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「ちりとてちん (テレビドラマ)」の版間の差分

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*'''[[算段の平兵衛]]'''
*'''[[算段の平兵衛]]'''
:四草がこだわる落語の演目。狡猾で頭が回り、人を騙しては金を巻き上げる平兵衛という男が主役。四草は草若が演じる「算段の平兵衛」に感動し、平兵衛のような男になりたいと考えて入門を決意した。四草はしばらく草若につきまとっていたが、ある時、草若は高座で「算段の平兵衛」をかけた。その後、草若は四草に対して「(稽古をつけてやったので)やってみい。」と言った。この言葉が入門許可の意思表示だった。以後、四草は「算段の平兵衛」にこだわったが、草若は「算段の平兵衛」の稽古をつけようとはしなかった。
:四草がこだわる落語の演目。狡猾で頭が回り、人を騙しては金を巻き上げる平兵衛という男が主役。四草は草若が演じる「算段の平兵衛」に感動し、平兵衛のような男になりたいと考えて入門を決意した。四草はしばらく草若につきまとっていたが、ある時、草若は高座で「算段の平兵衛」をかけた。その後、草若は四草に対して「(稽古をつけてやったので)やってみい。」と言った。この言葉が入門許可の意思表示だった。以後、四草は「算段の平兵衛」にこだわったが、草若は「算段の平兵衛」の稽古をつけようとはしなかった。
:そして、喜代美が弟子入りを断られた(二度目)後、草若は3年間高座から離れていたブランクを感じているので弟子をとるのは難しいだろうと草々が喜代美に話した直後、四草が草原を相手に「算段の平兵衛」を稽古している場面が流れた。3年のブランクのため、四草も草原も「算段の平兵衛」の一部を忘れてしまっていた。
:再現シーンでは小次郎が平兵衛を演じた。
:再現シーンでは小次郎が平兵衛を演じた。
*[[時うどん]]
*[[時うどん]]
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*[[寝床]]
*[[寝床]]
:喜代美が弟子入りを申し出て断れた直後に草原が稽古していた演目。草若は草原の落語を聞きながらいきなり横になってしまい、脇で見ていた喜代美を困惑させた。
:喜代美が弟子入りを申し出て断れた直後に草原が稽古していた演目。草若は草原の落語を聞きながらいきなり横になってしまい、脇で見ていた喜代美を困惑させた。
*[[掛取万歳]]
:草若に弟子入りを断られた喜代美が奈津子のアドバイスで視野を広げようと、天狗座へ出前に行った時に鏡小助という落語家がかけていた演目。喜代美は奈津子から借りた落語事典も使って独学で落語を勉強したが、勉強するにつれて草若に弟子入りしたいという気持ちが強くなっていくのであった。


== 落語が元になったと推測される演出 ==
== 落語が元になったと推測される演出 ==

2007年11月22日 (木) 12:37時点における版

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ちりとてちん
ジャンル ドラマ
放送時間 15分
出演 貫地谷しほり
和久井映見
松重豊
京本政樹
青木崇高
佐藤めぐみ
原沙知絵
米倉斉加年
江波杏子
渡瀬恒彦
放送国 日本の旗 日本
放送局 NHK
放送期間 2007年10月1日 - 2008年3月(予定)

ちりとてちん』は、2007年10月1日から放送されているNHK朝の連続テレビ小説である。NHK大阪放送局制作で、シリーズ通算77作目、大阪制作の作品では通算31作目である。全151回。
脚本は藤本有紀舞台福井県及び大阪府ヒロイン役はオーディションにより選ばれた貫地谷しほりである。

ちりとてちん」は三味線旋律擬音語、また上方落語の演目の一つである (江戸落語では「酢豆腐」という名で演じられている)。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


あらすじ

主人公の和田喜代美は、9歳の時に、福井県小浜市へ引っ越してきた。喜代美は、無口で真面目な出戻り若狭塗り箸職人の父・正典(松重豊)と楽観的な母・糸子(和久井映見)をはじめ、祖父・正太郎(米倉斉加年)と祖母・小梅(江波杏子)、それに弟・正平(橋本淳)や叔父・小次郎(京本政樹)など、大勢の家族に囲まれて育った。

その9年後、喜代美(貫地谷しほり)は高校卒業を間近に控えていた。 同い年で同姓同名の親友・和田清海(佐藤めぐみ)が、才色兼備で誰からも好かれるのに対して、悲観的で将来の夢も展望も全く開けない喜代美は、清海に劣等感を感じてしまうのであった。

そんな状況を打ち破るため、高校卒業後、喜代美は大阪へ飛び出した。その地で、思いがけず出会ったのは、人を笑わせる仕事、落語家であった。祖父の言葉を胸に、喜代美は、希代の天才落語家・徒然亭草若(渡瀬恒彦)に弟子入りするのだが…。

