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九戸郡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
岩手県九戸郡の範囲(1.軽米町 2.野田村 3.九戸村 4.洋野町 薄橙:後に他郡に所属した区域)

九戸郡(くのへぐん)は、岩手県陸奥国陸中国)の

人口29,708人、面積763.56km²、人口密度38.9人/km²。(2024年11月1日、推計人口

以下の2町2村を含む。

郡域

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九戸郡(第1次)

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明治11年(1878年)に行政区画として発足した当時の郡域は、上記2町2村のほか、久慈市および岩手郡葛巻町の大部分(田部を除く)にあたる。

九戸郡(第2次)

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明治30年(1897年)に行政区画として発足した当時の郡域は、第1次九戸郡全域にあたる。

九戸郡(第1次)

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知行 村数 村名
藩領 陸奥八戸藩 47村 軽米村、小軽米村、上館村[1]、円子村、蛇口村、雪屋村[2]、長倉村、狄塚村、山屋村、高家村、晴山村、山内村、江刺家村、長興寺村、小倉村、伊保内村、荒屋村[3]、山根村、戸田村、葛巻村、江刈村、水沢村、帯島村、阿子木村、大野村、中野村、有家村、小子内村、種市村(後の北九戸郡)
霜畑村、小国村、日野沢村、川井村、繋村、荷軽部村、戸呂町村、小久慈村、夏井村、早坂村、閉伊口村、鳥谷村、黒沼村、大崎村、門前村、長久寺村、長内村、大川目村(後の南九戸郡)
陸奥盛岡藩 10村 白前村(後の北九戸郡)
野田村、玉川村、宇部村、端神村、細野村、深田村、木売内村、下戸鎖村、上戸鎖村(後の南九戸郡)
八戸藩・盛岡藩 1村 侍浜村[4](後の北九戸郡)
  • 明治元年12月7日1869年1月19日
    • 陸奥国が分割され、本郡は陸中国の所属となる。
    • 盛岡藩が戊辰戦争の処分により、領地を没収される。信濃松代藩取締地となり、盛岡県(第1次)を称する[5]
  • 明治2年8月7日(1869年9月12日) - 盛岡県(第1次)の区域をもって江刺県を設置。
  • 明治4年7月14日(1871年8月19日) - 廃藩置県により、藩領が八戸県(第2次)となる。
  • 明治4年11月2日(1871年12月13日) - 第1次府県統合により、全域が盛岡県(第3次)の管轄となる。
  • 明治5年1月8日(1872年2月16日) - 盛岡県(第3次)が岩手県に改称。
  • 明治11年(1878年)侍浜村のうち旧・八戸藩領が南侍浜村、旧・盛岡藩領が北侍浜村に分村。(59村)
  • 明治11年(1878年)11月26日 - 郡区町村編制法の岩手県での施行により、行政区画としての九戸郡が発足。
  • 明治12年(1879年)1月4日 - 分割され、大目川村ほか27村の区域をもって南九戸郡が、軽米村ほか32村の区域をもって北九戸郡がそれぞれ発足。同日九戸郡(第1次)廃止。

九戸郡(第2次)

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1.久慈町 2.長内村 3.宇部村 4.野田村 5.山根村 6.山形村 7.大川目村 8.夏井村 11.侍浜村 12.中野村 13.種市村 14.大野村 15.小軽米村 16.軽米村 17.晴山村 18.江刺家村 19.伊保内村 20.戸田村 21.葛巻村 22.江刈村(紫:久慈市 桃:洋野町 赤:軽米町 橙:九戸村 黄:岩手郡葛巻町 青:合併なし)
  • 明治30年(1897年)4月1日 - 南九戸郡・北九戸郡の区域をもって、九戸郡(第2次)が発足[6]郡制の施行により、九戸郡役所が久慈町に設置される。(1町19村)
  • 大正12年(1923年4月1日 - 郡制が廃止される[7]。郡役所は存続。
  • 大正14年(1925年)1月1日 - 軽米村が町制施行して軽米町となる。(2町18村)
  • 大正15年(1926年7月1日 - 九戸郡役所が廃止される[8]。九戸郡各町村を管轄区域とする九戸支庁が久慈町に設置される[9]
  • 昭和7年(1932年)4月1日 - 九戸支庁が廃止される[10][11]
  • 昭和15年(1940年)12月25日 - 葛巻村が町制施行して葛巻町となる。(3町17村)
  • 昭和17年(1942年)7月1日 - 九戸郡を管轄区域とする九戸地方事務所が久慈町に設置される[12]
  • 昭和23年(1948年)7月1日 - 葛巻町・江刈村の所属郡が岩手郡に変更[13]。(2町16村)
  • 昭和26年(1951年)4月1日 - 種市村が町制施行して種市町となる。(3町15村)
  • 昭和27年(1952年6月1日 - 長内村が町制施行して長内町となる。(4町14村)
  • 昭和29年(1954年11月3日 - 久慈町・長内町・宇部村・大川目村・侍浜村・夏井村・山根村が合併して久慈市が発足し、郡より離脱。(2町9村)
  • 昭和30年(1955年
    • 1月1日
      • 軽米町の一部(上館の一部)が大野村に編入。
      • 軽米町・小軽米村・晴山村が合併し、改めて軽米町が発足。(2町7村)
    • 2月11日 - 種市町・中野村が合併し、改めて種市町が発足。(2町6村)
    • 4月1日 - 伊保内村・江刺家村・戸田村が合併して九戸村が発足。(2町4村)
  • 平成18年(2006年
    • 1月1日 - 種市町・大野村が合併して洋野町が発足。(2町3村)
    • 3月6日 - 山形村が久慈市と合併し、改めて久慈市が発足、郡より離脱。(2町2村)

