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松本清張賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
松本清張賞
受賞対象ジャンルを問わない広義のエンタテインメント小説
会場オンライン開催
日本の旗 日本
主催日本文学振興会
報酬正賞:時計
賞金:500万円
初回1994年
最新回第31回(2024年)
最新受賞者井上先斗『オン・ザ・ストリートとイッツ・ダ・ボム』
公式サイトhttps://bungakushinko.or.jp/award/matsumoto/

松本清張賞(まつもとせいちょうしょう)は、1992年平成4年)に死去した松本清張の業績を記念して1993年(平成5年)に創設された、良質な長篇エンターテインメント小説(第11回以降。第10回以前に関しては後述)を表彰する公募の文学賞[1]公益財団法人日本文学振興会が主催、文藝春秋が運営する。

概要

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選考会は各年4月に開催され、現在は『オール讀物』6月号誌上[2]で受賞発表される。贈呈式は6月に開催され、受賞者には正賞として時計、副賞として500万円が授与される。また、受賞作は文藝春秋から単行本として刊行される(創設当初から2007年までは『文藝春秋』7月号誌上[3]で受賞作が発表された)。

第1回(1994年)から第5回(1998年)までは短編を募集していたが、第6回(1999年)からは長篇作品を募集している。また、当初は「広義の推理小説又は、歴史・時代小説」を対象にしていたが、第11回(2004年)以降は「ジャンルを問わぬ良質の長篇エンターテインメント小説」を対象としている。

受賞作一覧

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第1回から第5回

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  • 短編(推理小説または歴史・時代小説)を募集。
  • 受賞作は同題の短編集に収録され、文藝春秋より刊行されている。
回(年) 応募総数 受賞者 受賞作 初刊 文庫化
第1回(1994年度) 1136編 受賞 葉治英哉 「またぎ物見隊顛末」 1994年8月 2010年9月
候補 乙川優三郎 「穴惑い」
高橋直樹 「悲刃」
永井義男 「螢狩り殺人事件」
松浪和夫 「キャデイヴァー・ドナー」
柚木亮二 「昏い通路」
若松忠男 「セピア色の視線」
第2回(1995年度) 805編 受賞 受賞作なし
佳作 岡島伸吾 「さざんか」
候補 青山瞑 「石の絆」
佐々木基成 「源五憂悶」
清水風慈 「影踏み」
霜月烈 「寒月」
村雨貞郎 「人食い」
第3回(1996年度) 861編 受賞 森福都 「長安牡丹花異聞」 1997年4月 2005年7月
候補 伊藤日出造 「作左衛門の出府」
岡田義之 「月待岬」
永井義男 「天保糞尿伝」
柚木亮二 「一億三千万円のアリバイ」
佐々木基成 「仙十郎の義」
第4回(1997年度) 755編 受賞 村雨貞郎 「マリ子の肖像」 1998年4月
候補 柚木亮二 「逆転無罪」
佐佐木邦子 「オシラ祭文」
松浦潤一郎 「流罪」
第5回(1998年度) 770編 受賞 横山秀夫 陰の季節 1998年10月 2001年10月
候補 新井政彦 「シリウスの雨」
河井良夫 「代役」
竹内大 「公事だくみ」
大内曜子 「理由」

第6回から第10回

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  • 長編(推理小説または歴史・時代小説)を募集。
回(年) 応募総数 受賞者 受賞作 初刊 文庫化
第6回(1999年度) 299編 受賞 島村匠 「芳年冥府彷徨」 1999年6月
候補 桜井正雄 「夢の男」
大野由布 「汚れた白衣」
潮田重八郎 「朱い渦」
第7回(2000年度) 378編 受賞 明野照葉 「輪(RINKAI)廻」 2000年6月 2003年11月
候補 飯倉章 「ペルソナたちの夏」
大野由布 「緑の剣」
三咲光郎 「曠野の涯て」
第8回(2001年度) 314編 受賞 三咲光郎 「群蝶の空」 2001年6月
候補 大野由布 「異植」
北重人 「蒼火」 2005年11月 2008年11月
六車脩平 「Xの恋人」
第9回(2002年度) 286編 受賞 山本音也[注 1] 「ひとは化けもん われも化けもん」[注 2] 2002年6月 2005年8月
候補 福井康雄 「毒婦伝説」
六車脩平 「ハーフ・ムーン」
山下一二三 「長安の古文書」
第10回(2003年度) 347編 受賞 岩井三四二 「月ノ浦惣庄公事置書」 2003年6月 2006年4月
候補 大石直紀 「ファルナースに捧ぐ」 2004年11月[注 3]
高橋俊一 「雪の黒白」
矢元竜 「火縄銃」