主な登場人物・キャスト

福井の人々

和田家

和田喜代美 (わだ きよみ) - 桑島真里乃(少女時代)→貫地谷しほり
本作のヒロイン。福井県南部、小浜市出身。通称ビーコ。学校内で同姓同名の清海と区別するために「和田A」「和田B」のうち「和田B」に甘んじ、次第にビーコで定着するようになった。妄想癖があり、物事を悪く考える性格である。また何かと不器用。小浜でのうだつの上がらない状況を打破する為に母と喧嘩し、飛び出す形で大阪に行く。そこで偶然に徒然亭一門と出くわし、草若の弟子達が以前使っていた離れを間借りして住むことになる。大阪へ出てきてからは、奈津子の所で週三回アルバイトをしている。
草若邸を訪れた大阪で一番の借金取立ての男、あわれの田中に哀れ話の哀れ合戦に打ち勝ち、磯七から哀れのチャンピオンといわれる。草若と草々からは「キーコ (喜ィ公) 」または喜六と呼ばれている (後述) 。
上沼恵美子によるナレーションは、後年の喜代美が自身の半生を回顧する形になっている。毎週月曜日の放送の冒頭では「ようこそのお運びで。熱くお礼申し上げます」という口上を述べる。
和田糸子 (わだ いとこ) - 和久井映見
喜代美の母。福井県北部、鯖江市の出身。幼い頃に父を亡くし、母一人子一人の家庭で育った。実家は小間物屋。他人とは感覚がずれたところがあり、天然ボケのところがあるが楽天的な性格なので失敗しても気にしない。五木ひろしの大ファンで、十八番は「ふるさと」。正典が一時塗箸修行をやめていたのは糸子の母が営んでいた小間物屋の苦境を救うためだったため、正典には恩義を感じ、立派な塗箸職人になってもらいたいと考えている。引っ越し荷物から恋の悩みまで、いろいろなものに「鼻が利く」。喜代美が清海の元から失踪した時、草々に失恋した時にも匂いで嗅ぎ当てた。
和田正典 (わだ まさのり) - 松重豊
喜代美の父。小浜市出身。高校卒業後、3年間正太郎の元で塗箸の修行をしていたが、10年前に修行を投げ出し家を出て正太郎とは絶縁状態にあった。だが塗箸家業が途絶えることを危惧し、鯖江の眼鏡工場を退職し妻子を連れて小浜に戻ってきた。父に似て生真面目な性格である。家族に冷静に突っ込む一面も。正太郎の死後、秀臣の下で従業員として働きながら修行を積み、9年後に秀臣の工場から独立し塗箸店を再興した。
和田小梅 (わだ こうめ) - 江波杏子
喜代美の祖母。地元では名の知れた元芸者で、三味線の名人。粋な性格で最新の流行にも敏感である。
和田正太郎 (わだ しょうたろう) - 米倉斉加年
喜代美の祖父。小浜でも数少ない若狭塗箸の名職人。塗箸の修行を放り投げて出て行った正典をなかなか許そうとはしなかったが、実は正典に塗箸を継いでほしいと思っていたことの裏返しであることを死の間際に告白する。落語好きで喜代美が落語に興味を持つきっかけを作る。なお、いつも聞いていた落語は正典が塗箸職人になると告げた日(昭和43年10月6日)に地元の小浜市民会館で若き日の徒然亭草若が演じたものを録音したものだった。小梅には「正太郎ちゃん」と呼ばれている。
和田小次郎 (わだ こじろう) - 京本政樹
喜代美の叔父。正典の弟。堅実な兄とは違い、独身で定職を持たないヤマ師。儲け話には目がないが、いつも失敗に終わる。奈津子が塗箸の取材のために和田家を初めて訪れた時にその美しさに目を奪われたが、竹谷への悪戯のために小次郎が作った「へしこ丁稚羊羹」を間違って奈津子が食べてしまい、気持ち悪くさせてしまった。ガラクタ好きのため、ゴミの山状態となっていた奈津子の部屋を見て宝の山だと興奮。これがきっかけでさらに奈津子に注目し始める。
和田正平 (わだ しょうへい) - 星野亜門(少年時代)→橋本淳
喜代美の二歳年下の弟。喜代美と違って手先が器用。「他愛ないのう」が口癖。恐竜好きで、高校卒業後大学に進学し、後に恐竜の研究に従事する。

もうひとつの和田家

和田清海 (わだ きよみ) - 佐藤初(少女時代)→佐藤めぐみ
大手箸工場を営む秀臣の娘。喜代美と同姓同名、同い年。喜代美が引っ越してきた日に砂浜で出会う。非の打ち所がなく、クラスの皆に慕われている人気者。通称エーコ。喜代美が「和田B」に甘んじたため「和田A」→エーコと定着した。喜代美が自分に対して劣等感を抱いていることには気づいておらず、喜代美を無二の親友だと思っている。高校卒業後は、大阪で一人暮らしをしながら大学の社会学部で学んでいたが、いかに楽して単位をとるかということばかり考えている友人ばかりだったことなどで大学生活に幻滅。サークルのOBの誘いがきっかけで芸能界に入り、テレビのお天気キャスターなどの仕事をしている。
和田友春 (わだ ともはる) - 小阪風真(少年時代)→友井雄亮
秀臣の長男。清海の兄。小学生の時に初対面の喜代美に暴言を吐き、かばんで殴られたことで喜代美に一目惚れし、喜代美が高校を卒業した時にはプロポーズした。しっかりした妹と違って典型的なドラ息子に育ってしまったため、正典からもアホと呼ばれており、肝心の喜代美には相手にされていない。
和田秀臣 (わだ ひでおみ) - 川平慈英
小浜の大手箸工場の社長。正太郎の元弟子。伝統工芸の塗箸に見切りをつけて正太郎のもとを去ったため、小梅に嫌われており、正太郎の葬式でも追い返された。正太郎の死後、正典に請われ自分の工場の社員扱いで塗箸の技術を正典に教えた。友春が喜代美への結婚を言い出したことを機に、自分の工場と正典の塗箸店との合併を狙っている。困窮する正典の和田家のために、自分の名前を出さずにひそかに乾燥機を貸し出したが、その話を仲介した竹谷は秀臣の思惑に気づいていなかった。
和田静 (わだ しずか) - 生稲晃子
秀臣の妻。よくできた妻で、彼女の存在も清海に対する喜代美のコンプレックスの元になっている。

魚屋食堂

野口順子 (のぐち じゅんこ) - 伊藤千由李(少女時代)→宮嶋麻衣
喜代美の親友。魚屋食堂の一人娘で、高校卒業後は家業を手伝っている。クールなリアリストで、後ろ向きになりがちな喜代美にいつも的確な助言をくれる。
野口幸助 (のぐち こうすけ) - 久ヶ沢徹
順子の父。喧嘩の仲裁が趣味で喧嘩している者に売り物の焼き鯖を与えて仲直りさせる。犬の喧嘩にまで口を出したり、喧嘩を仲裁したいために揉め事のありそうなところへ足を運ぼうとしたりするので家族にあきれられている。
野口松江 (のぐち まつえ) - 松永玲子
順子の母。商売下手な幸助のかわりに魚屋食堂を切り盛りしている。

その他の人々

竹谷修 (たけや おさむ) - 渡辺正行
箸問屋「マルタケ」を営み、小浜観光協会の事務局長もつとめている。問屋の小僧時代に正太郎に世話になり、恩を感じていたが、正典の腕前には疑問を抱いている。小次郎とは犬猿の仲。知ったかぶりの性格。

