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数学 的概念を記述する記号 を数学記号 という。数学記号は、数学上に抽象された概念を簡潔に表すためにしばしば用いられる。
数学記号が示す対象やその定義は、基本的にそれを用いる人に委ねられるため、一見して同じ記号であっても内容が異なっていたり、逆に異なる記号であっても、同じ対象を示していることがある[ 注 1] 。従って本項に示す数学記号とそれに対応する数学的対象は、数多くある記号や概念のうち、特に慣用されうるものに限られる。
記号論理の記号
以下の解説において、文字 P , Q , R はそれぞれ何らかの命題 を表すものとする。
記号
意味
解説
∧
{\displaystyle \land }
論理積
「P ∧ Q 」は「命題 P と命題 Q がともに真」という命題を表す。
∨
{\displaystyle \lor }
論理和
「P ∨ Q 」は「命題 P と命題 Q の少なくとも一方は真」という命題を表す。
¬
{\displaystyle \neg }
否定
「¬P 」は「命題 P が偽」という命題を表す。
⇒
{\displaystyle \Rightarrow }
論理包含 、含意
「P ⇒ Q 」は、「命題 P が真なら必ず命題 Q も真」という命題を表す。P が偽の場合は P ⇒ Q は真である。
→
{\displaystyle \rightarrow }
⇔
,
iff
,
≡
{\displaystyle \Leftrightarrow ,\ {\text{iff}},\ \equiv }
同値
「P ⇔Q 」、「P ≡Q 」は P と Q の真偽が必ず一致することを意味する。iff は if and only if の略である。
⊨
{\displaystyle \vDash }
論理的帰結 、伴意
⊢
{\displaystyle \vdash }
推論
∀
{\displaystyle \forall }
全称限量記号
しばしば ∀x ∈S (P (x )) のように書かれ、集合 S の任意 の元 x に対して命題 P (x ) が成立することを表す。
∃
{\displaystyle \exists }
存在限量記号
しばしば ∃x ∈S (P (x )) のように書かれ、集合 S の中に条件 P (x ) を成立させるような元 x が少なくとも1つ存在することを表す。
∃
1
,
∃
1
,
∃
!
{\displaystyle \exists _{1},\ \exists 1,\ \exists \,!}
一意的に存在
しばしば ∃1 x ∈S (P (x )) のように書かれ、集合 S の中に条件 P (x ) を成立させるような元 x が唯一つ存在 することを表す。他の記法も同様である。
∴
{\displaystyle \therefore }
結論
文頭に記され、その文の主張が前述の内容を受けて述べられていることを示す。ゆえに。
∵
{\displaystyle \because }
理由・根拠
文頭に記され、その文の内容が前述の内容の理由説明であることを示す。なぜならば。
:=
,
:⇔
{\displaystyle :=,\ :\Leftrightarrow }
定義
「A ≔ X 」は、A という記号の意味するところを、X と定義することである。「A :⇔ X 」とも書く。また "=" の上に "def" ないし "△" を書くこと(≝ 、≜ )もある。:⇔ は命題を定義するときに使い、:= は何らかの数量や対象を定義するときに使う。
集合論の記号
以下の解説において、S , T は任意の集合を、
∙
{\displaystyle \bullet }
は記号の作用素を表す。
記号
意味
解説
{
:
}
,
{
∣
}
,
{
;
}
{\displaystyle \{\ :\ \},\ \{\ \mid \ \},\ \{\ ;\ \}}
集合の内包的記法 (英語版 )
{ (代表元) : (代表元の満たすべき条件)} のように用いる。例えば {x | x ∈ S , P (x )} は S の元のうち、命題 P (x ) が真であるものすべてを集めた集合を意味し、これはまた {x ∈ S | P (x )} のようにもしばしば略記される(「x ∈ S 」のような条件が省略されている場合、無制限の内包 (英語版 ) であるか紛れのおそれがないので省略した のかは文脈を読むべきである)。
∈
,
∋
,
∉
,
∌
{\displaystyle \in ,\ \ni ,\ \notin ,\ \not \ni }
集合に対する元の帰属関係
「x ∈S 」は、x が集合 S の元であることを意味する。「x ∉S 」は、x ∈S の否定、すなわち x が S の元でないことを意味する。
=
{\displaystyle =}
集合の一致
「S = T 」は集合 S と集合 T が等しいことを示す。
≠
