「鳥類」の版間の差分
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{{参照方法|date=2011年3月}} |
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|画像キャプション = 現存している鳥類おおよそ30の分類目のうち、<br>代表的な18種を示す。(クリックして拡大)</br> |
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|上綱 = [[四肢動物|四肢動物上綱]] {{sname||Tetrapoda}} |
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|綱 = '''鳥綱''' {{sname||Aves}} |
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|学名 = Aves {{AUY|Linnaeus|1758}}<ref>{{Cite web| url= http://www.taxonomy.nl/Main/Classification/51354.htm| title=Systema Naturae 2000 / Classification, Class Aves | accessdate=4 February 2009 | last=Brands | first=Sheila | authorlink= | date=14 August 2008 | work=Project: The Taxonomicon }}</ref> |
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|学名 = Aves {{AUY|Linnaeus|1758}} |
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|和名 = トリ |
|和名 = トリ |
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|英名 = bird |
|英名 = bird |
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|下位分類名 = 亜綱 |
|下位分類名 = 亜綱 |
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|下位分類 = |
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* おおよそ数十の[[#現生鳥類の目:分類|現生鳥類の目]]と、いくつもの[[w:List of fossil birds|絶滅した目と亜綱]]が存在する。 |
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* [[絶滅|†]][[竜鳥亜綱]] {{sname||Sauriurae}} |
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* †[[ラホナヴィス亜綱]] {{sname||Rahonaves}} |
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* [[真鳥亜綱]] {{sname||Ornithurae}} |
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[[ファイル:Aves de Galicia.gif|180px|thumb|様々な鳥たち]] |
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鳥類(鳥[[綱]])は[[羽毛]]があり、[[翼]]を持ち、二足歩行の、[[恒温性]](温血)で、[[卵生]]の[[脊椎動物]]である。おおよそ10,000種が現存しており、[[四肢動物]]のなかでは最も種類の豊富な[[綱 (分類学)|綱]](分類目)となっている。かれらは[[北極]]から[[南極]]に至る[[地球]]上のすべての[[生態系]]に生息している。[[w:Extant taxon|現存]]している鳥類の大きさの範囲は[[マメハチドリ]]の5cmから[[ダチョウ]]の2.75mにおよぶ。[[古生物学|化石記録]]によれば、鳥類は{{nowrap|一億5,000万}}年から{{nowrap|二億}}年前ごろの[[ジュラ紀]]のあいだに、[[獣脚類]][[恐竜]]から[[進化]]したことが示されている。そして最も初期の鳥類として知られているのが、ジュラ紀後期の[[始祖鳥]](Archaeopteryx)で、おおよそ{{nowrap|一億5,000万}}年から{{nowrap|一億4,500万年}}前である。大部分の[[古生物学]]者が、鳥類を約{{nowrap|6,550万}}年前の[[K-T境界|K-T境界絶滅イベント]]を生き延びた、恐竜の唯一の[[系統群]]であると見なしている。 |
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'''鳥類'''(ちょうるい)は、[[生物]]の分類区分の1つであり、[[動物]]-[[脊椎動物]]の下位で'''鳥綱''' ({{lang|la|Aves}}) を構成するグループである。日常語では'''鳥'''(とり)と呼ばれる。 |
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[[現生鳥類]]の特徴は、[[羽毛]]があり、[[歯]]のない[[くちばし]]を持つこと、堅い殻を持つ卵を生むこと、高い[[代謝]]率、二心房二心室の[[心臓]]、そして軽量ながら強靭な[[骨格]]をもつことである。現存する鳥類のすべての種が翼をもつが、現在は[[絶滅]]してしまった[[ニュージーランド]]の飛べない[[モア]]が唯一の例外であった。翼は前肢が進化したもので、ほとんどの鳥が飛ぶことができるが、[[走鳥類]]や、[[ペンギン]]、いくつかの島嶼に適応した[[固有種]]などの例外が存在する。さらにまた、鳥類は飛行することに高度に適応した、ユニークな[[消化]]系と[[呼吸器]]を持っている。ある種の鳥、ことに[[カラス科]]や[[オウム目]]の鳥はもっとも知能の高い動物種のひとつであり、多くの種において[[w:Tool use by animals|道具を製造して使用すること]]が観察されており、またさまざまな社会性の種が、世代間の知識の文化的伝達行動を示している。 |
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主な特徴として、前足が[[翼]]に変化しており、後足で[[二足歩行|二本足歩行]]をするとともに、大半の種が[[飛翔]]能力をもつ。全身が[[羽毛]]に覆われる。例外なく卵生であり、胎生や卵胎生のものは知られていない。歯がなく、[[くちばし]]をもつ。 |
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毎年長距離の[[渡り]]を行う種がいくつもあり、またさらに多数の種が不規則な短距離の移動を行っている。鳥類には[[社会性]]があり、視覚的なサインや鳴声、[[w:Bird vocalization|さえずり]]によって相互のコミュニケーションを行い、そして、[[w:Helpers at the nest|共同での繁殖]]や狩猟、[[w:Flocking (behavior)|群れの形成]]、[[w:Mobbing (animal behavior)|モビング]](偽攻撃、捕食者に対して群れを作って撃退する行動)などの社会的な振る舞いに参加する。大多数の種は社会的に[[一夫一婦制|一雄一雌]]の繁殖形式であり、この関係は通常一回の繁殖期ごとである。中には数年にわたりつがいを組むものもあるが、生涯続くことは稀である。[[一夫多妻]]制(複数のメス)や、稀ではあるが[[一妻多夫]]制(複数のオス)の繁殖様式をもつ種も存在する。卵は通常、巣のなかで[[w:Avian incubation|温められ]]両親によって孵化させられる。ほとんどの鳥で、長期にわたって親が雛を世話する期間がある。 |
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世界で約1万種弱が確認されており、生息地は[[熱帯]]・[[温帯]]・[[寒帯]]・[[極地]]・[[乾燥地帯]]、および[[海洋]]と、ほとんどすべての地域・環境に進出している。また、[[ハチドリ]]など最小体重数gの小型種から、[[ダチョウ]]など最大150kgの大型種まで、様々な大きさの種が存在する。 |
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経済的な重要性を担っている種が多数存在しており、主に[[狩猟]]や飼育により得られる食料源としてであるが、中にはペットとして、とりわけ[[スズメ亜目|鳴禽]]や[[インコ]]のように、人気のある種もある。これ以外にも、[[グアノ]](鳥糞石)を[[肥料]]にするために採掘することも行われていた。鳥は、[[宗教]]からポピュラー[[音楽]]の歌詞にいたるまで、人間のあらゆる文化面の活動に顕著に現れている。おおよそ120種ないし130種が、17世紀以降の人間の活動によって[[絶滅]]に追い込まれており、さらにそれ以前に数百種以上が絶滅している。保護への取り組みが行われているにも関わらず、現時点で約1,200種の鳥が、人間の活動によって絶滅の危機に瀕している。 |
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== 形態 == |
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[[ファイル:Bird_ja.png|250px|right]] |
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典型的な鳥類は、羽毛の生えた翼によって飛び、細くて歯が無い[[くちばし|クチバシ]]をもつ。前足(翼)は親指以外が退化し、表面に羽毛を生じる。後肢は歩脚型。尾骨はごく短い。全身の毛はいわゆる羽毛型になり、体表面を覆う。 |
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体の構造について、詳しくは[[鳥類用語]]を参照。[[翼]]については[[風切羽]]も参照。 |
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==進化と分類学== |
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=== 器官の特徴 === |
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{{Main|w:Evolution of birds}} |
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{{出典の明記|section=1|date=2011年3月}} |
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[[File:Naturkundemuseum Berlin - Archaeopteryx - Eichstätt.jpg|alt= Slab of stone with fossil bones and feather impressions|thumb|right|''[[始祖鳥]]'', 既知の最初の鳥]] |
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{{要出典範囲|飛翔に高度に適応している。体重に占める筋肉の割合が恒温動物中一番大きい。骨は中空になっており軽くて丈夫。外呼吸は[[気嚢]]システムを用いるため、他の[[脊椎動物]]より極めてガス交換効率がよい。羽は複数の[[羽毛]]の重なりで構成され、1枚の膜で構成される他の飛行動物([[コウモリ]]、[[昆虫]])の[[羽]]と比較し破損に強い。 |
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最初の鳥類の[[分類]]は、1676年の書物、 ''Ornithologiae''<ref>{{Cite book|last=del Hoyo |first=Josep |coauthors=Andy Elliott and Jordi Sargatal |title=[[w:Handbook of Birds of the World]], Volume 1: Ostrich to Ducks |year=1992 |publisher=[[w:Lynx Edicions]] |location=Barcelona |isbn=84-87334-10-5}}</ref>において[[w:Francis Willughby|フランシス・ウィラビー]]と[[ジョン・レイ]]によって編み出された。[[カール・フォン・リンネ]]は1758年に、この成果を元に現在使用されている[[分類体系]]を考案した<ref> |
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{{la icon}} {{Cite book|last=Linnaeus |first=Carolus |authorlink=w:Carolus Linnaeus |title=[[w:Systema Naturae|Systema naturae per regna tria naturae, secundum classes, ordines, genera, species, cum characteribus, differentiis, synonymis, locis. Tomus I. Editio decima, reformata]] |publisher=Holmiae. (Laurentii Salvii) |year=1758 |page=824 |url=}}</ref>。鳥類はリンネの分類法では生物学的分類目の鳥[[綱 (分類学)|綱]](class Aves)に分類されている。[[w:Phylogenetic nomenclature|系統分類学]]では鳥綱を恐竜、[[獣脚類]]の[[系統群]]に分類している<ref name="Theropoda">{{Cite journal|last=Livezey |first=Bradley C. |month=January |year=2007 |title=Higher-order phylogeny of modern birds (Theropoda, Aves: Neornithes) based on comparative anatomy. II. Analysis and discussion |journal=[[w:Zoological Journal of the Linnean Society]] |volume=149 |issue=1 |pages=1–95 |doi=10.1111/j.1096-3642.2006.00293.x |pmid=18784798 |last1=Livezey |first1=BC |last2=Zusi |first2=RL |issn=0024-4082 |pmc=2517308}}</ref>。鳥綱とその姉妹分岐群である[[ワニ目]]には、[[爬虫類|爬虫綱]]、[[主竜類]]系統群を代表する現存種のみが含まれる。系統学的には一般的に、鳥類は現生鳥類と始祖鳥(Archaeopteryx lithographica)の、[[最も近い共通祖先]](MRCA)の子孫のすべてであると定義されている<ref>{{Cite book|last=Padian|first=Kevin|authorlink=w:Kevin Padian|coauthor=L.M. Chiappe Chiappe LM |editor=[[w:Philip J. Currie]] and Kevin Padian (eds.) |title=Encyclopedia of Dinosaurs|year=1997|publisher=[[w:SACAcademic Press]]|location=San Diego|pages=41–96|chapter=Bird Origins|isbn=0-12-226810-5}}</ref>。始祖鳥(一億5,000万年から一億4,500万年前ころのジュラ紀最後期)は、この定義のもとで最も古い既知の鳥である。一方、[[ジャック・ゴーティエ]]と[[w:PhyloCode|フィロコード]] システムの支持者たちは、鳥綱を現生鳥類だけを含む[[w:Crown group|クラウングループ]]として定義している。このことは、化石のみが知られているほとんどのグループを鳥綱から除外して、これらをかわりに[[w:Avialae|アヴィアラエ]](Avialae)というグループに割り当てることでなされる<ref>{{Cite book|last=Gauthier |first=Jacques|editor=Kevin Padian |title=The Origin of Birds and the Evolution of Flight|series= Memoirs of the California Academy of Science '''8'''|year=1986|pages=1–55|chapter=Saurischian Monophyly and the origin of birds|isbn=0-940228-14-9 |publisher=Published by California Academy of Sciences |location=San Francisco, CA}}</ref>。これは部分的には、伝統的に獣脚類恐竜と考えられている動物との関連における、始祖鳥の位置づけに関する不確かさを回避するためである<!-- See WP:RS<ref>http://www.phylonames.org/forum/viewtopic.php?t=7</ref> --><!--Mayr et al. 2005 "A well-preserved Archaeopteryx specimen with theropod features" + comment + Mayr's comment on the comment-->。 |
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すべての現生鳥類は'''新鳥亜綱'''に位置づけられており、ここには二つの下位分類が存在する。[[古顎類]] (Palaeognathae) は飛べない[[走鳥類]](たとえばダチョウなど)とほとんど飛べない[[シギダチョウ]]科からなり、広く多様化している[[新顎類 ]](Neognathae)はこれ以外のすべての鳥類を含む。この二つの下位分類はしばしば上目として扱われることがあるが<ref>{{Cite web|url=http://people.eku.edu/ritchisong/birdbiogeography1.htm |title=Bird biogeography |accessdate=2008-04-10 |work=}}</ref> 、[[w:Bradley C. Livezey|Livezey]]とZusi はこれを''コーホート''<ref name="Theropoda"/> (亜綱の下位分類)として位置づけている。分類学的な観点によって一様ではないが、現存している既知の鳥の種類は9,800種<ref>{{Cite book|title=[[w:The Clements Checklist of Birds of the World]] |first=James F. |last=Clements |edition=6th |authorlink=w:James Clements |location=Ithaca |publisher=[[w:Cornell University Press]] |year=2007 |isbn=978-0-8014-4501-9 |
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[[地磁気]]の方向を感じ方位を絶えず把握している(それを利用した[[鳥避け]]がある)器官がある。尾の付け根、背中側に[[尾脂線]]がありくちばしで全身の羽に防水のためにぬる。|date=2011年3月}} |
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}}</ref>から10,050種<ref>{{Cite book|last=Gill |first=Frank |authorlink=w:Frank Gill (ornithologist) |year=2006 |title=Birds of the World: Recommended English Names |location=Princeton |publisher=[[w:Princeton University Press]] |isbn=978-0-691-12827-6}}</ref>の間のどれかと言うことになる。 |
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===恐竜と鳥類の起源=== |
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===外部形態=== |
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{{Main|w:Origin of birds}} |
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{{出典の明記|section=1|date=2011年3月}} |
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[[File:Confuchisornis sanctus.JPG|thumb|alt= 無数のひび割れと、長い対になった尾羽根を含む、鳥の羽と骨の痕跡のある白い岩の板。|中国で発見された白亜紀の鳥、[[孔子鳥]](''[[w:Confuciusornis|Confuciusornis]]'')]] |
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頭部は丸くふくらみ、口は嘴となっていて、歯がない。首は細くて柔軟。四肢動物ではあるが、前肢は歩行には使われない。前肢は短く、特に指の退化が著しく、独立している指は一本のみ。現生種では爪を一切欠く。また、前肢を小さく折り曲げて背部側面に密着させてたたむことが出来る。後肢は普通は四指がよく発達する。多くのものでは外側の一本が根本で大きく曲げられ、他の三本と反対に向けられる。キツツキなど一部のものでは、さらにもう一本が後ろに向けられる。胴体は塊状になっており、柔軟性がない。尾はごく短い。 |
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大部分の科学者が、化石と生物学的な証拠から、鳥類が特殊化された[[獣脚類]][[恐竜]]の下位分類であることを認めている<ref>{{Cite journal|last=Prum|first=Richard O. Prum|title=Who's Your Daddy|journal=Science|volume=322|pages=1799–1800|year=2008|doi=10.1126/science.1168808|pmid=19095929|month= December|issue=5909|issn=0036-8075}}</ref>。さらに具体的にいうならば、鳥類はその中でも[[w:Maniraptora|マニラプトラ]]目(獣脚類恐竜のグループで[[ドロマエオサウルス科|ドロマエオサウルス]]や[[w:Oviraptoridae|オビラプトール類]]を含むグループ)のメンバーである<ref>{{Cite book|last=Paul |first=Gregory S. |authorlink=w:Gregory S. Paul |chapter=Looking for the True Bird Ancestor |year=2002 |title=Dinosaurs of the Air: The Evolution and Loss of Flight in Dinosaurs and Birds |location=Baltimore |
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|publisher=Johns Hopkins University Press |isbn=0-8018-6763-0 |
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|pages=171–224}}</ref>。鳥類に関係の近い非鳥類型獣脚類恐竜の化石が発見されるたびに、それまで明瞭だった鳥類と非鳥類の区分が不明瞭になっていっている。最近の中国東北部の[[遼寧省]]での発見によって、たくさんの[[羽毛恐竜|小型獣脚類恐竜が羽毛を持っていたこと]]が明らかになったが、このことは、この不明瞭さをさらに助長した<ref>{{Cite book|last=Norell |first=Mark |coauthors=Mick Ellison |year=2005 |title=Unearthing the Dragon: The Great Feathered Dinosaur Discovery |location=New York|publisher=Pi Press |isbn=0-13-186266-9|pages=}}</ref>。 |
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現代[[古生物学]]における一致した見方は、鳥類ないしアヴィアラエ([[w:Avialae|Avialae]])が[[w:Deinonychosauria|デイノニコサウリア]]の最も近い近縁であり、これには[[ドロマエオサウルス科]]、[[トロオドン]]科と、おそらくは[[始祖鳥]]が含まれる<ref name=Xiaotingia>{{Cite journal |title=An ''Archaeopteryx''-like theropod from China and the origin of Avialae |url=http://www.nature.com/nature/journal/v475/n7357/full/nature10288.html |date=28 July 2011 |journal=Nature |volume=475 |pages=465–470 |doi=10.1038/nature10288 |issue=7357 |author=Xing Xu, Hailu You, Kai Du and Fenglu Han |pmid=21796204}}</ref> 。さらに、この三つのグループはパラエイブス([[w:Paraves|Paraves]])と呼ばれるグループを構成する。[[ドロマエオサウルス科]]の[[ミクロラプトル]]など、このグループに属するいくつかの[[w:Basal (phylogenetics)|ベーサル]]は、滑空ないし飛行することができたかもしれない特徴を持っている。最もベーサルであるデイノニコサウルス類は非常に小型である。この証拠は、パラエイブスに属する種の祖先が、[[w:Arboreal locomotion|樹上性]]であったかも知れず、あるいはまた滑空することができたかも知れず、さらにそのいずれでもあった可能性を提起する<ref name="AHTetal07">{{Cite journal|last=Turner |first=Alan H. |year=2007 |title=A basal dromaeosaurid and size evolution preceding avian flight |url=http://www.sciencemag.org/cgi/reprint/317/5843/1378.pdf |format=PDF |journal=[[Science (journal)|Science]]|volume=317 |pages=1378–1381 |doi=10.1126/science.1144066 |pmid=17823350 |month= September|issue=5843 |issn=0036-8075 |last2=Pol |first2=D |last3=Clarke |first3=JA |last4=Erickson |first4=GM |last5=Norell |first5=MA }}</ref><ref name="xuetal2003">{{Cite journal|author=Xing, X., Zhou, Z., Wang, X., Kuang, X., Zhang, F., and Du, X.|year=2003|title=Four-winged dinosaurs from China|journal=[[Nature (journal)|Nature]]|volume=421|issue=6921|pages=335–340|doi=10.1038/nature01342|pmid=12540892|month= January|last1=Xu|first1=X|last2=Zhou|first2=Z|last3=Wang|first3=X|last4=Kuang|first4=X|last5=Zhang|first5=F|last6=Du|first6=X|issn=0028-0836}}</ref>。近年の研究から、最初の鳥類は、肉食であった始祖鳥や羽毛恐竜とは異なり、[[草食動物]]であったことが示唆される<ref>[http://the-scientist.com/2011/07/27/on-the-origin-of-birds/ On the Origin of Birds]</ref>。 |
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ただし、その外側に羽毛が密生するために、外見はこれと大いに異なる。首が長いものでは、外見でもはっきり見えるが、頭部から胴部までが一つの塊の形を取る例も多い。特に前肢と尾は、長い羽毛が発達するため、肉体部より遙かに大きく見える。なお、後肢が細いという印象があるが、これも筋肉の発達した大腿部が羽毛に覆われて胴部と一緒になっているためである。なお、後肢では鱗を表面に持つ。 |
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[[ジュラ紀]]後期の始祖鳥は、最初に発見された[[ミッシングリンク]](transitional fossils)のひとつとして有名である。そしてこの化石は19世紀後期の[[進化]]論を支持する証拠となった。始祖鳥は、爬虫類の特徴(すなわち、歯や、鉤爪のある指、そして長い[[トカゲ]]に似た尾)のみならず、現生鳥類のそれと同様な風切り羽根をもつ翼の存在を、明瞭に示した最初の化石であった。始祖鳥が、現生鳥類の直接の祖先であるとは考えられていないが、おそらくは現生鳥類の真の祖先の近縁であった<ref name ="mayretal2007">{{Cite journal | doi = 10.1111/j.1096-3642.2006.00245.x | last1 = Mayr | first1 = G. | last2 = Phol | first2 = B. | last3 = Hartman | first3 = S. | last4 = Peters | first4 = D.S. | year = 2007 | title = The tenth skeletal specimen of ''Archaeopteryx'' | url = | journal = Zoological Journal of the Linnean Society | volume = 149 | issue = | pages = 97–116 }}</ref>。 |
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===内部形態=== |
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{{main|鳥類の体の構造}} |
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骨格の面では、全体として互いの融合および軽量化が目立つ。前者の例としては、頭骨は成体では一体になり、胸椎も互いに連結する。脊椎も肩から尾にかけては融合傾向が強く、腰椎から尾椎、および腰の骨が融合して骨盤を作る。前肢では指の退化に伴い、掌から指の骨が融合した腕掌骨という独特の骨を持つ。鎖骨は左右が融合して叉骨となる。胸骨は、ほとんどのものでは竜骨突起を持つが、これは飛翔のために前肢を動かす筋肉の接着面を作るものである。ダチョウなどではこれが退化している。後者の例としては、骨の内部に多くの空洞を有し、一部の大きい骨では気嚢がその内部に入り込んでいる。 |
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=== |
===異論と論争=== |
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鳥類の起源の研究をめぐっては多くの論争が行われてきた。初期の意見の相違には、鳥類が恐竜から進化したのか、あるいはもっと原始的な[[主竜類]](archosaurs)から進化したのかというものも存在する。恐竜陣営のなかにも、[[鳥盤類]]恐竜と[[獣脚類]]恐竜のいずれのほうが、より鳥類の祖先としてふさわしいかという意見の相違があった<ref name="Heilmann1927">Heilmann, Gerhard (1927). ''The Origin of Birds''. New York: Dover Publications.</ref>。鳥盤類 (bird-hipped) 恐竜と現生鳥類は、骨盤の構造が共通であるが、鳥類は[[竜盤類]](lizard-hipped) 恐竜が起源であると考えられている。したがってかれらの骨盤の構造は、互いに[[収斂進化|無関係に進化した]]ものである<ref>{{Cite journal|last=Rasskin-Gutman |first=Diego |month=March |year=2001 |title=Theoretical morphology of the Archosaur (Reptilia: Diapsida) pelvic girdle |journal=[[w:Paleobiology (journal)|Paleobiology]] |volume=27 |issue=1 |pages=59–78|doi=10.1666/0094-8373(2001)027<0059:TMOTAR>2.0.CO;2 |last2=Buscalioni |first2=Angela D.|issn=0094-8373}}</ref>。事実、鳥類様の骨盤の構造は、[[w:Therizinosauridae|テリジノサウルス科]]と呼ばれる、獣脚類恐竜の特異なグループの進化において、3度出現している。 |
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{{出典の明記|section=1|date=2011年3月}} |
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基本的には[[恒温動物]]であるが、[[カッコウ]]や[[ハチドリ]]のように体温の日周変動幅が大きい[[種]]もある。また、低気温時や食料欠乏時には半休眠状態になり活動が鈍る[[:en:Ani (bird)|オオハシカッコウ類]]のような種も存在する。<ref> BODY TEMPERATURE IN BIRDS.1991. Comparative Biochemistry and Physiology Part A: Physiology 99:499-506</ref> |
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現生種では[[:en:Common Poorwill|プアーウィルヨタカ]](''Phalaenoptilus nuttallii'')以外には冬眠・夏眠する種<ref>Further observations on the hibernation of the poor-will.1949. The Condor 51:105-109</ref>は知られていない。</br> |
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[[フクロウ]]のような例外を除き[[視覚]]は[[紫外線]]域も含む4原色色覚である。このため、ヒトの目(3原色色覚かつ紫外域は感知できない)にはオスとメスの区別がほとんどできない鳥でも、紫外線の反射率がオスとメスで大きな差があることもあり、鳥自身には両者の差は明瞭にみえている可能性がある。また、鳥類は一般に[[昼行性]]が多いが、[[フクロウ]]、[[ゴイサギ]]など[[夜行性]]または薄明活動型(夕方に活動)の鳥類も少なくない。鳥類は全て鳥目と誤解されることが多いが[[ニワトリ]]などを除いて夜間も視力をもつものが多い。 |
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[[w:University of North Carolina|ノースカロライナ大学]]の鳥類古生物学者[[アラン・フェドゥーシア]]のような一部の少数派の研究者は、主流派の意見に異議を唱えており、鳥類が恐竜から進化したのではなく、[[ロンギスクアマ]]のような初期の主竜類から進化したと主張している<ref>{{Cite journal|last=Feduccia |first=Alan |month=November |year=2005|title=Do feathered dinosaurs exist? Testing the hypothesis on neontological and paleontological evidence |journal=Journal of Morphology |volume=266 |issue=2 |pages=125–66 |doi=10.1002/jmor.10382 |pmid=16217748 |issn=0362-2525 |last2=Lingham-Soliar |first2=T |last3=Hinchliffe |first3=JR}}</ref><ref>This theory is contested by most [[w:palaeontology|paleontologists]]. {{Cite journal|last=Prum |first=Richard O. |month=April |year=2003 |title=Are Current Critiques Of The Theropod Origin Of Birds Science? Rebuttal To Feduccia 2002 |journal=[[w:The Auk]] |volume=120 |issue=2 |pages=550–61 |doi=10.1642/0004-8038(2003)120[0550:ACCOTT]2.0.CO;2 |jstor=4090212|issn=0004-8038}}</ref>。 |
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== 生態 == |
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=== 食性 === |
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摂食食物は通常丸呑みし、破砕は砂などの硬質小粒が入った筋肉質の[[砂嚢]]で行う。これは[[ワニ]]類および[[恐竜]]類と共通の特徴である。口器は[[くちばし|クチバシ]]であり、咀嚼には適さない。食性は様々であるが、[[動物]]食もしくは[[種子]]・[[果実]]食が多い。[[草食]]は地上性の走鳥類などわずかである。これは空を飛ぶためには体重を極力低く抑える必要があるため、草食に適した長大な[[消化器官]]をもたないからである。また、飛行は[[エネルギー]]消費量が大きいために高カロリーの摂取が必要なためでもあるとされる。 |
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===初期の鳥類の進化=== |
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動物食としては、地上の[[昆虫]]類・[[魚類]]・[[両生類]]・[[爬虫類]]・[[哺乳類]]・鳥類から水辺の[[節足動物]]・[[軟体動物]]・[[貝]]類など、体格・形態に合わせて、様々な環境において捕食者となっている。植物食としては、種子類・果実類を対象とするものが多い。その他、[[ライチョウ]]等の[[花]]を食べるもの、淡水カモ等の[[水草]]や[[海草]]を食べるもの等がいる。ダチョウ類は例外的に[[草食]]である。彼らは空を飛ぶことを放棄したため、体重の制限理由がなくなり、草食に適した消化器官をもつ。 |
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{{See also|w:List of fossil birds}} |
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{{userboxtop| toptext= }} |
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=== 繁殖 === |
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{{clade|style=font-size:75% |
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炭酸カルシウムを主成分とする堅い殻のある[[卵]]を生む。雄と雌の一対(番・つがい)のペア繁殖をし、子育てを行うことが普通であるが、以下のようなパターンも認められる。 |
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|label1=[[w:aves|鳥綱]] |
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# 雄と雌が一対 |
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|1={{clade |
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# 一羽の雄に対して、雌が複数 |
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|1=[[始祖鳥]]<br>''[[w:Archaeopteryx|Archaeopteryx]]'' |
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# 逆に一羽の雌に対して、雄が複数 |
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|label2= [[w:Pygostylia|パイゴスティル類]] |
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# 複数の雄と複数の雌(すなわち雑婚) |
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|2={{clade |
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|1=[[胸峰類]]<br>[[w:Confuciusornithidae|Confuciusornithidae]] |
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|label2= [[w:Ornithothoraces|鳥胸類]] |
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|2={{clade |
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|1=[[エナンティオルニス類]]<br>[[w:Enantiornithes|Enantiornithes]] |
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|label2= [[真鳥類]] |
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|2={{clade |
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|1=[[ヘスペロルニス類]]<br>[[w:Hesperornithiformes|Hesperornithiformes]] |
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|2=[[現生鳥類]]<br>[[w:Neornithes|Neornithes]] |
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}} |
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}} |
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<center><small>単純化した鳥類のベーサル系統発生<br>キアッペ,2007 に基づく<!--Basal bird phylogeny simplified after Chiappe, 2007--><ref name="chiappe2007">{{Cite book|last=Chiappe |first=Luis M. |year=2007 |title=Glorified Dinosaurs: The Origin and Early Evolution of Birds |location=Sydney |publisher=University of New South Wales Press |isbn=978-0-86840-413-4}}</ref></small></center> |
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{{userboxbottom}} |
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鳥類の広範な形態への多様化は、[[白亜紀]]の間に起こった<ref name="chiappe2007"/>。鉤爪のついた翼や歯といったような、[[w:Symplesiomorphyw|共有派生形質]]を維持したままのグループも多く存在したが、歯は、現生鳥類(新顎類)を含むいくつものグループで、個々に失われていった。始祖鳥や[[w:Jeholornis|ジェホロルニス]]のような最も初期の形態では、かれらの祖先が持っていた、長く骨のある尾を保持していたが<ref name="chiappe2007"/>、一方でパイゴスティル類に属するより進化した鳥類の尾は、[[w:Pygostyle|尾端骨]]の出現により短くなった。およそ9,500万年前の後期白亜紀には、すべての現生鳥類の祖先は、より優れた嗅覚を進化させた<ref>[http://www.cosmosmagazine.com/news/4223/birds-survived-dino-extinction-with-keen-senses Birds survived dino extinction with keen senses]</ref>。 |
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また、子育てにも様々なパターンがある。 |
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# 雄親と雌親が協力して育てる(大型鳥類や[[スズメ目]]に多い) |
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# 雌親のみが育てる([[カモ]]類など) |
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# 雄親のみが育てる([[タマシギ]]など) |
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# 親のみならず、子を持たない兄弟・姉妹が子育てに参加する。 |
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# 他の鳥類の巣に生みつける([[カッコウ]]類・→[[托卵]]) |
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最初の、大規模で多様化した短尾の鳥類の系統として進化したのが、[[エナンティオルニス類]]、あるいは別名”反鳥類”である。このように命名されたのは、かれらの肩甲骨の構造が、現生鳥類のそれと反転していることに由来している。エナンティオルニス類は生態系において、砂浜をあさる渉禽類や、魚を捕食する鳥から、樹木に居住する形態や、種子を食べる鳥にいたるまで、多彩なニッチを占有した<ref name="chiappe2007"/>。さらに進んだ系統では、これもまた魚を捕食することに特殊化した、表面的には[[カモメ]]によく似た[[イクチオルニス]]亜綱がある。<ref> |
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なお、実際には鳥類の90%が一夫一婦制である。これは巣作りや子育てを行う脊椎動物の中で、とりわけ高い値となっている。これは、巣作り・抱卵・子育てを成功させるためには両親が共同で当たる必要性が高いためと考えられている<ref>岩槻他監修(2006)p.154</ref>。 |