大阪の人々

徒然亭一門

徒然亭草若 (つれづれてい そうじゃく) - 渡瀬恒彦 
喜代美が大阪で出会った徒然亭一門を率いる落語家。かつて「上方落語界の四天王」と称されていたが、喜代美と出会う3年前の一門会の日、高座の直前に妻志保の余命があと3ヶ月だと知り、心が乱れ、高座に上がれない状態になってしまった。そのために天狗座での徒然亭一門会に穴をあけてしまって、天狗芸能会長を激怒させ、天狗芸能を追放されてしまった。喜代美と出会った当時は落語をしておらず、借金まみれで、酒浸りの日々を送っていた。ずっとそばに従っていた草々や戻ってきた草原や四草に対してわざとそっけない態度をとったが、これは自分にこだわってくすぶるのを懸念しての行動。その行動は常に弟子への愛情に溢れている。草々などの弟子達の熱意や喜代美を見ていくうちに落語への情熱が甦り、ついに落語家復帰を決意する。
徒然亭草々 (つれづれてい そうそう) - 青木崇高 
草若の二番弟子。3年前の事件後も、草若の下に唯一残った。強面で性格は粗暴で短気。ただし根は純情で優しいところがある。大食いで、草若曰く料理の味はあまり気にしない。かつては柳眉・尊建と三人で「上方落語三国志」と言われた実力派。「和田清海が勝山で恐竜の化石を発見した」ことを報じた新聞記事を切り抜いて保存していたほどの恐竜好きで、清海に初めて出会ったときも新聞で見たその顔を覚えていた。中学生の頃から草若に弟子入りして落語の修業を積んだためか、落語以外の常識に疎いところがある。小草若とは犬猿の仲。夜分の爪切りや口笛を嫌うなど、やたらと縁起を気にする。師匠思いで、草若を非難する声を聞くと声を荒げる一面も。草若が再び落語を始めることを切実に願っており、喜代美にそのきっかけを見出したため喜代美を草若の下に住むように引き止めた。天然パーマの髪を伸ばしっぱなしにしていたが、わざと切っていなかった。落語は独りで何役も演じるために特徴ある髪型では支障をきたすため、草若が落語に目覚め、そのことを指摘するのを草々は待っていたのである。
徒然亭草原 (つれづれてい そうげん) - 桂吉弥 
草若の一番弟子。草々の兄弟子。本名原田優夫(はらだ まさお)。1992年当時39歳。落語に対する知識や思いは人一倍で三味線や太鼓などのお囃子もできるので草々は草若の次に草原を尊敬していた。だが、上がり症で肝心なところで噛んでしまうため、全く客の笑いが取れなかった。知識の深さから「口だけ師匠」と揶揄されたことがある。3年前の事件後落語家をやめ、ディスカウントショップ「おとくやん」で実演販売などの仕事をして妻と息子を養っていた。だが、その仕事もうまく行っておらず、昔のことを思い出して悩んでもいた。喜代美に説得され、妻の言葉などに後押しされる形で落語家に復帰する。復帰後は一番弟子であることから草若一門のまとめ役となる。酒癖が悪く、酔うと絡み酒になるが、噛む癖は変わらない。
徒然亭小草若 (つれづれてい こそうじゃく) - 茂山宗彦 
草若の実の息子で、三番弟子。草々の弟弟子。ただし入門の時期は草々と1日しか違わないため、それが原因で草々とは仲が悪い。本名吉田仁志(よしだ ひとし)。1992年当時27歳。徒然亭一門でただ一人天狗芸能に残っており、今では関西で多くのレギュラーを抱える売れっ子芸人になっている。3年前の徒然亭一門会の日に草若が女の元へ行って高座をすっぽかしたために、一門が離散し母志保の病状も悪化して死期を早めたと考え、草若を憎んでいた。だが菊江から真相を知らされて草若への誤解も解け和解する。「底抜けに○○やがな~!」という持ちネタがあるが、落語は「寿限無」しかできず、しかも下手。友春同様、初対面の時に喜代美に暴言を吐き、かばんで殴られたことで喜代美に一目惚れした。
なお、「そこぬけに○○やがな~!」という時に使用するポーズは演じる茂山が考案した(関西ローカルの番組で茂山が証言)。
徒然亭四草 (つれづれてい しいそう) - 加藤虎ノ介 
草若の四番弟子。四草という名もそのことにちなんでいる。草々の弟弟子。狡猾な性格で、口が悪く金にも汚い。ただし女性にはよくもて、口説きのテクニックにも長けている。草若の演じる「算段の平兵衛」に感動し、平兵衛のような男になりたいと大学卒業後に弟子入りした。三年前の事件後落語家をやめ、天狗座近くの中国料理店「延陽伯」に住み込みで働くフリーターをしていた。ペットとして平兵衛という名の九官鳥を飼っている。なんだかんだと理由をつけて仕事を他人におしつけ、自分はあまり仕事をしていなかったが、天狗座への出前は積極的に引き受け、こっそり落語を聞くなど、落語を捨てきれていなかった。落語家復帰を決意した草原に促され、自分も落語家復帰を決意する。
吉田志保 (よしだ しほ) - 藤吉久美子 
草若の亡き妻。小草若の母。3年前に他界。生前は囃子方を務めており、草若の高座のはめものをほとんど行なっていた。正太郎がいつも聞いていたテープの三味線も彼女の演奏である。不器用で、家事や三味線も練習には人の何倍も時間がかかった。タンポポが好きで、志保自身もタンポポのような人だった。草々いわく、志保がいるだけで春の陽だまりみたいに暖かく、気分がよくなった。そんな志保を草若は愛し、草々ら弟子達は母親のように慕っていた。喜代美が「辻占茶屋」で下座を担当する事になった時に喜代美に対して草若が「不器用でええやないかい。」と言ったのは志保のことが念頭にあったからである。
原田緑 (はらだ みどり) - 押元奈緒子 
草原の妻。草原を本名の優夫から「まー君」と呼ぶ。夫の良き理解者。
原田颯太 (はらだ そうた) - 河合紫雲 
草原と緑の一人息子。1992年当時6歳。

居酒屋「寝床」

熊五郎 (くまごろう) - 木村祐一 
居酒屋「寝床」店主。酒代のツケを貯める草若に頭を悩ませている。フォークソングをこよなく愛し、店で自分のコンサートを開催するが、下手くそなので付き合わされる常連客や近所の人たちには不評。劇中で熊五郎が歌う「寝床」は熊五郎自身の作詞作曲という設定になっているが、劇中の設定同様、演じる木村が共演者とともに撮影現場で即興で作った曲である。
咲 (さき) - 田実陽子 
居酒屋「寝床」のおかみ。夫・熊五郎を愛し、周りからは不評な熊五郎の歌にも感動するピュアさを持つ。正義感や義理人情も持ち合わせるしっかり者。
磯七 (いそしち) - 松尾貴史 
居酒屋「寝床」の常連客。散髪屋「磯村屋」主人。落語の大ファンで、持っている知識を喜代美らに披露したくて仕方ない。徒然亭一門の没落を惜しみ、何かと援助する。
菊江 (きくえ) - キムラ緑子 
居酒屋「寝床」の常連客。仏壇屋主人。草若とは古くからのつきあいで、志保とは親友だった。草若が高座に穴を開けた真相も知っているため、小草若が草若を憎んでいることに心を痛めている。志保との関係から小草若に母親代わりのように接する事もあり、小草若のことは本名の「仁志」と呼ぶ。
徳さん - 鍋島浩
居酒屋「寝床」の常連客。ガラス屋。草若邸玄関の割れたガラスの交換にも来ていた。
お花 - 新海なつ
居酒屋「寝床」の常連客。駄菓子屋。