{\displaystyle \neq }
= の否定
「S ≠ T 」は集合 S と集合 T が等しくないことを示す。
⊆
,
⊇
,
⊂
,
⊃
,
⊊
,
⊋
,
⊄
,
⊅
{\displaystyle \subseteq ,\ \supseteq ,\ \subset ,\ \supset ,\ \subsetneq ,\ \supsetneq ,\ \not \subset ,\ \not \supset }
集合の包含関係
「S ⊆ T 」は S が T の部分集合 であることを意味する。必要に応じて「T ⊇ S 」とも書く。他も同じ。
⊆ は S と T が等しい場合を含み、真部分集合 に対しては ⊊ が用いられる。⊂ は真部分集合 のみを指す流儀と、一般の部分集合を指す流儀がある。⊂ が一般の部分集合を表す場合には真部分集合を ⊊ によって表わし、⊂ が真部分集合を表す場合には一般の部分集合を ⊆ によって表わす。
∈ と同様、⊄, ⊊ などの記号もある。
集合演算
記号
意味
解説
∩
{\displaystyle \cap }
共通部分
「S ∩ T 」は集合 S と集合 T の共通部分を表す。また
⋂
λ
∈
Λ
S
λ
{\displaystyle \textstyle \bigcap \limits _{\lambda \in \Lambda }S_{\lambda }}
は、集合族 (S λ )λ ∈Λ の共通部分を表す。
S
:=
{
S
λ
|
λ
∈
Λ
}
{\displaystyle {\mathfrak {S}}:=\{S_{\lambda }\ |\ \lambda \in \Lambda \}}
のとき、上の集合族を
⋂
S
{\displaystyle \textstyle \bigcap {\mathfrak {S}}}
と書くことがある。
∪
{\displaystyle \cup }
和集合
「S ∪ T 」は集合 S と集合 T の和集合を表す。また、
⋃
λ
∈
Λ
S
λ
{\displaystyle \textstyle \bigcup \limits _{\lambda \in \Lambda }S_{\lambda }}
は、集合族 (S λ )λ ∈Λ の和集合を表す。
S
{\displaystyle {\mathfrak {S}}}
が上欄のものであるとき、上の集合族を
⋃
S
{\displaystyle \textstyle \bigcup {\mathfrak {S}}}
と書くことがある。
+
,
∑
,
∐
,
⨁
{\displaystyle +,\ \textstyle \sum ,\ \coprod ,\ \bigoplus }
直和 集合
「S + T 」は「S ∪ T 」に同じであるが、S ∩ T が空集合 であることを暗黙に述べている。
この場合、集合族の和集合は
∑
λ
∈
Λ
S
λ
{\displaystyle \textstyle \sum \limits _{\lambda \in \Lambda }S_{\lambda }}
のように記す。
∖
,
−
{\displaystyle \setminus ,\ -}
差集合
「S ∖ T 」は、集合 S から集合 T を除いた差集合を表す。「S −T 」も同じ。
∙
c
,
∁
∙
{\displaystyle \bullet ^{\mathrm {c} },\ \complement \bullet }
補集合
S c は集合 S の補集合を表す。c は complement の略である。「
∁
S
{\displaystyle \complement S}
」も同じ。
2
∙
,
P
(
∙
)
,
P
(
∙
)
{\displaystyle 2^{\bullet },\ {\mathfrak {P}}(\bullet ),\ {\mathcal {P}}(\bullet )}
冪集合
2S は、S の部分集合をすべて集めた集合を表す。
P
(
S
)
{\displaystyle {\mathfrak {P}}(S)}
とも書く。
(
∙
,
∙
,
…
)
{\displaystyle (\bullet ,\bullet ,\dotsc )}
順序対
元の順序付けられた組
×
,
∏
{\displaystyle \times ,\ \textstyle \prod }
直積集合
「S × T 」は S と T の直積を表す。一般に、集合族 (S λ )λ ∈Λ の直積を
∏
λ
∈
Λ
S
λ
{\displaystyle \textstyle \prod \limits _{\lambda \in \Lambda }S_{\lambda }}
のように記す。
∙
/
∙
{\displaystyle \bullet /\bullet }
商集合
「S /∼ 」は、集合 S の同値関係 ∼ によって定まる S の商集合を表す。
Map
(
∙
,
∙
)
,
∙
∙
,
F
(
∙
,
∙
)
