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十段 (囲碁)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
森ビル杯十段戦から転送)
十段戦
公式戦(七大タイトル)
正式名称 大和ハウス杯 十段戦
前身 早碁名人戦
概要
主催 産経新聞社日本棋院関西棋院
特別協賛 大和ハウス工業株式会社
優勝賞金 700万円
挑戦手合 五番勝負
棋戦形式 20名による本戦トーナメントで挑戦者決定
持ち時間 3時間
秒読み 5分前より
創設年 1961年
開催時期 挑戦手合: 3-4月
本戦: 前年10月-1月
公式サイト 日本棋院 十段戦
記録
現十段 井山裕太(第62期)
名誉称号 不在
最多優勝 加藤正夫(7期)
最長連覇 加藤正夫、王立誠(4連覇)
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十段(じゅうだん)は、囲碁棋戦の一つである十段戦で優勝した棋士に贈られるタイトル。日本棋院および関西棋院の昇段制度(初段~九段)とは別個に運営される、独立した称号である。棋戦としての正式名称は、大和ハウス杯十段戦

十段戦

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1961年創設。前身は早碁名人戦産業経済新聞社及び日本棋院関西棋院主催。

優勝賞金は1500万円であったが、2011年より1200万円に改められ、それに伴いタイトルとしての序列は4位から6位に下がった。さらに50期(2012年)からは750万円に改められ、序列も7位に後退した。翌51期(2013年)には700万となっている。

挑戦手合であり、持ち時間は2002年まで5時間、2010年まで4時間、2011年より3時間。

第49期まで七大タイトル戦では唯一、敗者復活戦方式がとられた。16名からなるトーナメント戦で、一度敗退した者は敗者組トーナメントに回り、その優勝者と本戦トーナメント優勝者とで挑戦者決定戦をおこなった。挑戦者はタイトル保持者と五番勝負をおこない、優勝者を決めた。本戦トーナメントで2勝以上した8名は次期にシードされ、予選勝ち抜きの8名とともに挑戦者決定トーナメントを戦った。

第50期からは20人による単純トーナメント方式で、挑戦者を決定している。

2011年より森ビルが協賛し、森ビル杯十段戦という正式名称になった。また2021年からは大和ハウス工業が協賛企業となり、大和ハウス杯十段戦に変更された[1]

しくみ(第49期まで) 

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予選A

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  • 東京予選
    • 予選B・C勝ち上がり26名、シード棋士によるトーナメント。
  • 関西・中部予選
    • 予選B・C勝ち上がり10名、シード棋士によるトーナメント。

最終予選

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  • 東京と中部・関西の予選Aの勝ち上がり18名(東京13名、関西・中部5名)、シード棋士14名によるトーナメントによって本選出場者8名を決める。

本選トーナメント

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  • 最終予選勝ちあがり8名、前期ベスト4、敗者復活2回戦勝者4名の計16名による2敗失格制トーナメント。優勝者が十段位との5番勝負を行う。

昇段規定

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  • 六段以下の棋士が、十段挑戦権を獲得した場合、七段に昇段する。
  • 七段の棋士が十段位を獲得した場合、八段に昇段する。
  • 八段で、他のタイトルを1期獲得している棋士が十段を獲得した場合、九段に昇段する。

歴代十段位

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棋士 生年 初奪年 通算
1 橋本宇太郎 (1907-02-27) 1907年2月27日 1962 2期
2 半田道玄 (1915-10-25) 1915年10月25日 1963 1期
3 藤沢朋斎 (1919-03-09) 1919年3月9日 1964 1期
4 高川格 (1915-09-21) 1915年9月21日 1965 1期
5 坂田栄男 (1920-02-15) 1920年2月15日 1966 5期
6 大竹英雄 (1942-05-12) 1942年5月12日(82歳) 1969 5期
7 橋本昌二 (1935-04-18) 1935年4月18日 1974 1期
8 林海峰 (1942-05-06) 1942年5月6日(82歳) 1975 1期
9 加藤正夫 (1947-03-15) 1947年3月15日 1976 7期
10 趙治勲 (1956-06-20) 1956年6月20日(68歳) 1982 6期
11 小林光一 (1952-09-10) 1952年9月10日(72歳) 1984 5期
12 武宮正樹 (1951-01-01) 1951年1月1日(73歳) 1990 3期
13 依田紀基 (1966-02-11) 1966年2月11日(58歳) 1995 2期
14 彦坂直人 (1962-03-17) 1962年3月17日(62歳) 1998 1期
15 王立誠 (1958-11-07) 1958年11月7日(66歳) 2001 4期
16 高尾紳路 (1976-10-26) 1976年10月26日(48歳) 2008 2期
17 張栩 (1980-01-20) 1980年1月20日(44歳) 2009 2期
18 井山裕太 (1989-05-24) 1989年5月24日(35歳) 2011 6期
19 結城聡 (1972-02-11) 1972年2月11日(52歳) 2013 1期
20 伊田篤史 (1994-03-15) 1994年3月15日(30歳) 2015 1期
21 村川大介 (1990-12-14) 1990年12月14日(34歳) 2019 1期
22 芝野虎丸 (1999-11-09) 1999年11月9日(25歳) 2020 2期
23 許家元 (1997-12-24) 1997年12月24日(26歳) 2021 2期
連覇数
連覇数 棋士 期間
4 加藤正夫 1976-79
王立誠 2001-04
3 坂田栄男 1966-68
小林光一 1984-86
武宮正樹 1990-92
趙治勲 2005-07
井山裕太 2016-18
2 坂田栄男 1972-73
大竹英雄 1980-81
1993-94
趙治勲 1988-89
依田紀基 1995-96
小林光一 1999-00
張栩 2009-10
井山裕太 2011-12
許家元 2021-22