天狗芸能

鞍馬太郎 (くらま たろう) - 竜雷太
天狗芸能会長。1992年に古希を迎えたが、それでも東京に漫才専門の小屋を作ろうとするなど、精力的に働いている。甘党で和菓子に目がない。
万葉亭柳眉 (まんようてい りゅうび) - 桂よね吉 
若手実力派の落語家。かつては草々・尊建と三人で「上方落語三国志」と言われた。かつてのライバル草々の動向が気になり、寝床寄席にも足を運んでいる。
土佐屋尊建 (とさのや そんけん) - 波岡一喜 
若手実力派の落語家。かつては草々・柳眉と三人で「上方落語三国志」と言われた。没落した徒然亭一門をバカにする発言をしたことがあったが、やはり動向が気になり、寝床寄席には初回から足を運んでいる。
万葉亭柳宝(まんようてい りゅうほう) - 林家染丸
柳眉の師匠。演じる染丸は劇中の落語指導も担当。

その他の人々

緒方奈津子 (おがた なつこ) - 原沙知絵 
大阪在住のフリーライター。伝統工芸の取材で訪れた小浜で喜代美と出会い、それ以来喜代美にとって憧れの的となる。しかしその華やかな姿とは裏腹に、日常生活には無頓着で掃除や料理などの家事が苦手でそのためにふられた過去がある。部屋もゴミの山状態であるほど散乱しており、喜代美が部屋を綺麗にしても、喜代美がしばらく来なかっただけですぐ散らかってしまう。だがこれを見た小次郎は宝の山だと興奮。これがきっかけで奈津子は小次郎を意識するようになる。原稿執筆時は大きなメガネにヘアバンド姿の事もある。

ゲスト出演

音大の教授 - キダ・タロー(第8回)
喜代美の妄想の中で出演。
あわれの田中 - 徳井優(第17回)
そのあまりにも哀れな境遇を聞かされると誰もが借金を返さずにはいられないという大阪一の取り立て屋。その貧相な外見に草々も戦意を喪失してしまうほどの実力の持ち主だったが、喜代美と哀れ勝負をして負け、借金取りをやめる事を決意し金を取り立てずに帰る。
横山たかし・ひろし - 横山たかし・ひろし(第21回)
天狗芸能の舞台に本人役で出演。
五木ひろし - 五木ひろし(第28回)
1992年当時の本人役で出演。小浜の海岸で喜代美と順子に出会う。喜代美は糸子を呼びに行くので待っているように五木に頼み込んだが、五木は仕事の都合で喜代美を待ちきれずに帰ってしまった。なお、喜代美を待っている間、順子はちゃっかりサイン(しかも魚屋食堂の名前入り)をもらっていた。
なお、1996年当時の本人役での出演が決まり、撮影も行なわれた。五木ポーズ伝授 NHK朝ドラ「ちりとてちん」再登場
ニュースキャスター - 浅越ゴエ (ザ・プラン9) (第45回)


人物名・店舗名の由来と考えられる落語および人物

「ちりとてちん」の登場人物名の多くは、上方古典落語の登場人物や、中国の歴史上の人物からヒントを得たものが非常に多い。以下に命名の由来となったと推測されるものについて列挙する。

ドラマの登場人物名 命名の由来となった人物 出典 概要
和田喜代美 喜六(きろく) 上方落語全般 代表的な主人公・ボケ役
和田清海 清八(せいはち) 上方落語全般 喜六のメインパートナー・ツッコミ役
野口幸助 割木屋の幸助(こうすけ) 落語「胴乱の幸助 落語が元になったと推測される演出」参照
竹谷修 知ったかぶりの竹(たけ) 落語「ちりとてちん 落語が元になったと推測される演出」参照
徒然亭草々 曹操(そうそう) 三国志三国志演義 の建国者
万葉亭柳眉 劉備(りゅうび) 三国志三国志演義 の建国者
土佐屋尊建 孫権(そんけん) 三国志三国志演義 の建国者
徒然亭草原 原田優夫(はらだまさお) 本名 師匠の名と本名から一字ずつ拝借
万葉亭柳宝 劉邦(りゅうほう) 史記漢書 前漢の建国者
鞍馬太郎 鞍馬天狗(くらまてんぐ) 落語「天狗裁き」など 鞍馬山に棲む天狗・「天狗芸能」からの発想
熊五郎 熊五郎(くまごろう) 落語「崇徳院」など 多くの落語に頻出する庶民の名
お咲(おさき)さん 上方落語全般 長屋に住むしっかり者の奥さん
磯七 磯七(いそひち) 落語「鯉船」など 幇間の真似事もできる髪結・床屋
菊江 菊江(きくえ) 落語「菊江の仏壇 芸妓の名 (仏壇屋ではない)

(注)磯七はドラマでの公式名は「いそしち」となっているが、関西では「質屋」を「ひちや」と呼ぶように「し」を「ひ」と発音することが極めて多く、ドラマ中でも「いそひちさん」と呼び習わされている。


登場する落語家の屋号亭号)は、日本古典文学の作品から命名されている。

落語家一門 古典文学
徒然亭 徒然草
万葉亭 万葉集
土佐屋 土佐日記


ドラマで登場する店の名にも、落語の演題や落語に登場する言葉が用いられている。

店の名前 出典 備考
居酒屋「寝床」 落語「寝床 落語が元になったと推測される演出」参照
理容店「磯村屋」 落語「鯉船」など 落語では「町中の幇間」としての屋号
中国料理店「延陽伯」 落語「延陽伯 落語が元になったと推測される演出」参照

