バクシャーリー写本
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バクシャーリー写本(バクシャーリーしゃほん)は、今のパキスタンのバクシャーリー(Bakhshali)付近で発見された文献。西暦4世紀から5世紀頃に書かれたとされる。サンスクリット語のシャーラダー文字で書かれており、古代インドのヴェーダ時代と古典期をつなぐ数学の貴重な文献として知られている。
概要
[編集]1881年、バクシャーリー村の付近で廃墟を掘り起こしていた農夫が発見した。樺の樹皮に書かれた70枚ほどの文献があり、現在はオクスフォード大学の図書館に収められている。発見後にルドルフ・ヘルンレによって一部が英訳され、その後、注釈つきでG・R・ケイ(G.R. Kaye)が英訳した。写本の著者は知られていない。
バクシャーリー写本は、規則(スートラ)と、その例題が集められており、次のような順番で書かれている。規則、例題(はじめは言語、次に記号)、解、検算。
算術と代数が中心で、幾何学的な求積問題も含まれている。算術の例題には、分数、平方根、損益勘定、利息、三数法などがある。代数の例題には、1次方程式、2次方程式、連立方程式、不定方程式、等差数列などがある。記数法においては、0や未知数を表すために点が用いられており、位取りに発展がみられる。
ヴェーダ時代やジャイナ教の数学とくらべ、世俗的、実用的な問題に適用される問題が多い。またシュルバ・スートラにも見られた無理数の近似値について精度を増し、ジャイナ教時代の数列の研究が進められた。
脚注
[編集]- ^ “最古の「ゼロ」文字、3~4世紀のインド書物に 英大学が特定”. AFPBB News (2017年9月16日). 2017年9月20日閲覧。
参考文献
[編集]- ジョージ・G・ジョーゼフ『非ヨーロッパ起源の数学』垣田高夫、大町比佐栄訳、講談社、1996年。