ウルトラQの登場怪獣
ウルトラQの登場怪獣(ウルトラキューのとうじょうかいじゅう)は、1966年(昭和41年)にTBS系で放映された、円谷特技プロダクションの特撮テレビ番組『ウルトラQ』に登場した架空の怪獣、宇宙人、その他の生物・物体の詳細を記述する。並び順は登場話数順。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
古代怪獣 ゴメス
第1話「ゴメスを倒せ!」に登場。
- 身長:10メートル
- 体重:3万トン
学名はゴメテウス。東海弾丸道路・第三工区の地底から出現した。新生代第三紀頃の原始哺乳類で、性格は獰猛で肉食。原始哺乳類だが、劇中では変温動物であると説明されている。第三工区の工事現場でリトラと対決、尾を叩きつけたり牙で噛みついたりと獰猛な戦い方で一時は善戦するが、嘴で右目を突かれ形勢が逆転し、最期はリトラのシトロネラアシッドに敗れ、絶命。
- デザインは東宝の美術スタッフだった井上泰幸。特殊美術課の造形スタッフだった開米栄三によると、着ぐるみはゴジラの流用。1964年公開の東宝映画『モスラ対ゴジラ』で制作されたゴジラを、円谷特技プロ社長円谷英二の指示で『三大怪獣 地球最大の決戦』に出演後に東宝特殊美術課で改造し、円谷特技プロに貸し出したもの。ゴジラの胴体にサラシを巻き、その上に甲羅や鱗を盛り、また口の付近に髭をつけたもので、開米は「この手法は戻すのも簡単」と述べている。
- 撮影終了後、このゴジラは東宝に返却され、東宝特美課で『怪獣大戦争』で制作された「大戦争ゴジラ」の頭を挿げ替えて、同年5月に上野赤札堂デパートで開催された「怪獣展」に展示された。
- その後、この「三大怪獣ゴジラの胴体」と「怪獣大戦争ゴジラの頭」を接合したゴジラは再び円谷特技プロに貸し出され、開米栄三ら東宝特技課によってジラースに改造された。
- 演じたのはゴジラや、ジラース同様、中島春雄。
- 企画段階では『妖星ゴラス』(1962年)に登場したマグマの着ぐるみを改造する予定だった。エリマキの造形は開米栄三。
- さらにこのゴジラは東宝に返却後、特美課で『三大怪獣地球最大の決戦』時の状態に戻されたあと、7月から『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』でのプール撮影に使用された。ゴメスは後頭部にアールのついた一本角がついているが、この痕跡をプール用ゴジラの頭に確認できる資料写真が残っている。
- 鳴き声は動物園の動物の声を録音して使用したものと、映画『海底軍艦』に登場したマンダの声をアレンジしたものを合わせて使用されており、後に『ザ☆ウルトラマン』第29話に登場した双頭怪獣ジャゴンに流用された。
- 第18話「虹の卵」では再登場が検討されていたが、撮影時には既に東宝に返却されゴジラに戻されていたため、登場怪獣は新怪獣パゴスに変更された。
『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』に登場したゴメス(S)
特撮テレビ番組『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』第1話「レイオニクスハンター」、第2話「レイオニクスバトル」に登場。
- 体長:40メートル
- 体重:4万トン
名称はゴメス(S)。通常のゴメスよりも大型の個体であり、初代と比べて身長・体重が倍増している。ガッツ星人(RB)に操られている。惑星ハマーに迷い込んだレイとヒュウガの乗るゴースタードラゴンの前に出現し、続いて現れたマグラーと死闘を繰り広げる。その後、レイのゴモラと対決するが、戦いの途中で回収されて姿を消した。
第2話で再び送り込まれてゴモラと戦い、一時は善戦するが宿敵リトラの火球を2発受けて形勢が逆転、最後は零距離超振動波(ゼロシュート)に敗れる。
- 名前につく「S」はSpecial(スペシャル)を意味する[1]。
- 着ぐるみは新造。
- 『Q』以来42年ぶりの映像出演であり、ライブステージを除けば初のカラー作品への登場を果たしている。
- オープニングではアーストロンと対決している。
『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に登場したゴメス(S)
映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に登場。
ウルトラマンベリアルのギガバトルナイザーの力で怪獣墓場から復活した。ベリアルが操る怪獣軍団の一体として、他の怪獣軍団と共にウルトラ戦士やレイの怪獣達に襲い掛かる。バルタン星人やゼットンなどと共に初代ウルトラマンを襲ったが、最期はベリアルのギガバトルナイザーによる攻撃の巻き添えになって爆散した。
また、百体怪獣ベリュドラの首を構成する怪獣の一体として初代ゴメスの姿が確認できる。
- 着ぐるみは『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』の流用。
その他に登場したゴメス
- 『ウルトラライブステージ2000』では冒頭に出現、ザラブ星人の放ったニセウルトラセブンに倒された。
- 『ウルトラマンフェスティバル2004ライブステージ』第2部「N~もう一つの光~」ではダークザギにドラコ、ゴルザ、ザムリベンジャーと共に召還され、ドラコと共にゾフィー、初代ウルトラマン、ネオスと戦った。
- 『ウルトラマンライブステージ2~宇宙恐竜最強進化~』ではクローンゼットンを使って地球侵略を企むレギュラン星人に操られ出現し、ウルトラマンガイアと戦った。
- 『ウルトラマンフェスティバル2010』ではウルトラマンべリアルの手下としてアリンドウと共にウルトラマンゼロと戦っている。
- 『大怪獣バトル』のNEO5弾にゴメス(S)が技カードとして登場。スキルは「原初のチカラ」。効果は「必殺技パワーが1減る代わりに、レイオニクスパワーが4増える」である。
- 2011年4月14日に開かれたウルトラQのカラー化を記念し開かれたイベントにはウルトラQを代表する怪獣としてカネゴンと共に出席した。スーツは『ウルトラギャラクシーNEO』の物をウルトラQ着色委員会メンバーの品田冬樹が今回のカラーに合わせて改修、リペイントしたもの[2]。また、『総天然色ウルトラQ』発売記念ムービーでは『ウルトラQファイト』と題し、ソフビ人形を見ていた所を邪魔に入ったガラモンと喧嘩になり、一旦はボディプレスを決めたもののガラモンの小回り攻撃に翻弄され意識が朦朧となって倒される。
原始怪鳥 リトラ
第1話「ゴメスを倒せ!」に登場。
- 身長:5メートル
- 体重:1万トン
古代に生息した鳥類と爬虫類の中間生物で、学名はリトラリア。ゴメスと同じく東海弾丸道路第三工区の地底に眠っていたが、工事中に蛹の状態で見つかり、孵化した。最後の武器として口から「シトロネラアシッド」という強酸性の液体を吐いて攻撃することが出来るが、これを使うと自身も体内の呼吸器が溶解して死に至る。ゴメスと対決し、尾で叩きつけられたり牙で噛みつかれたりと一時は苦戦するが右目を嘴で突き形勢が逆転し、最後はシトロネラアシッドを口から吐きゴメスを倒すが、その直後に力尽きたかのように絶命する。
道路完成後、道路の傍のリトラが息絶えた場所に次郎少年の手によって墓が造られた。
- 名前の由来は「リトル(小さい)」から。
- デザインは東宝の井上泰幸。操演用ラドンを流用。尻尾には、孔雀の羽根が使われた。リトラのまま東宝に返却され、倉庫に保管されている写真が現存する。後に『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』の大コンドルに改造された。
- 脚部の構造は実在の鳥類と同様で、ウルトラシリーズの怪獣では他に後述のラルゲユウスが該当する。尾羽にも孔雀の羽根がそのまま使用されている。
- ゲーム『大怪獣デブラス』には、パロディの古代鳥獣ヤセギュルウスが登場。
『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』に登場したリトラ(S)
特撮テレビ番組『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』第2話「五人目のクルー」から登場。
- 身長:15メートル