{\displaystyle \operatorname {Map} (\bullet ,\bullet ),\ \bullet ^{\bullet },\ {\mathcal {F}}(\bullet ,\bullet )}
配置集合
Map(S , T ) や TS は S から T への写像をすべて集めた集合を表す。
△
,
⊖
{\displaystyle \triangle ,\ \ominus }
対称差
対称差 は、二つの集合に対し、一方には含まれるが他方には含まれない元をすべて集めた集合を表す:
P
△
Q
:=
(
P
∪
Q
)
∖
(
P
∩
Q
)
=
(
P
∖
Q
)
∪
(
Q
∖
P
)
{\displaystyle P\,\triangle \,Q:=(P\cup Q)\setminus (P\cap Q)=(P\setminus Q)\cup (Q\setminus P)}
写像
記号
意味
解説
f
:
∙
→
∙
{\displaystyle f\colon \bullet \to \bullet }
写像
「f : S → T 」は、f が S から T への写像であることを示す。
∙
↦
∙
{\displaystyle \bullet \mapsto \bullet }
元の対応
x
↦
f
y
{\displaystyle x\,{\stackrel {f}{\mapsto }}\,y}
は、x を写像 f によって写したものが y であることを意味する。文脈上明らかであれば f の記述は省略される。
∘
{\displaystyle \circ }
合成写像
「
f
∘
g
{\displaystyle f\circ g}
」は写像 g と写像 f の合成を表す。すなわち
(
f
∘
g
)
(
x
)
=
f
(
g
(
x
)
)
{\displaystyle (f\circ g)(x)=f(g(x))}
である。
Im
,
Image
,
∙
[
∙
]
{\displaystyle {\text{Im}},\ {\text{Image}},\ \bullet [\bullet ]}
像
写像 φ に対して、Image φ はその写像の像全体の集合(値域)を表す。写像
φ
:
X
→
Y
{\displaystyle \varphi \colon X\to Y}
に対して
φ
[
X
]
{\displaystyle \varphi [X]}
とも書く。
二項関係演算
記号
意味
解説
=
{\displaystyle =}
相等
x = y は x と y が等しいことを表す。
≠
{\displaystyle \neq }
不一致
x ≠ y は x と y が等しくないことを表す。
≒ ,
≈
{\displaystyle \approx }
ほぼ等しい
「x ≒ y 」または「x ≈ y 」は x と y がほぼ等しいことを表す。記号 ≒ は日本など少数の地域でのみ通用し、≈ の方が標準的である。その他にも ∼, ≃, ≅ などを同様の意味で用いることもある。近似においてどのくらい違いを容認するかは文脈による。多くの場合、誤差 解析的な意味で用いられ、ある誤差の見積もりの下で両者が等しいことを示すが、そのほかにも漸近 解析においては漸近的に等しいという意味で用いられる。
順序構造
記号
意味
解説
< , >
大小関係、順序
「x < y 」は x と y の間に何らかの順序 が定まっていて、x の方が「先」であることを示す。必要に応じて「y > x 」とも書く。
≤
,
≥
,
≦
,
≧
{\displaystyle \leq ,\ \geq ,\ \leqq ,\ \geqq }
大小関係, 順序
「x ≦ y 」とは「x < y または x = y 」のことである。「x ≧ y 」も同様に定義される。
(
⋅
,
⋅
)
,
]
⋅
,
⋅
[
{\displaystyle (\cdot ,\cdot ),\ ]\cdot ,\cdot [}
開区間
(a , b ) は {x : a < x < b } を表す
[
⋅
,
⋅
]
{\displaystyle [\cdot ,\cdot ]}
閉区間
[a , b ] は {x : a ≦ x ≦ b } を表す
(
⋅
,
⋅
]
,
]
⋅
,
⋅
]
,
[
⋅
,
⋅
)
,
[
⋅
,
⋅
[
{\displaystyle (\cdot ,\cdot ],\ ]\cdot ,\cdot ],\ [\cdot ,\cdot ),\ [\cdot ,\cdot [}
半開区間
(a , b ] は {x : a < x ≦ b } を表す
sup
{\displaystyle \sup }
上限
集合 S に対し、sup S は S の上限を表す。また、写像 f に対し、f (S ) の上限を
sup
x
∈
S
f
(
x
)
{\displaystyle \sup _{x\in S}f(x)}
とも書く. これは
sup
{
f
(
x
)
;
x
∈
S
}
