利用者:G-Sounds/内部リンクのあるべき姿
この文書は私論です。一部のウィキペディアンが助言や意見を記したものです。広く共有されている考え方もあれば、少数意見の見解もあります。内容の是非については慎重に検討してください。 |
「内部リンクのあるべき姿」は、Wikipediaに関するG-Soundsの私論です。これは日本語版に限らず、全言語版のWikipediaの記事で留意する必要が有ると、G-Soundsは考えています。しかしながら、2000年代、2010年代を通して、日本語版には質の低い内部リンクを作成する編集が目立ちましたので、特に日本語版の編集者に読んでいただきたい内容です。
要旨
[編集]Wikipediaは内部リンクを作る事を目的として運営されているわけではありません。むしろ基本的に内部リンクは、その記事の主題にとって重要な記事にのみ、厳選して行うべきです。
どの記事でも同じように、内部リンクを作って良いわけでは、決してありません。その記事の主題に応じて、どこに内部リンクを作るかを検討する必要があります。また、1つの記事内においても、その節なり段落で述べられている内容に応じて、内部リンクを作る場所を変える必要があります。
第1に、内部リンクを作れるから(記事があるから)内部リンクをして良いわけでは決してありません。それならばbotにでもできる作業であって、思考力や創造力を持ているはずの人間が行うまでもない行為です。内部リンクは、あくまでも、その記事の主題や、その節の主題や、その注釈の主題などを鑑みて厳選し、その記事を理解するために、大切な箇所にのみ内部リンクを作り、その内部リンクが目立つようにするべきです。詳しくは、機械的な内部リンク作成の節を御覧ください。
第2に、専門用語を分断する事は良くありません。2020年時点ですら、日本語版は記事が少ないために、特に専門性の高い用語は、しばしば赤リンクが生成します。しかし、その場合でも、妥協して専門用語を分断して内部リンクを作るのではなく、赤リンクのまま、または、仮リンクの機能を使って他言語版の記事を読めるようにしておくべきです。詳しくは、用語の分断の節を御覧ください。
なお、もう1点重要な視点として、必要な記事が存在しない事を示す赤リンクの大切さを忘れないでおくべきです。詳しくは、赤リンクの重要性を忘れないの節を御覧ください。
不適切な内部リンクの例
[編集]用語の分断
[編集]こんな内部リンクをした事は、ないでしょうか。
例えば、上野駅、西本願寺、クライスラー社、阿蘇外輪山、東北地方太平洋沖地震、ステロイド抗炎症薬、ペストをモチーフにした『死の舞踏』などです。
「こんなの荒らしだ、こんな酷い内部リンクの仕方はしないぞ!」
そんな声も聴こえてきそうですけれど、残念ながらWikipedia日本語版では2010年代を通して、これと似たような編集が、行われ続けました。
例えば、
- 酸化還元酵素の記事でもないのに、記述に「酸化還元酵素」が出てきた時に「酸化還元酵素」とせずに「酸化還元酵素」と、専門用語を分断して内部リンクする。酷い場合には「酸化還元酵素」と、専門用語を分断して内部リンクする。
- イミダゾール系抗真菌薬で1つの専門用語なのに「イミダゾール系抗真菌薬」と、専門用語を分断して内部リンクする。
- アルコール度数で1つの専門用語なのに「アルコール度数」と、専門用語を分断して内部リンクする。
- フランスの行為について説明する記述なのに「フランスの大統領」とあれば「フランスの大統領」とせずに「フランスの大統領」と、単なる単語に内部リンクする。
- アメリカ合衆国憲法の記事でもないのに、記述に「アメリカの憲法」とあれば「アメリカの憲法」とせずに「アメリカの憲法」と、単なる単語に内部リンクする。
- 作品名の一部であるのにもかかわらず『ドラゴンライダー』と、作品名を分断して内部リンクする。
などなど、枚挙に暇がありません。
たとえ内部リンクを作成できたとしても、用語を勝手に分断してはなりません。
単なる単語への内部リンク
[編集]辞書を引けば済む程度の場所にも、内部リンクは必要ありません。あくまで、その語が、その記事の主題にとって重要であって、辞書以上に詳しい解説を読む必要が有ると認められる箇所にのみ内部リンクするべきです。
- 「酸化還元酵素」の記事で「酸化還元反応を触媒するタンパク質である。」ならば悪くないでしょう。
- 「シトクロームP450」の記事で「酸化還元反応を触媒する酵素群である。」ならば悪くないでしょう。
