コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「能郷白山」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
歴史の追加
 
(19人の利用者による、間の26版が非表示)
1行目: 1行目:
{{Infobox 山
{{Infobox 山
|名称=能郷白山
|名称 = 能郷白山
|画像=[[画像:Mt_Nougouhakusan.JPG|300px]]
|画像 = [[ファイル:Mt_Nougouhakusan.JPG|300px]]
|画像キャプション = [[根尾川|根尾谷]]上空から望む能郷白山<br><small>左奥(磯倉)・中央奥(能郷白山)・中央(前山)・手前(能郷谷)</small>
|画像キャプション = [[根尾川|根尾谷]]上空から望む能郷白山<br><small>左奥(磯倉)・中央奥(能郷白山)・中央(前山)・手前(能郷谷)</small>
|標高=1,617.<small>33</small><ref name="kijun">[http://sokuseikagis1.gsi.go.jp/ 基準点成果等閲覧サービス]、[[国土地理院]]、2011年2月8日閲覧。</ref>
|標高 = 1,617.<small>33</small><ref name="kijyun">{{Cite web|和書|url=https://sokuseikagis1.gsi.go.jp/top.html |title=基準点成果等閲覧サービス |publisher=[[国土地理院]] |accessdate=2012-12-06}}</ref>
|座標={{ウィキ座標2段度分秒|35|45|45|N|136|30|51|E}}<ref>[http://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MOUNTAIN/mountain.html 日本の主な山岳標高(岐阜県)]、国土地理院、2010年12月6日閲覧。</ref>
|座標 = {{ウィキ座標2段度分秒|35|45|45|N|136|30|51|E|display=inline,title}}<ref name="kokudo">{{Cite web|和書|url=https://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/kihonjohochousa41139.html |title=日本の主な山岳標高(岐阜県) |publisher=国土地理院 |accessdate=2012-12-06}}</ref>
|所在地=[[岐阜県]][[本巣市]]、[[揖斐郡]][[揖斐川町]]<br />[[福井県]][[大野市]]
|所在地 = {{JPN}}<br />[[岐阜県]][[本巣市]]、[[揖斐郡]][[揖斐川町]]<br />[[福井県]][[大野市]]
|山系=[[両白山地]]
|山系 = [[両白山地]](越美山地)
|種類 =
|種類 =
|初登頂=718泰澄上人)
|初登頂 =(718[[泰澄]]上人が開山
|地図={{Embedmap|136.513889|35.762222|300}}能郷白山の位置{{日本の位置情報|35|45|44|136|30|50|能郷白山|35.762222,136.513889|能郷白山}}
|地図 = {{Location map|Japan Mapplot|coordinates={{Coord|35.762222|136.513889}}|caption=|width=300}}能郷白山の位置{{日本の位置情報|35|45|44|136|30|50|能郷白山|35.762222,136.513889|能郷白山}}
}}
}}
[[File:Fragaria iinumae nogoichigo 2003-7-27.jpg|thumb|right|250px|[[ノウゴウイチゴ]]([[白山]]の大倉尾根)]]
[[File:Nougouhakusan from south 2009-5-11.jpg|thumb|right|250px|南側の前山付近から望む能郷白山]]


'''能郷白山'''(のうごうはくさん)は、[[岐阜県]]と[[福井県]]にまたがり、[[両白山地]]に属する[[標高]]の1,617[[メートル|m]]の[[山]]。[[太平洋]]と[[日本海]]の[[分水界|分水嶺]]となっている。山頂には[[一等三角点]]があり、[[クマザサ|熊笹]]が生い茂っている。山の上部には[[ニッコウキスゲ]]などの花が多い山である
'''能郷白山'''(のうごうはくさん)は、[[岐阜県]][[本巣市]]、[[揖斐郡]][[揖斐川町]]と[[福井県]][[大野市]]にまたがり、[[両白山地]]に属する[[高さ|標高]]の1,617 [[メートル|m]]の[[山]]である岐阜・福井両[[県境]]の[[最高峰]]{{sfn|柚本|2012|p=94}}


== 概要 ==
== 概要 ==
周辺は[[豪雪地帯]]であり、奥美濃の[[最高峰]]であるこの山は、[[濃尾平野]]から望む一番遅くまで雪を抱いた山である<ref name="nagoya">『改訂新版 名古屋周辺の山[[山と渓谷社]]、2010ISBN 978-4-635-18017-7、P258-259</ref>。[[深田久弥]]は日本百名山選定の際に[[荒島岳]]と能郷白山との二つから前者を選んだ<ref name="fukada">『日本百名山[[深田久弥]](著)、[[新聞社]]、1982年、ISBN 4-02-260871-4P326</ref>
周辺は[[豪雪地帯]]であり、奥美濃の最高峰である<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1207頁" />この山は、[[濃尾平野]]から望む一番遅くまで雪を抱いた山である<ref name="y1000">[[#日本の山1000|日本の山1000 (1992)、523頁]]</ref><ref name="名古屋周辺の山 (2010)、258-259頁">[[#名古屋周辺の|名古屋周辺の山 (2010)258-259頁]]</ref>。[[深田久弥]]は日本百名山選定の際に[[荒島岳]]と能郷白山との二つから前者を選んだ<ref name="日本百名山 (1982)、326頁">[[#日本百名山|日本百名山 (1982)、326頁]]</ref><ref name="fukui20211107">{{Cite news|url = https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1432374|title = 「幻の百名山」の能郷白山 1617mの眺望真っ青な空と眼下に広がる錦秋 福井県大野市・岐阜県境|newspaper = 福井新聞ONLINE|archiveurl = https://web.archive.org/web/20211107232309/https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1432374|date = 2021-11-07|archivedate = 2021-11-07|accessdate = 2023-03-23}}</ref>。後者のこの山は、深田クラブにより[[日本二百名山]]に選定されている<ref name="y200">[[#日本二百名山|日本二百名山 (1987)24頁]]</ref>。[[ぎふ百山]]のひとつに選定されている<ref>[[#ぎふ百山|ぎふ百山 (1987)]]{{要ページ番号|date=20233月}}</ref>。別名が白山、能郷山、権現山<ref name="新日本山岳誌 (2005)1207頁">[[#新日本山岳誌|新日本山岳誌 (2005)、1207頁]]</ref>

