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「富士山麓電気鉄道富士急行線」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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2007年8月28日 (火) 15:40時点における版

月江寺駅に停車する列車(富士吉田市、2004年12月30日撮影)

大月線(おおつきせん)は、山梨県大月市大月駅と山梨県富士吉田市富士吉田駅とを結ぶ富士急行鉄道路線である。

路線データ

  • 路線距離(営業キロ):23.6km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:16駅(起・終点駅含む)
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:全線(直流1500V)
  • 閉塞方式:自動閉塞式

概要

中央本線大月駅(標高358m)から富士山麓の河口湖駅(標高857m)まで登り詰める路線で、大半を相模川上流の桂川と中央自動車道富士吉田線が並行する。線形は、最急40‰勾配と半径200m前後の急曲線が小刻みに連続する山岳路線である。線内特急がある他、中央本線からの直通列車も多い。

歴史

大月線は、富士山登山拠点となっていた吉田(現在の富士吉田市)と、八王子から大月まで延びて来た中央東線(中央本線)を結び、東京からの登山客らを運ぶために敷設された富士馬車鉄道と都留馬車鉄道による馬車鉄道を前身とする。両社は軌間が異なっていたため、途中で乗り換えが必要で、これを解消するため1921年に両社が合併し、大月~上吉田間の軌間を統一・電化させて電気運転を開始した。しかし、馬車鉄道時代からの併用軌道では所要時間もかかり、急増する旅客をさばききれなくなったため、1926年に設立された富士山麓電気鉄道へ1928年に全線を譲渡し、1929年に新設の鉄道線に切り替えられ、馬車鉄道以来の軌道は廃止された。これにより大月~上吉田間を2時間もかかっていた所要時間も1時間以下と大幅に短縮され、富士山麓は首都圏からの日帰り観光圏内となった。

また、都留馬車鉄道は一時籠坂峠に至るまでの路線を有しており、明治から大正期まではそこから東海道本線(今の御殿場線御殿場駅前までを結んでいた御殿場馬車鉄道と連絡していたこともあった。

  • 1900年9月21日 都留馬車鉄道上吉田~籠坂間開業。軌間762mm
  • 1903年1月17日 富士馬車鉄道大月~谷村間開業。軌間610mm。
  • 1903年8月14日 富士馬車鉄道谷村~小沼間開業。
  • 1903年9月11日 都留馬車鉄道小沼~上吉田間開業。
  • 1919年 都留馬車鉄道が都留電気鉄道に社名変更。
  • 1920年 富士馬車鉄道が富士電気軌道に社名変更。
  • 1921年7月 都留電気鉄道小沼~上吉田間を電化し富士電気軌道に譲渡。上吉田~籠坂間を坂本諏訪松ほか4名に譲渡。
  • 1921年10月 富士電気軌道大月~小沼間を改軌・電化。大月~上吉田間電気運転・直通運転開始。
  • 1927年11月 坂本諏訪松他4名運営の上吉田~籠坂間廃止。
  • 1928年1月 富士電気軌道が大月~上吉田間を富士山麓電気鉄道に譲渡。
  • 1929年6月19日 富士山麓電気鉄道大月~富士吉田間(23.6km)開業。軌間1,067mm。当初から電化。元富士電気軌道の大月~上吉田間廃止。
  • 1930年1月21日 尾垂鉱泉前駅開業(1934年までに葭池温泉前駅に改称)。
  • 1931年10月1日 月江寺駅開業。
  • 1934年7月1日 東京~富士吉田間に臨時列車「高嶺」直通運転開始。
  • 1943年9月20日 小沼駅を三つ峠駅に改称。
  • 1960年5月30日 富士山麓電気鉄道が富士急行に社名変更。
  • 1962年4月14日 新宿~河口湖間に急行「かわぐち」運転開始。
  • 1965年3月1日 谷村横町駅を都留市駅に改称。
  • 1981年1月11日 暮地駅を寿駅に改称。
  • 1986年11月1日 急行「かわぐち」廃止。
  • 1998年7月6日 特急「ふじやま」運転開始。
  • 2002年2月28日 「フジサン特急」運転開始。特急「ふじやま」廃止。
  • 2004年11月16日 都留文科大学前駅開業。特急停車駅を都留市駅から都留文科大学前駅に変更。

運転形態

富士吉田駅で接続する河口湖線と一体の路線として運用されており、旅客案内上路線名は使用されていない。一般には「富士急行線」と呼ばれている。

各駅停車

線内運行列車とJR中央本線直通列車がある。共に運賃のみで特別な料金は不要。また、線内運行列車の中には、富士急ハイランドにあるアトラクションから「トーマスランド号」と呼ばれる車両で運行される列車もある。

