブシーンを演じた際には嫉妬したことも。
; 玉サブロー(たまサブロー)
; 玉サブロー(たまサブロー)
: いんこに飼われている白い[[小型犬]]。
: いんこに飼われている白い小型[[イヌ|犬]]<ref>{{Cite web|和書|url=https://tezukaosamu.net/jp/character/410.html |title=玉サブロー |website=キャラクター |publisher=TEZUKA OSAMU OFFICIAL |accessdate=2023-05-23}}</ref>
: は演劇界の重鎮だった老人・牛沢飼い犬、彼に息子代わりに育てられ芸を仕込まれた。そのため犬を超越した演技力や知能、身体能力を持つ。二足歩行もたやすく行、人間の子どもに変装したともある。いんこにはよく町中に散歩に連れ行ってもらっており、いんこに連れられて盗みの手伝いをすることもある。
: 当初は演劇界の重鎮・牛沢ので息子代わりに育てられた死去直前にへ託される。牛沢仕込みの[[パントマイム]]を用いて周囲とコミュニケーションをとり、いんこに連れられて盗みの手伝いをすることもある。また、26話「靱猿」では[[サル]]の役で、31話「犀」では[[サイ]]の役で舞台に立っている。
: きで頻繁に酔っ払ってることもあって、よく流し目を送ったりつぶらな目をトロンとさせているのが特徴。また、いんこに抱きついたり股間に突っ込むなど、[[ゲイ|ホモ]]をわせる行動が多々みられる。その一方、いつの間にかいんこと別れて以降の彼の姿が描かれた「タマサブローの大冒険」ではテレビで人気のスターであるメス犬に一目惚れする一幕も見せた
: 同性の犬に意を抱いたりいんこ股間にうずめたりするなど、[[ゲイ]]をわせる行動がみられる。一方、最終話である47話「タマサブローの大冒険」では一目惚れしたメス犬の救出のため奔走する。
; 千里警部(せんりけいぶ)
; 千里警部(せんりけいぶ)
: 万里子の直属の上司であり、かつ父親。外見は手塚作品の「[[手塚漫画のキャラクター一覧#下田警部|下田警部]]」。
: 警視庁の[[警部]]。万里子の父親で上司で。外見は手塚作品の「[[手塚漫画のキャラクター一覧#下田警部|下田警部]]」。
: 警察官としては厳格だが親として万里子に接する際は娘を気遣う優しい父親である。万里子がいんこを担当するようになったも、元は演劇におゃれをして行ような女性になってしいと警部の計らいが含まれている
: 妻を亡くしており、万里子と二人で暮らいる。万里子の刑事とての実力認めつつ、女らしくってしいとう。
; 小田原 丁珍(おだわら ちょうちん)
; 小田原 丁珍(おだわら ちょうちん)
: 捜査二課七色いんこ担当の刑事
: 警視庁捜査二課所属の刑事。七色いんこ担当。
: 万里子が七色いんこの事件の担当になったことで彼女部下となり、よく万里子と共に張り込みなどを行っている実直に仕事をしていて、万里子のことは「(千里)刑事どの」と呼ぶ。
: 同じく七色いんこ担当の万里子と共に張り込みを行。万里子のことは「(千里)刑事どの」と呼ぶ。
; 男谷 マモル(おたに マモル)
; 男谷 マモル(おたに マモル)
: 万里子が見い相手として父親から紹介された男性で、アメリカバークレイ大学の研究室に籍を置く心理学者。
: [[アメリカ衆国|アメリカ]]にあるバークレイ大学の研究室に籍を置く[[心理学者]]
: 15話「じゃじゃ馬ならし」で千里警部が見合い相手として万里子に紹介するが、万里子からは拒絶される。一方、25話「ピグマリオン」では千里警部からの依頼で万里子にレディとしてのマナーを指南する。
: しかし、万里子にとっては「ガリ勉」として嫌悪の対象でしかなく、父親の手前ある程度は取り繕うそぶりは見せているが、内心では万里子から大いに煙ったがられている。
; 鍬潟 隆介(くわがた りゅうすけ)
; 鍬潟 隆介(くわがた りゅうすけ)
: [[自動車産業|自動車会社]]「クワガタ自動車」の会長。周囲から「[[財界]]のキング」と称されるほどの影響力を持つが、裏では[[政界]]への[[贈賄]]に手を染めている。
: いくつもの会社を経営している日本の財界のドン。裏では際どい事をちょくちょく行っており、そのため黒い噂も絶えない。一人息子の事は不器用ながら愛していたふしがある。
: 中学生の時に家を出て以来行方不明の息子・陽介のことを気にかけ、18話「青い鳥」では自社の試走車に息子の姿を模した[[ダミー人形]]を載せている。
; ピエロのトミー
; ピエロのトミー
:本名トマス・ウイリアムズ。「終幕」に登場するいんこの師匠。いんこが着用しているカツラはトミーが着用していたカツラと同じ意匠である。
: 本名トマス・ウイリアムズ。いんこの若かりしころが描かれる45話「探偵(スルース)」(単行本では「終幕」に登場するいんこの師匠。[[道化師|ピエロ]]のメイクを施し、いんこと同じ意匠のカツラ着用している。
:アメリカで凍死そうっていたいんこを助け、演技磨かせた
: アメリカ[[ニューヨーク]]の小劇場大衆向けにパントマイムを披露ている。当時アメリカたものの路頭に迷い行き倒れていたいんこを助け、相棒として迎え入れつつ演技指導行う
: かつて出征した[[ベトナム戦争]]で[[兵器]]を用いて多くの市民の命を奪った過去を悔いる一方、兵器の開発・販売で巨万の富を得た長者・バーミンガムへの復讐を果たすためとして、[[シカゴ]]の大劇場「バーミンガム劇場」でバーミンガム糾弾の公演を決行する。
:ベトナム戦争帰還兵で、戦地で民間人虐殺行為をやらされており、それをやらせた兵器産業社長の悪事を公表することがトミーの目的でもあった。