{\displaystyle \sup\{f(x);\ x\in S\}}
の略記である。
その他、幾つかの記法のバリエーションがある。
inf
{\displaystyle \inf }
下限
上限と同様。
max
{\displaystyle \max }
最大値
記法は上限と同様
min
{\displaystyle \min }
最小値
記法は上限と同様
特定の集合
記号
意味
∅
,
∅
{\displaystyle \varnothing ,\emptyset }
空集合
P
,
P
{\displaystyle \mathbf {P} ,\ \mathbb {P} }
素数 (Prime number)の全体、射影空間 など
N
,
N
{\displaystyle \mathbf {N} ,\ \mathbb {N} }
自然数 (Natural number)の全体
Z
,
Z
{\displaystyle \mathbf {Z} ,\ \mathbb {Z} }
整数 (独: Zahlen)の全体
Q
,
Q
{\displaystyle \mathbf {Q} ,\ \mathbb {Q} }
有理数 (Rational number)の全体
R
,
R
{\displaystyle \mathbf {R} ,\ \mathbb {R} }
実数 (Real number)の全体
A
,
A
{\displaystyle \mathbf {A} ,\ \mathbb {A} }
代数的数 (Algebraic number)の全体、アフィン空間、アデールなど
C
,
C
{\displaystyle \mathbf {C} ,\ \mathbb {C} }
複素数 (Complex number)の全体
H
,
H
{\displaystyle \mathbf {H} ,\ \mathbb {H} }
四元数 (Hamilton number)の全体
O
,
O
{\displaystyle \mathbf {O} ,\ \mathbb {O} }
八元数 (Octonion)の全体
S
,
S
{\displaystyle \mathbf {S} ,\ \mathbb {S} }
十六元数 (Sedenion)の全体
F
q
,
GF
(
q
)
{\displaystyle \mathbb {F} _{q},\operatorname {GF} (q)}
位数 q の有限体
Δ
X
{\displaystyle \Delta _{X}}
対角線集合 :
Δ
X
:=
{
(
x
,
x
)
;
x
∈
X
}
{\displaystyle \Delta _{X}:=\{(x,x);\ x\in X\}}
。
濃度
記号
意味
解説
|•| , card, #
濃度
|S | は集合 S の濃度を表す。card S や #S も同じ。
ℵ
0
,
a
,
ℶ
0
{\displaystyle \aleph _{0},\ {\mathfrak {a}},\ \beth _{0}}
可算 濃度
自然数全体の集合の濃度。これは最小の無限濃度である。
ℵ
,
c
,
ℶ
1
{\displaystyle \aleph ,\ {\mathfrak {c}},\ \beth _{1}}
連続体濃度
実数全体の集合の濃度。これが可算濃度の次の濃度であるというのが連続体仮説 である。
位相空間論の記号
以下、X 、Y などは集合を表す。
記号
意味
解説
O
,
O
{\displaystyle {\mathcal {O}},\ {\mathfrak {O}}}
開集合 系
X 上に定まる開集合系を表す。開集合系によって位相を定める文脈では X を
(
X
,
O
)
{\displaystyle (X,{\mathcal {O}})}
などとも書く。
C
,
C
{\displaystyle {\mathcal {C}},\ {\mathfrak {C}}}
閉集合 系
X 上に定まる閉集合系を表す。閉集合系によって位相を定める文脈では X を
(
X
,
C
)
{\displaystyle (X,{\mathcal {C}})}
などとも書く。
B
(
x
,
r
)
,
B
r
(
x
)
,
B
X
(
x
,
r
)
{\displaystyle B(x,r),\ B_{r}(x),\ B_{X}(x,r)}
開球体
x
∈
X
{\displaystyle x\in X}
を中心とする半径
r
>
0
{\displaystyle r>0}
の開球体を表す。どの集合の位相で考えているかを明記するときは
B
X
(
x
,
r
)
{\displaystyle B_{X}(x,r)}
のように書く。
Int
X
,
X
∘
{\displaystyle {\text{Int}}\,X,\ X^{\circ }}
内部 、開核
X の内部 (interior) を表す。
X
−
,
X
¯
,
Cl
X