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{{Cite journal|last=Clarke |first=Julia A. |coauthors= |month=September |year=2004 |title=Morphology, Phylogenetic Taxonomy, and Systematics of ''Ichthyornis'' and ''Apatornis'' (Avialae: Ornithurae) |journal=Bulletin of the American Museum of Natural History |volume=286 |pages=1–179 |doi= 10.1206/0003-0090(2004)286<0001:MPTASO>2.0.CO;2|url=http://digitallibrary.amnh.org/dspace/bitstream/2246/454/1/B286.pdf|format=PDF|issn=0003-0090}}</ref> |
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中生代の海鳥の目のひとつである、[[w:Hesperornithes|ヘスペロルニス類]]は海洋での魚の捕食に非常によく適応していたため、飛行する能力を失い、主として水中に生活するようになった。かれらの極端な専門化にも関わらず、ヘスペロルニス目は現生鳥類のもっとも近縁のいくつかの種を代表する存在である<ref name="chiappe2007"/>。 |
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=== 営巣 === |
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{{出典の明記|section=1|date=2011年3月}} |
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[[ファイル:NPS Wildlife. Trumpeter Swan on Nest.jpg|300px|right]] |
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鳥類は繁殖に営巣することが普通である。鳥類は巣作りに、その[[エコリージョン]](生態域)で使用できる様々な巣材を利用する。 |
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===現生鳥類の多様化=== |
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代表的な巣材は、[[草本|草]]・[[苔]]類・[[海草]]・自分自身の[[羽毛]]・他の鳥の羽毛・動物の[[毛 (動物)|毛]]・小石([[チドリ]])・泥([[ツバメ]])等々である。 |
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{{See also|シブリー・アールキスト鳥類分類|w:dinosaur classification}} |
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すべての現生鳥類を含む系統である新鳥亜綱が、白亜紀のおわりまでにいくつかの基本的な系統へと進化したこと、そしてまた、二つの上目、すなわち[[古顎類]] (Palaeognathae)と[[新顎類]] (Neognathae)に分岐したことが、現在では[[w:Vegavis|ベガビス属]]が発見されたことによってわかっている<!--see also Historical Biology 18:205--><ref>{{Cite journal|last=Clarke |first=Julia A. |month=January |year=2005 |title=Definitive fossil evidence for the extant avian radiation in the Cretaceous |journal=[[Nature (journal)|Nature]] |volume=433 |issue= 7023|pages=305–308 |doi=10.1038/nature03150 |pmid=15662422 |url=http://www.digimorph.org/specimens/Vegavis_iaai/nature03150.pdf|format=PDF |issn=0028-0836 |last2=Tambussi |first2=CP |last3=Noriega |first3=JI |last4=Erickson |first4=GM |last5=Ketcham |first5=RA}} [http://www.nature.com/nature/journal/v433/n7023/suppinfo/nature03150.html Nature.com], Supporting information</ref>。古顎類には[[中米]]と[[南米]]の走鳥類とシギダチョウ類が含まれる。もう一方の新顎類からのベーサルの分岐が、[[キジカモ類]](Galloanserae)のグループであり、この上目には[[カモ目]](Anseriformes、[[カモ]] 、 [[ガチョウ]] 、[[ハクチョウ]] 、[[サケビドリ科]]) と[[キジ目]](Galliformes、[[キジ]]、[[ライチョウ]]とその仲間に加えて、[[ツカツクリ科]]、[[ホウカンチョウ科]]とその仲間)が含まれる。この分岐の起こった時期に関する議論は、大きな論争の的となっている。新鳥亜綱が白亜紀に進化し、新顎類からキジカモ類がわかれたのが、K-T境界絶滅イベントの前であることについては同意が得られたが、しかし、これ以外の、新顎類の[[適応放散]]が起きたのが、鳥類以外の恐竜の絶滅以前なのか、あるいは絶滅以降だったのかについては、意見が一致していない<ref name="Ericson">{{Cite journal|last=Ericson |first=Per G.P. |month=December |year=2006 |title=Diversification of Neoaves: Integration of molecular sequence data and fossils |journal=[[w:Biology Letters]] |volume=2 |issue=4 |pages=543–547 |doi=10.1098/rsbl.2006.0523 |pmid=17148284 |url=http://www.senckenberg.de/files/content/forschung/abteilung/terrzool/ornithologie/neoaves.pdf|format=PDF |issn=1744-9561 |last2=Anderson |first2=CL |last3=Britton |first3=T |last4=Elzanowski |first4=A |last5=Johansson |first5=US |last6=Källersjö |first6=M |last7=Ohlson |first7=JI |last8=Parsons |first8=TJ |last9=Zuccon |first9=D |pmc=1834003}}</ref> 。この意見の不一致の原因は、部分的には証拠の発散によるものである。すなわち、化石記録の証拠が[[第三紀]]に適応放散が起きたことを示すにも関わらず、分子年代測定は白亜紀の適応放散を示唆している。これらの証拠を調和させようとする試みは、物議を醸すのみの結果に終わった<ref name="Ericson"/><ref>{{Cite journal|last=Brown |first=Joseph W. |month=June |year=2007 |title=Nuclear DNA does not reconcile 'rocks' and 'clocks' in Neoaves: a comment on Ericson ''et al.'' |journal=[[w:Biology Letters]] |volume=3 |issue=3 |pages=257–259 |doi=10.1098/rsbl.2006.0611 |pmid=17389215 |issn=1744-9561 |url=http://rsbl.royalsocietypublishing.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=17389215 |last2=Payne |first2=RB |last3=Mindell |first3=DP |pmc=2464679}}</ref>。 |
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鳥類の分類は議論の絶えない分野である。[[チャールズ・シブリー|シブリー]]と[[ジョン・アールクィスト|アールキスト]]の''Phylogeny and Classification of Birds'' (1990) は、鳥類の分類における画期的な業績であるが<ref>{{Cite book|last=Sibley |first=Charles |authorlink=w:Charles Sibley |coauthors=[[w:Jon Edward Ahlquist]] |year=1990 |title=Phylogeny and classification of birds |location=New Haven |publisher=Yale University Press |isbn=0-300-04085-7}}</ref> 、しばしば討論が行われ、絶えず改定されている。ほとんどの証拠は、分類における目(order)の割り当てが正確であることを支持しているように見えるが<ref>{{Cite book|last=Mayr |first=Ernst |authorlink=w:Ernst W. Mayr |coauthors=Short, Lester L.|title=Species Taxa of North American Birds: A Contribution to Comparative Systematics |series=Publications of the Nuttall Ornithological Club, no. 9 |year=1970 |publisher=Nuttall Ornithological Club|location=Cambridge, Mass. |oclc=517185}}</ref>、目そのものの相互関係については、研究者の意見は一致していない。現生鳥類の解剖学や、化石、DNAなどあらゆる物が問題解決のために用いられてきたが、強いコンセンサスは出現していない。さらに近年になって、新たな化石記録や分子解析による証拠から、現生鳥類の目の進化に関して、徐々により鮮明なビジョンが得られるようになってきている。 |
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都市空間で生活する鳥([[カラス]]等)では、人工物を利用することもまれではない。 |
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なお、巣作りをしない鳥類は極めて少ない。代表的例外は、他の鳥類に託卵する[[カッコウ]]類、また自分自身の足の上で卵をかえす[[コウテイペンギン]]などである。 |
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===現生鳥類の目:分類===<!-- taxobox links here --> |
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=== さえずり === |
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{{See also|Clements鳥類分類}} |
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鳥類で[[鳥類用語#鳴き声(呼吸器)|さえずり]](囀)を行う種の大半は、[[スズメ目]]の鳥である。スズメ目の中でも[[鳴禽類]]のグループに集中している。鳴禽類のさえずりは、他の鳥類グループの鳴き声よりも複雑なものが多い。また、他の鳥類グループ、例えば[[カッコウ]]などは親鳥と離れて成長しても、その種の鳴き声を発することができるのに対して、鳴禽類の鳥では親鳥と切り離されて育てられるとうまくさえずりができない鳥が多い。すなわち、鳴禽類においては、さえずりを親鳥から学習していると推定されている。 |
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<!--<div style="align:right; float:right;" border=1>--> |
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==== 真似をする鳥 ==== |
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{{userboxtop| toptext= }} |
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[[キュウカンチョウ]]や[[インコ目|オウム]]類などが人の声を真似することは広く知られている。 |
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{{clade|style=font-size:75% |
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|label1=[[w:Neornithes|新鳥類]] |
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|1={{clade |
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|label1=[[古顎類]] |
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|1={{clade |
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|1=[[平胸類]]<br>[[w:Struthioniformes|Struthioniformes]] |
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|2=[[シギダチョウ科|シギダチョウ目]]<br>[[w:Tinamiformes|Tinamiformes]] |
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}} |
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|label2= [[新顎類]] |
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|2={{clade |
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|1=その他の鳥類 <br>([[新顎下綱]]) |
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|label1= |
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|label2=[[キジカモ類]] |
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|2={{clade |
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|1=[[カモ目]]<br>[[w:Anseriformes|Anseriformes]] |
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|2=[[キジ目]]<br>[[w:Galliformes|Galliformes]] |
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}} |
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}} |
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}} |
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<center><small>[[シブリー・アールキスト鳥類分類]]に<br/> 基づく現生鳥類のベーサルの多様化</small></center> |
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真似をする性質は、これらの鳥種に限ったことではなく多くの鳥でみられる。[[カケス]]・[[モズ]]・[[ホシムクドリ]]・[[ヒバリ]]・[[ヌマヨシキリ]]・[[ズグロムシクイ]]・[[クロツグミ]]・[[マネシツグミ]]等々。 |
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<!--<center><small>Basal divergences of modern birds<br/>based on [[Sibley-Ahlquist taxonomy]]</small></center>--> |
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<!--</div>--> |
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{{userboxbottom}} |
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[[File:Neoaves Alternative Cladogram.png|thumb|300px||right|この分岐図は複数の系統発生の研究に基づく、ごく最近の分類を示す。<ref>[http://tolweb.org/Neoaves/26305 Tolweb.org], "Neoaves". ''Tree of Life Project''</ref>]] |
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そのなかでも、チャンピオンといえる鳥が、[[コトドリ]]である。鳥の鳴き声・人の声はもちろん、車のクラクション、チェンソーの起動音、カメラの連写ドライブ音などまで真似するという。 |
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以下に掲げるのは、新鳥亜綱ないし現生鳥類における分類目のリストである。このリストでは(いわゆるクレメンツ鳥類分類と呼ばれている)古典的な分類を、シブリー-モンロー分類に基づいて修正したものを使用している。項目”クレメンツ鳥類分類”では、科を含むさらに詳細な分類目の概要を見ることができる。 |
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[[カラス]]も、時折人や動物の声を真似をすることがある。 |
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'''新鳥亜綱'''<br/> |
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人の声や物音を真似すること自体は、上記の[[鳥類用語#鳴き声(呼吸器)|さえずり]]を学習する習性が鳥の声以外にも起きていると説明でき、特別なことではない。発声器官の構造が、たまたま人間の発音できる[[音素]]に似た音を出せるようになっている鳥であれば、人の声を真似することができる。 |
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新鳥亜綱には二つの[[上目]]が存在する。 |
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[[古顎類]]上目: |
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鳥が人の声を真似していても、彼らが[[言語]]を理解しているわけではない。もっとも、声を真似することでおきる人間の反応を楽しんでいるような態度もみられるため、彼らがまったく無知性の存在だというわけでもない。[[カラス]]や[[オウム]]などは鳥類のなかで最も[[知性]]の高い鳥とされている。なかでもカラスは雑食性による余暇時間の拡大から、本来生命活動に不必要とされる遊びをすることが知られている。 |
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この上目の名称(Palaeognathae)は、口蓋骨格の解剖学的構造に関連して、古代ギリシア語で”古い顎”を意味する'paleognath'に由来している。この部位は、他の鳥類のそれに比較して、より原始的であり爬虫類的であるとされている。古顎類は49種の現存種から構成される二つの目を含む。 |
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=== 渡り === |
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多くの種は長距離の[[渡り]]をし、いくつかの生存圏を移動しながら活動している。([[キョクアジサシ]]など)また、[[ワタリアホウドリ]]など種によってはほとんどを海で暮らすものもある。 |
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*[[平胸類|平胸目]](Struthioniformes) -- [[ダチョウ]]、[[エミュー]]、[[キーウィ]]とその仲間 |
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=== 飛べない鳥 === |
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*[[シギダチョウ目]](Tinamiformes) -- [[シギダチョウ]] |
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鳥類は元々空を飛ぶ翼を持つ生物であるが、さまざまな理由により、[[飛べない鳥|飛ぶ能力を放棄した鳥]]も少なくない。飛ぶことをやめ地上生活に特化した[[ダチョウ]]類・[[キーウィ (鳥)|キーウィ]]他と、飛ぶことをやめ海洋生活に特化した[[ペンギン]]類等などがいる。中でもダチョウの仲間はかなり古い時代に飛ぶのをやめ、競合する陸上ほ乳類の多い環境を生き抜いてきた点で独特である。 |
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[[新顎類]]上目: |
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それ以外の分類群にも飛べない鳥は点在するが、それらはより新しい時代に、二次的に飛ばなくなったものと考えられる。そのような鳥類は、[[ニュージーランド]]や孤島など、地上性の哺乳類のいなかった環境で進化したものに多い。捕食者の不在に加えて、競合する草食獣などが存在しなかったため、地上動物の[[ニッチ]]に収まることのできた鳥たちである。しかし、ヒトが島に侵入した後、ヒトが持ち込んだ家畜、あるいはヒトの移動にまぎれて進入したヘビなどの[[帰化動物]]、そしてヒトそのものが彼等の脅威となっている。捕食者への対抗手段を持たない飛ばない鳥は攻撃を受けやすく、絶滅の危険がある種も多い。[[日本]]の[[ヤンバルクイナ]]はヒトが[[ハブ (動物)|ハブ]]退治のために持ち込んだ[[マングース]]によって絶滅の危機に瀕している。すでに絶滅した飛べない鳥類には[[ドードー]]、[[オオウミガラス]]や[[ニュージーランド]]の[[モア]]などがある。 |
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新顎類上目は27の分類目から構成され、この中には総数約10,000前後の種が含まれる。新顎類は[[適応放散]]を経て、形態(特にクチバシと脚)、機能や生態などの、今日見られる驚異的な多様性を獲得した。 |
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一方、[[家禽]]化の過程でほとんど飛ばなくなった鳥([[アヒル]])、あるいは全く飛ばなくなった鳥([[ガチョウ]])もいる。 |
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新顎類上目は下記の27目から構成される |
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== 進化 == |
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[[File:Giant Haasts eagle attacking New Zealand moa.jpg|thumb|[[ハルパゴルニスワシ]]に襲われる[[モア]]]] |
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この項の主要記事:[[鳥の起源]] ([[:en:Origin of birds]]) |
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*[[カモ目]] ''[[w:Anseriformes|Anseriformes]]''—水鳥 |
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鳥類の[[進化]]上の起源は、時代によりさまざまに揺れ動いてきた。鳥類の恐竜起源説が最初に脚光を浴びたのは、[[進化論]]発表の直後に発見された[[始祖鳥]]の骨格が、小型恐竜のそれと酷似していたことから始まる。また以前は起源を[[爬虫類]]の[[槽歯類]] ([[w:Thecodont|Thecodont]]) などとされた時期もあったが、現在では、古生物学の発展から、[[恐竜]]の[[獣脚類]]から進化したというのが定説となり、[[系統学]]的には鳥類は恐竜に含まれる。すなわち恐竜は絶滅せず、その一部が鳥類に進化して現在でも生きているという解釈である。[[東北大学]]の[[田村宏治]]教授らのグループは、鳥の前足の指が、[[恐竜]]と同じ構成でできていたことを突き止めた<ref>2011年2月11日の朝日新聞朝刊38面</ref>。これによって鳥の祖先が恐竜であることが完全に断定され、起源論争に終止符が打たれた<ref>2011年2月11日の朝日新聞朝刊38面</ref>。 |
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*[[キジ目]] ''[[w:Galliformes|Galliformes]]''—キジカモ類 |
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*[[チドリ目]] ''[[w:Charadriiformes|Charadriiformes]]''—[[カモメ科|カモメ]], [[ミフウズラ科|ミフウズラ]], [[チドリ科|チドリ]] およびその仲間 |
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*[[アビ目]] ''[[w:Gaviiformes|Gaviiformes]]''—[[アビ]] |
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*[[カイツブリ目]] ''[[w:Podicipediformes|Podicipediformes]]''—[[カイツブリ科|カイツブリ]] |
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*[[ミズナギドリ目]] ''[[w:Procellariiformes|Procellariiformes]]''—[[アホウドリ科|アホウドリ]], [[ウミツバメ科|ウミツバメ]] およびその仲間 |
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*[[ペンギン目]] ''[[w:Sphenisciformes|Sphenisciformes]]''—[[ペンギン]] |
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*[[ペリカン目]] ''[[w:Pelecaniformes|Pelecaniformes]]''—[[ペリカン属|ペリカン]] およびその仲間 |
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*[[ネッタイチョウ目]] ''[[w:Phaethontiformes|Phaethontiformes]]''—[[ネッタイチョウ属|ネッタイチョウ]] |
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*[[コウノトリ目]] ''[[w:Ciconiiformes|Ciconiiformes]]''—[[コウノトリ科|コウノトリ]] |
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*[[コンドル目]] ''[[w:Cathartiformes|Cathartiformes]]''—[[コンドル科|コンドル]] |
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*[[フラミンゴ目]] ''[[w:Phoenicopteriformes|Phoenicopteriformes]]''—[[フラミンゴ]] |
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*[[タカ目]] ''[[w:Falconiformes|Falconiformes]]''—[[ハヤブサ科|ハヤブサ]], [[w:Eagle|ワシ]], [[w:Hawk|タカ]] およびその仲間 |
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*[[ツル目]] ''[[w:Gruiformes|Gruiformes]]''—[[w:Crane (bird)|ツル]] およびその仲間 |
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*[[サケイ目]] ''[[w:Pteroclidiformes|Pteroclidiformes]]''—[[サケイ科|サケイ]] |
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*[[ハト目]] ''[[w:Columbiformes|Columbiformes]]''—[[w:Columbidae|ハト]] |
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*[[オウム目]] ''[[w:parrot|Psittaciformes]]''—[[インコ]], [[オウム]] およびその仲間 |
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*[[カッコウ目]] ''[[w:Cuculiformes|Cuculiformes]]''—[[カッコウ科|カッコウ]] および [[エボシドリ科|エボシドリ]] |
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*[[ツメバケイ目]] ''[[w:Opisthocomiformes|Opisthocomiformes]]''—[[ツメバケイ]] |
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*[[フクロウ目]] ''[[w:owl|Strigiformes]]''—[[フクロウ科|フクロウ]] |
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*[[ヨタカ目]] ''[[w:Caprimulgiformes|Caprimulgiformes]]''—[[ヨタカ科|ヨタカ]] およびその仲間 |
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*[[アマツバメ目]] ''[[w:Apodiformes|Apodiformes]]''—[[アマツバメ科|アマツバメ]] および [[ハチドリ]] |
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*[[ブッポウソウ目]] ''[[w:Coraciiformes|Coraciiformes]]''—[[カワセミ科|カワセミ]] およびその仲間 |
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*[[キツツキ目]] ''[[w:Piciformes|Piciformes]]''—[[キツツキ科|キツツキ]] およびその仲間 |
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*[[キヌバネドリ目]] ''[[w:Trogoniformes|Trogoniformes]]''—[[キヌバネドリ科|キヌバネドリ]] |
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*[[ネズミドリ目]] ''[[w:Coliiformes|Coliiformes]]''—[[ネズミドリ科|ネズミドリ]] |
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*[[スズメ目]] ''[[w:Passerine|Passeriformes]]'' |
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最近の分子解析や化石記録、解剖学的な証拠などがキジカモ上目を支持したことから<ref name = "Ericson"/>、分子データに基づいて根本的に改編したシブリー-モンロー分類(シブリー-アールキスト分類学)であり、いくつかの観点における広範な分類目の再編が見られる。 |
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中生代の鳥類の[[化石]]は19世紀に発見された[[ジュラ紀]]の[[始祖鳥]](アーケオプテリクス)の他に、[[白亜紀]]の鳥と恐竜の双方の特徴をもつ、羽毛をもつ生物の化石が、1990年代以降、[[中国大陸]]など次々と発見されている。中でも空を飛んだ[[ミクロラプトル]]などを含む[[ドロマエオサウルス科|ドロマエオサウルス類]]は学者によっては鳥類に含めることもあるほど鳥類的であり、少なくとも鳥類の姉妹群であるとされている。ちなみに始祖鳥は現生鳥類の直接の祖先ではなく、進化の過程で分岐した古鳥類の一種である。<!--古鳥類とは?--> |
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代表的な古鳥類は、ジュラ紀の始祖鳥の他、白亜紀の[[エナンティオルニス類]]・[[ヘスペロルニス]]・[[イクチオルニス]]・[[孔子鳥]]など。現在の地球上で鳥類に最も近縁なのは[[ワニ]]類である。 |
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==分布== |
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{{clade |
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{{See also|w:Lists of birds by region}} |
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|label1=[[主竜類]] |
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[[File:House sparrow04.jpg|thumb|left|alt= 模様のある翼と頭に、明るい色の腹と胸をした小さな鳥がコンクリートの上にいる。 |[[イエスズメ]]の生息域は人間の活動によって、劇的に拡大した。<ref>{{Cite book|last=Newton |first=Ian|year=2003 |title=The Speciation and Biogeography of Birds |location=Amsterdam |publisher=Academic Press |isbn=0-12-517375-X|page=463}}</ref>]] |
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|1={{clade |
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鳥類の生活と繁殖は、ほとんどが陸上の生息地で営まれており、これらは7大陸すべてで見ることができるが、その南限は[[ユキドリ]]の繁殖地で、[[南極大陸]]の内陸 {{convert|440|km|mi|-1}}にも及ぶ<ref>{{Cite book|last=Brooke |first=Michael |year=2004 |title=Albatrosses And Petrels Across The World |location=Oxford |publisher=Oxford University Press|isbn=0-19-850125-0|pages=}}</ref> 。鳥類の最も高度な[[生物多様性|多様化]]は熱帯地方で起こった。初期にはこの高度な多様化の原因が、熱帯地方での高い[[種分化]]のスピードによるものであると考えられていた。しかしながら、近年の研究で、高緯度地方では熱帯地方よりも高い[[絶滅]]率によって、高い種分化の速度が相殺されていることがわかっている<ref>{{Cite journal|last=Weir |first=Jason T. |month=March |year=2007 |title=The Latitudinal Gradient in Recent Speciation and Extinction Rates of Birds and Mammals |journal=[[Science (journal)|Science]] |volume=315 |issue=5818 |pages=1574–76 |doi=10.1126/science.1135590 |pmid=17363673 |issn=0036-8075 |last2=Schluter |first2=D}}</ref>。いくつもの鳥類のグループが、世界中の海洋の海面、海中両方の生活に適応している。たとえば、ある種の[[海鳥]]は繁殖のためだけに海岸にやって来るし<ref name = "Burger">{{Cite book|last=Schreiber |first=Elizabeth Anne |coauthors=Joanna Burger |year=2001 |title=Biology of Marine Birds |location=Boca Raton |publisher=CRC Press |isbn=0-8493-9882-7|pages=}}</ref>、[[ペンギン]]の中には {{convert|300|m|ft|-1}}以上潜水した記録を持つものがある<ref>{{Cite journal|last=Sato |first=Katsufumi |date=1 May 2002|title=Buoyancy and maximal diving depth in penguins: do they control inhaling air volume? |journal=Journal of Experimental Biology |volume=205 |issue=9 |pages=1189–1197 |pmid=11948196 |url=http://jeb.biologists.org/cgi/content/full/205/9/1189 |issn=0022-0949 |author2=N |author3=K |author4=N |author5=W |author6=C |author7=B |author8=H |author9=L}}</ref>。 |
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|label1=[[クルロタルシ類]] |
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|1={{clade |
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|1=偽鰐類(絶滅) |
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|2=植竜類(絶滅) |
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|3='''[[ワニ]]'''(現存) |
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}} |
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|label2=[[鳥頸類]] |
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|2={{clade |
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|1=[[翼竜]](絶滅) |
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|2={{clade |
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|1=[[ラゴスクス]](絶滅) |
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|2=[[恐竜]] --- '''鳥類'''(現存) |
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}} |
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}} |
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}} |
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}} |
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{{要出典|date=2011年3月}} |
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鳥類の中には、[[w:Introduced species|人為的に移入]]された地域で安定個体群を確立した種がいくつもある。なかには意図的に行われた移入もあった。たとえば[[コウライキジ]]は、[[ジビエ|狩猟]]を目的として世界中に移入された<ref>{{Cite book|last=Hill |first=David |coauthors=Peter Robertson |year=1988 |title=The Pheasant: Ecology, Management, and Conservation |location=Oxford |publisher=BSP Professional |isbn=0-632-02011-3|pages=}}</ref>。逆にまた、複数の北アメリカの都市で起きたように、飼育されていたペットの逃亡による、野生の[[オキナインコ]]の安定個体群の確立のような、意図しない移入の例もある<ref>{{Cite web|last=Spreyer |first=Mark F.|coauthors=Enrique H. Bucher|year=1998|title=Monk Parakeet (Myiopsitta monachus)|work=The Birds of North America|publisher=Cornell Lab of Ornithology|url=http://bna.birds.cornell.edu/bna/species/322 |doi=10.2173/bna.322|accessdate=2011-10-10}}</ref>。また[[アマサギ]]<ref>{{Cite journal|last=Arendt |first=Wayne J. |date=1 January 1988|title=Range Expansion of the Cattle Egret, (''Bubulcus ibis'') in the Greater Caribbean Basin |journal=Colonial Waterbirds |volume=11 |issue=2 |pages=252–62 |doi=10.2307/1521007 |issn=07386028 |jstor=1521007}}</ref>や[[カラカラ (鳥)|キバラカラカラ]]<ref>{{Cite book|last=Bierregaard |first=R.O. |year=1994 |chapter=Yellow-headed Caracara |editor=Josep del Hoyo, Andrew Elliott and Jordi Sargatal (eds.) |title=[[w:Handbook of the Birds of the World]]. Volume 2; New World Vultures to Guineafowl |location=Barcelona |publisher=Lynx Edicions |isbn=84-87334-15-6|pages=}}</ref>、[[モモイロインコ]]<ref>{{Cite book|last=Juniper |first=Tony |coauthors=Mike Parr |year=1998 |title=Parrots: A Guide to the Parrots of the World |location=London |publisher=[[w:Helm Identification Guides|Christopher Helm]] |isbn=0-7136-6933-0|pages=}}</ref>のように、[[農業|耕作]]によって新たに作られた生息に適した地域に、本来の生息地をはるかに超えて[[w:Avian range expansion|自然に広がっていった]]種もある。 |
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非主流の仮説では、鳥類の恐竜起源に異論を唱える鳥類学者の[[アラン・フェドゥーシア]]が「鳥は、恐竜ではなく、[[ロンギスクアマ]](小型の樹上性爬虫類)から進化した」という説を唱えている。<ref>フェドゥーシアと彼の支持者の主な反論をまとめると以下の通りである。 |
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* 鳥に近いとされているグループの恐竜は恐竜としては小型でも飛ぶには重過ぎる |
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* 走行説、捕虫網説などの恐竜が飛行するにいたるまでを説明する仮説がいずれも空力学的に不適切 |
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* 鳥類も恐竜も発生途上で前肢の2本の指が退化するが、鳥類は親指と小指が退化するのに対し、恐竜は薬指と小指が退化する |
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* 恐竜を起源とする説では保温のために[[羽毛]]が発達したとするが、[[走鳥類]]の羽毛が退化して毛のようになっているのに対して飛行した祖先を持たない恐竜達が飛ぶことに適した羽毛を持ったとするのは無理がある。 |
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フェドゥーシアは、生物進化を研究する学者としては例外的に[[分岐学]]を受け入れない人物である。そのため、議論の共通基盤を持たない彼の説は鳥類関連の学界においても孤立している。 |
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</ref> |
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一方、最近[[中国]]で発見された、ジュラ紀中期の獣脚類[[リムサウルス]]の化石で、その前肢は一般の獣脚類とは異なり、退化で小指が消失しているが薬指を有し、親指を有しながらもその退化が進行しており、鳥類が獣脚類を起源とする説を改めて強化するものと考えられる<ref>ナショナルジオグラフィック ニュース 2009年6月18日[http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2009061801&expand]</ref>。 |
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==解剖学と生理学== |
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== 系統 == |
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{{Main|鳥類の体の構造|w:Bird vision}} |
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*[[恐竜]] {{sname||Dinosaurus}} |