- 体重:1万トン
『ウルトラQ』時代よりも大型の個体で、劇中では、リトラ(S)と命名されている。レイが使用する味方側の怪獣の一匹。元は惑星ボリスに住む怪獣。ジュランとの戦いでシトロネラアシッドを吐き絶命寸前のところをレイのバトルナイザーに回収され、以後レイの手持ち怪獣となる。他の怪獣よりも小さいが素早い動きと爪やクチバシ、口から吐く火球で勇敢に立ち向かう他、レイを背中に乗せての移動手段としても用いられる。
- モノクロ作品だった『Q』以来41年ぶりの映像出演であり、カラー作品に登場したのは初めてとなった。
- 劇中では全てCGで表現されている(続編の『NEO』や映画『ウルトラ銀河伝説』でも同様)。
- 口から吐く炎球は、『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS NEO』では「ファイヤーアタック」と表記されている。
原始怪鳥 ファイヤーリトラ
特撮テレビ番組『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』第4話「ベムスター参上!」から登場。
- 身長:15メートル
- 体重:1万トン
レイのバトルナイザーに回収されて復活したリトラ(S)が新たに見せた最強攻撃形態。全身が赤く染まっている。全身に纏った燃え上がる炎を巨大な火の鳥の形にして、敵に一撃をしかける「ファイヤーストライク」を必殺技とする。
『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』に登場したリトラ(S)
特撮テレビ番組『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』第2話「レイオニクスバトル」から登場。
前作から引き続き、レイのパートナー怪獣として活躍。第2話ではゴモラの援護の際に宿敵であるゴメスを攻撃し、因縁の対決を展開した。
『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に登場したリトラ(S)
映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』に登場。
今回はゴモラと共にウルトラマンベリアルの怪獣軍団に立ち向かう。素早い動きで飛び回り、怪獣軍団を翻弄したが、ベリアルにギガバトルナイザーで叩き落とされた。今作ではファイヤーリトラの形態は見せていない。
『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』に登場したリトラ(S)
DVD作品『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』に登場。
惑星チェイニーにてレイに召喚され、サロメ星人の実験基地を攻撃したが、メカゴモラのメガ超振動波で撃ち落とされ、ネオバトルナイザーに回収された。
『ウルトラマンゼロ外伝 キラー ザ ビートスター』に登場した リトラ(S)
DVD作品『ウルトラマンゼロ外伝 キラー ザ ビートスター』に登場。
ビートスター天球にて傷ついたゴモラの代わりに召喚され、ビートスターに洗脳されていたジャンボットと戦った。
巨猿 ゴロー
第2話「五郎とゴロー」に登場。
- 身長:50メートル
- 体重:1万トン
五郎という唖の青年に懐いていたクモザルが、旧日本軍の体力増強剤「青葉くるみ」(別バージョンではヘリプロン結晶G)を多量に食べ過ぎ、甲状腺ホルモンのバランスが破壊され、巨大化した。伊豆の山中や淡島の海上ロープウェーに出現した事で騒ぎを大きくさせる。後に、農作物を盗んで逮捕された五郎を求めて街に彷徨い出るが、毎日新報の関デスクの提案で、好物の牛乳に仕込まれた麻酔で眠らされ、同様に巨大化した大猿が生息するイーリアン島へ送られた。
- スーツアクター:福留幸夫
- 着ぐるみは東宝映画『キングコング対ゴジラ』で作られたキングコングの胴体を流用。顔は新調され、尻尾が付けられた。この後、この胴体は同じく東宝映画『キングコングの逆襲』のプール撮影用のコングに使われた。
- 本編では眠らされたゴローに対する五郎の心の絶叫(五郎は話すことができないため)で終わっているが、『ぼくら』昭和40年10月号に連載された絵物語では横浜港でイーリアン島行きの貨物船上の五郎とゴローを万城目達が見送るという後日談が加えられている。
- 中城健の漫画版『ウルトラQ』では別バージョンの"ヘリプロン結晶G"によって巨大化した事になっており、ラストは薬によってゴローが元の猿に戻れる事が示唆された形で幕を閉じている。
- 予定されていた第3クールのタイトル「ゴロー対スペースモンスター(ガラモン)」でガラモンと戦うシナリオが予定されていた。
- 鳴き声は『恐竜大戦争アイゼンボーグ』に登場したトラコに流用された。
- 解説にあるように、イーリアン島には同様の過程で巨大化した猿が生息しており、島民と共存している。この猿は写真が一枚のみ劇中に登場し、着ぐるみもゴローのものである。尚、怪獣図鑑に『イーリアン島の大猿』として掲載された事もある。
- ゴローのフィギュアは生産数が少ないため、マニアの間では高値で取引されている。『はねるのトびら』の「ほぼ100円ショップ」では、ロバートの秋山竜次がゴローのフィギュアを選んでしまい、33万円で購入することになった。
- ビデオ『ウルトラマンのすべて!』(バンダイビジュアル)では科学特捜隊が創設されることになった理由としてゴローの映像を見せている。
火星怪獣 ナメゴン
第3話「宇宙からの贈りもの」に登場。
- 身長:30メートル
- 体重:1万トン
半年前に打ち上げられ、火星に到達した後消息を絶ち、失敗に終わったと思われていた探査機が突然地球に帰還。中から球状の宝石のような物体が2個発見されたが、それはナメゴンの卵であった。眼から人間を硬直死させる光線を放つ。卵は宇宙開発局の金庫に保管されたが、金塊と誤解した二人組のギャングに奪われてしまう。そのうち1個は万城目と格闘の結果、セスナで逃亡した離島の大蔵島の温泉の熱で孵化し、ギャング達を殺害した後に万城目らに迫るが、海に落ちて溶解。これにより塩分が弱点であることが判明した。
もう1個は、状況を知らない一平が万城目とギャングとの格闘時に落ちたナメゴンの卵にチェーンを付け、ネックレスとして由利子に与え、一ノ谷博士の邸宅でナメゴンの関する会話の途中で由利子がコーヒーを作っていた時、偶然にもコーヒーを温めていたアルコールランプの火に反応して巨大化、万城目が卵を投げ捨てた邸宅の庭で孵化した。ドラマはそこで終わるが、博士が用意させた塩水で退治されたことが示唆されている。
一ノ谷博士は「火星人が地球人のやみくもな宇宙開発に対する警告の意味でナメゴンを送り込んだ」と推測した。
- 劇中では単に「火星怪獣」と呼称している。
- 鳴き声は東宝怪獣のバラゴンの流用。
- 撮影用プロップのうち、眼球部分のみ現存している。
- 移動ギミックは東宝映画『モスラ対ゴジラ』『三大怪獣 地球最大の決戦』の幼虫モスラのもの(ミニチュア自走用の車両を内蔵して自走)が流用されている。
- モノクロ作品なので体色は不明だが、残存しているプロップ写真などでは、灰色がかった体色をしている。『ウルトラQ』の全話カラー化を手がけている品田冬樹は「ナメゴンはカラー写真が残っていないので推測復元でカラー化している」と述べている[3]。
- 1990年代にバルタン星人やペギラ、ウルトラマングレートなどと共に、イベント用のロボットが製作されたことがあり、その時はピンク色に近い体色で製作されていた。
その他の作品に登場したナメゴン
- 『ウルトラマンメビウス』第22話で名前のみ登場。物語の時代から5年前(2001年ごろ)に火星に出現し、バン・ヒロトの母親を殺害している。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの右腕を構成する怪獣の一体として姿が確認できる。
- NINTENDO64ソフト『PDウルトラマンバトルコレクション64』に、プレイヤーキャラクターの内の一体として登場。体色は灰色ではなく水色。最初は「素早さ」が極端に遅いが、育成することで対応可能。覚える技は「溶解液」など。フィールドで「遊ぶ」コマンドを実行すると、目玉で太鼓を叩く。
