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ミント・ジュレップ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミントジュレップから転送)
ミント・ジュレップ
基本情報
種別 ロングカクテル
作成技法 ビルド
グラス ジュレップカップなど
レシピの一例
ベース バーボン・ウイスキー
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ミント・ジュレップ

ミント・ジュレップ(英: mint julep)は、バーボン・ウイスキーをベースとする冷たいタイプのロングドリンク(ロングカクテル)。競馬ケンタッキーダービーのオフィシャルドリンクとなっていることでも知られる[1]。(詳細は「競馬とミント・ジュレップ」の節を参照)

冷たいタイプのカクテルとしては起源が古く、南北戦争時代には飲まれていたと言う記録があり[2]、一説によれば、18世紀末〜19世紀初頭には存在していたという[3]。ただし、当時のレシピは現在の標準的なレシピとは異なるともいわれる。なお、ジュレップとは、カクテルのスタイルの一種。

標準的なレシピ

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作り方

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ロング・ドリンクは、先にを入れたグラスに他の材料を入れて作るのが一般的[4]であるが、ミント・ジュレップの場合は、以下の「作り方 その1」のように、氷を後から入れるという作り方も広く行われる。

作り方 その1

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  1. コリンズ・グラス(ゾンビ・グラス)、または、タンブラー、もしくは、ゴブレットにミントと砂糖と水(または炭酸水)を入れる。ミントはバー・スプーンで潰して香りを出し、砂糖はよく溶かす。なお、この時に使用するグラスの容量は、240〜360ml程度である。
  2. そこにバーボンを加え、クラッシュド・アイスをいっぱいに詰め、よくステアする。
  3. ステアの際、氷が融けて減るので、適量のクラッシュド・アイスを追加する。
  4. 最後にミントの若芽を飾り(このミントは潰さない)、ストローを添える。

作り方 その2

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  1. ミキシング・グラスオールド・ファッションド・グラスなどの別なグラスに、ミントと砂糖と水(または炭酸水)を入れ、ミントはバー・スプーンで潰して香りを出す、砂糖はよく溶かす。なお、この時に使用するグラスの容量は、作り易いサイズのものを選択すれば良い。
  2. クラッシュド・アイスをいっぱいに詰めたコリンズ・グラス(ゾンビ・グラス)、または、タンブラー、もしくは、ゴブレットに注ぎ、さらにバーボンを加えて、よくステアする。なお、この時に使用するグラスの容量は、240〜360ml程度である。
  3. ステアの際、氷が融けて減るので、適量のクラッシュド・アイスを追加する。
  4. 最後にミントの若芽を飾り(このミントは潰さない)、ストローを添える。

その他の作り方

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  • ミントの葉をバーボンにしばらく浸して、ミントの味と香りを酒に移す方法もある。
  • ミントの葉、砂糖、水を一緒に煮て作ったシロップを使用する作り方もある。

備考

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  • 使用するグラスについて
    • 予めグラスも冷却しておくことが望ましい[1]
    • カクテルを供する時に使用するグラスの容量は、240〜360ml程度であるが、300ml以上の大型のグラスを指定するレシピもしばしば見られる。
  • 使用するミントについて
    • ミントの若芽ではなく、ミントの葉が付いた大き目の茎を飾る場合や、ミントの葉しか飾らない場合もある。使用するミントの量は、飲む人の好みなどにあわせて構わない。
    • ミントの種類は特に決まっていないが、スペアミントペパーミントなどを使用するのが一般的。漫画『BARレモンハート』においては「ミントの葉はペパーミント」とマスターが説明しており、「スペアミントでは苦味があり葉も厚いのでアクも出る」とも語っている。
    • 香りを強くするために、少量のミント・リキュール(色の付けられていない無色透明のもの)を加えることもある[1]。なお、リキュールには糖分が含まれているので、リキュールを使った場合、砂糖は使用しないこともある。
    • このカクテルは、ミントの葉が無ければ、作ることができない[5]。これは、ミント・リキュールを使用した場合も同様である。
    • 飾ったミントに、パウダー・シュガー(粉糖)を振り掛けることで、ミントの葉にが付いているように見せ、涼しさを演出することもある[6][7]
  • これは酒全般に言えることだが、使用する水は、塩素臭の無いものでなければならない。このため、基本的に水道水は使わない(井戸水や湧水をそのまま水道水として使っている場合は、塩素臭が無いので使用することもある)。
  • レモンオレンジパイナップルやマラスキーノ・チェリーなどを飾ることもある。なお、レモンやオレンジは、適切なサイズと形に切ること。ただし、ミントの若芽(葉のみの場合や、葉の付いた大きな茎の場合もある)を飾るのが必須であるのに対し、果物を飾るか否かは完全に任意である。果物は飾らないとするレシピも、しばしば見られる。
  • ストローの他に、マドラーも添える場合もある[8][9]