=== 結末で明かされる登場人物の素顔など ===
=== 登場人物の素 ===
以下の登場人物の素性は「終幕」で明らかになる。
; 七色いんこ(本名:鍬潟 陽介(くわがた ようすけ))
; 七色いんこ
: 七色いんこの正体は鍬潟隆介の息子の鍬潟陽介であることが明かされる<ref group="注">このことは1話の時点で万里子が推測し、いんこを問い詰めているが、この時ははぐらかされて終わった。</ref>。また、かつて実父である鍬潟隆介が朝霞モモ子(後述)を殺しかけた経緯などから隆介に復讐を誓っている。
: 七色いんこの正体は、鍬潟隆介の息子・鍬潟陽介(くわがた ようすけ)である。なお、1話「ハムレット」で万里子がこのことを疑いいんこを問いただしているが、はぐらかされて終わっている。
: 師匠のトミーと同じく、パントマイムの独り芝居で鍬潟隆介の罪を公表するため、劇場の買い取り、マスコミや有力者へのチケット配布を行い(この資金確保に泥棒活動を行っていた)、最後の舞台の幕が上がったところで、終劇となる。
: 幼少期の陽介は周囲となじめず孤立した存在だったが、中学時代にはクラスメイトの女子学生・朝霞モモ子(あさか モモこ)と打ち解け友人となる。しかし、モモ子の父親が陽介の父・隆介の不正を追う[[新聞記者]]だったため朝霞一家は隆介の手の者から命を狙われ、そのことを追求しようとした陽介は[[留学]]の名目でアメリカへ追放される。
: アメリカで陽介が師事したトミーは、バーミンガム劇場での上演後に[[ベトナム]]の組織から戦争の[[報復]]として[[銃撃]]され、命を落とす。これを機に陽介はトミーと同様の手法で父の悪事を暴くことを決意し、後に役者泥棒として入手した金を全て費やして鍬潟隆介糾弾の一人舞台を開催、幕が上がったところで物語は終幕となる。
: なお、本作の30年後を描いた[[石田敦子 (漫画家)|石田敦子]]作の漫画『[[#HeiSei七色いんこ|HeiSei七色いんこ]]』ではこの舞台の本番中に{{仮リンク|銃乱射事件|en|Mass shooting}}が発生したとされ、いんこは公には正体不明のまま姿を消したため生死不明扱いになっている<ref>{{Cite book |和書 |author = 原作:[[手塚治虫]]、漫画:[[石田敦子 (漫画家)|石田敦子]] |year = 2019 |title = HeiSei七色いんこ |publisher = [[マイクロマガジン社]] |page = 108頁 |isbn = 978-4-89637-919-8}}</ref>。また、隆介もこの事件で生死不明となっている<ref>{{Cite book |和書 |author = 原作:手塚治虫、漫画:石田敦子 |year = 2019 |title = HeiSei七色いんこ |publisher = マイクロマガジン社 |page = 149頁 |isbn = 978-4-89637-919-8}}</ref>が、その理由は不明。
; 男谷 マモル
; 男谷 マモル
: 七色いんこ(鍬潟陽介)の素顔であったこが明らかになる18話に登場する父・隆介作らせた息子・陽介を模した人形もまたこのであった
: 七色いんこ(鍬潟陽介)と同一人物男谷マモルの姿いんこの本来の姿であ
; 千里 万里子(本名:朝霞 モモ子(あさか モモこ))
; 千里 万里子
: 「千里万里子」は高校時代以降の名前で、それ以前は「朝霞モモ子」だった。万里子はモモ子時代のことを覚えていない。
: 実はかつて七色いんこと仲が良かった「朝霞モモ子」という女の子だった。彼女の父親は新聞記者で鍬潟隆介の悪事を暴いたのだったが、鍬潟隆介は口封じに事故を装ってモモ子の家族もろとも殺害しようとした。訓練された鳥に車を襲わせ、車に事故を起こさせたため、モモ子は鳥が苦手になっており、彼女の鳥アレルギー、および身体の幼児化はその時の[[トラウマ]]によるものであった。運良く彼女だけは一命を取り留めたものの記憶喪失となり、現在の養父(つまり千里警部)が引き取った。
: 朝霞一家は追手から逃れようと海沿いを車で走行していたが、突然[[トビ]]の群れに襲撃され車は崖下へ転落、両親は死亡し、モモ子は一命を取り留めたものの以前の記憶を喪失、同時に鳥に対して激しい拒否反応を示す鳥アレルギー体質となってしまう。その後、モモ子は遠い親戚にあたる千里警部に引き取られ、千里万里子として生活を送る。
: いんこのアジトにあった追想録でモモ子のことを知った万里子は、いんこに連れられてかつての事故現場の崖へ向かう。そこでいんこが当時の事故の再現を行うと万里子はモモ子時代の記憶を取り戻し、いんこが陽介であることも認識する。モモ子は、モモ子の両親の仇討を誓って復讐劇の舞台に立った陽介の無事を祈り、舞台袖で見守る。


