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日本とレバノンの関係

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本とレバノンの関係
JapanとLebanonの位置を示した地図

日本

レバノン

日本とレバノンの関係(にほんとレバノンのかんけい、アラビア語: العلاقات اليابانية اللبنانية‎、英語: Japan–Lebanon relations) では、日本レバノンの関係について概説する。

両国の比較

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レバノンの旗 レバノン 日本の旗 日本 両国の差
人口 685万5713人(2019年)[1] 1億2626万人(2019年)[2] 日本レバノンの約18.4倍
国土面積 1万452 km²[3] 37万7972 km²[4] 日本レバノンの約36.2倍
人口密度 669 人/km²(2018年)[5] 347 人/km²(2018年)[6] レバノン日本の約1.9倍
首都 ベイルート 東京都
最大都市 ベイルート 東京都区部
政体 大統領制 共和制 民主制議院内閣制[7]
公用語 アラビア語 日本語事実上
通貨 レバノン・ポンド 日本円
国教 なし なし
人間開発指数 0.757[8] 0.919[8]
民主主義指数 4.36[9] 7.99[9]
GDP(名目) 519億9163万米ドル(2019年)[10] 5兆819億6954万米ドル(2019年)[11] 日本レバノンの約97.7倍
一人当たりGDP 7583.7米ドル(2019年)[12] 40246.9米ドル(2019年)[13] 日本レバノンの約5.3倍
経済成長率 -6.7%(2019年)[14] 0.7%(2019年)[15]
軍事 25億2124万米ドル(1999年)[16] 476億902万米ドル(2019年)[17] 日本レバノンの約18.9倍
地図

歴史

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外交史

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国交成立後、1954年に日本ベイルート在レバノン日本国公使館を開設。1959年に大使館に昇格する。しかしレバノン内戦の激化で1986年には館員はベイルートから避難し事実上大使館は閉鎖され、シリアダマスカスに仮事務所が開設された。1995年2月、大使館職員がベイルートに復帰し大使館再開[3]

一方、レバノン側は1957年、東京駐日レバノン公使館を開設。1959年には駐日レバノン大使館に昇格した[3]

カルロス・ゴーンのレバノン亡命

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ルノー・日産・三菱アライアンス」の社長最高経営責任者(CEO)を務めていたカルロス・ゴーンは、2018年11月、東京地検特捜部金融商品取引法違反の容疑で逮捕され[18]、その後解任された[19]。2019年1月、カルロス・ゴーンはさらに特別背任罪で追起訴された[20]。2019年3月5日、東京地方裁判所保釈を許可する決定をし、検察の準抗告も同日深夜に棄却され、翌6日、保釈保証金(金商法違反事件で2億円、特別背任事件で8億円)の納付後に保釈された[21]

日本の裁判所はゴーンを保釈する際に、「海外渡航の禁止」という条件を付していた[22]。しかしゴーンはこれに違反し、2019年12月、プライベートジェットを用いてトルコアタテュルク国際空港を経由し、機材を乗り換えレバノンの首都ベイルートにあるベイルート国際空港に日本時間の2019年12月31日午前6時30分過ぎに到着、亡命した[23]。到着後ゴーンはこの亡命について、「私はレバノンにいる」という内容の声明を発表し、「もはや私は有罪が前提とされ、差別が蔓延し、基本的な人権が無視されている不正な日本の司法制度の人質ではない」「私は正義から逃げたわけではない。不公正と政治的迫害から逃れたのだ」と述べている[24]。同日夜、東京地方裁判所は保釈を取り消す決定をすると同時に保釈金15億円も没取、これは過去最高額の没取となった[25]

2020年1月2日、日本政府は、国際刑事警察機構(ICPO)に対し、レバノン政府にゴーンの身柄を拘束するように要請することを求めた[26]。レバノン国営通信社NNAは、「ICPOからの赤手配書をレバノンの検察当局が受領した」という内容の報道を行っている[27]。日本はレバノンと犯罪人引き渡し条約を締結しておらず、同国の了解を得られなければゴーンの身柄が日本へ引き渡されることはない。

