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なお、平成9年版海上保安白書によれば、特殊警備隊は、[[地下鉄サリン事件]]や、[[在ペルー日本大使公邸占拠事件]]等を踏まえ、[[潜水]]訓練、[[武道]]訓練、[[レンジャー_(日本の警察)|レンジャー]]訓練、[[ヘリコプター]]からの降下訓練等を実施し、24時間体制で海上における特殊警備事案の発生に備えている、とされている<ref name="sst1">{{Cite news |title=Ⅲ 海上紛争等の警備と警衛・警護(平成9年版海上保安白書)|newspaper=|date=|author=海上保安庁|url=http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/h9haku/2-1-3.htm|accessdate=2015-11-14}}</ref>。 |
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またSSTはテロ対策などの警備任務以外に、潜水能力を生かして[[海難救助]]にも従事し、密輸や密入国などの多様な事件に出動することから、日本の特殊部隊の中では、比較的出動が多いと言われている<ref>{{Cite book|和書|editor=世界の艦船 編集部|year=2013|month=2|title=海上保安庁100のトリビア|sereis=世界の艦船 2013年3月号増刊|page=30|publisher=海人社|id=[[JANコード]] 491005640331}}</ref>。 |
またSSTはテロ対策などの警備任務以外に、潜水能力を生かして[[水難救助|海難救助]]にも従事し、密輸や密入国などの多様な事件に出動することから、日本の特殊部隊の中では、比較的出動が多いと言われている<ref>{{Cite book|和書|editor=世界の艦船 編集部|year=2013|month=2|title=海上保安庁100のトリビア|sereis=世界の艦船 2013年3月号増刊|page=30|publisher=海人社|id=[[JANコード]] 491005640331}}</ref>。 |
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: [[回転式拳銃|回転式けん銃]]。[[ニューナンブM60]]と同じ、38スペシャル弾を使用。SSTの前身である海上警備隊が装備していたとされている<ref name="SST">『海上保安庁特殊部隊SST』著者:[[小峯隆生]]、協力:[[坂本新一]]、並木書房2005年、ISBN 4-89063-193-3</ref>。 |
: [[回転式拳銃|回転式けん銃]]。[[ニューナンブM60]]と同じ、38スペシャル弾を使用。SSTの前身である海上警備隊が装備していたとされている<ref name="SST">『海上保安庁特殊部隊SST』著者:[[小峯隆生]]、協力:[[坂本新一]]、並木書房2005年、ISBN 4-89063-193-3</ref>。 |
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: 遅くとも1995年には装備していた。2003年に行われた合同演習「パシフィックプロテクター」では、フラッシュライトとダットサイトを装着したMP5A5を使用。 |
: 遅くとも1995年には装備していた。2003年に行われた合同演習「パシフィックプロテクター」では、フラッシュライトとダットサイトを装着したMP5A5を使用。 |
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2018年10月12日 (金) 10:01時点における版
海上保安庁 |
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海上保安庁本庁 |
地方機構 |
教育機関 |
その他 |
特殊警備隊(とくしゅけいびたい、Special Security Team:SST)とは、海上保安庁に所属する特殊部隊である[1][2]。
名称
通称「SST」と呼ばれている。日本語の部隊名称を略した「特警隊」は、海上保安庁では特別警備隊を指すためSSTには使われない。
