「ブドウホオズキ」の版間の差分
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|種 = '''ブドウホオズキ''' {{Snamei|P. peruviana}} |
|種 = '''ブドウホオズキ''' {{Snamei|P. peruviana}} |
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|学名 = {{Snamei|Physalis peruviana}} {{AU|L.}} |
|学名 = {{Snamei|Physalis peruviana}} {{AU|L.}} |
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|シノニム = {{Snamei|Physalis edulis}} {{AU|Sims}}<ref name="zas">竹松・一前 (1987) |
|シノニム = {{Snamei|Physalis edulis}} {{AU|Sims}}<ref name="zas">{{harvnb|竹松・一前 (1987)|p=474|ref= "世界の雑草I"}}</ref> |
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|和名 = ブドウホオズキ |
|和名 = ブドウホオズキ |
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|英名= [[wikt:en:cape gooseberry|cape gooseberry]] |
|英名= [[wikt:en:cape gooseberry|cape gooseberry]] |
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== 特徴 == |
== 特徴 == |
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本種は[[熱帯]]地域においては[[多年草]]だが、温帯地方では[[一年草]]となる<ref name="morton">{{harvnb|Morton (1987)|pp=430-434| ref="Morton1987"}}</ref>。 |
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以下では、部位ごとに分けて解説を行うこととする。 |
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[[茎]]は高さ1メートルの地上茎と長い[[根茎]](あるいは[[地下茎]])からなり、このうち地上茎の方には微細な毛が密生する<ref name="gen">長田 (1976) |
[[茎]]は高さ1メートルの地上茎と長い[[根茎]](あるいは[[地下茎]])からなり、このうち地上茎の方には微細な毛が密生する<ref name="gen">{{harvnb|長田 (1976)|p=127|ref= "長田1976"}}</ref><ref name="zas" />。また地上茎は分枝が少なく基部の木質化が見られ<ref name="zas" />、角ばっていて若い枝には稜が見られる<ref name="no">{{harvnb|清水 編 (2003)|p=179|ref= "日本の帰化植物"}}</ref>。地上茎は地中を横に走る根茎から直立して生える形となっている<ref name="shashin">{{Harvnb|清水, 他 (2011)|p=474|ref= "日本帰化植物写真図鑑"}}(2011).</ref>。 |
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[[葉]]は[[互生葉序|互生]]し卵形で先がとがっており<ref name="no" /><ref name="zas" />、[[全縁]] |
[[葉]]は[[互生葉序|互生]]し卵形で先がとがっており<ref name="no" /><ref name="zas" />、[[全縁]]か、少数の[[鋸歯]]が見られ<ref name="gen" /><ref name="no" /><ref name="zas" />、基部はハート形<ref name="gen" /><ref name="no" />もしくは円形である<ref name="gen" /><ref name="zas" />。葉の長さは6-15センチメートル<ref name="zas" />や4-8センチメートル<ref name="no" />と報告されており、[[葉柄]]の長さは長さ2-5センチメートルである<ref name="zas" />。 |
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[[花]]は3月から11月にかけて<ref name="no" />長さ15ミリメートルほどのものが<ref name="gen" />[[葉腋]] |
[[花]]は3月から11月にかけて<ref name="no" />長さ15ミリメートルほどのものが<ref name="gen" />[[葉腋]]に1つずつつく<ref name="shashin" />。[[花冠]]は上面から見ると径2センチメートルの黄白色の[[五角形]]であり、内面に5個の黒紫斑が見られ<ref name="gen" /><ref name="zas" />、長さは約1センチメートルで径約2センチメートルである<ref name="no" />。[[雌蕊]](めしべ)は1つであるのに対し[[雄蕊]](おしべ)は5つ存在し、[[葯]]は長さ3-4ミリメートルである<ref name="gen" />。[[萼]]は広鐘形<ref name="no" />あるいは短い筒状で先が浅く5つに裂け<ref name="zas" />、長さは3-4センチメートルで熟すと黄褐色となる<ref name="no" />。花が咲いたあとに肥大して袋状となった萼が果実を包みこむ様子は[[ホオズキ]]に酷似しているものの、ブドウホオズキの方は細毛を密に生やすという点で異なっている<ref name="gen" /><ref name="zas" />。 |
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[[果実]]は径1.5-2センチメートルの[[液果]]で種子を多く含み<ref name="gen" /><ref name="no" /><ref name="zas" />、球形であり<ref name="no" /><ref name="zas" />、熟すと黄色<ref name="gen" />あるいは黄赤色となる<ref name="no" />。 |
[[果実]]は径1.5-2センチメートルの[[液果]]で種子を多く含み<ref name="gen" /><ref name="no" /><ref name="zas" />、球形であり<ref name="no" /><ref name="zas" />、熟すと黄色<ref name="gen" />あるいは黄赤色となる<ref name="no" />。[[種子]]は扁平な広楕円形で<ref name="zas" />、長さ1.5ミリメートルである<ref name="gen" /><ref name="zas" />。 |
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== 生態と栽培 == |
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[[種子]]は扁平な広楕円形で<ref name="zas" />、長さ1.5ミリメートルである<ref name="gen" /><ref name="zas" />。 |