変遷表

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自治体の変遷
明治以前 明治初年 - 明治12年

明治12年
1月4日
九戸郡分割
明治12年 - 明治22年 明治22年
4月1日
町村制施行
明治30年
4月1日
九戸郡発足
明治22年 - 昭和20年 昭和21年 - 昭和28年 昭和29年 - 昭和64年 平成元年 - 現在 現在
葛巻村 葛巻村


葛巻村 葛巻村 葛巻村 葛巻村 昭和15年12月25日
町制 葛巻町
昭和23年7月1日
所属変更
岩手郡葛巻町
昭和30年7月15日
岩手郡葛巻町
岩手郡葛巻町 岩手郡
葛巻町
江刈村 江刈村 江刈村 江刈村 江刈村 江刈村 江刈村 昭和23年7月1日
所属変更
岩手郡江刈村
小軽米村 小軽米村 小軽米村 小軽米村 小軽米村 小軽米村 小軽米村 小軽米村 昭和30年1月1日
軽米町
軽米町 軽米町
蛇口村 蛇口村 蛇口村 蛇口村
円子村 円子村 円子村 円子村
狄塚村 狄塚村 狄塚村 狄塚村 晴山村 晴山村 晴山村 晴山村
山内村 山内村 山内村 山内村
晴山村 一部 晴山村 晴山村 晴山村
一部 軽米村 軽米村 大正14年1月1日
町制 軽米町
軽米町
軽米村 軽米村 軽米村 軽米村
高家村 高家村 高家村 高家村
長倉村 長倉村 長倉村 長倉村
上館村 一部 上館村 上館村 上館村
一部 昭和30年1月1日
大野村に編入
平成18年1月1日
洋野町
洋野町
大野村 大野村 大野村 大野村 大野村 大野村 大野村 大野村 大野村
阿子木村 阿子木村 阿子木村 阿子木村
帯島村 帯島村 帯島村 帯島村
水沢村 水沢村 水沢村 水沢村
種市村 種市村 種市村 種市村 種市村 種市村 種市村 昭和26年4月1日
町制 種市町
昭和30年2月11日
種市町
中野村 中野村 中野村 中野村 中野村 中野村 中野村 中野村
有家村 有家村 有家村 有家村
小子内村 小子内村 小子内村 小子内村
伊保内村 伊保内村 伊保内村 伊保内村 伊保内村 伊保内村 伊保内村 伊保内村 昭和30年4月1日
九戸村
九戸村 九戸村
荒屋村 荒屋村 荒屋村 荒屋村
小倉村 小倉村 小倉村 小倉村
長興寺村 長興寺村 長興寺村 長興寺村
雪屋村 雪屋村 雪屋村 雪屋村
江刺家村 江刺家村 江刺家村 江刺家村 江刺家村 江刺家村 江刺家村 江刺家村
山屋村 山屋村 山屋村 山屋村
戸田村 戸田村 戸田村 戸田村 戸田村 戸田村 戸田村 戸田村
山根村 山根村 山根村 山根村
侍浜村 盛岡藩領 明治11年
北侍浜村
北侍浜村 北侍浜村 侍浜村 侍浜村 侍浜村 侍浜村 昭和29年11月3日
久慈市
平成18年3月6日
久慈市
久慈市
八戸藩領 明治11年
南侍浜村
南侍浜村 南侍浜村
白前村 白前村 白前村 白前村
宇部村 宇部村