。後者のこの山は、深田クラブにより日本二百名山に選定されている<ref name="n200">『日本二百名山』 [[昭文社]]、1993年、ISBN 4-398-22001-1、P174</ref>。
== 環境 ==
[[ノウゴウイチゴ]]は、日本で最初にこの山で発見されたことによる<ref name="alpen">『アルペンガイド 白山と北陸の山』山と渓谷社、2000年、ISBN 4-635-01321-9、P209-211</ref>。周辺では、イワウチワ、[[カタクリ]]、[[キクザキイチゲ]]、[[コバイケイソウ]]、[[ザゼンソウ]]、シモツケソウ、ニッコウキスゲなどの多くの花々が見られる<ref name="fukui">『新・分県登山ガイド(改訂版)福井県の山』山と渓谷社、2007年、ISBN 978-4-635-02319-1、P60-61</ref>。
[[ファイル:Fragaria iinumae nogoichigo 2003-7-27.jpg|thumb|right|150px|[[ノウゴウイチゴ]]<!---([[白山]]の大倉尾根)-->]]
[[岐阜県]]側山域(656.45 [[ヘクタール|ha]])は亜高山性植物および[[ブナ]]のすぐれた[[天然林]]のため{{sfn|柚本|2012|p=97}}、「能郷白山自然環境保全地域」に指定されている<ref name="pref-gifu">{{Cite web|和書|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s11124/houkishu/35190250007900000000/35190250007900000000/35190250007900000000.html |title=自然環境保全地域及び特別保全地域等の指定(岐阜県の条例) |publisher=岐阜県 |accessdate=2010-12-06}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kankyo/koen-hodo/hozenchiiki/hozen-ichiran.html |title=自然環境保全地域一覧 |publisher=岐阜県 |accessdate=2012-12-10}}</ref>。山体は[[花崗閃緑岩]]などで構成される<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1207頁" /><ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、403頁">[[#コンサイス日本山名辞典|コンサイス日本山名辞典 (1992)、403頁]]</ref>。[[ノウゴウイチゴ]]は、[[日本]]で最初にこの山で発見されたことによる<ref name="白山と北陸の山 (2000)、209-211頁">[[#白山と北陸の山|白山と北陸の山 (2000)、209-211頁]]</ref>。かつては山全体がブナや[[ミズナラ]]などの[[自然林]]で覆われていたが、[[戦後#第二次世界大戦後|戦後]]能郷谷一帯でほとんどが伐採された<ref name="新日本山岳誌 (2005)、1207頁" />。山頂には[[一等三角点]]があり<ref group="注釈">[[一等三角点百名山]]のひとつに選定されている。</ref><ref name="kijyun" />、[[クマザサ|熊笹]]が生い茂っている。山の上部には[[ニッコウキスゲ]]などの花が多い山である。周辺では、[[イワウチワ]]、[[オオバキスミレ]]、[[カタクリ]]{{sfn|柚本|2012|p=95}}、[[キクザキイチゲ]]、[[キジムシロ]]、[[コバイケイソウ]]{{sfn|柚本|2012|p=95}}、[[ザゼンソウ]]、[[サラサドウダン]]、[[サンカヨウ]]{{sfn|柚本|2012|p=95}}、[[シモツケソウ]]{{sfn|柚本|2012|p=95}}、[[ツクバネソウ]]、[[ニッコウキスゲ]]{{sfn|柚本|2012|p=95}}、[[ヒメイチゲ]]、[[ムラサキヤシオツツジ]]などの多くの花々が見られる<ref name="福井県の山 (2010)、60-61頁">[[#福井県の山|福井県の山 (2010)、60-61頁]]</ref>。周辺の山域に生息する{{日本語版にない記事リンク|カンムリレンズガイ|zh|Otesiopsis kanumuriyamensis}}(''Otesiopsis kanumuriyamensis'')は、岐阜県の[[レッドリスト]]で[[準絶滅危惧]]の指定を受けている<ref name="gifu-redbook">{{cite book
|chapterurl=http://www.pref.gifu.lg.jp/kurashi/kankyo/shizenhogo/c11265/kanmurirenzugai.html
|chapter=カンムリレンズガイ
|url=http://www.pref.gifu.lg.jp/kurashi/kankyo/shizenhogo/c11265/index_17185.html |deadurl=no
|title=岐阜県レッドデータブック &nbsp;(動物篇) |edition=改訂版 |publisher=岐阜県
|date=2010-08 |accessdate=2018-08-21 |language=ja }}</ref>。