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野生のブドウホオズキは、[[森林]]、[[林縁]]、[[水辺]]、[[耕作放棄地]]などに自生している<ref name="CABI">{{harvnb|CABI|ref="CABI"}}</ref>。南アメリカでは、標高 500-3000 m 程度の山地に分布するが、広範に亜熱帯や暖温帯の存在する太平洋諸島や[[オセアニア]]では海面レベルの標高でも生育する<ref name="CABI"/>。 |
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果実は生のままの状態で食べることができる<ref name="shashin" />。 |
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[[緯度]]では45°から60°の地域まで分布し、標高は一般的に海面レベルから3000 m 程度までである<ref name=CABI/>。ブドウホオズキは年平均気温13-18°C で繁殖し、30°C 程度の高温にも耐性がある<ref name="CABI"/>。[[地中海性気候]]でよく繁殖し、[[ハーディネスゾーン]]8に耐える。すなわち[[霜害]]によるダメージは受けるが、ー10°C程度の外気に短時間晒された程度なら回復できるということである<ref name="CABI"/>。 |
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本種は、成長期を通じて最低800 mmの降水量を必要とする。土壌の水はけが良ければ年間降水量4300 mm までは、成長や収量は降水量とともに増加する<ref name="CABI"/>。本種は日なたまたは半日陰で良く生育し、水はけの良い土壌においては、十分な[[日照量]]または半日陰を好む。そして多様な砂質ローム土壌で生育する<ref name="morton"/>。 |
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特定の気候、特にハワイやその他の[[太平洋諸島]]においては、この植物は薮を形成し、[[侵略的外来種]]となる<ref name="CABI"/>。 |
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本種は種子からは急速に成長する。しかし[[発芽率]]は低く、1ヘクタールに播種するために数千個の種子が必要とされる<ref name=morton/>。本種の一年枝を[[発根促進剤]]で処理して[[挿し木]]をすることにより、より簡易に増殖できるが、種子から成長したのものに比べると成長率は低い<ref name="morton"/>。 |
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== 分布 == |
== 分布 == |
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原産地は[[南アメリカ]] |
本種の原産地は[[南アメリカ]]<ref name="gen" /><ref name="no" /><ref name="zas" />、[[チリ]]、[[ペルー]]などの熱帯高地であり<ref name="morton"/>、種小名 ''peruviana'' も〈[[ペルー]]の〉という意味である<ref name="zas" />。また、栽培種として、[[中国]]、[[インド]]、[[マレーシア]]、[[フィリピン]]など広く[[熱帯]]、[[亜熱帯]]、[[温帯]]地域に広く導入され、また各地で野生化している。[[トマト]]が収穫できる地域ならどこでも栽培可能と言われる<ref name="morton"/>。 |
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[[イギリス]]では1774年に本種に関する最初の記録が見られる。それ以前から導入されていたかどうかは明らかでない。その後、1807年以前には[[喜望峰]](Cape of Good Hope)の初期入植者たちによって栽培されている<ref name="morton"/>。19世紀半ばから知られる一般名「ケープグーズベリー」(Cape gooseberry)<ref name="Mueller1884">{{harvnb|Mueller (1884)|p=262|ref=MUeller1884"}}</ref>はこの事実に由来する<ref name="Wells1842">{{harvnb|Wells (1842)|p=146|ref="Wells1842"}}</ref> 。本種が南アフリカに導入されてから程なく[[オーストラリア]]、[[ニュージーランド]]、その他多くの[[太平洋諸島]]にも導入された<ref name="morton" />。[[シドニー]]では1802年に最初の記録がある<ref name="Flora_of_SA">{{harvnb|Flora of South Australia (2012)|ref="Flora_of_SA"}}</ref>。ハワイでは1825年以前に導入された<ref name="morton" />。[[ジャマイカ]]では1913年以前に導入され、[[イスラエル]]に植えられたのは1933年である<ref name="morton" />。 |
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南アフリカでは缶詰やジャムの原料として商業栽培され、しばしば輸出された。また[[ガボン]]や[[中央アフリカ]]の他の地域でも小規模な栽培および野生化が見られた<ref name="morton" /> 。 |
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中国では「燈籠果」と呼ばれ、[[広東]]、[[雲南省|雲南]]で栽培し、また海抜1200-2100メートル程度の路傍や河川付近に野生化する<ref name=ref="中国植物志67_1p59">{{harvnb|『中国植物志 第六十七巻第一分冊』|p=59|ref="中国植物志67_1p59"}}</ref>。ネパールでは標高600メートル程度の開けた場所に分布する。[[アフガニスタン]]、[[パキスタン]]、インド北部にも分布する<ref name="PandP_Nepal">{{harvnb|Manandhar (2002)|p=361|ref="Plants_People_Nepal"}}</ref>。 |
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[[日本]]には[[明治時代|明治]]初期に渡来した<ref name="gen" /><ref group="注">長田 (1976) はこの情報について、最新園芸大辞典編集委員会 (1968-) を出典としている。</ref><ref name="no" /><ref name="zas" />が、これは食用として栽培することを目的とした移入であり<ref name="no" /><ref name="zas" />、人為的なものであった。現代においては[[関東地方|関東]]南部以西の温暖な場所<ref name="no" />、より具体的には関東や[[中部地方|中部]]<ref name="gen" /><ref group="注">長田 (1976) はこの情報について、杉本 (1965) を出典としている。</ref>、[[小笠原諸島]]<ref name="no" /><ref name="zas" />、[[南西諸島]]<ref name="zas" />にかけて見られる。 |