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[[ファイル:Birdmorphology.svg|thumb|300px|鳥類の典型的な外見的特徴。1:[[くちばし]]、2:頭部、3:[[虹彩]]、4:[[瞳孔]]、5:[[翕]] ([[:en:mantle|mantle]])、6:[[小雨覆]] ([[:en:Lesser covert|Lesser covert]])、7:[[肩羽]] ([[:en:Scapular|Scapular]])、8:[[雨覆]] ([[:en:covert|covert]])、9:[[三列風切]] ([[:en:Tertial||Tertial]])、10:[[尾]]、11:[[初列風切]]、12:[[肛門]]、13:[[腿部]] ([[:en:Thigh|Thigh]])、14:[[かかと]] ([[:en:Tibio-tarsal articulation|Tibio-tarsal articulation]])、15:[[ふ蹠]] (ふせき、[[:en:Tarsus|Tarsus]])、16:[[趾 (鳥類)|趾]]、17:[[脛]]、18:[[腹]]、19:[[脇腹]]、20:[[胸]]、21:[[喉]]、22:[[肉垂]] ([[:en:Wattle|Wattle]])<!-- このキャプションに変更を加えるときは、この図にリンクしている他の記事でのキャプションも確認の上、変更してください。 -->]] |
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**[[竜盤類]] {{sname||Saurischia}} |
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***[[獣脚類]] {{sname||Theropoda}} |
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****[[テタヌラ類]] {{sname||Tetanurae}} |
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*****[[コエルロサウルス類]] {{sname||Coelurosauria}} |
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******[[マニラプトル形類]] {{sname||Maniraptoriformes}} |
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*******[[マニラプトル類]] {{sname||Maniraptora}} |
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********[[エウマニラプトル類]] {{sname||Eumaniraptora}} |
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*********'''鳥類''' {{sname||Aves}} |
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*'''鳥類''' {{sname||Aves}} |
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**[[絶滅|†]][[古鳥類]] {{sname||Archaeornithes}} - [[始祖鳥]]など |
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**[[真鳥類]] {{sname||Pygostylia}} |
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***[[コンフキウソルニス科]] {{sname||Confuciusornithidae}} - [[孔子鳥]]など |
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***{{sname||Ornithothoraces}} |
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****[[異鳥類]] {{sname||Enantiornithes}} - [[シノルニス]]など |
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****(新鳥類){{sname||Ornithuromorpha}} |
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*****[[ヘスペロルニス類]] {{sname||Hesperornithes}} [[ヘスペロルニス]]など |
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*****[[胸峰類]] {{sname||Carinatae}} |
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******[[イクチオルニス]] {{snamei||Ichthyornis}} |
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******[[新鳥類]] {{sname||Neornithes}} - 現生鳥類など |
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鳥類から新鳥類(現生鳥類)までは {{lang|en|Chappe & Witmer 2002}}<ref name="盛岡">{{cite |
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|last=[[森岡弘之]] |
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|editor-last=[[松井正文]] |
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|title=バイオディバーシティ・シリーズ 7 脊椎動物の多様性と系統 |
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|year=2006 |
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|pages=283 |
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|isbn=4785358300 |
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|publisher=[[裳華房]] |
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}}</ref> より<!--系統名 {{sname|Ornithothoraces}} は英語版ウィキペディアより補った-->。絶滅鳥類の位置づけには異説もある。{{sname|Ornithuromorpha}} を新鳥類と訳すことがあるが、新鳥類 {{sname|Neornithes}} と紛らわしいので注意が必要である。 |
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*新鳥類 {{sname|Neornithes}} |
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**[[古顎類]] {{sname||Palaeognathae}} - [[ダチョウ目]]・[[シギダチョウ科|シギダチョウ目]] |
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**[[新顎類]] {{sname||Neognathae}} |
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***[[キジカモ類]] {{sname||Galloanserae}} - [[キジ目]]・[[カモ目]] |
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***{{sname||Neoaves}} |
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****{{sname||Metaves}} - [[ハト目]]・[[ヨタカ目]]・[[アマツバメ目]]など |
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****{{sname||Coronaves}} |
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*****水棲・半水棲グループ |
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******核ツル目とカッコウ |
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******水鳥類 - [[ミズナギドリ目]]・[[ペリカン目]]・[[コウノトリ目]]など |
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*****名称なし |
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******[[チドリ目]]([[ミフウズラ科]]を含む) |
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******陸鳥類(地上・樹上グループ) - [[スズメ目]]・[[タカ目]]・[[キツツキ目]]・[[ブッポウソウ目]]など |
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現生鳥類は、[[ダチョウ目]]と[[シギダチョウ目]]からなる古顎類と、残りの全てからなる新顎類に分かれる。このことを明確に示し2つの系統に命名したのは {{lang|en|W.P.Pycraft 1900}} である。 |
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ほかの脊椎動物に比較して、鳥類は数多くの特異な適応をしめす[[w:Body plan|ボディプラン]]を持っており、そのほとんどは[[w:Bird flight|飛行]]を助けるためのものである。 |
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[[分子系統学]]のかなり初期の段階で、新顎類は[[キジ目]]と[[カモ目]]からなるキジカモ類と、残り全てを含む {{sname|Neoaves}} に分かれることがわかってきた。 |
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骨格は非常に軽量な骨から構成されている。骨には大きな空気の満たされた空洞(pneumatic cavitiesと呼ばれている)があり、[[呼吸器]]と結合されている<ref>{{Cite web|last=Ehrlich |first=Paul R. |coauthors=David S. Dobkin, and Darryl Wheye |title=Adaptations for Flight |url=http://www.stanford.edu/group/stanfordbirds/text/essays/Adaptations.html |year=1988 |work=Birds of Stanford |publisher=[[w:Stanford University]] |accessdate=2007-12-13}} Based on The Birder's Handbook ([[w:Paul Ehrlich]], David Dobkin, and Darryl Wheye. 1988. Simon and Schuster, New York.)</ref> 。成鳥の頭蓋骨は癒合しており[[w:Suture (joint)|縫合線]]がみられない<ref name = "Gill">{{Cite book|last=Gill |first=Frank |year=1995 |title=Ornithology |publisher=WH Freeman and Co |location=New York |isbn=0-7167-2415-4 |pages=}}</ref>。[[眼窩]]は大きく、骨質の[[w:Septum|隔壁]]で隔てられている。[[脊椎]]は、頸部、胸部、腰部、尾部の領域がある。頸部(首)の脊椎は可動性が非常に高く、きわめて柔軟であるが、その動きは前部の胸椎と後部の椎骨の欠損によって制限される<ref>{{Cite news|title=The Avian Skeleton |url=http://www.paulnoll.com/Oregon/Birds/Avian-Skeleton.html |work=paulnoll.com |accessdate=2007-12-13}}</ref>。脊椎の最後のいくつかは[[骨盤]]と融合して[[w:Synsacrum|複合仙骨]]を形成する<ref name = "Gill"/>。飛べない鳥類をのぞいては、肋骨は平坦になっており、[[胸骨]]は飛行のための筋肉を結合するために、船の[[竜骨 (船)|竜骨]]の様な形状をしている。前肢は翼へと修正されている<ref>{{Cite news|title=Skeleton of a typical bird |url=http://fsc.fernbank.edu/Birding/skeleton.htm |date= |work=Fernbank Science Center's Ornithology Web |accessdate=2007-12-13}}</ref>。 |
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そこから先の系統はなかなか解けなかったが、2000年代後半になってようやく、{{sname|Neoaves}} が全現生鳥類の約10%の種を含む {{sname|Metaves}} と、約85%の種を含む {{sname|Coronaves}} に分かれること、また、それぞれがどのような系統を含むかがわかってきた<ref>{{cite |
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|last=Ericson |
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|first=Per G. P. |
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|last2=''et al.'' |
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|title=Diversification of Neoaves: integration of molecular sequence data and fossils |
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|journal=Biol. Lett. |
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|volume=2 |
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|pages=543-547 |
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|year=2006 |
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|url=http://www.cajsalisa.net/pdf/neoaves.pdf |
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}}</ref><ref>{{cite |
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|last=Hackett |
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|first=SJ. |
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|last2=''et al.'' |
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|title=A Phylogenomic Study of Birds Reveals Their Evolutionary History |
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|journal=Science |
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|volume=320 |
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|no=5884 |
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|pages=1763-1768 |
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|year=2008 |
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}}</ref>。しかし、既存の分類は判明した系統とかけ離れており(かなりの目が複数の系統にまたがる多系統である)、系統に応じた分類の再編はこれからの課題である。 |
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鳥類は爬虫類と同様に、基本的には尿酸排泄性である。すなわち、その[[腎臓]]は血液中の窒素廃棄物を抽出して、これを[[尿素]]ないし[[アンモニア]]ではなく、[[尿酸]]として尿管を経由して腸に排出する。鳥類には[[膀胱]]ないし外部尿道孔がなく(ただしダチョウは例外である)、そしてこのため尿酸は半固形の廃棄物として、糞便と一緒に排泄される<ref>{{Cite web|last=Ehrlich |first=Paul R. |coauthors=David S. Dobkin, and Darryl Wheye |title=Drinking |url=http://www.stanford.edu/group/stanfordbirds/text/essays/Drinking.html |year=1988 |work=Birds of Stanford |publisher=Standford University |accessdate=2007-12-13}}</ref><ref>{{Cite journal|last=Tsahar |first=Ella |title=Can birds be ammonotelic? Nitrogen balance and excretion in two frugivores |journal=Journal of Experimental Biology |volume=208 |issue=6 |pages=1025–34 |year=2005 |pmid=15767304 |doi=10.1242/jeb.01495 |month= March|issn=0022-0949 |url=http://jeb.biologists.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=15767304 |last2=Martínez Del Rio |first2=C |last3=Izhaki |first3=I |last4=Arad |first4=Z }}</ref><ref name=coprodeum>{{Cite journal | doi= 10.1016/S1095-6433(03)00006-0 | last1= Skadhauge | first1= E | last2= Erlwanger | first2= KH | last3= Ruziwa | first3= SD | last4= Dantzer | first4= V | last5= Elbrønd | first5= VS | last6= Chamunorwa | first6= JP | title= Does the ostrich (''Struthio camelus'') coprodeum have the electrophysiological properties and microstructure of other birds? | journal= Comparative biochemistry and physiology. Part A, Molecular & integrative physiology | volume= 134 | issue= 4 | pages= 749–755 | year= 2003 | pmid = 12814783 }}</ref>。ただしハチドリのような鳥は、条件的アンモニア排泄性であり、ほとんどの窒素廃棄物をアンモニアとして排出することがある<ref>{{Cite journal|last=Preest |first=Marion R. |month=April |year=1997 |title=Ammonia excretion by hummingbirds |journal=Nature |volume=386 |issue= 6625|pages=561–62 |doi=10.1038/386561a0 |last2=Beuchat |first2=Carol A.}}</ref>。さらに鳥類は、[[哺乳類]]が[[クレアチニン]]を排泄するのに対して、[[クレアチン]]を排泄する<ref name = "Gill"/>。この物質は、ほかの腸の産生物と同じように[[総排出腔]]<ref>{{Cite journal|last=Mora |first=J. |year=1965 |title=The Regulation of Urea-Biosynthesis Enzymes in Vertebrates |journal=[[w:Biochemical Journal]] |volume=96 |pages=28–35 |pmid=14343146 |url=http://www.biochemj.org/bj/096/0028/0960028.pdf|format=PDF |month= July|issn=0264-6021 |last2=Martuscelli |first2=J |last3=Ortiz Pineda |first3=J |last4=Soberon |first4=G |pmc=1206904}}</ref><ref>{{Cite journal|last=Packard |first=Gary C.|year=1966 |title=The Influence of Ambient Temperature and Aridity on Modes of Reproduction and Excretion of Amniote Vertebrates |journal=[[w:The American Naturalist]] |volume=100 |issue=916 |pages=667–82 |doi=10.1086/282459 |pmid=282459 |month= January|last1=Merkin |first1=L |issn=0028-7628 |jstor=2459303}}</ref>に現れる。総排出腔は多目的の開口部で、排泄物はこれを通して排出され、鳥が交尾する時にはそれぞれの[[鳥類の体の構造#生殖器|総排出腔を接触]]させ、メスはこれを通して卵を産む。これに加えて、多くの種が[[ペリット]]の吐き戻しを行う<ref>{{Cite journal|last=Balgooyen |first=Thomas G. |date=1 October 1971|title=Pellet Regurgitation by Captive Sparrow Hawks (''Falco sparverius'') |journal=[[w:Condor (journal)|Condor]] |volume=73 |issue=3 |pages=382–85 |doi=10.2307/1365774 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Condor/files/issues/v073n03/p0382-p0385.pdf|format=PDF |issn=00105422 |jstor=1365774 }}</ref>。鳥類の[[消化]]システムはユニークである。食べたものを貯蔵するための[[素嚢]](そのう)があり、また、[[砂嚢]](さのう)には飲み込んだ小石が入っており、これで食物をすりつぶすことで、歯のないことを補っている<ref>{{Cite journal|last=Gionfriddo |first=James P. |date=1 February 1995|title=Grit Use by House Sparrows: Effects of Diet and Grit Size |journal=Condor |volume=97 |issue=1 |pages=57–67 |doi=10.2307/1368983 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Condor/files/issues/v097n01/p0057-p0067.pdf|format=PDF |issn=00105422 |author2=Best}}</ref>。ほとんどの鳥類が、飛行を助けるため、すばやく消化することに高度に適応している<ref name = "Attenborough">{{Cite book|last=Attenborough |first=David |authorlink=w:David Attenborough |year=1998 |title=[[w:The Life of Birds]] |location=Princeton |publisher=Princeton University Press |isbn=0-691-01633-X|pages=}}</ref>。渡りを行う鳥の中には、腸の蛋白質といった、その体のいろいろな部分からの蛋白質を、渡りの間の補助的なエネルギー源として使用するように適応しているものがある。<ref name = "Battley">{{Cite journal|last=Battley |first=Phil F. |month=January |year=2000 |title=Empirical evidence for differential organ reductions during trans-oceanic bird flight |journal=[[w:Proceedings of the Royal Society]] B |volume=267 |issue=1439 |pages=191–5 |doi=10.1098/rspb.2000.0986 |pmid=10687826 |issn=0962-8452 |last2=Piersma |first2=T |last3=Dietz |first3=MW |last4=Tang |first4=S |last5=Dekinga |first5=A |last6=Hulsman |first6=K |pmc=1690512}} (Erratum in ''Proceedings of the Royal Society B'' '''267'''(1461):2567.)</ref> |
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== 分類 == |
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=== 高位の分類 === |
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*'''鳥綱''' {{sname|Aves}} |
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**†[[竜鳥類|竜鳥亜綱]] {{sname||Sauriurae}} |
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***†[[古鳥類|古鳥下綱]] {{sname||Archaeornithes}} |
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**†[[ラホナヴィス亜綱]] {{sname||Rahonaves}} |
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**†[[真鳥類|真鳥亜綱]] {{sname||Ornithurae}} |
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***†[[コンフキウソルニス科|コンフキウソルニス目]] {{sname||Confuciusornithiformes}} {{snamei|[[incertae sedis]]}} |
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***†[[異鳥類|異鳥下綱]] {{sname||Enantiornithes}} |
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***[[新鳥類|新鳥下綱]] {{sname||Neornithes}} |
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****[[古顎類|古顎上目]] {{sname||Palaeognathae}} |
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****[[新顎類|新顎上目]] {{sname||Neognathae}} |
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(出典:この化石鳥類の分類は {{lang|en|Bock 2002}}<ref name="盛岡" /> より)。系統的には不完全であり、異説も多い。 |
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鳥類は、すべての動物のグループの中で、最も複雑な[[呼吸器]]をもったグループのひとつである<ref name = "Gill"/>。鳥が息を吸い込むとき、新鮮な空気のうち75%が肺を迂回して、[[鳥類の体の構造#呼吸器系|後部気嚢群]]に直接流れ込み、これを空気で満たす。後部気嚢群とは、肺から広がって骨の中の気室に繋がっている気嚢のグループである。残りの25%の空気は直接肺に送られる。鳥が息を吐くと、古い呼気が肺から押し出され、同時に、後部気嚢群に蓄えられていた空気が、肺に強制的に送り込まれる。このようにして、鳥類の肺には息を吸うときにも吐くときにも、常時新鮮な空気が供給されている<ref>{{Cite journal|last=Maina |first=John N. |month=November |year=2006 |title=Development, structure, and function of a novel respiratory organ, the lung-air sac system of birds: to go where no other vertebrate has gone |journal=Biological Reviews |volume=81 |issue=4 |pages=545–79 |pmid=17038201 |doi=10.1017/S1464793106007111 |issn=1464-7931}}</ref>。鳥の声は、[[鳴管]]を使うことによって作り出されている。鳴管は筋肉質の腔で、気管下部の末端から分岐した、複数の鼓膜のような膜が組み合わされている<ref name = "Suthers">{{Cite book|last=Suthers |first=Roderick A. |coauthors=Sue Anne Zollinger |chapter=Producing song: the vocal apparatus |editor=H. Philip Zeigler and Peter Marler (eds.) |year=2004 |title=Behavioral Neurobiology of Birdsong |series=Annals of the New York Academy of Sciences '''1016''' |location=New York |publisher=New York Academy of Sciences |isbn=1-57331-473-0 |pages=109–129 |doi=10.1196/annals.1298.041}} PMID 15313772</ref>。鳥類の心臓には4室があり、右側の[[大動脈弓]]によって[[体循環]]を引き起こす(哺乳類はこれとは異なり、左側の大動脈弓による)<ref name = "Gill"/>。下大静脈は、腎門脈系を経由して、四肢からの血流を受け取る。哺乳類とは異なり、鳥類の[[赤血球]]には[[細胞核]]がある<ref>{{Cite journal|last=Scott |first=Robert B. |month=March |year=1966 |title=Comparative hematology: The phylogeny of the erythrocyte |journal=Annals of Hematology |volume=12 |issue=6 |pages=340–51 |doi=10.1007/BF01632827 |pmid=5325853 |issn=0006-5242}}</ref>。 |
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新鳥類を古顎上目と新顎上目に分けることでは、ほとんどの研究者の意見は一致する(ただし {{lang|en|Bock 2002}} は、通常は新顎類に含めるペンギン類を古顎上目・新顎上目と同等のペンギン上目 {{sname|Impennes}} としている)。現生群だけを論ずるときは、鳥綱の下が直接、古顎上目・新顎上目になることもある。 |
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[[File:Bird blink-edit.jpg|thumb|left|300px| [[ズグロトサカゲリ]]の目を覆う[[w:nictitating membrane|瞬膜]]]] |
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古顎類・新顎類は通常上目とされ、目とのあいだに分類群をもうけることはない。 |
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[[神経系]]は、鳥類の体の大きさから見ると相対的に大規模である<ref name = "Gill"/>。脳において最も発達しているのは、飛行に関連した機能を司る部位であり、[[小脳]]が運動を調節する一方、[[大脳]]が行動パターンや航法、繁殖行動、営巣などをコントロールする。ほとんどの鳥が貧弱な[[嗅覚]]しか持たないが、顕著な例外として[[キーウィ]]<ref>{{Cite journal|last=Sales |first=James |year=2005 |title=The endangered kiwi: a review |journal=Folia Zoologica |volume=54 |issue=1–2 |pages=1–20 |url=http://www.ivb.cz/folia/54/1-2/01-20.pdf|format=PDF}}</ref>、[[コンドル]]目<ref name="Avian Sense of Smell">{{Cite web|last=Ehrlich |first=Paul R. |coauthors=David S. Dobkin, and Darryl Wheye |title=The Avian Sense of Smell |url=http://www.stanford.edu/group/stanfordbirds/text/essays/Avian_Sense.html |year=1988 |work=Birds of Stanford |publisher=Standford University |accessdate=2007-12-13}}</ref>、[[ミズナギドリ目]]<ref>{{Cite journal|last=Lequette |first=Benoit |date=1 August 1989|title=Olfaction in Subantarctic seabirds: Its phylogenetic and ecological significance |journal=The Condor |volume=91 |issue=3 |pages=732–35 |doi=10.2307/1368131 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Condor/files/issues/v091n03/p0732-p0735.pdf|format=PDF |issn=00105422 |author2=Verheyden |author3=Jouventin}}</ref>などの鳥があげられる。鳥類の[[視覚]]システムは一般に高度に発達している。水鳥は特別に柔軟なレンズを持つことで、空中の視覚と水中の視覚を両立させている<ref name = "Gill"/>。なかにはふたつの中心窩をもつ種も存在している<ref>{{Cite journal|last=Wilkie |first=Susan E. |year=1998 |title=The molecular basis for UV vision in birds: spectral characteristics, cDNA sequence and retinal localization of the UV-sensitive visual pigment of the budgerigar (''Melopsittacus undulatus'') |journal=[[w:Biochemical Journal]] |volume=330 |pages=541–47 |pmid=9461554 |month= February|issn=0264-6021 |url=http://www.biochemj.org/bj/330/0541/bj3300541.htm |last2=Vissers |first2=PM |last3=Das |first3=D |last4=Degrip |first4=WJ |last5=Bowmaker |first5=JK |last6=Hunt |first6=DM |pmc=1219171}}</ref>。鳥類は[[4色型色覚]]であり、赤、緑、青の[[錐体細胞]]と同じように、[[紫外線]](UV)に感度のある錐体細胞を[[網膜]]に持っている。このことから、かれらは紫外線の光を見分けることができ、これが求愛行動に関係している。多くの鳥が、紫外線による羽毛の模様を示すが、これはヒトの目では見ることができない。すなわち、ヒトの裸眼で雌雄が同じに見えるような鳥でも、その羽毛に紫外線を反射する部分が存在することによって、性別を見分けられるようになる。オスの[[アオガラ]]の羽毛には、紫外線を反射する冠状の部分があり、求愛行動の際にはポーズをとり、その首筋の羽根を立てることでディスプレイを行う<ref>{{Cite journal|last=Andersson|first=S.|coauthors=J. Ornborg and M. Andersson |title=Ultraviolet sexual dimorphism and assortative mating in blue tits|journal=Proceeding of the Royal Society B |year=1998 |volume=265 |issue=1395 |pages=445–50 |doi=10.1098/rspb.1998.0315}}</ref>。紫外線はまた、食餌を探すためにも使用されている。[[チョウゲンボウ]]は、[[齧歯類]]が地上に残した尿によるトレースの、紫外線反射を見つけることで獲物を探していることが示されている<ref>{{Cite journal|last=Viitala |first=Jussi |year=1995 |journal=Nature |volume=373 |issue=6513 |pages=425–27 |title=Attraction of kestrels to vole scent marks visible in ultraviolet light |doi=10.1038/373425a0 |last2=Korplmäki |first2=Erkki |last3=Palokangas |first3=Pälvl |last4=Koivula |first4=Minna}}</ref> 。鳥類のまぶたは、瞬きのために使用されているのではない。そのかわりに目は、[[瞬膜]]によって潤滑されている。瞬膜は水平方向に移動する三番目のまぶたである<ref>{{Cite journal|last=Williams |first=David L. |month=March |year=2003 |title=Symblepharon with aberrant protrusion of the nictitating membrane in the snowy owl (''Nyctea scandiaca'') |journal=Veterinary Ophthalmology |volume=6 |issue=1 |pages=11–13 |doi=10.1046/j.1463-5224.2003.00250.x |pmid=12641836 |issn=1463-5216 |last2=Flach |first2=E}}</ref>。さらにまた、多くの水鳥において、瞬膜は目をカバーし[[コンタクトレンズ]]のような働きをする<ref name = "Gill"/>。鳥類の網膜は、[[w:Pecten oculi|ペクテン]]と呼ばれる扇状の血液供給システムを持っている<ref name = "Gill"/>。ほとんどの鳥は眼球を動かすことができないが、[[カワウ]]のような例外も存在する<ref>{{Cite journal|last=White |first=Craig R. |month=July |year=2007 |title=Vision and Foraging in Cormorants: More like Herons than Hawks? |journal=PLoS ONE |volume=2 |issue=7 |pages=e639 |doi=10.1371/journal.pone.0000639 |pmid=17653266 |last2=Day |first2=N |last3=Butler |first3=PJ |last4=Martin |first4=GR |pmc=1919429 |last5=Bennett |first5=Peter|editor1-last=Bennett|editor1-first=Peter}}</ref>。鳥類のうち、目をその頭部の両側面に持つものは広い[[w:Visual field|視野]]を持ち、フクロウのように頭部の前面に目を持つものは、[[w:Binocular vision|双眼視]]の視野を持ち、かつ視野の奥行きを見積もることができる<ref>{{Cite journal|last=Martin |first=Graham R. |year=1999 |title=Visual fields in Short-toed Eagles, ''Circaetus gallicus'' (Accipitridae), and the function of binocularity in birds |journal=Brain, Behaviour and Evolution |volume=53 |issue=2 |pages=55–66 |doi=10.1159/000006582 |pmid= 9933782 |issn=0006-8977 |last2=Katzir |first2=G}}</ref>。鳥類の[[耳]]は外側の[[耳介]]を欠いており、羽毛に覆われているが、[[フクロウ]]、[[ミミズク]]、[[コノハズク]]のような鳥では、これらの羽根が耳介に形の似た房を形成する。[[内耳]]には[[蝸牛]](かぎゅう、[[w:cochlea|cochlea]])があるが、哺乳類のそれのように、巻貝状の形をしているわけではない<ref>{{Cite journal|last=Saito |first=Nozomu |year=1978 |title=Physiology and anatomy of avian ear |journal=The Journal of the Acoustical Society of America |volume=64 |issue=S1 |pages=S3 |doi=10.1121/1.2004193}}</ref>。 |
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捕食者に対して、化学的防御を用いることができる鳥が数種類存在している。ある種の[[ミズナギドリ]]は、攻撃者に向かって不快な[[w:Stomach oil|油]]を発射することができるし<ref>{{Cite journal|last=Warham |first=John |date=1 May 1977|title=The Incidence, Function and ecological significance of petrel stomach oils |journal=Proceedings of the New Zealand Ecological Society |volume=24 |pages=84–93 |url=http://www.newzealandecology.org/nzje/free_issues/ProNZES24_84.pdf |doi=10.2307/1365556|format=PDF |issn=00105422 |issue=3 |jstor=1365556}}</ref>、また[[ニューギニア]]産のある種の[[ピトフーイ]]は、強力な神経毒を、その皮膚と羽毛に持っている<ref>{{Cite journal|last=Dumbacher |first=J.P. |month=October |year=1992 |title=Homobatrachotoxin in the genus ''Pitohui'': chemical defense in birds? |journal=Science |volume=258 |issue=5083 |pages=799–801 |doi=10.1126/science.1439786 |pmid=1439786 |issn=0036-8075 |last2=Beehler |first2=BM |last3=Spande |first3=TF |last4=Garraffo |first4=HM |last5=Daly |first5=JW}}</ref>。 |
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{{lang|en|Sibley}} らは、古顎上目・新顎上目のかわりに古顎小綱 {{sname|Eoaves}}・新顎小綱 {{sname|Neoaves}} を使った(学名が異なる点に注意。古顎・新顎は正確な訳ではない)。しかし、現在では {{sname|Neoaves}} は新顎類の主要部分の名称に使うことが多く、この {{lang|en|Sibley}} らの名称を使うことは少ない。 |
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===染色体=== |
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鳥類には二つの性別、すなわちオスとメスがある。鳥類の性は、哺乳類が持っているXとYの染色体ではなく、[[Z染色体|ZとWの性染色体]]によって決定される。オスの鳥は、二つのZ染色体(ZZ)を持ち、メスの鳥はW染色体とZ染色体(WZ)を持っている<ref name = "Gill"/>。ほとんどすべての鳥類の種において、個々の性別は受精の際に決定される。しかしながら、最近の研究によって、[[ヤブツカツクリ]]の間で、[[w:Temperature-dependent sex determination|温度依存的な性決定]]が存在することが明らかになった。ヤブツカツクリの抱卵中に、気温が高いほど、結果としてメスに対するオスの[[性比]]が高くなった<ref>{{Cite journal|last=Göth|first=Anne|title=Incubation temperatures and sex ratios in Australian brush-turkey (''Alectura lathami'') mounds|journal=Austral Ecology|year=2007|volume=32|issue=4|pages=278–85|doi=10.1111/j.1442-9993.2007.01709.x}}</ref>。 |
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==== 古典的な分類 ==== |
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鳥類の分類は、現在流動的である。まず古典的な分類の一例を以下に示す。この分類では鳥類を、その器官の特徴に着目して分類する。たとえば、[[趾 (鳥類)|趾]]が全蹼足であればペリカン目とするなど。 |
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===羽根と羽装と鱗=== |