第11回から第20回

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  • 長編エンターテインメント作品を募集。
回(年) 応募総数 受賞者 受賞作 初刊 文庫化
第11回(2004年度) 892編 受賞 山本兼一 火天の城 2004年6月 2007年6月
候補 北重人 「天明、彦十店始末」 2004年12月[注 4] 2008年1月
田村正之 「夏の光」
樋上拓郎 「そしてクジラは眠る」
第12回(2005年度) 582編 受賞 城野隆 「一枚摺屋」 2005年6月 2008年6月
候補 北林一光 幻の山[注 5] 2007年11月[注 6] 2010年12月[注 7]
倉石歩 「プリテンダー」
桜木紫乃 「霧灯」
第13回(2006年度) 397編 受賞 広川純 「一応の推定」 2006年6月 2009年6月
候補 指方恭一郎 「商寇一人なり」
廣瀬昇 「狙撃兵」
山田健 「東京北目黒 エンガチョ自然農園」
第14回(2007年度) 393編 受賞 葉室麟 銀漢の賦 2007年7月 2010年2月
候補 荒川勝利 「空の青さを君は知らない」
指方恭一郎 「擾乱の花」
達了 「ルトラ」
第15回(2008年度) 378編 受賞 梶よう子[注 8] 「一朝の夢」[注 9] 2008年6月 2011年10月
候補 奥山景布子 「びいどろの火」 2011年5月
桜坂豪 「光は闇を好むとて」
松田美智子 「海馬の恋」
第16回(2009年度) 410編 受賞 牧村一人 「アダマースの饗宴」[注 10] 2009年7月 2012年12月[注 11]
候補 本城雅人 「ノーバディーノウズ」 2009年8月 2013年1月
三好昌子 「朧烏」
村木嵐 「春の空風」
第17回(2010年度) 472編 受賞 村木嵐 「マルガリータ」 2010年6月 2013年6月
候補 伊兼源太郎 「花火の痕」
指方恭一郎 「臥龍」
立花水馬 「天上に鳴る金剛鈴」
第18回(2011年度) 426編 受賞 青山文平 「白樫の樹の下で」 2011年6月 2013年12月
候補 小嶋貴裕 「このはなのさく」
立花水馬 「海翔ける」
丸山正樹 「デフ・ボイス」 2011年7月[注 12] 2015年8月
第19回(2012年度) 521編 受賞 阿部智里 烏に単は似合わない 2012年6月 2014年6月
候補 沢村鐵[注 13] 「フロスティ・グレイの肖像」
増山実 「いつの日か来た道」 2013年12月[注 14] 2015年11月
三好昌子 「空蝉の夢」
第20回(2013年度) 595編 受賞 山口恵以子 「月下上海」 2013年6月 2015年6月
候補 黒澤主計 「スリップリー・スロープ」
三宅登茂子 「聖天供養」
三好昌子 「群青の闇」