[[日本]]には[[明治時代|明治]]初期に渡来した<ref name="gen" /><ref group="注">長田 (1976) はこの情報について、最新園芸大辞典編集委員会 (1968-) を出典としている。</ref><ref name="no" /><ref name="zas" />が、これは食用として栽培することを目的とした移入であり<ref name="no" /><ref name="zas" />、人為的なものであった。現代においては[[関東地方|関東]]南部以西の温暖な場所<ref name="no" />、より具体的には関東や[[中部地方|中部]]<ref name="gen" /><ref group="注">長田 (1976) はこの情報について、杉本 (1965) を出典としている。</ref>、[[小笠原諸島]]<ref name="no" /><ref name="zas" />、[[南西諸島]]<ref name="zas" />にかけて見られる。 |
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果実は生のままの状態で食べることができ<ref name="shashin" />、原産地でも食用とされ、時に市場にも流通している<ref name="morton" /> 。ネパールでは食用、強壮剤、利尿剤として利用する<ref name="PandP_Nepal"/>。日本では、「インカベリー」「ゴールデンベリー」などの商品名で、主に[[ドライフルーツ]]として流通している<ref name="ローラン20161019">{{harvnb| ローラン編集部 (2016) |ref="ローラン20161019"}}</ref>。 |
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== 栄養価と基礎研究 == |
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{{栄養価 | name= ブドウホウズキ、生 |
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| kJ=222 |
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| protein=1.9 g |
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| fat=0.7 g |
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| carbs=11.2 g |
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| calcium_mg=9 |
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| iron_mg=1 |
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| phosphorus_mg=40 |
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| vitC_mg=11 |
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| thiamin_mg=0.11 |
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| riboflavin_mg=0.04 |
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| niacin_mg=2.8 |
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| vitA_ug=36 |
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| source_usda = 1 |
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| note=[https://ndb.nal.usda.gov/ndb/foods/show/2245 Link to USDA Database entry] |
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}} |
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[[USDA]]による栄養分析によれば、ブドウホウズキ100 g には低量の[[カロリー]]とわずかな[[ビタミンC]]、[[ビタミンB1|ビタミンB<sub>1</sub>]]、 [[ビタミンB3|ビタミンB<sub>3</sub>]]が含まれる。他の栄養素は無視できるほどしかない(右の表参照)<ref name="Nutritiondata">{{harvnb|Nutritiondata.com|ref="Nutritiondata"}}</ref>。 |
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ブドウホオズキの種子や果実から抽出したオイルを解析した結果、主な[[脂肪酸]]は[[リノール酸]]と[[オレイン酸]]であり、基本的な[[植物ステロール]]としては[[β-シトステロール]]および[[カンペステロール]]を含み、またオイルは[[ビタミンK]]と[[β-カロチン]]を含むことがわかった<ref name="Ramadan_and_Morsel2003">{{harvnb|Ramadan and Mörsel (2003)|ref="Ramadan_and_Morsel2003"}}</ref>。 |
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ブドウホオズキに関する基礎研究には、[[ポリフェノール]]と[[カロチノイド]]に関する研究も含まれる<ref name="Wu_etal2006">{{harvnb| Wu et al. (2006)|ref="Wu_etal2006"}}</ref>。本種果実の[[フェノール類]]含量や[[アスコルビン酸]]の量は、[[栽培品種|品種]]や果実の成熟度、および収穫時期に強く依存する<ref name="Bravo_etal2015">{{harvnb| Bravo et al. (2015)|ref="Bravo_etal2015"}}</ref>。 |
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== 病害虫 == |
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南アフリカにおいては、圃場においてブドウホウズキを食害する多くの昆虫のうち、[[ヨトウムシ]]が最も重要な害虫である。[[ハダニ]]は植物が生育した後に、また、ブドウホウズキがジャガイモ畑に近接していれば{{仮リンク|ジャガイモキバガ|en|potato tuber moth}}にも食害される。[[ノウサギ]]は若い植物を、また果実が保護されていなければ鳥による食害もある。インドでは[[ダニ]]類が落葉させる。[[ジャマイカ]]では、おそらく[[:en:Flea beetle]]({{仮リンク|ヒゲナガハムシ亜科|en|Galerucinae}})によって葉がいきなり穴だらけになる。[[バハマ]]では、若苗期に[[コナジラミ]]にたかられ、開花期にはFlea beetleの抑制が必要になる<ref name="morton" />。 |