劇中登場する落語の演目

太字は劇中、出演者によって再現シーンが演じられた演目。

草若や和田家のテーマと言うべき演目で第1週、第7週、第8週のテーマにもなった。
正太郎が工房ラジカセでよく聞いていた演目。幼い喜代美はこの演目を聞いて落語に出会った。悲しい事があっても、この落語を聞くと不思議と元気になって笑う事が出来た。
正太郎が危篤の時、喜代美は正太郎を元気付けようと、正太郎がいつも聞いていたテープを病院で流した。これにこたえる形で正太郎は意識を取り戻し、喜代美と正典に遺言を残して死去した。正太郎の死後、落ち込んだ喜代美は泣きながら思い出のテープを聞き続け、ついにはテープがラジカセに絡まって切れてしまい、喜代美も精根尽き果てて倒れてしまった。
実はそのテープは、正典が塗箸職人になると告げた昭和43年10月6日に地元の小浜市民会館で行われた落語会に、その日を記念して正典と正太郎が聞きにいった時の物だった。正典が塗箸を継ぐために帰ってきてくれた事が本当は嬉しかったのに、過去のいざこざから素直になれなかった正太郎は、正典が帰ってくる事になってから再びこのテープを聞く事で笑い方を思い出そうとしていたのだった。正太郎の思いを知った正典は、父の死で一度は諦めた塗箸職人への道を再度志し、秀臣に従業員として雇われて塗箸作りの教えを受ける事になった。
ある夜、喜代美はこっそりと家を抜け出した。慌てて捜しに来た糸子に、喜代美は梅丈岳でかわらけ投げをしたいと懇願する。その足で梅丈岳に登った二人は朝陽の上る中、一緒にかわらけ投げを行なった。糸子が喜代美が元気になるように願ってかわらけを投げ、うっかり財布も投げてしまい、財布を取ろうと柵を乗り越えようとするのを見て、喜代美は落語に出てくる太鼓持ちの一八みたいだと笑い、元気を取り戻した。
月日は流れ、大阪に出てきた喜代美は草若がこの一節を唱えているのを聞き、草若と出会う。喜代美は草若の言葉に懐かしさを感じていた。
そして喜代美が草若と出会ってから約半年後、手先の器用な正平が切れたテープを直し、小浜でテープを聞いた草々は、それが草若の演じていたものだと知る。草々は落涙し、草若を高座に戻したいという気持ちを強くした。
草々と喜代美の尽力により、草若の弟子だった草原と四草が草若の元へ戻り、久しぶりに落語会を開くことになり、草々は「寿限無」とトリの「愛宕山」を演じることになった。草若の十八番ということで草々は草若に稽古を願い出た。一瞬、草若の手の動きが止まったが、草若の返事は草原に稽古をつけてもらえというそっけないものだった。草々は草原の指導で熱心に稽古を続けていたが、その様子を草若はこっそり聞いていた。
草若への憎悪から当初は落語会の開催を妨害していた小草若だったが、偶然正太郎がいつも聞いていた「愛宕山」のテープを聞き、さらに菊江から草若が3年前に高座をすっぽかした真の原因を聞き、落語会への参加を決意。草原によって草々ではなく小草若がトリで「愛宕山」を演じることに決まった。
そして落語会の日になり、高座は順調に進み、小草若の番になった。小草若はまくらに徒然亭一門の高座名の由来を話し、高座は順調に進むかと思われたが、小草若の高座名を付けてくれた父親の気持ちに改めて感動し、突如泣きながら「寿限無」を演じてしまう。既に草々が演じていた演目を聞かされて柳眉と尊建は呆れ、泣き崩れる小草若の気持ちが分からない観客達は呆気にとられ、場の空気は冷めてしまった。このため、当初シークレットゲストとされていた熊五郎は出演を拒否。四草と草原は草々に「愛宕山」を演じるように頼み込んだが、草々は心の準備ができていなかったため、躊躇した。草々を出すために草原が出囃子を演奏したそのとき、突然、草若が観客席から立ち上がり、3年ぶりに高座に上がり、「愛宕山」を演じた。和田家一同は正太郎がいつも聞いていたテープの演目だということに気がつき、感動。草々達も3年ぶりの草若の高座に感動。草若の腕は衰えておらず、観客を沸かせ、久しぶりの徒然亭一門会は大盛況のうちに終わった。これがきっかけで草若は落語家への復帰を決意。さらに喜代美も落語家になることを決意する。
再現シーンでは糸子が幇間の一八、正典が旦那、小次郎と少女時代の喜代美が芸者に扮した。
くしゃみをしながら愚痴を言う喜代美を見た草若は、喜代美の様子がこの演目に登場する講釈師に似ていると話した。
草若の家の離れに喜代美が住むことになり、草々が「宿替え」を稽古している最中、壁にほうきをかけるために糸子が大きな釘を壁に打ち付けているのを見て、草々がこの演目に似ていると話した。なお、釘は「宿替え」同様隣りの草々の部屋にまでつきぬけてしまい、草々が釘を抜くと壁に大きな穴が開いてしまった。そのため喜代美の部屋にカレンダーをかけて穴を隠している。
第4週のテーマとなった演目。
草若が一門会の高座に穴を開けた三年前、草々が代わりにトリを務めた際にこの演目を演じたが、まだ稽古途中であった事と師匠不在の穴埋めをしようと必死であった事が裏目に出て、しどろもどろになる失態を犯した。以来、傷心の草々は高座に上がっていなかった。
柳眉演じる辻占茶屋を見た草々は、喜代美の励ましもあり、三年ぶりに高座に上がってこの演目に再挑戦する事になり、学園祭準備で三味線をかじった喜代美が下座を担当することになった。しかし喜代美の腕ではまともな下座がつとまるはずもなく、当日は「ゆかりの月」だけを弾いて他は唄のみの掛け合いでごまかすことになった。
こうして始まった高座だったが、草々の演技は高座を斡旋した磯七の目から見ても硬かった。さらに喜代美が緊張のあまりに「ゆかりの月」ではなく出囃子に使った「ふるさと」を再び弾いてしまうアクシデントが発生。だがこれが幸いし、草々はアドリブを交えてこのアクシデントを乗り越え、そのうちに硬さもとれ、盛況のうちに高座は無事終了。磯七やこっそり隣の部屋で聞いていた草若を安心させた。終了後、草々は喜代美が失敗したことを怒らず、喜代美が「ふるさと」を最後まで弾けたことを褒め、喜代美に感謝。喜代美は草々に恋してしまったことを辻占(熊五郎が「鯉」の話をするのが聞こえた)により自覚。草々にオムライスをご馳走になった後、恋の行方を辻占で占おうとしたその時、目の前に清海が現われ「ビーコ」と呼ばれてしまい、さらに草々が清海と出会ってしまった。
再現シーンでは小次郎が鍛冶屋の源太、糸子が梅乃、正典が源太に入れ知恵する男に扮した。なお、喜代美が本来歌うはずだった「ゆかりの月」に登場する「源太さん」とは、歌舞伎「夕霧名残の正月」などに登場する梶原源太景季のことである。
第5週のテーマとなった演目。
草々が草若に入門したばかりの頃、まだ15歳くらいだった草々はこの演目を聞き、この演目に出てくる「とおやん」(=大阪・船場言葉で「お嬢さん」)はかわいそうだと言って涙ぐんだ。それ以来、草々にとって女の子はかよわく守ってあげなければならない存在になってしまった。
清海と出会ったことを話す草々の話を聞き、喜代美が草々に惚れていると見抜いていた草若はライバル登場だなと喜代美に言いながら草々の初恋としてこの話をし、草々の女性の好みを話した。草若の予想通り、草々は清海を好きになってしまうが、清海は草々に興味を持っていないことが判明。失恋のショックで草々は高座に上がれなくなってしまう状態が続いた。
それから半年後、失恋の痛手から脱した草々は老人ホームで行なわれる落語会に出演することになり、喜代美を前にこの演目を練習した。だが草若の話を思い出した喜代美は草々がまだ清海を思い続けていることを悟り、「聞いとられません」と言って中座。ショックのあまり正太郎の命日が近かったこともあって小浜に帰ってしまった。ところが、草々は自分の落語の腕が悪くなったために喜代美が聞くのをやめてしまったと勘違いし草若に相談。あまりの鈍さに草若をあきれさせた。
