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VICTAS

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ヤマト卓球から転送)
株式会社VICTAS
VICTAS Inc.
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
104-6025
東京都中央区晴海 1丁目 8番10号
(トリトンスクエアX棟25階)
設立 1931年昭和6年)5月
(鈴木セルロイド工業所)
業種 その他製品
法人番号 1120001022666
事業内容 卓球用品の製造・販売
代表者 松下浩二代表取締役社長
資本金 90,000,000円
純利益 非公開
純資産 非公開
主要株主 松下 浩二
関係する人物 鈴木 教之(創業者初代社長)
外部リンク https://www.victas.com/ (日本語)
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株式会社VICTAS(ヴィクタス、英語: VICTAS Inc.)は、日本の総合卓球用品メーカー。2017年平成29年)9月1日「ヤマト卓球株式会社」から現在の社名へ変更した。


概要[編集]

自社の卓球製品ブランドである「VICTAS」・「VICTAS PLAY」・「TSP[注釈 1]」の企画・展開およびアシックスの卓球用シューズ・ウェアの販売代理を行っている。

1931年昭和6年)5月、創業者の鈴木教之が現在[いつ?]東京都北区王子に「鈴木セルロイド工業所」を創業したのが始まり[1]。当時製造された卓球ボールは、当時日本のメーカーで初めて国際卓球連盟の公認球に選ばれた。

1963年(昭和38年)に「ヤマト卓球株式会社」を設立し、ブランド「TSP」を展開する総合卓球用品メーカーとなる。

2009年平成21年)12月28日に主に増毛製品や、ヘアケア製品を手掛ける企業である「スヴェンソンホールディングス」の子会社となり、元・プロ卓球選手の松下浩二が代表取締役社長に就任するなど、経営体制が一新された[1]。翌年の2011年(平成23年)にプロ仕様の新ブランド「VICTAS」が発表され[1]2017年(平成29年)に現在の社名となった[2]

また、2016年(平成28年)には卓球男子日本代表のオフィシャルサプライヤー権利を獲得し、2017年(平成29年)4月から国際大会等で日本代表選手がVICTASのウェアを着用するようになった[3]。その後パラリンピック卓球男女日本代表、フランス男女代表のオフィシャルサプライヤーにもなっている[1]

2020年令和2年)10月20日に新・ブランド「VICTAS PLAY」が発表され[4]、同日にヤマト卓球時代から展開していたTSPをVICTASに統合することが発表された。TSPの製品は同月末をもって、全ての生産を終了した[5]。TSPの製品の一部は、仕様をそのままにVICTAS及びVICTAS PLAYで引き続き発売される。

グローバル展開も行っており、ヤマト卓球 ヨーロッパドイツ)、ヤマト卓球 中国(中国上海)の子会社を持つ。

かつては韓国の卓球用品ブランド「XIOM」の日本国内での販売代理を行っていたが、2024年(令和6年)現在は行っていない。

スヴェンソンホールディングスは、2023年(令和5年)9月29日付けで、株式会社VICTASの全株式を同社社長の松下 浩二へ譲渡した。これにより株式会社VICTASはスヴェンソングループから離れることとなった。

沿革[編集]

