コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

マックスビューティ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。160.252.69.9 (会話) による 2014年11月1日 (土) 11:14個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (引退後)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

マックスビューティ
ファイル:Max beauty.jpg
ローズステークス出走時
(1987年10月25日 阪神競馬場)
欧字表記 Max Beauty
品種 サラブレッド
性別
毛色 鹿毛
生誕 1984年5月3日
死没 2002年2月27日(18歳没)
ブレイヴェストローマン
フジタカレディ
母の父 バーバー
生国 日本の旗 日本北海道浦河町
生産者 酒井牧場
馬主 田所祐
調教師 伊藤雄二栗東
厩務員 大當清治
競走成績
生涯成績 19戦10勝
獲得賞金 3億4150万4300円
テンプレートを表示

マックスビューティ日本競走馬繁殖牝馬1987年中央競馬牝馬クラシックにおいて桜花賞優駿牝馬(オークス)二冠を達成した名牝。同年の最優秀4歳牝馬にも選ばれた。主戦騎手田原成貴が務めた。頑健さとしなやかさを兼ね備えた好馬体、全盛期の圧倒的な強さから「究極の美女」の異名を持つ。

デビュー前

当初、母であるフジタカレディの交配相手にはマルゼンスキーを予定していた。しかし、フジタカレディの発情が予定より早く来てしまい、急遽ブレイヴェストローマンに配合相手が変更された[1]

生産者の酒井は、生まれた馬の立ち姿から見た期待度を記録する癖があり、ABCの三段階評価方式だったが、マックスビューティにだけは「S」をつけた。後にも先にも、酒井が「S」をつけたのはマックスビューティただ一頭であるとのこと。

幼駒の品評会で優秀賞を受賞している[1]

戦績

札幌でデビューする予定だったが、左前蹄球炎のため出走を取り消し[1]、3週間後の函館の新馬戦に出走、圧倒的1番人気に応えて勝利した。その後は函館3歳ステークスに出走するが、ホクトヘリオスの4着に敗れた。年末まで休養し、ラジオたんぱ杯3歳牝馬ステークスに出走するも2着に終わった。これまでに騎乗した騎手はスピードを評価する反面、ダッシュの遅さや若さを指摘していた[1]

4歳(旧表記)になり、紅梅賞を5馬身差で勝利した。その後バイオレットステークス、チューリップ賞とオープン特別を2連勝して臨んだ桜花賞では、1番人気に支持された。前2走で田原はマックスビューティが「疲れがたまりやすい馬」と感じていたため、一杯に追わない競走をしていたが、今後の経験のためにと、この競走では後続に差をつけたあとも追い続け8馬身差で勝利した[1]。桜花賞後はオークスに直行せず4歳牝馬特別に出走することになった。これはマックスビューティの調教の動きから左回りの競走に不安があった点と、馬体、走法、血統から1600メートルから2000メートルの距離が向くと考え、1600メートルの桜花賞からいきなり2400メートルのオークスでは距離延長が厳しいのではないかという点を考慮した選択だった[1]。この競走では、主戦の田原が春の天皇賞ニシノライデンに乗って失格、騎乗停止となっていたため、柴田政人が代打で騎乗していたが勝利し、迎えた優駿牝馬でも単勝1.8倍の1番人気になり、道中コーセイと接触するアクシデントがありながら、人気に応えて牝馬クラシック二冠を達成した。

秋は神戸新聞杯ローズステークスをいずれも勝利して8連勝となり、前年のメジロラモーヌに続く2年連続の牝馬三冠を目指してエリザベス女王杯に出走した。単勝1.2倍の1番人気に支持され、正攻法の競馬を進めていたが、最後の直線でずっとマークされ続けた優駿牝馬3着のタレンティドガールに差され2着に敗れた。

エリザベス女王杯の敗戦以降、マックスビューティは勝ち星に見放されてしまった。5歳秋にオープン特別であるオパールステークス(武豊鞍上)で1年ぶりの勝利をあげるも、次走のスワンステークスで9着に敗れ、これを最後に引退した。