== 白山信仰 ==
== 白山信仰 ==
[[ファイル:Shinto shrine Kumanohakusangongen 2010-4-4.JPG|thumb|right|150px|山頂部にあった[[能郷白山神社]][[奥宮]](現存せず)]]
[[白山|加賀白山]]を開いた[[泰澄]]上人が、加賀白山の山頂から見渡した時にこの山が目に留まり[[白山権現]]の分祀を思いつき、開山し祠を祀ったと伝えられている。山頂に[[能郷白山神社]]奥宮の祠があり、[[白山信仰]]の山である。能郷谷の麓(能郷)には、能楽堂のある白山神社(白山権現里宮)がある。毎年[[4月13日]]の[[例祭]]で[[能]]が[[奉納]]されている<ref>『日本の山1000』山と渓谷社、1992年、ISBN 4-635-09025-6、P523</ref>。
[[白山|加賀白山]]を開いた[[泰澄]]上人が、加賀白山の山頂から見渡したときにこの山が目に留まり[[白山権現]]の分祀を思いつき、開山し祠を祀ったと伝えられている{{sfn|柚本|2012|p=94}}。加賀白山とともに[[白山信仰]]の山である<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、403頁" /><ref name="asa20191108">{{Cite news|url = https://www.asahi.com/articles/ASMBX7G23MBXOLZU001.html|title = (登ってきました)能郷白山、濃尾平野見おろす「盟主」|newspaper = [[朝日新聞デジタル]]|archiveurl = https://web.archive.org/web/20191108221256/https://www.asahi.com/articles/ASMBX7G23MBXOLZU001.html|date = 2019-11-08|archivedate = 2019-11-08|accessdate = 2023-03-23}}</ref>。かつて山頂には[[能郷白山神社]][[奥宮]]の祠があったが、[[2018年]]([[平成]]30年)の[[台風]]で倒壊したため現存していない<ref name="fukui20211107"/>。能郷谷の麓(能郷)には、能楽堂のある白山神社(白山権現里宮)がある。毎年[[4月13日]]の[[例祭]]で[[能郷の能・狂言]]が[[奉納]]されている<ref name="y1000" />。


== 歴史 ==
== 歴史 ==
* [[718年]]([[養老]]2年) - 泰澄上人により[[開山 (仏教)|開基]]したとされている<ref name="jiten">コンサイス日本山名辞典』[[三省堂]]、1992ISBN 4-385-15403-1、P403</ref>。
* [[718年]]([[養老]]2年):泰澄上人により[[開山 (仏教)|開基]]したとされている<ref name="fukui20211107"/><ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)403頁" />。
* [[1897年]]([[明治]]30年) - 現在の[[能郷白山神社]]の社殿が再建される。
* [[1897年]]([[明治]]30年):現在の[[能郷白山神社]]の社殿が再建される。
* [[1965年]]([[昭和]]40年)秋 - [[集中豪雨]]により麓の能郷谷が土砂で埋め尽くされる<ref name="m300">日本三百名山』[[毎新聞社]]、1997ISBN 4-620-60524-7、P238</ref>。
* [[1965年]]([[昭和]]40年)秋[[集中豪雨]]により麓の能郷谷が土砂で埋め尽くされる<ref name="y300">[[#日本三百名山|本三百名山 (1997)238頁]]</ref>。
* [[1976年]](昭和51年)[[2月3日]] - 岐阜県の能郷白山自然環境保全地域に指定される<ref>[http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s11124/houkishu/35190250007900000000/35190250007900000000/35190250007900000000.html 自然環境保全地域及び特別保全地域等の指定(岐阜県の条例)]、岐阜県、2010年12月6日閲覧。</ref>。
* [[1976年]](昭和51年)[[2月3日]]岐阜県の能郷白山自然環境保全地域に指定される<ref name="pref-gifu" />。
* [[1988年]](昭和63年)9月 - [[国道157号]]の[[温見峠]]からの[[登山道]]が開設される<ref name="alpen" />。
* [[1988年]](昭和63年)9月[[国道157号]]の[[温見峠]]からの[[登山道]]が開設される<ref name="白山と北陸の山 (2000)、209-211頁" />。
* [[2018年]]([[平成]]30年):この年発生した[[台風]]により、能郷白山神社の奥宮が倒壊<ref name="fukui20211107"/>。御神体は里宮に遷される。
* [[2004年]]([[平成]]16年) - 集中豪雨により能郷白山の登山口である温見峠への国道157号が岐阜県本巣市内で通行できなくなった。[[2012年]]8月現在も通行止めが続いており、遠回りの迂回路が設けられている。(詳しくは[[温見峠#現況]]を参照。)
* [[2022年]]([[令和]]4年):奥宮跡地に[[ステンレス鋼|ステンレス製]]の祠が建てられる。