任務
1997年(平成9年)の海上保安白書によれば、「シージャック、サリン等の有毒ガス使用等高度な知識及び技術を必要とする特殊な海上警備事案」に対処することが、SSTの任務とされている[3]。
なお、平成9年版海上保安白書によれば、特殊警備隊は、地下鉄サリン事件や、在ペルー日本大使公邸占拠事件等を踏まえ、潜水訓練、武道訓練、レンジャー訓練、ヘリコプターからの降下訓練等を実施し、24時間体制で海上における特殊警備事案の発生に備えている、とされている[3]。
またSSTはテロ対策などの警備任務以外に、潜水能力を生かして海難救助にも従事し、密輸や密入国などの多様な事件に出動することから、日本の特殊部隊の中では、比較的出動が多いと言われている[4]。
概要
SSTは1985年に創設された関西国際空港海上警備隊(海警隊)[5]が前身となっている。発足時はわずか8名であったが、87年には空港の本格的な着工にあわせて24名[6]、プルトニウム輸送船護衛を控えた1990年には更に37名に増強されるとともに、アメリカ海軍のNavy SEALsによる訓練が施された。プルトニウム輸送船護衛のため、海警隊から13名が選抜されて「輸送船警乗隊」が編成されたが、護衛任務が終了すると、再び海警隊に合流した[7]。
1995年に「地下鉄サリン事件」などのテロ事件が発生したことを受け、海上保安庁は海上におけるテロ事件に対処するため、本格的な特殊部隊の創設を計画した。その結果、同種の部隊を統合して運用することが効率的であったことから、1996年5月11日に第五管区海上保安本部大阪特殊警備基地が設置され[8]、特殊警備隊(SST)が発足した[9]。
SSTはテロリストなどに占拠された船舶や、麻薬密輸船に対して、ヘリコプターからファストロープなどを用いて降下し、制圧を行う。また閉式潜水器具等を使用して、水中から船舶への突入、制圧を実施する。
隊員は主に警備実施等強化巡視船に配備されている特別警備隊か、救難強化巡視船の潜水隊員から選抜されているようである。警察の特殊部隊(SAT)と同じく、部隊についての情報は著しく制限されていたが、2001年9月に発生したアメリカ同時多発テロ事件以降は、部分的であるが、訓練の様子等を報道陣に公開している。
- 一般公開された情報で判明している大阪特殊警備基地の編制は以下の通り[10]
- 基地長(二等海上保安監)
- 統括隊長(複数の隊が出動した時に統括する隊長:階級は一等海上保安正)
- 第一特殊警備隊(隊長:二等海上保安正、副隊長:三等海上保安正)他6名 計8名
- 第二~第七特殊警備隊(第一特殊警備隊に同) 各8名
各隊には朝鮮語等の語学のスペシャリストや救急救命士等の専門隊員が配属されている。また、7個の特殊警備隊のうち2個はそれぞれ化学兵器防護、爆発物処理を専門としている隊である[8]。
SSTは出動命令を受けると、関西空港海上保安航空基地から固定翼機(サーブ 340B)を使用して、現場近くの航空基地に移動し、そこから航空基地所属のヘリコプターに搭乗して現場に向かい、直接または巡視船を経由して、対象となる船を急襲する。乗り込む方法は、ヘリコプターからのリペリング降下のほかに、強行接舷による移乗や閉式潜水器具を使用しての水中強襲も行う。通常は船内の制圧が終わると、警備実施等強化巡視船からやって来る特別警備隊に任務を引き継いで撤収する。特別警備隊は、海上テロ事案等が発生した際には、SSTの支援部隊として出動し、初動対応にあたる為、ほぼすべての管区海上保安部警備救難課警備係に配置されている。
関西空港海上保安航空基地に配備されているサーブ340BとEC225LP(ヘリコプター)は、通常業務のほか、SSTの移送を考慮した装備となっている[8]。事案発生の際には、巡視船やヘリコプターとの連携が不可欠であるため、普段は大阪特殊警備基地での訓練の他に、全国の海上保安本部に出向き、巡視船員やヘリコプター乗員との連携訓練を行っている。
部隊の標語は、「常に備えよ」
関連年表
- 1985年10月1日 - 関西国際空港海上警備隊が創設される[5]。
- 1988年 - ソウルオリンピックの期間中にテロやシージャックに備えるために日韓を結ぶフェリー航路付近を関西空港海上警備隊が警戒監視任務に就く。
- 1989年 - 東シナ海でパナマ船籍の鉱石運搬船内で船員が暴動を起こす事件が発生し、関西空港海上警備隊が出動して暴動を鎮圧。
