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コイチヤクソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コイチヤクソウ
コイチヤクソウ、木曽駒ヶ岳、長野県木曽郡木曽町にて、2020年8月7日撮影
コイチヤクソウ、2020年8月
木曽駒ヶ岳長野県木曽郡木曽町にて
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
: ツツジ目 Ericales
: ツツジ科 Ericaceae
亜科 : イチヤクソウ亜科 Pyroloideae
: コイチヤクソウ属 Orthilia
: コイチヤクソウ O. secunda
学名
Orthilia secunda (L.) House[1]
シノニム
  • Ramischia secunda (L.) Garcke[2]
  • Pyrola secunda L.[3]
和名
コイチヤクソウ

コイチヤクソウ(小一薬草、学名:Orthilia secunda (L.) House[1])は、ツツジ科コイチヤクソウ属分類される常緑半寄生の小さな多年草の1[4][5][6][7][8][9]種小名secundaは「片方にかたよる」の意味で、のつき方であるこの花序に由来する[4]和名イチヤクソウより小さいことに由来する[9]。かつてはイチヤクソウ科とされたが[5]、新しいAPG植物分類体系ではツツジ科に含められている[1]

特徴

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地中に細長い根茎がある[5]は長さ1-4 cm、幅0.6-3.5 cmの広卵形-卵形で先は短くとがり[4][5]、3-4枚ずつかたまって互生する[8]。普通はふちに細い鋸葉があり[4]、表面はやや光沢がある[5]葉柄は1-1.5 cmで[4]、葉は下部に集まってつく[5]。茎の先端に3-4枚の広披針形の鱗片がある[6]

花茎は細く[5]高さ5-9 cmで直立し、総状花序[6]先端に約10個の花が片側に偏ってやや密につく[4][7]花冠は緑白色で直径約5 mmと小型の壺形で[4][5]、深く5裂し、あまり開かない[7]。花序の軸には乳頭状の短毛がはえる[6]。小花柄の基部に苞葉がある[7]雄しべは10個[8]、孔開裂する[7]雌しべは曲がらない[9]子房は球形で基部に10個の花盤がある[6]裂片は円形に近く、長さと幅はぼぼ同長[5]。花のあと花茎は伸びて10 cm以上となる[4]。花期は6-6月[4]蒴果は扁球形で、10本の稜があり、先端から5片に裂け、裂片の縁にはほとんど毛がない[6]

分布と生育環境

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亜高山帯の林内に生育するコイチヤクソウ

ヨーロッパアジアサハリン千島列島日本北米北半球の高山・亜寒帯に分布する[4][8]

日本では、北海道本州中部地方以北)に分布する[4][5][6][7][8]富士山[8]の亜高山帯にも分布する[5][9]

山地から亜高山帯にかけての深山[5]内に生育する[4][6][7][9][10]。低山帯の上部に生育する[8]

種の保全状況評価

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日本では環境省による国レベルのレッドリスト受けていないが[11]岐阜県では絶滅危惧I類の指定を受けている[12]

脚注

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  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “コイチヤクソウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月16日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “コイチヤクソウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月16日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “コイチヤクソウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月16日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 豊国 (1988)、284頁
  5. ^ a b c d e f g h i j k l 林 (2009)、295頁
  6. ^ a b c d e f g h 佐竹 (1981)、3頁
  7. ^ a b c d e f g 門田 (2013)、378頁
  8. ^ a b c d e f g 小野 (1987)、302頁
  9. ^ a b c d e 佐野 (2019)、110頁
  10. ^ 清水 (2014)、293頁
  11. ^ 環境省レッドリスト2020の公表について”. 環境省 (2020年3月27日). 2023年12月16日閲覧。
  12. ^ コイチヤクソウ” (PDF). 岐阜県. 2023年12月16日閲覧。

参考文献

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  • 小野幹雄林弥栄『原色高山植物大図鑑』北隆館、1987年3月30日。ISBN 4832600079 
  • 門田裕一、畔上能力、永田芳男、菱山忠三郎、西田尚道『山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年3月30日。ISBN 978-4635070218 
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類』平凡社、1981年10月。ISBN 4582535038 
  • 佐野光雄『イラストで見る富士山の草花』東洋館出版社、2019年11月16日。ISBN 978-4491037509 
  • 清水建美、門田裕一、木原浩『高山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑8〉、2014年3月22日。ISBN 978-4635070300 
  • 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月。ISBN 4-635-09019-1 
  • 林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 9784635090421 

外部リンク

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