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{{要出典|date=2011年3月}}<!--古典的な分類でも出典は必要。古典によりそれぞれ異なるから--> |
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{{Main|羽毛|風切羽}} |
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* [[ダチョウ目]] {{sname||Struthioniformes}}, [[ダチョウ]]、全1種 |
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[[File:African Scops owl.jpg|alt= 目を閉じたフクロウが、同じような色をした木の幹の前にいる。部分的に木の葉に隠れている。|thumb|left|[[w:African Scops Owl|アフリカコノハズク]]は羽装によって、周囲の風景に溶け込むことができる。]] |
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* [[レア (鳥類)|レア目]] {{sname|Rhea (bird)|Rheiformes}}, アメリカレアなど、全2種 |
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* [[ヒクイドリ目]] {{sname||Casuariiformes}}, [[エミュー]]など、全10種(中、絶滅種6種) |
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* [[キーウィ (鳥)|キーウィ目]] {{sname|Kiwi|Apterygiformes}}, [[キーウィ (鳥)#Apteryx australis|ブラウンキーウィ]]など、全5種 |
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* [[シギダチョウ目]] {{sname||Tinamiformes}}, [[オオシギダチョウ]]など、全49種 |
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* [[カイツブリ科|カイツブリ目]] {{sname||Podicipediformes}}, [[カイツブリ]]など、全21種(中、絶滅種2種) |
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* [[ペンギン|ペンギン目]] {{sname||Sphenisciformes}}, [[キングペンギン]]、[[コウテイペンギン]]など、全52種(中、絶滅種32種) |
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* [[ミズナギドリ目]] {{sname||Procellariiformes}}, [[アホウドリ]]、[[ウミツバメ]]など、全170種(中、絶滅種46種) |
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* [[ペリカン目]] {{sname||Pelecaniformes}}, [[モモイロペリカン]]、[[カワウ]]など、全151種(中、絶滅種84種) |
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* [[コウノトリ目]] {{sname||Ciconiiformes}}, [[コウノトリ]]、[[サギ]]、[[トキ]]、[[ヘラサギ]]など、全171種(中、絶滅種59種) |
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* [[フラミンゴ|フラミンゴ目]] {{sname||Phoenicopteriformes}}, [[オオフラミンゴ]]など、全21種(中、絶滅種17種) |
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* [[カモ目]] {{sname||Anseriformes}}, [[カモ]]、[[ハクチョウ]]、他148種 |
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* [[タカ目]] {{sname||Accipitriformes}}, {{sname||Falconiformes}}, [[オジロワシ]]、[[オオタカ]]、[[ハヤブサ]]、他300弱種 |
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* [[キジ目]] {{sname||Galliformes}}, [[ライチョウ]]、[[キジ]]、他241種 |
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* [[ツル目]] {{sname||Gruiformes}}, [[タンチョウ]]、他193種 |
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* [[チドリ目]] {{sname||Charadriiformes}}, [[シギ]]、[[チドリ]]、[[カモメ]]など、約200種強 |
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* [[ハト目]] {{sname||Columbiformes}}, [[ハト]]、他308種 |
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* [[オウム目]] {{sname||Psittaciformes}}, オウム、他315種 |
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* [[カッコウ目]] {{sname||Cuculiformes}}, [[カッコウ]]、他146種 |
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* [[フクロウ目]] {{sname||Strigiformes}}, [[フクロウ]]、他134種 |
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* [[ヨタカ目]] {{sname||Caprimulgiformes}}, [[ヨタカ]]、他85種 |
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* [[アマツバメ目]] {{sname||Apodiformes}}, [[アマツバメ]]、他395種 |
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* [[ブッポウソウ目]] {{sname||Coraciiformes}}, [[カワセミ]]、他186種 |
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* [[キツツキ目]] {{sname||Piciformes}}, キツツキ類、他391種 |
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* [[キヌバネドリ目]] {{sname||Trogoniformes}}, キヌバネドリ、全46種 |
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* [[ネズミドリ目]] {{sname||Coliiformes}}, ネズミドリ、全6種(中、絶滅種13種) |
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* [[アビ属|アビ目]] {{sname||Gaviiformes}}, [[アビ]]、全22種(中、絶滅種17種) |
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* [[スズメ目]] {{sname||Passeriformes}}, [[スズメ]]、約5000種 |
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:* イギリス等ではタカ目をタカ目とハヤブサ目と分ける。一方、日本や北米等ではタカ目は単一の目としている。 |
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:* [[ハチドリ]]類は、伝統的分類ではアマツバメ目に含めるが、最近は独立目とする例も多い。 |
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:* その他、伝統的分類でも各国あるいは学説ごとに少しずつ異なる部分があるので注意が必要。 |
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羽根は(現在では真の鳥類であるとは考えられていない、[[羽毛恐竜|恐竜の一部]]にも存在するけれども)、鳥類に特有の特徴である。羽根によって飛行が可能になり、熱の絶縁によって[[w:Thermoregulation|体温調節]]を助け、そしてまた、ディスプレイや、カモフラージュ、また、情報伝達にも使用される<ref name="Gill"/>。羽根にはいくつもの種類があり、それぞれが、個々のさまざまな目的に応じて機能している。羽根は皮膚に付属した上皮成長物であり、羽域(pterylae)と呼ばれる、皮膚の特定の領域にのみ生ずる。これらの羽域の分布パターン(羽区分布、pterylosis)は分類学や系統学で使用されている。鳥の体における羽根の配列や外観を総称して、羽装(plumage)とよぶ。羽装は、同一種の中でも、年齢、[[社会的地位]]<ref>{{Cite journal|last=Belthoff |first=James R. |date=1 August 1994|title=Plumage Variation, Plasma Steroids and Social Dominance in Male House Finches |journal=The Condor |volume=96 |issue=3 |pages=614–25 |doi=10.2307/1369464 |issn=00105422 |author2=Dufty, |author3=Gauthreaux,}}</ref>や[[性的二形|性別]]によって変化することがある<ref>{{Cite web|last=Guthrie| first=R. Dale|title=How We Use and Show Our Social Organs |work=Body Hot Spots: The Anatomy of Human Social Organs and Behavior |url=http://employees.csbsju.edu/lmealey/hotspots/chapter03.htm |accessdate=2007-10-19| archiveurl = http://web.archive.org/web/20070621225459/http://employees.csbsju.edu/lmealey/hotspots/chapter03.htm| archivedate = June 21, 2007}}</ref> 。 |
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==== シブリーらの分類 ==== |
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{{Main|シブリー・アールキスト鳥類分類}} |
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{{鳥類分類|}} |
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形態比較等によるこれら従来の系統方法は、各目の単系統性・目間の類縁関係など不明点が多く指摘されていた。 |
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羽装は常時[[w:Moulting|生え変わって]]いる。鳥の標準的な羽装とは、繁殖期のあと生え変わった羽装であり、Non-breeding plumageとして知られている。あるいは[[w:Humphrey-Parkes terminology|ハンフリー・パークスの用語集(Humphrey-Parkes terminology)]]によれば"基本"羽装("basic" plumage)である。繁殖期の羽装、あるいは基本羽装のバリエーションは、ハンフリー・パークスの用語法によれば交替"alternate"羽装として知られている<ref>{{Cite journal|last=Humphrey |first=Philip S. |date=1 June 1959|title=An approach to the study of molts and plumages |journal=The Auk |volume=76 |pages=1–31 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Auk/v076n01/p0001-p0031.pdf |doi=10.2307/3677029|format=PDF |issn=09088857 |issue=2 |jstor=3677029}}</ref>。ほとんどの種で、羽根の生え変わりは毎年起こるが、中には年に2回生え変わるものもある。また大型の猛禽の中には、数年ごとにしか生え変わらないものもある。羽根の生え変わりのパターンは種ごとに異なっている。スズメ目の鳥では風切り羽根は、最も内側の初列風切り羽根から始まって、一度に1本ずつ生え変わる。6枚の風切り羽根の5番目が生え変わると、最も外側の三列風切り羽根が抜け始める。最も内側の三列風切り羽根が生え変わったあと、次列風切り羽根が最も内側から抜け始め、このプロセスがより外側の羽根へと進んで行く(遠心性換羽、centrifugal moult)。初列風切り羽根が生え変わるに従い、これをカバーしている大雨覆い(greater primary coverts)が、歩調を合わせて生え変わる<ref name="pettingill">{{Cite book|author=Pettingill Jr. OS|year=1970|title=Ornithology in Laboratory and Field|isbn=808716093|publisher=Burgess Publishing Co}}</ref>。カモやガチョウといった、ごく少数の種は、すべての風切り羽根が一度に抜け、一時的に飛ぶことができなくなる<ref name="debeeretal">de Beer SJ, Lockwood GM, Raijmakers JHFS, Raijmakers JMH, Scott WA, Oschadleus HD, Underhill LG (2001). [http://web.uct.ac.za/depts/stats/adu/ringmanual.htm Web.uct.ac.za] SAFRING Bird Ringing Manual.</ref>。一般的なルールとして、尾羽根の脱落と生え変わりは、最も内側のペアから始まる<ref name="pettingill"/>。尾羽根の求心性換羽(Centripetal moult)は、[[キジ科]]でかろうじて見ることができる<ref>{{Cite journal|last=Gargallo|first=Gabriel|date=1 June 1994|title=Flight Feather Moult in the Red-Necked Nightjar ''Caprimulgus ruficollis'' |journal=Journal of Avian Biology |volume=25|issue=2|pages=119–24 |doi=10.2307/3677029 |issn=09088857 |jstor=3677029}}</ref>。遠心性換羽は[[キツツキ]]や[[キバシリ科]]などの鳥の尾羽根では修正されている。これらの鳥では、内側から2番目の羽根のペアから始まり、そして中心の羽根のペアで終わる。これによって、これらの鳥では登攀のための尾羽根の機能を維持している<ref name="pettingill"/><ref>{{Cite journal|last=Mayr |first=Ernst |year=1954|title=The tail molt of small owls |journal=The Auk |volume=71 |issue=2 |pages=172–78 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Auk/v071n02/p0172-p0178.pdf|format=PDF}}</ref>。[[スズメ目]]の鳥に見られる一般的なパターンは、初列風切り羽根が外側に向かって、次列風切り羽根は内側に向かって、そして尾羽根が中心から外部に向かって生え変わって行く<ref>{{Cite web|first=Robert B|last=Payne|title=Birds of the World, Biology 532|url=http://www.ummz.umich.edu/birds/resources/families_otw.html|publisher=Bird Division, University of Michigan Museum of Zoology|accessdate=2007-10-20}}</ref>。営巣に先立って、ほとんどの種のメスが、腹に近い部位の羽根を失うことで、皮膚の露出した[[w:Brood patch|抱卵斑]]を得る。この部分の皮膚は血管がよく発達しており、鳥の抱卵の助けになる<ref>{{Cite journal|last=Turner |first=J. Scott |year=1997 |title=On the thermal capacity of a bird's egg warmed by a brood patch |journal=Physiological Zoology |volume=70 |issue=4 |pages=470–80 |doi=10.1086/515854 |pmid=9237308 |month= July|issn=0031-935X}}</ref>。 |
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1990年代以降、[[分子生物学]]の進歩とともに、その手法により従来分類の課題を乗り越えんとする全く新しい分類体系が登場してきた。その先駆けとなった、[[シブリー・アールキスト鳥類分類]]体系の目リストを以下に示す。(下位分類の詳細は各記事参照) |
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[[File:Red Lory (Eos bornea)-6.jpg|alt=黄色のクチバシをした赤いインコが翼の羽根をくわえている。|upright|right|thumb|[[w:Red Lory|ヒインコ]] の羽繕い]] |
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羽根はメンテナンスが必要であり、鳥は毎日、羽繕いや手入れを行っている。かれらは、一日の9%前後をこの作業に費やしている<ref>{{Cite journal|last=Walther |first=Bruno A. |year=2005 |title=Elaborate ornaments are costly to maintain: evidence for high maintenance handicaps |journal=Behavioural Ecology |volume=16 |issue=1 |pages=89–95 |doi=10.1093/beheco/arh135}}</ref>。嘴は、羽根から異物のかけらを払い出すだけではなく、[[w:Uropygial gland|尾腺]]からの[[蝋]]のような分泌物を塗る事にも使われる。この分泌物は羽根の柔軟性を守り、また、[[w:Antimicrobial|抗菌剤]]としても働き、羽根を劣化させる[[細菌]]の成長を阻害する<ref>{{Cite journal|last=Shawkey |first=Matthew D. |year=2003 |title=Chemical warfare? Effects of uropygial oil on feather-degrading bacteria |journal=[[w:Journal of Avian Biology]] |volume=34 |issue=4 |pages=345–49 |doi=10.1111/j.0908-8857.2003.03193.x |last2=Pillai |first2=Shreekumar R. |last3=Hill |first3=Geoffrey E.}}</ref>。この作用は、アリの分泌する[[ギ酸]]によって補われているのかも知れない。これは[[蟻浴]]として知られている鳥の行動を通して得られるもので、羽根の寄生虫を取り除くための行動であると考えられている<ref>{{Cite journal|last=Ehrlich |first=Paul R. |year=1986 |title=The Adaptive Significance of Anting |journal=The Auk |volume=103 |issue=4 |page=835 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Auk/v103n04/p0835-p0835.pdf|format=PDF}}</ref>。 |
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鳥の[[鳥類の体の構造#鱗|鱗]]は、嘴や、鉤爪、蹴爪と同じようにケラチンから作られている。鱗は主に趾(あしゆび)や中足骨に見られるが、種類によっては足首のずっと上の部位にまで見られるものもある。[[カワセミ亜科]]や[[キツツキ科]]を除いて、ほとんどの鳥において、鱗の重なりは少ない。鳥類の鱗は爬虫類や哺乳類のそれと、[[進化的相同|相同]]であると考えられている<ref>{{Cite book|last=Lucas |first=Alfred M. |year=1972 |title=Avian Anatomy—integument |location=East Lansing, Michigan, US |publisher=USDA Avian Anatomy Project, Michigan State University |pages=67, 344, 394–601}}</ref>。 |
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シブリーらの系統は、形態をほぼ無視していて、分子系統学的に見ても、現在から見れば萌芽期の技術であり、実際の系統を不完全にしか解明できていなかった。そのため彼らの分類は、部分的に見れば評価できる点も多いが、系統的に遠く離れた目を統合していた部分もある。しかし、鳥類分類をほぼ全面的に{{lang|en|Sibley}} らに従っている資料もある<ref>[[ITIS]]など</ref>。 |
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* [[ダチョウ目 (Sibley)]] {{sname||Struthioniformes}} |
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* [[シギダチョウ科|シギダチョウ目 (Sibley)]] {{sname||Tinamiformes}} |
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* [[ホウカンチョウ目 (Sibley)]] Craciformes |
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* [[キジ目 (Sibley)]] {{sname||Galliformes}} |
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* [[カモ目 (Sibley)]] {{sname||Anseriformes}} |
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* [[ミフウズラ目 (Sibley)]] {{sname||Turniciformes}} |
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* [[キツツキ目 (Sibley)]] {{sname||Piciformes}} |
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* [[キリハシ目 (Sibley)]] Galbuliformes |
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* [[サイチョウ目 (Sibley)]] Bucerotiformes |
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* [[ヤツガシラ目 (Sibley)]] {{sname||Upupiformes}} |
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* [[キヌバネドリ目 (Sibley)]] {{sname||Trogoniformes}} |
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* [[ブッポウソウ目 (Sibley)]] {{sname||Coraciiformes}} |
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* [[ネズミドリ目]] {{sname||Coliiformes}} |
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* [[カッコウ目 (Sibley)]] {{sname||Cuculiformes}} |
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* [[オウム目 (Sibley)]] {{sname||Psittaciformes}} |
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* [[アマツバメ目 (Sibley)]] {{sname||Apodiformes}} |
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* [[ハチドリ目 (Sibley)]] {{sname||Trochiliformes}} |
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* [[エボシドリ目 (Sibley)]] {{sname||Musophagiformes}} |
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* [[フクロウ目 (Sibley)]] {{sname||Strigiformes}} |
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* [[ハト目 (Sibley)]] {{sname||Columbiformes}} |
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* [[ツル目 (Sibley)]] {{sname||Gruiformes}} |
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* [[コウノトリ目 (Sibley)]] {{sname||Ciconiiformes}} |
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* [[スズメ目 (Sibley)]] {{sname||Passeriformes}} |
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==飛行== |
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==== その後の分類 ==== |
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{{Main|w:Bird flight}} |
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代表的なものでは、古典分類を踏襲した {{lang|en|[[Clements鳥類分類|Clements]]}} や 形態による系統分類をした {{lang|en|Livezey & Zusi}} が現れている。 |
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[[File:Restless flycatcher04.jpg|left|alt= 白い胸をした黒い鳥が翼を下に降り下ろして、広がった尾羽根を下に向けて飛んでいる。| thumb|飛んでいる[[w:Restless Flycatcher|フタイロヒタキ]]の羽ばたきのダウンストローク]] |
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ほとんどの鳥は[[w:Flying and gliding animals|飛行]]することができ、このことが鳥類を、他のほとんどすべての脊椎動物の綱から際立たせている。飛行はほとんどの種の鳥にとって第一の移動手段であり、繁殖、採餌、そして捕食者からの回避と脱出に用いられる。鳥類は、[[w:airfoil|飛行翼]]として機能するように修正された前肢([[翼]])ばかりではなく<ref name = "Gill"/>、軽量な骨格構造や、二つの大きな飛行のための筋肉である、胸筋(鳥の全体重の15%を占める)と上烏口筋、といった飛行のための、さまざまな適応を行っている。翼の形状と大きさは、一般的に鳥の種の飛行のタイプによって決まる。たいていの鳥は、力の必要な羽ばたきによる飛行と、よりエネルギー要求の低い、滑空飛行を組み合わせている。[[飛べない鳥|飛行しない鳥]]は、その多くが絶滅種であるが、約60種が現存している<ref>{{Cite book|last=Roots |first=Clive |year=2006 |title=Flightless Birds |location=Westport |publisher=Greenwood Press |isbn=978-0-313-33545-7|pages=}}</ref>。飛行能力の消滅は、隔絶された島嶼の鳥類にしばしば起きるが、おそらくこれは限られた資源と、陸棲の捕食者の不在によるものなのであろう<ref>{{Cite journal|last=McNab |first=Brian K. |month=October |year=1994 |title=Energy Conservation and the Evolution of Flightlessness in Birds |journal=The American Naturalist |volume=144 |issue=4 |pages=628–42 |doi=10.1086/285697 |jstor=2462941}}</ref>。ペンギンは飛行こそしないが、飛行のための筋肉を使い、空中と同じ動きで[[ウミスズメ]]や[[ミズナギドリ]]、[[カワガラス]]がするように水中を”飛行”する<ref>{{Cite journal|last=Kovacs |first=Christopher E. |month=May |year=2000 |title=Anatomy and histochemistry of flight muscles in a wing-propelled diving bird, the Atlantic Puffin, ''Fratercula arctica'' |journal=Journal of Morphology |volume=244 |issue=2 |pages=109–25|doi=10.1002/(SICI)1097-4687(200005)244:2<109::AID-JMOR2>3.0.CO;2-0 |pmid=10761049 |last2=Meyers |first2=RA }}</ref>。 |
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{{Clear}} |
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==生態== |
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ただし、{{lang|en|Sibley ''et al.''}} や {{lang|en|Livezey & Zusi}} による分類は方法論的には系統分類であったものの、{{lang|en|Hackett ''et al.'' (2008)}} など現在の分子系統から見れば多くの多系統・側系統が含まれており、歴史的な意味でしか系統的とは言えなくなっているので注意を要する。 |
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鳥類のほとんどは[[昼行性]]であるが、たとえば、[[フクロウ]]や[[ヨタカ]]の多くの種は、夜行性ないし[[薄明薄暮性]](薄明の時間帯に活動する)であるし、また、[[チドリ目]]の中には、潮の干満にあわせて、昼夜にかかわりなく採餌する種が多く存在する<ref>{{Cite journal|last=Robert |first=Michel |month=January |year=1989 |title=Conditions and significance of night feeding in shorebirds and other water birds in a tropical lagoon |journal=The Auk |volume=106 |issue=1 |pages=94–101 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Auk/v106n01/p0094-p0101.pdf|format=PDF}}</ref> |
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===食餌と採餌=== |
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[[File:BirdBeaksA.svg|thumb|250px|upright|right|alt= ことなる形状と大きさのくちばしをもつ16種の鳥の頭部の図|くちばしの形状に見られる採餌への適応]] |
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多くの鳥が、人間と様々な関わりを持っている。主な例を挙げる。 |
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鳥類の食餌は多彩であり、多くの場合[[蜜]]や果実、植物、種子、[[w:Carrion|屍肉]]および、他の鳥を含むさまざまな小動物などが含まれる<ref name = "Gill"/>。鳥には歯がないことから、その[[消化]]器系は、丸のみにした、[[咀嚼]]されていない食物を処理することに適応している。 |
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=== 実用的利用 === |
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食用として利用される例は数多い。中でも、[[家禽]]と言われる[[ニワトリ]]、[[アヒル]]などは肉用・採卵用として広く飼育される。野生の鳥類は今も狩猟の対象として利用される例が多い。[[ポインター]]などの犬種はそのために改良された。 |
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鳥類のうち、多彩な食物の中から食料を獲得したり採餌するために、さまざまな戦略を採用するものをジェネラリストと呼び、また他方、特定の食料物資の獲得に時間と労力を集中させるか、あるいは、単一の戦略だけで、食料を獲得しようとするものは、スペシャリストであると考えられている<ref name = "Gill"/>。鳥類の採餌戦略は種によって異なっている。鳥類の多くは、昆虫や無脊椎動物、果実、種子を[[w:Gleaning (birds)|拾い集めて食べる]]。中には、枝から奇襲攻撃をかけて昆虫を狩るものもある。このように[[害虫]]を探し出す種類の鳥は、有益な’[[生物的防除]]剤’であると考えられており、生物的防除プログラムにおいては、その存在を促進している<ref name="lwa001">{{Cite web|url=http://lwa.gov.au/files/products/land-water-and-wool/pf061365/pf061365.pdf |title=Birds on New England wool properties - A woolgrower guide |accessdate=2010-07-17 |publisher=Australian Government - Land and Water Australia |work=Land, Water & Wool Northern Tablelands Property Fact Sheet |author=N Reid |format=PDF |year=2006}}</ref> 。[[ハチドリ]]や、[[タイヨウチョウ科|タイヨウチョウ]]、[[ヒインコ]]の仲間のような果汁や蜜を採食するものは、特別に適応したブラシ状の舌を持ち、多くの場合くちばしの形状が、[[共進化]]した花に適するようにデザインされている<ref>{{Cite journal|last=Paton |first=D. C. |date=1 April 1989|title=Bills and tongues of nectar-feeding birds: A review of morphology, function, and performance, with intercontinental comparisons |journal=Australian Journal of Ecology |volume=14 |issue=4 |pages=473–506 |doi=10.2307/1942194 |issn=00129615 |first2=. |last2=Baker |jstor=1942194}}</ref> 。[[キーウィ]]と[[チドリ目]]の鳥は、その長いくちばしをプローブとして使い、無脊椎動物を探す。チドリ目の間でくちばしの長さと採餌の方法にバラエティが生じたのは、生態的[[ニッチ]]の分離の結果である<ref name = "Gill"/><ref>{{Cite journal|last=Baker |first=Myron Charles |date=1 April 1973|title=Niche Relationships Among Six Species of Shorebirds on Their Wintering and Breeding Ranges |journal=Ecological Monographs |volume=43 |issue=2 |pages=193–212 |doi=10.2307/1942194 |issn=00129615 |first2=. |last2=Baker |jstor=1942194}}</ref>。[[アビ]]、[[ウスユキガモ]]、[[ペンギン]]、[[ウミスズメ]]などは、水中で翼ないし足を推進器として使い、その獲物を追いかける<ref name = "Burger"/>。一方、[[カツオドリ]]や[[カワセミ]]、[[アジサシ]]のような飛行型の捕食者は、その獲物の後ろに空中から突入する。[[フラミンゴ]]や[[アオミズナギドリ]]のうちの3種、そして[[カモ]]の一部は[[w:filter feeder|濾過摂食]]を行う<ref>{{Cite journal|last=Cherel |first=Yves |year=2002 |title=Food and feeding ecology of the sympatric thin-billed ''Pachyptila belcheri'' and Antarctic ''P. desolata'' prions at Iles Kerguelen, Southern Indian Ocean |journal=Marine Ecology Progress Series |volume=228 |pages=263–81 |doi=10.3354/meps228263 |last2=Bocher |first2=P |last3=De Broyer |first3=C |last4=Hobson |first4=KA}}</ref><ref>{{Cite journal|last=Jenkin |first=Penelope M. |year=1957 |title=The Filter-Feeding and Food of Flamingoes (Phoenicopteri) |journal=Philosophical Transactions of the Royal Society of London. Series B, Biological Sciences |volume=240 |issue=674 |pages=401–93 |doi=10.1098/rstb.1957.0004 |jstor=92549}}</ref>。[[ガン]]や[[カモ]]は基本的に草食動物である。 |
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使役のために使う例もある。特に[[猛禽類]]を飼い慣らして小型の獲物を狩る[[鷹狩り]]がよく知られている。ハトを通信手段として利用する伝書鳩は、一時は軍用としても使われた。現在では競技として残っている。 |
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[[オオグンカンドリ]]、[[カモメ]]<ref>{{Cite journal|last=Miyazaki |first=Masamine |date=1 July 1996|title=Vegetation cover, kleptoparasitism by diurnal gulls and timing of arrival of nocturnal Rhinoceros Auklets |journal=The Auk |volume=113 |issue=3 |pages=698–702 |doi=10.2307/3677021 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Auk/v113n03/p0698-p0702.pdf|format=PDF |issn=09088857 |last2=Kuroki |last3=Niizuma |last4=Watanuki |first2=M. |first3=Y. |first4=Y. |jstor=3677021}}</ref> や[[トウゾクカモメ]]<ref>{{Cite journal|last=Bélisle |first=Marc |date=1 August 1995|title=Predation and kleptoparasitism by migrating Parasitic Jaegers |journal=The Condor |volume=97 |issue=3 |pages=771–781 |doi=10.2307/1369185 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Condor/files/issues/v097n03/p0771-p0781.pdf|format=PDF |issn=00105422 |author2=Giroux}}</ref>など一部の種は、[[w:Kleptoparasitism|寄生的略奪(kleptoparasitism)]]-- 他の鳥から食料になるものを奪いとること -- を行う。寄生的略奪による食料はいずれの種においても、食料の主要な部分と言うよりは、むしろ狩猟による収穫を補うものであると考えられている。[[オオグンカンドリ]]についての研究によれば、かれらは[[アオツラカツオドリ]]の食料から、多くてもその40%、平均ではたった5%しか奪っていないと見積もられている<ref>{{Cite journal|last=Vickery |first=J. A. |date=1 May 1994|title=The Kleptoparasitic Interactions between Great Frigatebirds and Masked Boobies on Henderson Island, South Pacific |journal=The Condor |volume=96 |issue=2 |pages=331–40 |doi=10.2307/1369318 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Condor/files/issues/v096n02/p0331-p0340.pdf|format=PDF |issn=00105422 |first2=. |last2=Brooke |jstor=1369318}}</ref>。他の鳥には[[腐肉食]]のものがある。中にはコンドルのように、屍肉に特化したものもあるし、また一方、カモメや[[カラス]]、あるいは他の猛禽類のような便宜主義者もある<ref>{{Cite journal|last=Hiraldo |first=F.C. |year=1991 |title=Unspecialized exploitation of small carcasses by birds |journal=Bird Studies |volume=38 |issue=3 |pages=200–07 |doi=10.1080/00063659109477089 |last2=Blanco |first2=J. C. |last3=Bustamante |first3=J.}}</ref>。 |
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他に、[[羽毛]]が[[保温材]]などとして使われる。 |
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===水の摂取=== |
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窒素廃棄物排出の様態と、[[汗腺]]の欠如によって、鳥類の水分に対する生理的要求は軽減されてはいるが、それでも多くの鳥にとって水は必要である<ref>{{Cite book|year=2005|url=http://irs.ub.rug.nl/ppn/287916626|isbn=90-367-2378-7|last=Engel|first=Sophia Barbara|title=Racing the wind: Water economy and energy expenditure in avian endurance flight|publisher=University of Groningen}}</ref>。ある種の砂漠の鳥は、その食物に含まれる水分だけで、必要とする水をすべて得ることができる。さらにかれらはこれ以外にも、体温の上昇を許容して蒸散冷却(浅速呼吸)による水分の損失を抑える<ref>{{Cite journal|first=B.I.|last=Tieleman|title=The role of hyperthermia in the water economy of desert birds|journal= Physiol. Biochem. Zool.|volume=72|year=1999|pages=87–100|doi=10.1086/316640|pmid=9882607|month= January|last1=Tieleman|first1=BI|last2=Williams|first2=JB|issue=1|issn=1522-2152}}</ref>、といった適応を行っていると考えられている。海鳥は海水を飲むことができ、頭蓋内部に[[w:Salt gland|塩類腺]]をもっている。この塩類腺によって海水から過剰な塩分を除去して、鼻孔から排出する<ref>{{Cite journal|title=The Salt-Secreting Gland of Marine Birds|last=Schmidt-Nielsen|first=Knut|journal=Circulation|date=1 May 1960|volume=21|pages=955–967|url=http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/21/5/955|issue=5}}</ref> |
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多くの鳥が鑑賞や愛玩のために飼育される。鳴き声の美しいもの、姿の美しいものがよく利用されるが、オウムなどは鳴き真似を楽しむ。装飾品としても利用される。美しい飾りバネを持つものは、剥製として装飾用に利用され、また飾りバネだけを装飾品に用いる例も多い。 |
