マックスビューティ
マックスビューティ | |
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ファイル:Max beauty.jpg ローズステークス出走時 (1987年10月25日 阪神競馬場) | |
欧字表記 | Max Beauty |
品種 | サラブレッド |
性別 | 牝 |
毛色 | 鹿毛 |
生誕 | 1984年5月3日 |
死没 | 2002年2月27日(18歳没) |
父 | ブレイヴェストローマン |
母 | フジタカレディ |
母の父 | バーバー |
生国 | 日本(北海道浦河町) |
生産者 | 酒井牧場 |
馬主 | 田所祐 |
調教師 | 伊藤雄二(栗東) |
厩務員 | 大當清治 |
競走成績 | |
生涯成績 | 19戦10勝 |
獲得賞金 | 3億4150万4300円 |
マックスビューティは日本の競走馬、繁殖牝馬。1987年の中央競馬牝馬クラシックにおいて桜花賞・優駿牝馬(オークス)の二冠を達成した名牝。同年の最優秀4歳牝馬にも選ばれた。主戦騎手は田原成貴が務めた。頑健さとしなやかさを兼ね備えた好馬体、全盛期の圧倒的な強さから「究極の美女」の異名を持つ。
デビュー前
当初、母であるフジタカレディの交配相手にはマルゼンスキーを予定していた。しかし、フジタカレディの発情が予定より早く来てしまい、急遽ブレイヴェストローマンに配合相手が変更された[1]。
生産者の酒井は、生まれた馬の立ち姿から見た期待度を記録する癖があり、ABCの三段階評価方式だったが、マックスビューティにだけは「S」をつけた。後にも先にも、酒井が「S」をつけたのはマックスビューティただ一頭であるとのこと。
幼駒の品評会で優秀賞を受賞している[1]。
戦績
札幌でデビューする予定だったが、左前蹄球炎のため出走を取り消し[1]、3週間後の函館の新馬戦に出走、圧倒的1番人気に応えて勝利した。その後は函館3歳ステークスに出走するが、ホクトヘリオスの4着に敗れた。年末まで休養し、ラジオたんぱ杯3歳牝馬ステークスに出走するも2着に終わった。これまでに騎乗した騎手はスピードを評価する反面、ダッシュの遅さや若さを指摘していた[1]。
4歳(旧表記)になり、紅梅賞を5馬身差で勝利した。その後バイオレットステークス、チューリップ賞とオープン特別を2連勝して臨んだ桜花賞では、1番人気に支持された。前2走で田原はマックスビューティが「疲れがたまりやすい馬」と感じていたため、一杯に追わない競走をしていたが、今後の経験のためにと、この競走では後続に差をつけたあとも追い続け8馬身差で勝利した[1]。桜花賞後はオークスに直行せず4歳牝馬特別に出走することになった。これはマックスビューティの調教の動きから左回りの競走に不安があった点と、馬体、走法、血統から1600メートルから2000メートルの距離が向くと考え、1600メートルの桜花賞からいきなり2400メートルのオークスでは距離延長が厳しいのではないかという点を考慮した選択だった[1]。この競走では、主戦の田原が春の天皇賞でニシノライデンに乗って失格、騎乗停止となっていたため、柴田政人が代打で騎乗していたが勝利し、迎えた優駿牝馬でも単勝1.8倍の1番人気になり、道中コーセイと接触するアクシデントがありながら、人気に応えて牝馬クラシック二冠を達成した。
秋は神戸新聞杯、ローズステークスをいずれも勝利して8連勝となり、前年のメジロラモーヌに続く2年連続の牝馬三冠を目指してエリザベス女王杯に出走した。単勝1.2倍の1番人気に支持され、正攻法の競馬を進めていたが、最後の直線でずっとマークされ続けた優駿牝馬3着のタレンティドガールに差され2着に敗れた。
エリザベス女王杯の敗戦以降、マックスビューティは勝ち星に見放されてしまった。5歳秋にオープン特別であるオパールステークス(武豊鞍上)で1年ぶりの勝利をあげるも、次走のスワンステークスで9着に敗れ、これを最後に引退した。
また、大阪杯を最後に田原は降板させられている。これを不服とした田原は引退まで伊藤雄二厩舎の競走馬にはどんな有力馬であろうと騎乗しなくなった[2]。
競走成績
年月日 | 競馬場 | レース名 | 格 | 頭数 | 人気 | 着順 | 距離(状態) | タイム | (3F) | 着差 | 騎手 | 斤量 | 勝ち馬/(2着馬) | ||
1986. | 7. | 13 | 札幌 | 3歳新馬 | 6 | ダ1000m(不) | 出走取消 | 柴田政人 | 53 | キョウエイミカサ | |||||
