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ヤマゼリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヤマゼリ
福島県会津地方 2011年9月
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: ヤマゼリ属 stericum
: ヤマゼリ O. sieboldii
学名
Ostericum sieboldii (Miq.) Nakai (1942)[1]
シノニム
和名
ヤマゼリ(山芹)

ヤマゼリ(山芹[3]学名: Ostericum sieboldii)はセリ科ヤマゼリ属多年草。別名はヤツバ[4]鹿児島県姶良郡霧島山)ではウマゼリとも呼ぶ[5]中国名は、山芹[1]

分布と生育環境

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日本では、本州四国九州に分布する[3]。特に、山地の林下、渓谷の縁、道端などの、やや湿った場所を好んで自生する[3][4]。世界では、朝鮮半島中国大陸(東北地方の南部)に分布する。

特徴

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一稔生の多年生草本[3]。開花まで数年かかり、開花・結実した個体は枯れる。全草に毛はなく、セリ科特有の香りがある[4]は円柱形で中空、直立して上部は多く枝分かれし、高さは60 - 100センチメートル (cm) になる[3]。根元から出る(根生葉)は長い柄がついて束生し、2、3回3出羽状複葉になり、小葉は卵形または広卵形でやや薄い[3][4]。葉の縁に粗い鋸歯がある[3]

花期は夏から秋にかけて(7 - 10月ごろ)[4]。茎頂か分枝した枝の先端に、小さな複散形花序を多数つけ、白い小花を傘状に多くつける[3][4]は白色の5弁花で花弁は内側に曲がる。複散形花序の下にある総苞片、小花序の下にある小総苞片は線形から狭披針形。果実は長さ3.5 - 4ミリメートル (mm) の楕円形で、分果の背隆条は脈状で細く、側隆条は狭い翼状になる。油管は分果の表面側の各背溝下に1 - 4個、分果が接しあう合生面に4 - 8個ある。

利用

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茎が立つ前の新芽を摘んで食用にする[3]。採取時期は、関西地方以西が4 - 11月ごろ、関東・中部地方が4 - 10月ごろ、東北地方が5 - 9月ごろが適期とされる[3]。摘んでも次々と若芽が出るため、春から晩秋に枯れるまでの長い間、利用できる[4]。新芽は茹でて水にさらし、おひたしごまクルミなどの和え物酢の物煮びたし油炒め佃煮にしたり、生のまま天ぷらかき揚げ、汁の実にする[3][4]。セリよりも強いクセのある香りがあり[4]香味野菜として利用できる[3]

下位分類

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  • ケヤマゼリ Ostericum sieboldii (Miq.) Nakai f. hirtulum (Hiyama) H.Hara
  • ハナヤマゼリ Ostericum sieboldii (Miq.) Nakai f. roseum Hiyama

似ている有毒植物

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湿地に生える有毒植物にドクゼリ(学名: Cicuta virosa)があり、ヤマゼリと外見が似た大型のセリ科植物である[6]。ドクゼリにはタケノコ状の太い根茎があり、小葉の裂片が狭く長いなどの区別点がある[6]。セリやヤマゼリにある特有の香りはなく、悪臭があるところが見分けられる[6]

脚注

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ostericum sieboldii (Miq.) Nakai ヤマゼリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年5月1日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Angelica miqueliana Maxim. ヤマゼリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年5月1日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 高橋秀男監修 2003, p. 145.
  4. ^ a b c d e f g h i 金田初代 2010, p. 112.
  5. ^ 八坂書房 (2001).
  6. ^ a b c 金田初代 2010, p. 113.

参考文献

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  • 金田初代、金田洋一郎(写真)『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、112 - 113頁。ISBN 978-4-569-79145-6 
  • 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、145頁。ISBN 4-05-401881-5 
  • 八坂書房 編『日本植物方言集成』八坂書房、2001年、563頁。ISBN 4-89694-470-4 

関連項目

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