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ポンカン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ぽんかんから転送)
ポンカン
ポンカン
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : アオイ類 malvids
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
: ミカン連 Citreae
: ミカン属 Citrus
: マンダリンオレンジ C. reticulata
変種 : ポンカン C. r. var poonensis
学名
Citrus reticulata var poonensis (Hayata) H.H. Hu
シノニム
  • Citrus poonensis Tanaka
  • Citrus nobilis var poonensis
  • Citrus reticulata ‘Poongan’
和名
ポンカン(椪柑、凸柑)
サンタラ
英名
Ponkan
Suntara
Santra

ポンカン(椪柑、凸柑)はミカン科ミカン属の柑橘類の一種[1]。インド北部の原産で、日本へは明治時代に入った[2]。果実は200グラム内外で芳香があり、皮がむきやすく、果肉もやわらかい。

田中長三郎は独立種 Citrus poonensis としたが、ウォルター・テニソン・スウィングルマンダリンオレンジ Citrus reticulata に含め、変種とした。

名称

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和名の中の「ポン」、および、変種名もしくは種小名 poonensis は、インドの地名プーナ (Poona) に由来する[1]。当てられた漢字「椪」は単独では、タブノキ属 Machilus の1種 Machilus nanmu[3]、もしくは国訓クヌギを意味するが、音による当て字である。

中国語では「蘆柑」(ルーガン、拼音: lúgān)と称するが、中国の主産地である福建省広東省台湾で用いられている閩南語潮州語では漢字で「椪柑」と書き、「ポンカム、phòng-kam」と発音する[4]ため、日本語は閩南語の音に拠っているという説もある。

特徴

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果重1個の重さは150 - 250グラム (g) で、完熟すれば橙色となり独特の芳香を有する[2]外皮はむきやすく[2]、果肉を包む内皮は柔らかいので袋のまま食べられる。果梗部にデコが現われやすい。12 - 2月にかけて収穫される。

栽培

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原産地はインドスンタラ地方といわれ、東南アジア諸国、中国南部、台湾南部、日本などで広く栽培され、ブラジルにも一部分布している。日本には明治期に台湾から伝わった[1]

日本での主産地は愛媛県鹿児島県高知県宮崎県熊本県など。「太田」、「森田」、「吉田」、「今津」などの品種がある。日本では生産量が少なく、台湾からの輸入が多い。

日本における2010年の収穫量は2万7698 トンであり、その内訳は、愛媛県34%、鹿児島県16%、高知県9%、宮崎県7%、熊本県6%、その他28%である[5]。また、静岡県和歌山県も生産が多い。

本種は果実中の水分が少なくなって、砂瓤(さじょう)(房の中の粒粒)がパサパサになる「鬆上がり」(すあがり)現象を起こしやすく、商品価値を下げないために、果実を長い間木に成らしておかないようにする必要がある。長い間木に成らしておくことは、果皮と果肉の間に隙間ができる「浮き皮果実」の原因にもなる[6]。早期に摘み取る早生系統の品種の方がこれらの現象が少ない。

日本の主な産地

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産地は柑橘類の中でも、特に温暖な地域に限られる。特に鹿児島県が全国一の産地として知られたが、近年では愛媛県に大きく差を開けられている。

品種

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ポンカンには果実が腰高で大果の高梢系と、果実がやや扁平で小果で種の少ない低梢系がある。一般的には高梢系ポンカンの方が収穫時期が早いとされるが、低梢系でも太田ポンカンのように収穫時期の早い品種もある。日本の主要なポンカン品種は台湾から導入されたものが多い。

(しょう)系ポンカン

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  • 吉田ポンカン:鹿児島県垂水市の園地で発見。大果で、()上がりが少ない。
  • 今津ポンカン:愛媛県北宇和郡吉田町の園地で発見。愛媛県の代表品種。大果で、糖度が高い。
  • 薩州ポンカン:鹿児島県果樹試験場において、F-2428系ポンカンの珠心胚実生個体の中から選抜された。果実の大きさは中程度だが、糖度が高く、鬆上がりや水腐れが吉田ポンカンよりも少ない。

(しょう)系ポンカン

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  • 太田ポンカン:静岡市清水区庵原町の園地で発見された早生品種。酸抜けが早いため、収穫時期が早く年内の出荷が可能。
  • 森田ポンカン:高知県須崎市浦ノ内の園地で発見。小果でポンカンの中では酸味が強く、味が濃厚。また貯蔵性も良い。
  • 興春ポンカン:農研機構興津試験場にてポンカンの珠心胚実生個体より選抜。小果だが、糖度が高く、鬆上がりも少ない。

育種親としての利用

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「ポンカン」を育種親等とする品種には以下のものがある。

  • 早香(はやか)」:「今村温州」×「中野3号ポンカン」[7]
  • 「はれやか」:「アンコール」×「中野3号ポンカン」[8]
  • 不知火(しらぬひ)」:「清見」×「中野3号ポンカン」[9]
  • 「陽香(ようこう)」:「清見」×「中野3号ポンカン」[10]
  • はるみ」:「清見」×「ポンカンF-2432」[11]
  • せとみ」:「清見」×「吉浦ポンカン」
  • 甘平(かんぺい)」:「西之香」×「ポンカン」

「南津海(なつみ)」は「カラマンダリン」に「吉浦ポンカン」を受粉させ育成されたが、カラマンダリンの珠心胚実生であることがわかっている[12][13][14]

栄養価

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カリウム葉酸を多く含む[1]。果皮の白い部分には動脈硬化予防の働きがあるビタミンPを含んでいる[1]

果肉にはカロテンビタミンB1を含むほか、β-クリプトキサンチンビタミンCクエン酸も含む[1]

脚注

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  1. ^ a b c d e f とさのうと第38号”. JA高知. 2020年1月4日閲覧。
  2. ^ a b c 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、191頁。ISBN 978-4-415-30997-2 
  3. ^ Unihan database: 椪
  4. ^ 周長楫編、『厦門方言詞典』p255、江蘇教育出版社、1993
  5. ^ 農林水産省特産果樹生産動態等調査2013年7月23日閲覧
  6. ^ かんきつ類のQ&A(品質編)”. 愛媛県庁(企画振興部政策企画局広報広聴課) (2013年1月15日). 2017年2月12日閲覧。
  7. ^ 果樹研究所:育成品種紹介 早香(はやか)”. かんきつ属(Citrus L.)の品種一覧. 農研機構. 2018年12月25日閲覧。
  8. ^ 果樹研究所:育成品種紹介 はれやか”. かんきつ属(Citrus L.)の品種一覧. 農研機構. 2018年12月25日閲覧。
  9. ^ 果樹研究所:育成品種紹介 不知火(しらぬひ)”. かんきつ属(Citrus L.)の品種一覧. 農研機構. 2018年12月25日閲覧。
  10. ^ 陽香(ようこう)”. カンキツ属(Citrus L.)の品種一覧. 農研機構. 2018年12月25日閲覧。
  11. ^ はるみ”. カンキツ属(Citrus L.)の品種一覧. 農研機構. 2018年12月25日閲覧。
  12. ^ 「カラマンダリン」品種紹介”. みかん大事典. のま果樹園. 2016年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年5月15日閲覧。
  13. ^ 南津海(なつみ)”. 正直やまぐち. JA全農やまぐち. 2016年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年5月15日閲覧。
  14. ^ 南津海 なつみ |カンキツ(その他柑橘類)”. 果物ナビ. 2016年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年5月15日閲覧。