- 1990年 - プルトニウム輸送船を護衛する為に関西空港海上警備隊の隊員を選抜し、輸送船警乗隊を創設する。米海軍の特殊部隊(Navy SEALs)から対テロ作戦等の教育を受ける。
- 1992年 - フランスから日本へのプルトニウムを輸送した運搬船あかつき丸に輸送船警乗隊が乗り組み、警戒警備をする[11]。
- 1996年5月11日 - 関西空港海上警備隊と輸送船警乗隊が統合され、特殊警備基地の設置及び特殊警備隊(SST)が創設される[5]。
- 1998年 - 東京晴海埠頭で行われた観閲式で、SSTが訓練展示(容疑船へのリペリング降下)を行い、初めて報道陣の前に姿を現す。また、米国沿岸警備隊の特殊部隊(TACLET)も訓練展示に参加した。
- 1999年 - 能登半島沖不審船事件の際に、SSTは追跡中の巡視船「ちくぜん」に乗船して、不審船停船後の強行臨検に備えていた。
- 2000年 - 東シナ海を航行中のシンガポール船籍の貨物船で船員が暴動を起こす事件が発生。SSTが出動して暴動事件に対応した[9][12]。
- 2001年 - 九州南西海域工作船事件に際して出動し、第十管区海上保安本部の巡視船「はやと」船内で準備をしていた。
- 2002年 - FIFAワールドカップ開幕直前に、釜山沖において、韓国海洋警察特別攻撃隊(SSAT)と、SSTがテロ対策合同訓練を行う。なお訓練の模様は報道機関に公開された。
- 2003年 - オーストラリア東岸沖でPSI加盟国による合同臨検(船舶検査)演習「パシフィックプロテクター」が実施され、SSTは容疑船への降下、制圧を担当した。
- 2008年 -「シーシェパード」が日本の調査捕鯨船の活動を妨害し、乗務員が負傷する事件が発生。この事件を受け海上保安庁は日本鯨類研究所の調査捕鯨船「第二勇新丸」にエコテロリスト対策として海上保安官が乗船し、警備を担当したと発表した。この海上保安官は情報誌に掲載された記事ではSST隊員とされている[13]。
- 2009年 - 高知県室戸岬沖で、大量の覚醒剤を夜陰に乗じて室戸市の椎名漁港に密輸しようとした中国船籍の漁船が、海上保安庁に発見された。該船は巡視船からの停船命令を無視したため、SSTが急襲した。船を制圧したSSTは、同船員6人を立入検査忌避罪で現行犯逮捕した。椎名漁港には密輸の受け入れ役だった在日中国人と暴力団員が待ち受けており、この暴力団員らは通報を受けて警戒を実施していた高知県警察が逮捕した。
- 2010年 - 海上保安庁観閲式で武装船を想定した訓練が初公開された[14]。
- 2013年 - 東京電力福島第二原子力発電所において、テロリストの襲撃を想定した警察との合同テロ対策訓練にSSTが参加し、船舶に立て籠もったテロリスト役の制圧を行った。なお、この合同訓練には千葉県警察の特殊部隊(SAT)と福島県警察の銃器対策部隊が参加した。
- 2014年 - 週刊文春によると、同年10月5日早朝、小笠原諸島周辺の日本領海内で赤サンゴを密漁する中国漁船に対処するため、関西空港海上保安航空基地からヘリコプターで緊急出動。巡視船「しきしま」にてブリーフィングを行った後、ヘリコプターから中国漁船にリペリング降下して銃器を構えて船内に突入、包丁や銛等で激しく抵抗する乗組員を制圧して横須賀へ連行したという。海上保安庁は本件に関して「回答を差し控える」としている[15]。(中国漁船サンゴ密漁問題)
主な装備
銃器類
- けん銃(拳銃)
- 自動式けん銃。公開訓練では、ホルスターからの脱落を防止するため、ランヤード(吊り紐)を取り付けて使用している。2013年に東京電力福島第2原子力発電所で行われた訓練ではフラッシュライトを装着していた。
- 遅くとも1995年には装備していた。2003年に行われた合同演習「パシフィックプロテクター」では、フラッシュライトとダットサイトを装着したMP5A5を使用。
- 狙撃銃
- 豊和工業 M1500
- 『海上保安庁特殊部隊SST』(著者:小峯隆生、協力:坂本新一、並木書房)によると、海上警備隊が使用していたとされている。なお同書によれば、ボルトアクション方式の狙撃銃は次弾装填の際に標的を見失うため、海上での狙撃には適さなかったとされている。
- 散弾銃
- 海上保安庁では、レミントンM870 マリンマグナムを装備している。
- 自動小銃