その後、草々はこの演目を毎日練習。小浜を訪れた際にかつて正太郎が工房にしていた部屋で半ば強引に喜代美に対してこの演目を聞かせた。草々の声は居間にいた和田家の面々にも聞こえ、いつの間にか皆草々の前に集結。喜代美が思わず笑っていたのを見てあれだけいがみ合っていた和田家の面々も皆笑い、終わった時には拍手が沸き起こった。くしくも正太郎の祥月命日の日でもあり、落語好きだった正太郎の遺影の前での良い供養になった。これを見て喜代美は、一生懸命まじめに落語に取り組む草々が好きだということを再認識した。
再現シーンはなかったものの、草々が「とおやん」とダブらせて一目惚れをした清海が、大学のサークルの先輩である「藤吉」(ふじよし) という男に付きまとわれるシーンがある。この男の名は、落語に出てくる「天王寺屋藤吉」(とうきち) をヒントにしていると思われる。
小草若が唯一できる演目。小草若と草々が入門して最初に覚えた演目である。
生活が困窮していたために些細なことで家族がいがみあうのを目の当たりにした喜代美が、家族を和ませようと、テレビのロケの仕事で小浜に来ていた小草若を和田家に呼び寄せ落語を演じてもらった時も小草若はこの演目を演じた。小草若の演技は寿限無の長い名前をただ述べるだけの独善的な芸で面白くなかったため、糸子を除いて皆白け、挙句の果てには寿限無の長い名前を唱えて得意気にしている小草若を見て小次郎が、子供の頃に正典が円周率を100桁暗唱できると自慢していたことを思い出して正典と喧嘩を始めてしまい、喜代美の目論見は失敗に終わってしまった。ちなみに小次郎も円周率を15桁までなら暗唱できる。また糸子は本気で小草若の「寿限無」を面白いと思っており、徒然亭一門が再結集して行なわれた落語会の直前に大阪に出て来た時もそう語っている。
後に徒然亭一門が再結集して行なわれた第1回目の落語会で一席目に草々が「寿限無」を演じた。小草若はトリで「愛宕山」を演じる予定だったが、「愛宕山」の項目で述べたとおり、父草若への思いから感極まり、泣きながら「寿限無」を演じてしまい、客をひかせてしまった。だが小草若の思いは父草若に伝わり、草若が落語家復帰を決意する一因になった。
第6週のテーマとなった演目。
小浜から戻ってきた草々はこの演目を練習。隣の部屋で聞いていた喜代美は奈津子にこの演目の話をする。その話を聞いた奈津子は喜代美が落語が好きになったことを指摘し、落語会の開催を喜代美に勧める。喜代美は磯七に相談するが、磯七は草々一人では落語会は開けないことを指摘し、さらに草若には草々と小草若の他に二人弟子がいたことを話した。この話を聞いた喜代美はしばらくして草若の弟子を集めて落語会を開くことを決意する。だが小草若はある理由で拒否。残りの草原と四草も落語家に戻ることを拒否。その直後、草若に稽古をつけてもらうことを拒否され、きついことを言われた草々は草若の元を飛び出してしまった。
草々は草原の家に転がり込み、「崇徳院」の稽古をつけてくれと頼んだ。はじめは拒否した草原だったが、草々の稽古を見ているうちに、また草々に請われた事もあってつい「崇徳院」の話をしてしまう。草々は草原に対し、崇徳院が詠んだ歌『瀬を早み岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ』の部分に気持ちをこめて言える様になったといい、三年間別れ別れになったけれどもいつか草若や草原達と落語をやりたいという自分の気持ちと重なると述べた。落語の話をしてしまったことに愕然とした草原は、息子の颯太に請われて「崇徳院」を披露した草々に対し、落語を思い出したくないという理由で落語をやめさせてしまった。直後に草原は妻の緑から思い出したくないのは落語ではなくて落語をすると楽しいということではないかと言われ、落語に対する未練があることを指摘される。
次に草々は四草の元に転がり込んだ。四草は草若から「崇徳院」の稽古をつけられたことがあったからだ。だが四草は稽古をつけようとはしなかった。さらに「時うどん」の項目で述べる出来事もあって草々は四草の元を去ってしまった。
一方、喜代美は草原から草々が草原の家にいたことを聞き、さらに草々が草原の家から去ったと知って四草が働いている店に行った。そこであくまでも草若にこだわる草々の覚悟のほどを知らされた後、草原の元を訪れ、草原が18年間も落語を続けていたことを挙げて草原が落語好きであることを指摘。緑からも、落語家に復帰して草々を助けるよう勧められる。ついには颯太が草々の稽古を聞いて覚えた「崇徳院」の一節(『瀬を早み~』の部分)を唱えた。これを聞いた草原は自分と落語との因縁を悟り、落語家復帰を決意した。
その翌日。草原と喜代美は四草の元を訪れ、四草を説得。四草は草若に対する恨み言を述べて断ろうとしたが、突然、ペットの九官鳥の平兵衛が「崇徳院」の一節(これまた『瀬を早み~』の部分)を唱え始めた。四草は秘かに「崇徳院」を稽古しており、それを聞いていた平兵衛が覚えてしまったのだ。そして四草が稽古を続けたのは、「崇徳院」の主人公に四草が似ているという理由で「崇徳院」の稽古をつけてくれた草若を忘れることができなかったからだった。これに後押しされ、四草も落語家復帰を決意した。
久しぶりに集まった草原達は落語会を企画。会場が寝床に決まり、草若の芸を継ぐという決意表明ということから草原の鶴の一言で四草が「崇徳院」を演じることになった。四草が演じた「崇徳院」を聞き、草若は四草がやっと「崇徳院」をやる気になったと感慨深げだった。
そして喜代美が草若に弟子入りを申し出て断られた直後、四草は「崇徳院」の稽古をしたが、稽古の途中で草若は扇子を落とすほど眠り込んでしまい、脇で見ていた喜代美を困惑させた。
再現シーンでは若旦那の作治郎に草々、作治郎がひとめぼれしたお嬢さんに清海、熊はんに喜代美が扮し、はからずも三人の恋模様を表現した形となった。
四草がこだわる落語の演目。狡猾で頭が回り、人を騙しては金を巻き上げる平兵衛という男が主役。四草は草若が演じる「算段の平兵衛」に感動し、平兵衛のような男になりたいと考えて入門を決意した。四草はしばらく草若につきまとっていたが、ある時、草若は高座で「算段の平兵衛」をかけた。その後、草若は四草に対して「(稽古をつけてやったので)やってみい。」と言った。この言葉が入門許可の意思表示だった。以後、四草は「算段の平兵衛」にこだわったが、草若は「算段の平兵衛」の稽古をつけようとはしなかった。
そして、喜代美が弟子入りを断られた(二度目)後、草若は3年間高座から離れていたブランクを感じているので弟子をとるのは難しいだろうと草々が喜代美に話した直後、四草が草原を相手に「算段の平兵衛」を稽古している場面が流れた。3年のブランクのため、四草も草原も「算段の平兵衛」の一部を忘れてしまっていた。
再現シーンでは小次郎が平兵衛を演じた。
四草によって天狗座へ出前に行かせられた草々が尊建の高座を見た時に尊建が披露した演目。かつて尊建は柳眉の演じた「辻占茶屋」を見て草々(と喜代美)に対して、こんなマニアックな演目ではなく、自分ならもっと有名な演目で客に落語のすごさを分からせてやると豪語していた。その時に挙げていたのがこの演目だった。豪語したとおりに客を沸かせる尊建を見て草々はショックを受ける。実は四草が草々を天狗座へ行かせたのは、草々が草若にこだわってくすぶっている間に実力をつけたかつてのライバル尊建の姿を見せ、草々に「崇徳院」の稽古を諦めさせようと考えたからであった。
三年ぶりに草若の元に戻る決心をしたものの、敷居が高かったために三年前は開業していなかった寝床に入り、そこで酒に酔った草原が披露した演目。これを聞いた磯七は懐かしがったが、例によって草原は噛んでしまい、噛むのも懐かしい、とさらに懐かしがった。
喜代美が弟子入りを申し出て断れた直後に草原が稽古していた演目。草若は草原の落語を聞きながらいきなり横になってしまい、脇で見ていた喜代美を困惑させた。
草若に弟子入りを断られた喜代美が奈津子のアドバイスで視野を広げようと、天狗座へ出前に行った時に鏡小助という落語家がかけていた演目。喜代美は奈津子から借りた落語事典も使って独学で落語を勉強したが、勉強するにつれて草若に弟子入りしたいという気持ちが強くなっていくのであった。