== サブタイトル ==
== サブタイトル ==
タイトルのほとんどが実在する演劇や小説からとられている。
タイトルのほとんどが実在する演劇からとられている。
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!|話数||サブタイトル||原作者
!|話数||サブタイトル||原作者||備考
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|[[ハムレット]]
|[[ハムレット]]
|[[ウィリアム・シェイクスピア]]
|[[ウィリアム・シェイクスピア]]
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|[[どん底]]
|[[どん底]]
|[[マクシム・ゴーリキー]]
|[[マクシム・ゴーリキー]]
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|[[人形の家]]
|[[人形の家]]
|[[ヘンリック・イプセン]]
|[[ヘンリック・イプセン]]
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|[[修寺物語]]
|[[修寺物語]]
|[[岡本綺堂]]
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|[[ガラスの動物園]]
|[[ガラスの動物園]]
|[[テネシー・ウィリアムズ]]
|[[テネシー・ウィリアムズ]]
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|{{仮リンク|検察官 (戯曲)|label=検察官|en|The Government Inspector}}
|[[検察官 (戯曲)|検察官]]
|[[ニコライ・ゴーゴリ]]
|[[ニコライ・ゴーゴリ]]
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|{{仮リンク|電話 (オペラ)|label=電話|en|The Telephone}}
|[[電話 (オペラ)|電話]]
|[[ジャン=カルロ・メノッティ]]
|[[ジャン=カルロ・メノッティ]]
|{{Efn2|作品内では[[アントン・チェーホフ]]作の戯曲『[[桜の園]]』の台詞を朗読する場面もある。}}
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|[[ゴドーを待ちながら]]
|[[ゴドーを待ちながら]]
|[[サミュエル・ベケット]]
|[[サミュエル・ベケット]]
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|[[アルト・ハイデルベルク|アルト=ハイデルベルク]]
|[[アルト・ハイデルベルク|アルト=ハイデルベルク]]
|{{仮リンク|ヴィルヘルム・マイヤー=フェルスター|de|Wilhelm Meyer-Förster}}
|{{仮リンク|ヴィルヘルム・マイヤー=フェルスター|de|Wilhelm Meyer-Förster}}
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|[[誤解 (戯曲)|誤解]]
|[[誤解 (戯曲)|誤解]]
|[[アルベール・カミュ]]
|[[アルベール・カミュ]]
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|[[ピーター・パン]]
|[[ピーター・パン]]
|[[ジェームス・マシュー・バリー]]
|[[ジェームス・マシュー・バリー]]
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|[[ヴァージニア・ウルフなんかこわくない]]
|[[ヴァージニア・ウルフなんかこわくない]]
|[[エドワード・オールビー]]
|[[エドワード・オールビー]]
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|幕間
|幕間
|なし
|なし
|{{Efn2|サブタイトルにはなっていないが、作品内容は[[ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ]]作の戯曲『[[ファウスト (ゲーテ)|ファウスト]]』をベースにしている。}}
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|[[化石の森 (戯曲)|化石の森]]
|[[化石の森 (戯曲)|化石の森]]
|{{仮リンク|ロバート・シャーウッド|en|Robert E. Sherwood}}
|{{仮リンク|ロバート・シャーウッド|en|Robert E. Sherwood}}
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|[[じゃじゃ馬ならし]]
|[[じゃじゃ馬ならし]]
|ウィリアム・シェイクスピア
|ウィリアム・シェイクスピア
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|[[彦市ばなし]]
|[[彦市ばなし]]
|[[木下順二]]
|[[木下順二]]
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|[[シラノ・ド・ベルジュラック (戯曲)|シラノ・ド・ベルジュラック]]
|[[シラノ・ド・ベルジュラック (戯曲)|シラノ・ド・ベルジュラック]]
|[[エドモン・ロスタン]]
|[[エドモン・ロスタン]]
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|[[青い鳥]]
|[[青い鳥]]
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|[[モーリス・メーテルリンク]]
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|[[南総里見八犬伝]]
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|[[曲亭馬琴]]
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|[[オンディーヌ (戯曲)|オンディーヌ]]
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|[[ジャン・ジロドゥ]]
|{{Efn2|作品内では[[ウィリアム・シェイクスピア]]作の戯曲『[[リア王]]』の一場面をいんこが演じる。}}
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|[[十二人の怒れる男|12人の怒れる男]]
|[[十二人の怒れる男|12人の怒れる男]]
|[[レジナルド・ローズ]]
|[[レジナルド・ローズ]]
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|{{仮リンク|悪魔の弟子|en|The Devil's Disciple}}
|{{仮リンク|悪魔の弟子 (戯曲)|label=悪魔の弟子|en|The Devil's Disciple (play)}}
|[[ジョージ・バーナード・ショー]]
|[[ジョージ・バーナード・ショー]]
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|[[棒になった男]]
|[[安部公房]]
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|[[タルチュフ]]
|[[タルチュフ]]
|[[モリエール]]
|[[モリエール]]
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|[[ピグマリオン (戯曲)|ピグマリオン]]
|[[ピグマリオン (戯曲)|ピグマリオン]]
|ジョージ・バーナード・ショー
|ジョージ・バーナード・ショー
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|[[靱猿]]
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|不明
|不明
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|[[森は生きている]]
|[[サムイル・マルシャーク]]
|[[サムイル・マルシャーク]]
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|[[セールスマンの死]]
|[[セールスマンの死]]
|[[アーサー・ミラー]]
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|[[三文オペラ]]
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|[[ベルトルト・ブレヒト]]
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|[[メディア (ギリシア悲劇)|王女メディア]]
|[[エウリピデス]]
|[[エウリピデス]]
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|{{仮リンク|犀 (戯曲)|label=|en|Rhinoceros (play)}}
|[[犀 (戯曲)|犀]]
|[[ウジェーヌ・イヨネスコ]]
|[[ウジェーヌ・イヨネスコ]]
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|[[R.U.R.|R・U・R]]
|[[R.U.R.|R・U・R]]
|[[カレル・チャペック]]
|[[カレル・チャペック]]
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|{{仮リンク|結婚申込|en|The Wedding (Chekhov play)}}
|[[結婚申込]]
|[[アントン・チェーホフ]]
|[[アントン・チェーホフ]]
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|[[俺たちは天使じゃない (戯曲)|俺たちは天使じゃない]]
|[[俺たちは天使じゃない (戯曲)|俺たちは天使じゃない]]
|{{仮リンク|アルベール・ユッソン|en|Albert Husson}}
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|[[ヴェニスの商人|ベニスの商人]]
|[[ヴェニスの商人|ベニスの商人]]
|ウィリアム・シェイクスピア
|ウィリアム・シェイクスピア
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|[[仮名手本忠臣蔵]]
|[[仮名手本忠臣蔵]]
|[[竹田出雲]]、[[三好松洛]]、[[並木宗輔|並木千柳]]
|[[竹田出雲]]、[[三好松洛]]、[[並木宗輔|並木千柳]]
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|幕間II
|幕間II
|なし
|なし
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|{{仮リンク|コルヌヴィルの鐘|fr|Les Cloches de Corneville}}
|[[コルヌヴィルの鐘]]
|{{仮リンク|ロベール・プランケット|fr|Robert Planquette}}
|{{仮リンク|ロベール・プランケット|en|Robert Planquette}}
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|[[恋わずらいのなおし方]]
|[[恋わずらいのなおし方]]
|[[ソーントン・ワイルダー]]
|[[ソーントン・ワイルダー]]
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|[[サロメ (戯曲)|サロメ]]
|[[サロメ (戯曲)|サロメ]]
|[[オスカー・ワイルド]]
|[[オスカー・ワイルド]]
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|[[欲望という名の電車|欲望という名の列車]]
|[[欲望という名の電車]]
|[[テネシー・ウィリアムズ]]
|[[テネシー・ウィリアムズ]]
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|[[作者を探す六人の登場人物]]
|[[作者を探す六人の登場人物]]
|[[ルイージ・ピランデッロ]]
|[[ルイージ・ピランデッロ]]
|{{Efn2|作品冒頭では[[アルベール・カミュ]]作の戯曲『[[カリギュラ (戯曲)|カリギュラ]]』の上演風景が描かれている。}}
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|[[オセロ (シェイクスピア)|オセロ]]
|[[オセロ|オセロ]]
|ウィリアム・シェイクスピア
|ウィリアム・シェイクスピア
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|[[11ぴきのねこ|十一ぴきのねこ]]
|[[11ぴきのねこ|十一ぴきのねこ]]
|[[馬場のぼる]]、[[井上ひさし]]
|[[馬場のぼる]]、[[井上ひさし]]
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|{{仮リンク|探偵(スルース)|en|Sleuth (play)}}
|{{仮リンク|探偵(スルース)|en|Sleuth (play)}}
|[[アンソニー・シェーファー]]
|[[アンソニー・シェーファー]]
|{{Efn2|単行本では46話「終幕」に含まれている。}}
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|style="text-align: center"|46
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|終幕
|終幕
|なし
|なし
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|style="text-align: center"|47
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|タマサブローの大冒険
|タマサブローの大冒険
|なし
|なし
|{{Efn2|玉サブローを主人公とした話で、いんこや万里子などの主要人物は一切登場しない。また、手塚治虫公式サイトではこの話を本編と区別して掲載している<ref>{{Cite web|和書|url=https://tezukaosamu.net/jp/manga/256.html|title=タマサブローの大冒険|publisher=手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL|accessdate=2021-9-18}}</ref>。}}
|}
|}