  • 1931年昭和6年)5月 - 東京府北豊島郡王子町(現・東京都北区王子)に「鈴木セルロイド工業所」を鈴木 教之が個人創業する。
  • 1938年(昭和13年)4月 - 大阪府大阪市東成区腹見町に工業所を移転。
  • 1947年(昭和22年)7月 - 販売部門の強化のため、大阪府大阪市北区永楽町に「株式会社ヤマト商会」を設立。
  • 1950年(昭和25年)4月 - 製造部門の強化のため、大阪府大阪市東区(現・中央区)黒門町に「ティエス工業株式会社」を設立。
  • 1951年(昭和26年)11月 - 大阪府大阪市天王寺区上本町5丁目に「大阪卓球センター」を竣工[注釈 2]
  • 1952年(昭和27年)5月 - 「株式会社ヤマト商会」を「ティエス工業株式会社」に吸収合併[注釈 3]
  • 1956年(昭和31年)10月 - 製造していた卓球ボールが国際卓球連盟に公認された。当時、日本のメーカー初の快挙だった。
  • 1959年(昭和34年)4月 - 「ヤマト工業株式会社」を設立。本店を大阪市天王寺区上本町5丁目とした。鈴木教之が社長就任。「ティエス工業株式会社」を敬称
  • 1966年(昭和41年)10月 - 社名を「ヤマト工業株式会社」から「ヤマト卓球株式会社」へ改称。
  • 1970年(昭和45年)
    • 8月 - ITTF公認ワールドカップ卓球大会に参加。
    • 9月 - 大阪市浪速区難波中3丁目にヤマト卓球ビルを新築。
  • 1984年(昭和59年)
  • 2020年令和2年) - 松下浩二が代表取締役社長に復帰。VICTASブランド内の新しい製品ライン「VICTAS PLAY」を発表[4]
  • 2021年(令和3年) - TSPブランド商品をVICTASに統合。
  • 2023年(令和5年)9月29日 - スヴェンソンホールディングスが、株式会社VICTASの全株式を同社社長の「松下 浩二」へ譲渡。

事業所[編集]

かつての事業所[編集]


歴代社長[編集]


ブランドの特徴[編集]

VICTAS(ヴィクタス)[編集]

高品質、プロ仕様を謳っており、同社ではフラッグシップモデルに位置づけられている。

VICTAS PLAY(ヴィクタス プレイ)[編集]

2020年(令和2年)にリリースされたVICTASのセカンドライン。入門者用のラケットや、アパレル商品などを販売している。

TSP(ティーエスピー)[編集]

従来からのブランドで「VICTASブランド」を立ち上げて以降、一般消費者向けをターゲットにした商品ラインナップとなっていたが、2021年(令和3年)3月末を持って生産終了。VICTASブランドに統合されたため、人気商品は商品名を変えて「VICTAS」・「VICTAS PLAY」から販売されている。

代表的なラバー[編集]

バルセロナ五輪代表の仲村錦治郎が開発責任者となり、「弧線の高さ」・「スピード」・「ドライブの精度」・「シートの強さ」・「反発」の 5つの指標で各ラバーの性能を示している。ドイツ製のラバーが多く、ラバー硬度はドイツ基準が採用されている。

V>15シリーズ[編集]

丹羽孝希らトップ選手が愛用するハイエナジーテンション裏ソフト2015年(平成27年)発売開始。スポンジが硬い順に「Double Extra」・「Extra」・「Stiff」・「Regular」・「Limber」の 5種類がラインナップされている。2022年(令和4年)9月にはV>15シリーズを超えた性能を持つと言われる、「V>22 Double Extra」も発売された。

VOシリーズ[編集]

ハイエナジーテンション表ソフト木原美悠をはじめとした国内選手や中国トップ選手も使用する。ナックルが出やすい「VO101」、回転をかけやすい「VO102」、バランスを追求した「VO103」の3種類がある。

SPECTOLシリーズ[編集]

かつて河野満日本)や王会元(中国)が愛用し世界を制した往年のチャンピオンラバー。TSPからVICTASへの統合に伴い、「SPECTOL S1・S2・S3」の3種類となった。

CURLシリーズ[編集]

レベル問わず支持率が高い粒高ラバー。徐孝元(ソ・ヒョウオン/韓国)ら世界のトップ選手も愛用する。TSPからVICTASへの統合に伴い、「CURL P1V・P2V・P3V・P3αV・P4V・P5V」の 6種類となった。

TRIPLEシリーズ[編集]

VICTAS初となる中国製強粘着裏ソフトラバー。2021年(令和3年)の全日本選手権で丹羽孝希がバック面に使用した。[9]製品ブランド名は世界のメダリストも愛用したTSPのTRIPLEを継承している。スポンジ硬度の硬い順に「TRIPLE Double Extra」・「Extra」・「Regular」の 3種類がある。