- 豊和工業 89式5.56mm小銃
- 折曲式銃床を装着したもの。2004年に行われたフィリピン沿岸警備隊との合同訓練では、エイムポイント社製のダットサイトを装着して使用。
その他の装備
- 犯人制圧に使用。
- 防弾ベスト
- アサルトスーツ
- 紺色、もしくは灰色の突入服。
- 海上保安庁では、ケブラー製の小型防弾盾等を装備している。
- キャメルバック社製、背中に背負う水筒。手を使用せずに水を飲むことが可能。2004年に行われたフィリピン沿岸警備隊との合同訓練の際、SST隊員が装備していたもの。
- 防爆服、探知機等。
- 化学防護用装備
上記以外にも、様々な装備品を保有している。また、事案発生の際には、海上保安庁が保有する巡視船や航空機と連携して活動する。
登場作品
- 『S -最後の警官-』
- 漫画版・映画版にて、プルトニウム輸送船がテロリストに乗っ取られたことを受け、SSTが出動。SATやNPSと共同作戦を行う。
- 『海猿』
- 貨物船乗っ取り事案でSSTに出動要請が下る。
- 『救命病棟24時』
- テレビドラマ。2002年のスペシャル番組にSSTが登場。
脚注
注釈
出典
- ^ 別冊宝島 世界の特殊部隊 ~極秘任務を遂行する最強のエリート集団~ P.8
- ^ 拡散に対する安全保障構想(PSI)豪州沖海上阻止訓練について[リンク切れ]
- ^ a b 海上保安庁. “Ⅲ 海上紛争等の警備と警衛・警護(平成9年版海上保安白書)” 2015年11月14日閲覧。
- ^ 世界の艦船 編集部 編『海上保安庁100のトリビア』海人社、2013年2月、30頁。JANコード 491005640331。
- ^ a b c 第五管区海上保安本部. “第五管区海上保安本部沿革”. 海上保安庁第五管区海上保安本部. 2015年11月28日閲覧。
- ^ 小峯 & 坂本, pp. 45–74.
- ^ 小峯 & 坂本, pp. 112–130.
- ^ a b c 世界の艦船 編集部 編『海上保安庁のすべて』海人社、2009年11月、66頁。JANコード 4910056041192。
- ^ a b 小川和久『危機管理の死角:狙われる企業、安全な企業』東洋経済新報社、2015年7月、57頁。ISBN 978-4-492-53366-6。
- ^ 『オールアバウト海上保安庁』塩谷茂代、尾崎清子、イカロス出版、2018年7月、20頁、ISBN 978-4-8022-0534-4。
- ^ 海上保安庁と海上自衛隊の新たな特殊任務,柿谷哲也,「図説」世界の特殊作戦,学習研究社,2007年,P134-139,ISBN 978-4-05-604649-6
- ^ 海上保安庁 (2004-09-06) (PDF), テロ対処・不審船対処能力の現状及び問題点について, 首相官邸 2015年11月14日閲覧。
- ^ 国際情報誌SAPIO(2008年3月12日号)に掲載された記事『捕鯨船10隻を沈めた「環境テロリスト」シー・シェパードの過激な「海賊行為」』に記載。
- ^ 「時事通信2010年5月29日付の記事[リンク切れ]」
- ^ 中国サンゴ密漁船に海上保安庁特殊部隊SSTが出動していた![リンク切れ] 週刊文春 2014年11月12日
- ^ a b 『海上保安庁特殊部隊SST』著者:小峯隆生、協力:坂本新一、並木書房2005年、ISBN 4-89063-193-3
参考文献
- 柿谷, 哲也、菊池, 雅之『最新 日本の対テロ特殊部隊』三修社、2008年。ISBN 978-4384042252。
- ストライクアンドタクティカルマガジン 編『日本の特殊部隊』2017年3月。 NCID BB01834038。
- 小峯, 隆生、坂本, 新一『海上保安庁特殊部隊SST』並木書房、2005年。ISBN 978-4890631933。
関連項目
- 羽田特殊救難基地
- 特別警備隊 (海上保安庁)
- 特別警備隊 (海上自衛隊) - 特別警備隊(SBU、海上自衛隊の特殊部隊)
- 特殊急襲部隊 - 特殊部隊(SAT)
- 海上阻止行動
- しきしま型巡視船(海上保安庁の世界最大級の巡視船 事案の状況次第ではSSTの母船になる)
- 英国原子力公社警察隊
- 坂本新一 - 元特殊警備隊隊長の危機管理アドバイザー。
- 日本の救助隊
外部リンク
- 海上保安庁
- SSTの訓練(海上保安庁が公式に発表したもの)-Youtubeより