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本種にとって、南アフリカにおける最も重大な病害は[[うどんこ病]]と[[カイガラムシ]]である。この植物は水はけの悪い土壌で栽培したり、2年以上連作すると、[[根腐れ病]]や[[ウイルス病]]に侵されがちである。そのため生産者は[[隔年栽培]]を行う。[[キサントモナス属]]による斑紋病は[[クイーンズランド]]で発生する。[[タバコモザイクウイルス]]はインドで影響を与えている<ref name="morton" />。[[ニュージーランド]]においては、''[[Candidatus]] liberibacter'' subsp. ''solanacearum''による感染がありえる<ref name="Liefting_etal2008">{{harvnb|Liefting et al. (2008)|ref="Liefting_etal2008"}} </ref>。 |
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== ギャラリー == |
== ギャラリー == |
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
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日本語: |
|日本語:| |
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* 長田武正 (1976).『原色日本帰化植物図鑑』保育社、127頁。{{ISBN|4-586-30053-1}} |
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*{{Cite book |和書 | author = [[長田武正]] | year = 1976 | date = | title = 原色日本帰化植物図鑑 | publisher = 保育社 | edition=1989年6月1日 初版第8刷| place = | id = | isbn = 4-586-30053-1 | url = | accessdate= |ref= "長田1976" }} |
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* [[清水建美]] 編 (2003).『日本の帰化植物』{{Lang|zh|平}}凡社、179頁。{{ISBN|4-582-53508-9}} |
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* {{cite book|和書|year=2003|author=|editor=[[清水建美]]|title=日本の帰化植物| publisher={{Lang|zh|平}}凡社|isbn=4-582-53508-9 |ref= "日本の帰化植物"}} |
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* 清水矩宏、森田弘彦、廣田伸七 編 (2011).『日本帰化植物写真図鑑』全国農村教育協会、281頁。{{ISBN|978-4-88137-085-8}} |
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* {{Cite book |和書 | editor = 清水矩宏、森田弘彦、廣田伸七 | year = 2011| date = | title = 日本帰化植物写真図鑑 | publisher = 全国農村教育協会 |edition= | place = | id = | isbn =978-4-88137-085-8 | url = | accessdate= |ref= "日本帰化植物写真図鑑"}} |
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* 竹松哲夫、一前宣正 (1987).『世界の雑草 I 合弁花類』全国農村教育協会、474頁。{{ISBN|4-88137-031-6}} |
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* {{Cite book |和書 | editor = [[竹松哲夫]]、一前宣正 | year = 1987| date = | title = 世界の雑草 I 合弁花類 | publisher = 全国農村教育協会 |edition= | place = | id = | isbn =4-88137-031-6 | url = | accessdate= |ref= "世界の雑草I"}} |
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* {{Cite web|和書| author=ローラン編集部 |date=2016-10-19 | url=https://lourand.com/magazine/superfood-goldenberry/|title= ホオズキがゴールデンベリー(インカベリー)ってスーパーフードだって知ってた?! | accessdate= 2018-04-24| work=Lourand Magazine |publisher= LOURAND |ref="ローラン20161019"}} |
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* Hoorweg, Jan and Rudo Niemeijer (1980). "[https://hdl.handle.net/1887/8947 Preliminary studies on some aspects of Kikuyu food habits]." In ''Ecology of food and nutrition'', 9, pp. 139–150. |
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|中国語:| |
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* {{cite encyclopedia |df=ja |author= | year= 1991| title= Physalis peruviana L| url= http://frps.eflora.cn/frps/Physalis%20peruviana |format=|accessdate=| encyclopedia=中国植物志 |editor=中国科学院中国植物志編輯委員会 | page=59 | series= | volume = 67-1 | publisher=科学出版社 |isbn=|ref="中国植物志67_1p59"}} |
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* {{cite journal | author= L. W. Liefting, L. I. Ward, J. B. Shiller, G. R. G. Clover |year=2008 |title=A New ‘Candidatus Liberibacter’ Species in Solanum betaceum (Tamarillo) and Physalis peruviana (Cape Gooseberry) in New Zealand |journal=Plant Disease |volume=92 |issue=11 |pages=1588 |id= |url=http://apsjournals.apsnet.org/doi/abs/10.1094/PDIS-92-11-1588B |doi=10.1094/PDIS-92-11-1588B |accessdate=2009-01-01 |ref="Liefting_etal2008"}} |