== 登山ルート ==
== 登山ルート ==
[[ファイル:Triangulation station in Mount Nōgōhaku.JPG|thumb|right|150px|山頂の一等[[三角点]]、山頂部には[[クマザサ]]などが生い茂る]]
二つの[[登山道]]がある。
山頂に至る北側と南側からの二つの[[登山道]]が開設されている。[[岐阜県警察]]の[[山岳警備隊]]は、能郷白山を管轄する能郷白山方面隊が編成されている<ref>{{Cite news|url = https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/16450|title = 県警山岳警備隊に初の女性 過酷訓練「女性だからできないことはない」|newspaper = 岐阜新聞Web|archiveurl = https://web.archive.org/web/20211227023124/https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/16450|date = 2021-09-23|archivedate = 2021-12-27|accessdate = 2023-03-23}}</ref>。
* '''温見峠からのルート'''
* 温見峠からのルート<ref name="withnews">{{Cite web|和書|url = https://withnews.jp/article/f0170901002qq000000000000000W06510601qq000015749A|title = 「落ちたら死ぬ」酷道157号で見たものは…「もう勘弁してくれ!」|website = [[withnews]]|date = 2017-09-01|accessdate = 2023-03-23}}</ref>
:[[国道157号]]の岐阜県と福井県との県境である[[温見峠]]から、稜線伝いに登る最短のルート<ref name="alpen" /><ref name="gifu">『新・分県登山ガイド(改訂版)岐阜県の山』山と渓谷社、2009年、ISBN 978-4-635-02370-2、P102</ref>
: [[国道157号]]の岐阜県と福井県との県境である[[温見峠]]から、稜線伝いに登る最短のルート{{sfn|柚本|2012|p=94}}<ref name="白山と北陸の山 (2000)、209-211頁" /><ref name="岐阜県の山 (2009)、102頁">[[#岐阜県の山|岐阜県の山 (2009)、102頁]]</ref>。温見峠付近には5台ほどの駐車スペースが設けられており{{sfn|柚本|2012|p=95}}、1492mのピーク([[クリストファー・コロンブス|コロンブス]]ピークの別名がある)<ref name="fukui20211107"/>を経て山頂に至るコースとなっている{{sfn|柚本|2012|p=94}}{{sfn|柚本|2012|p=95}}。登山口から山頂までは約2時間の行程となる<ref name="fukui20211107"/>{{sfn|柚本|2012|p=96}}。途中には[[ロープ]]が設置された場所もある{{sfn|柚本|2012|p=94}}<ref name="fukui20211107"/>。
* '''能郷谷からのルート'''
:岐阜県[[本巣市]]の[[根尾川]]支流の能郷谷から、前山の山腹を経由する健脚向きのルート<ref name="nagoya" />。麓の白山権現里宮の横には、登山届ボックスが設置されている<ref name="gifu" />。
* 能郷谷からのルート
: 岐阜県本巣市の[[根尾川]]支流の能郷谷から、前山の山腹を経由する健脚向きのルート<ref name="名古屋周辺の山 (2010)、258-259頁" />。麓の白山権現里宮の横には、登山届ボックスが設置されている<ref name="岐阜県の山 (2009)、102頁" />。