巨大植物 ジュラン(マンモスフラワー)
第4話「マンモスフラワー」に登場。
- 身長:100メートル
- 体重:3千トン
皇居の堀やビルの地下で大蛇のような巨大な根が暴れ、まもなく丸の内のビル街に巨大な花となって姿を現す。根は人の血を吸い、花からは毒花粉が撒かれる。空から炭酸ガス固定剤を投下され、また根は火炎放射で焼かれたため、枯れたところで物語は終わった。
- 劇中ではジュランという呼称はされず、ただ単にマンモスフラワーと呼ばれた。
- 皇居の堀のシーンはロケではなく合成であるが、関係者には見分けがつかず、試写の際に出席者からクレームの発言があった(以後、特撮作品に皇居が登場したことはない)。
- 造形者は開米栄三[4]。
『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』に登場したジュラン
『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』第2話「五人目のクルー」に登場。
- 身長:100メートル
- 体重:3千トン
惑星ボリスに突如出現した。ピンク色の綺麗な花を咲かせている。毒花粉でZAPクルーのヒュウガとオキを襲うが、リトラのシトロネラアシッドを浴びて枯れた。
- 本作ではオキに「ジュラン」の名で呼ばれている。
冷凍怪獣 ペギラ
第5話「ペギラが来た!」および第14話「東京氷河期」に登場。
- 身長:40メートル
- 体重:2万トン
南極に生息する怪獣で、大国同士の核実験の放射能の影響でペンギンが変異した怪獣であると言われ、同様の一対の翼(フリッパー)と直立した形態を有する。アザラシに似た顔を持ち、半分閉じたような眠そうな目と2本の牙、頭から生えた小さな角が特徴。黒煙を吹きながら飛行し武器としてマイナス130度の冷凍光線を吐くが、その際反重力現象が起こりあらゆる物体を舞い上がらせる。
第5話では、本編の3年前に南極の観測所を襲い、野村隊員を氷漬けにし死亡させている。南極の苔から取れるペギミンHという物質が弱点であることがわかり、ペギミンHを搭載した気象観測ロケットで迎撃され、空の彼方へと黒煙を吹きながら飛び去る。
第14話では東京へ飛来。南極が原子力発電所の事故で温暖化し生存に適さない温度となったため、北極に向かう途中に東京で休憩したと万城目が推測した。都内を極低温に氷結させ自衛隊の攻撃も返り討ちにし東京を破壊した。元零戦のパイロットであった沢村照男の操縦するセスナ機の体当たりで爆薬を混合したペギミンHを浴び、再び空の彼方へ逃げ去った。
- スーツアクター:清野幸弘(クレジットは清野弘幸)
- 特殊美術・成田亨と怪獣造型・高山良策による初のウルトラ怪獣である。井上泰幸による最初のデザイン(のちに成田が修正)では角は無く、翼も鳥のように羽根に覆われていた。
- 鳴き声は第5話が象の鳴き声をアレンジしたものと映画『妖星ゴラス』のマグマの鳴き声を合わせたもので、第14話登場時が東宝怪獣のバラゴンの流用。
- ペギラのぬいぐるみはその後、同じ高山によって『ウルトラマン』第8話「怪獣無法地帯」に登場するチャンドラーに改造された。チャンドラーのスーツアクターも同じく清野が務めている。
- ペギラとチャンドラーの相似について公式設定は存在しないため、様々な解釈が非公式に記述されている。
『レッドマン』に登場したペギラ
特撮テレビ番組『レッドマン』第12、14、57、80、81、85、89、91 - 93、101、104、106、107話に登場。
ぬいぐるみはチャンドラーからペギラへ戻されたオリジナルであるが、長期間アトラクションで酷使された為に劣化が激しく、特徴的な瞼もなくなり、グレー系の色に再塗装されていた。『レッドマン』登場時にはさらに濃い色に白い斑点が描かれていた(もう一体アトラクション用の着ぐるみも使用されていた模様)。
この節の加筆が望まれています。 |
その他の作品に登場したペギラ
- 『ウルトラマンメビウス』第21話では怪獣墓場を漂う姿が見られた。『Q』に登場した個体と同一かは不明(『Q』でペギラは死亡していない)。
- 『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』第1話ではレイのゴモラに倒されて自らの冷凍液で氷漬けになった姿が見られた[6]。着ぐるみは、映像では確認し辛いが『ウルトラマンメビウス』で使われたものの流用。また同話でオキが作っていたチャンドラーの骨格標本をクマノはペギラと間違えていたが、これはチャンドラーがペギラの改造である事を基にしたネタである。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの首を構成する怪獣の一体として姿が確認できる。
- 映画『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』では、人類が怪獣と戦っていた頃の怪獣としてゾフィーに紹介される。映像は『Q』第5話からのみ流用し、ペギミンHで撃退されたことになっている。
- ウルトラマンフェスティバル2003ライブステージ第二部「伝説の勇者達~新たなる光~」ではゴドラ星人にチャンドラーと共に召喚されウルトラマンコスモスを苦しめた。
その他のペギラに関する補足
ウルトラシリーズ
再登場が何度か検討されていたが、いずれも途中で変更されている。
- 検討中だった第3クールに登場が予定されていた。「ガラモンの逆襲」のセットで撮影された特写会では、パゴス、カネゴン、ゴーガと共に参加している。
- 『ウルトラセブン』の企画段階では、レッドキング、アントラー、パゴスとともに、カプセル怪獣として登場する構想があり企画書や準備稿で名前が挙がっている。また同作の未制作脚本「宇宙人15+怪獣35」では、宇宙人連合が蘇生させた怪獣軍団の一員として登場し、ネロンガ、レッドキング、ジェロニモン、エレキングと共に最後まで残りセブンを苦しめるも、黄金怪獣ゴードに倒されるというシナリオが予定されていた。
- 『ウルトラマンティガ』第49話「ウルトラの星」では、ダイゴが『ウルトラQ』制作中の世界にタイムスリップしてきた形で「ペギラが来た!」の撮影風景が再現されている。
- 映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』以前に企画されていた『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』の続編作品では、新デザインで登場が予定されていた[7]。
- 『大怪獣バトル』の第2弾に技カードとして登場。スキルは5話、14話タイトルを合わせた「氷河期がきた!」で効果は「ずっと、効果はこうげきが「れいき」こうげきになる」であり、冷凍怪獣らしい効果である。
漫画作品
- 漫画『ウルトラマン超闘士激伝』ではブラック指令配下でペギラをモチーフにしたメタルモンスが登場した。
- 漫画『ウルトラ忍法帖』では悪の組織「朧党」の忍獣「屁戯羅」として登場。最後はウルトラマンティガに倒された。
外部作品
- 『チビラくん』56話におばけ星の怪物として登場。
- 『渥美清の泣いてたまるか』の「おゝ怪獣日本一」に赤木と少年が見ていたテレビに写るシーンがある。
大ガメ ガメロン
第6話「育てよ! カメ」に登場。
- 身長:99センチメートル
- 体重:1トン
小学5年生の浦島太郎少年が育てた亀(ゼニガメ)が、太郎少年が龍宮城に行く絵本風の夢から覚めたと同時に99センチに成長した姿。彼を乗せて空を飛んだり壁を通り抜けたりする超能力を発揮し、太郎を竜宮城に連れて行くが、怪竜の火炎放射で撃墜された。
甲羅の中には車のウィンカーやスピードメーターが存在する。飛行速度はマッハ3で、亀らしく水中も高速で泳ぐことが出来る。太郎少年の未知の力(妄想)が巨大化させたと言われている。
- スーツアクター:福留幸夫
- 劇中では「ガメロン」との呼称はされていない。
- 造形者は開米栄三[8]。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの胴体を構成する怪獣の一体として姿が確認できる。
怪竜
第6話「育てよ! カメ」に登場。
- 身長:20メートル
- 体重:500トン
乙姫が乗っていたミサイルが変身した竜。太郎の乗ったガメロンを火炎放射で撃墜する。
