ギタウ・ダニエル
ギタウ・ダニエル(Gitau Daniel [1]1987年10月1日 - )は、日本を拠点にして活躍しているケニア共和国出身の陸上競技選手(長距離種目)。ケニア・ガル高校出身、日本大学国際関係学部卒業。富士通所属[2]。
来歴
[編集]2006年に来日、日本大学に留学し学生三大駅伝やインカレを中心に活躍。中距離種目もこなす。2008年の第84回箱根駅伝では2区を担当、区間2位となる1時間07分27秒で走りきり、日本大学の順位を19位から4位まで押し上げて15人抜き(第79回箱根駅伝 順天堂大学中川拓郎に並ぶ歴代タイ記録)を達成した。2008年の出雲駅伝では最終第6区のアンカーを務め、5位で襷を受け4人を交わし、先頭を走る駒澤大学の宇賀地強との1分29秒差を逆転。2006年に山梨学院大学のメクボ・ジョブ・モグスが残した区間記録を5秒更新する走りで日本大学出雲駅伝優勝のゴールテープを切った。2009年の第85回箱根駅伝では前回に続いて2区を担当。区間2位となる1時間07分04秒の力走で、22位から大会新記録となる20人抜きを達成[3]、2位まで追い上げる活躍を見せた。
2009年の関東インカレでは、800m、1500m、5000m、10000mの四種目に出場し、全て優勝。関東インカレ初の四冠を成し遂げた。800mではその年の10月に800mの日本記録を更新する横田真人(慶應義塾大学)を下し、大会新記録での優勝であった。第21回出雲駅伝では前年度に引き続き6区アンカーを務め、前年の自身の記録を11秒縮める区間新記録を樹立。日本大学出雲駅伝連覇に貢献した。続く第41回全日本大学駅伝では8区アンカーを務め3位で襷を受け取ると、先頭を行く明治大学との1分53秒差を逆転。2位東洋大学まで3分36秒差に広げ、日本大学4年ぶり3度目の優勝に貢献した。2010年、第86回東京箱根間往復大学駅伝競走では5区山登りに挑み柏原竜二と対決するとの事前報道がなされたが、2区(23.2km)に出場しモグスの刻んだ区間記録更新と日本大学による大学駅伝完全制覇に挑んだ。13番手でタスキを受けると11人を抜き明治大学につぐ2番手で戸塚中継所に到着、1時間07分37秒で箱根駅伝では初めて区間賞を獲得したが、「最初の1キロを抑え過ぎた。朝、寒くて体が動かなかった」と回顧する走りとなった[4]。
記録
[編集]戦績
[編集]日付 | 大会名 | 区分 | 距離 | 種別 | タイム | 順位 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2006/04/02 | 第34回 世界クロスカントリー選手権 | 8km | クロスカントリー | 24:34 | 15位 | U20 | |
2006/04/26 | ※町田 | 10000m | トラック | 28:38.9h | 組1位 | ||
2006/05/06 | ※平塚 | 5000m | トラック | 14:08.3h | 組1位 | ||
2006/05/13 | 第85回 関東インカレ 1部 | 10000m | トラック | 28:17.15 | 2位 | ||
2006/05/20 | ※袋井 | 5000m | トラック | 13:47.05 | 組3位 | ||
2006/06/09 | 第75回 日本インカレ | 10000m | トラック | 28:47.53 | 3位 | ||
2006/06/11 | 第75回 日本インカレ | 5000m | トラック | 13:41.55 | 5位 | ||
2006/10/09 | 第18回 出雲駅伝 | 6区 | 10.2km | 駅伝 | 29:15 | 区間2位 | |
2006/10/21 | 第182回 日体大記録会 | 10000m | トラック | 28:05.96 | 組2位 | ||
2006/11/05 | 第38回 全日本大学駅伝 | 2区 | 13.2km | 駅伝 | 37:48 | 区間賞 | |
2007/01/02 | 第83回 箱根駅伝 | 3区 | 21.4km | 駅伝 | 1:03:15 | 区間2位 | |
2007/04/30 | 第186回 日体大記録会 | 5000m | トラック | 13:24.94 | 組1位 | ||
2007/06/08 | 第76回 日本インカレ | 10000m | トラック | 28:59.51 | 3位 | ||
2007/06/10 | 第76回 日本インカレ | 5000m | トラック | 13:50.06 | 7位 | ||
2007/10/08 | 第19回 出雲駅伝 | 6区 | 10.2km | 駅伝 | 28:55 | 区間賞 | |
2007/10/20 | 第190回 日体大記録会 | 10000m | トラック | 27:44.73 | 組1位 | ||