2020年1月7日、大久保武駐レバノン特命全権大使はミシェル・アウンレバノン大統領を会談を実施して、カルロス・ゴーンが不法に出国しレバノンに到着したことは遺憾である旨を伝えている。一方、レバノン側は日本との外交関係を重視し、協力を惜しまないとして外交問題化を避けた[28]

外交関係

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2001年2月、レバノン首相ラフィーク・ハリーリーが訪日を実施し、森喜朗首脳会談を実施した[29]。それ以降、日本とレバノンの間で首脳会談は実施されていない。

日本からは、近年では2010年に外務大臣政務官徳永久志が日本要人として6年ぶりにレバノンを訪問し、首相のサード・ハリーリーや大統領のミシェル・スライマーンに表敬[30]シリア内戦勃発後の2014年には牧野たかお外務大臣政務官としてレバノンを訪問し、レバノン要人とシリア難民についてが話し合われた[31]。なお、レバノンは最大のシリア難民流入国であった。2015年には外務大臣政務官として、2017年1月には13年ぶりにレバノンを訪れる外務副大臣として薗浦健太郎がレバノンを訪問した[32][33]。同年9月には、同じく外務副大臣である佐藤正久がシリア難民キャンプを視察した[34]。2019年12月、外務副大臣鈴木馨祐がレバノンを訪問し、大統領のミシェル・アウンなど各要人とレバノン安定化に向けた取り組みが話し合われた[35]

また日本はフランス及び国際連合の共催で開催される「レバノン国民に対する支援のための国際会議」にも出席。外務副大臣である鷲尾英一郎は、政治的混乱に見舞われるレバノンの早期政権樹立を求めるとともに、レバノン国民に連帯を示した[36]

経済交流

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日本は2017年までに200億円以上の経済援助を実施[3]。主要援助国からは外れているものの、主にシリア難民のための井戸掘削や医療設備拡充といった支援が行われている[37][38][39]

また、2020年8月に発生したベイルート港爆発事故は、207人が死亡、6500人以上が負傷し、30万人が家を失う惨事となり[40]、地面が大きく削れ爆心地は地形も変わるなど[41]、稀に見る大規模な爆発事故となった。これを受け日本政府は、総理大臣である安倍晋三及び外務大臣である茂木敏充からレバノン政府へお見舞いのメッセージが送られるとともに[42]、レバノン政府からの要請と人道的観点を鑑みて緊急支援を実施[43]。およそ一カ月後には、食糧・保健・衛生・建築などの支援のため、500万ドルの無償資金協力がなされた[44]

貿易関係は、レバノンの2020年対日貿易は輸出24億6337万円に対し、輸入108億5241万円とレバノンの輸出超過・赤字となっている[3]

文化交流

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2016年11月、在外公館文化事業としてティール市において「Japan Day」を開催し、約600名の参加を得たほか、2017年3月には、シリア難民を受け入れている公立学校において空手紹介イベントを実施した[3]。2018年10月には、国際交流基金事業としてレバノン・シンフォニック・オーケストラと和太鼓チームによる合同公演を行い[45]、同年11月にはベイルート市及びクーラ市内の大学において国際交流基金海外巡回展「東北-風土・人・くらし」展を開催した[46]。レバノンは古代オリエント文明が栄えた地として数多くの遺跡が存在している事から、考古学的な支援も実施され[47]、また日本の各大学ではレバノンの遺跡をテーマにした講演会や研究会などが開催されている[48][49][50]