- 操演用ミニチュアは東宝特撮映画作品『海底軍艦』に登場した怪獣マンダの流用。
- ウルトラマンワールド「ロボット怪獣大集合!!」では、『ウルトラセブン』に登場した怪獣ナースの造形が竜に似ている事を説明する際に、怪竜の登場シーンが引用されている。
乙姫
第6話「育てよ! カメ」に登場。
- 身長・体重:不明
普通の人間の小学生の少女と全く同じ外見。しかし笑い声はヘリウムガスを通したように甲高い。虚勢を張る太郎少年を翻弄し、嘘をつかないと約束した太郎少年に玉手箱を手渡した。
- 演:立石愛子
岩石怪獣 ゴルゴス
第7話「SOS富士山」に登場。
- 身長:40メートル
- 体重:10万トン
古代に宇宙から降ってきた巨大岩石が湖から噴出し、いったん爆破粉砕された巨大岩石が寄り集まって怪獣となった。ダイナマイトで破壊されても中心核が生きていればその破片が再び集まって蘇生する。口から吐く高熱の蒸気と10万トンの重量が武器。
富士山麓で成人した野生児タケルに背中の急所を突かれた後に中心核が取り出され、警官の拳銃によって破壊されて岩石に戻った。
- スーツアクター:中村晴吉
- 鳴き声はゴジラと『キングコング対ゴジラ』の、キングコングの声を流用。
- クレジットは「ゴルゴス」ではなく「岩怪獣」と表記。
- デザイン画では細い鞭のような尾が描かれていた。
その他
- 『ウルトラマン』第25話「怪彗星ツイフォン」の準備稿において再登場が予定されたが、決定稿でレッドキングに変更された。
- 『ウルトラセブン』の未発表作品「宇宙人15+怪獣35」では宇宙人連合により蘇生され、富士山麗に集結し東京を目指す怪獣軍団の中に名前が確認されている。富士山麗は『ウルトラQ』本編でゴルゴスが出現した場所でもある。
- 居村眞二の漫画『戦え!宇宙けいび隊』のエピソードの一つ「怪獣スターウォーズ」では、ババルウ星人がゴルゴスに変身して岩石に擬態し、ヒッポリト星人に不意打ちを仕掛けている。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの首を構成する怪獣の一体として姿が確認できる。
モグラ怪獣 モングラー
第8話「甘い蜜の恐怖」に登場。
- 身長:50メートル
- 体重:2万トン
普通のモグラが特殊肥料「ハニーゼリオン」の影響によって巨大化した怪獣。農業試験場周辺の村落を荒らしまわった後、巣に侵入した生みの親といえる伊丹研究員の爆破に誘発され地上へ出現した所に自衛隊の砲撃を受けて地中に逃走、地下のマグマ層に激突、焼死した(直接焼け死ぬ描写は無く、地割れや火山噴火で表現されている)。
- スーツアクター:福留幸夫(クレジットは福留幸雄)
- 劇中では「大モグラ」としか呼ばれておらず、自衛隊の立て看板にも「大モグラ対策司令本部」と書かれている。
- 着ぐるみは二子玉川園にて1973年に行われた「怪獣供養」にて、ダダやギラドラスなどと共に焼却処分された。
- 鳴き声はライオンの鳴き声をアレンジしたもの。その後、遅回しにした物が『ウルトラマン』に登場したジェロニモンに使用された。
その他の作品に登場したモングラー
- 映画『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』にはピグモンの夢の中に登場(映像は『Q』8話の流用)。また登場シーンが二回あったため本作とは違い二個体出現した事になっている。
- 漫画『ウルトラマン超闘士激伝』ではネオスとセブン21が防衛を担当していたセントール星の村長として登場。それ以前にもモブの観客として登場している。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの胴体を構成する怪獣の一体として姿が確認できる。
大グモ タランチュラ
第9話「クモ男爵」に登場。
- 身長:2.5メートル
- 体重:120キログラム
洋館に潜む巨大グモ。90年前に欧州から持ち帰った毒蜘蛛タランチュラに刺されて命を落としたクモ愛好家の男爵とその愛娘がタランチュラに変貌した哀れな末路だと言われている。深夜、燈台と廃屋と化した洋館に現れ、迷いこんだ万城目たちに襲いかかった。口から糸を吐いて獲物を捕らえる。1匹は万城目にナイフで刺殺され、さらに現れたもう1匹は万城目らの乗るスポーツカーに迫るも轢殺されて、その直後屋敷の主を失ったことに呼応するかのように洋館は崩れ落ちた。
- 猛毒を持つとも言われるが、劇中で特にそういった描写は無かった(シナリオでは噛まれて踊り狂うという描写があったという)。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの胴体を構成する怪獣の一体として姿が確認できる。
人工生命 M1号
第10話「地底超特急西へ」に登場。
- 身長:2メートル
- 体重:180キログラム
人工的に創造された生命体の第1号。MはMan Made=マンメイド(人工的に創造された人類)の略である。遺伝子工学の権威である阪大の相川教授と助手のチームによって創造された(教授自身は、M1号は仮の名としている)。ゴリラと猿人をミックスしたような容姿をしている。手足の指は各4本あり、それぞれ黒い爪を持つ。ブルドーザー20台分の怪力を誇るが、性格は大人しくかつユーモラスで、知能は人間でいえば三歳の幼児程度。好奇心旺盛で「いなづま号」の運転席のスイッチに興味を示したりする。また、手で頭を擦ったり、手で目を覆い隠すなどの幼児のような仕草をする。「アブアブ」という音声を発しているが人間との会話はできない。
回転しながら発光を繰り返す大きな核を持つゼリー状の物体として生み出され、遺伝子活動を抑える為に約20cmの大きさの特殊な高圧ボンベで封じ込められて、当初は改良を加える為に星川航空の飛行機で阪大に搬送される手筈だった。しかしボンベを入れたトランクが手違いで地底超特急「いなづま号」に持ち込まれる。新聞記者のカメラのフラッシュに反応した結果、遺伝子の活動が活発化し、「いなづま号」の車内ロッカー内で閃光が激しくなると同時に細胞分裂を起こし、猿人のような姿に成長した。北九州駅に向けて疾走中の「いなづま号」の運転室を占領して、人工頭脳と計器類を狂わせた後、怪力で破壊して操縦・制御不能にし騒動を巻き起こし、あげくの果てに占領した先頭車両が北九州駅に衝突し、駅周辺に大被害を及ぼしてしまう。
大爆発で宇宙へ放り出された際、「私はカモメ、私はカモメ」とソビエトの宇宙飛行士ワレンチナ・テレシコワの有名な言葉を発していた。
- スーツアクター:中村晴吉
- 造形者は高山良策。
- 怪獣図鑑に紹介されている足形は、化学の「化」の漢字(カタカナの「イロ」という文字にも見える)が刻まれている部分がある独特の形態をしている。
- 藤原カムイによる漫画版『ウルトラQ』では、新東京駅を出発前から「いなづま号」の特殊ロッカーに、成長前のM1号が入ったカプセルが保管されており、原作と同様にカメラのフラッシュに反応した後、肉体が次々と泡を立てながら形成されて実体化する展開になっている。
- 成田亨の準備稿でのM1号のデザインは、エド・カーティアのベムに似た昆虫の身体に手足が付いた人間のフォルムのデザインで、決定稿(第2稿)のデザインもかなり野生の猿に近い姿をしていた。また準備稿と第2稿と共にM1号は死亡する筋書きになっている(準備稿は「いなづま号」のエンジン噴射に巻き込まれ、第2稿は先頭車両が車止めに衝突したショックで死亡する)。なお準備稿のデザインは『ぼくら』昭和41年4月号の特集の中でM2号と紹介された。
- ネット上で「M1号は幼児の尿に含まれた遺伝子から創造された」という主旨の情報が流布されているが、これは全くのデマで公式設定は勿論、準備稿、決定稿、関連書籍類にもそのような情報は存在していない。
『ウルトラゾーン』に登場したM1号
『ウルトラゾーン』第7話『さすらいのM1号』、第10話『続・さすらいのM1号』に登場。第13話『ケムール、ファッションモデルになる』にもゲスト出演。
『ウルトラQ』第10話のその後となる話で、暫く宇宙に漂っていたM1号は母親に呼ばれた気がして地球に帰ってくる。しかし本当の母親はいないので母親を探す旅に出るために、寅さんの格好でバナナのたたき売りのアルバイトをする。しかしバナナ自体が良く判らずしかも長く宇宙にいた影響かハリセンで叩くだけでバナナが爆発してしまい、元締めに怒られ困った末に宇宙へ逃げた。会話は出来ないものの「私はカモメ私はカモメ」と発する。