2007/11/04 | 第39回 全日本大学駅伝 | 1区 | 14.6km | 駅伝 | 41:56 | 区間賞 | 区間タイ記録 |
2008/01/02 | 第84回 箱根駅伝 | 2区 | 23.1km | 駅伝 | 1:07:27 | 区間2位 | |
2008/04/20 | 第193回 日体大記録会 | 5000m | トラック | 13:34.11 | 組1位 | ||
2008/05/25 | 第87回 関東インカレ 1部 | 5000m | トラック | 13:38.75 | 1位 | ||
2008/06/22 | 第40回 全日本大学駅伝選考会 | 4組 | 10000m | トラック | 28:47.59 | 組1位 | |
2008/09/12 | 第77回 日本インカレ | 10000m | トラック | 28:03.96 | 1位 | ||
2008/09/14 | 第77回 日本インカレ | 5000m | トラック | 13:32.88 | 1位 | ||
2008/10/13 | 第20回 出雲駅伝 | 6区 | 10.2km | 駅伝 | 28:28 | 区間賞 | 区間新記録 |
2008/11/02 | 第40回 全日本大学駅伝 | 4区 | 14.0km | 駅伝 | 39:41 | 区間2位 | |
2009/01/02 | 第85回 箱根駅伝 | 2区 | 23.1km | 駅伝 | 1:07:04 | 区間2位 | |
2009/02/01 | 第63回 香川丸亀国際ハーフマラソン | 21.0975km | ハーフマラソン | 1:01:34 | 2位 | ||
2009/04/11 | 日本大学・東海大学対抗陸上競技会 | 1500m | トラック | 3:38.12 | 1位 | UR | |
2009/04/11 | 日本大学・東海大学対抗陸上競技会 | 800m | トラック | 1:47.78 | 1位 | ||
2009/04/19 | ※平塚 | 12組 | 5000m | トラック | 13:23.72 | 組1位 | |
2009/05/16 | 第88回 関東インカレ 1部 | 予選1組 | 1500m | トラック | 3:58.32 | 組1位 | |
2009/05/16 | 第88回 関東インカレ 1部 | 決勝 | 1500m | トラック | 3:44.18 | 1位 | |
2009/05/17 | 第88回 関東インカレ 1部 | 10000m | トラック | 28:39.94 | 1位 | ||
2009/05/23 | 第88回 関東インカレ 1部 | 予選2組 | 800m | トラック | 1:50.60 | 組1位 | |
2009/05/24 | 第88回 関東インカレ 1部 | 5000m | トラック | 13:47.19 | 1位 | ||
2009/05/24 | 第88回 関東インカレ 1部 | 決勝 | 800m | トラック | 1:48.06 | 1位 | GR |
2009/05/30 | 第20回 ゴールデンゲームズinのべおか | 1500m | トラック | 3:37.96 | 1位 | GR・UR | |
2009/07/05 | 第52回 札幌国際ハーフマラソン | 21.0975km | ハーフマラソン | 1:03:05 | 12位 | ||
2009/09/04 | 第78回 日本インカレ | 10000m | トラック | 28:34.71 | 1位 | ||
2009/09/06 | 第78回 日本インカレ | 5000m | トラック | 13:41.77 | 1位 | ||
2009/10/12 | 第21回 出雲駅伝 | 6区 | 10.2km | 駅伝 | 28:17 | 区間賞 | 区間新記録 |
2009/11/01 | 第41回 全日本大学駅伝 | 8区 | 19.7km | 駅伝 | 56:54 | 区間賞 | |
2010/01/02 | 第86回 箱根駅伝 | 2区 | 23.1km | 駅伝 | 1:07:37 | 区間賞 | |
2010/02/07 | 第64回 香川丸亀国際ハーフマラソン | 21.0975km | ハーフマラソン | 1:01:08 | 1位 | ||
2010/05/15 | 第52回 東日本実業団選手権 | 1500m | トラック | 3:41.26 | 1位 | ||
2010/05/16 | 第52回 東日本実業団選手権 | 4組 | 5000m | トラック | 13:30.13 | 組2位 | 総合2位 |
2010/07/04 | 第53回 札幌国際ハーフマラソン | 21.0975km | ハーフマラソン | 1:04:53 | 17位 | ||
2010/07/25 | ※東京 | 1500m | トラック | 3:43.34 | 1位 | ||