{\displaystyle X^{-},\ {\overline {X}},\ {\text{Cl}}\,X}
閉包
X の閉包 (closure) を表す。
∂
X
{\displaystyle \partial X}
境界
X の境界 (frontier, boundary) を表す。
O
Y
{\displaystyle {\mathcal {O}}_{Y}}
相対位相
位相空間
(
X
,
O
)
{\displaystyle (X,{\mathcal {O}})}
と
Y
⊂
X
{\displaystyle Y\subset X}
に対して、
O
Y
{\displaystyle {\mathcal {O}}_{Y}}
は相対位相を表す。
定数
ある数学定数を表すために広く習慣的に使われる記号がいくつかある。
記号
意味
解説
0
0
加法における単位元、乗法の零元などを指す。
1
1
乗法の単位元、加法の零元などを指す。
π
円周率
円周の直径に対する比
e
ネイピア数 (自然対数の底)
リンク先参照。定義の一例として
d
d
x
a
x
=
a
x
{\displaystyle {\frac {d}{dx}}a^{x}=a^{x}}
なる a 。
i
虚数単位
自乗 して −1 となる数。電気工学系ではしばしば j を用いる。
j , k
1, i と共に四元数体の、R 上のベクトル空間としての基底をなす。
幾何学の記号
距離空間
記号
意味
解説
d
(
∙
,
∙
)
{\displaystyle d(\bullet ,\bullet )}
距離関数
d (x , y ) は x と y との距離
diam
(
∙
)
{\displaystyle \operatorname {diam} (\bullet )}
径
diam(X ) は d (x , y ) (x , y ∈ X ) 全体の集合の上限
解析学の記号
微分積分
記号
意味
解説
∙
′
{\displaystyle \bullet '}
導関数 , 微分
関数 f に対し、f' は f の導関数を表す(ラグランジュの記法 )。' はプライム 、まれにダッシュ とも呼ばれる。
また、次のようにも表記される。
d
d
x
f
(
x
)
,
d
f
d
x
(
x
)
{\displaystyle {\frac {d}{dx}}f(x),\ {\frac {df}{dx}}(x)}
d
d
x
∙
{\displaystyle {\frac {d}{dx}}\bullet }
∂
{\displaystyle \partial }
偏微分
∂
f
(
x
,
y
)
∂
x
{\displaystyle {\frac {\partial f(x,y)}{\partial x}}}
:多変数関数 f (x , y ) の x に関する偏微分。
∫
{\displaystyle \int }
積分
∫
a
b
f
(
x
)
d
x
{\displaystyle \int _{a}^{b}f(x)dx}
: 関数 f (x ) の区間 [a,b] における積分
∫
D
f
(
x
)
d
x
{\displaystyle \int _{D}\,f(x)dx}
: f (x ) の領域 D における積分
∫
f
(
x
)
d
x
{\displaystyle \int f(x)dx}
: f (x ) の不定積分。または、積分域が明らかな場合の略記
∮
{\displaystyle \oint }
線積分
∮
D
f
(
x
)
d
x
{\displaystyle \oint _{D}\,f(x)dx}
: f (x ) の領域 D における線積分
∬
{\displaystyle \iint }
面積分
∬
D
f
(
x
)
d
x
{\displaystyle \iint _{D}\,f(x)dx}
: f (x ) の領域 D における面積分
∭
{\displaystyle \iiint }
体積積分
∭
D
f
(
x
)
d
x
{\displaystyle \iiint _{D}\,f(x)dx}
: f (x ) の領域 D における体積積分
∇
∙
{\displaystyle \nabla \bullet }
ナブラ
各成分を微分するベクトル微分作用素
△
∙
{\displaystyle \triangle \bullet }
ラプラシアン
2つの ∇ の内積になるラプラスの微分作用素
Δ
∙
{\displaystyle \Delta \bullet }
◻
∙
{\displaystyle \Box \bullet }
ダランベルシアン
物理学において、時空 の空間成分のラプラシアンに時間 成分を加えたもの
C
∙
{\displaystyle C^{\bullet }}
C
k
=
C
k
(
D
)
{\displaystyle C^{k}=C^{k}(D)}
は D 上で定義された k 回連続微分可能 な関数からなる集合
div
∙
{\displaystyle \operatorname {div} \bullet }
