ミツバウツギ
ミツバウツギ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Staphylea bumalda DC. (1825)[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ミツバウツギ(三葉空木)、 ホソバミツバウツギ[1] |
ミツバウツギ(三葉空木[4]・三つ葉空木[5]・省沽油[6]、学名: Staphylea bumalda)は、ミツバウツギ科ミツバウツギ属の落葉低木。山地の沢沿いなどに生える。若葉はゆでて山菜として食用にされる。
名称
[編集]和名「ミツバウツギ」の由来は、小葉が3枚ある複葉で、ウツギに似た白い花をつけることから名付けられている[7]。別名で、コメゴメ[8]、コメウツギ[8]、コメノキ[8]、ハシウツギ[8]などがある。関東地方や東北地方の地方名で「ハシギ」「ハシノキ」ともよばれており、かつて箸に利用されたことによる[7]。中国植物名は「省沽油」[1]。
分布・生育地
[編集]日本の北海道・本州・四国・九州・沖縄に分布するほか[5]、朝鮮半島、中国の東アジア一帯に分布する[7]。平地から山地、特に低山帯に多く分布する[4]。原野、川の縁、やぶなどの山地寄り[8]、山麓の山林の樹木下でよく見られ[7]、雑木に混ざって生える[4]。適度に湿った土地では、日当たりのよい場所にも生える[4]。
形態・生態
[編集]落葉広葉樹の低木で、高さ2 - 5メートル (m) になる[7]。樹皮は灰褐色で縦の筋が入る[5]。細くて長い灰褐色の枝がたくさん出て[8]、茎はウツギと同様に中空となる。枝の元には枯れた小枝が何本も残っている[8]。一年枝は褐色や紫褐色で、無毛で皮目がある[5]。葉は小葉が3枚ずつつく3出複葉で、枝の節ごとに長い葉柄を持って対生する[7][8]。小葉は先が尖った卵形から長卵状楕円形で、葉縁に細かな鋸歯がある[4][8]。
花期は初夏(5 - 6月ごろ)[7][4]。花は枝先に円錐花序をなして、筒型の白い花が穂状になって、垂れ下がるように咲させる[4][8]。花は水平に完全には開くことはなく半開きの状態であるが[8]、花弁・がく(各5枚)とも白く、よく目立つ。果実は偏平で先の尖った軍配のような形をした蒴果で[8]、シワがあり、二股の風船のような形に例えられる[5]。秋に熟して、先端は2 - 3裂する[7]。冬でも果実が枯れ姿で枝に残っていることもある[5]。
冬芽は広卵形や半球形の鱗芽で無毛、芽鱗は栗褐色で2枚つく[5]。枝先に仮頂芽が2個つき、側芽が枝に対生する[5]。葉痕部分は膨らんでいて目立つ[5]。葉痕は半円形で、維管束痕は3 - 9個つく[5]。
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スケッチ
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花と蕾
利用
[編集]新芽や若葉、蕾は食用になる[7][8]。採取時期は、関東地方以西など暖地が4 - 6月ごろ、東北地方以北など寒冷地が5 - 6月ごろとされ、伸び始めた新芽を摘み取る[4][8]。梅雨入りするころにはアブラムシが発生して、食用には適さないという[4]。若芽は茹でて水にさらし、おひたし、ごま・酢味噌などの和え物、煮物、炒め物、煮びたしにする[4][8]。また生で天ぷら、汁の実、油炒めにしたり、細かく刻んで炊き上がった米飯に混ぜて蒸らし、混ぜご飯(菜飯)にもできる[4][8]。蕾はさっと茹でて、三杯酢、寒天寄せ、すまし汁の浮き実にする[8]。食味は、柔らかい葉にはアクやクセがなく上品な味わいで、老若を問わず好まれると評されている[8]。
脚注
[編集]- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Staphylea bumalda DC. ミツバウツギ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Staphylea bumalda DC. var. glabra Nakai ミツバウツギ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Staphylea bumalda DC. f. stenophylla (Honda) Okuyama ミツバウツギ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 高橋秀男監修 2003, p. 141.
- ^ a b c d e f g h i j 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 122
- ^ “みつばうつぎ | 言葉 | 漢字ペディア”. www.kanjipedia.jp 漢字ペディア. 日本漢字能力検定協会. 2021年4月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 251.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 金田初代 2010, p. 102.
参考文献
[編集]- 金田初代、金田洋一郎(写真)『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、102 - 103頁。ISBN 978-4-569-79145-6。
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、122頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 高橋秀男 監修、田中つとむ・松原渓 著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、141頁。ISBN 4-05-401881-5。
- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、251頁。ISBN 4-522-21557-6。