== その他 ==
== その他 ==
* 週刊少年チャンピオンの1982年2月26号には、手塚治虫がフランスの[[アングレーム国際漫画祭]]を訪れた際の様子を描いた[[レポート漫画]]「七色いんこの国際漫画祭ルポ」が掲載された。この中では、いんこが手塚にこっそりついていったという設定で2人が共演している<ref>{{Cite web|和書|url=https://tezukaosamu.net/jp/manga/695.html|title=七色いんこの国際漫画祭ルポ|publisher=手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL|accessdate=2021-9-15}}</ref>。
* 『[[鉄腕アトム]]』の『盗まれた太陽』というエピソードに、シャーロック・ホームスパンというゲストキャラが登場する(勿論[[シャーロック・ホームズ]]と[[アルセーヌ・ルパン]]のもじりである)。原作ではホームズもどきだったが、『[[鉄腕アトム (アニメ第2作)]]』では[[スター・システム (小説・アニメ・漫画)|スター・システム]]により、七色いんこがキャストされた(声:[[富山敬]])。
* 『[[鉄腕アトム]]』の「盗まれた太陽」というエピソードに、シャーロック・ホームスパンというゲストキャラが登場する(勿論[[シャーロック・ホームズ]]と[[アルセーヌ・ルパン]]のもじりである)。原作ではホームズもどきだったが、『[[鉄腕アトム (アニメ第2作)]]』では[[スター・システム (小説・アニメ・漫画)|スター・システム]]により、七色いんこがキャストされた(声:[[富山敬]])。
* 『[[アストロボーイ・鉄腕アトム]]』においても、爆弾魔カトウに七色いんこがキャストされている(声:[[子安武人]])。
* 『[[アストロボーイ・鉄腕アトム]]』においても、爆弾魔カトウに七色いんこがキャストされている(声:[[子安武人]])。
* 『アストロボーイ・鉄腕アトム』のゲーム版『[[ASTRO BOY・鉄腕アトム -アトムハートの秘密-]]』では、前述のシャーロック・ホームスパン役で登場している。
* 『アストロボーイ・鉄腕アトム』のゲーム版『[[ASTRO BOY・鉄腕アトム -アトムハートの秘密-]]』では、前述のシャーロック・ホームスパン役で登場している。
* [[ニンテンドーDS]]用ゲーム『[[ブラック・ジャック 火の鳥編]]』では七色いんことして登場するが、泥棒稼業を休み『七色いんこ探偵事務所』にて安楽椅子探偵をしている設定。
* [[ニンテンドーDS]]用ゲーム『[[ブラック・ジャック 火の鳥編]]』では七色いんことして登場するが、泥棒稼業を休み『七色いんこ探偵事務所』にて安楽椅子探偵をしている設定。
* [[スパイダー (手塚治虫)|スパイダー]]が、大勢で登場したシーンがある。
* [[スパイダー (手塚治虫)|スパイダー]]が、大勢で登場したシーンがある。
* 『ブラック・ジャック』の前日譚として描かれている漫画『[[ヤング ブラック・ジャック (漫画)|ヤング ブラック・ジャック]]』(脚本:[[田畑由秋]]、漫画:[[大熊ゆうご]])では、終幕に登場する七色いんこの師匠「ピエロのトミー」が役者業を始める前のベトナム帰還兵として登場している。また、トミーが登場するエピソードを収録した単行本3巻の余白ページに、大熊による七色いんこのイラストが描かれている。
* 『ブラック・ジャック』の前日譚として描かれている漫画『[[ヤング ブラック・ジャック (漫画)|ヤング ブラック・ジャック]]』(脚本:[[田畑由秋]]、漫画:[[大熊ゆうご]])では、45話「探偵(スルース)」(終幕に登場する七色いんこの師匠「ピエロのトミー」が役者業を始める前のベトナム帰還兵として登場しており、同作での出来事をきっかけにピエロになることを決意したという設定になっている。また、トミーが登場するエピソードを収録した単行本3巻の余白ページに、大熊による七色いんこのイラストが描かれている。


== コミックス ==
== コミックス ==
261行目: 329行目:
* [[手塚治虫漫画全集]]『七色いんこ』([[講談社]])全7巻
* [[手塚治虫漫画全集]]『七色いんこ』([[講談社]])全7巻
* [[秋田文庫]]『七色いんこ』(秋田書店)全5巻
* [[秋田文庫]]『七色いんこ』(秋田書店)全5巻
* 手塚治虫文庫全集『七色いんこ』(講談社)全3巻
* [[手塚治虫文庫全集]]『七色いんこ』(講談社)全3巻


== 舞台 ==
== 舞台 ==
=== 2000年版 ===
=== 2000年版 ===
『七色インコ』のタイトルで、5月14日から30日まで東京・[[TBS赤坂ACTシアター]]で上演<ref>{{Cite web|url=https://hounangumi.info/contents/172826 |title=『七色インコ』 |website=方南ぐみ 公式ホームページ |accessdate= 2018-10-12}}</ref>。
『七色インコ』のタイトルで、5月14日から30日まで東京・[[TBS赤坂ACTシアター]]で上演<ref>{{Cite web|和書|url=https://hounangumi.info/contents/172826 |title=『七色インコ』 |website=方南ぐみ 公式ホームページ |accessdate= 2018-10-12}}</ref>。


; キャスト
; キャスト
278行目: 346行目:


=== 2018年版 ===
=== 2018年版 ===
2018年、伊藤純奈([[乃木坂46]])の主演により舞台化。10月4日から8日まで、東京・[[アイアシアタートーキョー|AiiA 2.5 Theater Tokyo]]で上演<ref>{{Cite news|url=https://natalie.mu/music/news/298246|title= 乃木坂46伊藤純奈&けやき坂46松田好花、手塚治虫「七色いんこ」舞台で共演 |newspaper= ナタリー |publisher= ナターシャ |date= 2018-9-4|accessdate= 2017-02-06 }}</ref>。
2018年、伊藤純奈の主演により舞台化。10月4日から8日まで、東京・[[アイアシアタートーキョー|AiiA 2.5 Theater Tokyo]]で上演<ref>{{Cite news|url=https://natalie.mu/music/news/298246|title= 乃木坂46伊藤純奈&けやき坂46松田好花、手塚治虫「七色いんこ」舞台で共演 |newspaper= ナタリー |publisher= ナターシャ |date= 2018-9-4|accessdate= 2017-02-06 }}</ref>。


; キャスト<ref>{{Cite news|url=https://natalie.mu/comic/news/299760|title=手塚治虫原作の舞台「七色いんこ」、伊藤純奈・松田好花が役に扮したビジュアル|newspaper= ナタリー |publisher= ナターシャ |date= 2018-9-14|accessdate=2018-09-14}}</ref>
; キャスト<ref>{{Cite news|url=https://natalie.mu/comic/news/299760|title=手塚治虫原作の舞台「七色いんこ」、伊藤純奈・松田好花が役に扮したビジュアル|newspaper= ナタリー |publisher= ナターシャ |date= 2018-9-14|accessdate=2018-09-14}}</ref>
:* 七色いんこ - 伊藤純奈(乃木坂46)
:* 七色いんこ - [[伊藤純奈]]
:* 千里万里子 - 松田好花([[日向坂46|けやき坂46]]
:* 千里万里子 - [[松田好花]]
:*ピエロのトミー - 豊島美優
:*ピエロのトミー - 豊島美優
:*鍬潟 陽介 - [[今村美歩]]
:*鍬潟 陽介 - [[今村美歩]]
290行目: 358行目:
:* - [[後藤紗亜弥]] -->
:* - [[後藤紗亜弥]] -->
:*小田原刑事 - 山﨑紫生
:*小田原刑事 - 山﨑紫生
<!--:* - 清水
<!--:* - 清水彩
:* - 藤山由依
:* - 藤山由依
:* - 伊藤菜実子
:* - 伊藤菜実子
300行目: 368行目:
:*鍬形隆介 - [[悠未ひろ]]
:*鍬形隆介 - [[悠未ひろ]]
; スタッフ
; スタッフ
:* 脚本 - 畑雅文
:* 脚本 - [[モラリスト (お笑いコンビ)|畑雅文]]
:* 演出 - [[三浦香]]
:* 演出 - [[三浦香]]
<!--:* 制作 -
<!--:* 制作 -
:* 主催 - -->
:* 主催 - -->

