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キム・ギドク

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キム・キドクから転送)
キム・ギドク
김기덕
김기덕
2013年ケーララ国際映画祭にて
生年月日 (1960-12-20) 1960年12月20日
没年月日 (2020-12-11) 2020年12月11日(59歳没)
出生地 大韓民国の旗 韓国 慶尚北道奉化郡
死没地  ラトビア リガ[1]
職業 映画監督脚本家映画プロデューサー
活動期間 1996年 - 2020年
主な作品
悪い男
春夏秋冬そして春
サマリア
うつせみ
アリラン
嘆きのピエタ
受賞
カンヌ国際映画祭
「ある視点」賞
2011年アリラン
ヴェネツィア国際映画祭
金獅子賞
2012年嘆きのピエタ
銀獅子賞(監督賞)
2004年うつせみ
国際映画批評家連盟賞
2004年『うつせみ』
ベルリン国際映画祭
銀熊賞 (監督賞)
2004年サマリア
その他の賞
青龍映画賞
最優秀作品賞
2003年春夏秋冬そして春
2012年嘆きのピエタ
大鐘賞
最優秀作品賞
2004年『春夏秋冬そして春』
脚本賞
2008年映画は映画だ
審査員賞
2012年『嘆きのピエタ』
東京フィルメックス
観客賞

2011年アリラン
2012年『嘆きのピエタ』
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キム・ギドク
各種表記
ハングル 김기덕
漢字 金基德[2]
発音: キム・ギドク
ローマ字 Kim Ki-dŏk
英語表記: Kim Ki-duk[2]
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キム・ギドク金 基德김기덕1960年12月20日 - 2020年12月11日) は、韓国映画監督脚本家映画プロデューサー

大怪獣ヨンガリ』(1967年)などを監督した、同じく映画監督のキム・ギドク朝鮮語版とは同姓同名の別人である。

経歴

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慶尚北道奉化郡生まれ[3]。17歳から工場で働き始め、20歳で海兵隊に志願。5年間を軍隊で過ごし、周囲から軍人体質と言われるほど軍隊生活に適応していた。1990年、絵画の勉強のためにフランスへ渡った[4]パリで観たジョナサン・デミの『羊たちの沈黙』(1991年)やレオス・カラックスの『ポンヌフの恋人』(1991年)に感銘を受け、映像表現を志すようになり[4]、帰国後、脚本の執筆に没頭。1996年、低予算映画『鰐〜ワニ〜』で映画監督としてデビューした。

2000年の『魚と寝る女』と2001年の『受取人不明』がヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に出品され、ヨーロッパを中心に評価が高まった。2001年の『悪い男』はソウルだけで30万人を動員するヒットを記録し、翌2002年第52回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品された。同年には、『悪い男』に触発されたチャン・ドンゴンの希望を受け、チャンの主演で『コースト・ガード』を監督した。2003年の『春夏秋冬そして春』は、韓国映画界最高の栄誉でもある大鐘賞青龍賞の作品賞を受賞し、全米では韓国映画史上最大のヒット作となった。2004年には『サマリア』が第54回ベルリン国際映画祭銀熊賞 (監督賞)[4]、『うつせみ』が第61回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した[4]。その後も『』(2005年)や『絶対の愛』(2006年)、『ブレス』(2007年)といった作品を発表。しかし2008年の『悲夢』の撮影中、自殺未遂シーンを演じていた女優が実際に命を落としかける事故が起きたことにショックを受けて映画製作が困難な状態に陥り[5]、以後3年間は寒村の山小屋で隠遁生活を送った。

2011年、隠遁生活中の自身の姿を映したドキュメンタリーアリラン』を発表、第64回カンヌ国際映画祭ある視点部門作品賞を受賞した。翌2012年には『嘆きのピエタ』が第69回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞した[4]

2018年以降は、後述の性的暴行疑惑により韓国での公開が控えていた『人間の時間』の商業上映が無期限延期[6]になるなど、韓国映画界では事実上の追放状態となった[7]ため、活動の拠点をロシア連邦キルギスなどの旧ソ連地域へと移した。キルギスでは現地の評論家がキムの生活費を援助し、またカザフスタン政府から映画製作の資金援助を受け[8]2019年にカザフスタンで製作した作品が公開されている。

2020年、キムはラトビアのリゾート地であるユールマラに自宅を購入して移住する計画を立て、同年11月20日から同地を訪問していたが、現地で新型コロナウイルス感染症に感染し首都のリガの病院に収容されたのち、12月11日に死去した[9][10]。59歳没。キムの関係者によると、キムは腎不全の基礎疾患があったため、よりよい治療ができる他国の病院へと移す手段を、ドキュメンタリー映画監督のヴィタリー・マンスキーら現地の知人が調べている最中であった[1]

2019年夏にキルギスで撮影され遺作となった作品は、キムの死後に友人や仕事仲間の手によって完成し[11]2022年9月の第79回ヴェネツィア国際映画祭にて『Kõne taevast』(英題:Call of God)のタイトルで上映された。

スキャンダル

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2017年、キムは『メビウス』に出演予定だった女優から告訴された。訴えによれば、キムは撮影中にこの女優に対して頬を殴るなどの暴力を振るったうえ、予定になかったベッドシーンを強要し、この女優は作品を降板した[12]。キムは、「役作りのために必要だったことで暴力ではありません」と主張した[13]が、裁判所は暴力があったことを認めて罰金500万ウォンの略式命令を下した[14]