8. | 3 | 函館 | 3歳新馬 | 6 | 1 | 1着 | 芝1200m(良) | 1:10.4 | (36.4) | 4身 | 柴田政人 | 53 | (サンレオーネ) | ||
9. | 21 | 函館 | 函館3歳S | GIII | 10 | 1 | 4着 | 芝1200m(不) | 1:15.4 | (40.7) | 0.9秒 | 柴田政人 | 53 | ホクトヘリオス | |
12. | 7 | 阪神 | ラジオたんぱ杯3歳牝馬S | GIII | 12 | 2 | 2着 | 芝1600m(良) | 1:35.8 | (49.2) | 0.3秒 | 南井克巳 | 53 | ドウカンジョー | |
1987. | 1. | 6 | 京都 | 紅梅賞 | 16 | 1 | 1着 | 芝1200m(重) | 1:11.4 | (46.7) | 2身 | 南井克巳 | 53 | (ナムラマイヒメ) | |
2. | 21 | 京都 | バイオレットS | 8 | 1 | 1着 | 芝1400m(稍) | 1:23.1 | (46.6) | 5身 | 田原成貴 | 54 | (ウオーターパワー) | ||
3. | 15 | 阪神 | チューリップ賞 | 10 | 1 | 1着 | 芝1600m(重) | 1:38.2 | (49.5) | 2身 | 田原成貴 | 54 | (ヤマトムラサキ) | ||
4. | 12 | 阪神 | 桜花賞 | GI | 18 | 1 | 1着 | 芝1600m(良) | 1:35.1 | (47.2) | 8身 | 田原成貴 | 54 | (コーセイ) | |
5. | 3 | 東京 | 4歳牝馬特別(東) | GII | 17 | 1 | 1着 | 芝2000m(良) | 2:01.6 | (48.5) | 1 1/2身 | 柴田政人 | 54 | (クリロータリー) | |
5. | 24 | 東京 | 優駿牝馬 | GI | 24 | 1 | 1着 | 芝2400m(重) | 2:30.9 | (49.0) | 2 1/2身 | 田原成貴 | 55 | (クリロータリー) | |
9. | 27 | 阪神 | 神戸新聞杯 | GII | 8 | 1 | 1着 | 芝2000m(良) | 2:02.4 | (46.6) | 1 1/4身 | 田原成貴 | 54 | (ヒデリュウオー) | |
10. | 25 | 阪神 | ローズS | GII | 14 | 1 | 1着 | 芝2000m(重) | 2:04.0 | (48.3) | 1/2身 | 田原成貴 | 55 | (ハッピーサンライズ) | |
11. | 15 | 京都 | エリザベス女王杯 | GI | 20 | 1 | 2着 | 芝2400m(良) | 2:29.6 | (47.9) | 0.3秒 | 田原成貴 | 55 | タレンティドガール | |
12. | 27 | 中山 | 有馬記念 | GI | 16 | 4 | 10着 | 芝2500m(良) | 2:35.0 | (36.2) | 1.1秒 | 田原成貴 | 53 | メジロデュレン | |
1988. | 2. | 28 | 阪神 | マイラーズC | GII | 12 | 1 | 3着 | 芝1600m(良) | 1:35.0 | (48.3) | 0.4秒 | 田原成貴 | 58 | ミスターボーイ |
4. | 3 | 阪神 | 大阪杯 | GII | 12 | 1 | 8着 | 芝2000m(良) | 2:03.0 | (49.2) | 1.3秒 | 田原成貴 | 56 | フレッシュボイス | |
8. | 21 | 函館 | 函館記念 | GIII | 14 | 7 | 6着 | 芝2000m(良) | 1:59.3 | (36.8) | 1.5秒 | 田島良保 | 57 | サッカーボーイ | |
9. | 18 | 新潟 | オールカマー | GIII | 15 | 2 | 7着 | 芝2200m(良) | 2:13.5 | (49.8) | 1.2秒 | 岡部幸雄 | 55 | スズパレード | |
10. | 8 | 京都 | オパールS | 10 | 1 | 1着 | 芝1200m(良) | 1:09.9 | (46.1) | 1 1/2身 | 武豊 | 57 | (エイシンハピネス) | ||
10. | 30 | 京都 | スワンS | GII | 16 | 4 | 9着 | 芝1400m(良) | 1:24.7 | (48.7) | 1.7秒 | 田島良保 | 57 | シンウインド |
引退後