第21回から第30回

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回(年) 応募総数 受賞者 受賞作 初刊 文庫化
第21回(2014年度) 588編 受賞 未須本有生[4] 「推定脅威」 2014年6月 2016年6月
候補 赤神諒 「猛き名をとどめん」
佐藤友美 「鰹島十景」
三宅登茂子 「二百年の輪廻」
第22回(2015年度) 608編 受賞 額賀澪 「屋上のウインドノーツ」[注 15] 2015年6月 2017年6月
候補 榎本まう 「所詮、ガス栓に火を点けるだけの人生」
柳井政和 「T2」
隆麻生 「怨空華」
第23回(2016年度) 709編 受賞 蜂須賀敬明 「待ってよ」[5] 2016年6月 2018年6月
候補 阿野冠 「イマジン」
香月夕花 「Anchor Me」
柳井政和 「バックドア」 2016年8月[注 16]
第24回(2017年度) 661編 受賞 滝沢志郎 「明治乙女物語」[6] 2017年7月 2019年6月
候補 阿野冠 「暗殺の森」
内山りょう 「背徳の鍵」
夏山かほる 「天人哀想」
第25回(2018年度) 538編 受賞 川越宗一 「天地に燦たり」 2018年7月 2020年6月
候補 麻宮好 「かぎろひ」
阿野冠 「ジュリー」
黒澤主計 「我が名はベシャメール」
第26回(2019年度) 677編 受賞 坂上泉 「明治大阪へぼ侍 西南戦役遊撃壮兵実記」 2019年7月[注 17] 2021年6月
候補 青木海斗 「かしられ島」
水上広美 「タクト!」
山中ミチル 「青い刺繍」
第27回(2020年度) 644編 受賞 千葉ともこ 「震雷の人」 2020年9月 2022年6月
候補 相澤優一 「LOST PLAYERS」
杉浦昭嘉 「ゴールドバック」
山中ミチル 「珠の子供」
第28回(2021年度) 748編 受賞 波木銅[注 18] 「万事快調(オール・グリーンズ)」 2021年7月 2023年6月
候補 いとうきぬこ 「心ノ錨」
不動青依 「ラストピース」
古川雅春 「明日(あす)には忘れる」
第29回(2022年度) 757編 受賞 天城光琴[注 19] 「凍る草原に鐘は鳴る」[注 20] 2022年7月
候補 石野莉子 「潜龍(せんりょう)の月」
川村映 「槐(えんじゅ)に朽ちる」
森バジル 「ニゲラ」
第30回(2023年度) 677編 受賞 森バジル 「ノウイットオール」 2023年7月
候補 岩渕涼 「誰が為に星は降る」
川窪ゆか 「八丁堀の七不思議」
榛野文美 「埋火(うずみび)」

第31回から

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回(年) 応募総数 受賞者 受賞作 初刊 文庫化
第31回(2024年度) 685編 受賞 井上先斗 「オン・ザ・ストリートとイッツ・ダ・ボム」
候補 岩渕涼 「もも」
城戸川りょう 「高宮麻綾の引継書」
榛野文美 「エゴイストは誰か」

選考委員

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脚注

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注釈

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  1. ^ 「池田章一」から改名
  2. ^ 「偽書西鶴」から改題
  3. ^ 小学館文庫
  4. ^ 『夏の椿』に改題
  5. ^ 『ファントム・ピークス』に改題
  6. ^ 角川書店
  7. ^ 角川文庫
  8. ^ 「蘇芳よう子」から改名
  9. ^ 「槿花、一朝の夢」から改題
  10. ^ 「六本木心中」から改題
  11. ^ 『六本木デッドヒート』
  12. ^ 『デフ・ヴォイス』に改題
  13. ^ 「沢渡哲士」から改名
  14. ^ 角川春樹事務所刊。『勇者たちへの伝言――いつの日か来た道』に改題
  15. ^ 「ウインドノーツ」から改題
  16. ^ 文藝春秋刊。『裏切りのプログラム―ハッカー探偵鹿敷堂桂馬』に改題
  17. ^ 文藝春秋刊。『へぼ侍』に改題
  18. ^ 田食銅から改名
  19. ^ 篠宮光琴から改名
  20. ^ 「凍る大地に、絵は溶ける」から改題

出典

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  1. ^ 『最新文学賞事典 1999-2003』日外アソシエーツ、2004年5月、137頁。ISBN 4-8169-1844-2 
  2. ^ 『オール讀物』2016年6月号。 
  3. ^ 『文藝春秋』1994年7月号。 
  4. ^ 【きょうの人】戦闘機開発の経験「描写には自信あり」 松本清張賞受賞・未須本有生さん(50) - 産経ニュース
  5. ^ 松本清張賞に蜂須賀敬明さんの「待ってよ」 - 産経ニュース
  6. ^ 第24回松本清張賞は滝沢志郎さんに決定!

外部リンク

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