== 地理 ==
== 地理 ==
[[両白山地]]北部の加越山地の'''[[白山|加賀白山]]'''に対して、南部の越美山地で能郷谷の麓に能郷集落があるため'''能郷白山'''と呼ばれている。この越美最高峰である。両白山地の[[屏風山]]へつながる鞍部には国道157号の温見峠があり、太平洋と日本海の分水嶺となっている。山頂からは、[[伊吹山]]、白山、[[恵那山]]、[[飛騨山脈|北アルプス]]の山々など360°の展望が広がる。
[[両白山地]]北部の加越山地の'''[[白山|加賀白山]]'''に対して、南部の[[越美山地]]で能郷谷の麓に能郷集落があるため'''能郷白山'''と呼ばれている<ref name="asa20191108"/>。山名は能郷谷奥にそびえことに由来する<ref name="asa20191108"/>[[両白山地]]の[[屏風山]]へつながる鞍部には国道157号の温見峠があり、太平洋と日本海の分水嶺となっている。山頂からは、[[伊吹山]]、[[白山]]、[[恵那山]]、[[飛騨山脈|北アルプス]]の山々、[[濃尾平野]]や[[伊勢湾]]も眺めることでき<ref name="asa20191108" />
=== 周辺の主な山 ===
=== 周辺の主な山 ===
[[ファイル:Mount Haku from Mount Ibuki.jpg|thumb|right|250px|[[伊吹山]]から望む能郷白山(左奥)周辺の山並み、中央奥は[[白山]]]]
山頂から南西には、標高1,541mの磯倉と呼ばれる三角錐の山容の山がある。南西には[[徳山ダム|徳山湖]]がある。
山頂から南西には、標高1,541mの磯倉と呼ばれる三角錐の山容の山がある。南西には[[徳山ダム|徳山湖]]がある。
{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
|-
!山容
!山容
!名
!
![[標高]]<br>[[メートル|m]]
![[標高]]<br>([[メートル|m]])<ref name="kijyun" /><ref name="kokudo" />
![[三角点]]
![[三角点]]等級<br />基準点名<ref name="kijyun" />
!能郷白山からの<br>方角と距離[[キロメートル|km]]
!能郷白山からの<br>方角と距離([[キロメートル|km]])
!備考
!備考
|-
|-
|[[File:Hakusan_from_aburazaka_2003_5_5.jpg|100px]]
|[[File:Hakusan_from_aburazaka_2003_5_5.jpg|80px]]
|[[白山]]
|[[白山]]
|2,702.<small>17</small>
|2,702.<small>17</small>
| 一等
| 一等<br />「白山」
| 北東 49.4
|{{direction2|NE}} 49.4
|<small>[[日本百名山]]</small>
|<small>[[日本百名山]]</small>
|-
|-
|[[File:Arashimadake_from_shakushidake_2005-4-9.JPG|100px]]
|[[File:Arashimadake_from_shakushidake_2005-4-9.JPG|80px]]
|[[荒島岳]]
|[[荒島岳]]
|1,523.<small>49</small>
|1,523.<small>49</small>
| 一等
| 一等<br />「荒島岳」
|  北 20.6
|{{direction2|N}} 20.6
|<small>日本百名山</small>
|<small>日本百名山</small>
|-
|-
|[[File:Mount Byobu from Mount Nogohaku 2009-5-11.jpg|100px]]
|[[File:Mount Byobu from Mount Nogohaku 2009-5-11.jpg|80px]]
|[[屏風山]]
|[[屏風山]]
|1,354.<small>20</small>
|1,354.<small>20</small>
| 二等
| 二等<br />「屏風山」
|  東 10.9
|{{direction2|E}} 10.9
|
|
|-
|-
|[[File:Kanmuriyama fron road 2008-11-13.jpg|100px]]
|[[File:Kanmuriyama fron road 2008-11-13.jpg|80px]]
|[[冠山 (岐阜・福井県境)|冠山]]
|[[冠山 (岐阜・福井県境)|冠山]]
|1,256.<small>60</small>
|1,256.<small>60</small>
| 三等
| 三等<br />「冠山」
|{{direction2|W}} 9.7
|  西 9.7
|<small>[[日本三百名山]]</small>
|<small>[[日本三百名山]]</small>
|-
|-
|[[File:Mount Uba from Mount Nogohaku 2009-5-11.jpg|100px]]
|[[File:Mount Uba from Mount Nogohaku 2009-5-11.jpg|80px]]
|[[姥ヶ岳]]
|[[姥ヶ岳]]
|1,453.<small>62</small>
|1,453.<small>62</small>
| 二等
| 二等<br />「小沢」
|{{direction2|N}} 5.3
|  北 5.3
|
|
|- style="background-color:#ccc"
|- style="background-color:#ccc"
|[[File:Nougouhakusan from south 2010-4-4.jpg|100px]]
|[[File:Nougouhakusan from south 2009-5-11.jpg|80px]]
|[[能郷白山]]
|'''能郷白山'''
|1,617.<small>33</small>
|1,617.<small>33</small>
| 一等<ref name="kijun" />
| 一等<br />「能郷白山」
|{{direction2|O}} 0
|   0
|越美山地の[[最高峰]]<br><small>[[日本二百名山]]</small>
|越美山地の[[最高峰]]<br><small>[[日本二百名山]]</small>
|-
|-
|[[File:Mount Isokura from Mount Mae 2009-5-11.jpg|100px]]
|[[File:Mount Isokura from Mount Mae 2009-5-11.jpg|80px]]
|磯倉
|磯倉
|1,541
|1,541
|
|
|{{direction2|S}} 1.5
|  南 1.5
|踏み跡不明瞭<ref name="gifu" />
|踏み跡不明瞭<ref name="岐阜県の山 (2009)、102頁" />
|-
|-
|[[File:Dam Tokuyama and Nougouhakusan from Hanabusayama 2008-11-26.jpg|100px]]
|[[File:Tokuyama Dam lake.jpg|80px]]
|[[徳山ダム]]
|[[徳山ダム]]
|約410m
|約410m
|
|
|  南 10.8
|{{direction2|S}} 10.8
|日本の最大規模のダム
|日本の最大規模のダム
|-
|[[File:Mount Odugongen from south 2010-03-22.jpg|80px]]
|[[小津権現山]]
|1,157.<small>79</small>
| 二等<br />「小津」
|{{direction2|S}} 18.4
|小津三山の南端
|}
|}


=== 源流の河川 ===
=== 源流の河川 ===
[[ファイル:Tokuyama Dam from Mount Hanabusa.jpg|thumb|right|200px|[[小津権現山#小津三山|花房山]]から望む[[徳山ダム|徳山湖]]]]
以下が主な源流の[[河川]]で、[[木曽川]][[水系]]の[[支流]]は太平洋へ、[[九頭竜川]]水系の支流は日本海へ流れる<ref>『白山 荒島岳 (山と高原地図43)』昭文社、2010年、ISBN 4-398-75723-6</ref>。
以下が主な源流の[[河川]]で、[[木曽川]][[水系]]の[[支流]]は太平洋へ、[[九頭竜川]]水系の支流は日本海へ流れる<ref name="山と高原地図 (2012)">[[#山と高原地図|山と高原地図 (2012)]]{{要ページ番号|date=2023年3月}}</ref>。
* 白谷([[揖斐川]]の支流)
* 白谷{{sfn|柚本|2012|p=95}} - [[揖斐川]]の支流、山頂の南10.8 [[キロメートル|km]]に[[徳山ダム]]がある。
* 能郷白谷、根尾東谷川([[根尾川]]の支流)
* 温見(九頭竜川の支流
* 能郷谷、根尾西谷{{sfn|柚本|2012|p=95}} - [[根尾]]の支流
* 温見川{{sfn|柚本|2012|p=95}} - [[真名川]]の支流(九頭竜川水系)、山頂の北17.5 kmに[[真名川ダム]]がある。

=== 周辺の峠 ===
* [[温見峠]] - [[国道157号]] 、山頂から北北東1.9 kmに位置する。標高1,050 mの[[日本海]]と[[太平洋]]との[[分水界|分水嶺]]である<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、403頁" />。

=== 交通・アクセス ===
<!-- 駅やインターチェンジからは著しく遠方であるため、距離関係を含め記述を削除していますのでご了承願います -->
温見峠付近の登山口までの[[公共交通機関]]はなく、[[自動車]]または[[タクシー]]がアクセス手段となる{{sfn|柚本|2012|p=95}}。また、国道157号はいわゆる[[酷道]]ですれ違いが困難な区間もある<ref name="withnews"/>。