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* {{cite journal|authors=Bravo K, Sepulveda-Ortega S, Lara-Guzman O, Navas-Arboleda AA, Osorio E |title=Influence of cultivar and ripening time on bioactive compounds and antioxidant properties in Cape gooseberry (''Physalis peruviana'' L.)|journal=J Sci Food Agric|year=2015|volume=95|issue=7|pages=1562–1569|doi=10.1002/jsfa.6866|pmid=25131258|ref="Bravo_etal2015"}} |
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*{{cite journal | author = S.J.Wu, J.Y.Tsai, S.P.Chang, D.L.Lin, S.S.Wang, S.N.Huang, L.T.Ng |year=2006 |title=Supercritical carbon dioxide extract exhibits enhanced antioxidant and anti-inflammatory activities of Physalis peruviana |journal=J Ethnopharmacol |volume=108 |issue=3 |pages=407–13 |id= |quote= |doi=10.1016/j.jep.2006.05.027 |pmid=16820275|ref="Wu_etal2006" }} |
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* {{cite journal|journal=J Agric Food Chem|year=2003|volume=51|issue=4|pages=969–74|title=Oil goldenberry (''Physalis peruviana'' L.)|authors=Mohamed F. Ramadan, Jörg-T. Mörsel|pmid=12568557|doi=10.1021/jf020778z|ref="Ramadan_and_Morsel2003"}} |
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* {{cite web|url=http://nutritiondata.self.com/facts/fruits-and-fruit-juices/1926/2|title=Groundcherries, (cape-gooseberries or poha), raw, 100 g, USDA Nutrient Database, version SR-21|publisher=Conde Nast|work=Nutritiondata.com|date=2014|accessdate= 2014-03-07 |ref="Nutritiondata"}} |
|||
* {{Cite book|author= Narayan P. Manandhar| editor = | title = Plants and People of Nepal |edition=| year = 2002 | publisher = Timber Press | volume = | isbn =0-88192-527-6 | id = | page = |ref="Plants_People_Nepal" }} |
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* {{cite book| author=Julia F. Morton | year =1987 | contribution=Cape gooseberry, ''Physalis peruviana'' |pages=430-434| contribution-url= https://www.hort.purdue.edu/newcrop/morton/cape_gooseberry.html| accessdate=2017-12-30| title= Fruits of Warm Climates | url= https://www.hort.purdue.edu/newcrop/morton/index.html | publisher= Julia F. Morton| isbn= 0-9610184-1-0 |ref="Morton1987"}} |
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* {{Cite web|url=http://cc2.savs.hcc.edu.tw/~chuavv/Philippines/PhilippineFruits/index.html|title=Philippine Fruits|author= Fr. Visminlu Vicente L. Chua, S.J.|date=2015-09-01|accessdate=2017-12-29 |ref="Chua2015"}} |
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*{{cite book|author=von Mueller, Ferdinand.|title=Select Extra-Tropical Plants Readily Eligible For Industrial Culture Or Naturalization, With Indications Of Their Native Countries And Some Of Their Uses.|location=Detroit, Michigan|publisher= George, S. Davis|year=1884|edition=American edition|url= https://archive.org/download/selectextratrop04muelgoog/selectextratrop04muelgoog.pdf |format=PDF |accessdate=2017-12-29|ref="Mueller1884"}} |
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* {{cite book|author=Loudon, Jane Wells|year=1842| title=Botany for Ladies, Or, a Popular Introduction to the Natural System of Plants.|publisher=J. Murray | url=https://archive.org/download/botanyforladieso00loud/botanyforladieso00loud.pdf |format=PDF |accessdate= | ref="Wells1842"}} |
