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ケルン級フリゲート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ケルン級フリゲート
基本情報
種別 フリゲート
命名基準 ドイツの都市
運用者  西ドイツ海軍
 トルコ海軍
建造期間 1957年 - 1964年
就役期間 西ドイツ 1961年 - 1989年
前級 教育フリゲート (138型)ドイツ語版
※旧英海軍ハント級/ブラックスワン級
次級 ブレーメン級 (122型)
要目
基準排水量 2,090トン
満載排水量 2,750トン
全長 109.8 m
最大幅 11.0 m
吃水 4.6 m
機関方式 CODAG方式
主機
推進器 可変ピッチ・プロペラ×2軸
出力
  • ディーゼル:12,000馬力
  • ガスタービン:24,000馬力
電源 ディーゼル発電機(405 kW)×3基
速力 32ノット
航続距離 3,450海里 (12kt巡航時)
乗員 238名
兵装
FCS
  • M45×4基 (砲・機銃用)
  • M5 UBFCS (対潜ロケット用)
  • M9 UBFCS (魚雷用)
  • レーダー
  • DA-02 目標捕捉用
  • ZW-01 対水上捜索用
  • KH14/9 航法用
  • ソナー CWE-10/PAE-1 船底装備式
    電子戦
    対抗手段
    • 電波探知装置
    • 20連装デコイ発射機×2基
    テンプレートを表示

    ケルン級フリゲート (ドイツ語: Fregatte KÖLN-Klasse, : Köln-class frigate) は、ドイツ連邦海軍(西ドイツ海軍)フリゲートの艦級。公称艦型は120型Klasse 120[1][2]

    来歴

    [編集]

    第二次世界大戦後、連合軍軍政期においてドイツは一旦は非武装化された。しかし冷戦構造の成立に伴い、1949年のドイツ連邦共和国(西ドイツ)建国後、1951年には連邦国境警備隊1955年には連邦軍が設置され、翌1956年にはその海洋戦力として連邦海軍(Bundesmarine; 西ドイツ海軍)が建軍された[3]

    1956年5月、連邦議会は海軍のための最初の艦艇新造計画を認可したが、この計画には護衛艦(Geleitboot)6隻の建造が盛り込まれていた[4]。これによって建造されたのが本級である。設計そのものは「護衛艦55」として1955年より着手されており、1957年に発注された[1][2]

    ただし実際の竣工は数年後となることから、その間の空白を埋めるため、アメリカ海軍から119型駆逐艦(旧フレッチャー級駆逐艦)6隻、イギリス海軍からは138型教育フリゲート7隻(旧ハント級駆逐艦3隻、ブラックスワン級スループ1隻、改ブラックスワン級スループ3隻)の譲渡を受けることとなり、これらは1958年から1960年にかけて順次に編入された[3]

    設計

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    本級は、第二次世界大戦後において、ドイツ海軍がはじめて建造した大型戦闘艦であり、世界で初めてCODAGディーゼル=ガスタービン複合機関)を搭載した艦でもある。本級の主機関は、4基のMAN社製V型16気筒ディーゼルエンジン(2,208 kW (2,961 hp))と2基のブラウン・ボベリ(BBC)社製ガスタービンエンジン(8,832 kW (11,844 hp))を組み合わせたものであり、また電力供給のため、550hp / 405kWのディーゼル発電機を3基搭載する。このガスタービンエンジンは舶用専用として設計されたものであり、また推進器にも可変ピッチプロペラ(CPP)を採用するなど多くの新機軸が盛り込まれた[2]。船型としては平甲板型を採用しており、船体は13個の水密区画に区分されている[5]

    装備

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    本級は、対潜戦に重点をおいた装備が施されている。対潜兵器としては533mm短魚雷発射管のほか、対潜迫撃砲として、艦橋直前の甲板室上にM/50 375mm対潜ロケット発射機が搭載されている。センサとなるソナーとしては、CWE-10/PAE-1が搭載される。これは同一のソナードームを共用する複合ソナー・システムであり、前者は10.5/11kHz、後者は24kHzを使用するサーチライト・ソナーである。また、水中攻撃指揮装置(UBFCS)としてはM5(対潜ロケット砲用)およびM9(魚雷用)が用いられるが、これはアメリカのMk.105におおむね相当する[6]

