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日本釈名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

日本釈名(にほんしゃくみょう)は、江戸中期の語源辞書。貝原益軒著。上中下3巻。1699(元禄12)年自序、1670年に刊行。後漢の劉熙の同様の著作『釈名』にならって日本書紀万葉集倭名類聚抄などの古書にみられる和語を、23類に分類、五十音順に配列、語源を説いている。

日本釈名
言語 日本語
類型 古辞書
編者・監修者 貝原益軒
出版地 日本
最初の出版日 1670年 (354年前) (1670)
数量 ; 大きさ 上中下3巻
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構成

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次のごとくである。[1]

  • 巻之上:天象・時節・地理・宮室地名
  • 巻之中:水火土石金玉・人品・形体・人事・鳥獣・虫・魚介
  • 巻之下:米穀・草木・飲食・衣服・文具・武具・雑記・虚字

要訣

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凡例において「要訣」として語源解釈の類型について論じており、新井白石の『東雅』がこれを批判した。「要訣」における分類は学史上しばしば注目される。[2][3]

  • 自語:みだりに語源解釈できない本来の語
  • 転語:「五音相通」による語
  • 略語:語の一部の約音
  • 借語:他の語の意味拡張
  • 義語:複合により生じた語。
  • 反語:仮名反
  • 子語:ある語を語根(「母語」とよばれる)とする語
    • 例:「日(ひ)」は「昼(ひる)」を「母語」とする。
  • 音語(いんご):漢語に由来するもの
    • 例:杏子

語源説の特色

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現代的な観点からは民間語源と言うべきものが多い。「北(きた)」の語源を、五行思想において北方が黒色にあたることから「汚し」に通じるとするなど、中国思想を利用する場合がある。[4]

刊本

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  • 益軒会, ed. (1973), 日本釈名, 益軒全集, 国書刊行会 。初版明治43-44年。
  • 貝原益軒 著、松下見林; 小泉吉永 編『日本釈名』 90巻、大空社出版〈江戸庶民文庫〉、2020年。ISBN 978-4-86688-090-7 

出典

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脚注

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  1. ^ 伊藤 1928, 385-86.
  2. ^ 土居 2006, 292.
  3. ^ 田辺 1959, 128.
  4. ^ 伊藤 1928, 394.

参考文献

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  • 松尾, 捨次郎 (1944), “日本釈名と東雅について”, 日本語, 4 
  • 伊藤, 慎吾 (1928), “日本釈名”, 近世国語学史, 立川文明堂 
  • 土居, 文人 (2006), “近世までの語源学と主要参考文献”, 日本語の語源を学ぶ人のために, 世界思想社 
  • 田辺, 正男 (1959), 国語学史, 桜楓社出版