- 「抗真菌薬」の記事で、その化学構造を解説している箇所で「イミダゾール系抗真菌薬はイミダゾール環を構造中に持つ。」ならば悪くないでしょう。
- 「共和制」の記事で「国家元首は大統領である。」ならば悪くないでしょう。
- 「アメリカ合衆国憲法の記事で「アメリカの憲法であり、例えば、大統領に関する規定も存在する。」ならば悪くないでしょう。
時には、これでも内部リンクの作り過ぎと言える場合もあるでしょう。
ここで重要な点は、記事の主題によって、たとえ同じ語が含まれていても、内部リンクする必要の有る箇所は、異なるという点です。加えて、仮に同一記事内であっても、その文脈によって、内部リンクする必要のある場所も、内部リンク先の選定の仕方も、異なるという点も重要です。これらの事を考えずに内部リンクを行うと、それは「単なる単語への内部リンクの粗製乱造」に成り下がります。
この事は、Wikipedia日本語版のガイドラインの1つであるWikipedia:記事どうしをつなぐにも書かれているはずですが、Wikipedia日本語版の編集者には、あまり理解されてこなかったようです。
機械的な内部リンク作成
[編集]ここで言う機械的な内部リンク作成とは、例えば、日付を見かけたら、その記事の主題に重要であろうとなかろうと、関係無く内部リンクを作成する編集です。
その時代を確認するために内部リンクで年代を調べる用途が有るため、比較的容認され易い、年号への内部リンクも、例えば、たまたま統計を取った年号や、参考文献の発行年、酷い場合には、web siteの閲覧年への内部リンクまで行われていた有様です。
さらに、日付について言えば、その日付に内部リンクを使う意義が有るのかどうかについて、もっと考えるべきです。
他にも、一見すると専門用語に内部リンクしているように見えますけれども、実際は単なる単語へ機械的に内部リンクを行った結果、不適切な内部リンクをした例として、次のような事例が挙げられます。
- 酒を主題にした記事なのに、エタノールではなく、化学の官能基の記事である「アルコール」に内部リンクを行う。
- 料理を主題にした記事なのに、食塩ではなく、化学の専門用語である「塩」に内部リンクを行う。
- 文脈の中で出てきた単なる比喩表現なのに、したがって内部リンクを作成すべきでないのに、物理学の専門用語である「ポテンシャル」に内部リンクを行う。
これらの場合、確かに用語の分断は行っていないのですが、そもそも内部リンクの作り方が機械的であり、不適切なのです。
事例を挙げればキリが無いので「機械的な内部リンク作成」についての話は、ここまでにしますけれど、このような機械的な内部リンクの設置は、もはや人間が行う作業ではありません。この程度の作業であれば、botに任せれば良いのです。人間は、もっと創造的な事をすべきです。
避けた方が良い内部リンクの仕方
[編集]以下は、読者の事を考えると、行わない方が良い内部リンクの仕方です。記事の編集を行っている場合には、ソースを見るので気付かずに、以下のような内部リンクをしてしまうのでしょう。しかしWikipediaは、閲覧している状態の見え方を基準するべきです。ヒトが閲覧する事を前提に、ヒトが読み易いようにしてください。
1つの語に内部リンクしているように見える、複数の内部リンク
[編集]例えば、次のような内部リンクの仕方は、避けるべきです。
このような内部リンクを避けるべきだという事も、Wikipedia日本語版のガイドラインの1つである、Wikipedia:記事どうしをつなぐにも書かれているのですけれど、守られてきませんでした。
しかし、このような内部リンクが存在していると、閲覧者は、どこで内部リンクが切れているのか推測しながら、自身が読みたい内部リンクを探すという不毛な作業をしなければなりませんので、避けるべきです。このような内部リンク作成の回避方法は、幾つか考えられます。
- 大阪府大阪市港区 - 最も小さな区分に内部リンクして、より大きな区分へのリンクは、リンク先の記事に任せる。
- 大阪市港区 - 一部を省略する。
- 東・西・南・北 - 区切りを入れる。
- 大相撲の力士 - 助詞を入れる。
- 大相撲力士 - 大相撲力士の場合は、人物を指した言葉なので、人物に関した用語に内部リンクする。
- 大阪府大阪市港区、東西南北、神社仏閣、大相撲力士、サッカー選手、フルート奏者、イチゴ大福、死亡事故 - そもそも内部リンクするまでもない常識的な用語と考える。