2010/12/05 | 第213回 日体大記録会 | 5000m | トラック | 13:46.66 | 組10位 | ||
2011/04/09 | 第20回 金栗記念大会 | 5000m | トラック | 13:34.12 | 組4位 | ||
2011/04/24 | 第59回 兵庫リレーカーニバル | 10000m | トラック | 27:57.63 | 組7位 | ||
2011/05/28 | 第22回 ゴールデンゲームズinのべおか | 5000m | トラック | 13:34.24 | 組10位 | ||
2011/07/03 | 第54回 札幌国際ハーフマラソン | 21.0975km | ハーフマラソン | 1:04:28 | 12位 | ||
2012/02/05 | 第66回 香川丸亀国際ハーフマラソン | 21.0975km | ハーフマラソン | 1:01:02 | 2位 | ||
2012/04/07 | 第21回 金栗記念大会 | 5000m | トラック | 13:28.97 | 組3位 | ||
2012/04/21 | 第60回 兵庫リレーカーニバル | 10000m | トラック | 28:30.35 | 組5位 | ||
2012/05/13 | 第22回 仙台国際ハーフマラソン | 21.0975km | ハーフマラソン | 1:03:49 | 3位 | ||
2012/05/19 | 第54回 東日本実業団選手権 | 1500m | トラック | 3:45.17 | 組1位 | 総合1位 | |
2012/05/20 | 第54回 東日本実業団選手権 | 5000m | トラック | 13:43.30 | 組3位 | 総合3位 | |
2012/05/22 | ※Saitama East Japan Corporate Ch | 5000m | トラック | 13:43.30 | 組3位 | ||
2012/06/27 | ホクレン・ディスタンスチャレンジ深川 | 10000m | トラック | 27:42.91 | 組4位 | ||
2012/09/22 | 第60回 全日本実業団陸上選手権 | 予選 | 5000m | トラック | 13:55.91 | 組3位 | |
2012/09/22 | 第60回 全日本実業団陸上選手権 | 決勝 | 5000m | トラック | 13:37.50 | 3位 | |
2012/09/23 | 第60回 全日本実業団陸上選手権 | 1500m | トラック | 3:42.69 | 1位 | ||
2012/12/02 | 第228回 日体大記録会 | 5000m | トラック | 13:47.11 | 組2位 | ||
2013/02/17 | 第57回 熊日30キロ | 30km | ロード | 1:31:37 | 7位 | ||
2013/05/19 | ※Ibaraki East Japan Corporate Ch | 5000m | トラック | 14:09.22 | 組12位 | ||
2013/06/29 | ホクレン・ディスタンスチャレンジ深川 | 10000m | トラック | 27:54.35 | 組3位 | ||
2013/09/21 | 第61回 全日本実業団陸上選手権 | 予選2組 | 5000m | トラック | 14:17.62 | 組3位 | |
2013/09/21 | 第61回 全日本実業団陸上選手権 | 決勝 | 5000m | トラック | 13:44.77 | 6位 | |
2013/09/22 | 第61回 全日本実業団陸上選手権 | 予選1組 | 1500m | トラック | 3:52.62 | 組4位 | |
2013/09/22 | 第61回 全日本実業団陸上選手権 | 決勝 | 1500m | トラック | 3:44.10 | 1位 | |
2013/12/01 | 八王子ロングディスタンス | 10000m | トラック | 28:13.71 | 組12位 | ||
2014/02/02 | 第68回 香川丸亀国際ハーフマラソン | 21.0975km | ハーフマラソン | 1:03:18 | 30位 | ||
2014/02/16 | 第42回 全日本実業団ハーフマラソン | 21.0975km | ハーフマラソン | 1:00:59 | 1位 | ||
2014/04/05 | 第23回 金栗記念大会 | 5000m | トラック | 13:40.81 | 組4位 | ||
2014/04/19 | 第62回 兵庫リレーカーニバル | 10000m | トラック | 28:28.54 | 組5位 | 総合5位 | |
2014/05/10 | 第25回 ゴールデンゲームズinのべおか | 5000m | トラック | 13:54.11 | 組10位 | ||
2014/05/17 | 第56回 東日本実業団選手権 | 10000m | トラック | 28:22.43 | 組3位 | 総合3位 | |
