コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

中越信号場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中越駅から転送)
中越信号場
中越信号場保線詰所(旧駅舎 2009年7月)
なかこし
Nakakoshi
A43 上川 (12.3 km)
(7.7 km) 上越(信)
地図
所在地 北海道上川郡上川町字中越
北緯43度52分2.9秒 東経142度54分19.1秒 / 北緯43.867472度 東経142.905306度 / 43.867472; 142.905306座標: 北緯43度52分2.9秒 東経142度54分19.1秒 / 北緯43.867472度 東経142.905306度 / 43.867472; 142.905306
所属事業者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
所属路線 石北本線
キロ程 57.2 km(新旭川起点)
電報略号 ナコ
駅構造 地上
ホーム 3線
開業年月日 1929年昭和4年)11月20日[1]
備考 駅として開業。2001年(平成13年)7月1日より信号場。
白滝 まで25.0km。
テンプレートを表示

中越信号場(なかこししんごうじょう)は、北海道上川郡上川町字中越にある北海道旅客鉄道(JR北海道)石北本線信号場である。電報略号ナコ事務管理コードは▲122510[2]

歴史

[編集]

かつてはとして設置されたが、現在は信号場として運用される。

1977年の中越駅と周囲約500m範囲。右が遠軽方面。かつては少しずれた相対式ホーム2面2線で、駅裏の上川側に北見峠(石北トンネル)越え補機用蒸気機関車の転車台と待機線、駅裏に機回し線を有し、駅舎横の上川側に貨物ホームと2本の引込み線を有していた。またこの貨物ホームに隣接して木材の土場が設けられていた。この写真では、各ホームや機回し線が撤去され、新たに駅裏側ホーム跡に副本線のレールが敷かれる一方、駅舎側ホーム跡へ本線の上り線が移設されて上下線間が広げられ、その中央に短めの細い簡易型の島式ホームが設けられて1面2線+1線となっており、以前の配線とは全く異なっている。放置された転車台と、機回し線の軌道跡だけがかつての姿を残しており、土場跡には木々が植栽されている。信号場となった現在では、島式ホームも撤去されて乗降用設備は一切無くなっている。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成

信号場名の由来

[編集]

「中越」の地名の起こりは1892年(明治25年)9月21日に当地を通る中央道路(北見道路とも、後の国道273333号)に設置された官設駅逓、中越駅逓所である[11]

当地の留辺志部(るべしべ)川沿いには「越路(こしじ)」という大地名があり(現在も下流側に字名として残存)、これは「留辺志部」の由来となったアイヌ語の「ルペㇱペ(ru-pespe)」(道・下る・もの=峠道)の意訳に由来するとされている[12]。すでに、下流の越路には越路駅逓所が設けられていたため、越路地区と石狩北見国境(北見峠)との中間、との意で命名されたとされている[11][13]

なお、字名としては1938年(昭和13年)の字名改正で、現在の中越と上越が分割・成立するまでは「茅刈別(ちかるべつ)」という字名であった[14]。これは1907年(明治40年)に植民区画が定まり公示されたときに示された地名で、当地で留辺志部川に合流する支流チカルベツ川のアイヌ語名「チカㇽペッ(ci-kar-pet)」(われら・作る・川)に由来したものであると考えられている[11]

構造

[編集]

もともと島式ホームを備えた1面2線に、側線1本を備えた交換可能な構造となっており[15]、旅客扱い終了後にホームが撤去されている。

利用状況

[編集]

旅客営業当時の乗車人員の推移は以下のとおり。年間の値のみ判明している年については、当該年度の日数で除した値を括弧書きで1日平均欄に示す。乗降人員のみが判明している場合は、1/2した値を括弧書きで記した。

年度 乗車人員 出典 備考
年間 1日平均
1965年(昭和40年) (32,033.0) (87.8) [16] 年間乗降客数:64,066
1966年(昭和41年) (27,902.0) (76.4) 年間乗降客数:55,804
1967年(昭和42年) (17,182.0) (46.9) 年間乗降客数:34,364
1968年(昭和43年) (11,493.0) (31.5) 年間乗降客数:22,986
1969年(昭和44年) (8,923.0) (24.4) 年間乗降客数:17,846
1970年(昭和45年) (7,584.0) (20.8) 年間乗降客数:15,168
1971年(昭和46年) (4,883.0) (13.3) 年間乗降客数:9,766
1972年(昭和47年) (2,701.0) (7.4) 年間乗降客数:5,402
1973年(昭和48年) (2,405.0) (6.6) 年間乗降客数:4,810
1974年(昭和49年) (2,212.0) (6.1) 年間乗降客数:4,424
1975年(昭和50年) (833.0) (2.3) 年間乗降客数:1,666
1976年(昭和51年) (833.5) (2.3) 年間乗降客数:1,667
1977年(昭和52年) (505.0) (1.4) 年間乗降客数:1,010
1978年(昭和53年) (888.5) (2.4) 年間乗降客数:1,777
1979年(昭和54年) (126.0) (0.3) 年間乗降客数:252
1980年(昭和55年) (88.0) (0.2) 年間乗降客数:176
1992年(平成04年) (0) [17] 一日平均乗降客数:0