繁殖牝馬としては、初年度産駒から桜花賞・優駿牝馬でともに3着に入ったマックスジョリーを送り出し、一時はイギリスに渡って繁殖生活を送り、カーリアンやサドラーズウェルズといった世界的種牡馬と交配され、大変期待されていたが、ついに重賞勝ち馬を送り出すことのないまま蹄葉炎により4か月の治療の後、安楽死の処置がとられ2002年2月27日に死亡した。また、生涯で牝馬はマックスジョリーしか生まなかった上に、マックスジョリーも初仔の牝馬(ビューティソング:父デインヒル)を出産してすぐに死亡したため、牝系の存続が危ぶまれている。
なお、ビューティソングは競走馬登録されないまま繁殖入りし、2014年現在デビューしていない馬を含め5頭の牝駒を産んでいる。そのうちクリムゾンフレア(中央未勝利、父サンデーサイレンス)ら3頭が繁殖牝馬となっている。また2014年のアルテミスステークスを産駒のココロノアイ(父ステイゴールド)が制し、牝系初の中央重賞制覇を遂げている。
繁殖成績
生年 | 馬名 | 性 | 毛色 | 父 | 厩舎 | 馬主 | 戦績・用途 |
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1990 | マックスジョリー | 牝 | 鹿毛 | リアルシャダイ | 栗東・伊藤雄二 | 田所祐 | 6戦2勝 優駿牝馬-GI 3着、桜花賞-GI 3着、アネモネステークス2着 繁殖牝馬(1997年死亡) |
1991 | マックスワイザー | 牡 | 鹿毛 | ベリファ | 栗東・伊藤雄二 ↓ 旭川・楠克美 |
中央7戦2勝 地方1戦0勝 乗馬 | |
1992 | マックスウィンザー | 牡 | 鹿毛 | ノーザンテースト | 栗東・伊藤雄二 | 22戦5勝 種牡馬(実働なし、1998年用途変更) | |
1993 | チョウカイライジン | 牡 | 鹿毛 | ダンシングブレーヴ | 美浦・中野隆良 | 新田嘉一 | 36戦8勝 神無月ステークス、オアシスステークス 種牡馬(2007年用途変更) |
1995 | アーサーズフェイム | 牡 | 鹿毛 | Caerleon | ターフ・スポート | イギリス産 35戦5勝 種牡馬(実働なし、2007年用途変更) | |
1996 | グッドタイミング | 牡 | 鹿毛 | Sadler's Wells | 美浦・中野隆良 ↓ 門別・桑原義光 |
ターフ・スポート ↓ 北嶋裕三 |
持込馬 中央2戦0勝 地方4戦0勝 種牡馬(2007年用途変更) |
1998 | プラチナサンデー | 牡 | 鹿毛 | サンデーサイレンス | 美浦・中野隆良 | ターフ・スポート | 不出走 (死亡) |
2001 | ネヴァーフォゲット | 牡 | 鹿毛 | コマンダーインチーフ | 4戦1勝 種牡馬(2008年用途変更) |
血統表
マックスビューティの血統(ネヴァーベンド系(ナスルーラ系) / Nasrullah3×4=18.75%) | (血統表の出典) | |||
父 *ブレイヴェストローマン Bravest Roman 1972 鹿毛 |
父の父 Never Bend1960 鹿毛 |
Nasrullah | Nearco | |
Mumtaz Begum | ||||
Lalun | Djaddah | |||
Be Faithful | ||||
父の母 Roman Song1955 鹿毛 |
Roman | Sir Gallahad | ||
Buckup | ||||
Quiz Song | Sun Again | |||
Clever Song | ||||
母 フジタカレディ 1978 芦毛 |
*バーバー Berber 1965 鹿毛 |
Princely Gift | Nasrullah | |
Blue Gem | ||||
Desert Girl | Straight Deal | |||
Yashmak | ||||
母の母 フジタカジヨウ1969 芦毛 |
*パーソロン Partholon |
Milesian | ||
Paleo | ||||
オートトツプ | *ガルカドール | |||
フジリユウF-No.14-f |
- 半弟のランフォーエバー(父トウショウボーイ)は種牡馬。
- 牝系はトキノミノル・グリーングラスらを輩出し、現在まで発展を続けているタイランツクヰーンの一族。
- 曾祖母オートトツプの仔にフジマドンナ(カブトヤマ記念・福島記念・中日新聞杯)、4代母フジリユウの仔にゼンマツ(アルゼンチンジョッキークラブカップ、種牡馬)がいる。
- 青葉賞2着のマイネルアラバンサは姪の仔。
脚注
外部リンク
- 競走馬成績と情報 netkeiba、スポーツナビ、JBISサーチ
- マックスビューティ - 競走馬のふるさと案内所