しかしその後、#MeTooの運動が韓国にも広まった2018年3月、韓国の文化放送の番組『PD手帳』に出演した2人の女優が、キムからセクシャルハラスメント性的暴行を繰り返し受けたと訴えた[15]。キムは番組が報じた内容を否定し、逆に女優2人や番組関係者を名誉毀損などで告訴した[16]が、2020年10月に出された判決で敗訴した[17]。翌11月に控訴したが[18]、死後の2021年11月に結審した控訴審でも敗訴した[19]

フィルモグラフィー

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監督

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全ての監督作品において脚本も担当。

タイトル 原題 備考
鰐〜ワニ〜 1996 악어
ワイルド・アニマル 1997 야생동물 보호구역
悪い女〜青い門〜 1998 파란 대문
魚と寝る女 2000
リアル・フィクション 2000 실제 상황 オムニバス作品の「総監督」を務めている
受取人不明 2001 수취인불명
悪い男 2001 나쁜 남자
コースト・ガード 2002 해안선
春夏秋冬そして春 2003 봄, 여름, 가을, 겨울 그리고 봄 青龍賞作品賞
大鐘賞作品賞
アカデミー賞外国語映画賞韓国代表
サマリア 2004 사마리아 ベルリン国際映画祭監督賞
うつせみ 2004 빈집 ヴェネツィア国際映画祭監督賞
2005
絶対の愛 2006 시간
ブレス 2007
悲夢 2008 비몽
アリラン 2011 아리랑 ドキュメンタリー作品
カンヌ国際映画祭ある視点部門作品賞
- 2011 아멘 日本未公開
嘆きのピエタ 2012 피에타 ヴェネツイア国際映画祭金獅子賞
アカデミー賞外国語映画賞韓国代表
メビウス 2013 뫼비우스
殺されたミンジュ 2014 일대일
STOP 2015 스톱 日韓合作、全編日本語作品
The NET 網に囚われた男 2016 그물
人間の時間 2018 인간, 공간, 시간 그리고 인간
- 2019 カザフスタンで製作・撮影、ロシア語作品
日本未公開
- 2022 Kõne taevast キルギスで製作・撮影、ロシア語・キルギス語作品
日本未公開

脚本・製作

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受賞歴

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脚注

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  1. ^ a b コロナ感染で死去のキム・ギドク監督、なぜラトビアにいたのか”. スポーツソウル (2020年12月14日). 2022年1月25日閲覧。
  2. ^ a b 김기덕 (キム・ギドク) KMDb 2011年8月22日閲覧。
  3. ^ 인물정보(人物情報)” (韓国語). NAVER. 2011年8月22日閲覧。
  4. ^ a b c d e 「嘆きのピエタ」キム・ギドク監督 「社会にはびこる暴力と戦う」 贖罪の物語”. 産経新聞社 (2013年6月14日). 2013年7月23日閲覧。
  5. ^ 鬼才キム・ギドク監督、オダギリジョーの訪問もあった隠遁生活をとらえた復帰作を携え映画界にメッセージ”. シネマトゥデイ (2011年11月21日). 2018年6月23日閲覧。
  6. ^ キム・ギドク監督、わいせつ論難により新作映画公開が不透明に”. もっと!コリア (2018年3月7日). 2020年12月16日閲覧。
  7. ^ キム・ギドク監督の追悼を『パラサイト』翻訳家が拒否。性的暴行疑惑を受けて「彼が天才だろうと関係ない」”. ハフポスト (2020年12月15日). 2020年12月16日閲覧。
  8. ^ 金敬哲 (2021年5月16日). “「韓国で最も嫌われた監督」キム・ギドク 母国を追われ、異国でコロナ死した“鬼才の最期””. 文春オンライン. p. 4. 2022年1月25日閲覧。
  9. ^ Famous Korean filmmaker Kim Ki-duk reportedly dies of coronavirus in Latvia”. akipress.com (2020年12月11日). 2020年12月12日閲覧。
  10. ^ 韓国の鬼才、金獅子賞…キム・ギドク監督死去 ラトビアでコロナ感染 - 産経ニュース 2020年12月11日
  11. ^ Biennale Cinema 2022”. LA BIENNALE DI VENEZIA. 2023年1月29日閲覧。
  12. ^ 韓国キム・ギドク監督、ベッドシーン強要に暴行疑惑 女優が告訴”. シネマトゥデイ (2017年8月3日). 2018年6月23日閲覧。
  13. ^ キム・ギドク暴行事件は、韓国映画界のパワハラ・モラハラを浄化できるか”. シネマトゥデイ (2017年8月30日). 2018年6月23日閲覧。
  14. ^ “女優暴行物議”キム・ギドク監督、藤井美菜らとベルリン映画祭に登場「解釈の違いで起こった事件」”. WoW! Korea (2018年2月19日). 2018年6月23日閲覧。
  15. ^ 韓国キム・ギドク監督、新たにレイプ疑惑…女優からの告発相次ぐ”. シネマトゥデイ (2017年3月7日). 2018年6月23日閲覧。
  16. ^ ”性スキャンダル”キム・ギドク監督、離婚訴訟中と報道… 「家族が受けた衝撃、大きかった」”. WoW! Korea (2018年6月11日). 2018年6月23日閲覧。
  17. ^ キム・ギドク監督 性的被害主張する女優ら相手取った訴訟で敗訴”. 聯合ニュース (2020年10月28日). 2020年12月16日閲覧。
  18. ^ “鬼才”キム・ギドク監督、#MeTooに敗訴しても控訴、損害賠償に1億も要求”. スポーツソウル (2020年11月9日). 2020年12月16日閲覧。
  19. ^ 新型コロナで亡くなったキム・ギドク監督、セクハラ告発の女優を相手にした控訴審で敗訴”. スポーツソウル (2021年11月6日). 2022年1月25日閲覧。

外部リンク

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