発散(湧き出し)
ベクトル場 A (x ) に対する ∇⋅A (x ) を与える
rot
∙
,
curl
∙
{\displaystyle \operatorname {rot} \bullet ,\operatorname {curl} \bullet }
回転(渦度)
ベクトル場 A (x ) に対する ∇×A (x ) を与える
grad
∙
{\displaystyle \operatorname {grad} \bullet }
勾配
スカラー場 f (x ) に対する ∇f (x ) を与える
代数学の記号
記号
意味
解説
|
∙
|
{\displaystyle |\bullet |}
絶対値
|x | は x の絶対値である。
abs
(
∙
)
{\displaystyle \operatorname {abs} (\bullet )}
‖
∙
‖
{\displaystyle \|\bullet \|}
ノルム
‖ x ‖ は x のノルムである。
ℜ
∙
{\displaystyle \Re \bullet }
実部
複素数 z に対し、Re(z ) はその実部を、Im(z ) はその虚部を表す。z = Re(z ) + i Im(z )
Re
∙
{\displaystyle \operatorname {Re} \bullet }
ℑ
∙
{\displaystyle \Im \bullet }
虚部
Im
∙
{\displaystyle \operatorname {Im} \bullet }
∙
¯
{\displaystyle {\overline {\bullet }}}
共役複素数
複素数 z に対し、
z
¯
{\displaystyle {\bar {z}}}
はその共役複素数を表す。
deg
∙
{\displaystyle \operatorname {deg} \bullet }
次数
多項式 f に対して、deg f はその次数を表す。
∙
,
∙
∙
{\displaystyle {\sqrt {\bullet }},{\sqrt[{\bullet }]{\bullet }}}
冪根 、根基
n √ x は x の n 乗根を表す。n が 2 であるときには単に √ x と書くことが多い。イデアルの根基を表す。
⟨
∙
,
∙
⟩
{\displaystyle \langle \bullet ,\bullet \rangle }
内積
<x , y > は x と y の内積を表す。
(
∙
,
∙
)
{\displaystyle (\bullet ,\bullet )}
記号
意味
解説
dim
∙
∙
{\displaystyle \dim _{\bullet }\bullet }
次元
ベクトル空間 V に対し、「dim V 」は V の次元を表す。
|
∙
|
{\displaystyle |\bullet |}
行列式
|X | は正方行列 X の行列式である。
det
(
∙
)
{\displaystyle \det(\bullet )}
tr
(
∙
)
{\displaystyle \operatorname {tr} (\bullet )}
跡
tr(X ) は正方行列 X の跡である。
t
∙
,
∙
t
{\displaystyle {}^{t}\bullet ,\bullet ^{t}}
転置
t X は行列 X の転置行列である。
rank
∙
{\displaystyle \operatorname {rank} \bullet }
階数
線形写像 φ に対して、rank φ は dim Im(φ ) を表す。また、行列 A に対して、rank A は A の階数を表す。
Ker
∙
,
ker
∙
{\displaystyle \operatorname {Ker} \bullet ,\ \ker \bullet }
核 、零空間
群 や環 の準同型 、ベクトル空間の間の線形写像 φ に対して、Ker φ はその準同型の核を表す。
Im
∙
,
im
∙
{\displaystyle \operatorname {Im} \bullet ,\ \operatorname {im} \bullet }
像
群 や環 の準同型 、ベクトル空間の間の線形写像 φ に対して、Im φ はその準同型の像を表す。
Hom
∙
(
∙
,
∙
)
{\displaystyle \operatorname {Hom} _{\bullet }(\bullet ,\bullet )}
準同型 の集合
HomK (F , G ) は、作用域 K のある代数系 F , G の間の作用準同型 (homomorphism ) 全体からなる集合を表す。
Aut
(
∙
)
{\displaystyle \operatorname {Aut} (\bullet )}
自己同型群
Aut(G ) は、G のそれ自身に対する同型 (automorphism ) 全体からなる群 を表す。
Inn