特に、最後の「そもそも内部リンクするまでもない常識的な用語と考える」選択肢は重要です。単なる単語へ機械的に内部リンクしていないか、よく吟味してください。
同じ語に内部リンクしているように見える、リンク先の異なる内部リンク
[編集]例えば、次のような内部リンクは避けるべきです。
この例は、その分野に詳しい編集者が、陥る事のある内部リンクの失敗例です。記事のソースを見れば別な専門用語に内部リンクしている事は判ります。しかし、これを単に閲覧した際には、同じ単語に何度も内部リンクされているように見えてしまい、読者の注意が向き難くなってしまいます。
なお、類例として、別な記事への内部リンクと、記事内の節への内部リンクとを明確にしていないために、一見すると同じ内部リンクが連続しているように見える場合も有り得ます。本稿の場合は、あまり良い典型例を作れないのですけれども、例えば、次のような場合です。
この類例については、無精をせずに、どこへ内部リンクをしているのかを、閲覧した際に、そのリンクを踏むまでもなく判るようにしておくだけで、解決します。逆に、記事のソースを見なければ、まるで同じ語に何回も内部リンクしているように、閲覧時に見えてしまわないように注意を払う事を忘れないでください。
赤リンクの重要性を忘れない
[編集]記事が存在していない場合、Wikipediaでは赤リンクが出現します。これを、無理に記事が存在している場所へと、妥協した内部リンクを設置してはなりません。この事も1つの重要な視点です。その理由を、以下に列挙しておきましょう。
- 赤リンクが残っている事で、その言語版に、まだ記事が不足していると示せる。
- 赤リンクの内容が、その言語版を発展させるべき方向性を示している可能性がある。
- 赤リンクが残っている事で、記事を執筆したり、翻訳したりする動機になる場合がある。
逆に、赤リンクを妥協して、それこそ用語を分断した内部リンクにしたりしてしまうと、次のような弊害が出てきます。
- すでに記事が充分に揃っているかのような錯覚を、その言語版の編集者に与えてしまう。
- 特に、用語の分断が行われた場合には、下手をすると関連性の薄い記事への内部リンクに成り下がってしまう。
もちろん、だからと言って、何でもかんでも赤リンクを作れば良いというわけでは、決してありません。やはり、赤リンクを作る場合でも、赤リンクの粗製乱造をしてはならないのです。
内部リンクを作る事は、Wikipediaの目的ではありません
[編集]Wikipediaでは、記事を孤立させない、すなわち、1つも他の記事から内部リンクが行われていない記事は「孤立記事」などと呼ばれ、そのような記事は、作らない事が定められています。また、1つも他の記事への内部リンクを行っていない記事は「行き止まり記事」などと呼ばれ、やはり、そのような記事も、作らない事が定められています。
しかしながら、そもそも、内部リンクを作成する事は、Wikipediaの目的ではありません。
確かに、記事数が少なかった時代は、無理にでも内部リンクを作らないと、これらの規定に抵触したでしょう。ただ、無理に内部リンクを作らないと内部リンクが1つもつながらない状態は、紙媒体の一般的な百科事典の項目数を超えた時点で、既に過去の話であるはずです。古い記事の中には、無理にでも内部リンクを作成する必要の有った時代に書かれた物も含まれます。そして、その頃の記事の内部リンクの仕方を模倣する癖が付いてしまっているのかもしれません。
もしも内部リンクを作成する事に、強迫観念を持っているのであれば、それは捨ててしまってください。必死に内部リンクを作ろうとしなくとも、1つ以上の内部リンクを作成するという条件は、記事数が増えたため、簡単にクリアできるはずですから。
それどころか、もしも内部リンクできる部分全てに内部リンクを作ったりすれば、それこそ内部リンクだらけになるでしょう。その結果、その記事を理解する際に、どの内部リンクが大切な内部リンクなのか、判り難くなってしまいます。そのせいで、記事の内容を理解し難くなってしまいかねません。
まとめ
[編集]内部リンクは、そのリンク先の内容まで理解していないと、その記事の主題を充分に理解できないと考えられる場合に、初めて設けるべきです。
Wikipediaは内部リンクを作る事が目的ではありません。ただ単に内部リンクできる記事が存在するからという理由で、安易に内部リンクを設けてはなりません。内部リンクは、厳選するべきなのです。