また、大阪杯を最後に田原は降板させられている。これを不服とした田原は引退まで伊藤雄二厩舎の競走馬にはどんな有力馬であろうと騎乗しなくなった[2]

競走成績

年月日 競馬場 レース名 頭数 人気 着順 距離(状態 タイム 3F 着差 騎手 斤量 勝ち馬/(2着馬)
1986. 7. 13 札幌 3歳新馬 6 1000m(不) 出走取消 柴田政人 53 キョウエイミカサ
8. 3 函館 3歳新馬 6 1 1着 芝1200m(良) 1:10.4 (36.4) 4身 柴田政人 53 (サンレオーネ)
9. 21 函館 函館3歳S GIII 10 1 4着 芝1200m(不) 1:15.4 (40.7) 0.9秒 柴田政人 53 ホクトヘリオス
12. 7 阪神 ラジオたんぱ杯3歳牝馬S GIII 12 2 2着 芝1600m(良) 1:35.8 (49.2) 0.3秒 南井克巳 53 ドウカンジョー
1987. 1. 6 京都 紅梅賞 16 1 1着 芝1200m(重) 1:11.4 (46.7) 2身 南井克巳 53 (ナムラマイヒメ)
2. 21 京都 バイオレットS 8 1 1着 芝1400m(稍) 1:23.1 (46.6) 5身 田原成貴 54 (ウオーターパワー)
3. 15 阪神 チューリップ賞 10 1 1着 芝1600m(重) 1:38.2 (49.5) 2身 田原成貴 54 (ヤマトムラサキ)
4. 12 阪神 桜花賞 GI 18 1 1着 芝1600m(良) 1:35.1 (47.2) 8身 田原成貴 54 コーセイ
5. 3 東京 4歳牝馬特別(東) GII 17 1 1着 芝2000m(良) 2:01.6 (48.5) 1 1/2身 柴田政人 54 (クリロータリー)
5. 24 東京 優駿牝馬 GI 24 1 1着 芝2400m(重) 2:30.9 (49.0) 2 1/2身 田原成貴 55 (クリロータリー)
9. 27 阪神 神戸新聞杯 GII 8 1 1着 芝2000m(良) 2:02.4 (46.6) 1 1/4身 田原成貴 54 (ヒデリュウオー)
10. 25 阪神 ローズS GII 14 1 1着 芝2000m(重) 2:04.0 (48.3) 1/2身 田原成貴 55 (ハッピーサンライズ)
11. 15 京都 エリザベス女王杯 GI 20 1 2着 芝2400m(良) 2:29.6 (47.9) 0.3秒 田原成貴 55 タレンティドガール
12. 27 中山 有馬記念 GI 16 4 10着 芝2500m(良) 2:35.0 (36.2) 1.1秒 田原成貴 53 メジロデュレン
1988. 2. 28 阪神 マイラーズC GII 12 1 3着 芝1600m(良) 1:35.0 (48.3) 0.4秒 田原成貴 58 ミスターボーイ
4. 3 阪神 大阪杯 GII 12 1 8着 芝2000m(良) 2:03.0 (49.2) 1.3秒 田原成貴 56 フレッシュボイス
8. 21 函館 函館記念 GIII 14 7 6着 芝2000m(良) 1:59.3 (36.8) 1.5秒 田島良保 57 サッカーボーイ
9. 18 新潟 オールカマー GIII 15 2 7着 芝2200m(良) 2:13.5 (49.8) 1.2秒 岡部幸雄 55 スズパレード
10. 8 京都 オパールS 10 1 1着 芝1200m(良) 1:09.9 (46.1) 1 1/2身 武豊 57 (エイシンハピネス)
10. 30 京都 スワンS GII 16 4 9着 芝1400m(良) 1:24.7 (48.7) 1.7秒 田島良保 57 シンウインド