=== 2024年版 ===
[[七海ひろき]]主演でミュージカルを上演。9月14日から16日に大阪で、9月20日から29日に東京・品川で開演<ref>[https://natalie.mu/comic/news/577761 手塚治虫「七色いんこ」ミュージカル化 主人公役に七海ひろき、ヒロイン役は有沙瞳] - コミックナタリー(ナターシャ) 2024年6月14日</ref>。

; キャスト
:* 七色いんこ - 七海ひろき
:* 千里万里子 - [[有沙瞳]]
:* トミー - [[藤田玲]]
:* 陽介 - [[土屋直武]]
:* 朝霞 - [[古谷大和]]
:* 我利屋 - [[新正俊]]
:* 小田原刑事 - [[大森夏向]]
:* 狐川イナコ - 岡村さやか
:* モモ子 - [[高橋果鈴]]
:* 古武良 - [[藤本結衣]]
:* ヨーコ - [[倉持聖菜]]
:* チルチル - 齋藤千夏
:* 警部 - [[高木トモユキ]]
:* 鍬潟隆介 - [[郷本直也]]
:* アンサンブル - 佐藤康道、橋本有一郎、藤村リュウト、柳田英理、山崎竜之介、渡邉南

; スタッフ
:* 原作 - 手塚治虫
:* 脚本 - 畑雅文
:* 演出・作詞 - 三浦香
:* 音楽 - 浅井さやか(One on One)
:* 企画協力 - 手塚プロダクション
:* 協力 - 一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会

== リメイク漫画 ==
=== HeiSei七色いんこ ===
{{Infobox animanga/Header2}}
{{Infobox animanga/Manga
|タイトル=HeiSei七色いんこ
|作者=[[手塚治虫]]
|作画=[[石田敦子 (漫画家)|石田敦子]]
|出版社=[[マイクロマガジン社]]
|掲載誌=[[テヅコミ]]
|レーベル=TCコミックス
|開始号=VOL.04(2019年1月)
|終了号=VOL.08(2019年5月)
|巻数=全1巻
|話数=全5話
|その他=
}}
{{Infobox animanga/Footer}}

『'''HeiSei七色いんこ'''』(へいせいなないろいんこ)は、[[石田敦子 (漫画家)|石田敦子]]の漫画作品。[[テヅコミ]]([[マイクロマガジン社]])のVOL.04 - 08に連載。原作の最終回から30年後、平成末期{{Efn2|この設定から逆算すると原作は昭和末期の出来事であり、連載当時より数年未来の話だったことになるが、原作では具体的な年代設定については語られていない。}}に再び現れた七色いんこの活躍が描かれる。作中で上演される劇はすべて手塚作品であり、各話の最後に原作紹介がある。

==== 登場人物(HeiSei七色いんこ) ====
; 七色いんこ
: 原作の最終回以降生死不明になっていたが、平成末期に30年ぶりに姿を現す。昭和(原作)のいんこと同一人物かどうかは最終回まで伏せられているが、第4話でサクラ子に「先代のいんこなら」と言われており、この時点で別人と認識されている。
: 昭和のいんこと同様に、代役専門の役者として様々な舞台に立つ。出演料に関しては、第1話で昭和のいんこと同様に盗みで得ようとする描写があるが未遂に終わり、第3話では「ギャラを貰った」と明言しており、作中では一度も盗みを行っていない。
; 朝霞サクラ子
: 七色いんこを追う刑事。上司である父の命令で七色いんこ特命班に配属されるが、自身が望んでいる仕事ではない上に、平成のいんこが盗みを行わないため逮捕して手柄を立てることもできず、自身の立場に不満を抱いている。
: 名前は第3話までは出てこず、第4話で苗字が、最終回でフルネームが明かされる。
; 刑事
: サクラ子を「おじょうさん」と呼び、同行する刑事。作中では名乗ることも名前を呼ばれることもないため、名前は最後まで不明。

==== サブタイトル(HeiSei七色いんこ) ====
{| class="wikitable" style="font-size:small"
|-
!|話数||サブタイトル||原作
|-
|style="text-align: center"|1
|メスが赤く光る
|[[ブラック・ジャック]]
|-
|style="text-align: center"|2
|蒼い火の鳥
|[[火の鳥 (漫画)|火の鳥]]
|-
|style="text-align: center"|3
|黒きたたかい
|[[紙の砦]]
|-
|style="text-align: center"|4
|白きドレスは誰のため
|[[リボンの騎士]]
|-
|style="text-align: center"|5
|七色の未来
|七色いんこ
|-
|}

=== 劇団二十面相VS七色いんこ ===
{{Infobox animanga/Header2}}
{{Infobox animanga/Manga
|タイトル=劇団二十面相VS七色いんこ
|作者=[[手塚治虫]]
|作画=[[中谷チカ]]
|出版社=[[秋田書店]]
|掲載誌=[[月刊少年チャンピオン]]
|レーベル=[[少年チャンピオン・コミックス]]
|開始号=2019年10月号
|終了号=2020年8月号
|巻数=全3巻
|話数=全11話
|その他=
}}
{{Infobox animanga/Footer}}
{{節スタブ|date=2020年6月}}

『'''劇団二十面相VS七色いんこ'''』(げきだんにじゅうめんそうバーサスなないろいんこ)は、[[中谷チカ]]の漫画作品。[[月刊少年チャンピオン]]で2019年10月号から2020年8月号まで連載。

役者泥棒の仕事をこなす七色いんこの前に現れた国際犯罪組織「劇団二十面相」を巡り、いんこと万里子が手を組み対峙することになる。物語の序盤は原作に沿った内容でいんこの登場や万里子との出会いが描かれるが、以降はオリジナルの物語が展開される。

==== 登場人物(劇団二十面相VS七色いんこ) ====
; 七色いんこ
:
; 千里 万里子
:

==== サブタイトル(劇団二十面相VS七色いんこ) ====
{| class="wikitable" style="font-size:small"
|-
!|話数||サブタイトル||単行本||備考
|-
|style="text-align: center"|1
|ハムレット
|rowspan="3"|1巻
|原作の第1話「ハムレット」の内容を踏襲している。
|-
|style="text-align: center"|2
|劇団二十面相・前
|
|-
|style="text-align: center"|3
|劇団二十面相・後
|
|-
|style="text-align: center"|4
|怪盗紳士リュパン・前
|rowspan="4" |2巻
|
|-
|style="text-align: center"|5
|怪盗紳士リュパン・中
|
|-
|style="text-align: center"|6
|怪盗紳士リュパン・後
|
|-
|style="text-align: center"|7
|間久部緑郎
|

|-
|style="text-align: center"|8
|石川五右衛門・前
|rowspan="4" |3巻
|
|-
|style="text-align: center"|9
|石川五右衛門・中
|
|-
|style="text-align: center"|10
|石川五右衛門・後
|
|-
|style="text-align: center"|11
|七色いんこ
|
|-
|}


== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
=== 注釈 ===
{{Notelist2}}
{{Reflist|group="注"}}
=== 出典 ===
=== 出典 ===
{{Reflist}}
{{Reflist}}


==外部リンク==
== 外部リンク ==
*[http://tezukaosamu.net/jp/manga/320.html 手塚治虫公式サイト内作品ページ]
* [https://tezukaosamu.net/jp/manga/320.html 手塚治虫公式サイト内作品ページ]
*[http://tezuka.comicpark.net/detail.asp?cid=TZKAS109 手塚治虫オンデマンドマガジン]
* [http://tezuka.comicpark.net/detail.asp?cid=TZKAS109 手塚治虫オンデマンドマガジン]
*[https://www.nelke.co.jp/stage/nanairo-inko/ 舞台「七色いんこ」公式サイト](2018年版)
* [https://www.nelke.co.jp/stage/nanairo-inko/ 舞台「七色いんこ」公式サイト](2018年版)
*[https://twitter.com/s_nanairoinko 舞台「七色いんこ」公式Twitter](2018年版)
* [https://twitter.com/s_nanairoinko 舞台「七色いんこ」公式Twitter](2018年版)


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[[Category:怪盗を主人公とした漫画作品]]
[[Category:怪盗を主人公とした漫画作品]]

2024年7月14日 (日) 16:07時点における最新版

漫画:七色いんこ
作者 手塚治虫
出版社 秋田書店
掲載誌 週刊少年チャンピオン
レーベル 少年チャンピオン・コミックス
発表号 1981年3月20日号 - 1982年6月4日号
巻数 全7巻
話数 全47話
テンプレート - ノート

七色いんこ』(なないろいんこ、英題:Rainbow Parakeet)は、手塚治虫による日本漫画作品。1981年から1982年にかけて『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)に連載。全47話。

概要

[編集]

天才的な演技力を持つ代役専門の舞台役者でありながら、その裏では裕福な観客から金品を盗み取るという役者泥棒・七色いんこの物語である。エピソードごとに舞台や登場人物が変わる『ブラック・ジャック』のような1話完結形式で、これに、いんこへの恋心を抑えながら犯行を追う女性刑事・千里万里子を巡るラブコメディ要素などが絡みながら展開していく。

本作のエピソードの多くは、実在する演劇の内容がベースになっている。手塚は演劇通に加え映画通でもあることから、本作で題材となった演劇は映画化されているものが多い[1]

手塚は漫画家になる以前の昭和20年代初期に大阪の劇団で3年ほど活動していた経歴があり、芝居に関する自分のイメージや芝居好きだからこそ漫画を描いているということをわかってもらうために「七色いんこ」を始めたと語っている[1]

2000年2018年には舞台化され、2024年にも上演予定。また、2019年には石田敦子中谷チカによるリメイク漫画の連載がそれぞれ行われている。

登場人物

[編集]
七色いんこ(なないろいんこ)
老若男女どんな役でもこなす、代役専門の舞台俳優。通常は青緑色のおかっぱカツラと赤いレンズのサングラスを身につけた姿をしている[2]
変装声色の技術を駆使し、客のみならず有名演出家や一流の女優をも唸らせるほどの演技を見せる。台詞覚えも良く、上演当日に依頼された舞台でも難なくこなす。
しかし、役者というのは彼の一面でしかなく、その本業は泥棒である。舞台出演の際には出演料を貰わないが、その代わりに、劇場を訪れている名士から宝石などの金品を盗む。また、劇場以外の場所でも、悪党から盗みを働いたり儲け話に介入したりする。
舞台への出演を依頼するには「新宿区私書箱5826432」宛てに手紙を郵送する必要があり、出演条件として「劇場で何が起きても(=盗難事件が発生しても)見て見ぬふりをすること」を挙げている。
各地にアジトが存在し、その中には練習用の舞台を備えたものもある。また、手乗りインコの玉サブローを飼っている。
いんこのホンネ
いんこの前に度々現れる幻影。外見は手塚漫画のキャラクター「ママー[3] で、ほかに妻と2人の子供も登場する。いんこ以外からはボロ切れにしか見えない。
いんこが意地を張っているときに現れて「本当は〇〇したいんだろう」と揺さぶりをかけ、これに逆らったいんこが大抵ひどい目に遭うことになる。
28話「セールスマンの死」に登場する医師によれば、常日頃から別の人間になり続けることで欲求不満が高まった結果、欲求が具現化したものであるという。
千里 万里子(せんり まりこ)
警視庁捜査二課所属の刑事。七色いんこ担当。頭に人民帽をかぶっている[4] 。年齢は18話「青い鳥」で明らかになるが、チャンピオン・コミックス初版時点では「19歳2か月」と記され、後の出版物では「24歳2か月」と変更されている。
がさつで男勝りな性格を持つ。高校時代には関東女番長連合の中ボス「スケバン千里」として名を馳せ、卒業後も後輩達から慕われている。射撃体術の技量に優れ、25話「ピグマリオン」では国賓の護衛を、33話「結婚申込」では海外での女性警察官の教育を依頼される。一方、強烈な鳥アレルギーの持ち主で、鳥の姿を見たり声を聞いたりすると、じんましんの発症に加え、身体が子供のような背丈まで縮んでしまう。
これまで恋愛経験がなく男女交際は不潔とまで考えていたが、1話「ハムレット」でいんこと初めて対面した際に恋心を抱く。しかしその想いは内に秘め、いんこの捜査を続ける。
玉サブロー(たまサブロー)
いんこに飼われている白い小型[5]
当初は演劇界の重鎮・牛沢の下で息子代わりに育てられたが、死去直前にいんこへ託される。牛沢仕込みのパントマイムを用いて周囲とコミュニケーションをとり、いんこに連れられて盗みの手伝いをすることもある。また、26話「靱猿」ではサルの役で、31話「犀」ではサイの役で舞台に立っている。
同性の犬に好意を抱いたりいんこの股間に顔をうずめたりするなど、ゲイを思わせる行動がみられる。一方、最終話である47話「タマサブローの大冒険」では一目惚れしたメス犬の救出のために奔走する。
千里警部(せんりけいぶ)
警視庁の警部。万里子の父親で上司でもある。外見は手塚作品の「下田警部」。
妻を亡くしており、万里子と二人で暮らしている。万里子の刑事としての実力を認めつつ、女らしくあってほしいと願う。
小田原 丁珍(おだわら ちょうちん)
警視庁捜査二課所属の刑事。七色いんこ担当。
同じく七色いんこ担当の万里子と共に張り込みを行う。万里子のことは「(千里)刑事どの」と呼ぶ。
男谷 マモル(おたに マモル)
アメリカにあるバークレイ大学の研究室に籍を置く心理学者
15話「じゃじゃ馬ならし」で千里警部が見合い相手として万里子に紹介するが、万里子からは拒絶される。一方、25話「ピグマリオン」では千里警部からの依頼で万里子にレディとしてのマナーを指南する。
鍬潟 隆介(くわがた りゅうすけ)
自動車会社「クワガタ自動車」の会長。周囲から「財界のキング」と称されるほどの影響力を持つが、裏では政界への贈賄に手を染めている。
中学生の時に家を出て以来行方不明の息子・陽介のことを気にかけ、18話「青い鳥」では自社の試走車に息子の姿を模したダミー人形を載せている。
ピエロのトミー
本名トマス・ウイリアムズ。いんこの若かりしころが描かれる45話「探偵(スルース)」(単行本では「終幕」)に登場するいんこの師匠。ピエロのメイクを施し、いんこと同じ意匠のカツラを着用している。
アメリカニューヨークの小劇場で大衆向けにパントマイムを披露している。当時アメリカに渡ったものの路頭に迷い行き倒れていたいんこを助け、相棒として迎え入れつつ演技指導を行う。
かつて出征したベトナム戦争兵器を用いて多くの市民の命を奪った過去を悔いる一方、兵器の開発・販売で巨万の富を得た長者・バーミンガムへの復讐を果たすためとして、シカゴの大劇場「バーミンガム劇場」でバーミンガム糾弾の公演を決行する。

