稗貫郡
表示
稗貫郡(ひえぬきぐん)は、岩手県(陸奥国・陸中国)にあった郡。
郡域
[編集]明治11年(1878年)に行政区画として発足した当時の郡域は、花巻市の一部(中笹間・北笹間・南笹間・轟木・栃内・横志田・尻平川および東和町各町を除く)にあたる。
北で岩手郡と紫波郡、東で閉伊郡、西と南で和賀郡と接していた。
歴史
[編集]郡設置当初は薭縫(ひえぬい)郡と表記した。
近代以前の沿革
[編集]- 811年(弘仁2年)稗縫(後の稗貫)・和我・斯波の「志波三郡」が成立、「胆沢三郡(胆沢・江刺・磐井)」とともに「律令期の六郡」が成立する。812年(弘仁3年)に徳丹城が築かれ政治的機能が移り、志波三郡以北の統帥権も「鎮守府領六郡」として集約される。10世紀、斯波郡の領域が北遷拡大し、岩手郡が斯波郡から分離独立した。一方、磐井郡は国府多賀城領に編入され、岩手・志和・稗抜・和賀・江刺・伊沢の「奥六郡」が成立した[1]。
- 東宮野目村、下似内村、北飯豊村、上似内村、田力村、柏葉村、庫理村、葛村、黒沼村、西中島村、江曽村[2]、八幡村、好地村、新堀村、八重畑村、滝田村、戸塚村、関口村、猪鼻村、五大堂村、東中島村、中寺林村、北寺林村、南寺林村、小森林村、松林寺村、大興寺村[3]、長谷堂村、富沢村、糠塚村、北湯口村、大畑村、湯本村、台村、二枚橋村、西宮野目村、狼沢村、椚ノ目村[4]、小瀬川村、金矢村、大瀬川村、太田村、西十二丁目村、外台村、南万丁目村、里川口村、下根子村、中根子村、上根子村、湯口村、西晴山村、下シ沢村、鉛村、豊沢村、円万寺村、膝立村、北万丁目村、花巻村、鍋倉村、矢沢村、幸田村、高松村、高木村、東十二丁目村、大迫村、内川目村、外川目村、亀ヶ森村
- 明治元年
- 明治2年7月22日(1869年8月29日) - 白石藩が盛岡藩に転封。全域が再び盛岡藩の管轄となる。
- 明治4年
- 明治5年1月8日(1872年2月16日) - 盛岡県(第3次)が岩手県に改称。
- 明治11年(1878年)11月26日 - 郡区町村編制法の岩手県での施行により、行政区画としての稗貫郡が発足。郡役所が里川口村に設置。
町村制以降の沿革
[編集]- 明治22年(1889年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の町村が発足。全域が現・花巻市。(3町13村)
- 里川口町 ← 里川口村、南万丁目村、高木村[一部[6]]
- 花巻町 ← 花巻村、北万丁目村、高木村[一部[7]]
- 大迫町(大迫村が単独町制)
- 内川目村、外川目村、亀ヶ森村(それぞれ単独村制)
- 新堀村 ← 新堀村、戸塚村
- 八重畑村 ← 八重畑村、関口村、滝田村、猪鼻村、五大堂村、東中島村
- 矢沢村 ← 矢沢村、高松村、幸田村、東十二丁目村、高木村[一部[8]を除く]
- 好地村 ← 好地村、北寺林村、大瀬川村、大興寺村、松林寺村、富沢村、長谷堂村
- 八幡村 ← 八幡村、中寺林村、南寺林村、江曽村、西中島村、黒沼村、小森林村
- 湯本村 ← 湯本村、北湯口村、大畑村、二枚橋村、台村、金矢村、小瀬川村、椚ノ目村、狼沢村、糠塚村
- 宮野目村 ← 東宮野目村、西宮野目村、葛村、田力村、庫理村、柏葉村、上似内村、下似内村、北飯豊村
- 湯口村 ← 湯口村、円万寺村、鍋倉村、膝立村、西晴山村、上根子村、中根子村、鉛村、下シ沢村、豊沢村
- 根子村 ← 下根子村、西十二丁目村、外台村
- 太田村(単独村制)
- 明治30年(1897年)
- 大正12年(1923年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
- 大正12年(1923年)6月1日 - 根子村が花巻川口町に編入。(3町12村)
- 大正15年(1926年)7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
- 昭和3年(1928年)10月1日 - 好地村が町制施行・改称して石鳥谷町となる。(4町11村)
- 昭和4年(1929年)4月10日 - 花巻川口町が花巻町を編入、即日改称して花巻町となる。(3町11村)
- 昭和17年(1942年)7月1日 - 「稗貫地方事務所」が花巻町に設置され、本郡を管轄。
- 昭和29年(1954年)4月1日 - 花巻町・太田村・宮野目村・矢沢村・湯口村・湯本村が合併して花巻市が発足し、郡より離脱。(2町6村)
- 昭和30年(1955年)
- 1月1日 - 大迫町・内川目村・外川目村・亀ヶ森村が合併し、改めて大迫町が発足。(2町3村)