引退後

繁殖牝馬としては、初年度産駒から桜花賞・優駿牝馬でともに3着に入ったマックスジョリーを送り出し、一時はイギリスに渡って繁殖生活を送り、カーリアンサドラーズウェルズといった世界的種牡馬と交配され、大変期待されていたが、ついに重賞勝ち馬を送り出すことのないまま蹄葉炎により4か月の治療の後、安楽死の処置がとられ2002年2月27日に死亡した。また、生涯で牝馬はマックスジョリーしか生まなかった上に、マックスジョリーも初仔の牝馬(ビューティソング:父デインヒル)を出産してすぐに死亡したため、牝系の存続が危ぶまれている。

なお、ビューティソングは競走馬登録されないまま繁殖入りし、2014年現在デビューしていない馬を含め5頭の牝駒を産んでいる。そのうちクリムゾンフレア(中央未勝利、父サンデーサイレンス)ら3頭が繁殖牝馬となっている。また2014年のアルテミスステークスを産駒のココロノアイ(父ステイゴールド)が制し、牝系初の中央重賞制覇を遂げている。

繁殖成績

生年 馬名 毛色 厩舎 馬主 戦績・用途
1990 マックスジョリー 鹿毛 リアルシャダイ 栗東・伊藤雄二 田所祐 6戦2勝
優駿牝馬-GI 3着、桜花賞-GI 3着、アネモネステークス2着
繁殖牝馬(1997年死亡)
1991 マックスワイザー 鹿毛 ベリファ 栗東・伊藤雄二
0000
旭川・楠克美
中央7戦2勝
地方1戦0勝
乗馬
1992 マックスウィンザー 鹿毛 ノーザンテースト 栗東・伊藤雄二 22戦5勝
種牡馬(実働なし、1998年用途変更)
1993 チョウカイライジン 鹿毛 ダンシングブレーヴ 美浦・中野隆良 新田嘉一 36戦8勝
神無月ステークス、オアシスステークス
種牡馬(2007年用途変更)
1995 アーサーズフェイム 鹿毛 Caerleon ターフ・スポート イギリス産
35戦5勝
種牡馬(実働なし、2007年用途変更)
1996 グッドタイミング 鹿毛 Sadler's Wells 美浦・中野隆良
00000
門別・桑原義光
ターフ・スポート
000
北嶋裕三
持込馬
中央2戦0勝
地方4戦0勝
種牡馬(2007年用途変更)
1998 プラチナサンデー 鹿毛 サンデーサイレンス 美浦・中野隆良 ターフ・スポート 不出走
(死亡)
2001 ネヴァーフォゲット 鹿毛 コマンダーインチーフ 4戦1勝
種牡馬(2008年用途変更)

血統表

マックスビューティ血統(ネヴァーベンド系(ナスルーラ系) / Nasrullah3×4=18.75%) (血統表の出典)

*ブレイヴェストローマン
Bravest Roman
1972 鹿毛
父の父
Never Bend
1960 鹿毛
Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Lalun Djaddah
Be Faithful
父の母
Roman Song
1955 鹿毛
Roman Sir Gallahad
Buckup
Quiz Song Sun Again
Clever Song

フジタカレディ
1978 芦毛
*バーバー
Berber
1965 鹿毛
Princely Gift Nasrullah
Blue Gem
Desert Girl Straight Deal
Yashmak
母の母
フジタカジヨウ
1969 芦毛
*パーソロン
Partholon
Milesian
Paleo
オートトツプ *ガルカドール
フジリユウF-No.14-f

脚注

  1. ^ a b c d e f 『優駿』(日本中央競馬会)2008年5月号
  2. ^ ただしオーナーの田所とは関係が悪くなったわけではなく、後にマヤノペトリュースやマヤノトップガンの主戦騎手を務めている。また田原本人の談によるとこの後も引退までに何回か伊藤雄二からの騎乗依頼はあったとのことである。

外部リンク