落語が元になったと推測される演出

小学生の時に順子が喜代美に語った、「清海と出会ったことも隕石に当たったと思って諦めろ」という例え話の出典。
学園祭のステージで三味線を演奏することになった喜代美が躓くチントンシャン。
糸子の創作料理「へしこ丁稚羊羹」は大失敗作。しかしこれに小次郎が目を付け、唐辛子などをかけてさらに味を酷くした物を「京都の土産」と偽り、京都通を自称する竹谷に食べさせようと画策する。ところが、知ったかぶりの竹谷がこれを食べようとした寸前、何も事情を知らない奈津子が先に食べて気分が悪くなってしまった。
カレーうどんの代金を請求に来た「寝床」の熊五郎を追い返そうと、草若は自ら死んだ振りをして喜代美に応対させる。真に受けた熊五郎が香典を包んで喜代美に渡したが、いくら何でもそれは受け取れないと喜代美は断る。押し問答を布団の中で聞いていた草若、たまらず顔に被せた白布を取って「もろときなはれ」。熊五郎は腰を抜かしてしまった。
喧嘩の仲裁が好きな魚屋食堂主人・幸助の前で、糸子が喜代美と結託してケンカを演じて焼きサバをせしめようと目論む。
落語に登場する新妻「延陽伯」は漢文調の言葉しかしゃべれない。四草がアルバイトしていた中華料理店「延陽伯」の店員は中国人ばかりで言葉が通じない。
フォークソングを愛する熊五郎。店で自分のコンサートを開こうとしたが、下手な歌を延々と聴かされるほうはたまらない。磯七は散髪屋同士の会合があるから、菊江は今朝から蝋燭の発注が殺到していて忙しい、と適当な理由をつけて、告知に来た喜代美に断りを入れる。本当の理由を悟った熊五郎夫婦はこれに激怒、店のメニューを法外な料金に値上げしてしまう (昼定食は28,000円) 。客たちはその夜泣く泣く店に集まって、内緒で耳栓をしながら熊五郎に付き合ったのであった。