宇部村 宇部村 宇部村 宇部村 宇部村 宇部村
夏井村 夏井村 夏井村 夏井村 夏井村 夏井村 夏井村 夏井村
大崎村 大崎村 大崎村 大崎村
黒沼村 黒沼村 黒沼村 黒沼村
鳥谷村 鳥谷村 鳥谷村 鳥谷村
早坂村 早坂村 早坂村 早坂村
閉伊口村 閉伊口村 閉伊口村 閉伊口村
上戸鎖村 上戸鎖村 上戸鎖村 上戸鎖村 山根村 山根村 山根村 山根村
下戸鎖村 下戸鎖村 下戸鎖村 下戸鎖村
木売内村 木売内村 木売内村 木売内村
端神村 端神村 端神村 端神村
深田村 深田村 深田村 深田村
細野村 細野村 細野村 細野村
小久慈村 小久慈村 小久慈村 小久慈村 長内村 長内村 長内村 昭和27年6月1日
町制 長内町
長内村 一部[14]を除く 長内村 長内村 長内村
一部[14] 久慈町 久慈町 久慈町 久慈町
長久寺村 長久寺村 長久寺村 長久寺村
門前村 門前村 門前村 門前村
大川目村 大川目村 大川目村 明治17年
下大川目村
明治17年
上大川目村
大川目村 大川目村 大川目村 大川目村
繋村 一部[15] 繋村 繋村 繋村
一部[15]を除く 山形村 山形村 山形村 山形村 山形村
小国村 小国村 小国村 小国村
川井村 川井村 川井村 川井村
霜畑村 霜畑村 霜畑村 霜畑村
戸呂町村 戸呂町村 戸呂町村 戸呂町村
荷軽部村 荷軽部村 荷軽部村 荷軽部村
日野沢村 日野沢村 日野沢村 日野沢村
野田村 野田村 野田村 野田村 野田村 野田村 野田村 野田村 野田村 野田村 野田村
玉川村 玉川村 玉川村 玉川村

行政

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1897年(明治30年)の合併以降の郡長は以下の通りである[16]

氏名 就任年月日 退任年月日 備考
浅沼介郎 1897年(明治30年)4月1日 1900年(明治33年)4月21日
斎藤左一 1900年(明治33年)4月21日 1902年(明治35年)12月27日
川口浩哉 1902年(明治35年)12月27日 1906年(明治39年)9月29日
沢田専吉 1906年(明治39年)9月29日 1910年(明治43年)5月19日
今野良治 1910年(明治43年)5月19日 1915年(大正4年)2月12日
本正吉三郎 1915年(大正4年)2月12日 1916年(大正5年)5月20日
佐藤与七 1916年(大正5年)5月20日 1920年(大正9年)12月4日
関広治 1920年(大正9年)12月14日 1922年(大正11年)11月30日
加藤守道 1922年(大正11年)11月30日 1924年(大正13年)12月16日
坪松唯三郎 1924年(大正13年)12月16日 1926年(大正15年)6月30日 郡役所廃止により、廃官

脚注

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  1. ^ 記載は上舘村。
  2. ^ 記載は雪谷村。
  3. ^ 記載は荒谷村。
  4. ^ 南侍浜村(八戸藩領)、北侍濱村(盛岡藩領)に分かれて記載。
  5. ^ 明治元年12月23日(1869年2月4日)の「諸藩取締奥羽各県当分御規則」(法令全書通番明治元年太政官布告第1129)に従って設置された県だが、明治政府が権知県事を任命したわけではなく、そのため明治政府の公文書には全く記録が残っておらず、正式な県とは認められていない。
  6. ^ 法律第五十號」『官報』第3822号、内閣官報局、454頁、1896年3月30日https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2947101/4 
  7. ^ 勅令第四十四號」『官報』第3185号、印刷局、365頁、1923年3月15日https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2955307/1 
  8. ^ 岩手県教育会九戸郡部会 1986, pp. 190–191.
  9. ^ 内務省告示第八十二號」『官報』第4134号、内閣印刷局、128–129頁、1926年6月5日https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2956285/3 
  10. ^ 岩手県教育会九戸郡部会 1986, p. 199.
  11. ^ 内務省告示第四十九號」『官報』第1562号、内閣印刷局、418頁、1932年3月17日https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2958032/2 
  12. ^ 内務省告示第四百九十號」『官報』第4641号、内閣印刷局、9–14頁、1942年7月1日https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2961143/5 
  13. ^ 総理廳告示第百五十四号」『官報』第6459号、印刷局、190頁、1948年7月27日https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2962992/2 
  14. ^ a b 字細谷・柏崎
  15. ^ a b 字馬内・滝
  16. ^ 岩手県教育会九戸郡部会 1986, p. 192.

参考文献

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  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 3巻《岩手県》、角川書店、1985年2月7日。ISBN 4040010302 
  • 岩手県教育会九戸郡部会 編『九戸郡誌』(復刻版)臨川書店、1986年11月10日(原著1936年11月3日)。ISBN 4-653-01473-6https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9571709 
  • 旧高旧領取調帳データベース
先代
糠部郡
行政区の変遷
1634年 - 1879年 (第1次)
次代
南九戸郡北九戸郡
先代
南九戸郡・北九戸郡
行政区の変遷
1897年 - (第2次)
次代
(現存)