- 4月1日 - 石鳥谷町・新堀村・八幡村・八重畑村が合併し、改めて石鳥谷町が発足。(2町)
- 平成18年(2006年)1月1日 - 大迫町・石鳥谷町が花巻市・和賀郡東和町と合併し、改めて花巻市が発足。同日稗貫郡消滅。
変遷表
[編集]自治体の変遷
明治22年以前 | 明治22年 4月1日 町村制施行 |
明治22年 - 大正15年 | 昭和元年 - 昭和19年 | 昭和20年 - 昭和64年 | 平成元年 - 現在 | 現在 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
花巻村 | 花巻町 | 花巻町 | 昭和4年4月10日 花巻川口町に編入 即日改称 花巻町 |
昭和29年4月1日 花巻市 |
平成18年1月1日 花巻市 |
花巻市 | |
北万丁目村 | |||||||
高木村 | 一部[7] | ||||||
一部[6] | 里川口町 | 大正12年6月1日 花巻川口町 |
昭和4年4月10日 改称 花巻町 | ||||
里川口村 | |||||||
南万丁目村 | |||||||
下根子村 | 根子村 | ||||||
西十二丁目村 | |||||||
外台村 | |||||||
太田村 | 太田村 | 太田村 | 太田村 | ||||
東宮野目村 | 宮野目村 | 宮野目村 | 宮野目村 | ||||
西宮野目村 | |||||||
葛村 | |||||||
田力村 | |||||||
庫理村 | |||||||
柏葉村 | |||||||
上似内村 | |||||||
下似内村 | |||||||
北飯豊村 | |||||||
矢沢村 | 矢沢村 | 矢沢村 | 矢沢村 | ||||
高松村 | |||||||
幸田村 | |||||||
東十二丁目村 | |||||||
高木村 | 一部[8]を除く | ||||||
湯口村 | 湯口村 | 湯口村 | 湯口村 | ||||
円万寺村 | |||||||
鍋倉村 | |||||||
膝立村 | |||||||
西晴山村 | |||||||
上根子村 | |||||||
中根子村 | |||||||
鉛村 | |||||||
下シ沢村 | |||||||
豊沢村 | |||||||
湯本村 | 湯本村 | 湯本村 | 湯本村 | ||||
北湯口村 | |||||||
大畑村 | |||||||
二枚橋村 | |||||||
台村 | |||||||
金矢村 | |||||||
小瀬川村 | |||||||
椚ノ目村 | |||||||
狼沢村 | |||||||
糠塚村 | |||||||
好地村 | 好地村 | 好地村 | 昭和3年4月1日 町制改称 石鳥谷町 |
昭和30年4月1日 石鳥谷町 | |||
北寺林村 | |||||||
大瀬川村 | |||||||
大興寺村 | |||||||
松林寺村 | |||||||
富沢村 | |||||||
長谷堂村 | |||||||
新堀村 | 新堀村 | 新堀村 | 新堀村 | ||||
戸塚村 | |||||||
八幡村 | 八幡村 | 八幡村 | 八幡村 | ||||
中寺林村 | |||||||
南寺林村 | |||||||
江曽村 | |||||||
西中島村 | |||||||
黒沼村 | |||||||
小森林村 | |||||||
八重畑村 | 八重畑村 | 八重畑村 | 八重畑村 | ||||
関口村 | |||||||
滝田村 | |||||||
猪鼻村 | |||||||
五大堂村 | |||||||
東中島村 | |||||||
大迫村 | 大迫町 | 大迫町 | 大迫町 | 昭和30年1月1日 大迫町 | |||
内川目村 | 内川目村 | 内川目村 | 内川目村 | ||||
外川目村 | 外川目村 | 外川目村 | 外川目村 | ||||
亀ヶ森村 | 亀ヶ森村 | 亀ヶ森村 | 亀ヶ森村 |
行政
[編集]- 歴代郡長
代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 明治11年(1878年)11月26日 | |||
大正15年(1926年)6月30日 | 郡役所廃止により、廃官 |
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 3 岩手県、角川書店、1985年2月7日。ISBN 4040010302。
- 旧高旧領取調帳データベース