== 能郷白山の風景 ==
<gallery widths="150">
File:温見峠.jpg|温見峠登山口    |代替文=温見峠登山口
File:コバイケイソウの群落が広がる山頂.jpg|コバイケイソウの群落が広がる山頂
File:能郷白山山頂にて.jpg|能郷白山山頂にて
File:能郷白山から冠山.jpg|能郷白山から冠山(後方は金草山)
</gallery>

== 能郷白山周辺の風景 ==
<gallery widths="150">                      
ファイル:Nougouhakusan from south 2010-4-4.jpg|南側の前山付近から望む能郷白山
ファイル:Mount Nōgōhaku from Mount Heike.jpg|[[平家岳]]から望む能郷白山、右手前に屏風山
ファイル:Mount Nōgōhaku from Mount Koga.jpg|[[高賀山]]から望む能郷白山
ファイル:Ryohaku Mountains from Mount Nobuse 2011-04-17.jpg|[[野伏ヶ岳]]から望む両白山地の山並み、左奥に能郷白山
</gallery>


== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{reflist}}
{{Reflist|group="注釈"}}
=== 出典 ===
{{reflist|2}}

== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書 |author=岐阜県山岳連盟 |year=1987 |month=7 |title=ぎふ百山 |publisher=[[岐阜新聞|岐阜新聞社]] |series= |pages= |isbn=4905958474 |ref=ぎふ百山}}
* {{Cite book|和書 |editor=徳久球雄 |year=1992 |month=10 |title=コンサイス日本山名辞典 |publisher=[[三省堂]] |isbn=4-385-15403-1 |ref=コンサイス日本山名辞典}}
* {{Cite book|和書 |author=島田靖、堀井啓介 |date=2009-12 |title=改訂版 岐阜県の山 |publisher=山と溪谷社 |series=新・分県登山ガイド |isbn=978-4-635-02370-2 |ref=岐阜県の山}}
* {{Cite book|和書 ||editor=日本山岳会|editor-link=日本山岳会 |year=2005 |month=11 |title=新日本山岳誌 |publisher=ナカニシヤ出版 |isbn=4-779-50000-1 |ref=新日本山岳誌}}
* {{Cite book|和書 |date=1997-03 |title=日本三百名山 |publisher=[[毎日新聞社]] |isbn=4620605247 |ref=日本三百名山}}
* {{Cite book|和書 |date=1992-08 |title=日本の山1000 |series=山溪カラー名鑑 |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=4635090256 |ref=日本の山1000}}
* {{Cite book|和書 |date=2012-03-16 |title=白山 荒島岳 |series=[[山と高原地図]]2012年版 |publisher=[[昭文社]] |pages= |isbn=978-4398758422 |ref=山と高原地図}}
* {{Cite book|和書 |author=林正一 |date=2000-08 |title=白山と北陸の山 |series=ヤマケイアルペンガイド21 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4-635-01321-9 |ref=白山と北陸の山}}
* {{Cite book|和書 |author=深田久弥|authorlink=深田久弥 |year=1982|month=7 |title=日本百名山 |publisher=[[朝日新聞出版]] |isbn=4-02-260871-4 |ref=日本百名山}}
* {{Cite book|和書 |author=深田クラブ |year=1987 |title=日本二百名山 |publisher=昭文社 |pages= |isbn=4398220011 |ref=日本二百名山}}
* {{Cite book|和書 |author=宮本数男 |date=2010-03-15 |title=改訂版 福井県の山 |publisher=山と溪谷社 |series=新・分県登山ガイド |isbn=978-4-635-02369-6 |ref=福井県の山}}
* {{Cite book|和書 |author=与呉日出夫 |year=2010 |month=7 |title=改訂新版 名古屋周辺の山 |publisher=山と溪谷社 |isbn=9784635180177 |ref=名古屋周辺の山}}
* {{Cite book|和書|title = わくわく登る 福井の50山|author = 柚本寿二|publisher = [[北國新聞|北國新聞社]]|date = 2012-07-14|isbn = 978-4-8330-1882-1|ref = {{sfnref|柚本|2012}} }}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
{{commonscat|Mount Nōgōhaku}}
* [[両白山地]](越美山地)
* [[両白山地]](越美山地)
* [[日本二百名山]]
* [[能郷白山神社]]
* [[能郷白山神社]]
* [[日本二百名山]]
* [[ぎふ百山]]
* [[温見峠]]、[[国道157号]]
* [[温見峠]]、[[国道157号]]
* [[徳山ダム]]
* [[徳山ダム]]

== 外部リンク ==
{{commonscat|Mount Nōgōhaku}}
* [https://www.kankou-gifu.jp/spot/detail_5254.html 岐阜県観光公式サイト「岐阜の旅ガイド」 能郷白山] - 岐阜県観光連盟


{{日本二百名山}}
{{日本二百名山}}
{{一等三角点百名山}}
{{一等三角点百名山}}
{{ぎふ百山}}


{{DEFAULTSORT:のうこうはくさん}}
{{DEFAULTSORT:のうこうはくさん}}
[[Category:山岳名目録]]
[[Category:両白山地の山]]
[[Category:両白山地の山]]
[[Category:福井県の山]]
[[Category:福井県の山]]
[[Category:岐阜県の山]]
[[Category:岐阜県の山]]
[[Category:大野市の地理]]
[[Category:本巣市]]
[[Category:本巣市]]
[[Category:揖斐川町]]
[[Category:揖斐川町の地理]]
[[Category:大野市]]
[[Category:砂防]]
[[Category:1000メートル峰]]