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ほとんどの鳥は水を飲む際に、その嘴で水をすくい取り、そして水がのどを流れ落ちるように、首を上にそらせる。一部の種、ことに乾燥した地域に生息する[[ハト科]]や[[カエデチョウ科]]、[[ネズミドリ科]]、[[ミフウズラ科]]、[[ノガン科]]などに属する種は、水をすする能力があり、その頭を後ろに傾ける必要がない<ref>{{Cite journal|first=Sara L.|last=Hallager|title=Drinking methods in two species of bustards|journal=Wilson Bull.|volume=106|issue=4|year=1994|pages=763–764|url=http://hdl.handle.net/10088/4338}}</ref>。飲み水に依存しているある種の砂漠の鳥や、[[サケイ科]]の鳥は、毎日水たまりに集まってくることで、とりわけ有名である。営巣しているサケイや、チドリ科の多くの鳥は、その腹の羽毛に水を含ませて、雛に運ぶ<ref>{{Cite journal|title=Water Transport by Sandgrouse|first=Gordon L.|last= MacLean|journal=BioScience|volume=33|issue= 6|date=1 June 1983|pages=365–369|doi=10.2307/1309104|issn=00063568|jstor=1309104}}</ref>。中には、巣の雛に飲ませる水を、自分の[[素嚢]](そのう)にいれて運び、あるいは、餌と一緒に吐きもどす鳥もある。ハト科、フラミンゴ目やペンギン目の鳥は、[[素嚢乳]]と呼ばれる栄養分を含んだ液体を分泌して、これを雛に与えるような適応を行っている<ref>{{cite journal|author=Eraud C|coauthors= Dorie A; Jacquet A & Faivre B|year=2008|title= The crop milk: a potential new route for carotenoid-mediated parental effects| journal= Journal of Avian Biology| volume=39| pages= 247–251| doi= 10.1111/j.0908-8857.2008.04053.x|issue=2}}</ref>。 |
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=== 空想上の鳥 === |
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鳥は空を飛ぶことから、天や神からの使いとして神聖視されることがあった。下記はほんの一例である。 |
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* [[日本]]の伝説上の鳥は[[八咫烏]]など。 |
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* [[中国]]の伝説上の鳥は[[鳳凰]]、[[朱雀]]など。 |
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* 青鸐(せいだく)[ダクは羽+隹に鳥] は中国の[[瑞鳥]]。青濁とも書かれる。人の顔で八枚の羽根と一本足を持つ。[[和漢三才図会]]に記載されている。 |
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* [[ガルダ]]([[ガルーダ]])は[[インド神話]]に登場する神鳥。日本仏教には迦楼羅(かるら)として伝わる。 |
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* [[迦陵頻伽]]は[[仏典]]に登場する半鳥人。 |
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* [[ロック鳥]]は[[アラビアン・ナイト]]に登場する巨鳥。 |
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* 北[[アメリカ先住民族]]の伝説上の鳥は[[サンダーバード (伝説の生物)|サンダーバード]]と俗称される。 (本来の名称は部族により異なる) |
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* 西洋文明の伝説上の鳥[[フェニックス]]。別名に[[火の鳥]]、[[不死鳥]]とも。 |
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== 関連項目 == |
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===渡り=== |
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{{Portal bird}} |
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{{Main|w:Bird migration}} |
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たくさんの種の鳥たちが、地球規模の[[w:Season|季節]]的な気温の差異を利用するために、渡りをおこない、これによって、食料供給や繁殖地の確保の最適化を図っている。これらの渡りの行動は、それぞれのグループによって異なっている。通常、天候や気候の条件だけではなく、昼の長さがきっかけとなって、多くの陸鳥や、[[海鳥]]、[[w:shorebird|渉禽]]、[[水鳥]]が毎年、長距離の渡りに乗り出して行く。これらの鳥を特徴づけているのは、かれらが繁殖期を[[温帯|温暖な地域]]、ないしは[[北極]]または[[南極]]の極地方で過ごし、そうでない時期を[[熱帯]]地方か、あるいは反対の半球で過ごすことである。渡りに先立って、鳥たちは体脂肪を大幅に増やし、また、一部の体組織の大きさを維持したり、縮小させたりする<ref name = "Battley"/><ref name = "Klaassen">{{Cite journal|last=Klaassen |first=Marc |coauthors= |date=1 January 1996|title=Metabolic constraints on long-distance migration in birds |journal=Journal of Experimental Biology |volume=199 |issue=1 |pages=57–64 |pmid=9317335 |url=http://jeb.biologists.org/cgi/reprint/199/1/57 |issn=0022-0949}}</ref>。渡りは、とりわけ食料の補給なしに、砂漠や大洋を横断する必要がある鳥たちにとって、エネルギー的な要求が高い。陸鳥は、おおよそ{{convert|2500|km|mi|-2|abbr=on}}前後の飛行距離を持ち、渉禽は{{convert|4000|km|mi|-2|abbr=on}}以上を飛ぶことができる<ref name=autogenerated1>{{Cite book|last=Gill |first=Frank |year=1995 |title=Ornithology |edition=2nd |location=New York |publisher=W.H. Freeman |isbn=0-7167-2415-4|pages=}}</ref>。しかし、[[オオソリハシシギ]]は{{convert|10200|km|mi|-2|abbr=on}}以上の距離を、ノンストップで飛び続ける能力がある<ref>{{Cite news|title=Long-distance Godwit sets new record |url=http://www.birdlife.org/news/news/2007/04/bar-tailed_godwit_journey.html |date=2007-05-04 |publisher=[[BirdLife International]] |accessdate=2007-12-13}}</ref>。[[海鳥]]もまた、長距離の渡りを行う。最も長距離の周期的な渡りを行うのが、[[ハイイロミズナギドリ]]である。かれらは[[ニュージーランド]]や[[チリ]]で営巣し、北半球の夏を、[[日本]]や[[アラスカ]]、[[カリフォルニア]]沖の北太平洋で、餌を採って過ごす。この季節的な周回移動は、総距離 {{convert|64000|km|mi|-2|abbr=on}}にも及ぶ<ref>{{Cite journal|last=Shaffer |first=Scott A. |year=2006 |title=Migratory shearwaters integrate oceanic resources across the Pacific Ocean in an endless summer |journal=Proceedings of the National Academy of Sciences |volume=103 |issue=34 |pages=12799–802 |doi=10.1073/pnas.0603715103 |pmid= 16908846 |month= August|issn=0027-8424 |url=http://www.pnas.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=16908846 |last2=Tremblay |first2=Y |last3=Weimerskirch |first3=H |last4=Scott |first4=D |last5=Thompson |first5=DR |last6=Sagar |first6=PM |last7=Moller |first7=H |last8=Taylor |first8=GA |last9=Foley |first9=DG |pmc=1568927}}</ref>。この他の海鳥では、繁殖期が過ぎると分散して広い範囲を移動するが、一定の渡りのルートを持たない。[[南極海]]で営巣するアホウドリは、繁殖期と繁殖期の間には、しばしば極周回の移動を行っている<ref>{{Cite journal|last=Croxall |first=John P. |year=2005 |title=Global Circumnavigations: Tracking year-round ranges of nonbreeding Albatrosses |journal=Science |volume=307 |issue=5707 |pages=249–50 |doi=10.1126/science.1106042 |pmid=15653503 |month= January|issn=0036-8075 |last2=Silk |first2=JR |last3=Phillips |first3=RA |last4=Afanasyev |first4=V |last5=Briggs |first5=DR}}</ref>。 |
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[[File:Bar-tailed Godwit migration.jpg|alt= ニュージーランドから韓国に至る、鳥の飛行経路を示す複数の着色した線が描かれている太平洋の地図|thumb|left|人工衛星によって追跡された、[[ニュージーランド]]から北へ向かう、[[ハイイロミズナギドリ]]の渡りの経路。かれらはあらゆる種の中でも最長の、{{convert|10200|km|mi|-2|abbr=on}}にも及ぶ、ノンストップの渡りを行う種として知られている。]] |
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中には、もっと短距離の渡りを行う種もある。移動は、単に悪天候を避けるために必要な距離だけであったり、また、食料を得るために必要なだけであったりする。北方の[[アトリ]]のような大発生する種は、そのようなグループのひとつであり、ある年にはある場所でごく普通に見られたものが、次の年には全くいなくなったりする。この種の渡りは、通常、食料入手の容易さに関連している<ref>{{Cite journal|last=Wilson |first=W. Herbert, Jr. |year=1999 |title=Bird feeding and irruptions of northern finches:are migrations short stopped? |journal=North America Bird Bander |volume=24 |issue=4|pages=113–21 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/NABB/v024n04/p0113-p0121.pdf|format=PDF}}</ref>。また、これらの鳥はその分布域の一部に重なるような、さらに短距離の移動を行うこともある。個体によっては高緯度地方から、同種の鳥の既存の分布域に移動することもある。そしてほかのものは、生息数の一部分だけ(普通、メスと亜優先種のオスたち)が移動する、部分的な渡り(partial migration)を行う<ref>{{Cite journal|last=Nilsson |first=Anna L. K. |year=2006 |title=Do partial and regular migrants differ in their responses to weather? |journal=The Auk |volume=123 |issue=2 |pages=537–47 |url=http://findarticles.com/p/articles/mi_qa3793/is_200604/ai_n16410121|doi=10.1642/0004-8038(2006)123[537:DPARMD]2.0.CO;2 |last2=Alerstam |first2=Thomas |last3=Nilsson |first3=Jan-Åke|issn=0004-8038}}</ref>。部分的な渡りは地域によっては、鳥類の渡り行動の大きなパーセンテージを占めることがある。オーストラリアでの調査によれば、非スズメ目の鳥でその44%が、またスズメ目の鳥でその32%が、部分的な渡りを行っていることがわかっている<ref>{{Cite journal|last=Chan |first=Ken |year=2001 |title=Partial migration in Australian landbirds: a review |journal=[[w:Emu (journal)|Emu]] |volume=101 |issue=4 |pages=281–92 |doi=10.1071/MU00034}}</ref>。高所移動(Altitudinal migration)は、短距離の渡りのひとつの形態で、繁殖期を標高の高い高地で過ごし、最適下限の条件下では、より高度の低い地域に移動するような鳥に見られる。多くの場合、この行動のきっかけとなるのが、気温の変化であり、また一般に、通常のなわばりが、食料の欠乏によって生息に適さなくなることにより引き起こされる<ref>{{Cite journal|last=Rabenold |first=Kerry N. |year=1985 |title=Variation in Altitudinal Migration, Winter Segregation, and Site Tenacity in two subspecies of Dark-eyed Juncos in the southern Appalachians |journal=The Auk|volume=102 |issue=4 |pages=805–19 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Auk/v102n04/p0805-p0819.pdf|format=PDF}}</ref>。また一部の種は放浪性である場合もあり、決まったなわばりを持たず、水や食料を求めて移動する。[[インコ]]は、[[科 (分類学)|科]]としての圧倒的多数が移動性でもなければ、定住性でもない。その移動の形態は、分散的であるか、大発生によるものか、放浪性であるか、あるいは不規則に渡りを行っているか、そのいずれかではないかと考えられている<ref>{{Cite book|last=Collar |first=Nigel J. |year=1997|chapter=Family Psittacidae (Parrots)|title=[[w:Handbook of the Birds of the World]], Volume 4: Sandgrouse to Cuckoos |editor=Josep del Hoyo, Andrew Elliott and Jordi Sargatal (eds.) |location=Barcelona |publisher=Lynx Edicions |isbn=84-87334-22-9|pages=}}</ref>。 |
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鳥類が、膨大な距離を超えて、正確な位置に戻ってくる能力を持っていることは以前から知られていた。1950年代に行われた実験では[[ボストン]]ではなされた[[マンクスミズナギドリ]]が、13日後に{{convert|5150|km|mi|-2|abbr=on}}の距離を越えて、[[ウェールズ]]州[[w:Skomer|スコマー島]]にあったもとのコロニーに帰還した<ref>{{Cite journal|last=Matthews |first=G. V. T. |date=1 September 1953|title=Navigation in the Manx Shearwater |journal=Journal of Experimental Biology |volume=30 |issue=2 |pages=370–96 |url=http://jeb.biologists.org/cgi/reprint/30/3/370 }}</ref>。鳥は渡りの間、さまざまな方法を使って航法を行っている。[[昼行性]]の渡り鳥の場合、日中の航法には[[太陽]]が用いられ、そして、夜間は恒星がコンパスとして使用される。航法に太陽を用いる鳥は、飛行に伴う日々の太陽の位置の変化を、[[体内時計]]を利用して補正している<ref name = "Gill"/>。恒星によるコンパスでは、その方向は、[[北極星]]を取り囲む[[星座]]の位置に依存している<ref>{{Cite journal|last=Mouritsen |first=Henrik |date=15 November 2001|title=Migrating songbirds tested in computer-controlled Emlen funnels use stellar cues for a time-independent compass |journal=Journal of Experimental Biology |volume=204 |issue=8 |pages=3855–65 |pmid= 11807103 |url=http://jeb.biologists.org/cgi/content/full/204/22/3855 |issn=0022-0949 |author2=L}}</ref>。ある種の鳥たちはこれらの航法を、特殊な[[光受容体]]による地球の[[地磁気]]を検知する事ができる能力によって、バックアップしている<ref>{{Cite journal|last=Deutschlander |first=Mark E. |date=15 April 1999|title=The case for light-dependent magnetic orientation in animals |journal=Journal of Experimental Biology |volume=202 |issue=8 |pages=891–908 |pmid= 10085262 |url=http://jeb.biologists.org/cgi/reprint/202/8/891 |issn=0022-0949 |author2=P |author3=B}}</ref>。 |
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===コミュニケーション=== |
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{{See also|w:Bird vocalization}} |
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[[File:Stavenn Eurypiga helias 00.jpg|thumb|alt= 中央部に大きな斑点を持つ翼をそれぞれ左右いっぱいに広げている、大型で茶色の模様の陸鳥| right|[[ジャノメドリ]]の驚くべきディスプレイ。大型の捕食者に擬態している。]] |
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鳥類は、基本的に視覚的信号と聴覚信号を使って[[動物のコミュニケーション|コミュニケーション]]を行う。これらの信号は異なる種の間(interspecific)の信号である場合もあれば、同じ種の中(intraspecific)での信号である場合もある。 |
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鳥類は、時には社会的な優位性を評価したり、主張するために羽装を使用することがあり<ref>{{Cite journal|last=Möller |first=Anders Pape |year=1988 |title=Badge size in the house sparrow ''Passer domesticus''|journal=[[w:Behavioral Ecology and Sociobiology]] |volume=22 |issue=5 |pages=373–78}}</ref>、また、[[性淘汰]]の起こった種のなかでは、繁殖可能な状態にあることを示すために使われることもある。あるいはまた、[[ジャノメドリ]]に見られるような擬態(親鳥が大型捕食者を擬態して、[[タカ]]を脅かして追い払い、幼い雛を守ること)を行うために、羽装が使われることもある<ref>{{Cite journal|last=Thomas |first=Betsy Trent |date=1 August 1990|title=Nesting Behavior of Sunbitterns (''Eurypyga helias'') in Venezuela |journal=The Condor |volume=92 |issue=3 |pages=576–81 |doi=10.2307/1368675 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Condor/files/issues/v092n03/p0576-p0581.pdf|format=PDF |issn=00105422 |author2=Strahl}}</ref>。羽装のバリエーションはまた、ことに異種間において、互いにその種類を識別することを可能にする。鳥類相互の視覚的コミュニケーションには、儀式化されたディスプレイが必然的に含まれていることもある。これらのディスプレイは羽繕いや羽根の位置の調整、つつき順、あるいは、その他のさまざまな振る舞いのような、信号を目的としない動作から発展したものであろう。こういったディスプレイによって、攻撃や服従を意味する信号を送る場合もあるし、また、つがい関係の形成に役立つ場合もある<ref name = "Gill"/>。最も精巧なディスプレイは、求愛行動の際に行われるものである。このいわゆる”ダンス”は多くの場合、多数の可能な動作を構成要素とする複雑な組み合わせによって構成されており<ref>{{Cite journal|last=Pickering |first=S. P. C. |year=2001 |title=Courtship behaviour of the Wandering Albatross ''Diomedea exulans'' at Bird Island, South Georgia |journal=Marine Ornithology |volume=29 |issue=1 |pages=29–37 |url=http://www.marineornithology.org/PDF/29_1/29_1_6.pdf|format=PDF}}</ref>、オスの繁殖の成功が、このようなディスプレイの出来栄えにかかっていることもある<ref>{{Cite journal|last=Pruett-Jones |first=S. G. |date=1 May 1990|title=Sexual Selection Through Female Choice in Lawes' Parotia, A Lek-Mating Bird of Paradise |journal=[[w:Evolution (journal)|Evolution]] |volume=44 |issue=3 |pages=486–501 |doi=10.2307/2409431 |issn=00143820 |author2=Pruett-Jones}}</ref>。 |
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[[File:Troglodytes aedon.ogg|thumb|right|北米で一般的な鳴禽である、[[イエミソサザイ]]のさえずり]] |
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鳥の[[w:Bird vocalization|鳴き声とさえずり]]は、[[鳴管]]によって作られ、鳥が[[音]]によってコミュニケーションを行う際の主要な手段である。この種のコミュニケーションは、非常に複雑なものになることもある。なかには鳴管の二つの面を、それぞれ独立して操作できる種もあり、これによって、同時に二つの異なるさえずりを作り出すことができる<ref name = "Suthers"/>。鳴声はさまざまな目的に使用される。たとえば異性の気を引くことや<ref name = "Gill"/>、異性を値踏みすること<ref>{{Cite journal|doi=10.1080/08927014.1994.9522988 |last=Genevois |first=F. |year=1994|last2=Bretagnolle|first2=V. |title=Male Blue Petrels reveal their body mass when calling |journal=Ethology Ecology and Evolution |volume=6 |issue=3 |pages=377–83 |url=http://ejour-fup.unifi.it/index.php/eee/article/view/667/613}}</ref>、つがいの形成、なわばりの主張と維持<ref name = "Gill"/>、個体相互の識別(たとえばミソサザイの親鳥がコロニーの中で雛を探すとき、また繁殖期の初めにつがいが再会するとき)<ref>{{Cite journal|last=Jouventin |first=Pierre |month= June|year=1999 |title=Finding a parent in a king penguin colony: the acoustic system of individual recognition |journal=Animal Behaviour |volume=57 |issue=6 |pages=1175–83 |doi=10.1006/anbe.1999.1086 |pmid=10373249 |issn=0003-3472 |last2=Aubin |first2=T |last3=Lengagne |first3=T}}</ref> 、あるいは、捕食者らしきものの接近をほかの鳥へ警告したり、また時には脅威の性質に関する一定の情報である場合もある<ref>{{Cite journal|last=Templeton |first=Christopher N. |year=2005 |title=Allometry of Alarm Calls: Black-Capped Chickadees Encode Information About Predator Size |journal=Science |volume=308 |issue=5730 |pages=1934–37 |doi=10.1126/science.1108841 |pmid=15976305 |month= June|issn=0036-8075 |last2=Greene |first2=E |last3=Davis |first3=K}}</ref>。あるいはまた、機械的に発生させた音を、聴覚的コミュニケーションに使用する鳥もある。[[ニュージーランド]]産の[[w:Coenocorypha|ジシギ]]は、その羽根に空気を通して振動させる<ref name = "Miskelly">{{Cite journal|last=Miskelly |first=C. M. |coauthors= |month=July |year=1987 |title=The identity of the hakawai |journal=Notornis |volume=34 |issue=2 |pages=95–116 |url=http://www.notornis.org.nz/free_issues/Notornis_34-1987/Notornis_34_2.pdf|format=PDF}}</ref>。[[キツツキ]]はなわばりを主張するドラミングを行い<ref name = "Attenborough"/>、また[[ヤシオウム]]はドラミングのために道具を使う<ref>{{Cite journal|last=Murphy |first=Stephen |year=2003 |title=The breeding biology of palm cockatoos (''Probosciger aterrimus''): a case of a slow life history |journal=[[w:Journal of Zoology]] |volume=261 |issue=4 |pages=327–39 |doi=10.1017/S0952836903004175 |last2=Legge |first2=Sarah |last3=Heinsohn |first3=Robert}}</ref>。 |
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[[File:Red-billed quelea flocking at waterhole.jpg|thumb|left|alt= 遠くから眺めた小さな鳥の巨大な群れ。鳥たちがしみの様に見える。|right|[[w:Red-billed Quelea|コウヨウチョウ]]はもっとも個体数の多い鳥で、<ref name = "flycatcher">{{Cite book|last=Sekercioglu |first=Cagan Hakki |year=2006 |chapter=Foreword |title=[[w:Handbook of the Birds of the World]], Volume 11: Old World Flycatchers to Old World Warblers|editor=Josep del Hoyo, Andrew Elliott and David Christie (eds.) |location=Barcelona |publisher=Lynx Edicions |isbn=84-96553-06-X|page=48}}</ref> 時には数万羽を越える巨大な群れを形成する。]] |
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===群れの形成とそのほかの集合体=== |
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なかには縄張りでの生活や、小さな家族のグループでの生活を基本とする種も存在するが、そうではない鳥は、大規模な[[w:Flock (birds)|群れ]]を形成することがある。群れをつくることの大きな利点は、[[w:Safety in numbers|数が多いことによる安全]]であり、そして採餌効率の向上である<ref name = "Gill"/>。樹林のような閉じた生息地では、捕食者に対する防御([[w:Ambush predator|待ち伏せ型の捕食者]]が一般的であり、複数の目による監視によって、価値ある視覚的早期警戒システムを得ることができる)が、ことのほか重要である。このことから[[w:Mixed-species foraging flock|混群]]の形成が発達してゆく。混群は通常、個体数の少ないたくさんの種から構成される。こういった混群は、数が多いことによる安全をもたらすが、潜在的な資源の争奪を減少させる<ref>{{Cite journal|last=Terborgh |first=John |year=2005 |title=Mixed flocks and polyspecific associations: Costs and benefits of mixed groups to birds and monkeys |journal=American Journal of Primatology |volume=21 |issue=2|pages=87–100 |doi=10.1002/ajp.1350210203}}</ref>。群れを形成することの代償には、社会的地位が低い鳥に対する、より優位な鳥によるいじめや、特定の条件下での採餌効率の低下などがある<ref>{{Cite journal|last=Hutto |first=Richard L. |date=1 January 988|title=Foraging Behavior Patterns Suggest a Possible Cost Associated with Participation in Mixed-Species Bird Flocks |journal=[[w:Oikos (journal)|Oikos]] |volume=51 |issue=1 |pages=79–83 |doi=10.2307/3565809 |issn=00301299 |jstor=3565809}}</ref>。 |
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鳥は時には、鳥類以外の種と集合体を作ることもある。上空から急降下して潜水して捕食するタイプの海鳥(Plunge-diving seabirds)は、魚群を海面に押し上げてくれる、[[イルカ]]や[[ツナ|マグロ]]の群れに集合する<ref name = "AU">{{Cite journal|last=Au |first=David W. K. |date=1 August 1986|title=Seabird interactions with Dolphins and Tuna in the Eastern Tropical Pacific |journal=The Condor |volume=88 |issue=3 |pages=304–17 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Condor/files/issues/v088n03/p0304-p0317.pdf |doi=10.2307/1368877|format=PDF |issn=00105422 |author2=Pitman}}</ref> 。[[サイチョウ]]は、[[w:Common Dwarf Mongoose|コビトマングース]]と[[相利共生]]的な関係にある。かれらは一緒に餌をさがし、[[猛禽]]や、そのほかの捕食者の接近を互いに警告しあう<ref>{{Cite journal|last=Anne |first=O. |month=June |year=1983 |title=Dwarf mongoose and hornbill mutualism in the Taru desert, Kenya |journal=Behavioral Ecology and Sociobiology |volume=12 |issue=3 |pages=181–90 |doi=10.1007/BF00290770 |last2=Rasa |first2=E.}}</ref>。 |
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===休息と睡眠===<!--Roosting redirects here--> |
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[[File:Caribbean Flamingo2 (Phoenicopterus ruber) (0424) - Relic38.jpg|thumb|alt= 灰色の足をしたピンク色のフラミンゴが、長い首を胴に押し付けて、頭を翼の下に押し込んでいる。|多くの種が、たとえばこの[[オオフラミンゴ]]のように、眠るときにはその首を背中に押し込む。]] |
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鳥類の一日における、活動的期間の高い代謝率は、これ以外の時間の休息によって補われている。睡眠中の鳥は、用心深い眠り(vigilant sleep)として知られるタイプの眠りをしばしば用いる。このタイプの睡眠には、素早く目を開くことによる一瞥(peeks)が組み込まれており、これによってかれらは異常に対して鋭敏になり、脅威から素早く逃れられるようになる<ref>{{Cite journal|last=Gauthier-Clerc |first=Michael |month=May |year=2000 |title=Sleep-Vigilance Trade-off in Gadwall during the Winter Period |journal=The Condor |volume=102 |issue=2 |pages=307–13 |url=http://elibrary.unm.edu/sora/Condor/files/issues/v102n02/p0307-p0313.pdf |doi=10.1650/0010-5422(2000)102[0307:SVTOIG]2.0.CO;2|format=PDF |last2=Tamisier |first2=Alain |last3=Cézilly |first3=Frank|issn=0010-5422}}</ref>。[[アマツバメ科|アマツバメ]]は、飛行中に睡眠をとることができると考えられているが、レーダーを使った観測によれば、その飛行中の休息のさいには、かれらは風上に向かうように方向を決めていることがわかっている<ref>{{Cite journal|journal=The Journal of Experimental Biology|volume=205|pages=905–910|date=1 April 2002|title=Harmonic oscillatory orientation relative to the wind in nocturnal roosting flights of the swift ''Apus apus''|first=Johan|last=Bäckman|url=http://jeb.biologists.org/cgi/content/full/205/7/905|pmid=11916987|issue=7|issn=0022-0949|author2=A}}</ref>。そこには、おそらくは飛行中であっても可能であるような、ある種の睡眠のようなものが存在する可能性が示唆されている<ref>{{Cite journal|last=Rattenborg|first=Niels C. |year=2006 |title=Do birds sleep in flight? |journal=Die Naturwissenschaften |volume=93 |issue=9 |pages=413–25 |doi=10.1007/s00114-006-0120-3|pmid=16688436|month= September|last1=Rattenborg|first1=NC|issn=0028-1042}}</ref>。また、ある種の鳥には、大脳のそれぞれの[[w:Cerebral hemisphere|半球]]で、交替で[[徐波睡眠]]に入ることができる能力を示すものもある。鳥はこの能力を、群れの外側方向に対する、その位置に応じて働かせる傾向がある。これによって、睡眠中の大脳半球の反対側の目が、群れの外縁を見張ることで、[[捕食]]者を警戒し続けることが可能になる。こういった適応は、[[海獣|海棲哺乳類]]においても知られている<ref>{{Cite journal|last=Milius |first=S. |date=6 February 1999|title=Half-asleep birds choose which half dozes |journal=Science News Online |volume=155 |issue= 6|page=86 |url=http://findarticles.com/p/articles/mi_m1200/is_6_155/ai_53965042 |doi=10.2307/4011301 |issn=00368423 |jstor=4011301 }}</ref>。鳥が集団でねぐらに集まることは一般的である。と言うのも、これによって [[w:thermoregulation|体熱の損失]]を押さえ、捕食者に関連する危険を低減できるからである<ref>{{Cite journal|last=Beauchamp |first=Guy |year=1999 |title=The evolution of communal roosting in birds: origin and secondary losses |journal=Behavioural Ecology |volume=10 |issue=6 |pages=675–87 |url=http://beheco.oxfordjournals.org/cgi/content/full/10/6/675 |doi=10.1093/beheco/10.6.675 }}</ref> 。ねぐらの場所は、多くの場合、保温と安全を考慮して選択される<ref>{{Cite journal|last=Buttemer |first=William A.|year=1985 |title=Energy relations of winter roost-site utilization by American goldfinches (''Carduelis tristis'') |journal=[[w:Oecologia]] |volume=68 |issue=1 |pages=126–32 |url=http://deepblue.lib.umich.edu/bitstream/2027.42/47760/1/442_2004_Article_BF00379484.pdf |doi=10.1007/BF00379484 |format=PDF}}</ref>。 |
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多くの鳥が、睡眠の際にはその首を背中越しに折り曲げて、嘴を背中の羽根の中に押し込んでいる。あるいはまた、胸の羽毛の中に、嘴を差し込んで眠る鳥もある。多くの鳥が一本足で休息をとるが、中には、特に寒冷な気候において、両足を羽毛の中に引き込んでしまう鳥もある。[[スズメ目]]の鳥には、腱のロック機構が備わっており、このことが、睡眠中にその体を、止まり木の上に保持することに役立っている。ウズラやキジといった、多くの陸禽が樹上にねぐらを持つ。インコのなかでも、[[w:Hanging parrot|サトウチョウ属]](''Loriculus'')の鳥は、上下さかさまにぶら下がって休息する<ref>{{Cite journal|last=Buckley |first=F. G. |date=1 January 1968|title=Upside-down Resting by Young Green-Rumped Parrotlets (''Forpus passerinus'') |journal=The Condor |volume=70 |issue=1 |page=89 |doi=10.2307/1366517 |issn=00105422 |author2=Buckley}}</ref>。[[ハチドリ]]の中には、夜間モードとして、代謝率の低下を伴う[[w:Torpor|休眠状態]]になるものがある<ref>{{Cite journal|last=Carpenter |first=F. Lynn |year=1974 |title=Torpor in an Andean Hummingbird: Its Ecological Significance |journal=Science |volume=183 |issue=4124 |pages=545–47 |doi=10.1126/science.183.4124.545 |pmid=17773043 |month= February|issn=0036-8075}}</ref>。この生理的な[[適応]]は、[[ズクヨタカ科|ズクヨタカ]]や、[[ヨタカ科|ヨタカ]]、[[w:Woodswallow|モリツバメ]]など、100種近い他の鳥にも見られる。ただ一種類、[[w:Common Poorwill|プアーウィルヨタカ]]だけは、[[冬眠]]状態に入ることすらある<ref>{{Cite journal|last=McKechnie |first=Andrew E. |year=2007 |title=Torpor in an African caprimulgid, the freckled nightjar ''Caprimulgus tristigma'' |journal=Journal of Avian Biology |volume=38 |issue=3 |pages=261–66 |doi=10.1111/j.2007.0908-8857.04116.x |last2=Ashdown |first2=Robert A. M. |last3=Christian |first3=Murray B. |last4=Brigham |first4=R. Mark}}</ref>。鳥類は汗腺を持たないが、日陰に移動したり、水中に立ったり、浅速呼吸をしたり、体表面積を大きくしたり、喉をはためかせたりして、その体を冷却する。あるいはまた、[[w:Urohidrosis|urohidrosis]](冷却のメカニズムとして、自分の脚の鱗の部分に排便する行動)といった特別な行動によって、自分自身を冷却することがある。 |
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===繁殖=== |
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====社会システム==== |
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[[File:Raggiana Bird-of-Paradise wild 5.jpg|thumb|alt= 緑色の顔、黒い胸そしてピンク色の下半身をした鳥が、上を向いている。精巧な長い羽根が、その翼と尾にある。|right|[[アカカザリフウチョウ]]のオスは、他のフウチョウ属の鳥同様、精巧な繁殖期羽装を、メスに自分を印象づけるために使う<ref>{{Cite journal|doi=10.1071/MU9810193|last=Frith|first=C.B|title=Displays of Count Raggi's Bird-of-Paradise ''Paradisaea raggiana'' and congeneric species|journal=Emu|volume=81|issue = 4|pages=193–201| url=http://www.publish.csiro.au/paper/MU9810193.htm|year=1981}}</ref>。]] |