また、特急形車両を各駅停車として運行することもあるが、その場合は展望車のある車両(1号車)と2号車の個室には着席できないので注意が必要である。また、この場合はトイレの利用もできない。

JR中央線直通列車

東日本旅客鉄道(JR東日本)中央本線より列車の乗り入れがある。

特急(有料列車)

大月駅河口湖駅間にフジサン特急が運行される。

利用状況

輸送実績

富士急行線の近年の輸送実績を下表に記す。輸送量は減少している。 表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。

年  度 輸送実績(乗車人員):万人/年度 輸送密度
人/km・1日
貨物輸送量
万t/年度
特 記 事 項
通 勤
定 期
通 学
定 期
定期外 合 計
1975年(昭和50年) 115.5 169.5 316.8 601.8 5,906 1.8  
1976年(昭和51年) 107.7 165.6 295.3 568.6 5,476 1.7  
1977年(昭和52年) 104.1 166.3 279.5 550.0 5,135 1.5  
1978年(昭和53年) 96.7 160.7 276.8 534.3 5,060 0.07  
1979年(昭和54年) 92.4 157.9 270.7 521.0 4,786 0.02  
1980年(昭和55年) 91.9 153.4 267.9 513.3 4,709 0.03  
1981年(昭和56年) 89.7 153.6 249.0 492.4 4,361 0.02  
1982年(昭和57年) 86.7 131.7 234.9 453.3 4,056 0.008  
1983年(昭和58年) 89.6 128.2 226.9 444.8 3,975 0.05  
1984年(昭和59年) 85.2 124.2 219.7 429.2 3,909 0.0 貨物営業廃止
1985年(昭和60年) 76.9 125.4 214.8 417.1 3,811 0.0  
1986年(昭和61年) 68.6 121.9 203.3 393.8 3,660 0.0 急行「かわぐち」廃止
1987年(昭和62年) 65.4 122.7 196.0 384.1 3,577 0.0  
1988年(昭和63年) 65.2 121.8 194.7 381.7 3,640 0.0  
1989年(平成元年) 61.3 121.5 200.3 383.1 3,837 0.0  
1990年(平成2年) 66.9 117.7 210.0 394.6 4,058 0.0  
1991年(平成3年) 69.0 117.6 219.2 405.8 4,238 0.0  
1992年(平成4年) 65.4 115.7 208.3 389.4 4,149 0.0  
1993年(平成5年) 62.0 115.0 204.6 381.6 4,160 0.0  
1994年(平成6年) 59.3 112.5 199.5 371.3 4,105 0.0  
1995年(平成7年) 56.5 105.5 195.3 357.3 3,924 0.0  
1996年(平成8年) 57.1 101.5 202.8 361.4 4,105 0.0  
1997年(平成9年) 54.2 99.4 194.3 347.9 3,946 0.0  
1998年(平成10年) 49.9 93.5 176.4 319.8 3,619 0.0 特急「ふじやま」運転開始
1999年(平成11年) 44.0 88.9 175.0 307.9 3,533 0.0  
2000年(平成12年) 43.8 85.7 172.6 302.1 3,519 0.0  
2001年(平成13年) 40.6 84.6 161.3 286.5 3,392 0.0 フジサン特急運転開始 特急ふじやま廃止
2002年(平成14年) 37.0 83.1 157.0 277.1 3,322 0.0  
2003年(平成15年) 36.4 86.7 154.0 277.1 3,352 0.0  
2004年(平成16年) 36.2 89.9 155.9 282.0 3,388 0.0 都留文科大学前駅開業
2005年(平成17年)       281.2 3,340 0.0  
2006年(平成18年)       298.8   0.0  
2007年(平成19年)           0.0  

収入実績

富士急行線の近年の収入実績を下表に記す。収入は一時増加したが、最近では減少している。 表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。

