タマミズキ
タマミズキ | ||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Ilex micrococca Maxim.[2] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
タマミズキ | ||||||||||||||||||||||||
品種 | ||||||||||||||||||||||||
キミノタマミズキ I. micrococca Maxim. f. luteocarpa H.Ohba et S.Akiyama[3] |
タマミズキ(玉水木、学名:Ilex micrococca Maxim.[2])とは、モチノキ科モチノキ属に分類される落葉高木の1種[4][5][6][7]。和名は玉の果実が美しく、全体の樹形がミズキに似ている[7]ことに由来する[8][6]。
特徴
[編集]非常に生長が早く、高さ10-15 mになる[4]。しばしば大木となる[9]。全株無毛[6]。樹皮は灰褐色で[4]、皮目が目立つ[5]。本年枝には鈍い稜がある[5]。枝に丸い皮目があり、冬芽は長さ1 mmほどの低い半球形で小さくあまり目立たない[5]。芽鱗は4-6個、葉痕は半球形で、維管束痕は1個[5]。葉は互生し、長さ7-13 cm、幅3-6 cmの楕円形または卵状長楕円形で、最大幅は基部寄り[7]、洋紙質でなめらかで[6]薄く、先は急に尖り、縁には波状の細かい鋸歯があり[4][5]一見全縁に見え[7]、サクラ類に似た形[8][7]。両面とも無毛[5][7]。葉柄は長さ1.5-2 cmで、紅色を帯びることが多い[8]。葉脈は表面でへこみ、裏面に隆起する[4]。
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左:全体の樹形がミズキに似ている落葉高木のタマミズキ
右:樹皮は灰褐色で、皮目が目立つ -
葉は楕円形または卵状長楕円形
上:裏面、中:表面、下:黄葉した落葉の表面
雌雄異株[4][8][6]。本年枝の葉腋から長さ2 cmほどの複散形花序を出し、緑白色の花を多数つける[8]。花は直径2-3 mm、花弁は5-8個、長楕円形で長さ約1.5 mm[8]。萼片は5-8個[8]。雄花には完全な雄しべが5-6個と退化した雌しべがある[8]。雌花には雌しべと退化した雄しべがあり、子房は球形、花柱はほとんどなく、柱頭は1個[8]。花期は5-6月[4]。果実は核果で、枝上に群がって[6]密につき、直径約3 mmの球形で10-11月赤く熟す[4][8]。なかに核が6-8個入っている[8]。核は三角状楕円形で長さ約2 mm、表面はなめらか、なかの種子は1個[8]。実は冬も残り、よく目立つ[7]。
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上:雌花には雌しべと退化した雄しべがある
下:雄花には完全な雄しべが5-6個と退化した雌しべがある -
果実は核果で、枝上に群がって密につき、球形で赤く熟す
分布と生育環境
[編集]中国南部、海南島、台湾、ミャンマー北部、半島マレーシア、ベトナム、日本に分布する[1][4][5][6]。
日本では本州(静岡県、福井県以西)、四国、九州に分布する[5]。やや稀な[7]珍しい樹木であるが、西日本では点々と自生している[5]。
暖温帯の低山地[4]、沿海地の常緑樹林[5]、照葉樹林内に生育する[7]。
分類
[編集]黄色の実をつける品種として、キミノタマミズキ(黄実玉水木:学名:Ilex micrococca Maxim. f. luteocarpa H.Ohba et S.Akiyama[3])が知られている[9]。
利用
[編集]生垣樹木などに園芸利用されている。
種の保全状況評価
[編集]国際自然保護連合のレッドリストで低危険種(LC)の指定を受けている[1]。日本では環境省による国レベルのレッドリスト受けていないが[10]、以下の都道府県のレッドリストで指定を受けている。
脚注
[編集]- ^ a b c Ye, J.; Qin, h.; Botanic Gardens Conservation International (BGCI).; IUCN SSC Global Tree Specialist Group. (2019). “Ilex micrococca” (英語). IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T147378084A147614210. doi:10.2305/IUCN.UK.2019-2.RLTS.T147378084A147614210.en 2023年12月21日閲覧。.
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “タマミズキ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月21日閲覧。
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “キミノタマミズキ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 林弥栄 (2011), p. 405
- ^ a b c d e f g h i j k 太田ほか (2000), p. 462
- ^ a b c d e f g 牧野・本田 (1982), p. 297
- ^ a b c d e f g h i 田中 (2008), p. 662
- ^ a b c d e f g h i j k l 太田ほか (2000), p. 463
- ^ a b “タマミズキ”. 広島大学デジタル博物館. 2023年12月21日閲覧。
- ^ “環境省レッドリスト2020の公表について”. 環境省 (2020年3月27日). 2023年12月21日閲覧。
- ^ “改訂版 福井県の絶滅のおそれのある野生動植物(2016)・維管束植物” (PDF). 福井県. pp. 351. 2023年12月21日閲覧。
- ^ “維管束植物・藻類(平成27年度改訂)、鹿児島県の絶滅のおそれのある野生植物について・選定種一覧(植物)” (PDF). 鹿児島県. pp. 5. 2023年12月21日閲覧。
- ^ “レッドデータブックくまもと2019-熊本県の絶滅のおそれのある野生動植物・維管束植物・コケ植物” (PDF). 熊本県. pp. 194. 2023年12月21日閲覧。
参考文献
[編集]- 太田和夫、勝山輝男、高橋秀男、茂木透他『樹に咲く花―離弁花〈2〉』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑4〉、2000年10月1日。ISBN 978-4635070041。
- 田中啓幾『落葉樹の葉』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑12〉、2008年6月6日。ISBN 978-4635070249。
- 林弥栄『日本の樹木』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2011年11月30日。ISBN 978-4635090438。
- 牧野富太郎、本田正次『原色牧野植物大図鑑』北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZE。 NCID BN00811290。全国書誌番号:85032603 。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- タマミズキの標本 国立科学博物館標本・資料統合データベース
- タマミズキの標本(1955年5月に三重県尾鷲市便ノ山で採集) 島根大学生物資源科学部デジタル標本館
- Ilex micrococca Maxim. GBIF