その他

徒然亭の紋 

徒然亭の紋はヒグラシだが、これは吉田兼好が著した「徒然草」序段の「徒然なるままに日暮らし」から取られたと思われる。ちなみに草若一家の本名は吉田である。

実在の落語家の紋

オープニング映像で、11個の定紋が3段に並んで表示される画面がある。これらはすべて実在の上方噺家が用いている (いた) 定紋である。

画面での位置 定紋名 使用する噺家 備考
上段左から一つめ 三つ組橘 立花家千橘 江戸落語の橘家一門と同じ
上段左から二つめ ぬの字兎 林家染丸一門 染丸は当ドラマの落語監修
上段左から三つめ 菱三升に花菱 桂春團治 露の都が無断で拝借したエピソードあり
上段左から四つめ 桔梗 露の五郎兵衛一門 立花家千橘を除く
中段左から一つめ 五枚笹 笑福亭松鶴一門
中段左から二つめ 四つの文の字 桂文枝 5代目は2005年死去
中段左から三つめ 月紋 月亭可朝一門 桂米朝門下の一派
下段左から一つめ 四つ花菱 桂春團治一門
下段左から二つめ 森乃福郎一門 笑福亭福松の流れを汲む
下段左から三つめ 結び柏 桂米朝一門桂文枝一門 替え紋
下段左から四つめ 三つ柏 桂米朝一門桂文枝一門

若狭弁と福井弁

正典や小次郎らのふるさとである小浜市は、福井県嶺南 (旧若狭国) に位置し、糸子のふるさとである鯖江市 (福井県嶺北で旧越前国) とは方言がかなり異なる。若狭弁は近畿方言であるのに対し、福井弁は北陸方言の流れを汲んでいる。ドラマ中、小浜出身の正典らが福井弁を用いているシーンが見受けられるが、これはやや不自然ではないかという指摘がなされている。なお、本ドラマで福井ことば指導を行なっているのは一人である。

梅丈岳

正太郎の死後、喜代美が独りで出掛けようとする梅丈岳は、福井県三方上中郡若狭町三方郡美浜町の境に位置する標高400メートルの山である。ここの山頂では実際にかわらけ投げができる。ただし、喜代美の実家である小浜市の市街とは直線距離でも16キロ程度離れており、糸子同伴でタクシーを使ったとしても夜中に梅丈岳の頂上へ行くのは実際には無理がある。

小浜線

JR小浜線の線路や小浜駅がロケ地となっている場面がある。もちろんロケは2007年に行われており、線路上に架線が施されている。実は小浜線が電化されたのは2003年であり、電化工事が着工されたのも2000年のことで、喜代美が大阪へ旅立った1992年の時点では、架線は存在していなかった。そのため、電化された小浜線を、気動車に乗って旅立つという、いささか違和感のある映像になっている。もっとも、電化されていても気動車が走っている路線の実例として羽越本線肥薩おれんじ鉄道などがあり、また蒸気機関車が走行するシーンのロケに電化されている大井川鉄道が使用されるのが他のドラマでよく見られるので、それほど気にならない人もあるかもしれない。

三味線演奏

高校の学園祭で催された三味線ライブや、練習のシーンは、すべて出演者たちの実際の演奏によって撮影・収録された。喜代美役の貫地谷しほりにとっては、映画「スウィングガールズ」でトランペットを演奏したのに続く楽器を用いた演技となった。ただし喜代美は、三味線ライブについては中途で挫折している。余談だが、貫地谷、佐藤めぐみ、宮嶋麻衣の三人で一緒に三味線の稽古をしたときに貫地谷だけが上達が遅くなってしまい、劇中同様、清海役の佐藤が喜代美役の貫地谷に対して「なんか困ったことがあったら聞くからね」と言う一幕があったという。

ライバルは兄弟弟子

徒然亭草原役の桂吉弥と万葉亭柳眉役の桂よね吉は、実際には桂吉朝門下で兄弟弟子の関係にある上方噺家である。吉朝は3代目桂米朝の弟子で、高度な落語センスと古典芸能の熱心な研究から次代の上方落語の大看板と期待されていたが、2005年に50歳の若さで病死した。

正典と小次郎の関係

兄の和田正典役の松重豊は弟の和田小次郎役の京本政樹よりも4歳ほど年下である。それどころか、過去には京本が父、松重がその義理の息子を演じている。NHK大河ドラマの「毛利元就」がそれで、京本が吉川興経、松重が吉川元春を演じた。

スタッフ

各週のタイトル

  • 第1週 「笑う門には福井来る」(10月1日-6日)
  • 第2週 「身から出た鯖」(10月8日-13日)
  • 第3週 「エビチリも積もれば山となる」(10月15日-20日)
  • 第4週 「小さな鯉のメロディ」(10月22日-27日)
  • 第5週 「兄弟もと暗し」(10月29日-11月3日)
  • 第6週 「蛙の子は帰る」(11月5日-10日)
  • 第7週 「意地の上にも三年」(11月12日-17日)
  • 第8週 「袖振り合うも師匠の縁」(11月19日-24日)
  • 第9週 「ここはどこ?私はだめ?」(11月26日-12月1日)
  • 第10週 「瓢箪から困った」(12月3日-8日)
  • 第11週 「天災は忘れた恋にやって来る」(12月10日-15日)

特別番組

  • ちりとてちんスペシャル
総合テレビで2007年11月3日の15:00~15:49に放送(中国・四国エリア、大分県、沖縄県では別番組を放送 副音声解説なし)。これまでの名場面、メイキング映像、落語再現場面などを放送した。案内役は徒然亭小草若(茂山宗彦)と和田友春(友井雄亮)。喜代美をめぐって言い争いをしながら番組を進行。最後に野口幸助(久ヶ沢徹)が焼き鯖を持って乱入し、二人の喧嘩を仲裁した。なお、名場面集とメイキング映像のナレーションは西堀裕美アナウンサーがつとめた。
なお、同日は「ちりとてちん」デーと題し、「土曜スタジオパーク」に貫地谷しほり(和田喜代美役)と青木崇高(徒然亭草々役)が出演するなど、さまざまな番組に「ちりとてちん」出演者が登場したり、イベントが開かれた。

関連物

ノベライズ

ドラマガイド

  • ちりとてちん 連続テレビ小説(NHKドラマ・ガイド)  ISBN 414923549X

CD

関連項目

風林火山の放送初期、本作のヒロイン貫地谷が主人公山本勘助の恋人、ミツを演じていた。その縁からか、総合テレビにて10月から風林火山の終了後の30秒宣伝にちりとてちんのPR(翌日からの放送週の予告ではない)が放送されていた。

外部リンク


NHK 連続テレビ小説
前番組 番組名 次番組
どんど晴れ
(2007年4月2日~2007年9月29日)
ちりとてちん
(2007年10月1日~2008年3月29日)

(2008年3月31日~)