代表的なラケット[編集]

主に日本製および中国製(一部、ハンガリー製)。様々な特性の木材を組合せた 5枚合板や 7枚合板、カーボンと他の素材を複合した特殊素材を組み込んだ合板など幅広い品揃えのラケットが販売されている。主流のシェーク攻撃型に加え、ペンホルダー(中国式/日本式)、カットマン向けなども充実。

SWATシリーズ[編集]

国内ラケット販売数量No.1(2020年(令和2年)12月、卓球王国調べ。)[10]ベストセラー。弾みはいいが、コントロールもしやすく、初・中級者から上級者まで広く愛用されている。木材 7枚合板の標準モデルを筆頭に、カーボン入りや 5枚合板、キッズ専用なども展開。中国製。

ZX-GEAR(ゼクスギア)シリーズ[編集]

高弾性繊維の特殊素材「ゼクシオン」を採用してた攻撃用シェークハンドラケット。国内工場で精密加工している。

DYNAMシリーズ[編集]

日本式ペンホルダーラケット。国産ヒノキ単板を、材料の檜丸太材の仕入から拘っている。

松下浩二シリーズ[編集]

松下浩二がプロユースで開発したカットマン向けラケット。

シグネチャーモデル[編集]

VICTASの契約選手が使用しているラケットと同等の仕様のラケット。丹羽孝希シリーズとリアム・ピッチフォードモデルがある。

関連人物[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2020年令和2年)10月末をもって「TSP」ブランドの全製品の生産を終了した。
  2. ^ 卓球台14台を設置。当時は、アジア一の規模を誇る卓球場だった。
  3. ^ 製造販売への業務拡張となる。
  4. ^ 「ヤマト卓球 新大阪工場」跡地は2010年平成22年)、コインパーキングTimes(タイムズ)(木川東 4丁目)を経て、2013年(平成25年)に一戸建て密集地帯になっている。

出典[編集]

  1. ^ a b c d 会社概要”. VICTAS. 2021年1月26日閲覧。 (日本語)
  2. ^ “卓球メーカーヤマト卓球が「株式会社VICTAS」へ社名変更”. VICTAS. (2017年9月15日). https://www.victas.com/ja_jp/info/press/victas/09/15/2017-12-00-pm  (日本語)
  3. ^ “日本代表選手団 公式ウェア発表”. VICTAS. (2017年4月1日). https://www.victas.com/ja_jp/info/related-news/victas/notice/2017/03/31-15-00  (日本語)
  4. ^ a b VICTASから新ラインのVICTAS PLAYが誕生”. VICTAS. 2021年1月26日閲覧。 (日本語)
  5. ^ “TSP製品(ラバー・ラケット)生産完了とVICTAS製品への移行のお知らせ”. VICTAS. (2020年10月20日). https://www.victas.com/ja_jp/info/related_news/corporate/important_news/2020/10/20-12-17  (日本語)
  6. ^ 松下浩二 公式オフィシャルブログ『 breakthrough 〜ブレイクスルー〜 』 2010-01-23 00:13:24 「ご報告」 より (日本語)
  7. ^ 卓球メーカー ヤマト卓球が「株式会社VICTAS」へ社名変更ブランドをリニューアル【新生VICTAS】の誕生!”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 2021年1月26日閲覧。 (日本語)
  8. ^ 【卓球】VICTASが会員制WEBサービス開始、第1弾はEC 新規登録で丹羽のサイン入りグッズも”. Rallys (2018年10月17日). 2021年1月26日閲覧。 (日本語)
  9. ^ 丹羽孝希「若い選手は卓球が違う」 粘着ラバー使用など試行錯誤も20歳に苦杯 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)” (2021年1月16日). 2021年1月26日閲覧。 (日本語)
  10. ^ 卓球王国WEB | 卓球用具>卓球用具売上ランキング”. world-tt.com. 2021年1月26日閲覧。 (日本語)

外部リンク[編集]