続く第10話では、再び旅を続けるM1号は元締めと共に、身体から出た汗を「Mの油薬」として売り出すも全く売れず、その脇ではケムール人が大儲けをしていた。量を出そうと辛い物を大量に食べるが、あまりにも辛すぎてまた宇宙に飛び出してしまう。
第13話では、女性カメラマンがケムール人の代わりの怪獣っぽいフェロモンを出せる写真モデルの怪獣として登場するが、怒ったケムール人に消滅させられる。
その他の作品に登場したM1号
- 『ウルトラマン前夜祭』に暴れる怪獣達の一体として登場。ウルトラマンと戦った。
- 映画『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』では、ピグモンの夢の中に登場。体型からピグモンにガッツ石松と見間違えられた。声は白川澄子が担当。
- 漫画『大怪獣バトルウルトラアドベンチャー』ではM1号は登場しないが、『ウルトラQ』に登場した「いなずま号」の後継機が登場しており、その車掌がM1号に酷似した風貌をしている。
M1号のパロディ他
- パロディとして漫画『マカロニほうれん荘』にも登場する。きんどーさんの命令でトシちゃんの乗る鉄道の進行を妨害する為に大岩を落とした。
- 永野のりこ作『GOD SAVE THE すげこまくん!』には女教師・松沢に似せた「人工生命・M(松沢)1号」が登場。
- 元プロ野球選手の正田耕三が、『勇者のスタジアム・プロ野球好珍プレー』でこのM1号にそっくりだと言われたことがある。
- 角川文庫『ティルトワールド3』で、ドワーフの神官グンバルが生ける屍と化した際、新生命体「えいえんにいきむげんにそだつもの」略して「えむ1号」と名づけられたフレッシュゴーレムに改造されかけている。
風船怪獣 バルンガ
第11話「バルンガ」に登場。
- 身長:50センチメートル - 無限大
- 体重:不明
触手の生えた風船状の生命体。地球に帰還中の有人土星ロケット・サタン1号に付着、燃料を吸収し、燃料切れのため墜落したサタン1号と共に地球に侵入した宇宙胞子から成長した。大きさは細胞大から無限大。風船のように大気中に浮かび、ガソリン燃料から台風まで、あらゆるエネルギーを吸収して無限に成長する。東京上空に居座って街を大混乱に陥れたが、最後は、本来の食物(エネルギー源)である太陽(国連がバルンガを誘き寄せるために打ち上げた人工太陽)を目指し、宇宙へ向けて旅立った。
- 名称はバルーン(風船)に由来。
- 色に関しては諸説ある。
- 『ウルトラマンメビウス』に登場した肥大糧食シーピン929のデザインモチーフとなっている。
その他の作品に登場したバルンガ
- PSPゲーム『ウルトラマン Fighting Evolution 0』のウルトラ大辞典60に登録されており、能力がスピリッツ(相手のゲージを吸収し続ける)として使われている。
- DSゲーム『怪獣バスターズ』の討伐対象となる怪獣として登場。配色は緑であり、攻撃を受ける度に巨大化していく。惑星ワッカの水を吸収した青色の変異種も登場。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの首を構成する怪獣の一体として姿が確認できる。
古代怪鳥 ラルゲユウス
第12話「鳥を見た」に登場。
- 身長:7センチメートル - 50メートル(翼長100メートル)
- 体重:300グラム - 1万5千トン
通常は文鳥の姿をしているが夜を中心に巨大化して暴れまわる。一の谷博士によると、第三氷期以前に生息した鳥の祖先の一種とのことだが後述する無人船が存在した10世紀にインドに大群が出現した記録が残っている。 物語序盤に深夜の動物園を襲い動物たちを捕食して見回っていた従業員に瀕死の重傷を負わせた後、漁船に漂着した無人船の中から、小鳥の姿で万城目達に発見されたが無人船は程なく沈没し逃走、文鳥の姿のままで孤児の三郎少年に飼われて「クロオ」の名をつけられ三郎少年の孤独な心を和ませていたが、三郎少年が寝ている夜に集落を襲って家畜を全滅させたことから存在が発覚、一の谷博士の提言をもとに危険視した警察によって少年から引き離され、警察署に収容されてしまう。しかし収容されていた留置場内で巨大化、警察署を破壊して飛行しながら巨大な翼の羽ばたきによる暴風で街を蹂躙したあと、三郎少年と万城目達がいる海岸上空に現れ、三郎少年に別れを告げるかのごとく飛び去っていった。
- タイトルの「鳥を見た」は序盤に襲われた従業員が死に際に語った台詞と無人船から万城目達が持ち帰った航海日誌に記載されている。
- 撮影には複数のミニチュアが使用されている。また、この回の為に街のミニチュアセットもしっかりと組まれていたのだが、実際に使用された突風による破壊シーンのフィルムは殆どが東宝映画『空の大怪獣ラドン』からの流用となっている。
隕石怪獣 ガラモン
第13話「ガラダマ」に登場。
コイン怪獣 カネゴン
第15話「カネゴンの繭」に登場。
宇宙怪人 セミ人間
第16話「ガラモンの逆襲」に登場。
- 身長:1.8メートル
- 体重:150キログラム
チルソニア遊星からやってきた地球侵略を目論む宇宙人(チルソニア遊星人)。変身能力に長けている宇宙人で、地球上ではスーツを着た中性的な容貌の男に化けて活動していた。背広の形にそっくりな透明のブレザーを着ている。第13話に登場したロボット怪獣・ガラモンを送りこんだ黒幕であり、地球人に回収され天体物理学研究所に保管されていたガラモンの電子頭脳を盗み出した。その後、牛山という男性が運転するトラックに同乗していたが、途中、ドライブインに牛山を残したまま、トラックを発進させ、宇宙船の待つ榛名湖に向かう。電子頭脳から発振される電波を追ってきた万城目や警官たちに小型の誘導装置を用いてトラックを動かしたり、警官の銃を取り上げて発射し、警官達を殺害するなどの抵抗を試みるが、電子頭脳を万城目らに取り返され、任務は失敗した。ドライブインから万城目と行動をともにしていた牛山に自分が殺害した警官の銃で撃たれたことで、その正体を現し、失敗の処罰として宇宙船の放つ光線で炎に包まれ、処刑された。
- スーツアクター:義那道夫(人間態も演じている)
- 断末魔はセミの鳴き声を流用。
- 劇中では「遊星人」もしくは「宇宙人」と呼称されており、シナリオでは「遊星人Q」と記述されている。
- 準備稿ではイメージキャストとして丸山明宏(現:美輪明宏)が挙げられている。
- 造形者は高山良策。透明な背広も高山の手による。
- 頭部マスクはその後、バルタン星人へと改造される事となる。初の高山の頭部造形時には色彩はつや消しであり、眼は発光していない。その後、撮影前に造形物につやが入れられ、円谷特技プロの機電担当だった倉方茂雄の手により、眼には発光と回転ギミックが仕込まれた。倉方の証言によれば、バルタン星人の眼は黄色く発光するのに対して、このセミ人間の眼は白色であったとの事である。
- 宇宙船も『ウルトラマン』第2話「侵略者を撃て」でバルタン星人の物として、第33話「禁じられた言葉」でメフィラス星人の物として流用されている。
その他の作品に登場したセミ人間
マスクがバルタン星人に改造された経緯から、バルタン星人と何らかの関連性を持たされる事が多い。
- 漫画『ウルトラマンSTORY 0』第1話に登場したバルタン星人の変異前の姿はセミ人間に酷似している。
- 居村眞二の漫画『ウルトラマン80 宇宙大戦争』『ウルトラ超伝説』ではバルタン星人配下の機動兵士として複数登場している。
- 『ウルトラマンライブステージ2 宇宙恐竜最強進化!』では事件の黒幕として登場。“セミのように寿命が短い”という設定。
- 『ウルトラQ dark fantasy』ではリメイクキャラクターのセミ女が登場している。
- 『SmaSTATION!!』2009年12月19日放送分で「ウルトラマン 9のヒミツ」と題した特集が組まれた際、セミ人間からバルタン星人に改造された事が紹介された。
1/8人間
第17話「1/8計画」に登場。
- 身長・体重:人間の1/8