登場人物の素性

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以下の登場人物の素性は「終幕」で明らかになる。

七色いんこ
七色いんこの正体は、鍬潟隆介の息子・鍬潟陽介(くわがた ようすけ)である。なお、1話「ハムレット」で万里子がこのことを疑いいんこを問いただしているが、はぐらかされて終わっている。
幼少期の陽介は周囲となじめず孤立した存在だったが、中学時代にはクラスメイトの女子学生・朝霞モモ子(あさか モモこ)と打ち解け友人となる。しかし、モモ子の父親が陽介の父・隆介の不正を追う新聞記者だったため朝霞一家は隆介の手の者から命を狙われ、そのことを追求しようとした陽介は留学の名目でアメリカへ追放される。
アメリカで陽介が師事したトミーは、バーミンガム劇場での上演後にベトナムの組織から戦争の報復として銃撃され、命を落とす。これを機に陽介はトミーと同様の手法で父の悪事を暴くことを決意し、後に役者泥棒として入手した金を全て費やして鍬潟隆介糾弾の一人舞台を開催、幕が上がったところで物語は終幕となる。
なお、本作の30年後を描いた石田敦子作の漫画『HeiSei七色いんこ』ではこの舞台の本番中に銃乱射事件英語版が発生したとされ、いんこは公には正体不明のまま姿を消したため生死不明扱いになっている[6]。また、隆介もこの事件で生死不明となっている[7]が、その理由は不明。
男谷 マモル
七色いんこ(鍬潟陽介)と同一人物。男谷マモルの姿がいんこの本来の姿である。
千里 万里子
「千里万里子」は高校時代以降の名前で、それ以前は「朝霞モモ子」だった。万里子はモモ子時代のことを覚えていない。
朝霞一家は追手から逃れようと海沿いを車で走行していたが、突然トビの群れに襲撃され車は崖下へ転落、両親は死亡し、モモ子は一命を取り留めたものの以前の記憶を喪失、同時に鳥に対して激しい拒否反応を示す鳥アレルギー体質となってしまう。その後、モモ子は遠い親戚にあたる千里警部に引き取られ、千里万里子として生活を送る。
いんこのアジトにあった追想録でモモ子のことを知った万里子は、いんこに連れられてかつての事故現場の崖へ向かう。そこでいんこが当時の事故の再現を行うと万里子はモモ子時代の記憶を取り戻し、いんこが陽介であることも認識する。モモ子は、モモ子の両親の仇討を誓って復讐劇の舞台に立った陽介の無事を祈り、舞台袖で見守る。

サブタイトル

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タイトルのほとんどが実在する演劇からとられている。

話数 サブタイトル 原作者 備考
1 ハムレット ウィリアム・シェイクスピア
2 どん底 マクシム・ゴーリキー
3 人形の家 ヘンリック・イプセン
4 修禅寺物語 岡本綺堂
5 ガラスの動物園 テネシー・ウィリアムズ
6 検察官 ニコライ・ゴーゴリ
7 電話 ジャン=カルロ・メノッティ [注 1]
8 ゴドーを待ちながら サミュエル・ベケット
9 アルト=ハイデルベルク ヴィルヘルム・マイヤー=フェルスタードイツ語版
10 誤解 アルベール・カミュ
11 ピーター・パン ジェームス・マシュー・バリー
12 ヴァージニア・ウルフなんかこわくない エドワード・オールビー
13 幕間 なし [注 2]
14 化石の森 ロバート・シャーウッド英語版
15 じゃじゃ馬ならし ウィリアム・シェイクスピア
16 彦市ばなし 木下順二
17 シラノ・ド・ベルジュラック エドモン・ロスタン
18 青い鳥 モーリス・メーテルリンク
19 南総里見八犬伝 曲亭馬琴
20 オンディーヌ ジャン・ジロドゥ [注 3]
21 12人の怒れる男 レジナルド・ローズ
22 悪魔の弟子英語版 ジョージ・バーナード・ショー
23 棒になった男 安部公房
24 タルチュフ モリエール
25 ピグマリオン ジョージ・バーナード・ショー
26 靱猿 不明
27 森は生きている サムイル・マルシャーク
28 セールスマンの死 アーサー・ミラー
29 三文オペラ ベルトルト・ブレヒト
30 王女メディア エウリピデス
31 ウジェーヌ・イヨネスコ
32 R・U・R カレル・チャペック
33 結婚申込 アントン・チェーホフ
34 俺たちは天使じゃない アルベール・ユッソン英語版
35 ベニスの商人 ウィリアム・シェイクスピア
36 仮名手本忠臣蔵 竹田出雲三好松洛並木千柳
37 幕間II なし
38 コルヌヴィルの鐘 ロベール・プランケット英語版
39 恋わずらいのなおし方 ソーントン・ワイルダー
40 サロメ オスカー・ワイルド
41 欲望という名の電車 テネシー・ウィリアムズ
42 作者を探す六人の登場人物 ルイージ・ピランデッロ [注 4]
43 オセロ ウィリアム・シェイクスピア
44 十一ぴきのねこ 馬場のぼる井上ひさし
45 探偵(スルース)英語版 アンソニー・シェーファー [注 5]
46 終幕 なし
47 タマサブローの大冒険 なし [注 6]

その他

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コミックス

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舞台

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2000年版

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『七色インコ』のタイトルで、5月14日から30日まで東京・TBS赤坂ACTシアターで上演[10]

キャスト
スタッフ

2018年版

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2018年、伊藤純奈の主演により舞台化。10月4日から8日まで、東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoで上演[11]

キャスト[12]
スタッフ

2024年版

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七海ひろき主演でミュージカルを上演。9月14日から16日に大阪で、9月20日から29日に東京・品川で開演[13]