周辺

[編集]

正面に「第二次中越官設駅逓所跡」の碑が建つ。営業末期の1993年(平成5年)発行の書籍『北海道630駅』で「付近に人家もなく国道が並走しているだけ[17]」と記されるなど、現在では人の居住は見られない。

隣の施設

[編集]
北海道旅客鉄道(JR北海道)
石北本線
上川駅 (A43) - *天幕駅 - (中越信号場) - (上越信号場) - (奥白滝信号場) - *上白滝駅 (A44) - 白滝駅 (A45)
*打消線は廃駅

脚注

[編集]
  1. ^ a b 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日、918頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  2. ^ 日本国有鉄道営業局総務課 編『停車場一覧 昭和41年3月現在』日本国有鉄道、1966年、244頁。doi:10.11501/1873236https://doi.org/10.11501/18732362023年3月21日閲覧 
  3. ^ “鉄道省告示 第231号”. 官報 (内閣印刷局) (866). (1929-11-16). NDLJP:2957333. https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2951867/2. 
  4. ^ a b c d e f g 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 28号・釧網本線/石北本線、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2010年1月31日、22-23頁。 
  5. ^ a b c 都竹一衛・中条良作・松下敏雄 編『上川町史』 2巻、上川町、1984年、691-692頁。doi:10.11501/2992391https://doi.org/10.11501/29923912022年11月23日閲覧 
  6. ^ 鉄道百年記念 旭鉄略年表(1972年)』日本国有鉄道旭川鉄道管理局、1972年、33頁。doi:10.11501/12061017https://dl.ndl.go.jp/pid/12061017/ 
  7. ^ 都竹一衛・中条良作・松下敏雄 編『上川町史』 2巻、上川町、1984年、826頁。doi:10.11501/2992391https://doi.org/10.11501/29923912022年11月23日閲覧 
  8. ^ “「通報」●石北本線中越駅の駅員無配置について(旅客局)”. 鉄道公報 (日本国有鉄道総裁室文書課): p. 2. (1975年12月24日) 
  9. ^ “日本国有鉄道公示第190号”. 官報. (1975年12月24日) 
  10. ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '02年版』ジェー・アール・アール、2002年7月1日、184頁。ISBN 4-88283-123-6 
  11. ^ a b c 都竹一衛・青野績 編『上川町史』上川町、1966年9月10日、421-423頁。doi:10.11501/3021451https://doi.org/10.11501/30214512022年11月23日閲覧 
  12. ^ 山田秀三『北海道の地名』(2版)草風館、浦安市〈アイヌ語地名の研究 山田秀三著作集 別巻〉、2018年11月30日、102頁。ISBN 978-4-88323-114-0 
  13. ^ 『北海道 駅名の起源』(第1版)日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日、210頁。ASIN B000J9RBUY 
  14. ^ 都竹一衛・青野績 編『上川町史』上川町、1966年9月10日、541-543頁。doi:10.11501/3021451https://doi.org/10.11501/30214512022年11月23日閲覧 
  15. ^ 宮脇俊三原田勝正 著、二見康生 編『北海道630駅』小学館〈JR・私鉄各駅停車〉、1993年6月20日、128頁。ISBN 4-09-395401-1 
  16. ^ 都竹一衛・中条良作・松下敏雄 編『上川町史』 2巻、上川町、1984年、689-696頁。doi:10.11501/2992391https://doi.org/10.11501/29923912022年11月23日閲覧 
  17. ^ a b 宮脇俊三原田勝正 著、二見康生 編『北海道630駅』小学館〈JR・私鉄各駅停車〉、1993年6月20日、128頁。ISBN 4-09-395401-1 

参考文献

[編集]
  • 伊藤丈志「2020冬 魅惑の石北本線・釧網本線をたどる」『鉄道ジャーナル』第54巻第4号(通巻642号)、成美堂出版、2020年4月1日、14-21頁。 

関連項目

[編集]