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鳥類の95パーセントは、社会的に一夫一婦制である。これらの種のつがいは、最低でもひとつの繁殖期の間、あるいはまた、場合によっては数年から、配偶者が死亡するまで続く<ref>{{Cite journal|last=Freed|first=Leonard A.|year=1987|title=The Long-Term Pair Bond of Tropical House Wrens: Advantage or Constraint?|journal=[[w:The American Naturalist]]|volume=130|issue=4|pages=507–25|doi=10.1086/284728}}</ref>。一夫一婦制によって、[[親の投資|両親による子育て]](Parental investment、PI)が可能となる。このことはメスが雛の哺育を成功させるために、オスの手助けが必要であるような種にとって、きわめて重要なことである<ref>{{Cite journal|last=Gowaty|first=Patricia A.|title=Male Parental Care and Apparent Monogamy among Eastern Bluebirds (''Sialia sialis'')|journal=[[w:The American Naturalist]]|volume=121|issue=2|pages=149–60|year=1983|doi=10.1086/284047}}</ref>。多くの社会的に一夫一婦制である種のあいだで、配偶者以外との交尾(婚外関係)は一般的である<ref>{{Cite journal|last=Westneat|first=David F.|year=2003|title=Extra-pair paternity in birds: Causes, correlates, and conflict|url=http://arjournals.annualreviews.org/doi/pdf/10.1146/annurev.ecolsys.34.011802.132439 |doi=10.1146/annurev.ecolsys.34.011802.132439|journal=[[w:Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics]]|volume=34|pages=365–96|last2=Stewart|first2=Ian R.K.}}</ref>。このような行動は、ふつうは優占種のオスと、亜優占種のオスの配偶者であるメスとの間で起こる。しかしまた、アヒルとこれ以外の[[カモ科]]の鳥との強制的なペアリングの結果として、このような行動が起こることもある<ref>{{Cite journal|last=Gowaty|first=Patricia A.|year=1998|url=http://findarticles.com/p/articles/mi_qa3746/is_199802/ai_n8791262|title=Ultimate causation of aggressive and forced copulation in birds: Female resistance, the CODE hypothesis, and social monogamy|journal=[[w:American Zoologist]]|volume=38|issue=1|pages=207–25|doi=10.1093/icb/38.1.207|last2=Buschhaus|first2=Nancy}}</ref>。メスにとっては、婚外関係から期待される利益には、その子孫によりすぐれた遺伝子を得られることや、また彼女の配偶者による無精卵の可能性に対して保険をかけることなどがある<ref>{{Cite journal|last=Sheldon|first=B|year=1994|title=Male Phenotype, Fertility, and the Pursuit of Extra-Pair Copulations by Female Birds|journal=Proceedings: Biological Sciences|volume=257|issue=1348|pages=25–30|doi=10.1098/rspb.1994.0089}}</ref>。婚外関係に関わった種のオスは、かれらの作った子孫を確実に哺育できるように、その相手を密接に保護する<ref>{{Cite journal|last=Wei|first=G|year=2005|title=Copulations and mate guarding of the Chinese Egret |doi=10.1675/1524-4695(2005)28[527:CAMGOT]2.0.CO;2|journal=Waterbirds|volume=28|issue=4|pages=527–30|last2=Zuo-Hua|first2=Yin|last3=Fu-Min|first3=Lei|issn=1524-4695}}</ref>。 |
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これ以外の[[配偶システム]]としては、[[一夫多妻制]]、[[一妻多夫制]]、[[複婚]]や、さらには[[乱婚]]すら存在している<ref name = "Gill"/>。複婚による配偶システムは、メスがオスの手助けなしで哺育を行うことができる場合に生ずる<ref name = "Gill"/>。なかには、環境に応じてさまざまな[[配偶システム]]を採用する種もある。 |
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繁殖には、たいていは何らかの形の求愛行動が含まれており、これらは一般的にはオスによって演じられる<ref>{{Cite book|last=Short|first=Lester L.|year=1993|title=Birds of the World and their Behavior|publisher=Henry Holt and Co|location=New York|isbn=0-8050-1952-9}}</ref>。ほとんどのディスプレイはかなり単純であり、何らかの種類の[[w:Bird vocalization|さえずり]]をともなう。しかしながら、中にはきわめて精巧なディスプレイもある。こういったディスプレイには、鳥の種類によって、羽根や尾を振るわせること、ダンスや、曲技飛行、共同での[[配偶システム#レック型一夫多妻|レッキング]]などがある。通常、パートナーの選択を取り仕切るのはメスの側であるが<ref>{{Cite book|last=Burton|first=R|year=1985|title=Bird Behavior|publisher=Alfred A. Knopf, Inc|isbn=0-394-53957-5}}</ref>、しかし、一妻多夫制の[[ヒレアシシギ属]]の鳥では、これが逆転する。すなわち、地味な羽装のオスが明るい色をしたメスを選択する<ref>{{Cite journal|last=Schamel|first=D|year=2004|title=Mate guarding, copulation strategies and paternity in the sex-role reversed, socially polyandrous red-necked phalarope ''Phalaropus lobatus''|journal=Behaviour Ecology and Sociobiology|volume=57|issue=2|pages=110–18|url=http://www.springerlink.com/index/8BE48GKGYF2Q40LT.pdf|doi=10.1007/s00265-004-0825-2|format=PDF|last2=Tracy|first2=Diane M.|last3=Lank|first3=David B.|last4=Westneat|first4=David F.}}</ref>。求愛的給餌や[[w:Beak#Billing|くちばしを触れ合わす]]こと、そして、たがいの羽繕いなどは、パートナーの間で一般的に行われており、通常これは鳥がペアになり、交尾した後のことである<ref name = "Attenborough"/>。 |
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[[同性愛]]の行動は、数多くの種の鳥のオス同士、メス同士で観察されており、これには性的結合、つがいの絆の形成や、雛の共同哺育などの行動がある<ref>Bagemihl, Bruce. ''Biological exuberance: Animal homosexuality and natural diversity.'' New York: St. Martin's, 1999. Pp. 479-655. One hundred species are described in detail.</ref>。 |
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===縄張り、営巣と抱卵=== |
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{{See also|w:Bird nest}} |
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多くの鳥が、繁殖期になると、同種の他の鳥からその縄張りを活発に防衛する。というのも縄張りの保持は、その雛に与える食料源を守ることを意味するからである。[[海鳥]]や[[アマツバメ科|アマツバメ]]のように、採餌のための縄張りを守ることのできない種の鳥は、そのかわりにたいての場合、[[w:Bird colony|集団営巣地]](コロニー)で繁殖する。これは、捕食者に対する防御手段であると考えられている。集団営巣を行う鳥は小さな営巣場所を守り、営巣場所をめぐる、他の同種ないし異種の鳥との競合は熾烈なものになることがある<ref>{{cite journal | last1 = Kokko | first1 = H | last2 = Harris | first2 = M | last3 = Wanless | first3 = S | year = 2004 | title = Competition for breeding sites and site-dependent population regulation in a highly colonial seabird, the common guillemot ''Uria aalge''" | url = | journal = Journal of Animal Ecology | volume = 73 | issue = 2| pages = 367–76 | doi = 10.1111/j.0021-8790.2004.00813.x }}</ref>。[[File:Male Turdus merula feeding chicks.ogv|thumb|オスの[[クロウタドリ]](''Turdus merula'')が雛に餌を与えている。]] |
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すべての鳥が、ほとんど[[炭酸カルシウム]]のみで形成された、堅い殻をもつ、[[有羊膜類|有羊膜卵]]を生む<ref name = "Gill"/>。穴や樹洞に営巣する種は、白色ないし淡い色の卵を産む傾向があり、これに対して、開放型の巣を作る種は、保護色の卵を産む傾向がある。ただし、このパターンには多くの例外が存在する。地上に営巣する[[ヨタカ科|ヨタカ]]は淡色の卵を産み、そのかわりに[[カモフラージュ]]は、かれらの羽装により行われる。[[托卵]]の仮親にされる種の鳥は、托卵された卵を見つけだす可能性を向上させるために、さまざまな色の卵を産む。これによって、托卵側のメスは、その卵の色を仮親の卵の色に合わせなくてはならなくなる<ref>{{cite journal | last1 = Booker | first1 = L | last2 = Booker | first2 = M | year = 1991 | title = Why Are Cuckoos Host Specific? | journal = [[w:Oikos (journal)|Oikos]] | volume = 57 | issue = 3| pages = 301–09 | doi = 10.2307/3565958 | jstor=3565958}}</ref>。 |
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[[File:Golden-backed Weaver.jpg|thumb|left|alt= 黒い頭をした黄色のハタオリドリが、草の葉を編んで作った巣に逆さまにぶら下がっている。|オスの[[w:Golden-backed Weaver|キゴロモハタオリ]]が、草を編んで精巧な宙づりの巣を作っている。]] |
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鳥は通常、[[w:Bird nest|巣]]の中で産卵する。ほとんどの鳥は、カップ、ドーム、プレート、地表を削ったもの、塚、あるいは洞といったような、ある程度精巧な巣を作る<ref name = "Hansell">Hansell M (2000). ''Bird Nests and Construction Behaviour''. University of Cambridge Press ISBN 0-521-46038-7</ref>。しかしながら、中にはきわめて原始的なものもある。たとえば、[[アホウドリ科|アホウドリ]]の巣などは、地面のかき傷以上のものではない。たいていの鳥は、捕食されることを避けるため、その巣を覆いのある、隠れた場所に作る。しかし、大型の鳥や、集団営巣する鳥など、もっと防御力の大きい鳥は、より開放的な巣を作ることがある。巣作りにおいては、ある種の鳥は雛の生存率を向上させるために、寄生虫を減らす毒素をもつ植物による植物性材料を探し求める<ref>{{cite journal | last1 = Lafuma | first1 = L | last2 = Lambrechts | first2 = M | last3 = Raymond | first3 = M | year = 2001 | title = Aromatic plants in bird nests as a protection against [[w:Hematophagy|blood-sucking]] flying insects? | url = | journal = Behavioural Processes | volume = 56 | issue = 2| pages = 113–20 | doi = 10.1016/S0376-6357(01)00191-7 }}</ref>。また、羽毛が巣の断熱材としてしばしば用いられる<ref name = "Hansell"/>。中には巣を持たない種もある。崖に営巣する[[ウミガラス]]は、その卵をむきだしの岩の上に生む。また、オスの[[コウテイペンギン]]は、卵をその足と体の間に保持する。巣の欠如は、地上に営巣する種で、新生の雛が[[w:Precocial|早成]]である場合に、とりわけ一般的である。 |
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[[File:Eastern Phoebe-nest-Brown-headed-Cowbird-egg.jpg|thumb|alt= 藁で作られた巣に5つの白い卵と、斑点のある灰色の卵がひとつ入っている。|[[コウウチョウ]]に托卵された[[w:Eastern Phoebe|ツキヒメハエトリ]]の巣。]] |
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抱卵は、温度を雛の成長に最適化するものであり、通常は最後の卵が産み落とされたあとに始まる<ref name = "Gill"/>。一夫一婦制の種では、抱卵の作業は、雌雄で分担されることが多く、また、一夫多妻の種においては、片方の親が抱卵の全責任を負う。親鳥の体熱は抱卵斑を通して卵に伝わる。[[w:Brood patch|抱卵斑]]とは、卵を抱いている鳥の腹部ないし、胸の皮膚が露出した領域である。抱卵はエネルギー的な要求の高いプロセスであり、たとえば成鳥のアホウドリのばあい、抱卵期間中に、その体重から約{{convert|83|g}}を日々失ってゆく<ref>Warham, J. (1990) ''The Petrels: Their Ecology and Breeding Systems'' London: [[w:Academic Press]] ISBN 0-12-735420-4.</ref>。[[ツカツクリ科|ツカツクリ]]の卵を孵すための熱は、太陽熱、植物の腐敗熱ないし地熱に由来する<ref>Jones DN, Dekker, René WRJ, Roselaar, Cees S (1995). ''The Megapodes''. Bird Families of the World 3. [[Oxford University Press]]: Oxford. ISBN 0-19-854651-3</ref>。抱卵の期間は、[[キツツキ目]]、[[カッコウ目]]、[[スズメ目]]の10日から、アホウドリや[[キーウィ目]]の80日以上にまで及ぶ<ref name = "Gill"/>。 |
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====親鳥の世話と巣立ち==== |
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孵化の時点で雛の成長の度合いは、その種によって、晩成(helpless)から早成(independent)までの範囲がある。[[w:Altricial|晩成]]の雛はいわゆる''留巣性''であり、小さく生まれてくる傾向があり、目が開いておらず、動くことができず、羽毛を持たない。孵化した時点で動くことができ、羽毛が生えそろっている雛を[[w:Precocial|''離巣性'']]と呼ぶ。留巣性の雛は、[[w:Thermoregulation|体温維持]]のための助けが必要であり、離巣性の雛よりも長い期間にわたって、親鳥からの給餌を受けなくてはならない。この両極端のいずれでもないような雛を、半留巣性や半離巣性とよぶ。 |
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[[File:Calliope-nest edit.jpg|thumb|alt= ハチドリが小さな巣の縁に止まって、餌を2羽の雛のうちの1羽の口に入れている。|left|メスの[[ヒメハチドリ]]が完全に成長した雛に餌を与えている。]] |
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親鳥によるひな鳥への世話の期間と性質は、その分類目と種によって大きく異なっている。ある極端な例では、ツカツクリの親の世話は、孵化の時点で終了する。新しく孵化した雛は、親の助けなしに巣である塚の中から、自分自身を掘り出さなくてはならず、また、孵化して直ちに、自力でこれをやり遂げることができる<ref>Elliot A (1994). "Family Megapodiidae (Megapodes)" in ''[[w:Handbook of the Birds of the World]]. Volume 2; New World Vultures to Guineafowl'' (eds del Hoyo J, Elliott A, Sargatal J) Lynx Edicions:Barcelona. ISBN 84-87337-15-6</ref>。また一方、多くの海鳥の雛が、長期にわたる親の世話を受けるが、そのなかでも最も長期間なのが[[オオグンカンドリ]]である。その雛は[[w:Fledge|巣立つ]]までに6ヶ月かかり、そのあと、さらに14ヶ月にわたって、親鳥から給餌をうける<ref>Metz VG, Schreiber EA (2002). "Great Frigatebird (''Fregata minor'')" In ''The Birds of North America, No 681'', (Poole, A. and Gill, F., eds) The Birds of North America Inc: Philadelphia</ref>。 |
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種によっては、両親がその雛の世話と巣立ちに関わるが、また一方では、一方の性だけが、その責任を負う種もある。また種によっては、若鳥の養育を、[[w:Helpers at the nest|同種の他のメンバー]](通常は、前回の繁殖のときの子供と言った、[[w:Breeding pair|繁殖ペア]]の近縁である)が手助けする場合もある<ref>{{cite journal | last1 = Ekman | first1 = J | year = 2006 | title = Family living amongst birds | url = | journal = [[w:Journal of Avian Biology]] | volume = 37 | issue = 4| pages = 289–98 | doi = 10.1111/j.2006.0908-8857.03666.x }}</ref>。このようなアロペアレンティング(代理養育)は、とりわけ[[カラス]]、[[カササギフエガラス]]、[[ウスアオオーストラリアムシクイ|オーストラリアムシクイ]]といった、[[カラス小目]]の種の間で一般的であるが<ref>{{Cite book|author=Cockburn A|editor=Floyd R, Sheppard A, de Barro P|title=Frontiers in Population Ecology|year=1996|publisher=CSIRO|location=Melbourne|isbn= |pages=21–42|chapter=Why do so many Australian birds cooperate? Social evolution in the Corvida}}</ref>、[[ミドリイワサザイ]]や[[アカトビ]]といった、全く異なる種の鳥においても観察されている。ほとんどの動物のグループで、オスが子供の世話をすることは稀である。しかしながら、このことは、鳥類においてはきわめて一般的であり、他のいかなる脊椎動物の分類目に比べても非常に多い<ref name = "Gill"/>。縄張りと営巣地の防衛、抱卵やひな鳥への給餌などは、しばしば分担して行われるが、それでも、時にはつがいの一方が、そのすべてないし、ほとんどを受け持つ特定の[[分業|労働分担]]が生ずることもある<ref>{{Cite journal|last=Cockburn|first=Andrew|year=2006|title=Prevalence of different modes of parental care in birds |doi=10.1098/rspb.2005.3458|journal=Proceedings: Biological Sciences|volume=273|issue=1592|pages=1375–83|pmid=16777726|month= June|issn=0962-8452|url=http://rspb.royalsocietypublishing.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=16777726|format=Free full text|pmc=1560291}}</ref>。 |
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雛が[[w:fledge|巣立つ]]タイミングは、種によって劇的に異なる。たとえば[[ウミスズメ]]のようなウミスズメ属の雛は、地上性の捕食者から逃れるために、孵化した夜にその生まれた巣を離れ、親鳥について海に出る<ref>Gaston AJ (1994). Ancient Murrelet (''Synthliboramphus antiquus''). In ''The Birds of North America, No. 132'' (A. Poole and F. Gill, Eds.). Philadelphia: The Academy of Natural Sciences; Washington, D.C.: The American Ornithologists' Union.</ref>。これ以外にも、カモのように早いうちにその雛を巣から遠ざける種がある。ほとんどの種で、雛は飛べるようになる直前か、あるいはそのすぐ後に巣を離れる。巣立ちの後の親鳥による世話の大小は種によって異なっている。アホウドリの雛は自力でその巣をはなれ、これ以上の助けは受けない<ref>{{cite journal | last1 = Schaefer | first1 = HC | last2 = Eshiamwata | first2 = GW | last3 = Munyekenye | first3 = FB | last4 = Bohning-Gaese | first4 = K | year = 2004 | title = Life-history of two African ''Sylvia'' warblers: low annual fecundity and long post-fledging care | url = | journal = [[w:Ibis (journal)|Ibis]] | volume = 146 | issue = 3| pages = 427–37 | doi = 10.1111/j.1474-919X.2004.00276.x }}</ref>。また、中には巣立ちの後も、ある程度の補助的な給餌を続ける種もある。雛はまた、最初の[[渡り]]の際にはその親たちについていくこともある<ref>{{cite journal | last1 = Alonso | first1 = JC | last2 = Bautista | first2 = LM | last3 = Alonso | first3 = JA | year = 2004 | title = Family-based territoriality vs flocking in wintering common cranes ''Grus grus''" | url = | journal = [[w:Journal of Avian Biology]] | volume = 35 | issue = 5| pages = 434–44 | doi = 10.1111/j.0908-8857.2004.03290.x }}</ref>。 |
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====托卵==== |
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{{Main|托卵}} |
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[[File:Reed warbler cuckoo.jpg|thumb|upright|right|alt= 小さな茶色の鳥が、巣の中のはるかに大きな灰色の鳥の嘴に虫を運んでいる。|[[オオヨシキリ]]が、[[托卵]]された[[カッコウ]]の雛を育てている。]] |
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[[托卵]]とは、卵を産むものが、その卵の世話を別の個体に託すことをいい、他のいかなる種類の有機体と比べても、鳥類の間において、より一般的に行われている<ref name = "brood">Davies N (2000). ''Cuckoos, Cowbirds and other Cheats''. [[w:T. & A. D. Poyser]]: London ISBN 0-85661-135-2</ref>。托卵を行う鳥が、その卵をほかの鳥の巣に産み落としたあと、多くの場合、卵は仮親(卵を託された親)に受け入れられ、仮親が産み落とした雛たちの犠牲のうえに育てられる。托卵には、自分ではその子供を育てることができないことから、その卵を必ず異種の鳥の巣に産み落とさなければならない真性托卵(種間托卵)と、自分自身で子供を育てることができるにも関わらず繁殖の結果を向上させるために、その卵を同種の巣に産み落とすことのある条件的托卵(種内托卵)の、二つの種類がある<ref>{{cite journal | doi = 10.1093/beheco/8.2.153 | last1 = Sorenson | first1 = M | year = 1997 | title = Effects of intra- and interspecific brood parasitism on a precocial host, the canvasback, ''Aythya valisineria'' | url = http://beheco.oxfordjournals.org/cgi/reprint/8/2/153.pdf | journal = Behavioral Ecology | volume = 8 | issue = 2| pages = 153–61 }}</ref>。[[ミツオシエ科|ミツオシエ]]、[[ムクドリモドキ科|ムクドリモドキ]]、[[テンニンチョウ属|テンニンチョウ]]、[[ズグロガモ]]などを含めて、約100種の鳥が真性托卵を行うが、その中で最も有名なのが[[カッコウ科|カッコウ]]である。托卵を行う種の中には、その仮親の卵が孵化するより前に孵化するように適応したものがある<ref name = "brood"/>。これによって、仮親の卵を巣の外に押し出して破壊してしまったり、仮親の雛を殺してしまうことが可能になる。このことで、巣に運ばれる食料すべてを、托卵の雛が確実に独占できるようになる<ref>{{cite journal| last1=Spottiswoode| first1=C. N.| last2=Colebrook-Robjent| first2=J. F.R.| title=Egg puncturing by the brood parasitic Greater Honeyguide and potential host counteradaptations| journal=Behavioral Ecology| volume=18| pages=792| year=2007| doi=10.1093/beheco/arm025| issue=4}}</ref>。 |
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==生態系== |
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[[File:Skua and penguin.jpeg|thumb|left|alt= 茶色の羽根を広げたカモメのような鳥が地上で、嘴を大きく開き体をひねったペンギンに対峙している。|[[オオトウゾクカモメ]]はほかの鳥の卵や、魚、屍肉、そして、その他の動物等を捕食するジェネラリストである。このオオトウゾクカモメは[[アデリーペンギン]](右)を、その巣から押し出そうとしている。]] |
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鳥類は生態系において、広範囲にわたる地位を占めている<ref name = "flycatcher"/>。ある種の鳥たちはジェネラリストであるし、また他方、その居住環境や食餌への要求が、高度に専門化している鳥たちもある。たとえば森林のような単一の居住環境をとってみても、それぞれの鳥によって占められるニッチはさまざまである。[[林冠]]で採餌する種もあれば、樹冠の下で採餌する種もあり、そしてまた、林床で採餌する種もある。森林の鳥類は、[[w:Insectivore|昆虫食動物]]であったり、[[w:Frugivore|果実食動物]]や、[[蜜食動物]]であったりもする。水生の鳥は、一般に魚を捕えて食べたり、植物を食べたり、あるいは他から奪い取るか、寄生的略奪([[w:Kleptoparasitism|kleptoparasitism]])を行っている。猛禽類は、哺乳類や、他の鳥類の捕食に特化しており、ハゲワシは屍肉食に特化している。[[w:Avivore|Avivore]]は、鳥類の捕食に特化した動物たちである。 |
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ある種の花の蜜を採食する鳥は、重要な受粉者であり、また多くの果実食の鳥たちが、種子の散布において鍵となる役割を演じている<ref name = "Clout">{{cite journal | last1 = Clout | first1 = M | last2 = Hay | first2 = J | year = 1989 | title = The importance of birds as browsers, pollinators and seed dispersers in New Zealand forests | url = http://www.newzealandecology.org/nzje/free_issues/NZJEcol12_s_27.pdf | journal = New Zealand Journal of Ecology | volume = 12 | issue = | pages = 27–33 }}</ref>。植物と、その受粉者となる鳥は[[共進化]]していることが多く<ref>{{cite journal | last1=Gary Stiles | first1=F. | title=Geographical Aspects of Bird-Flower Coevolution, with Particular Reference to Central America | journal=Annals of the Missouri Botanical Garden | volume=68 | issue=2 | pages=323–51 | year=1981 |doi= 10.2307/2398801 | jstor=2398801}}</ref>、中には花の主要な受粉者が、その蜜を得ることのできる、唯一の種である場合もある<ref>{{cite journal | last1 = Temeles | first1 = E | last2 = Linhart | first2 = Y | last3 = Masonjones | first3 = M | last4 = Masonjones | first4 = H | year = 2002 | title = The Role of Flower Width in Hummingbird Bill Length–Flower Length Relationships | url = http://www.amherst.edu/~ejtemeles/Temeles%20et%20al%202002%20biotropica.pdf | journal = Biotropica | volume = 34 | issue = 1| pages = 68–80 }}</ref>。 |
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鳥類は、島嶼の生態系に対して重要な役割を演ずることが多い。鳥は、哺乳類には不可能な島嶼に到達することがしばしばあった。こういった島々では、通常は大型の動物によって演じられる生態的役割が、鳥類によって果たされるれることもあった。たとえば、ニュージーランドでは、[[ニュージーランドバト]]([[w:Kereru|Kereru]])やホオダレムクドリ([[w:Kokako|Kokako]])が今日そうであるように、モアが主要な新芽の採食者であった<ref name = "Clout"/>。ニュージーランドの植物は、絶滅したモアから自身を守るために進化した、防衛的な適応の結果を今日まで保持している<ref>{{cite journal | last1=Bond | first1=William J. | last2=Lee | first2=William G. | last3=Craine | first3=Joseph M. | title=Plant structural defences against browsing birds: a legacy of New Zealand's extinct moas | journal=Oikos | volume=104 | pages=500–08 | year=2004 | doi = 10.1111/j.0030-1299.2004.12720.x | issue=3}}</ref>。[[海鳥]]たちの営巣もまた、島やその周囲の海の生態系に影響を与えることがある。これは主に大量の[[鳥糞石]](グアノ)の集積を通して、その地域の土壌と<ref>{{cite journal | last1 = Wainright | first1 = S | last2 = Haney | first2 = J | last3 = Kerr | first3 = C | last4 = Golovkin | first4 = A | last5 = Flint | first5 = M | year = 1998 | title = Utilization of nitrogen derived from seabird guano by terrestrial and marine plants at St. Paul, Pribilof Islands, Bering Sea, Alaska | url = http://www.springerlink.com/index/DN8D70RYM7TUF42P.pdf | journal = Marine Ecology | volume = 131 | issue = 1| pages = 63–71 }}</ref>、周辺の海域の栄養が豊富になることによる<ref>{{cite journal | doi = 10.3354/meps032247 | last1 = Bosman | first1 = A | last2 = Hockey | first2 = A | year = 1986 | title = Seabird guano as a determinant of rocky intertidal community structure | url = http://www.int-res.com/articles/meps/32/m032p247.pdf | journal = Marine Ecology Progress Series | volume = 32 | issue = | pages = 247–57 }}</ref>。 |
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[[w:Avian ecology field methods|鳥類の生態を野外調査]]するための手段として、計数や、巣のモニタリング、[[鳥類標識調査|捕獲による標識の取り付け]]など、さまざまな方法が用いられている。 |
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==人間との関係== |
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[[File:Industrial-Chicken-Coop.JPG|thumb|alt= たくさんの白いニワトリがそれぞれのケージに入れられて、暗い納屋の中の2段に積まれている。|right|[[ニワトリ]]の[[w:Industrial farming|工業的飼育]]]] |
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鳥は非常に見つけやすく、また一般的な動物であることから、人類はヒトの夜明けから鳥類との関係を結んできた<ref>{{Cite book|last=Bonney|first=Rick | last2 = Rohrbaugh, Jr.| first2 = Ronald|title=Handbook of Bird Biology| place= Princeton, NJ|publisher=Princeton University Press|year=2004| edition = Second|isbn=0-938027-62-X}}</ref>。時にはこういった関係は、[[w:Borana Oromo people|ボラナ]]のようなアフリカの人々と[[ミツオシエ科|ミツオシエ]]との間での、共同のハチミツの採取のように、[[相利共生]]的なこともある<ref>Dean W, Siegfried R, MacDonald I (1990). "The Fallacy, Fact, and Fate of Guiding Behavior in the Greater Honeyguide". ''Conservation Biology'' '''4''' (1) 99–101. [http://www.blackwell-synergy.com/doi/abs/10.1111/j.1523-1739.1990.tb00272.x Blackwell-PDF]</ref>。また他方、[[イエスズメ]]のような種が人間の活動から利益を得ているように、[[片利共生]]的な場合もある<ref>{{cite journal | last1= Singer | first1= R. | last2= Yom-Tov | first2= Y. | title= The Breeding Biology of the House Sparrow Passer domesticus in Israel | journal= Ornis Scandinavica | volume= 19 | issue= 2 | pages= 139–44 | year= 1988 |doi= 10.2307/3676463 | jstor=3676463}}</ref>。何種類もの鳥が、商業的にきわめて有害な害鳥とされており<ref>{{Cite journal | doi = 10.1111/j.1474-919X.1990.tb01048.x | last1 = Dolbeer | first1 = R | year = 1990 | title = Ornithology and integrated pest management: Red-winged blackbirds ''Agleaius phoeniceus'' and corn | url = | journal = [[w:Ibis (journal)|Ibis]] | volume = 132 | issue = 2| pages = 309–22 }}</ref>、また[[バードストライク|航空機に障害]]をもたらしているものもある<ref>{{Cite journal | last1 = Dolbeer | first1 = R | last2 = Belant | first2 = J | last3 = Sillings | first3 = J | year = 1993 | title = Shooting Gulls Reduces Strikes with Aircraft at John F. Kennedy International Airport | url = | journal = Wildlife Society Bulletin | volume = 21 | issue = | pages = 442–50 }}</ref>。人間の活動はまた、鳥類にとって有害な場合もあり、たくさんの種類の鳥が絶滅の危機にさらされている([[狩猟]]、[[w:Animal lead poisoning|鉛汚染]]、[[農薬]]、轢死、そして家畜の[[ネコ]]や[[イヌ]]による捕食が、一般的な鳥類の死因である)。 |
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鳥類は媒介者となって、[[オウム病]]、[[サルモネラ症]]、[[カンピロバクター症]]、マイコバクテリア(鳥[[結核]]症)、[[トリインフルエンザ|鳥インフルエンザ]]、[[ジアルジア症]]、[[クリプトスポリジウム症]]などの疾患を、遠距離を介して広めることがある。これらの中には、ヒトによって媒介されうる[[人獣共通感染症]]もある<ref>{{cite journal | doi = 10.3121/cmr.1.1.5 | last1 = Reed | first1 = KD | last2 = Meece | first2 = JK | last3 = Henkel | first3 = JS | last4 = Shukla | first4 = SK | title = Birds, migration and emerging zoonoses: west nile virus, lyme disease, influenza a and enteropathogens | journal = Clinical medicine & research | volume = 1 | issue = 1 | pages = 5–12 | year = 2003 | pmid = 15931279 | pmc = 1069015 }}</ref>。 |
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===経済的重要性=== |
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家畜化された鳥類で、食肉と採卵のために飼育されるものを家禽といい、人間によって消費される動物性蛋白質の最大の供給源である。2003年において全世界で {{Nowrap|7,600万トン}}の家禽と、{{Nowrap|6,100万トン}}の卵が生産された<ref>{{Cite web|url= http://www.earth-policy.org/Books/Out/Ote3_3.htm|title= Shifting protein sources: Chapter 3: Moving Up the Food Chain Efficiently.|publisher=Earth Policy Institute|accessdate= 18 December 2007}}</ref>。家禽の消費量においては、[[ニワトリ]]の占める割合が大部分であるが、シチメンチョウ、アヒル、カモもまた、比較的一般的である。また鳥類は多数の種が、食用のために狩猟の対象となる。鳥の狩猟は、きわめて未開発の地域を除いては、主に娯楽目的の活動である。南北アメリカにおいて狩猟対象となる鳥のうち、最も重要なのものが水鳥であるが、これ以外で広く狩猟の対象となっているものには、[[キジ]]、[[シチメンチョウ]]、[[ウズラ]]、[[ハト]]、[[ヤマウズラ]]、[[ライチョウ]]、[[シギ]]、[[ヤマシギ]]などがある<ref>{{Cite journal | last1 = Simeone | first1 = A | last2 = Navarro | first2 = X | year = 2002 | title = Human exploitation of seabirds in coastal southern Chile during the mid-Holocene | url=http://www.scielo.cl/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S0716-078X2002000200012&lng=es&nrm=iso&tlng=en | journal = Rev. Chil. Hist. Nat | volume = 75 | issue = 2| pages = 423–31 | doi = 10.4067/S0716-078X2002000200012 }}</ref>。また[[オーストラリア]]や[[ニュージーランド]]では、[[w:Muttonbirding|Muttonbirding]](ミズナギドリなど海鳥の雛を、季節的に食用のため捕獲すること)も一般的である<ref>{{cite journal | last1 = Hamilton | first1 = S. | year = 2000 | title = How precise and accurate are data obtained using. an infra-red scope on burrow-nesting sooty shearwaters ''Puffinus griseus''? | url = http://www.marineornithology.org/PDF/28_1/28_1_1.pdf | journal = Marine Ornithology | volume = 28 | issue = 1| pages = 1–6 }}</ref>。狩猟には、Muttonbirdingのように、方法によっては持続可能なものもありうる。しかし何十もの種が狩猟によって絶滅に追いやられ、あるいはまた、絶滅の危険にさらされている<ref>{{cite journal | last1=Keane | first1=Aidan | last2=Brooke | first2=M.de L. | last3=McGowan | first3=P.J.K. | title=Correlates of extinction risk and hunting pressure in gamebirds (Galliformes) | journal=Biological Conservation | volume=126 | pages=216–33 | year=2005 |doi= 10.1016/j.biocon.2005.05.011 | issue=2}}</ref>。 |
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[[File:FishingCormorants.jpg|thumb|upright|alt= 筏にたくさんの黒い鳥を乗せて、筏を操る竿を手にした漁師の絵|アジアの漁師による鵜を使った漁は、急激に数を減らしているが、場所によっては観光客向けのアトラクションとして生き残っている。]] |
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これ以外の、鳥から得られる商業的に価値のある製品としては、衣類や寝具の断熱材として用いられる羽毛(ことにガチョウやアヒルの[[w:Down feather|綿毛]])や、[[リン]]、[[窒素]]の貴重な供給源となる海鳥の[[グアノ|糞便]](鳥糞石)などがある。[[太平洋戦争 (南米)|太平洋戦争]](硝石戦争、1879年〜1884年)は、時にグアノ(鳥糞石)戦争ともよばれ、部分的には鳥糞石の堆積の権益をめぐって、戦いが行われた<ref>{{Cite web|url= http://www.zum.de/whkmla/military/19cen/guanowar.html|title= The Guano War of 1865–1866.|publisher= World History at KMLA|accessdate= 18 December 2007}}</ref>。 |
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鳥は人間によって、愛玩用として、また実用的な目的のため、そのいずれかの理由で家畜化されてきた。[[インコ]]や[[ムクドリ科]]のようなカラフルな鳥は、飼育下で繁殖させたり、ペットとして飼われたりするが、こういった行為が、一部の[[絶滅危惧種]]の違法な取引に結びつくことがある<ref>{{cite journal | doi = 10.1017/S0030605306000056 | last1 = Cooney | first1 = R | last2 = Jepson | first2 = P | year = 2006 | title = The international wild bird trade: what's wrong with blanket bans? | url = http://journals.cambridge.org/production/action/cjoGetFulltext?fulltextid=409231 | journal = Oryx | volume = 40 | issue = 1| pages = 18–23 }}</ref>。[[ハヤブサ]]や[[ウ]]は、長きにわたって、それぞれ[[狩猟]]や[[漁業]]に使われてきた。[[伝書鳩]]は、少なくとも西暦1年から使われており、その重要性は[[第二次世界大戦]]に至るまで続いた。今日ではそのような活動は、むしろ趣味、娯楽や観光事業<ref>{{Cite journal | doi = 10.2307/4140937 | last1 = Manzi | first1 = M | last2 = Coomes | year = 2002 | first2 = O. T. | title = Cormorant fishing in Southwestern China: a Traditional Fishery under Siege. (Geographical Field Note) | url =http://findarticles.com/p/articles/mi_go1895/is_200210/ai_n8674873 | journal = Geographic Review | volume = 92 | issue = 4| pages = 597–603 | jstor = 4140937 }}</ref>、あるいは鳩レースといったスポーツの方がより一般的である。 |