外交使節

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駐レバノン日本大使・公使

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駐日レバノン大使

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脚注

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  1. ^ Population, total - Lebanon世界銀行.最終閲覧日2021年3月19日
  2. ^ Population, total - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  3. ^ a b c d e f レバノン共和国(Lebanese Republic)基礎データ外務省.最終閲覧日2021年3月19日
  4. ^ 日本の統計2016 第1章~第29章 | 総務省統計局.最終閲覧日2021年3月17日
  5. ^ Population density (people per sq. km of land area) - Lebanon世界銀行.最終閲覧日2021年3月19日
  6. ^ Population density (people per sq. km of land area) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  7. ^ 日本国憲法で明確に定められている。
  8. ^ a b Human Development Report 2020国際連合開発計画.最終閲覧日2021年3月17日
  9. ^ a b Democracy Index 2020.最終閲覧日2021年3月17日
  10. ^ GDP (current US$) - Lebanon世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  11. ^ GDP (current US$) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  12. ^ GDP per capita (current US$) - Lebanon世界銀行.最終閲覧日2021年3月19日
  13. ^ GDP per capita (current US$) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  14. ^ GDP growth (annual %) - Lebanon世界銀行.最終閲覧日2021年3月19日
  15. ^ GDP growth (annual %) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  16. ^ Military expenditure (current USD) - Lebanon世界銀行.最終閲覧日2021年3月19日
  17. ^ Military expenditure (current USD) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  18. ^ 羽田に降り立ったゴーン容疑者を… 捜査は一気に動いた朝日新聞.2018年11月19日
  19. ^ 日産ゴーン会長逮捕 「重大な不正行為」あったと 解任要求へBBC.2018年11月20日
  20. ^ ゴーン前会長を追起訴 特別背任と金商法違反の罪で朝日新聞. 2019年1月11日
  21. ^ ゴーン前会長、保釈金10億円納付 108日目で保釈へ朝日新聞.2019年3月6日
  22. ^ ゴーン被告、海外渡航なら保釈条件に違反か産経新聞.2019.12.31
  23. ^ カルロス・ゴーン被告がベイルート入り、レバノン当局者AFP通信.2019年12月31日
  24. ^ 「私はレバノンにいる」 ゴーン元会長声明全文日本経済新聞.2019年12月31日
  25. ^ ゴーン被告の保証金15億円没取、過去最高額かSankeibiz.2020.1.7
  26. ^ ICPO、ゴーン元会長の身柄拘束を要請 レバノン当局に日本経済新聞.2020年1月2日
  27. ^ ゴーン被告の逃亡先のレバノン、インターポールの国際手配書を受領BBC.2020年1月3日
  28. ^ 大久保駐レバノン大使とアウン・レバノン大統領との会談外務省
  29. ^ 日・レバノン首脳会談首相官邸
  30. ^ 徳永外務大臣政務官のレバノン訪問
  31. ^ 牧野外務大臣政務官のレバノン訪問(概要)外務省
  32. ^ 薗浦外務大臣政務官のアルジェリア,レバノン,カタール及びフィリピン訪問外務省
  33. ^ 薗浦外務副大臣のレバノン訪問(結果)外務省
  34. ^ 佐藤外務副大臣のレバノン訪問外務省
  35. ^ 鈴木外務副大臣の中東訪問(結果)外務省
  36. ^ 「レバノン国民に対する支援のための国際会議」における鷲尾外務副大臣ビデオ・メッセージ発出外務省
  37. ^ 2019.03 日本の対レバノン支援
  38. ^ ワーベル・パレスチナ難民キャンプにおけるUNRWA事業完了式典
  39. ^ 日本のODAプロジェクト レバノン 無償資金協力 案件概要
  40. ^ レバノン爆発、30万人が家失う 首都の半分で被害朝日新聞.飯島健太 イスタンブール=其山史晃 エルサレム=高野遼.2020年8月7日
  41. ^ レバノン首都の大爆発、クレーターの深さは43メートルと判明AFP通信.2020年8月9日
  42. ^ レバノン・ベイルートにおける大規模爆発に対する安倍総理大臣及び茂木外務大臣からのお見舞いメッセージの発出外務省
  43. ^ レバノン・ベイルートにおける大規模爆発に対する緊急援助外務省
  44. ^ レバノン・ベイルートにおける大規模爆発被害に対する緊急無償資金協力外務省
  45. ^ 中東和太鼓公演「OSAKA打打打団天鼓」国際交流基金
  46. ^ 東北−風土・人・くらし (海外巡回展)国際交流基金
  47. ^ 国立科学研究評議会考古学研究機材整備計画‐ODA見える化サイト
  48. ^ 講演会「レバノンにおける考古学的発掘調査について」を開催します‐広島大学
  49. ^ レバノンの考古学と文化遺産‐中部大学
  50. ^ レバノン‐国士舘大学 イラク古代文化研究所

参考文献

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  • レバノン共和国(Lebanese Republic)基礎データ 外務省
  • 黒木 英充 (著・編)『シリア・レバノンを知るための64章 (エリア・スタディーズ123)』 2013/8/28

関連項目

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外部リンク

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