人口の増えすぎた人類延命策の一つとして、衣食住すべてが安く上がる8分の1サイズに縮小された人間。S13地区と呼ばれる1/8サイズで作られた街で管理される。S13地区の人間には仕事や税金が免除される代わり、市民番号が付けられ、厳重に普通の世界と隔離される。由利子は1/8計画の選抜者と間違われ、誤って1/8に縮小されて都会をさすらう。万条目と一平は由利子を探すうちに1/8人間用の小さな街に「巨大なまま」で紛れこんでしまう。
実は、全ては人混みの中で階段から落ちて気を失った由利子が見た夢であった。
- 円谷一によると、ミニチュアの陰で居眠りしていたスタッフが、本番中に立ち上がってしまった出来事から発案された設定だという。
地底怪獣 パゴス
第18話「虹の卵」に登場。
- 身長:30メートル
- 体重:2万トン
かつて北京郊外に出現した原始動物であり、ウランを常食にする。その為、北京郊外のウラン貯蔵庫を襲撃し、ついには日本の新産業都市の原子力発電所にも姿を現した。地底怪獣なので、高速で地中を掘り進む能力を誇り、口から吐き出す分子構造破壊光線で、敵を倒す。なお、この光線は人間の目には金色の虹に見えるという。輸送中に紛失したウランカプセルを発見し、何でも願いをかなえてくれる「虹の卵」と間違えた少女が、カプセルを狙うパゴスに襲われかける。ネオニュートロンミサイルにより身体が風化し、砕け散った。
- スーツアクター:中島春雄[10]
- 本作は『ウルトラQ』では最も多い4種類の台本が確認されるが、決定稿(第3稿)ではパゴスの正式名称は「パゴタトータス」と記載されている。
- ぬいぐるみは東宝映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』のバラゴンの改造。頭を切り離して円谷特技プロに貸し出され、高山良策によって胴体を布で覆って保護されたうえ化粧直され、頭が新造形された。
- 鳴き声も同様にバラゴンの流用である。『Q』以後は『ウルトラマン』にてネロンガ→マグラー→ガボラ→アトラクション用ネロンガへと改造され、『怪獣総進撃』用に再びバラゴンに戻された。『ウルトラマン』マスコミ向け撮影会時の茶色いネロンガは、背びれもなく黄色い虎縞もないパゴスの体色のままである。
- 当初はゴメスが登場する予定だったが、ゴメスのスーツが撮影時東宝に返却されゴジラに戻されていた為に変更された。
その他のパゴスに関する補足
- 検討された第3クールにおいて「パゴス対ギョオ(魚型怪獣、ピーターも候補)」、「東京大津波(パゴス対ケムール人対ガラモン」への登場が予定されていた。また「ガラモンの逆襲」のセットで撮影された特写会のスチール写真(東京タワーをはさみペギラ、パゴス、カネゴン、ゴーガが集合)が存在している。
- 『ウルトラマン』第9話「電光石火作戦」は本来パゴスを再登場させる予定で準備稿では「パゴス反撃指令」となっている。当初の案ではネロンガ→マグラーを経て改造された着ぐるみをパゴスへと再改造する予定だったが、マグラーの着ぐるみはガボラに改造された。
- 『ウルトラセブン』の企画段階では、レッドキング、アントラー、ペギラと共に、カプセル怪獣として登場する構想があり企画書や「レッドマン」時点での準備稿「漂流する惑星」で名前が挙がっている。その後、同作32話「散歩する惑星」の準備稿において脚本家が最初に登場した際と同じ山田だった事もあり、再度カプセル怪獣としてリッガーと戦う予定だったが最終的にアギラに変更された。
- 漫画『ウルトラマン超闘士激伝』ではザム星人が率いるエンペラ陸軍のメタルモンスの中にパゴスをモデルにしたものが存在する。
- 『ウルトラマンマックス』第29話「怪獣は何故現れるのか」にも登場予定があったが、パゴスの回の脚本を書いた山田が2005年に亡くなった為「勝手に出す訳にはいかない」という理由でネロンガに似た新怪獣ゲロンガへ変更された。
- 映画『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』では、人類が怪獣と戦っていた頃の怪獣としてゾフィーに紹介されている。分子構造破壊光線の発射音が変更されている。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では百体怪獣ベリュドラの胴体を構成する怪獣の一体として姿が確認できる。
誘拐怪人 ケムール人
第19話「2020年の挑戦」に登場。
海底原人 ラゴン
第20話「海底原人ラゴン」に登場。
宇宙エイ ボスタング
第21話「宇宙指令M774」に登場。
- 全長:50メートル
- 全幅:40メートル
- 体重:1万トン
キール星人により破壊活動の為に地球に送り込まれた宇宙エイ。宇宙から三浦半島沖に落下着水した卵から誕生し、音を頼りに近くを航行する船を破壊していた。マンタのようにジャンプする習性がある。ルパーツ星人ゼミにボスタングが地球に潜入していることが地球人側に告げられ、海上保安庁の巡視船に誘き出された後、最後は航空自衛隊のF-86戦闘機によるミサイル攻撃で木っ端微塵となる。
- 「ボスタング」とはキール星の言葉で「不滅の生命」を意味するらしい。
- ボスタングは『ウルトラQ』の未使用シナリオ「Oil S・O・S」に登場する予定だった怪獣クラプトンの操演用ミニチュアを改造し、流用したもの。
- 操演用ミニチュアが現存しているが、材質の劣化による変化で当時の体色は判然としない。
- 『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS』及び『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』に直接は登場しないものの、キール星人が搭乗している宇宙船はボスタングを模した形状をしており、書籍では「ボスタング型宇宙船」とされている。
ルパーツ星人
第21話「宇宙指令M774」に登場。
- 身長:160センチメートル
- 体重:45キログラム
宇宙エイボスタングの脅威から地球を守る為にやってきた。人間と同じ姿をしている。本名はゼミ。ボスタングの脅威を万城目たち地球人に教えるために、人形を通して、あるいは万城目らの搭乗した飛行機を誘導の上メッセージを伝えた後、図書館司書の一条貴世美の姿で万城目たちに接触した。好戦的なキール星人とは宿敵の関係にある。
貴世美(ゼミ)はボスタング撃滅の後、地球に定住した。彼女によれば、他にも友好的な宇宙人が多数、地球に定住しているらしい。「あの人も」とゼミが視線を向ける先にいる宇宙人は、姿こそ人間と同じだが、皆同じデザインのサンダルを履いている。そして彼女が「貴方の隣の方、その人も宇宙人かもしれませんよ」と視聴者に向かって呟き、物語は終わった。
- 演:水木恵子
- 朱川湊人の小説『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』では直接登場はしないものの、「ガーベラ遭難事件」の情報提供者として名前が語られている。
キール星人
第21話「宇宙指令M774」に名前のみ登場。
- 身長・体重:人間と同じくらい
あらゆる情報が一切不明な謎の宇宙人。好戦的な宇宙人で、地球に宇宙エイボスタングを送り込んで攻撃させた。平和を愛するルパーツ星人と対立しており、それゆえ常に自分の邪魔ばかりしてきたルパーツ星人を激しく憎んでいる。
- 名前の由来は「殺す」の英語読みの「Kill」から。
- 『ウルトラQ』では姿を見せていないが、下記の『大怪獣バトル』シリーズに登場した際に詳細な姿が設定され、ルパーツ星人同様の人間と同じ顔をしたヒューマノイドタイプの宇宙人であるとされた。
『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS』に登場したキール星人ヴィットリオ
データカードダス『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS』のストーリーモードに登場。
レイオニクス(怪獣使い)の一人であるキール星人の少年で、ボスタング型の宇宙船に搭乗している。EXゴモラでレイオニクスバトルに参加する。地球人に対して敵対的な態度をとっており、主人公とピグモンに対しても挑発的。だが、何度か主人公達と出会って行くうちにその実力を認めていき、レイオニクスについて教えたり、過去のボリスに飛んだババルウ星人を追うのを手伝ったりと少し協力的になった。そして、第16話で主人公の怪獣と自分のEXゴモラを戦わせる。だが、戦いの最中にレイブラッド星人の操るシルバーブルーメに捕らわれ、レイオニクスパワーを吸い取られてしまう。そして第18話でレイブラッドが憑依したデスフェイサーのネオマキシマ砲から主人公達を庇った為に、戦えなくなるほどの大ダメージを負うも、自分のバトルナイザーを主人公に託して主人公を勝利へ導いた。