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アマチュアの鳥愛好家(バーダーや、もっと一般的には[[野鳥観察|バードウォッチャー]]と呼ばれる)は何百万人にものぼる<ref>Pullis La Rouche, G. (2006). Birding in the United States: a demographic and economic analysis. ''Waterbirds around the world.'' Eds. G.C. Boere, C.A. Galbraith and D.A. Stroud. [[w:The Stationery Office]], Edinburgh, UK. pp. 841–46. [http://www.jncc.gov.uk/PDF/pub07_waterbirds_part6.2.5.pdf JNCC.gov.uk], PDF</ref>。住宅所有者の中には、住居の近くに鳥の餌台(バードフィーダー)を設置して、たくさんの種類の鳥を引き寄せようとする者がたくさんいる。[[w:Bird feeding|野鳥への給餌]]は数百万ドルの産業にまで成長しており、たとえば英国の家庭の75%は、冬季に野鳥への何らかの餌やりを行っていると見積もられている<ref>{{cite journal | doi = 10.1111/j.1474-919x.2005.00430.x | last1 = Chamberlain | first1 = DE | last2 = Vickery | first2 = JA | last3 = Glue | first3 = DE | last4 = Robinson | first4 = RA | last5 = Conway | first5 = GJ | last6 = Woodburn | first6 = RJW | last7 = Cannon | first7 = AR | year = 2005 | title = Annual and seasonal trends in the use of garden feeders by birds in winter | url = http://www.blackwell-synergy.com/doi/pdf/10.1111/j.1474-919x.2005.00430.x | journal = [[w:Ibis (journal)|Ibis]] | volume = 147 | issue = 3| pages = 563–75 }}</ref>。 |
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===宗教、民間伝承そして文化=== |
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[[File:Vogel Drei (Meister der Spielkarten).jpg|thumb|upright|left|alt= 三羽の長い足と長い首を持った鳥の木版画|[[w:Master of the Playing Cards|Master of the Playing Cards]]による"鳥の3(The 3 of Birds)"、15世紀、ドイツ]] |
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鳥は、民間伝承や宗教、そして[[大衆文化]]において突出した、そして多様な役割を演じている。宗教においては鳥は使者として、あるいは僧侶や[[神性]]の指導者として神に仕えることもある。たとえば[[マケマケ]]信仰では、[[イースター島]]のタンガタ・マヌ([[鳥人]])は酋長ないし従者の役割を果たしているし<ref>{{Cite journal | last1 = Routledge | first1 = S | last2 = Routledge | first2 = K | year = 1917 | title = The Bird Cult of Easter Island | url = | journal = Folklore | volume = 28 | issue = 4| pages = 337–55 }}</ref>、二羽の[[ワタリガラス]]である[[フギンとムニン]]の場合には、かれらは北欧神話の神[[オーディン]]の耳にニュースをささやく<ref>{{cite journal | last1= Lukas | first1= SE | last2= Benedikt | first2= R | last3= Mendelson | first3= JH | last4= Kouri | first4= E | last5= Sholar | first5= M | last6= Amass | first6= L | title= Marihuana attenuates the rise in plasma ethanol levels in human subjects | journal= Neuropsychopharmacology | volume= 7 | issue= 1 | pages= 77–81 | year= 1992 | pmid= 1326277 |doi = 10.1371/journal.pbio.0040014}}</ref>。僧侶たちは鳥卜に従事し、あるいは[[アウグル]](鳥卜官)が、予言を行うために鳥たちの行動を見ている間に、鳥たちの言葉を翻訳する<ref>Ingersoll, Ernest (1923). [http://www.archive.org/details/birdsinlegendfab00inge Archive.org], "Birds in legend, fable and folklore". Longmans, Green and co. p. 214</ref>。鳥はまた、[[ヨナ]](ヘブライ語:יוֹנָה、[[ハト]])が、伝統的にハトに関連付けられている怯え、服従、哀悼、そして美を体現しているように、[[w:Religious symbolism|宗教的なシンボル]]として用いられることもある<ref>{{cite journal| last1= Hauser| first1= A. J.| title= Jonah: In Pursuit of the Dove| journal= Journal of Biblical Literature| volume= 104| issue= 1| pages= 21–37| year= 1985 |doi= 10.2307/3260591| jstor=3260591}}</ref>。[[インドクジャク]]に見られるように、鳥それ自身が神格化されることもある。かれらはインドの[[ドラヴィダ人]]によって母なる大地であると考えられている<ref>{{cite journal | last1=Thankappan Nair | first1=P. | title=The Peacock Cult in Asia | journal=Asian Folklore Studies | volume=33 | issue=2 | pages=93–170 | year=1974 |doi=10.2307/1177550 | jstor=1177550}}</ref>。また、たとえば、伝説の鳥ロック鳥や、[[マオリ]]人の伝説上の鳥[[w:Poukai|ポウアカイ]](''Pouākai'')など、ヒトを攫うことができるほど巨大な、怪物と信じられている鳥もある<ref>Tennyson A, Martinson P (2006). ''Extinct Birds of New Zealand'' Te Papa Press, Wellington ISBN 978-0-909010-21-8</ref>。 |
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鳥は、初期の[[洞窟壁画]]に見られるように<ref>{{cite journal | last1=Meighan | first1=C. W. | title=Prehistoric Rock Paintings in Baja California | journal=American Antiquity | volume=31 | issue=3 | pages=372–92 | year=1966 |doi= 10.2307/2694739 | jstor=2694739}}</ref>、先史時代から文化や芸術の分野で、主題として取り上げられてきた。後になって鳥は、[[ムガル帝国]]や[[アケメネス朝]]ペルシアの、皇帝の壮麗な[[孔雀の玉座]]にみられるように、宗教や、象徴主義の芸術デザインのなかで使われるようになった<ref>{{cite journal | last1 = Clarke | first1 = CP | year = 1908 | title = A Pedestal of the Platform of the Peacock Throne | journal = The Metropolitan Museum of Art Bulletin | volume = 3 | issue = 10| pages = 182–83 | doi = 10.2307/3252550 | jstor=3252550}}</ref>。鳥に対する科学的興味の出現によって、たくさんの鳥の絵画が、書籍のために制作依頼された。これらの鳥類画家の中で、もっとも有名なのが[[ジョン・ジェームズ・オーデュボン]]である。その作品、『アメリカの鳥類(''The Birds of North America'' (1827–1839)』はヨーロッパで商業的大成功を収め、後に彼の名を、[[w:National Audubon Society|全米オーデュボン協会]]に貸している<ref>{{cite journal | last1=Boime | first1=Albert | title=John James Audubon: a birdwatcher's fanciful flights | journal=Art History | volume=22 | pages=728–55 | year=1999 |doi= 10.1111/1467-8365.00184 | issue=5}}</ref>。鳥は詩作においても重要な表象である。たとえば、[[ホメーロス]]はその作品『[[オデュッセイア]]』に[[サヨナキドリ]](ナイチンゲール)を取り入れているし、[[ガイウス・ウァレリウス・カトゥルス|カトゥルス]]はその作品『[[w:Catullus 2|Catullus 2]]』のなかで、[[スズメ]]をエロティックなシンボルとして扱っている<ref>{{Cite journal | last1 = Chandler | first1 = A | year = 1934 | title = The Nightingale in Greek and Latin Poetry | url = | journal = The Classical Journal | volume = 30 | issue = 2| pages = 78–84 }}</ref>。[[サミュエル・テイラー・コールリッジ]]の『老水夫行([[w:The Rime of the Ancient Mariner|The Rime of the Ancient Mariner]])』では、水夫とアホウドリの関係が中心となる主題であり、ここから、アホウドリが[[w:Albatross (metaphor)|’重荷’を意味する隠喩表現]]へと繋がった<ref>{{cite journal | last1= Lasky | first1= E. D. | title= A Modern Day Albatross: The Valdez and Some of Life's Other Spills | journal= The English Journal | volume= 81 | issue= 3 | pages= 44–46 | year= 1992 |doi= 10.2307/820195 | jstor=820195}}</ref>。そのほかの鳥由来の[[英語]]の隠喩には、たとえば、ハゲタカファンド(vulture funds)やハゲタカ投資家(vulture investors)などがある。これはハゲタカの屍肉食から来た表現である<ref>{{Cite journal | last1 = Carson | first1 = A | year = 1998 | title = Vulture Investors, Predators of the 90s: An Ethical Examination | url = http://www.springerlink.com/index/W676R8803NL06L38.pdf | journal = Journal of Business Ethics | volume = 17 | issue = 5| pages = 543–55 }}</ref>。 |
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さまざまな種類の鳥に対する認識は、文化によってしばしば異なっている。[[フクロウ]]はアフリカの一部では、不運や、[[w:Witchcraft|魔術]]、死に結びつけられている<ref>Enriquez PL, Mikkola H (1997). "Comparative study of general public owl knowledge in Costa Rica, Central America and Malawi, Africa". pp. 160–66 In: J.R. Duncan, D.H. Johnson, T.H. Nicholls, (Eds). ''Biology and conservation of owls of the Northern Hemisphere. General Technical Report NC-190'', USDA Forest Service, St. Paul, Minnesota. 635 pp.</ref>。しかしヨーロッパでは広く賢者であると見なされている<ref>Lewis DP (2005). [http://www.owlpages.com/articles.php?section=Owl+Mythology&title=Myth+and+Culture Owlpages.com], Owls in Mythology and Culture. Retrieved on 15 September 2007</ref>。[[ヤツガシラ]]は、[[古代エジプト]]では神聖視されており、[[ペルシア]]では美徳の象徴とされていたが、一方ヨーロッパでは広く泥棒であると考えられ、[[スカンディナヴィア]]では戦争の先駆けと考えられていた<ref>{{Cite journal | last1 = Dupree | first1 = N | year = 1974 | title = An Interpretation of the Role of the Hoopoe in Afghan Folklore and Magic | url = | journal = Folklore | volume = 85 | issue = 3| pages = 173–93 }}</ref>。 |
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===保護活動=== |
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[[File:California-Condor3-Szmurlo edit.jpg|thumb|right|alt= 羽根の無い頭部に鉤状の嘴を持った大型の黒い鳥|upright|[[カリフォルニアコンドル]]は、一時わずか22羽を数えるのみになったが、今日では保護活動によって300羽以上にまで、その数を増やした。]] |
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{{Main|w:Bird conservation}} |
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{{See also|w:Late Quaternary prehistoric birds|w:List of extinct birds|w:Raptor conservation}} |
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人間の活動は、たとえば[[ツバメ]]や[[ホシムクドリ]]のような、ごく一部の種には繁栄を許すものではあったが、これ以外の多くの種にとっては、生息数の減少や[[絶滅]]を引き起こすものであった。歴史の上では100以上の種が絶滅してしまっているが<ref>Fuller E (2000). ''Extinct Birds'' (2nd ed.). [[Oxford University Press]], Oxford, New York. ISBN 0-19-850837-9</ref>、人間が引き起こしたもっとも劇的な鳥類の絶滅は、[[メラネシア]]、[[ポリネシア]]、[[ミクロネシア]]の島嶼への人間の入植にともなって起きたもので、750から1000種を根絶してしまったと推定されている<ref>Steadman D (2006). ''Extinction and Biogeography in Tropical Pacific Birds'', University of Chicago Press. ISBN 978-0-226-77142-7</ref>。多くの鳥が世界規模で生息数を減らしており、2009年には、[[バードライフ・インターナショナル]]と[[国際自然保護連合]](ICUN)によって、1,227種が[[w:Threatened species|絶滅危惧種]]のリストに掲げられている<ref>{{Cite web|title=BirdLife International announces more Critically Endangered birds than ever before |publisher=[[w:Birdlife International]] |date=14 May 2009 |url=http://www.birdlife.org/news/pr/2009/05/red_list.html |accessdate=15 May 2009}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8045971.stm |first=Mark |last=Kinver |title=Birds at risk reach record high |publisher= BBC News Online |date=13 May 2009 |accessdate=15 May 2009}}</ref>。 |
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鳥類への人間による脅威として、もっとも一般的に言及されるのが、[[w:Habitat destruction|生息環境の破壊]]である<ref>Norris K, Pain D (eds, 2002). ''Conserving Bird Biodiversity: General Principles and their Application'' Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-78949-3</ref>。このほかの脅威としては、乱獲や、構造物との衝突や、[[延縄]]漁業の混獲などの致命的な事故<ref>{{Cite journal | doi = 10.1016/0006-3207(91)90031-4 | last1 = Brothers | first1 = NP | year = 1991 | title = Albatross mortality and associated bait loss in the Japanese longline fishery in the southern ocean | url = | journal = Biological Conservation | volume = 55 | issue = 3| pages = 255–68 }}</ref>、環境汚染([[石油流出|原油流出]]や殺虫剤の使用など)、持ち込まれた[[外来種]]による捕食や競合<ref>{{cite journal | last1 = Wurster | first1 = D | last2 = Wurster | first2 = C | last3 = Strickland | first3 = W | year = 1965 | title = Bird Mortality Following DDT Spray for Dutch Elm Disease | url = | journal = Ecology | volume = 46 | issue = 4| pages = 488–99 | doi =10.2307/1934880 }}; {{cite journal | doi= 10.1126/science.148.3666.90 | title= Bird Mortality after Spraying for Dutch Elm Disease with DDT | year= 1965 | last1= Wurster | first1= C. F. | last2= Wurster | first2= D. H. | last3= Strickland | first3= W. N. | journal= Science | volume= 148 | issue= 3666 | pages= 90–91 }}</ref>、そして気候変動などがある<ref>{{cite journal | last1 = Blackburn | first1 = T | last2 = Cassey | first2 = P | last3 = Duncan | first3 = R | last4 = Evans | first4 = K | last5 = Gaston | first5 = K | year = 2004 | title = Avian Extinction and Mammalian Introductions on Oceanic Islands | url = | journal = [[Science (journal)|Science]] | volume = 305 | issue = 5692| pages = 1955–58 | doi = 10.1126/science.1101617 | pmid=15448269}}</ref>。 |
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政府や[[保全生態学|保護活動]]グループは鳥類を守るために、生息地を保全する、あるいは[[w:Restoration ecology|回復]]させる法律を通過させたり、また再移入のために、[[w:Ex-situ conservation|飼育個体による安定個体群の確立]]を図るなどの活動を行っている。こういったプロジェクトの中には、ある程度の成功を収めたものもあり、このままでは1994年から2004年の間に絶滅してしまったはずの鳥16種が、保護活動によって救われたと評価している研究もある。この中には、[[カリフォルニアコンドル]]や[[w:Norfolk Parakeet|ノーフォークインコ]]などが含まれている<ref>{{cite journal | doi = 10.1017/S0030605306000950 | last1 = Butchart | first1 = S | last2 = Stattersfield | first2 = A | last3 = Collar | first3 = N | year = 2006 | title = How many bird extinctions have we prevented? | url = http://www.birdlife.org/news/news/2006/08/butchart_et_al_2006.pdf | journal = Oryx | volume = 40 | issue = 3| pages = 266–79 }}</ref>。 |
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{{-}} |
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==参照== |
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{{Portal|鳥類}} |
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* [[:Category:鳥類画像|鳥類の画像一覧]] |
* [[:Category:鳥類画像|鳥類の画像一覧]] |
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* [[:Category:化石鳥類|化石鳥類の一覧]] |
* [[:Category:化石鳥類|化石鳥類の一覧]] |
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{{-}} |
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{{鳥類関連リスト}} |
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==脚注==<!-- CytogenetGenomeResRes96:97,117:103,117:120,117:165. --> |
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== 出典・脚注 == |
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{{Reflist|2}} |
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<references/> |
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==関連項目== |
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{{鳥類関連リスト}} |
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===外部リンク=== |
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== 参考文献 == |
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{{Sister project links|wikt=bird|b=Bird|q=Birds|s=Bird|commons=Aves|n=Bird|v=Bird|species=Aves}} |
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{{参照方法|section=1|date=2011年3月}} |
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{{Wikibooks|Dichotomous Key|Aves}} |
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*岩槻邦男・馬渡峻輔監修;松井正文編集、『脊椎動物の多様性と系統』,(2006),バイオディバーシティ・シリーズ7(裳華房) |
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*[http://www.bsc-eoc.org/avibase/avibase.jsp?lang=EN&pg=home Avibase]—世界の鳥類のデータベース |
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*[http://www.birdlife.org/ Birdlife International]—全世界での鳥類の保護を主な活動としており、絶滅危惧種に関するおおよそ250,000件の記録についてのデータベースを持っている。 |
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*[http://people.eku.edu/ritchisong/birdbiogeography1.htm Bird biogeography] |
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*[http://www.audubon.org/bird/index.html Birds and Science] [[w:National Audubon Society|全米オーデュボン協会]]が運営するサイト。 |
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*[http://www.birds.cornell.edu/ Cornell Lab of Ornithology] |
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*[http://www.stanford.edu/group/stanfordbirds/text/essays/completed_essays.html Essays on bird biology] |
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*[http://www.i-o-c.org/IOComm/index.htm International Ornithological Committee] |
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*[http://www.mrnussbaum.com/birdsindex.htm North American Birds for Kids] |
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*[http://www.ornithology.com/ Ornithology] |
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*[http://elibrary.unm.edu/sora/index.php Sora]—検索可能なオンラインの研究アーカイブであり、以下の鳥類学学術誌のアーカイブである。 [[w:The Auk]], [[w:Condor (journal)|Condor]], Journal of Field Ornithology, North American Bird Bander, Studies in Avian Biology, Pacific Coast Avifauna, and [[w:the Wilson Bulletin]]. |
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*[http://ibc.lynxeds.com/ The Internet Bird Collection]—世界の鳥類の無料ビデオライブラリー |
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*[http://www.birdpop.org/ The Institute for Bird Populations, California] |
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*[http://media.library.uiuc.edu/cgi/b/bib/bix-idx?c=bix;cc=bix;sid=0c4f6243857204b94fcdebc6dce5d8b2;type=simple;page=browse;inst=bix_10;sort=region list of field guides to birds], International Field Guides database より |
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*[http://www.rspb.org.uk/wildlife/birdidentifier/ RSPB bird identifier]—英国のすべての鳥を見分るためのインタラクティブガイド |
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== 外部リンク == |
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{{Wikiquote|鳥}} |
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{{Commons&cat|Aves}} |
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{{Commonscat|Birds|鳥}} |
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{{Wikispecies|Aves}} |
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* [http://www.wildlife-photo.org/index-jp.htm 野生生物の写真撮影] |
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* [http://www.wildlife-photo.org/birds_list.htm Birds Names Checklist in 4 Languages(ラテン語、英語、ロシア語、ヘブライ語)] |
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{{鳥類}} |
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2011年10月16日 (日) 08:09時点における版
鳥綱 Aves | |||||||||||||||
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現存している鳥類おおよそ30の分類目のうち、
代表的な18種を示す。(クリックして拡大) | |||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||
Aves Linnaeus, 1758[1] | |||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||
トリ | |||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||
bird | |||||||||||||||
亜綱 | |||||||||||||||
鳥類(鳥綱)は羽毛があり、翼を持ち、二足歩行の、恒温性(温血)で、卵生の脊椎動物である。おおよそ10,000種が現存しており、四肢動物のなかでは最も種類の豊富な綱(分類目)となっている。かれらは北極から南極に至る地球上のすべての生態系に生息している。現存している鳥類の大きさの範囲はマメハチドリの5cmからダチョウの2.75mにおよぶ。化石記録によれば、鳥類は一億5,000万年から二億年前ごろのジュラ紀のあいだに、獣脚類恐竜から進化したことが示されている。そして最も初期の鳥類として知られているのが、ジュラ紀後期の始祖鳥(Archaeopteryx)で、おおよそ一億5,000万年から一億4,500万年前である。大部分の古生物学者が、鳥類を約6,550万年前のK-T境界絶滅イベントを生き延びた、恐竜の唯一の系統群であると見なしている。
現生鳥類の特徴は、羽毛があり、歯のないくちばしを持つこと、堅い殻を持つ卵を生むこと、高い代謝率、二心房二心室の心臓、そして軽量ながら強靭な骨格をもつことである。現存する鳥類のすべての種が翼をもつが、現在は絶滅してしまったニュージーランドの飛べないモアが唯一の例外であった。翼は前肢が進化したもので、ほとんどの鳥が飛ぶことができるが、走鳥類や、ペンギン、いくつかの島嶼に適応した固有種などの例外が存在する。さらにまた、鳥類は飛行することに高度に適応した、ユニークな消化系と呼吸器を持っている。ある種の鳥、ことにカラス科やオウム目の鳥はもっとも知能の高い動物種のひとつであり、多くの種において道具を製造して使用することが観察されており、またさまざまな社会性の種が、世代間の知識の文化的伝達行動を示している。
毎年長距離の渡りを行う種がいくつもあり、またさらに多数の種が不規則な短距離の移動を行っている。鳥類には社会性があり、視覚的なサインや鳴声、さえずりによって相互のコミュニケーションを行い、そして、共同での繁殖や狩猟、群れの形成、モビング(偽攻撃、捕食者に対して群れを作って撃退する行動)などの社会的な振る舞いに参加する。大多数の種は社会的に一雄一雌の繁殖形式であり、この関係は通常一回の繁殖期ごとである。中には数年にわたりつがいを組むものもあるが、生涯続くことは稀である。一夫多妻制(複数のメス)や、稀ではあるが一妻多夫制(複数のオス)の繁殖様式をもつ種も存在する。卵は通常、巣のなかで温められ両親によって孵化させられる。ほとんどの鳥で、長期にわたって親が雛を世話する期間がある。
経済的な重要性を担っている種が多数存在しており、主に狩猟や飼育により得られる食料源としてであるが、中にはペットとして、とりわけ鳴禽やインコのように、人気のある種もある。これ以外にも、グアノ(鳥糞石)を肥料にするために採掘することも行われていた。鳥は、宗教からポピュラー音楽の歌詞にいたるまで、人間のあらゆる文化面の活動に顕著に現れている。おおよそ120種ないし130種が、17世紀以降の人間の活動によって絶滅に追い込まれており、さらにそれ以前に数百種以上が絶滅している。保護への取り組みが行われているにも関わらず、現時点で約1,200種の鳥が、人間の活動によって絶滅の危機に瀕している。
進化と分類学
最初の鳥類の分類は、1676年の書物、 Ornithologiae[2]においてフランシス・ウィラビーとジョン・レイによって編み出された。カール・フォン・リンネは1758年に、この成果を元に現在使用されている分類体系を考案した[3]。鳥類はリンネの分類法では生物学的分類目の鳥綱(class Aves)に分類されている。系統分類学では鳥綱を恐竜、獣脚類の系統群に分類している[4]。鳥綱とその姉妹分岐群であるワニ目には、爬虫綱、主竜類系統群を代表する現存種のみが含まれる。系統学的には一般的に、鳥類は現生鳥類と始祖鳥(Archaeopteryx lithographica)の、最も近い共通祖先(MRCA)の子孫のすべてであると定義されている[5]。始祖鳥(一億5,000万年から一億4,500万年前ころのジュラ紀最後期)は、この定義のもとで最も古い既知の鳥である。一方、ジャック・ゴーティエとフィロコード システムの支持者たちは、鳥綱を現生鳥類だけを含むクラウングループとして定義している。このことは、化石のみが知られているほとんどのグループを鳥綱から除外して、これらをかわりにアヴィアラエ(Avialae)というグループに割り当てることでなされる[6]。これは部分的には、伝統的に獣脚類恐竜と考えられている動物との関連における、始祖鳥の位置づけに関する不確かさを回避するためである。
すべての現生鳥類は新鳥亜綱に位置づけられており、ここには二つの下位分類が存在する。古顎類 (Palaeognathae) は飛べない走鳥類(たとえばダチョウなど)とほとんど飛べないシギダチョウ科からなり、広く多様化している新顎類 (Neognathae)はこれ以外のすべての鳥類を含む。この二つの下位分類はしばしば上目として扱われることがあるが[7] 、LivezeyとZusi はこれをコーホート[4] (亜綱の下位分類)として位置づけている。分類学的な観点によって一様ではないが、現存している既知の鳥の種類は9,800種[8]から10,050種[9]の間のどれかと言うことになる。
恐竜と鳥類の起源
大部分の科学者が、化石と生物学的な証拠から、鳥類が特殊化された獣脚類恐竜の下位分類であることを認めている[10]。さらに具体的にいうならば、鳥類はその中でもマニラプトラ目(獣脚類恐竜のグループでドロマエオサウルスやオビラプトール類を含むグループ)のメンバーである[11]。鳥類に関係の近い非鳥類型獣脚類恐竜の化石が発見されるたびに、それまで明瞭だった鳥類と非鳥類の区分が不明瞭になっていっている。最近の中国東北部の遼寧省での発見によって、たくさんの小型獣脚類恐竜が羽毛を持っていたことが明らかになったが、このことは、この不明瞭さをさらに助長した[12]。
現代古生物学における一致した見方は、鳥類ないしアヴィアラエ(Avialae)がデイノニコサウリアの最も近い近縁であり、これにはドロマエオサウルス科、トロオドン科と、おそらくは始祖鳥が含まれる[13] 。さらに、この三つのグループはパラエイブス(Paraves)と呼ばれるグループを構成する。ドロマエオサウルス科のミクロラプトルなど、このグループに属するいくつかのベーサルは、滑空ないし飛行することができたかもしれない特徴を持っている。最もベーサルであるデイノニコサウルス類は非常に小型である。この証拠は、パラエイブスに属する種の祖先が、樹上性であったかも知れず、あるいはまた滑空することができたかも知れず、さらにそのいずれでもあった可能性を提起する[14][15]。近年の研究から、最初の鳥類は、肉食であった始祖鳥や羽毛恐竜とは異なり、草食動物であったことが示唆される[16]。
ジュラ紀後期の始祖鳥は、最初に発見されたミッシングリンク(transitional fossils)のひとつとして有名である。そしてこの化石は19世紀後期の進化論を支持する証拠となった。始祖鳥は、爬虫類の特徴(すなわち、歯や、鉤爪のある指、そして長いトカゲに似た尾)のみならず、現生鳥類のそれと同様な風切り羽根をもつ翼の存在を、明瞭に示した最初の化石であった。始祖鳥が、現生鳥類の直接の祖先であるとは考えられていないが、おそらくは現生鳥類の真の祖先の近縁であった[17]。
異論と論争
鳥類の起源の研究をめぐっては多くの論争が行われてきた。初期の意見の相違には、鳥類が恐竜から進化したのか、あるいはもっと原始的な主竜類(archosaurs)から進化したのかというものも存在する。恐竜陣営のなかにも、鳥盤類恐竜と獣脚類恐竜のいずれのほうが、より鳥類の祖先としてふさわしいかという意見の相違があった[18]。鳥盤類 (bird-hipped) 恐竜と現生鳥類は、骨盤の構造が共通であるが、鳥類は竜盤類(lizard-hipped) 恐竜が起源であると考えられている。したがってかれらの骨盤の構造は、互いに無関係に進化したものである[19]。事実、鳥類様の骨盤の構造は、テリジノサウルス科と呼ばれる、獣脚類恐竜の特異なグループの進化において、3度出現している。
ノースカロライナ大学の鳥類古生物学者アラン・フェドゥーシアのような一部の少数派の研究者は、主流派の意見に異議を唱えており、鳥類が恐竜から進化したのではなく、ロンギスクアマのような初期の主竜類から進化したと主張している[20][21]。
初期の鳥類の進化
キアッペ,2007 に基づく[22] |
鳥類の広範な形態への多様化は、白亜紀の間に起こった[22]。鉤爪のついた翼や歯といったような、共有派生形質を維持したままのグループも多く存在したが、歯は、現生鳥類(新顎類)を含むいくつものグループで、個々に失われていった。始祖鳥やジェホロルニスのような最も初期の形態では、かれらの祖先が持っていた、長く骨のある尾を保持していたが[22]、一方でパイゴスティル類に属するより進化した鳥類の尾は、尾端骨の出現により短くなった。およそ9,500万年前の後期白亜紀には、すべての現生鳥類の祖先は、より優れた嗅覚を進化させた[23]。
最初の、大規模で多様化した短尾の鳥類の系統として進化したのが、エナンティオルニス類、あるいは別名”反鳥類”である。このように命名されたのは、かれらの肩甲骨の構造が、現生鳥類のそれと反転していることに由来している。エナンティオルニス類は生態系において、砂浜をあさる渉禽類や、魚を捕食する鳥から、樹木に居住する形態や、種子を食べる鳥にいたるまで、多彩なニッチを占有した[22]。さらに進んだ系統では、これもまた魚を捕食することに特殊化した、表面的にはカモメによく似たイクチオルニス亜綱がある。[24]
中生代の海鳥の目のひとつである、ヘスペロルニス類は海洋での魚の捕食に非常によく適応していたため、飛行する能力を失い、主として水中に生活するようになった。かれらの極端な専門化にも関わらず、ヘスペロルニス目は現生鳥類のもっとも近縁のいくつかの種を代表する存在である[22]。
現生鳥類の多様化
すべての現生鳥類を含む系統である新鳥亜綱が、白亜紀のおわりまでにいくつかの基本的な系統へと進化したこと、そしてまた、二つの上目、すなわち古顎類 (Palaeognathae)と新顎類 (Neognathae)に分岐したことが、現在ではベガビス属が発見されたことによってわかっている[25]。古顎類には中米と南米の走鳥類とシギダチョウ類が含まれる。もう一方の新顎類からのベーサルの分岐が、キジカモ類(Galloanserae)のグループであり、この上目にはカモ目(Anseriformes、カモ 、 ガチョウ 、ハクチョウ 、サケビドリ科) とキジ目(Galliformes、キジ、ライチョウとその仲間に加えて、ツカツクリ科、ホウカンチョウ科とその仲間)が含まれる。この分岐の起こった時期に関する議論は、大きな論争の的となっている。新鳥亜綱が白亜紀に進化し、新顎類からキジカモ類がわかれたのが、K-T境界絶滅イベントの前であることについては同意が得られたが、しかし、これ以外の、新顎類の適応放散が起きたのが、鳥類以外の恐竜の絶滅以前なのか、あるいは絶滅以降だったのかについては、意見が一致していない[26] 。この意見の不一致の原因は、部分的には証拠の発散によるものである。すなわち、化石記録の証拠が第三紀に適応放散が起きたことを示すにも関わらず、分子年代測定は白亜紀の適応放散を示唆している。これらの証拠を調和させようとする試みは、物議を醸すのみの結果に終わった[26][27]。
鳥類の分類は議論の絶えない分野である。シブリーとアールキストのPhylogeny and Classification of Birds (1990) は、鳥類の分類における画期的な業績であるが[28] 、しばしば討論が行われ、絶えず改定されている。ほとんどの証拠は、分類における目(order)の割り当てが正確であることを支持しているように見えるが[29]、目そのものの相互関係については、研究者の意見は一致していない。現生鳥類の解剖学や、化石、DNAなどあらゆる物が問題解決のために用いられてきたが、強いコンセンサスは出現していない。さらに近年になって、新たな化石記録や分子解析による証拠から、現生鳥類の目の進化に関して、徐々により鮮明なビジョンが得られるようになってきている。
現生鳥類の目:分類
基づく現生鳥類のベーサルの多様化 |
以下に掲げるのは、新鳥亜綱ないし現生鳥類における分類目のリストである。このリストでは(いわゆるクレメンツ鳥類分類と呼ばれている)古典的な分類を、シブリー-モンロー分類に基づいて修正したものを使用している。項目”クレメンツ鳥類分類”では、科を含むさらに詳細な分類目の概要を見ることができる。
新鳥亜綱
新鳥亜綱には二つの上目が存在する。
古顎類上目:
この上目の名称(Palaeognathae)は、口蓋骨格の解剖学的構造に関連して、古代ギリシア語で”古い顎”を意味する'paleognath'に由来している。この部位は、他の鳥類のそれに比較して、より原始的であり爬虫類的であるとされている。古顎類は49種の現存種から構成される二つの目を含む。
新顎類上目:
新顎類上目は27の分類目から構成され、この中には総数約10,000前後の種が含まれる。新顎類は適応放散を経て、形態(特にクチバシと脚)、機能や生態などの、今日見られる驚異的な多様性を獲得した。
新顎類上目は下記の27目から構成される
- カモ目 Anseriformes—水鳥
- キジ目 Galliformes—キジカモ類
- チドリ目 Charadriiformes—カモメ, ミフウズラ, チドリ およびその仲間
- アビ目 Gaviiformes—アビ
- カイツブリ目 Podicipediformes—カイツブリ
- ミズナギドリ目 Procellariiformes—アホウドリ, ウミツバメ およびその仲間
- ペンギン目 Sphenisciformes—ペンギン
- ペリカン目 Pelecaniformes—ペリカン およびその仲間
- ネッタイチョウ目 Phaethontiformes—ネッタイチョウ
- コウノトリ目 Ciconiiformes—コウノトリ
- コンドル目 Cathartiformes—コンドル
- フラミンゴ目 Phoenicopteriformes—フラミンゴ
- タカ目 Falconiformes—ハヤブサ, ワシ, タカ およびその仲間
- ツル目 Gruiformes—ツル およびその仲間
- サケイ目 Pteroclidiformes—サケイ
- ハト目 Columbiformes—ハト
- オウム目 Psittaciformes—インコ, オウム およびその仲間
- カッコウ目 Cuculiformes—カッコウ および エボシドリ
- ツメバケイ目 Opisthocomiformes—ツメバケイ
- フクロウ目 Strigiformes—フクロウ
