コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

シオガマギク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シオガマギク
福島県会津地方 2013年9月
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: シソ目 Lamiales
: ハマウツボ科 Orobanchaceae
: シオガマギク属 Pedicularis
: シベリアシオガマ P. resupinata
亜種 : シオガマギク subsp. oppositifolia
学名
Pedicularis resupinata L. subsp. oppositifolia (Miq.) T.Yamaz.[1]
シノニム
  • Pedicularis resupinata L. var. oppositifolia Miq.[2]

シオガマギク(塩竈菊[3]、学名:Pedicularis resupinata subsp. oppositifolia )はシオガマギク属多年草[3][4][5]シベリアシオガマを分類上の基本種とする亜種[1][4]

特徴

[編集]

半寄生植物[6]は四角形になっており、下部で分枝して株状、または分枝しないで直立する[6]。高さは25-60cmになり、ときに小枝を出す。は下部のものは対生し、中部より上は互生し、狭卵形で先はとがり、縁に規則的な重鋸歯がある。葉身は長さ4-9 cm、幅1-2 cm、基部は円みのある切形で、長さ5-10 mmになる葉柄がある[3][4][5]

花期は8-9月[7]。茎や枝の上部に広卵形で、苞葉状の小さな葉が密につき、その腋に花をつける。は2片に裂け、長さ6-7 mm、幅3-4 mmになる。花冠は紅紫色で、長さ2 cmになり、一方にねじれて2裂した唇形になる。上唇は筒状で、先は鎌形に曲がったくちばし状にとがり、下唇は斜めに広がり、浅く3裂し中央の裂片はその両側の裂片より小さい。 雄蕊は花冠上唇内に4本あって、下側2本がやや長い。果実蒴果で、長さ10-12 mm、幅5 mmになる3角状卵形-長卵形で、先はとがる。蒴果に多数の種子が入る[3][4][5]

分布と生育環境

[編集]

中国東北部、朝鮮半島日本に分布する[4]

日本では、北海道の中部および南部、本州四国九州に分布し、山地の草地に生育する[3][4][5]

名前の由来

[編集]

学名の属名Pedicularisラテン語で「Pediculum」(シラミ)でシラミ駆除に用いられたことに由来し、種小名のresupinata(反対方向に湾曲している)は花冠が反対方向に湾曲していることに由来する[8]亜種名のoppositifoliaは対生葉を意味する[9]

和名シオガマギクは「塩竈菊」のこと。塩竈とは、世阿弥謡曲松風』、後の歌舞伎日本舞踊の演目『汐汲』において、浜で海水を沸かして製塩するかまど、塩竈があり、そこで「浜で(はまで)美しいのは塩竈」の言葉がでた。それが「葉まで(はまで)美しいのは塩竈」と洒落て、花も葉も美しい植物、シオガマギク(塩竈菊)という[10]

ギャラリー

[編集]

分類

[編集]
  • シベリアシオガマ Pedicularis resupinata L. subsp. resupinata - 分類上の基本種で、葉はやや細くすべて互生し、花冠上唇がしだいに細くなる。北海道北部、アルタイシベリア樺太千島列島に分布する[4]
  • ミカワシオガマ(三河塩竈) Pedicularis resupinata L. subsp. oppositifolia (Miq.) T.Yamaz. var. microphylla Honda - 葉がより小型で、長さ10-20 mm、幅4-7 mm、花冠上唇がさらに短くつまる。愛知県[11]岐阜県東濃地方[12]湿地に生える[3][4]環境省レッドリストで絶滅危惧IB類(EN)に選定されていたが、2012年8月の第4次リストでは、絶滅危惧II類(VU)にランクを下げた[13]
  • トモエシオガマ(巴塩竈) Pedicularis resupinata L. subsp. teucriifolia (M.Bieb. ex Steven) T.Yamaz. var. caespitosa Koidz. - 葉の幅がやや広く、花が茎の上部に短く集まってつき、上から見ると花の様子が巴状になる。本州の中部地方以北に分布する[3][4]

脚注

[編集]
  1. ^ a b シオガマギク 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ シオガマギク 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d e f g 山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.446
  4. ^ a b c d e f g h i 『日本の野生植物草本III合弁花類』p.116
  5. ^ a b c d 『新牧野日本植物圖鑑』p.688
  6. ^ a b 新村出 編『広辞苑』(第六版)岩波書店、東京都千代田区一ツ橋2-5-5、2008年1月11日、1194頁。ISBN 978-4-00-080121-8 
  7. ^ 林 (2009)、188頁
  8. ^ 大川 (2009)、219頁
  9. ^ 豊国 (1988)、182頁
  10. ^ 『山溪名前図鑑 野草の名前 夏』p.347
  11. ^ レッドデータブックあいち2009” (PDF). 愛知県. pp. 232 (2009年). 2013年10月14日閲覧。
  12. ^ 岐阜県レッドデータブック(初版)・ミカワシオガマ”. 岐阜県 (2001年). 2013年10月14日閲覧。
  13. ^ 【植物Ⅰ(維管束植物)】環境省第4次レッドリスト新旧対照表 27 / 33 ページ

参考文献

[編集]
  • 大川勝德『伊吹山の植物』幻冬舎ルネッサンス、2009年10月20日。ISBN 9784779005299 
  • 大場秀章編著『植物分類表(初版第3刷訂正入)』、2011年、アボック社
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎他編『日本の野生植物 草本III合弁花類』、1981年、平凡社
  • 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
  • 高橋勝雄『山溪名前図鑑 野草の名前 夏』、2003年、山と溪谷社
  • 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月。ISBN 4-635-09019-1 
  • 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
  • 林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 9784635090421 

外部リンク

[編集]