    また本級は砲装型のフリゲートであり、防空・対水上火力に関しては砲熕兵器に依存している。主砲としてはフランス製の新しい両用砲システムである55口径100mm単装砲(Modèle 53高角機銃としては、やはり新型のボフォース 70口径40mm機関砲ブレーダ・メッカニカ・ブレシャーナ社製マウントと組み合わされて採用された[7]

    しかし船体は比較的小型で発展余地も少なかったことから、就役後に登場した新しいテクノロジーである個艦防空ミサイル艦対艦ミサイルC4Iシステムには対応できなかった。また対潜戦についても、就役後に登場した艦載ヘリコプターの運用設備(ヘリコプター甲板格納庫)の設置には対応できなかった[5]

    同型艦

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    一覧表

    [編集]
    # 艦名 起工 進水 就役 退役 備考
    F220 ケルン
    Köln
    1957年
    12月21日
    1958年
    12月6日
    1961年
    4月15日
    1982年
    7月14日
    ノイシュタット市de)にて、船体をダメージコントロール訓練に利用。
    F221 エムデン
    Emden
    1958年
    4月15日
    1959年
    3月21日
    1961年
    10月24日
    1983年
    9月23日
    トルコ海軍にてD-361「ゲムリク」として再就役(1983〜1989)
    F222 アウクスブルク
    Augsburg
    1958年
    10月29日
    1959年
    8月15日
    1962年
    4月7日
    1988年
    3月31日
    ハンブルクにて解体
    F223 カールスルーエ
    Karlsruhe
    1958年
    12月15日
    1959年
    10月24日
    1962年
    12月15日
    1983年
    3月28日
    トルコ海軍にてD-360「ゲリボル」として再就役(1983〜1992)
    F224 リューベック
    Lübeck
    1959年
    10月28日
    1960年
    7月23日
    1963年
    7月6日
    1988年
    12月1日
    予備部品確保用としてトルコに譲渡
    F225 ブラウンシュヴァイク
    Braunschweig
    1960年
    7月28日
    1962年
    2月3日
    1964年
    7月16日
    1989年
    7月4日
    トルコ海軍にてD-361「ゲムリク」として再就役(1989〜1994)

    運用史

    [編集]

    1957年から1964年にかけて、西ドイツストラッケン&ゾーン造船所において6隻が建造された。これらは1961年より順次に就役を開始し、続いて建造されたハンブルク級駆逐艦とともに、1970年代1980年代において西ドイツ海軍の基幹兵力となった。しかし上記の通り発展余地が乏しく、性能が限定的であったことから、後継となるブレーメン級フリゲートの就役に伴って順次に運用を終了し、1989年までに全艦が退役した[1]

    退役後、本級のうち3隻はトルコ海軍に譲渡され、うち2隻が再就役したものの、これらも1994年までに運用を終了した。

    脚注

    [編集]

    出典

    [編集]
    1. ^ a b c Gardiner 1996, p. 144.
    2. ^ a b c 海人社 1998.
    3. ^ a b 青木 1998.
    4. ^ Gardiner 1996, p. 141.
    5. ^ a b Koop & Breyer 1996.
    6. ^ Friedman 1997, p. 600.
    7. ^ Prezelin 1990, p. 538.

    参考文献

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    • Friedman, Norman (1997), The Naval Institute Guide to World Naval Weapon Systems 1997-1998, Naval Institute Press, ISBN 9781557502681, https://books.google.co.jp/books?id=l-DzknmTgDUC 
    • Gardiner, Robert (1996), Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995, Naval Institute Press, ISBN 978-1557501325 
    • Koop, Gerhard; Breyer, Siegfried (1996), Die Schiffe, Fahrzeuge und Flugzeuge der deutschen Marine von 1956 bis heute, Bernard & Graefe Verlag, ISBN 9783763759507 
    • Moore, John E. (1975), Jane's Fighting Ships 1974-1975, Watts, ASIN B000NHY68W 
    • Prezelin, Bernard (1990), The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991, Naval Institute Press, ISBN 978-0870212505 
    • 青木栄一「戦後ドイツ海軍の歩み (ドイツ軍艦の戦後史)」『世界の艦船』第542号、海人社、69-73頁、1998年9月。doi:10.11501/3292326 
    • 海人社 編「水上戦闘艦 (第2次大戦後のドイツ軍艦)」『世界の艦船』第542号、海人社、80-83頁、1998年9月。doi:10.11501/3292326 

    外部リンク

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