その後、レイブラッド亡き後の『NEO』にも登場。レイオニクスバトル目当てではなく、レイブラッドに似た邪気を感じて並行世界にやって来て、そこで主人公とカネゴンと出会い、以後共に行動するようになる。どう言うわけか覚醒しており、以前持っていたバトルナイザーはネオバトルナイザーに変化している。また、『EX』での一件があってかどうかは定かではないが、『EX』登場時と比べると性格がやや丸くなっており、挑発的な態度は全く見せていない。それどころか、カネゴンがノーバによって狂わされた際に慌てたり、EX第18話での出来事を自分が解決したように自慢げに話したり、宇宙船がワームホールを抜けた際の衝撃でひっくり返ったり、グランデにチビと馬鹿にされてショックを受けてムキになったりと、やや子供のような一面とコミカルな部分が目立つ。
グランデ同様マスクを着けており、その下がどのような顔になっているのかはゲーム本編では明かされなかったが、漫画『大怪獣バトル ウルトラアドベンチャー』のレイブラッド編最終話にて明らかとなった。
また、本編以外でも『NEO』のバトルモードのEXラウンドにも登場。こちらではベロクロンを使役している。
- 声優:日比愛子
- 『Q』では画面に登場しなかった外見が、このゲーム出演に際して初めて設定された。
『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』に登場したキール星人グランデ
第6話「史上最強のレイオニクス」、第7話「第二覚醒」、第10話「新たな戦いの地平で」、第12話「グランデの挑戦」、第13話「惑星崩壊」に登場。
過去にボスタングを送り込んだキール星人の同族のレイオニクスで、本作におけるレイのライバル的存在。タイラント、レッドキングを操る。また同族が過去に地球を襲撃した事もあり、地球の事を知っていた。ヴィットリオ同様ボスタング型の宇宙船に登場している。
飄々とした掴めない性格であり、常に相手を煙に巻くようなふざけた言動をとるが、その本性は極めて好戦的で残虐。レイオニクスの中でも最強クラスの実力を持っており、その証である「ネオバトルナイザー」を所持している。よく耳のピアスを鳴らす癖がある。
第6話にてヴィットリオと同じボスタング型の宇宙船で惑星ハマーに現れ、「弱い相手ばかりで飽き飽きしていた」という理由でレイにレイオニクスバトルを挑む。今まで数々の経験を積みレイオニクスとしてかなり高い実力を持つレイすらも全く相手にせず、タイラント1体でゴモラを完膚なきまでに叩きのめし、エレキングを消滅させた。
第7話ではレイの復活を感じ取りペダン星人の船団を殲滅し、パワーアップしネオバトルナイザーを持ったレイに狂喜して再びレイオニクスバトルを挑む。前回とは逆にタイラントが手も足も出ず叩きのめされ倒されたが、レイとは逆に自らタイラントとのリンクを切り、生存。「あの怪獣にもそろそろ飽きていた」と吐き捨て、レイに挑発とも再度の挑戦とも取れる言葉を投げかけて宇宙船で去った。レイとの再戦に向かう前に忠告に現れたケイトに惚れたらしく、再戦後に去る前にはレイに彼女を紹介するよう頼んでいた。
第10話ではペダン星人のレイオニクスハンター部隊に襲撃されるが、本来は敵わないはずのレッドキングでキングジョーブラックを圧倒。レイオニクスハンターを驚愕させた。
第12話ではレイブラッド星人の後継者争い抜きの真のレイオニクスバトルを仕掛ける形で、レッドキングでレイのゴモラと再戦。始めはレッドキングをブレイブバーストさせることで戦いを優位に進めるも、レイがレイモンとなったことでブレイブバーストを起こしたゴモラに逆に追い詰められ、止めを刺されそうになる。だが、レイモンがレッドキングに止めを刺そうとするゴモラを止めた為、レッドキング共々一命を取り留めた。なお、この時にレイ同様教育係の姉がおり、その姉を殺したことでレイオニクスに覚醒したことが明らかになっており、最強のレイオニクスになろうとしているのはその犠牲に報いる為だと語っている。
そして第13話においてバトルを楽しむことと、ケイトをまだ紹介してもらっていないことを大義名分にレイの救援に駆け付け、レイブラッド星人が憑依したアーマードダークネスに挑む。苦戦を強いられるが、レイと共にレイブラッドの力を覚醒させてレッドキングをEXレッドキングに進化させてアーマードダークネスを倒した後、再度の挑戦をレイに告げて惑星ハマーを去っていった。去り際にも自分達の戦いが何だったのかと呟いた直後におちゃらけてみせるなど、最後まで彼らしい一面を見せていた。
ゲーム版『NEO』のストーリーモードにも登場。同じキール星のレイオニクスであるヴィットリオを「チビ」と呼んで馬鹿にする。また、本編以外でもバトルモードのEXラウンドに登場。こちらでもタイラントを使役している。
- 演:唐橋充(ゲーム版『NEO』のグランデの声優も同様に担当)
- ヴィットリオと同様に『Q』では不明だった外見が、本作にて新たに設定された。また、映像作品でキール星人が姿を見せたのは本作が初めてである。
巨人
第22話「変身」に登場。
- 身長:20メートル
- 体重:500トン
由利子の友人あや子の婚約者である昆虫学者の浩二が、本来日本にいないはずのモルフォ蝶の毒を浴び、喉に猛烈な渇きを覚えて近くにあった沼の水を飲むことによって変身してしまった姿。野生化の影響で人間の時よりも凶暴化しており、人語は喋らず唸り声のみあげる。最終的にはあや子の心の叫びにより理性を取り戻し、一ノ谷博士によって開発された熱原子X線によって人間に戻る。
- 演:野村浩三
- 『ウルトラQ』企画時のタイトル『UNBALANCE』としての最初の台本(第1稿)では、骨子は完成作品とほぼ同一だが、クライマックスで巨人となった浩二があや子と会話を交わすシーンの存在、浩二が熱原子X線によって人間に戻らずに絶命するという点が異なる。原案を考えた熊谷健によれば、青森県十和田市の民話をヒントにしているとのこと。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの胴体を構成する怪獣の一体として姿が確認できる[11]。
巨蝶 モルフォ蝶
第22話「変身」に登場。
- 身長:80センチメートル(翼長:2メートル)
- 体重:100グラム
実在のモルフォチョウをベースとしており、異界への入り口を示すシンボルとして表現されている。アマゾンにしか生息せず、劇中では長野県の蓼科高原に生息しており、大小数匹登場し、浩二が巨大化したシーンでも2匹が飛んでいた。
大ダコ スダール
第23話「南海の怒り」に登場。
- 身長:100メートル
- 体重:3万トン
怪力が武器でミクロネシアのコンパス島近海を航行する漁船を襲い沈めて、「漁船遭難事件」を起こした。また、この怪力で人間を絞め殺すことができる。南海の孤島コンパス島の付近の「死の海」に棲息しており、原住民に守り神としてあがめられ(そして祟り神として怖れられ)ていた。その後、海底に潜むために国連飛行隊が爆雷攻撃を敢行。手負いで上陸してきたところを自身が襲撃した第五太平丸の若い漁師・雄三と島の娘アニタに率いられて決起した原住民や、「死の海」を取材に来た由利子たちと対決し、無数の槍を体に突き刺され、さらにアニタのライフルの連射も受け完全に絶命した。
- 造形物は東宝映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』で制作された大ダコの流用で、足1本のみ新規に造型されている。万城目やコンパス島民たちがスダールと戦うシーンは『キングコング対ゴジラ』の映像を一部(モノクロ)流用しており、脚本そのものがこの流用を前提に書かれている。
- 成田亨により、巨大魚としてのデザインが描かれているが未使用。
- 名称の由来は酢ダコ。
貝獣 ゴーガ
第24話「ゴーガの像」に登場。
- 全長:20メートル(最大時)
- 体重:2万トン(最大時)