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*{{cite journal| author= Hoorweg, Jan and Rudo Niemeijer| year=1980 | title= Preliminary studies on some aspects of Kikuyu food habits |journal=Ecology of Food and Nutrition| volume=9 |pages=139-150|url=https://openaccess.leidenuniv.nl/bitstream/handle/1887/8947/ASC_1253933_060.pdf?sequence=1 |format=PDF|accessdate= |ref="Hoorweg_and_Niemeyer1980"}} |
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*{{cite web|author= |date=201-05-14|title=Physalis peruviana.|work=Electronic Flora of South Australia|publisher=Govermment of South Australia|url=http://www.flora.sa.gov.au/efsa/lucid/Solanaceae/Solanaceae%20species/key/Australian%20Solanaceae%20species/Media/Html/Physalis_peruviana.htm|accessdate=2018-04-24|ref="Flora_of_SA"}} |
|||
*{{cite web|author=Chris Parker|date=2012-09-20|title=''Physalis peruviana'' (Cape gooseberry)|url=https://www.cabi.org/isc/datasheet/40713|publisher=Invasive Species Compendium, CABI|accessdate=2018-01-01|ref="CABI"}} |
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== 関連文献 == |
== 関連文献 == |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
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* [[トマティーヨ]](標準和名は「オオブドウホオズキ」) |
* [[トマティーヨ]](標準和名は「オオブドウホオズキ」) |
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* [[トマト]] |
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* [[タマリロ]] |
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* [[クコ]] |
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* [[ナス]] |
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* [[唐辛子]] |
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* [[パプリカ]] |
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* [[ほおずき]] |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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[https://love-evergreen.com/zukan/plant/12890 ブドウホオズキ - 植物図鑑 - エバーグリーン] |
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{{Commonscat|Physalis peruviana|ブドウホオズキ}} |
{{Commonscat|Physalis peruviana|ブドウホオズキ}} |
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{{Wikispecies|Physalis peruviana|ブドウホオズキ}} |
{{Wikispecies|Physalis peruviana|ブドウホオズキ}} |
2024年1月9日 (火) 02:48時点における最新版
ブドウホオズキ | |||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Physalis peruviana
| |||||||||||||||||||||||||||
分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Physalis peruviana L. | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ブドウホオズキ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
cape gooseberry |
ブドウホオズキあるいはシマホオズキ、ケホオズキ(学名: Physalis peruviana)とは、ナス科ホオズキ属の多年草の一つである。ホオズキに似ているが、ブドウホウズキの方には実を包む萼が細かい毛に覆われるという特徴が見られる(参照: #特徴)。食用となる実をつけ(参照: #利用)、日本では小笠原諸島などに帰化している(参照: #分布)。
特徴
[編集]本種は熱帯地域においては多年草だが、温帯地方では一年草となる[2]。
茎は高さ1メートルの地上茎と長い根茎(あるいは地下茎)からなり、このうち地上茎の方には微細な毛が密生する[3][1]。また地上茎は分枝が少なく基部の木質化が見られ[1]、角ばっていて若い枝には稜が見られる[4]。地上茎は地中を横に走る根茎から直立して生える形となっている[5]。
葉は互生し卵形で先がとがっており[4][1]、全縁か、少数の鋸歯が見られ[3][4][1]、基部はハート形[3][4]もしくは円形である[3][1]。葉の長さは6-15センチメートル[1]や4-8センチメートル[4]と報告されており、葉柄の長さは長さ2-5センチメートルである[1]。
花は3月から11月にかけて[4]長さ15ミリメートルほどのものが[3]葉腋に1つずつつく[5]。花冠は上面から見ると径2センチメートルの黄白色の五角形であり、内面に5個の黒紫斑が見られ[3][1]、長さは約1センチメートルで径約2センチメートルである[4]。雌蕊(めしべ)は1つであるのに対し雄蕊(おしべ)は5つ存在し、葯は長さ3-4ミリメートルである[3]。萼は広鐘形[4]あるいは短い筒状で先が浅く5つに裂け[1]、長さは3-4センチメートルで熟すと黄褐色となる[4]。花が咲いたあとに肥大して袋状となった萼が果実を包みこむ様子はホオズキに酷似しているものの、ブドウホオズキの方は細毛を密に生やすという点で異なっている[3][1]。
果実は径1.5-2センチメートルの液果で種子を多く含み[3][4][1]、球形であり[4][1]、熟すと黄色[3]あるいは黄赤色となる[4]。種子は扁平な広楕円形で[1]、長さ1.5ミリメートルである[3][1]。