(
∙
)
{\displaystyle \operatorname {Inn} (\bullet )}
内部自己同型群
Inn(G ) は、G の内部自己同型 (inner automorphism ) 全体からなる群 を表す。
End
(
∙
)
{\displaystyle \operatorname {End} (\bullet )}
自己準同型
End(G ) は、G のそれ自身に対する準同型 (endomorphism) 全体からなる集合(モノイド )を表す。
記号
意味
解説
⟨
∙
⟩
{\displaystyle \langle \bullet \rangle }
生成
G を群 とすると、G の部分集合 S に対し、⟨S ⟩ は S の生成する部分群 を表す。特に、S が一元集合 S = {x } であるときには ⟨x ⟩ とも書く。これは x の生成する巡回群である。環やベクトル空間などについても同様の記法を使う。
(
∙
)
{\displaystyle (\bullet )}
生成するイデアル
(a , ...) は a , ... の生成するイデアル
K
[
∙
]
{\displaystyle K[\bullet ]}
多項式環 、生成する環
K を可換環 とするとき、K [x , ...] は K と {x , ... } を含む最小の環 。生成系が不定元 のみからなれば多項式の環である。
K
(
∙
)
{\displaystyle K(\bullet )}
有理関数環、生成する体
K を可換体 とするとき、K (x , ...) は K と {x , ... } を含む最小の体 。生成系が不定元 のみからなれば有理式の体である。
K
⟨
∙
⟩
{\displaystyle K\langle \bullet \rangle }
非可換多項式環、生成する環
K を非可換環とするとき、K ⟨x , ...⟩ は K と {x , ... } を含む最小の環。
統計学の記号
統計学
記号
意味
解説
r. v.
確率変数
random variable の略
p. m. f. あるいは pmf
確率質量関数
probability mass function の略
p. d. f. あるいは pdf
確率密度関数
probability density function の略
∼
{\displaystyle \sim }
“確率変数”が“確率分布”に従う
X
∼
D
{\displaystyle \textstyle X\sim {\mathcal {D}}}
は確率変数 X が確率分布
D
{\displaystyle \textstyle {\mathcal {D}}}
に従うことを表す
i. i. d.
独立同分布
independent and identically distributed の略。X 1 , ..., Xn i.i.d. は確率変数 X 1 , ..., X n が同じ確率分布 に独立 に従うことを表す
P
(
∙
)
,
P
(
∙
)
{\displaystyle P(\bullet ),\mathbb {P} (\bullet )}
確率
P (E ) は事象 E の確率
E
(
∙
)
,
E
(
∙
)
{\displaystyle E(\bullet ),\mathbb {E} (\bullet )}
期待値
E (X ) は確率変数 X の期待値
V
(
∙
)
{\displaystyle V(\bullet )}
分散
V (X ) は確率変数 X の分散
Cov
(
∙
,
∙
)
{\displaystyle \operatorname {Cov} (\bullet ,\bullet )}
共分散
Cov(X , Y ) は確率変数 X, Y の共分散
N
(
μ
,
σ
2
)
{\displaystyle N(\mu ,\sigma ^{2})}
正規分布
平均 μ , 分散 σ 2 の正規分布
ρ
{\displaystyle \rho }
相関係数
確率変数 の相関係数
注釈
^ 数学においては、各々の記号はそれ単独では「意味」を持たないものと理解される。それらは常に、数式 あるいは Well-formed formula として文脈(時には暗黙のうちに掲げられている、前提や枠組み)に即して評価をされて初めて、値として意味を生じるのである。ゆえにここに掲げられる意味は慣用的な一例に過ぎず絶対ではないことに事前の了解が必要である。記号の「読み」は記号の見た目やその文脈における意味、あるいは記号の由来(例えばエポニム )など便宜的な都合(たとえば、特定のグリフをインプットメソッド を通じてコードポイントを指定して利用するために何らかの呼称を与えたりすること)などといったものに従って生じるために、「記号」と「読み」との間には相関性を見いだすことなく分けて考えるのが妥当である。
^ 言語によっては %
をエスケープ する必要があり、たとえばR言語 では %%
が用られる。
参考資料
関連項目