サザエの殻のような貝殻とカタツムリのような体を持ち、眼から怪光線を発することができる。貝殻の後尾をドリルのように高速回転させて地中を移動することも可能。凶悪な美術品密輸団によって東京に持ち込まれた「ゴーガの像」に封じ込められていたが、像をレントゲン撮影する際に照射された放射線の影響で目覚め、巨大化し東京の町を破壊する。6000年前にアランカ帝国を悪徳が栄えた為にゴーガが甦り、一夜で滅ぼしたという伝説が残っている。「ゴーガは火の海と共に没す」という伝説に習い、最後は自衛隊の火炎攻撃で倒される。
- モデルになったのは、当時米軍施政下の沖縄本島に蔓延していたアフリカマイマイ。沖縄出身の金城がアイデアを出したとされる。
- ゴーガは大(3尺=90センチ)・中(2尺=60センチ)・小(1尺=30センチ)の計3体が造型されたが、一番大きいものは撮影で劇中描写のために実際に焼却された。
- 「ガラモンの逆襲」のセットで撮影された特写会のスチール写真(東京タワーを挟みペギラ、パゴス、カネゴン、ゴーガが集合)が存在している。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの左腕を構成する怪獣の一体として姿が確認できる。
悪魔ッ子 リリー
第25話「悪魔ッ子」に登場。
- 身長:120センチ程度
- 体重:不明
催眠術で毎夜眠らされ、幽体離脱の芸を披露していた魔術団の少女リリーの身に、催眠術をかけ過ぎた影響によりシナプス(神経細胞間や多種細胞間の信号を伝達する部位)の破壊現象が起こり、毎晩、その精神のみが迷い出て、数々の災厄を引き起こす。精神が白くぼやけて見えるのは、一種の電気信号であるシナプスがプラズマ現象に似た作用で実体化した影響と見られる。精神はリリー本人の意思とは関係なく深夜にさまようようになり、災厄はエスカレートし、殺人をも犯すようになる。最後には自らの肉体をも抹殺しようとするが、肉体が轢かれる直前に一ノ谷博士の人体電気操作機である超短波ジアテルミーの作用によりシナプスの破壊現象は収まった。以後は催眠術ではなく、普通の奇術に出演している。
- 演:坂部紀子
- 終盤の舞台は、当時SLが走っていた八高線。
- 『ウルトラQ dark fantasy』ではリメイクキャラクターのリリーが登場している。
- 笑い声は、東宝映画『マタンゴ』に登場したマタンゴの、甲高い方の声を流用している。
深海怪獣 ピーター
第26話「燃えろ栄光」に登場。
- 身長:20センチメートル - 30メートル
- 体重:500グラム - 1万5千トン
ボクサーのダイナマイトジョーが海で釣り上げ、飼育していた。ジョーは試合の結果を予言する能力があると思っている(万城目は単なる自己暗示ではないかと解釈)。
学名はアリゲトータスという超深海生物。体内の特殊なリンパ腺により気圧や水圧の変化で体の大きさが変わる特徴があり、水中では小さいが水から上がると人間ほどの大きさになる。「次はお前が負ける」と予言されたジョーと共に姿をくらましたが、ピエロとして働いていたジョーと共に万城目たちの手で見つけられる。落雷で発生した山火事により数十メートルまで巨大化。海に入れば元に戻ると考えた万城目らが海に誘導しようとしたが、その途中にあったドラム缶を蹴飛ばしてしまい、中の可燃物が引火。その炎の中に姿を消した。
- スーツアクター:中村晴吉
- ダイナマイトジョーが水槽で飼育しているシーンの小さなピーターはワニの子供である。
- ぬいぐるみ制作者は不明。等身大時と巨大化時とで細部のデコレートが違う(鱗に小さな鏡を貼り付けて、炎の照り返しを受けるようになっている)。のちに高山良策によって、『ウルトラマン』のゲスラに改造された。
- 中城健の漫画版『ウルトラQ』では物語の流れは殆ど同じだが、ラストはピーターと共にジョーも炎の中に姿を消している。
- 大怪獣バトルの第1弾に技カードとして登場。能力は本作の展開を元にした「必勝の予言」。
- 漫画『ウルトラマン超闘士激伝』ではバルキー星人が率いるエンペラ海軍のメタルモンスの中にピーターをモデルにしたものが存在する。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの胴体を構成する怪獣の一体として姿が確認できる。
四次元怪獣 トドラ
第27話「206便消滅す」に登場。
- 身長:30メートル(牙の長さ:11メートル)
- 体重:2万5千トン
零戦の残骸など、様々なものが散乱する、霧で覆われた四次元空間の中に住み、迷い込んだものを次々と襲う。2本の巨大なキバを持つ。四次元空間に迷い込んだ超音速旅客機・206便と乗客に襲い掛かったが、万城目の操縦で離陸を始めた206便からの噴射圧によって吹き飛ばされた。その後の生死は不明。
- スーツアクター:福留幸夫
- 劇中では「トドラ」ではなく「巨大なアザラシ」と呼ばれている。
- 着ぐるみは、東宝映画『妖星ゴラス』に登場した南極怪獣マグマにヒゲを追加して改造されたものである。
- 中城健の漫画版『ウルトラQ』では、206便の噴射圧を受けたトドラの明確な絶命を示唆する描写が存在する。
- 「週刊ウルトラマンオフィシャルデータファイル」(デアゴスティーニ・ジャパン)によれば、劇中、四次元空間でゼロ戦の残骸があるシーンは、監督の梶田興治のお遊びだという。
- 検討された第3クールに登場が予定されており、名前が確認されている[12]。
- 『ウルトラセブン』の未発表作品「宇宙人15+怪獣35」では宇宙人連合により蘇生され富士山麗から東京へ向かい、ピグモンの提案した怪獣ファイトでスカイドンと戦うシナリオが予定されていた。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの首を構成する怪獣の一体として姿が確認できる。
異次元列車
第28話「あけてくれ!」に登場。
時間と空間を超越した理想の世界へのジャンプ台の役割を果たす。理想の世界へ入る時に乗っている人々の過去を突き抜けていくが、ここで過去の日常を振り切れず、「あけて」や「あけてくれー!」などと叫び続けると途中で降ろされてしまう。この理想の世界へと続くジャンプ台は他にもあるようで、登場人物の一人、浮世に嫌気が差したSF作家友野健二は、どこまでも下っていくエレベーターで理想の世界へと入っている。なお、劇中でこれとは別にもう一両、異次元へのジャンプ台代わりに使われたと見られる列車(こちらは路面電車)が描かれている。現実世界から客観的に見ると列車が空を疾走しているように見える、もう一台の列車も操車場から空へと消えていった。そして、一度降りてしまうと、いかに現実に幻滅しても、「連れて行ってくれ」と叫んでも、二度と乗せてはもらえない。
- 元になった列車は小田急3100形電車(NSE)。
- 書籍によっては、「異次元ロマンスカー」という表記もある。また「異次元列車の車掌」がケイブンシャの全怪獣怪人大百科に掲載されたことがある。
- 列車のミニチュアは第10話「地底超特急西へ」でも(地底超特急ではなく普通の電車として)使用されており、新東京駅を通過している場面が見られる。
スタッフ
脚注
- ^ 「週刊ウルトラマンオフィシャルデータファイル」でのフログロス(B)の名前と共に解説されている。
- ^ 2011.特撮ニュータイプ6月号より
- ^ 「宇宙船」2010年3月号のインタビューより。
- ^ 『マグマ大使パーフェクトブック』(白夜書房) 開米へのインタビューより
- ^ 『学年別学習雑誌で見る昭和子どもクロニクル1 ウルトラ博物館』(小学館)の紹介記事より。
- ^ 劇中明言はされていないが、書籍類ではゴモラに倒されたと記述・または推測されている。当初のシナリオでは氷漬けになるのは同じ冷凍怪獣のマーゴドンの予定だったが、着ぐるみが残っていなかったので変更された。
- ^ 『てれびくんデラックス愛蔵版 大決戦!超ウルトラ8兄弟超全集』より。
- ^ 『マグマ大使パーフェクトブック』(白夜書房) 開米へのインタビューより。
- ^ 『大ウルトラマン図鑑』(ホビージャパン)
- ^ 本人が演じてないとの発言があり、監督の梶田興治も否定している。[要出典]
- ^ 当初は悪魔ッ子リリーの予定だったが、最終的には巨人に変更された(小学館『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE 超全集』のインタビュー内容より)。
- ^ 「週刊ウルトラマンオフィシャルデータファイル」の記載より。