年  度 旅客運賃収入:千円/年度 貨物運輸
収入
千円/年度
運輸雑収
千円/年度
総合計
千円/年度
通勤定期 通学定期 定 期 外 手小荷物 合  計
1975年(昭和50年) 158,279 ←←←← 595,960 11,478 765,717 5,174 12,566 783,457
1976年(昭和51年) 180,086 ←←←← 631,490 14,254 826,100 5,980 17,333 849,143
1977年(昭和52年) 182,984 ←←←← 609,232 15,841 808,058 6,707 20,607 835,373
1978年(昭和53年) 201,361 ←←←← 661,408 12,780 875,549 1,015 35,453 912,019
1979年(昭和54年) 197,277 ←←←← 661,511 12,289 871,077 112 35,361 906,551
1980年(昭和55年) 223,025 ←←←← 731,123 11,539 965,687 162 30,550 996,400
1981年(昭和56年) 221,193 ←←←← 681,677 9,931 912,801 129 50,853 963,784
1982年(昭和57年) 242,993 ←←←← 749,680 7,263 999,935 136 44,618 1,044,689
1983年(昭和58年) 247,613 ←←←← 720,140 4,434 972,187 502 38,693 1,011,383
1984年(昭和59年) 262,916 ←←←← 780,272 741 1,043,929 0 42,471 1,086,401
1985年(昭和60年) 259,622 ←←←← 769,640 0 1,029,262 0 36,172 1,065,434
1986年(昭和61年) 267,764 ←←←← 808,496 0 1,076,260 0 47,044 1,123,304
1987年(昭和62年) 129,210 138,467 795,593 0 1,063,270 0 49,424 1,112,694
1988年(昭和63年) 133,283 148,063 872,262 0 1,153,608 0 50,918 1,204,526
1989年(平成元年) 133,968 149,344 942,516 0 1,225,828 0 49,731 1,275,559
1990年(平成2年) 143,369 151,196 1,028,071 0 1,322,636 0 52,686 1,375,322
1991年(平成3年) 150,747 154,113 1,086,023 0 1,390,883 0 58,721 1,449,604
1992年(平成4年) 163,931 164,959 1,105,149 0 1,434,039 0 63,217 1,497,256
1993年(平成5年) 147,669 180,929 1,100,709 0 1,429,307 0 58,192 1,487,499
1994年(平成6年) 141,644 180,611 1,082,550 0 1,404,805 0 62,686 1,467,491
1995年(平成7年) 135,454 173,778 1,045,639 0 1,354,871 0 65,030 1,419,901
1996年(平成8年) 138,669 167,389 1,109,777 0 1,415,835 0 90,495 1,506,330
1997年(平成9年) 129,567 158,512 1,049,725 0 1,337,804 0 68,184 1,405,988
1998年(平成10年) 119,283 147,622 974,822 0 1,241,727 0 67,781 1,309,508
1999年(平成11年) 106,236 139,439 979,331 0 1,225,006 0 68,930 1,293,936
2000年(平成12年) 105,786 133,374 974,468 0 1,213,628 0 61,982 1,275,610
2001年(平成13年) 98,545 132,025 922,040 0 1,152,610 0 63,078 1,215,689
2002年(平成14年) 91,475 132,367 922,354 0 1,146,196 0 75,911 1,222,107
2003年(平成15年) 91,774 138,180 895,781 0 1,125,735 0 83,224 1,208,959
2004年(平成16年) 88,376 145,837 901,559 0 1,135,772 0 88,181 1,223,953
2005年(平成17年)         1,110,475 0 84,269 1,194,744
2006年(平成18年)         1,173,888 0 107,559 1,281,447
2007年(平成19年)                

駅一覧・接続路線

路線名 駅名 駅間距離
(km)
累計距離
(km)
各駅停車 特急
フジサン特急
接続路線 所在地
(全線山梨県に所在)
大月線 大月駅* - 0.0 東日本旅客鉄道:中央本線 大月市
上大月駅 0.6 0.6  
田野倉駅+ 2.4 3.0   都留市
禾生駅+ 2.6 5.6  
赤坂駅 1.5 7.1  
都留市駅+ 1.5 8.6  
谷村町駅 0.8 9.4  
都留文科大学前駅* 1.2 10.6  
十日市場駅 0.9 11.5  
東桂駅+ 1.6 13.1  
三つ峠駅+ 2.7 15.8   南都留郡西桂町
寿駅 3.0 18.8   富士吉田市
葭池温泉前駅 1.4 20.2  
下吉田駅+ 0.9 21.1  
月江寺駅+ 0.8 21.9  
富士吉田駅* 1.7 23.6  
河口湖線
富士急ハイランド駅+ 1.4 25.0   南都留郡
富士河口湖町
河口湖駅* 1.6 26.6  
記号
駅名:*:直営有人駅、+:委託有人駅、無印:無人駅
停車駅:●:停車、▲:一部列車通過、|:通過

※直営有人駅と富士急ハイランド駅には券売機があり、磁気券を発売中、全ての有人駅に係員用の乗車券発行機があるが、こちらは非磁気券。

運賃

大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2007年7月1日現在。

キロ程 運賃(円)
初乗り1~2km 160
3~4 210
5~6 290
7~8 370
9~10 450
11~12 530
13~14 610
15~16 690
17~18 770
19~20 850
21~22 930
23~24 990
25~26 1050
27 1110

その他

  • 2007年3月18日からサービスを開始したICカードPASMO」は、バス事業では導入されたものの、鉄道線の富士急行線には導入されていない。
  • 富士急ハイランド駅等、一部の駅でホームの延伸工事が行われる予定になっている。

関連項目