生態と栽培
[編集]野生のブドウホオズキは、森林、林縁、水辺、耕作放棄地などに自生している[6]。南アメリカでは、標高 500-3000 m 程度の山地に分布するが、広範に亜熱帯や暖温帯の存在する太平洋諸島やオセアニアでは海面レベルの標高でも生育する[6]。
緯度では45°から60°の地域まで分布し、標高は一般的に海面レベルから3000 m 程度までである[6]。ブドウホオズキは年平均気温13-18°C で繁殖し、30°C 程度の高温にも耐性がある[6]。地中海性気候でよく繁殖し、ハーディネスゾーン8に耐える。すなわち霜害によるダメージは受けるが、ー10°C程度の外気に短時間晒された程度なら回復できるということである[6]。
本種は、成長期を通じて最低800 mmの降水量を必要とする。土壌の水はけが良ければ年間降水量4300 mm までは、成長や収量は降水量とともに増加する[6]。本種は日なたまたは半日陰で良く生育し、水はけの良い土壌においては、十分な日照量または半日陰を好む。そして多様な砂質ローム土壌で生育する[2]。
特定の気候、特にハワイやその他の太平洋諸島においては、この植物は薮を形成し、侵略的外来種となる[6]。
本種は種子からは急速に成長する。しかし発芽率は低く、1ヘクタールに播種するために数千個の種子が必要とされる[2]。本種の一年枝を発根促進剤で処理して挿し木をすることにより、より簡易に増殖できるが、種子から成長したのものに比べると成長率は低い[2]。
分布
[編集]本種の原産地は南アメリカ[3][4][1]、チリ、ペルーなどの熱帯高地であり[2]、種小名 peruviana も〈ペルーの〉という意味である[1]。また、栽培種として、中国、インド、マレーシア、フィリピンなど広く熱帯、亜熱帯、温帯地域に広く導入され、また各地で野生化している。トマトが収穫できる地域ならどこでも栽培可能と言われる[2]。
イギリスでは1774年に本種に関する最初の記録が見られる。それ以前から導入されていたかどうかは明らかでない。その後、1807年以前には喜望峰(Cape of Good Hope)の初期入植者たちによって栽培されている[2]。19世紀半ばから知られる一般名「ケープグーズベリー」(Cape gooseberry)[7]はこの事実に由来する[8] 。本種が南アフリカに導入されてから程なくオーストラリア、ニュージーランド、その他多くの太平洋諸島にも導入された[2]。シドニーでは1802年に最初の記録がある[9]。ハワイでは1825年以前に導入された[2]。ジャマイカでは1913年以前に導入され、イスラエルに植えられたのは1933年である[2]。
南アフリカでは缶詰やジャムの原料として商業栽培され、しばしば輸出された。またガボンや中央アフリカの他の地域でも小規模な栽培および野生化が見られた[2] 。
中国では「燈籠果」と呼ばれ、広東、雲南で栽培し、また海抜1200-2100メートル程度の路傍や河川付近に野生化する[10]。ネパールでは標高600メートル程度の開けた場所に分布する。アフガニスタン、パキスタン、インド北部にも分布する[11]。
日本には明治初期に渡来した[3][注 1][4][1]が、これは食用として栽培することを目的とした移入であり[4][1]、人為的なものであった。現代においては関東南部以西の温暖な場所[4]、より具体的には関東や中部[3][注 2]、小笠原諸島[4][1]、南西諸島[1]にかけて見られる。
利用
[編集]果実は生のままの状態で食べることができ[5]、原産地でも食用とされ、時に市場にも流通している[2] 。ネパールでは食用、強壮剤、利尿剤として利用する[11]。日本では、「インカベリー」「ゴールデンベリー」などの商品名で、主にドライフルーツとして流通している[12]。
ケニアのキクユ人の食習慣についての予備調査(Hoorweg & Niemeijer 1980, pp. 142–143)においては、ブドウホオズキ(キクユ語名は nathi)はアボカド、バラ科キイチゴ属のベリー類、レモン、オレンジ、パパイヤ、パイナップル、プラム、タンジェリンなどと共に果物として扱われている。
栄養価と基礎研究
[編集]100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 222 kJ (53 kcal) |
11.2 g | |
0.7 g | |
1.9 g | |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(5%) 36 µg |
チアミン (B1) |
(10%) 0.11 mg |
リボフラビン (B2) |
(3%) 0.04 mg |
ナイアシン (B3) |
(19%) 2.8 mg |
ビタミンC |
(13%) 11 mg |
ミネラル | |
カルシウム |
(1%) 9 mg |
リン |
(6%) 40 mg |
鉄分 |
(8%) 1 mg |
| |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 出典: USDA栄養データベース |
USDAによる栄養分析によれば、ブドウホウズキ100 g には低量のカロリーとわずかなビタミンC、ビタミンB1、 ビタミンB3が含まれる。他の栄養素は無視できるほどしかない(右の表参照)[13]。
ブドウホオズキの種子や果実から抽出したオイルを解析した結果、主な脂肪酸はリノール酸とオレイン酸であり、基本的な植物ステロールとしてはβ-シトステロールおよびカンペステロールを含み、またオイルはビタミンKとβ-カロチンを含むことがわかった[14]。
ブドウホオズキに関する基礎研究には、ポリフェノールとカロチノイドに関する研究も含まれる[15]。本種果実のフェノール類含量やアスコルビン酸の量は、品種や果実の成熟度、および収穫時期に強く依存する[16]。
病害虫
[編集]南アフリカにおいては、圃場においてブドウホウズキを食害する多くの昆虫のうち、ヨトウムシが最も重要な害虫である。ハダニは植物が生育した後に、また、ブドウホウズキがジャガイモ畑に近接していればジャガイモキバガにも食害される。ノウサギは若い植物を、また果実が保護されていなければ鳥による食害もある。インドではダニ類が落葉させる。ジャマイカでは、おそらくen:Flea beetle(ヒゲナガハムシ亜科)によって葉がいきなり穴だらけになる。バハマでは、若苗期にコナジラミにたかられ、開花期にはFlea beetleの抑制が必要になる[2]。
本種にとって、南アフリカにおける最も重大な病害はうどんこ病とカイガラムシである。この植物は水はけの悪い土壌で栽培したり、2年以上連作すると、根腐れ病やウイルス病に侵されがちである。そのため生産者は隔年栽培を行う。キサントモナス属による斑紋病はクイーンズランドで発生する。タバコモザイクウイルスはインドで影響を与えている[2]。ニュージーランドにおいては、Candidatus liberibacter subsp. solanacearumによる感染がありえる[17]。
ギャラリー
[編集]-
葉
-
花(上面)
-
萼
-
鈴なりになった萼
-
熟した萼と実
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 竹松・一前 (1987), p. 474
- ^ a b c d e f g h i j k l m n Morton (1987), pp. 430–434
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 長田 (1976), p. 127
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 清水 編 (2003), p. 179
- ^ a b c 清水, 他 (2011), p. 474(2011).