[[Category:県境]]
[[en:Mount Nōgōhaku]]

2024年6月5日 (水) 08:24時点における最新版

能郷白山
根尾谷上空から望む能郷白山
左奥(磯倉)・中央奥(能郷白山)・中央(前山)・手前(能郷谷)
標高 1,617.33[1] m
所在地 日本の旗 日本
岐阜県本巣市揖斐郡揖斐川町
福井県大野市
位置 北緯35度45分45秒 東経136度30分51秒 / 北緯35.76250度 東経136.51417度 / 35.76250; 136.51417座標: 北緯35度45分45秒 東経136度30分51秒 / 北緯35.76250度 東経136.51417度 / 35.76250; 136.51417[2]
山系 両白山地(越美山地)
初登頂 (718年泰澄上人が開山)
能郷白山の位置(日本内)
能郷白山
能郷白山の位置
プロジェクト 山
テンプレートを表示

能郷白山(のうごうはくさん)は、岐阜県本巣市揖斐郡揖斐川町福井県大野市にまたがり、両白山地に属する標高の1,617 mである。岐阜・福井両県境最高峰[3]

概要

[編集]

周辺は豪雪地帯であり、奥美濃の最高峰である[4]この山は、濃尾平野から望む一番遅くまで雪を抱いた山である[5][6]深田久弥は日本百名山選定の際に荒島岳と能郷白山との二つから前者を選んだ[7][8]。後者のこの山は、深田クラブにより日本二百名山に選定されている[9]ぎふ百山のひとつに選定されている[10]。別名が、白山、能郷山、権現山[4]

環境

[編集]
ノウゴウイチゴ

岐阜県側山域(656.45 ha)は亜高山性植物およびブナのすぐれた天然林のため[11]、「能郷白山自然環境保全地域」に指定されている[12][13]。山体は花崗閃緑岩などで構成される[4][14]ノウゴウイチゴは、日本で最初にこの山で発見されたことによる[15]。かつては山全体がブナやミズナラなどの自然林で覆われていたが、戦後能郷谷一帯でほとんどが伐採された[4]。山頂には一等三角点があり[注釈 1][1]熊笹が生い茂っている。山の上部にはニッコウキスゲなどの花が多い山である。周辺では、イワウチワオオバキスミレカタクリ[16]キクザキイチゲキジムシロコバイケイソウ[16]ザゼンソウサラサドウダンサンカヨウ[16]シモツケソウ[16]ツクバネソウニッコウキスゲ[16]ヒメイチゲムラサキヤシオツツジなどの多くの花々が見られる[17]。周辺の山域に生息するカンムリレンズガイ中国語: Otesiopsis kanumuriyamensisOtesiopsis kanumuriyamensis)は、岐阜県のレッドリスト準絶滅危惧の指定を受けている[18]

白山信仰

[編集]
山頂部にあった能郷白山神社奥宮(現存せず)

加賀白山を開いた泰澄上人が、加賀白山の山頂から見渡したときにこの山が目に留まり白山権現の分祀を思いつき、開山し祠を祀ったと伝えられている[3]。加賀白山とともに白山信仰の山である[14][19]。かつて山頂には能郷白山神社奥宮の祠があったが、2018年平成30年)の台風で倒壊したため現存していない[8]。能郷谷の麓(能郷)には、能楽堂のある白山神社(白山権現里宮)がある。毎年4月13日例祭能郷の能・狂言奉納されている[5]

歴史

[編集]

登山ルート

[編集]
山頂の一等三角点、山頂部にはクマザサなどが生い茂る

山頂に至る北側と南側からの二つの登山道が開設されている。岐阜県警察山岳警備隊は、能郷白山を管轄する能郷白山方面隊が編成されている[21]

  • 温見峠からのルート[22]
国道157号の岐阜県と福井県との県境である温見峠から、稜線伝いに登る最短のルート[3][15][23]。温見峠付近には5台ほどの駐車スペースが設けられており[16]、1492mのピーク(コロンブスピークの別名がある)[8]を経て山頂に至るコースとなっている[3][16]。登山口から山頂までは約2時間の行程となる[8][24]。途中にはロープが設置された場所もある[3][8]
  • 能郷谷からのルート
岐阜県本巣市の根尾川支流の能郷谷から、前山の山腹を経由する健脚向きのルート[6]。麓の白山権現里宮の横には、登山届ボックスが設置されている[23]

地理

[編集]

両白山地北部の加越山地の加賀白山に対して、南部の越美山地で能郷谷の麓に能郷集落があるため能郷白山と呼ばれている[19]。山名は能郷谷の奥にそびえることに由来する[19]両白山地屏風山へつながる鞍部には国道157号の温見峠があり、太平洋と日本海の分水嶺となっている。山頂からは、伊吹山白山恵那山北アルプスの山々、濃尾平野伊勢湾も眺めることができる[19]