キャスト
スタッフ
  • 原作 - 手塚治虫
  • 脚本 - 畑雅文
  • 演出・作詞 - 三浦香
  • 音楽 - 浅井さやか(One on One)
  • 企画協力 - 手塚プロダクション
  • 協力 - 一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会

リメイク漫画

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HeiSei七色いんこ

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漫画:HeiSei七色いんこ
原作・原案など 手塚治虫
作画 石田敦子
出版社 マイクロマガジン社
掲載誌 テヅコミ
レーベル TCコミックス
発表号 VOL.04(2019年1月) - VOL.08(2019年5月)
巻数 全1巻
話数 全5話
テンプレート - ノート

HeiSei七色いんこ』(へいせいなないろいんこ)は、石田敦子の漫画作品。テヅコミマイクロマガジン社)のVOL.04 - 08に連載。原作の最終回から30年後、平成末期[注 7]に再び現れた七色いんこの活躍が描かれる。作中で上演される劇はすべて手塚作品であり、各話の最後に原作紹介がある。

登場人物(HeiSei七色いんこ)

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七色いんこ
原作の最終回以降生死不明になっていたが、平成末期に30年ぶりに姿を現す。昭和(原作)のいんこと同一人物かどうかは最終回まで伏せられているが、第4話でサクラ子に「先代のいんこなら」と言われており、この時点で別人と認識されている。
昭和のいんこと同様に、代役専門の役者として様々な舞台に立つ。出演料に関しては、第1話で昭和のいんこと同様に盗みで得ようとする描写があるが未遂に終わり、第3話では「ギャラを貰った」と明言しており、作中では一度も盗みを行っていない。
朝霞サクラ子
七色いんこを追う刑事。上司である父の命令で七色いんこ特命班に配属されるが、自身が望んでいる仕事ではない上に、平成のいんこが盗みを行わないため逮捕して手柄を立てることもできず、自身の立場に不満を抱いている。
名前は第3話までは出てこず、第4話で苗字が、最終回でフルネームが明かされる。
刑事
サクラ子を「おじょうさん」と呼び、同行する刑事。作中では名乗ることも名前を呼ばれることもないため、名前は最後まで不明。

サブタイトル(HeiSei七色いんこ)

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話数 サブタイトル 原作
1 メスが赤く光る ブラック・ジャック
2 蒼い火の鳥 火の鳥
3 黒きたたかい 紙の砦
4 白きドレスは誰のため リボンの騎士
5 七色の未来 七色いんこ

劇団二十面相VS七色いんこ

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漫画:劇団二十面相VS七色いんこ
原作・原案など 手塚治虫
作画 中谷チカ
出版社 秋田書店
掲載誌 月刊少年チャンピオン
レーベル 少年チャンピオン・コミックス
発表号 2019年10月号 - 2020年8月号
巻数 全3巻
話数 全11話
テンプレート - ノート

劇団二十面相VS七色いんこ』(げきだんにじゅうめんそうバーサスなないろいんこ)は、中谷チカの漫画作品。月刊少年チャンピオンで2019年10月号から2020年8月号まで連載。

役者泥棒の仕事をこなす七色いんこの前に現れた国際犯罪組織「劇団二十面相」を巡り、いんこと万里子が手を組み対峙することになる。物語の序盤は原作に沿った内容でいんこの登場や万里子との出会いが描かれるが、以降はオリジナルの物語が展開される。

登場人物(劇団二十面相VS七色いんこ)

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七色いんこ
千里 万里子

サブタイトル(劇団二十面相VS七色いんこ)

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話数 サブタイトル 単行本 備考
1 ハムレット 1巻 原作の第1話「ハムレット」の内容を踏襲している。
2 劇団二十面相・前
3 劇団二十面相・後
4 怪盗紳士リュパン・前 2巻
5 怪盗紳士リュパン・中
6 怪盗紳士リュパン・後
7 間久部緑郎
8 石川五右衛門・前 3巻
9 石川五右衛門・中
10 石川五右衛門・後
11 七色いんこ

脚注

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注釈

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  1. ^ 作品内ではアントン・チェーホフ作の戯曲『桜の園』の台詞を朗読する場面もある。
  2. ^ サブタイトルにはなっていないが、作品内容はヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ作の戯曲『ファウスト』をベースにしている。
  3. ^ 作品内ではウィリアム・シェイクスピア作の戯曲『リア王』の一場面をいんこが演じる。
  4. ^ 作品冒頭ではアルベール・カミュ作の戯曲『カリギュラ』の上演風景が描かれている。
  5. ^ 単行本では46話「終幕」に含まれている。
  6. ^ 玉サブローを主人公とした話で、いんこや万里子などの主要人物は一切登場しない。また、手塚治虫公式サイトではこの話を本編と区別して掲載している[8]
  7. ^ この設定から逆算すると原作は昭和末期の出来事であり、連載当時より数年未来の話だったことになるが、原作では具体的な年代設定については語られていない。

出典

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  1. ^ a b 七色いんこ”. TEZUKA OSAMU OFFICIAL. 2019年5月13日閲覧。
  2. ^ 七色いんこ”. キャラクター. TEZUKA OSAMU OFFICIAL. 2023年5月23日閲覧。
  3. ^ ママー”. キャラクター. TEZUKA OSAMU OFFICIAL. 2023年5月23日閲覧。
  4. ^ 千里万里子”. キャラクター. TEZUKA OSAMU OFFICIAL. 2023年5月23日閲覧。
  5. ^ 玉サブロー”. キャラクター. TEZUKA OSAMU OFFICIAL. 2023年5月23日閲覧。
  6. ^ 原作:手塚治虫、漫画:石田敦子『HeiSei七色いんこ』マイクロマガジン社、2019年、108頁頁。ISBN 978-4-89637-919-8 
  7. ^ 原作:手塚治虫、漫画:石田敦子『HeiSei七色いんこ』マイクロマガジン社、2019年、149頁頁。ISBN 978-4-89637-919-8 
  8. ^ タマサブローの大冒険”. 手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL. 2021年9月18日閲覧。
  9. ^ 七色いんこの国際漫画祭ルポ”. 手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL. 2021年9月15日閲覧。
  10. ^ 『七色インコ』”. 方南ぐみ 公式ホームページ. 2018年10月12日閲覧。
  11. ^ “乃木坂46伊藤純奈&けやき坂46松田好花、手塚治虫「七色いんこ」舞台で共演”. ナタリー (ナターシャ). (2018年9月4日). https://natalie.mu/music/news/298246 2017年2月6日閲覧。 
  12. ^ “手塚治虫原作の舞台「七色いんこ」、伊藤純奈・松田好花が役に扮したビジュアル”. ナタリー (ナターシャ). (2018年9月14日). https://natalie.mu/comic/news/299760 2018年9月14日閲覧。 
  13. ^ 手塚治虫「七色いんこ」ミュージカル化 主人公役に七海ひろき、ヒロイン役は有沙瞳 - コミックナタリー(ナターシャ) 2024年6月14日

外部リンク

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