- ^ a b c d e f g CABI
- ^ Mueller (1884), p. 262
- ^ Wells (1842), p. 146
- ^ Flora of South Australia (2012)
- ^ 『中国植物志 第六十七巻第一分冊』, p. 59
- ^ a b Manandhar (2002), p. 361
- ^ ローラン編集部 (2016)
- ^ Nutritiondata.com
- ^ Ramadan and Mörsel (2003)
- ^ Wu et al. (2006)
- ^ Bravo et al. (2015)
- ^ Liefting et al. (2008)
参考文献
[編集]- 日本語:
-
- 長田武正『原色日本帰化植物図鑑』(1989年6月1日 初版第8刷)保育社、1976年。ISBN 4-586-30053-1。
- 清水建美 編『日本の帰化植物』平凡社、2003年。ISBN 4-582-53508-9。
- 清水矩宏、森田弘彦、廣田伸七 編『日本帰化植物写真図鑑』全国農村教育協会、2011年。ISBN 978-4-88137-085-8。
- 竹松哲夫、一前宣正 編『世界の雑草 I 合弁花類』全国農村教育協会、1987年。ISBN 4-88137-031-6。
- ローラン編集部 (2016年10月19日). “ホオズキがゴールデンベリー(インカベリー)ってスーパーフードだって知ってた?!”. Lourand Magazine. LOURAND. 2018年4月24日閲覧。
- 中国語:
-
- 中国科学院中国植物志編輯委員会, ed. (1991年). "Physalis peruviana L". 中国植物志. Vol. 67–1. 科学出版社. p. 59.
- 英語:
-
- L. W. Liefting, L. I. Ward, J. B. Shiller, G. R. G. Clover (2008). “A New ‘Candidatus Liberibacter’ Species in Solanum betaceum (Tamarillo) and Physalis peruviana (Cape Gooseberry) in New Zealand”. Plant Disease 92 (11): 1588. doi:10.1094/PDIS-92-11-1588B 2009年1月1日閲覧。.
- Bravo K, Sepulveda-Ortega S, Lara-Guzman O, Navas-Arboleda AA, Osorio E (2015). “Influence of cultivar and ripening time on bioactive compounds and antioxidant properties in Cape gooseberry (Physalis peruviana L.)”. J Sci Food Agric 95 (7): 1562–1569. doi:10.1002/jsfa.6866. PMID 25131258.
- S.J.Wu, J.Y.Tsai, S.P.Chang, D.L.Lin, S.S.Wang, S.N.Huang, L.T.Ng (2006). “Supercritical carbon dioxide extract exhibits enhanced antioxidant and anti-inflammatory activities of Physalis peruviana”. J Ethnopharmacol 108 (3): 407–13. doi:10.1016/j.jep.2006.05.027. PMID 16820275.
- Mohamed F. Ramadan, Jörg-T. Mörsel (2003). “Oil goldenberry (Physalis peruviana L.)”. J Agric Food Chem 51 (4): 969–74. doi:10.1021/jf020778z. PMID 12568557.
- “Groundcherries, (cape-gooseberries or poha), raw, 100 g, USDA Nutrient Database, version SR-21”. Nutritiondata.com. Conde Nast (2014年). 2014年3月7日閲覧。
- Narayan P. Manandhar (2002). Plants and People of Nepal. Timber Press. ISBN 0-88192-527-6
- Julia F. Morton (1987). “Cape gooseberry, Physalis peruviana”. Fruits of Warm Climates. Julia F. Morton. pp. 430-434. ISBN 0-9610184-1-0 2017年12月30日閲覧。
- Fr. Visminlu Vicente L. Chua, S.J. (2015年9月1日). “Philippine Fruits”. 2017年12月29日閲覧。
- von Mueller, Ferdinand. (1884) (PDF). Select Extra-Tropical Plants Readily Eligible For Industrial Culture Or Naturalization, With Indications Of Their Native Countries And Some Of Their Uses. (American edition ed.). Detroit, Michigan: George, S. Davis 2017年12月29日閲覧。
- Loudon, Jane Wells (1842) (PDF). Botany for Ladies, Or, a Popular Introduction to the Natural System of Plants.. J. Murray
- Hoorweg, Jan and Rudo Niemeijer (1980). “Preliminary studies on some aspects of Kikuyu food habits” (PDF). Ecology of Food and Nutrition 9: 139-150 .
- “Physalis peruviana.”. Electronic Flora of South Australia. Govermment of South Australia (201-05-14). 2018年4月24日閲覧。
- Chris Parker (2012年9月20日). “Physalis peruviana (Cape gooseberry)”. Invasive Species Compendium, CABI. 2018年1月1日閲覧。
関連文献
[編集]- 最新園芸大辞典編集委員会 (1968-).『最新園芸大辞典 IV』誠文堂新光社、2133頁。
- 杉本順一 (1965).『日本草本植物総検索誌 双子葉編』六月社、470頁。(改訂増補: 1978、井上書店。)