- ヨタカ目 Caprimulgiformes—ヨタカ およびその仲間
- アマツバメ目 Apodiformes—アマツバメ および ハチドリ
- ブッポウソウ目 Coraciiformes—カワセミ およびその仲間
- キツツキ目 Piciformes—キツツキ およびその仲間
- キヌバネドリ目 Trogoniformes—キヌバネドリ
- ネズミドリ目 Coliiformes—ネズミドリ
- スズメ目 Passeriformes
最近の分子解析や化石記録、解剖学的な証拠などがキジカモ上目を支持したことから[26]、分子データに基づいて根本的に改編したシブリー-モンロー分類(シブリー-アールキスト分類学)であり、いくつかの観点における広範な分類目の再編が見られる。
分布
鳥類の生活と繁殖は、ほとんどが陸上の生息地で営まれており、これらは7大陸すべてで見ることができるが、その南限はユキドリの繁殖地で、南極大陸の内陸 440キロメートル (270 mi)にも及ぶ[32] 。鳥類の最も高度な多様化は熱帯地方で起こった。初期にはこの高度な多様化の原因が、熱帯地方での高い種分化のスピードによるものであると考えられていた。しかしながら、近年の研究で、高緯度地方では熱帯地方よりも高い絶滅率によって、高い種分化の速度が相殺されていることがわかっている[33]。いくつもの鳥類のグループが、世界中の海洋の海面、海中両方の生活に適応している。たとえば、ある種の海鳥は繁殖のためだけに海岸にやって来るし[34]、ペンギンの中には 300メートル (980 ft)以上潜水した記録を持つものがある[35]。
鳥類の中には、人為的に移入された地域で安定個体群を確立した種がいくつもある。なかには意図的に行われた移入もあった。たとえばコウライキジは、狩猟を目的として世界中に移入された[36]。逆にまた、複数の北アメリカの都市で起きたように、飼育されていたペットの逃亡による、野生のオキナインコの安定個体群の確立のような、意図しない移入の例もある[37]。またアマサギ[38]やキバラカラカラ[39]、モモイロインコ[40]のように、耕作によって新たに作られた生息に適した地域に、本来の生息地をはるかに超えて自然に広がっていった種もある。
解剖学と生理学
ほかの脊椎動物に比較して、鳥類は数多くの特異な適応をしめすボディプランを持っており、そのほとんどは飛行を助けるためのものである。
骨格は非常に軽量な骨から構成されている。骨には大きな空気の満たされた空洞(pneumatic cavitiesと呼ばれている)があり、呼吸器と結合されている[41] 。成鳥の頭蓋骨は癒合しており縫合線がみられない[42]。眼窩は大きく、骨質の隔壁で隔てられている。脊椎は、頸部、胸部、腰部、尾部の領域がある。頸部(首)の脊椎は可動性が非常に高く、きわめて柔軟であるが、その動きは前部の胸椎と後部の椎骨の欠損によって制限される[43]。脊椎の最後のいくつかは骨盤と融合して複合仙骨を形成する[42]。飛べない鳥類をのぞいては、肋骨は平坦になっており、胸骨は飛行のための筋肉を結合するために、船の竜骨の様な形状をしている。前肢は翼へと修正されている[44]。
鳥類は爬虫類と同様に、基本的には尿酸排泄性である。すなわち、その腎臓は血液中の窒素廃棄物を抽出して、これを尿素ないしアンモニアではなく、尿酸として尿管を経由して腸に排出する。鳥類には膀胱ないし外部尿道孔がなく(ただしダチョウは例外である)、そしてこのため尿酸は半固形の廃棄物として、糞便と一緒に排泄される[45][46][47]。ただしハチドリのような鳥は、条件的アンモニア排泄性であり、ほとんどの窒素廃棄物をアンモニアとして排出することがある[48]。さらに鳥類は、哺乳類がクレアチニンを排泄するのに対して、クレアチンを排泄する[42]。この物質は、ほかの腸の産生物と同じように総排出腔[49][50]に現れる。総排出腔は多目的の開口部で、排泄物はこれを通して排出され、鳥が交尾する時にはそれぞれの総排出腔を接触させ、メスはこれを通して卵を産む。これに加えて、多くの種がペリットの吐き戻しを行う[51]。鳥類の消化システムはユニークである。食べたものを貯蔵するための素嚢(そのう)があり、また、砂嚢(さのう)には飲み込んだ小石が入っており、これで食物をすりつぶすことで、歯のないことを補っている[52]。ほとんどの鳥類が、飛行を助けるため、すばやく消化することに高度に適応している[53]。渡りを行う鳥の中には、腸の蛋白質といった、その体のいろいろな部分からの蛋白質を、渡りの間の補助的なエネルギー源として使用するように適応しているものがある。[54]
鳥類は、すべての動物のグループの中で、最も複雑な呼吸器をもったグループのひとつである[42]。鳥が息を吸い込むとき、新鮮な空気のうち75%が肺を迂回して、後部気嚢群に直接流れ込み、これを空気で満たす。後部気嚢群とは、肺から広がって骨の中の気室に繋がっている気嚢のグループである。残りの25%の空気は直接肺に送られる。鳥が息を吐くと、古い呼気が肺から押し出され、同時に、後部気嚢群に蓄えられていた空気が、肺に強制的に送り込まれる。このようにして、鳥類の肺には息を吸うときにも吐くときにも、常時新鮮な空気が供給されている[55]。鳥の声は、鳴管を使うことによって作り出されている。鳴管は筋肉質の腔で、気管下部の末端から分岐した、複数の鼓膜のような膜が組み合わされている[56]。鳥類の心臓には4室があり、右側の大動脈弓によって体循環を引き起こす(哺乳類はこれとは異なり、左側の大動脈弓による)[42]。下大静脈は、腎門脈系を経由して、四肢からの血流を受け取る。哺乳類とは異なり、鳥類の赤血球には細胞核がある[57]。
神経系は、鳥類の体の大きさから見ると相対的に大規模である[42]。脳において最も発達しているのは、飛行に関連した機能を司る部位であり、小脳が運動を調節する一方、大脳が行動パターンや航法、繁殖行動、営巣などをコントロールする。ほとんどの鳥が貧弱な嗅覚しか持たないが、顕著な例外としてキーウィ[58]、コンドル目[59]、ミズナギドリ目[60]などの鳥があげられる。鳥類の視覚システムは一般に高度に発達している。水鳥は特別に柔軟なレンズを持つことで、空中の視覚と水中の視覚を両立させている[42]。なかにはふたつの中心窩をもつ種も存在している[61]。鳥類は4色型色覚であり、赤、緑、青の錐体細胞と同じように、紫外線(UV)に感度のある錐体細胞を網膜に持っている。このことから、かれらは紫外線の光を見分けることができ、これが求愛行動に関係している。多くの鳥が、紫外線による羽毛の模様を示すが、これはヒトの目では見ることができない。すなわち、ヒトの裸眼で雌雄が同じに見えるような鳥でも、その羽毛に紫外線を反射する部分が存在することによって、性別を見分けられるようになる。オスのアオガラの羽毛には、紫外線を反射する冠状の部分があり、求愛行動の際にはポーズをとり、その首筋の羽根を立てることでディスプレイを行う[62]。紫外線はまた、食餌を探すためにも使用されている。チョウゲンボウは、齧歯類が地上に残した尿によるトレースの、紫外線反射を見つけることで獲物を探していることが示されている[63] 。鳥類のまぶたは、瞬きのために使用されているのではない。そのかわりに目は、瞬膜によって潤滑されている。瞬膜は水平方向に移動する三番目のまぶたである[64]。さらにまた、多くの水鳥において、瞬膜は目をカバーしコンタクトレンズのような働きをする[42]。鳥類の網膜は、ペクテンと呼ばれる扇状の血液供給システムを持っている[42]。ほとんどの鳥は眼球を動かすことができないが、カワウのような例外も存在する[65]。鳥類のうち、目をその頭部の両側面に持つものは広い視野を持ち、フクロウのように頭部の前面に目を持つものは、双眼視の視野を持ち、かつ視野の奥行きを見積もることができる[66]。鳥類の耳は外側の耳介を欠いており、羽毛に覆われているが、フクロウ、ミミズク、コノハズクのような鳥では、これらの羽根が耳介に形の似た房を形成する。内耳には蝸牛(かぎゅう、cochlea)があるが、哺乳類のそれのように、巻貝状の形をしているわけではない[67]。
捕食者に対して、化学的防御を用いることができる鳥が数種類存在している。ある種のミズナギドリは、攻撃者に向かって不快な油を発射することができるし[68]、またニューギニア産のある種のピトフーイは、強力な神経毒を、その皮膚と羽毛に持っている[69]。
染色体
鳥類には二つの性別、すなわちオスとメスがある。鳥類の性は、哺乳類が持っているXとYの染色体ではなく、ZとWの性染色体によって決定される。オスの鳥は、二つのZ染色体(ZZ)を持ち、メスの鳥はW染色体とZ染色体(WZ)を持っている[42]。ほとんどすべての鳥類の種において、個々の性別は受精の際に決定される。しかしながら、最近の研究によって、ヤブツカツクリの間で、温度依存的な性決定が存在することが明らかになった。ヤブツカツクリの抱卵中に、気温が高いほど、結果としてメスに対するオスの性比が高くなった[70]。
羽根と羽装と鱗
羽根は(現在では真の鳥類であるとは考えられていない、恐竜の一部にも存在するけれども)、鳥類に特有の特徴である。羽根によって飛行が可能になり、熱の絶縁によって体温調節を助け、そしてまた、ディスプレイや、カモフラージュ、また、情報伝達にも使用される[42]。羽根にはいくつもの種類があり、それぞれが、個々のさまざまな目的に応じて機能している。羽根は皮膚に付属した上皮成長物であり、羽域(pterylae)と呼ばれる、皮膚の特定の領域にのみ生ずる。これらの羽域の分布パターン(羽区分布、pterylosis)は分類学や系統学で使用されている。鳥の体における羽根の配列や外観を総称して、羽装(plumage)とよぶ。羽装は、同一種の中でも、年齢、社会的地位[71]や性別によって変化することがある[72] 。
羽装は常時生え変わっている。鳥の標準的な羽装とは、繁殖期のあと生え変わった羽装であり、Non-breeding plumageとして知られている。あるいはハンフリー・パークスの用語集(Humphrey-Parkes terminology)によれば"基本"羽装("basic" plumage)である。繁殖期の羽装、あるいは基本羽装のバリエーションは、ハンフリー・パークスの用語法によれば交替"alternate"羽装として知られている[73]。ほとんどの種で、羽根の生え変わりは毎年起こるが、中には年に2回生え変わるものもある。また大型の猛禽の中には、数年ごとにしか生え変わらないものもある。羽根の生え変わりのパターンは種ごとに異なっている。スズメ目の鳥では風切り羽根は、最も内側の初列風切り羽根から始まって、一度に1本ずつ生え変わる。6枚の風切り羽根の5番目が生え変わると、最も外側の三列風切り羽根が抜け始める。最も内側の三列風切り羽根が生え変わったあと、次列風切り羽根が最も内側から抜け始め、このプロセスがより外側の羽根へと進んで行く(遠心性換羽、centrifugal moult)。初列風切り羽根が生え変わるに従い、これをカバーしている大雨覆い(greater primary coverts)が、歩調を合わせて生え変わる[74]。カモやガチョウといった、ごく少数の種は、すべての風切り羽根が一度に抜け、一時的に飛ぶことができなくなる[75]。一般的なルールとして、尾羽根の脱落と生え変わりは、最も内側のペアから始まる[74]。尾羽根の求心性換羽(Centripetal moult)は、キジ科でかろうじて見ることができる[76]。遠心性換羽はキツツキやキバシリ科などの鳥の尾羽根では修正されている。これらの鳥では、内側から2番目の羽根のペアから始まり、そして中心の羽根のペアで終わる。これによって、これらの鳥では登攀のための尾羽根の機能を維持している[74][77]。スズメ目の鳥に見られる一般的なパターンは、初列風切り羽根が外側に向かって、次列風切り羽根は内側に向かって、そして尾羽根が中心から外部に向かって生え変わって行く[78]。営巣に先立って、ほとんどの種のメスが、腹に近い部位の羽根を失うことで、皮膚の露出した抱卵斑を得る。この部分の皮膚は血管がよく発達しており、鳥の抱卵の助けになる[79]。
羽根はメンテナンスが必要であり、鳥は毎日、羽繕いや手入れを行っている。かれらは、一日の9%前後をこの作業に費やしている[80]。嘴は、羽根から異物のかけらを払い出すだけではなく、尾腺からの蝋のような分泌物を塗る事にも使われる。この分泌物は羽根の柔軟性を守り、また、抗菌剤としても働き、羽根を劣化させる細菌の成長を阻害する[81]。この作用は、アリの分泌するギ酸によって補われているのかも知れない。これは蟻浴として知られている鳥の行動を通して得られるもので、羽根の寄生虫を取り除くための行動であると考えられている[82]。
鳥の鱗は、嘴や、鉤爪、蹴爪と同じようにケラチンから作られている。鱗は主に趾(あしゆび)や中足骨に見られるが、種類によっては足首のずっと上の部位にまで見られるものもある。カワセミ亜科やキツツキ科を除いて、ほとんどの鳥において、鱗の重なりは少ない。鳥類の鱗は爬虫類や哺乳類のそれと、相同であると考えられている[83]。
飛行
ほとんどの鳥は飛行することができ、このことが鳥類を、他のほとんどすべての脊椎動物の綱から際立たせている。飛行はほとんどの種の鳥にとって第一の移動手段であり、繁殖、採餌、そして捕食者からの回避と脱出に用いられる。鳥類は、飛行翼として機能するように修正された前肢(翼)ばかりではなく[42]、軽量な骨格構造や、二つの大きな飛行のための筋肉である、胸筋(鳥の全体重の15%を占める)と上烏口筋、といった飛行のための、さまざまな適応を行っている。翼の形状と大きさは、一般的に鳥の種の飛行のタイプによって決まる。たいていの鳥は、力の必要な羽ばたきによる飛行と、よりエネルギー要求の低い、滑空飛行を組み合わせている。飛行しない鳥は、その多くが絶滅種であるが、約60種が現存している[84]。飛行能力の消滅は、隔絶された島嶼の鳥類にしばしば起きるが、おそらくこれは限られた資源と、陸棲の捕食者の不在によるものなのであろう[85]。ペンギンは飛行こそしないが、飛行のための筋肉を使い、空中と同じ動きでウミスズメやミズナギドリ、カワガラスがするように水中を”飛行”する[86]。
生態
鳥類のほとんどは昼行性であるが、たとえば、フクロウやヨタカの多くの種は、夜行性ないし薄明薄暮性(薄明の時間帯に活動する)であるし、また、チドリ目の中には、潮の干満にあわせて、昼夜にかかわりなく採餌する種が多く存在する[87] 。
食餌と採餌
鳥類の食餌は多彩であり、多くの場合蜜や果実、植物、種子、屍肉および、他の鳥を含むさまざまな小動物などが含まれる[42]。鳥には歯がないことから、その消化器系は、丸のみにした、咀嚼されていない食物を処理することに適応している。
鳥類のうち、多彩な食物の中から食料を獲得したり採餌するために、さまざまな戦略を採用するものをジェネラリストと呼び、また他方、特定の食料物資の獲得に時間と労力を集中させるか、あるいは、単一の戦略だけで、食料を獲得しようとするものは、スペシャリストであると考えられている[42]。鳥類の採餌戦略は種によって異なっている。鳥類の多くは、昆虫や無脊椎動物、果実、種子を拾い集めて食べる。中には、枝から奇襲攻撃をかけて昆虫を狩るものもある。このように害虫を探し出す種類の鳥は、有益な’生物的防除剤’であると考えられており、生物的防除プログラムにおいては、その存在を促進している[88] 。ハチドリや、タイヨウチョウ、ヒインコの仲間のような果汁や蜜を採食するものは、特別に適応したブラシ状の舌を持ち、多くの場合くちばしの形状が、共進化した花に適するようにデザインされている[89] 。キーウィとチドリ目の鳥は、その長いくちばしをプローブとして使い、無脊椎動物を探す。チドリ目の間でくちばしの長さと採餌の方法にバラエティが生じたのは、生態的ニッチの分離の結果である[42][90]。アビ、ウスユキガモ、ペンギン、ウミスズメなどは、水中で翼ないし足を推進器として使い、その獲物を追いかける[34]。一方、カツオドリやカワセミ、アジサシのような飛行型の捕食者は、その獲物の後ろに空中から突入する。フラミンゴやアオミズナギドリのうちの3種、そしてカモの一部は濾過摂食を行う[91][92]。ガンやカモは基本的に草食動物である。
オオグンカンドリ、カモメ[93] やトウゾクカモメ[94]など一部の種は、寄生的略奪(kleptoparasitism)-- 他の鳥から食料になるものを奪いとること -- を行う。寄生的略奪による食料はいずれの種においても、食料の主要な部分と言うよりは、むしろ狩猟による収穫を補うものであると考えられている。オオグンカンドリについての研究によれば、かれらはアオツラカツオドリの食料から、多くてもその40%、平均ではたった5%しか奪っていないと見積もられている[95]。他の鳥には腐肉食のものがある。中にはコンドルのように、屍肉に特化したものもあるし、また一方、カモメやカラス、あるいは他の猛禽類のような便宜主義者もある[96]。
水の摂取
窒素廃棄物排出の様態と、汗腺の欠如によって、鳥類の水分に対する生理的要求は軽減されてはいるが、それでも多くの鳥にとって水は必要である[97]。ある種の砂漠の鳥は、その食物に含まれる水分だけで、必要とする水をすべて得ることができる。さらにかれらはこれ以外にも、体温の上昇を許容して蒸散冷却(浅速呼吸)による水分の損失を抑える[98]、といった適応を行っていると考えられている。海鳥は海水を飲むことができ、頭蓋内部に塩類腺をもっている。この塩類腺によって海水から過剰な塩分を除去して、鼻孔から排出する[99] 。
ほとんどの鳥は水を飲む際に、その嘴で水をすくい取り、そして水がのどを流れ落ちるように、首を上にそらせる。一部の種、ことに乾燥した地域に生息するハト科やカエデチョウ科、ネズミドリ科、ミフウズラ科、ノガン科などに属する種は、水をすする能力があり、その頭を後ろに傾ける必要がない[100]。飲み水に依存しているある種の砂漠の鳥や、サケイ科の鳥は、毎日水たまりに集まってくることで、とりわけ有名である。営巣しているサケイや、チドリ科の多くの鳥は、その腹の羽毛に水を含ませて、雛に運ぶ[101]。中には、巣の雛に飲ませる水を、自分の素嚢(そのう)にいれて運び、あるいは、餌と一緒に吐きもどす鳥もある。ハト科、フラミンゴ目やペンギン目の鳥は、素嚢乳と呼ばれる栄養分を含んだ液体を分泌して、これを雛に与えるような適応を行っている[102]。
渡り
たくさんの種の鳥たちが、地球規模の季節的な気温の差異を利用するために、渡りをおこない、これによって、食料供給や繁殖地の確保の最適化を図っている。これらの渡りの行動は、それぞれのグループによって異なっている。通常、天候や気候の条件だけではなく、昼の長さがきっかけとなって、多くの陸鳥や、海鳥、渉禽、水鳥が毎年、長距離の渡りに乗り出して行く。これらの鳥を特徴づけているのは、かれらが繁殖期を温暖な地域、ないしは北極または南極の極地方で過ごし、そうでない時期を熱帯地方か、あるいは反対の半球で過ごすことである。渡りに先立って、鳥たちは体脂肪を大幅に増やし、また、一部の体組織の大きさを維持したり、縮小させたりする[54][103]。渡りは、とりわけ食料の補給なしに、砂漠や大洋を横断する必要がある鳥たちにとって、エネルギー的な要求が高い。陸鳥は、おおよそ2,500 km (1,600 mi)前後の飛行距離を持ち、渉禽は4,000 km (2,500 mi)以上を飛ぶことができる[104]。しかし、オオソリハシシギは10,200 km (6,300 mi)以上の距離を、ノンストップで飛び続ける能力がある[105]。海鳥もまた、長距離の渡りを行う。最も長距離の周期的な渡りを行うのが、ハイイロミズナギドリである。かれらはニュージーランドやチリで営巣し、北半球の夏を、日本やアラスカ、カリフォルニア沖の北太平洋で、餌を採って過ごす。この季節的な周回移動は、総距離 64,000 km (39,800 mi)にも及ぶ[106]。この他の海鳥では、繁殖期が過ぎると分散して広い範囲を移動するが、一定の渡りのルートを持たない。南極海で営巣するアホウドリは、繁殖期と繁殖期の間には、しばしば極周回の移動を行っている[107]。
中には、もっと短距離の渡りを行う種もある。移動は、単に悪天候を避けるために必要な距離だけであったり、また、食料を得るために必要なだけであったりする。北方のアトリのような大発生する種は、そのようなグループのひとつであり、ある年にはある場所でごく普通に見られたものが、次の年には全くいなくなったりする。この種の渡りは、通常、食料入手の容易さに関連している[108]。また、これらの鳥はその分布域の一部に重なるような、さらに短距離の移動を行うこともある。個体によっては高緯度地方から、同種の鳥の既存の分布域に移動することもある。そしてほかのものは、生息数の一部分だけ(普通、メスと亜優先種のオスたち)が移動する、部分的な渡り(partial migration)を行う[109]。部分的な渡りは地域によっては、鳥類の渡り行動の大きなパーセンテージを占めることがある。オーストラリアでの調査によれば、非スズメ目の鳥でその44%が、またスズメ目の鳥でその32%が、部分的な渡りを行っていることがわかっている[110]。高所移動(Altitudinal migration)は、短距離の渡りのひとつの形態で、繁殖期を標高の高い高地で過ごし、最適下限の条件下では、より高度の低い地域に移動するような鳥に見られる。多くの場合、この行動のきっかけとなるのが、気温の変化であり、また一般に、通常のなわばりが、食料の欠乏によって生息に適さなくなることにより引き起こされる[111]。また一部の種は放浪性である場合もあり、決まったなわばりを持たず、水や食料を求めて移動する。インコは、科としての圧倒的多数が移動性でもなければ、定住性でもない。その移動の形態は、分散的であるか、大発生によるものか、放浪性であるか、あるいは不規則に渡りを行っているか、そのいずれかではないかと考えられている[112]。
鳥類が、膨大な距離を超えて、正確な位置に戻ってくる能力を持っていることは以前から知られていた。1950年代に行われた実験ではボストンではなされたマンクスミズナギドリが、13日後に5,150 km (3,200 mi)の距離を越えて、ウェールズ州スコマー島にあったもとのコロニーに帰還した[113]。鳥は渡りの間、さまざまな方法を使って航法を行っている。昼行性の渡り鳥の場合、日中の航法には太陽が用いられ、そして、夜間は恒星がコンパスとして使用される。航法に太陽を用いる鳥は、飛行に伴う日々の太陽の位置の変化を、体内時計を利用して補正している[42]。恒星によるコンパスでは、その方向は、北極星を取り囲む星座の位置に依存している[114]。ある種の鳥たちはこれらの航法を、特殊な光受容体による地球の地磁気を検知する事ができる能力によって、バックアップしている[115]。
コミュニケーション
鳥類は、基本的に視覚的信号と聴覚信号を使ってコミュニケーションを行う。これらの信号は異なる種の間(interspecific)の信号である場合もあれば、同じ種の中(intraspecific)での信号である場合もある。
鳥類は、時には社会的な優位性を評価したり、主張するために羽装を使用することがあり[116]、また、性淘汰の起こった種のなかでは、繁殖可能な状態にあることを示すために使われることもある。あるいはまた、ジャノメドリに見られるような擬態(親鳥が大型捕食者を擬態して、タカを脅かして追い払い、幼い雛を守ること)を行うために、羽装が使われることもある[117]。羽装のバリエーションはまた、ことに異種間において、互いにその種類を識別することを可能にする。鳥類相互の視覚的コミュニケーションには、儀式化されたディスプレイが必然的に含まれていることもある。これらのディスプレイは羽繕いや羽根の位置の調整、つつき順、あるいは、その他のさまざまな振る舞いのような、信号を目的としない動作から発展したものであろう。こういったディスプレイによって、攻撃や服従を意味する信号を送る場合もあるし、また、つがい関係の形成に役立つ場合もある[42]。最も精巧なディスプレイは、求愛行動の際に行われるものである。このいわゆる”ダンス”は多くの場合、多数の可能な動作を構成要素とする複雑な組み合わせによって構成されており[118]、オスの繁殖の成功が、このようなディスプレイの出来栄えにかかっていることもある[119]。
鳥の鳴き声とさえずりは、鳴管によって作られ、鳥が音によってコミュニケーションを行う際の主要な手段である。この種のコミュニケーションは、非常に複雑なものになることもある。なかには鳴管の二つの面を、それぞれ独立して操作できる種もあり、これによって、同時に二つの異なるさえずりを作り出すことができる[56]。鳴声はさまざまな目的に使用される。たとえば異性の気を引くことや[42]、異性を値踏みすること[120]、つがいの形成、なわばりの主張と維持[42]、個体相互の識別(たとえばミソサザイの親鳥がコロニーの中で雛を探すとき、また繁殖期の初めにつがいが再会するとき)[121] 、あるいは、捕食者らしきものの接近をほかの鳥へ警告したり、また時には脅威の性質に関する一定の情報である場合もある[122]。あるいはまた、機械的に発生させた音を、聴覚的コミュニケーションに使用する鳥もある。ニュージーランド産のジシギは、その羽根に空気を通して振動させる[123]。キツツキはなわばりを主張するドラミングを行い[53]、またヤシオウムはドラミングのために道具を使う[124]。
群れの形成とそのほかの集合体
なかには縄張りでの生活や、小さな家族のグループでの生活を基本とする種も存在するが、そうではない鳥は、大規模な群れを形成することがある。群れをつくることの大きな利点は、数が多いことによる安全であり、そして採餌効率の向上である[42]。樹林のような閉じた生息地では、捕食者に対する防御(待ち伏せ型の捕食者が一般的であり、複数の目による監視によって、価値ある視覚的早期警戒システムを得ることができる)が、ことのほか重要である。このことから混群の形成が発達してゆく。混群は通常、個体数の少ないたくさんの種から構成される。こういった混群は、数が多いことによる安全をもたらすが、潜在的な資源の争奪を減少させる[126]。群れを形成することの代償には、社会的地位が低い鳥に対する、より優位な鳥によるいじめや、特定の条件下での採餌効率の低下などがある[127]。
鳥は時には、鳥類以外の種と集合体を作ることもある。上空から急降下して潜水して捕食するタイプの海鳥(Plunge-diving seabirds)は、魚群を海面に押し上げてくれる、イルカやマグロの群れに集合する[128] 。サイチョウは、コビトマングースと相利共生的な関係にある。かれらは一緒に餌をさがし、猛禽や、そのほかの捕食者の接近を互いに警告しあう[129]。
休息と睡眠
鳥類の一日における、活動的期間の高い代謝率は、これ以外の時間の休息によって補われている。睡眠中の鳥は、用心深い眠り(vigilant sleep)として知られるタイプの眠りをしばしば用いる。このタイプの睡眠には、素早く目を開くことによる一瞥(peeks)が組み込まれており、これによってかれらは異常に対して鋭敏になり、脅威から素早く逃れられるようになる[130]。アマツバメは、飛行中に睡眠をとることができると考えられているが、レーダーを使った観測によれば、その飛行中の休息のさいには、かれらは風上に向かうように方向を決めていることがわかっている[131]。そこには、おそらくは飛行中であっても可能であるような、ある種の睡眠のようなものが存在する可能性が示唆されている[132]。また、ある種の鳥には、大脳のそれぞれの半球で、交替で徐波睡眠に入ることができる能力を示すものもある。鳥はこの能力を、群れの外側方向に対する、その位置に応じて働かせる傾向がある。これによって、睡眠中の大脳半球の反対側の目が、群れの外縁を見張ることで、捕食者を警戒し続けることが可能になる。こういった適応は、海棲哺乳類においても知られている[133]。鳥が集団でねぐらに集まることは一般的である。と言うのも、これによって 体熱の損失を押さえ、捕食者に関連する危険を低減できるからである[134] 。ねぐらの場所は、多くの場合、保温と安全を考慮して選択される[135]。
多くの鳥が、睡眠の際にはその首を背中越しに折り曲げて、嘴を背中の羽根の中に押し込んでいる。あるいはまた、胸の羽毛の中に、嘴を差し込んで眠る鳥もある。多くの鳥が一本足で休息をとるが、中には、特に寒冷な気候において、両足を羽毛の中に引き込んでしまう鳥もある。スズメ目の鳥には、腱のロック機構が備わっており、このことが、睡眠中にその体を、止まり木の上に保持することに役立っている。ウズラやキジといった、多くの陸禽が樹上にねぐらを持つ。インコのなかでも、サトウチョウ属(Loriculus)の鳥は、上下さかさまにぶら下がって休息する[136]。ハチドリの中には、夜間モードとして、代謝率の低下を伴う休眠状態になるものがある[137]。この生理的な適応は、ズクヨタカや、ヨタカ、モリツバメなど、100種近い他の鳥にも見られる。ただ一種類、プアーウィルヨタカだけは、冬眠状態に入ることすらある[138]。鳥類は汗腺を持たないが、日陰に移動したり、水中に立ったり、浅速呼吸をしたり、体表面積を大きくしたり、喉をはためかせたりして、その体を冷却する。あるいはまた、urohidrosis(冷却のメカニズムとして、自分の脚の鱗の部分に排便する行動)といった特別な行動によって、自分自身を冷却することがある。
繁殖
社会システム
鳥類の95パーセントは、社会的に一夫一婦制である。これらの種のつがいは、最低でもひとつの繁殖期の間、あるいはまた、場合によっては数年から、配偶者が死亡するまで続く[140]。一夫一婦制によって、両親による子育て(Parental investment、PI)が可能となる。このことはメスが雛の哺育を成功させるために、オスの手助けが必要であるような種にとって、きわめて重要なことである[141]。多くの社会的に一夫一婦制である種のあいだで、配偶者以外との交尾(婚外関係)は一般的である[142]。このような行動は、ふつうは優占種のオスと、亜優占種のオスの配偶者であるメスとの間で起こる。しかしまた、アヒルとこれ以外のカモ科の鳥との強制的なペアリングの結果として、このような行動が起こることもある[143]。メスにとっては、婚外関係から期待される利益には、その子孫によりすぐれた遺伝子を得られることや、また彼女の配偶者による無精卵の可能性に対して保険をかけることなどがある[144]。婚外関係に関わった種のオスは、かれらの作った子孫を確実に哺育できるように、その相手を密接に保護する[145]。
これ以外の配偶システムとしては、一夫多妻制、一妻多夫制、複婚や、さらには乱婚すら存在している[42]。複婚による配偶システムは、メスがオスの手助けなしで哺育を行うことができる場合に生ずる[42]。なかには、環境に応じてさまざまな配偶システムを採用する種もある。
繁殖には、たいていは何らかの形の求愛行動が含まれており、これらは一般的にはオスによって演じられる[146]。ほとんどのディスプレイはかなり単純であり、何らかの種類のさえずりをともなう。しかしながら、中にはきわめて精巧なディスプレイもある。こういったディスプレイには、鳥の種類によって、羽根や尾を振るわせること、ダンスや、曲技飛行、共同でのレッキングなどがある。通常、パートナーの選択を取り仕切るのはメスの側であるが[147]、しかし、一妻多夫制のヒレアシシギ属の鳥では、これが逆転する。すなわち、地味な羽装のオスが明るい色をしたメスを選択する[148]。求愛的給餌やくちばしを触れ合わすこと、そして、たがいの羽繕いなどは、パートナーの間で一般的に行われており、通常これは鳥がペアになり、交尾した後のことである[53]。
同性愛の行動は、数多くの種の鳥のオス同士、メス同士で観察されており、これには性的結合、つがいの絆の形成や、雛の共同哺育などの行動がある[149]。
縄張り、営巣と抱卵
多くの鳥が、繁殖期になると、同種の他の鳥からその縄張りを活発に防衛する。というのも縄張りの保持は、その雛に与える食料源を守ることを意味するからである。海鳥やアマツバメのように、採餌のための縄張りを守ることのできない種の鳥は、そのかわりにたいての場合、集団営巣地(コロニー)で繁殖する。これは、捕食者に対する防御手段であると考えられている。集団営巣を行う鳥は小さな営巣場所を守り、営巣場所をめぐる、他の同種ないし異種の鳥との競合は熾烈なものになることがある[150]。
すべての鳥が、ほとんど炭酸カルシウムのみで形成された、堅い殻をもつ、有羊膜卵を生む[42]。穴や樹洞に営巣する種は、白色ないし淡い色の卵を産む傾向があり、これに対して、開放型の巣を作る種は、保護色の卵を産む傾向がある。ただし、このパターンには多くの例外が存在する。地上に営巣するヨタカは淡色の卵を産み、そのかわりにカモフラージュは、かれらの羽装により行われる。托卵の仮親にされる種の鳥は、托卵された卵を見つけだす可能性を向上させるために、さまざまな色の卵を産む。これによって、托卵側のメスは、その卵の色を仮親の卵の色に合わせなくてはならなくなる[151]。
鳥は通常、巣の中で産卵する。ほとんどの鳥は、カップ、ドーム、プレート、地表を削ったもの、塚、あるいは洞といったような、ある程度精巧な巣を作る[152]。しかしながら、中にはきわめて原始的なものもある。たとえば、アホウドリの巣などは、地面のかき傷以上のものではない。たいていの鳥は、捕食されることを避けるため、その巣を覆いのある、隠れた場所に作る。しかし、大型の鳥や、集団営巣する鳥など、もっと防御力の大きい鳥は、より開放的な巣を作ることがある。巣作りにおいては、ある種の鳥は雛の生存率を向上させるために、寄生虫を減らす毒素をもつ植物による植物性材料を探し求める[153]。また、羽毛が巣の断熱材としてしばしば用いられる[152]。中には巣を持たない種もある。崖に営巣するウミガラスは、その卵をむきだしの岩の上に生む。また、オスのコウテイペンギンは、卵をその足と体の間に保持する。巣の欠如は、地上に営巣する種で、新生の雛が早成である場合に、とりわけ一般的である。
抱卵は、温度を雛の成長に最適化するものであり、通常は最後の卵が産み落とされたあとに始まる[42]。一夫一婦制の種では、抱卵の作業は、雌雄で分担されることが多く、また、一夫多妻の種においては、片方の親が抱卵の全責任を負う。親鳥の体熱は抱卵斑を通して卵に伝わる。抱卵斑とは、卵を抱いている鳥の腹部ないし、胸の皮膚が露出した領域である。抱卵はエネルギー的な要求の高いプロセスであり、たとえば成鳥のアホウドリのばあい、抱卵期間中に、その体重から約83グラム (2.9 oz)を日々失ってゆく[154]。ツカツクリの卵を孵すための熱は、太陽熱、植物の腐敗熱ないし地熱に由来する[155]。抱卵の期間は、キツツキ目、カッコウ目、スズメ目の10日から、アホウドリやキーウィ目の80日以上にまで及ぶ[42]。
親鳥の世話と巣立ち
孵化の時点で雛の成長の度合いは、その種によって、晩成(helpless)から早成(independent)までの範囲がある。晩成の雛はいわゆる留巣性であり、小さく生まれてくる傾向があり、目が開いておらず、動くことができず、羽毛を持たない。孵化した時点で動くことができ、羽毛が生えそろっている雛を離巣性と呼ぶ。留巣性の雛は、体温維持のための助けが必要であり、離巣性の雛よりも長い期間にわたって、親鳥からの給餌を受けなくてはならない。この両極端のいずれでもないような雛を、半留巣性や半離巣性とよぶ。
親鳥によるひな鳥への世話の期間と性質は、その分類目と種によって大きく異なっている。ある極端な例では、ツカツクリの親の世話は、孵化の時点で終了する。新しく孵化した雛は、親の助けなしに巣である塚の中から、自分自身を掘り出さなくてはならず、また、孵化して直ちに、自力でこれをやり遂げることができる[156]。また一方、多くの海鳥の雛が、長期にわたる親の世話を受けるが、そのなかでも最も長期間なのがオオグンカンドリである。その雛は巣立つまでに6ヶ月かかり、そのあと、さらに14ヶ月にわたって、親鳥から給餌をうける[157]。
種によっては、両親がその雛の世話と巣立ちに関わるが、また一方では、一方の性だけが、その責任を負う種もある。また種によっては、若鳥の養育を、同種の他のメンバー(通常は、前回の繁殖のときの子供と言った、繁殖ペアの近縁である)が手助けする場合もある[158]。このようなアロペアレンティング(代理養育)は、とりわけカラス、カササギフエガラス、オーストラリアムシクイといった、カラス小目の種の間で一般的であるが[159]、ミドリイワサザイやアカトビといった、全く異なる種の鳥においても観察されている。ほとんどの動物のグループで、オスが子供の世話をすることは稀である。しかしながら、このことは、鳥類においてはきわめて一般的であり、他のいかなる脊椎動物の分類目に比べても非常に多い[42]。縄張りと営巣地の防衛、抱卵やひな鳥への給餌などは、しばしば分担して行われるが、それでも、時にはつがいの一方が、そのすべてないし、ほとんどを受け持つ特定の労働分担が生ずることもある[160]。
雛が巣立つタイミングは、種によって劇的に異なる。たとえばウミスズメのようなウミスズメ属の雛は、地上性の捕食者から逃れるために、孵化した夜にその生まれた巣を離れ、親鳥について海に出る[161]。これ以外にも、カモのように早いうちにその雛を巣から遠ざける種がある。ほとんどの種で、雛は飛べるようになる直前か、あるいはそのすぐ後に巣を離れる。巣立ちの後の親鳥による世話の大小は種によって異なっている。アホウドリの雛は自力でその巣をはなれ、これ以上の助けは受けない[162]。また、中には巣立ちの後も、ある程度の補助的な給餌を続ける種もある。雛はまた、最初の渡りの際にはその親たちについていくこともある[163]。
托卵
托卵とは、卵を産むものが、その卵の世話を別の個体に託すことをいい、他のいかなる種類の有機体と比べても、鳥類の間において、より一般的に行われている[164]。托卵を行う鳥が、その卵をほかの鳥の巣に産み落としたあと、多くの場合、卵は仮親(卵を託された親)に受け入れられ、仮親が産み落とした雛たちの犠牲のうえに育てられる。托卵には、自分ではその子供を育てることができないことから、その卵を必ず異種の鳥の巣に産み落とさなければならない真性托卵(種間托卵)と、自分自身で子供を育てることができるにも関わらず繁殖の結果を向上させるために、その卵を同種の巣に産み落とすことのある条件的托卵(種内托卵)の、二つの種類がある[165]。ミツオシエ、ムクドリモドキ、テンニンチョウ、ズグロガモなどを含めて、約100種の鳥が真性托卵を行うが、その中で最も有名なのがカッコウである。托卵を行う種の中には、その仮親の卵が孵化するより前に孵化するように適応したものがある[164]。これによって、仮親の卵を巣の外に押し出して破壊してしまったり、仮親の雛を殺してしまうことが可能になる。このことで、巣に運ばれる食料すべてを、托卵の雛が確実に独占できるようになる[166]。
生態系
鳥類は生態系において、広範囲にわたる地位を占めている[125]。ある種の鳥たちはジェネラリストであるし、また他方、その居住環境や食餌への要求が、高度に専門化している鳥たちもある。たとえば森林のような単一の居住環境をとってみても、それぞれの鳥によって占められるニッチはさまざまである。林冠で採餌する種もあれば、樹冠の下で採餌する種もあり、そしてまた、林床で採餌する種もある。森林の鳥類は、昆虫食動物であったり、果実食動物や、蜜食動物であったりもする。水生の鳥は、一般に魚を捕えて食べたり、植物を食べたり、あるいは他から奪い取るか、寄生的略奪(kleptoparasitism)を行っている。猛禽類は、哺乳類や、他の鳥類の捕食に特化しており、ハゲワシは屍肉食に特化している。Avivoreは、鳥類の捕食に特化した動物たちである。
ある種の花の蜜を採食する鳥は、重要な受粉者であり、また多くの果実食の鳥たちが、種子の散布において鍵となる役割を演じている[167]。植物と、その受粉者となる鳥は共進化していることが多く[168]、中には花の主要な受粉者が、その蜜を得ることのできる、唯一の種である場合もある[169]。
鳥類は、島嶼の生態系に対して重要な役割を演ずることが多い。鳥は、哺乳類には不可能な島嶼に到達することがしばしばあった。こういった島々では、通常は大型の動物によって演じられる生態的役割が、鳥類によって果たされるれることもあった。たとえば、ニュージーランドでは、ニュージーランドバト(Kereru)やホオダレムクドリ(Kokako)が今日そうであるように、モアが主要な新芽の採食者であった[167]。ニュージーランドの植物は、絶滅したモアから自身を守るために進化した、防衛的な適応の結果を今日まで保持している[170]。海鳥たちの営巣もまた、島やその周囲の海の生態系に影響を与えることがある。これは主に大量の鳥糞石(グアノ)の集積を通して、その地域の土壌と[171]、周辺の海域の栄養が豊富になることによる[172]。
鳥類の生態を野外調査するための手段として、計数や、巣のモニタリング、捕獲による標識の取り付けなど、さまざまな方法が用いられている。
人間との関係
鳥は非常に見つけやすく、また一般的な動物であることから、人類はヒトの夜明けから鳥類との関係を結んできた[173]。時にはこういった関係は、ボラナのようなアフリカの人々とミツオシエとの間での、共同のハチミツの採取のように、相利共生的なこともある[174]。また他方、イエスズメのような種が人間の活動から利益を得ているように、片利共生的な場合もある[175]。何種類もの鳥が、商業的にきわめて有害な害鳥とされており[176]、また航空機に障害をもたらしているものもある[177]。人間の活動はまた、鳥類にとって有害な場合もあり、たくさんの種類の鳥が絶滅の危機にさらされている(狩猟、鉛汚染、農薬、轢死、そして家畜のネコやイヌによる捕食が、一般的な鳥類の死因である)。
鳥類は媒介者となって、オウム病、サルモネラ症、カンピロバクター症、マイコバクテリア(鳥結核症)、鳥インフルエンザ、ジアルジア症、クリプトスポリジウム症などの疾患を、遠距離を介して広めることがある。これらの中には、ヒトによって媒介されうる人獣共通感染症もある[178]。
経済的重要性
家畜化された鳥類で、食肉と採卵のために飼育されるものを家禽といい、人間によって消費される動物性蛋白質の最大の供給源である。2003年において全世界で 7,600万トンの家禽と、6,100万トンの卵が生産された[179]。家禽の消費量においては、ニワトリの占める割合が大部分であるが、シチメンチョウ、アヒル、カモもまた、比較的一般的である。また鳥類は多数の種が、食用のために狩猟の対象となる。鳥の狩猟は、きわめて未開発の地域を除いては、主に娯楽目的の活動である。南北アメリカにおいて狩猟対象となる鳥のうち、最も重要なのものが水鳥であるが、これ以外で広く狩猟の対象となっているものには、キジ、シチメンチョウ、ウズラ、ハト、ヤマウズラ、ライチョウ、シギ、ヤマシギなどがある[180]。またオーストラリアやニュージーランドでは、Muttonbirding(ミズナギドリなど海鳥の雛を、季節的に食用のため捕獲すること)も一般的である[181]。狩猟には、Muttonbirdingのように、方法によっては持続可能なものもありうる。しかし何十もの種が狩猟によって絶滅に追いやられ、あるいはまた、絶滅の危険にさらされている[182]。
これ以外の、鳥から得られる商業的に価値のある製品としては、衣類や寝具の断熱材として用いられる羽毛(ことにガチョウやアヒルの綿毛)や、リン、窒素の貴重な供給源となる海鳥の糞便(鳥糞石)などがある。太平洋戦争(硝石戦争、1879年〜1884年)は、時にグアノ(鳥糞石)戦争ともよばれ、部分的には鳥糞石の堆積の権益をめぐって、戦いが行われた[183]。
鳥は人間によって、愛玩用として、また実用的な目的のため、そのいずれかの理由で家畜化されてきた。インコやムクドリ科のようなカラフルな鳥は、飼育下で繁殖させたり、ペットとして飼われたりするが、こういった行為が、一部の絶滅危惧種の違法な取引に結びつくことがある[184]。ハヤブサやウは、長きにわたって、それぞれ狩猟や漁業に使われてきた。伝書鳩は、少なくとも西暦1年から使われており、その重要性は第二次世界大戦に至るまで続いた。今日ではそのような活動は、むしろ趣味、娯楽や観光事業[185]、あるいは鳩レースといったスポーツの方がより一般的である。
アマチュアの鳥愛好家(バーダーや、もっと一般的にはバードウォッチャーと呼ばれる)は何百万人にものぼる[186]。住宅所有者の中には、住居の近くに鳥の餌台(バードフィーダー)を設置して、たくさんの種類の鳥を引き寄せようとする者がたくさんいる。野鳥への給餌は数百万ドルの産業にまで成長しており、たとえば英国の家庭の75%は、冬季に野鳥への何らかの餌やりを行っていると見積もられている[187]。
宗教、民間伝承そして文化
鳥は、民間伝承や宗教、そして大衆文化において突出した、そして多様な役割を演じている。宗教においては鳥は使者として、あるいは僧侶や神性の指導者として神に仕えることもある。たとえばマケマケ信仰では、イースター島のタンガタ・マヌ(鳥人)は酋長ないし従者の役割を果たしているし[188]、二羽のワタリガラスであるフギンとムニンの場合には、かれらは北欧神話の神オーディンの耳にニュースをささやく[189]。僧侶たちは鳥卜に従事し、あるいはアウグル(鳥卜官)が、予言を行うために鳥たちの行動を見ている間に、鳥たちの言葉を翻訳する[190]。鳥はまた、ヨナ(ヘブライ語:יוֹנָה、ハト)が、伝統的にハトに関連付けられている怯え、服従、哀悼、そして美を体現しているように、宗教的なシンボルとして用いられることもある[191]。インドクジャクに見られるように、鳥それ自身が神格化されることもある。かれらはインドのドラヴィダ人によって母なる大地であると考えられている[192]。また、たとえば、伝説の鳥ロック鳥や、マオリ人の伝説上の鳥ポウアカイ(Pouākai)など、ヒトを攫うことができるほど巨大な、怪物と信じられている鳥もある[193]。
鳥は、初期の洞窟壁画に見られるように[194]、先史時代から文化や芸術の分野で、主題として取り上げられてきた。後になって鳥は、ムガル帝国やアケメネス朝ペルシアの、皇帝の壮麗な孔雀の玉座にみられるように、宗教や、象徴主義の芸術デザインのなかで使われるようになった[195]。鳥に対する科学的興味の出現によって、たくさんの鳥の絵画が、書籍のために制作依頼された。これらの鳥類画家の中で、もっとも有名なのがジョン・ジェームズ・オーデュボンである。その作品、『アメリカの鳥類(The Birds of North America (1827–1839)』はヨーロッパで商業的大成功を収め、後に彼の名を、全米オーデュボン協会に貸している[196]。鳥は詩作においても重要な表象である。たとえば、ホメーロスはその作品『オデュッセイア』にサヨナキドリ(ナイチンゲール)を取り入れているし、カトゥルスはその作品『Catullus 2』のなかで、スズメをエロティックなシンボルとして扱っている[197]。サミュエル・テイラー・コールリッジの『老水夫行(The Rime of the Ancient Mariner)』では、水夫とアホウドリの関係が中心となる主題であり、ここから、アホウドリが’重荷’を意味する隠喩表現へと繋がった[198]。そのほかの鳥由来の英語の隠喩には、たとえば、ハゲタカファンド(vulture funds)やハゲタカ投資家(vulture investors)などがある。これはハゲタカの屍肉食から来た表現である[199]。
さまざまな種類の鳥に対する認識は、文化によってしばしば異なっている。フクロウはアフリカの一部では、不運や、魔術、死に結びつけられている[200]。しかしヨーロッパでは広く賢者であると見なされている[201]。ヤツガシラは、古代エジプトでは神聖視されており、ペルシアでは美徳の象徴とされていたが、一方ヨーロッパでは広く泥棒であると考えられ、スカンディナヴィアでは戦争の先駆けと考えられていた[202]。
保護活動
人間の活動は、たとえばツバメやホシムクドリのような、ごく一部の種には繁栄を許すものではあったが、これ以外の多くの種にとっては、生息数の減少や絶滅を引き起こすものであった。歴史の上では100以上の種が絶滅してしまっているが[203]、人間が引き起こしたもっとも劇的な鳥類の絶滅は、メラネシア、ポリネシア、ミクロネシアの島嶼への人間の入植にともなって起きたもので、750から1000種を根絶してしまったと推定されている[204]。多くの鳥が世界規模で生息数を減らしており、2009年には、バードライフ・インターナショナルと国際自然保護連合(ICUN)によって、1,227種が絶滅危惧種のリストに掲げられている[205][206]。
鳥類への人間による脅威として、もっとも一般的に言及されるのが、生息環境の破壊である[207]。このほかの脅威としては、乱獲や、構造物との衝突や、延縄漁業の混獲などの致命的な事故[208]、環境汚染(原油流出や殺虫剤の使用など)、持ち込まれた外来種による捕食や競合[209]、そして気候変動などがある[210]。
政府や保護活動グループは鳥類を守るために、生息地を保全する、あるいは回復させる法律を通過させたり、また再移入のために、飼育個体による安定個体群の確立を図るなどの活動を行っている。こういったプロジェクトの中には、ある程度の成功を収めたものもあり、このままでは1994年から2004年の間に絶滅してしまったはずの鳥16種が、保護活動によって救われたと評価している研究もある。この中には、カリフォルニアコンドルやノーフォークインコなどが含まれている[211]。
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関連項目
地域別野鳥一覧
8つの生物地理区(Ecozone)および、区内の地域の野鳥一覧。
他の鳥類関連項目
- シブリー・アールキスト鳥類分類
- Clements鳥類分類
- 環境省の鳥類レッドリスト
- 鳥類用語
- 鳥類の雑種 ‐ 野生での例も多く報告されているが、飼育鳥類の雑種(マガモとアヒルの合鴨など)も存在。
- 鳥類の体の構造
- 鶏肉
- 潜水性鳥類、樹洞営巣性鳥類
- 鳥類の一覧(カテゴリ:鳥類古典分類)
- 鳥類の一覧の一覧 (地域別)(カテゴリ:地域別野鳥一覧)
- 鳥類学者の一覧(カテゴリ:鳥類学者)
- Bird Names for Birds - 人の名前にちなんだ名前の鳥を別の名前に変えようという2020年に始まったムーブメント。
- 日本野鳥の会(公式ページ)
- 日本鳥類保護連盟(公式ページ)
- 山階鳥類研究所(公式ページ)
- 日本鳥学会(公式ページ)
外部リンク
- Avibase—世界の鳥類のデータベース
- Birdlife International—全世界での鳥類の保護を主な活動としており、絶滅危惧種に関するおおよそ250,000件の記録についてのデータベースを持っている。
- Bird biogeography
- Birds and Science 全米オーデュボン協会が運営するサイト。
- Cornell Lab of Ornithology
- Essays on bird biology
- International Ornithological Committee
- North American Birds for Kids
- Ornithology
- Sora—検索可能なオンラインの研究アーカイブであり、以下の鳥類学学術誌のアーカイブである。 w:The Auk, Condor, Journal of Field Ornithology, North American Bird Bander, Studies in Avian Biology, Pacific Coast Avifauna, and w:the Wilson Bulletin.
- The Internet Bird Collection—世界の鳥類の無料ビデオライブラリー
- The Institute for Bird Populations, California
- list of field guides to birds, International Field Guides database より
- RSPB bird identifier—英国のすべての鳥を見分るためのインタラクティブガイド
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