2014/05/17 | 第56回 東日本実業団選手権 | 5000m | トラック | 13:46.65 | 組5位 | 総合5位 | |
2014/06/25 | ホクレン・ディスタンスチャレンジ深川 | 10000m | トラック | 28:01.54 | 組2位 | 総合2位 | |
2014/10/11 | 第62回 全日本実業団陸上選手権 | 1500m | トラック | 3:41.42 | 組1位 | 総合1位 | |
2014/10/12 | 第62回 全日本実業団陸上選手権 | 5000m | トラック | 13:47.21 | 組3位 | 総合9位 | |
2014/11/29 | 八王子ロングディスタンス | 10000m | トラック | 28:00.05 | 組12位 |
〇 基本はWAの選手ページ (Daniel GITAU) を参照。
〇 GR:Game Record。大会記録。順位が2位以下の場合は記載せず。
〇 UR:University Record。学生記録。本項では日本学生陸上競技連合が承認した日本学生記録。
〇 *は競技会名不明。
大学三大駅伝戦績
[編集]学年 | 出雲駅伝 | 全日本大学駅伝 | 箱根駅伝 |
---|---|---|---|
1年生 2006年度 |
第18回 - 6区 - 10.2km 区間2位 - 29:15 |
第38回 - 2区 - 13.2km 区間賞 - 37:48 |
第83回 - 3区 - 21.4km 区間2位 - 1:03:15 |
2年生 2007年度 |
第19回 - 6区 - 10.2km 区間賞 - 28:55 |
第39回 - 1区 - 14.6km 区間賞 - 41:56 (区間タイ記録) |
第84回 - 2区 - 23.1km 区間2位 - 1:07:27 |
3年生 2008年度 |
第20回 - 6区 - 10.2km 区間賞 - 28:28 (区間新記録) |
第40回 - 4区 - 14.0km 区間2位 - 39:41 |
第85回 - 2区 - 23.1km 区間2位 - 1:07:04 |
4年生 2009年度 |
第21回 - 6区 - 10.2km 区間賞 - 28:17 (区間新記録) |
第41回 - 8区 - 19.7km 区間賞 - 56:54 |
第86回 - 2区 - 23.1km 区間賞 - 1:07:37 |
自己ベスト
[編集]種目 | タイム | スコア | 日付 | 大会名 |
---|---|---|---|---|
800m | 1:47.78 | 1090 | 2009/04/11 | ※町田 |
1500m | 3:37.96 | 1134 | 2009/05/30 | 第20回 ゴールデンゲームズinのべおか |
5000m | 13:23.72 | 1124 | 2009/04/18 | ※平塚 |
10000m | 27:42.91 | 1158 | 2012/06/27 | ホクレンDC 深川大会 |
30km ロード | 1:31:37 | 1103 | 2013/02/17 | 第57回 熊日30キロ |
ハーフマラソン | 1:00:59 | 1147 | 2014/02/16 | 第42回 全日本実業団ハーフマラソン |
エピソード
[編集]この節に雑多な内容が羅列されています。 |
- 標高2000メートルを超えるニャフルル出身で、高校2年生まではサッカー選手(FW)だった[5]。
- マラソンの元世界記録保持者であるポール・テルガトを尊敬している[5]。
- 矢沢永吉をよく聴いている[6]。
- 日本食が大好きだが、刺身だけ食べられない。また納豆は苦手だが栄養を考えて食べている[7]。
- 箱根駅伝で抜き去ったランナーの数は4年間合計で50人にも及ぶ[8]。
- 同じ留学生であるサンベルクスのメクボ・ジョブ・モグスと仲が良い。
脚注
[編集]- ^ ファーストネームに関しては日本学生競技連合の表記に従う
- ^ 日大連覇!“ダニエル神話”で大逆転!…出雲駅伝 スポーツ報知(09-10-12).2009年12月2日閲覧。
- ^ 第85回箱根駅伝は記念大会であり、通常の20チームより多い23チームが出場したため可能であった。
- ^ 『日本経済新聞』2010年1月3日朝刊12版、37頁。
- ^ a b 『読売新聞』2008年12月26日閲覧
- ^ 『スポーツ報知』2008年12月26日閲覧
- ^ 実力派ムードメーカー…日大 ダニエル(1年) YOMIURIONLINE(06-12-28) 2009年12月2日閲覧。
- ^ 日大ダニエル4年で計50人抜き 2010年1月3日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- ギタウ・ダニエル - ワールドアスレティックスのプロフィール