バリエーション

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  • ベースのバーボンを、ラム(ホワイト、または、ゴールド)に変えると、「ラム・ジュレップ」となる。なお、ホワイト・ラムを選択するか、ゴールド・ラムを選択するかは、飲む人の好みによるので、ラム・ジュレップを注文する際は、ラムのタイプの指定をすることが望ましい。
  • ベースのバーボンを、ブランデーに変えると、「ジョージア・ミント・ジュレップ」となる。
  • ベースのバーボンを、シャンパンに変えると、「シャンパン・ジュレップ」となる。
  • ベースのバーボンを、ジンに変えると、「ジン・ジュレップ」となる。

レシピの変遷

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現在、ミント・ジュレップはバーボンベースのカクテルとして定着しているが、このカクテルが誕生した当初はワインをベースとして作られていた[1] [7]。一説によれば、それはポート・ワインを使用したものだったとも言われている[3]

競馬とミント・ジュレップ

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このカクテルは、競馬のケンタッキーダービーのオフィシャルドリンクとなっている。同ダービーが開催されるチャーチルダウンズ競馬場でのダービー・レース開催当日はもちろんのこと、その開催前に催される社交パーティやランチョン時に、こぞって提供されるカクテルでもある。なお、同ダービー・レース当日、同競馬場内でミント・ジュレップは売り歩かれており[10]、同競馬場では何万杯ものミント・ジュレップが飲まれるとの話もある[7]

映画『007 ゴールドフィンガー』の中で、悪役オーリック・ゴールドフィンガーが、拉致したジェームズ・ボンドに対し自身の所有するケンタッキーの競走馬育成の馬舎でミントジュレップを振る舞い、「甘味はどうかね?」とと問うシーンがある。

文学、映像作品とミント・ジュレップ

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関連項目

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出典

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  1. ^ a b c d 上田和男『カクテル』西東社、2001年、79頁。ISBN 4-7916-0994-8 
  2. ^ 若松誠志 監修『ベストカクテル250』日本文芸社、2003年、161頁。ISBN 4-537-20211-4 
  3. ^ a b 福西英三『カクテルズ』ナツメ社、1996年、70頁。ISBN 4-8163-1744-9 
  4. ^ 福西英三『カクテル入門』保育社、1982年、138頁。ISBN 4-586-50563-X 
  5. ^ 稲保幸『カクテルガイド』新星出版、1997年、40頁。ISBN 4-405-09629-5 
  6. ^ 今井清『たのしむカクテル』(改訂版)梧桐書院、1988年、200頁。ISBN 4-340-01204-1 
  7. ^ a b c 澤井慶明 監修『カクテルの事典』成美堂出版、1996年、24頁。ISBN 4-415-08348-X 
  8. ^ アンテナハウス編集『カクテル物語』同文書院、1991年、45頁。ISBN 4-8103-7043-7 
  9. ^ 桑名伸佐 監修『カクテル・パーフェクトブック』日本文芸社、2006年、245頁。ISBN 978-4-537-20423-0 
  10. ^ a b 福西英三『ウイスキー入門』保育社〈カラーブックス 834〉、1992年、76頁。ISBN 4-586-50834-5 
  11. ^ 福西英三『カクテル入門』保育社、1982年、17頁。ISBN 9784586505630 

参考文献

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  • 上田 和男 『カクテル』 西東社 2001年3月15日発行 ISBN 4-7916-0994-8
  • 福西 英三 『カクテルズ』 ナツメ社 1996年9月1日発行 ISBN 4-8163-1744-9
  • 福西 英三 『カラーブックス 563 カクテル入門』 保育社 1982年3月5日発行 ISBN 4-586-50563-X
  • 稲 保幸 『カクテル こだわりの178種』 新星出版 1998年7月15日発行 ISBN 4-405-09640-6
  • 稲 保幸 『カクテルガイド』 新星出版 1997年4月15日発行 ISBN 4-405-09629-5
  • 花崎 一夫 監修 『ザ・ベスト・カクテル』 永岡書店 1990年6月5日発行 ISBN 4-522-01092-3
  • 澤井 慶明 監修 『カクテルの事典』 成美堂出版 1996年12月20日発行 ISBN 4-415-08348-X
  • 山本 祥一朗 監修 『カラー図解 カクテル』 成美堂出版 1994年12月10日発行 ISBN 4-415-07873-7
  • 高井 久 監修 『絵でわかるカクテル入門』 日東書院 1989年7月20日発行 ISBN 4-528-00362-7
  • YYTproject 編集 『おうちでカクテル』 池田書店 2004年10月20日発行 ISBN 4-262-12918-7
  • アンテナハウス 編集 『カクテル物語』 同文書院 1991年12月18日発行 ISBN 4-8103-7043-7
  • 桑名 伸佐 監修 『カクテル・パーフェクトブック』 日本文芸社 2006年2月25日発行 ISBN 978-4-537-20423-0