歴代挑戦手合

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◯●は勝者から見た勝敗、網掛けはタイトル保持者。第1期は決勝五番勝負。

開催年 優勝 勝敗 準優勝
1 1962 橋本宇太郎 3-1 半田道玄
2 1963 半田道玄 3-1 橋本宇太郎
3 1964 藤沢朋斎 3-2 半田道玄
4 1965 高川格 3-1 藤沢朋斎
5 1966 坂田栄男 3-1 高川格
6 1967 坂田栄男 3-2 藤沢朋斎
7 1968 坂田栄男 3-1 藤沢秀行
8 1969 大竹英雄 3-0 坂田栄男
9 1971 橋本宇太郎 3-2 大竹英雄
10 1972 坂田栄男 3-2 橋本宇太郎
11 1973 坂田栄男 3-0 高木祥一
12 1974 橋本昌二 3-1 坂田栄男
13 1975 林海峰 3-0 橋本昌二
14 1976 加藤正夫 3-2 林海峰
15 1977 加藤正夫 3-0 坂田栄男
16 1978 加藤正夫 3-1 林海峰
17 1979 加藤正夫 3-1 橋本昌二
18 1980 大竹英雄 3-0 加藤正夫
19 1981 大竹英雄 3-2 橋本昌二
20 1982 趙治勲 3-1 大竹英雄
21 1983 加藤正夫 3-2 趙治勲
22 1984 小林光一 3-2 加藤正夫
23 1985 小林光一 3-0 大竹英雄
24 1986 小林光一 3-0 武宮正樹
25 1987 加藤正夫 3-1 小林光一
26 1988 趙治勲 3-2 加藤正夫
27 1989 趙治勲 3-0 林海峰
28 1990 武宮正樹 3-2 趙治勲
29 1991 武宮正樹 3-2 趙治勲
30 1992 武宮正樹 3-1 小林光一
31 1993 大竹英雄 3-1 武宮正樹
32 1994 大竹英雄 3-2 小林光一
33 1995 依田紀基 3○○○0 大竹英雄
34 1996 依田紀基 3-1 王立誠
35 1997 加藤正夫 3○●●○○2 依田紀基
開催年 優勝 勝敗 準優勝
36 1998 彦坂直人 3●○○●○2 加藤正夫
37 1999 小林光一 3○○○0 彦坂直人
38 2000 小林光一 3○○○0 中野寛也
39 2001 王立誠 3●○●○○2 小林光一
40 2002 王立誠 3○●○●○2 武宮正樹
41 2003 王立誠 3○●○●○2 高尾紳路
42 2004 王立誠 3○●○○1 張栩
43 2005 趙治勲 3○●●○○2 王立誠
44 2006 趙治勲 3○○●○1 山下敬吾
45 2007 趙治勲 3○○●●○2 山下敬吾
46 2008 高尾紳路 3○○○0 趙治勲
47 2009 張栩 3●○○○1 高尾紳路
48 2010 張栩 3○○○0 山下敬吾
49 2011 井山裕太 3●○●○○2 張栩
50 2012 井山裕太 3○○●○1 張栩
51 2013 結城聡 3●○○●○2 井山裕太
52 2014 高尾紳路 3○●●○○2 結城聡
53 2015 伊田篤史 3●○○●○2 高尾紳路
54 2016 井山裕太 3○○●○1 伊田篤史
55 2017 井山裕太 3○○●○1 余正麒
56 2018 井山裕太 3○○○0 村川大介
57 2019 村川大介 3●○○○1 井山裕太
58 2020 芝野虎丸 3○●○○1 村川大介
59 2021 許家元 3○●○●○2 芝野虎丸
60 2022 許家元 3○○○0 余正麒
61 2023 芝野虎丸 3○●○○1 許家元
62 2024 井山裕太 3●○●○○2 芝野虎丸

名誉十段

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十段を5連覇、または通算10期以上獲得した棋士は、引退後もしくは60歳以後に名誉十段を名乗る権利を得る。

ただし、現在のところ4連覇(加藤正夫王立誠)、通算7期(加藤正夫)が最高で、有資格者は出ていない。七大タイトルのうち、名誉称号保持者がいないのは十段戦のみである。

脚注

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関連項目

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外部リンク

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