周辺の主な山

[編集]
伊吹山から望む能郷白山(左奥)周辺の山並み、中央奥は白山

山頂から南西には、標高1,541mの磯倉と呼ばれる三角錐の山容の山がある。南西には徳山湖がある。

山容 山名 標高
(m)[1][2]
三角点等級
基準点名[1]
能郷白山からの
方角と距離(km)
備考
白山 2,702.17  一等
「白山」
北東 49.4 日本百名山
荒島岳 1,523.49  一等
「荒島岳」
北 20.6 日本百名山
屏風山 1,354.20  二等
「屏風山」
東 10.9
冠山 1,256.60  三等
「冠山」
西 9.7 日本三百名山
姥ヶ岳 1,453.62  二等
「小沢」
北 5.3
能郷白山 1,617.33  一等
「能郷白山」
0 越美山地の最高峰
日本二百名山
磯倉 1,541 南 1.5 踏み跡不明瞭[23]
徳山ダム 約410m 南 10.8 日本の最大規模のダム
小津権現山 1,157.79  二等
「小津」
南 18.4 小津三山の南端

源流の河川

[編集]
花房山から望む徳山湖

以下が主な源流の河川で、木曽川水系支流は太平洋へ、九頭竜川水系の支流は日本海へ流れる[25]

周辺の峠

[編集]

交通・アクセス

[編集]

温見峠付近の登山口までの公共交通機関はなく、自動車またはタクシーがアクセス手段となる[16]。また、国道157号はいわゆる酷道ですれ違いが困難な区間もある[22]

能郷白山の風景

[編集]

能郷白山周辺の風景

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 一等三角点百名山のひとつに選定されている。

出典

[編集]
  1. ^ a b c d 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2012年12月6日閲覧。
  2. ^ a b 日本の主な山岳標高(岐阜県)”. 国土地理院. 2012年12月6日閲覧。
  3. ^ a b c d e 柚本 2012, p. 94.
  4. ^ a b c d 新日本山岳誌 (2005)、1207頁
  5. ^ a b 日本の山1000 (1992)、523頁
  6. ^ a b 名古屋周辺の山 (2010)、258-259頁
  7. ^ 日本百名山 (1982)、326頁
  8. ^ a b c d e f g “「幻の百名山」の能郷白山 1617mの眺望、真っ青な空と眼下に広がる錦秋 福井県大野市・岐阜県境”. 福井新聞ONLINE. (2021年11月7日). オリジナルの2021年11月7日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211107232309/https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1432374 2023年3月23日閲覧。 
  9. ^ 日本二百名山 (1987)、24頁
  10. ^ ぎふ百山 (1987)[要ページ番号]
  11. ^ 柚本 2012, p. 97.
  12. ^ a b 自然環境保全地域及び特別保全地域等の指定(岐阜県の条例)”. 岐阜県. 2010年12月6日閲覧。
  13. ^ 自然環境保全地域一覧”. 岐阜県. 2012年12月10日閲覧。
  14. ^ a b c d コンサイス日本山名辞典 (1992)、403頁
  15. ^ a b c 白山と北陸の山 (2000)、209-211頁
  16. ^ a b c d e f g h i j k 柚本 2012, p. 95.
  17. ^ 福井県の山 (2010)、60-61頁
  18. ^ カンムリレンズガイ」『岐阜県レッドデータブック  (動物篇)』(改訂版)岐阜県、2010年8月http://www.pref.gifu.lg.jp/kurashi/kankyo/shizenhogo/c11265/kanmurirenzugai.html2018年8月21日閲覧 
  19. ^ a b c d “(登ってきました)能郷白山、濃尾平野見おろす「盟主」”. 朝日新聞デジタル. (2019年11月8日). オリジナルの2019年11月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20191108221256/https://www.asahi.com/articles/ASMBX7G23MBXOLZU001.html 2023年3月23日閲覧。 
  20. ^ 日本三百名山 (1997)、238頁
  21. ^ “県警山岳警備隊に初の女性 過酷訓練「女性だからできないことはない」”. 岐阜新聞Web. (2021年9月23日). オリジナルの2021年12月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211227023124/https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/16450 2023年3月23日閲覧。 
  22. ^ a b 「落ちたら死ぬ」酷道157号で見たものは…「もう勘弁してくれ!」”. withnews (2017年9月1日). 2023年3月23日閲覧。
  23. ^ a b c 岐阜県の山 (2009)、102頁
  24. ^ 柚本 2012, p. 96.
  25. ^ 山と高原地図 (2012)[要ページ番号]

参考文献

[編集]
  • 岐阜県山岳連盟『ぎふ百山』岐阜新聞社、1987年7月。ISBN 4905958474 
  • 徳久球雄 編『コンサイス日本山名辞典』三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1 
  • 島田靖、堀井啓介『改訂版 岐阜県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド〉、2009年12月。ISBN 978-4-635-02370-2 
  • 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1 
  • 『日本三百名山』毎日新聞社、1997年3月。ISBN 4620605247 
  • 『日本の山1000』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1992年8月。ISBN 4635090256 
  • 『白山 荒島岳』昭文社山と高原地図2012年版〉、2012年3月16日。ISBN 978-4398758422 
  • 林正一『白山と北陸の山』山と溪谷社〈ヤマケイアルペンガイド21〉、2000年8月。ISBN 4-635-01321-9 
  • 深田久弥『日本百名山』朝日新聞出版、1982年7月。ISBN 4-02-260871-4 
  • 深田クラブ『日本二百名山』昭文社、1987年。ISBN 4398220011 
  • 宮本数男『改訂版 福井県の山』山と溪谷社〈新・分県登山ガイド〉、2010年3月15日。ISBN 978-4-635-02369-6 
  • 与呉日出夫『改訂新版 名古屋周辺の山』山と溪谷社、2010年7月。ISBN 9784635180177 
  • 柚本寿二『わくわく登る 福井の50山』北國新聞社、2012年7月14日。ISBN 978-4-8330-1882-1 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]