「八つ墓村」の版間の差分
m →テレビドラマ: 主観に基づく見解・「驚くほど」「残念ながら」除去。Wikipedia:表記ガイド#句点に基づき、複数の文を含む括弧内の文末に句点「。」を追記。他。 |
テレビ版の出演者や原作の連載の経緯について補足 |
||
42行目: | 42行目: | ||
『[[本陣殺人事件]]』([[1946年]])、『[[獄門島]]』([[1947年]])、『[[夜歩く]]』([[1948年]])に続く「[[金田一耕助]]シリーズ」長編第4作。 |
『[[本陣殺人事件]]』([[1946年]])、『[[獄門島]]』([[1947年]])、『[[夜歩く]]』([[1948年]])に続く「[[金田一耕助]]シリーズ」長編第4作。 |
||
小説『八つ墓村』は、[[1949年]]3月から[[1950年]]3月までの1年間、雑誌『[[新青年 (日本)|新青年]]』で連載、同誌休刊 |
小説『八つ墓村』は、[[1949年]]3月から[[1950年]]3月までの1年間、雑誌『[[新青年 (日本)|新青年]]』で連載された。戦後の『新青年』は、新興ミステリー雑誌に押されるかたちで精彩を欠き、大衆娯楽雑誌として細々と刊行されている状態だった。本作品が久々のミステリー小説の連載であり、連載が始まった同じ号には、[[江戸川乱歩]]のエッセーが掲載された。連載は予定通り進まず、作者の病気で休載中、同誌が休刊となった。その後、1950年11月から[[1951年]]1月まで雑誌『[[宝石 (雑誌)|宝石]]』で『八つ墓村 続編』として連載された。『[[宝石 (雑誌)|宝石]]』連載再開にあたっては、編集部より「『[[新青年 (日本)|新青年]]』の休刊のため中断していたが、多くのファンの要望に応えて本誌で完結させることになった」という趣旨の挨拶が掲載され、これまでのストーリーの要約も掲載されるなど、初めて読む読者に配慮がなされている。 |
||
作者は、戦時下に疎開した両親の出身地である[[岡山県]]での風土体験を元に、同県を舞台にしたいくつかの作品を発表している。本作は『獄門島』や『本陣殺人事件』と並び称される「岡山もの」の代表作である。 |
作者は、戦時下に疎開した両親の出身地である[[岡山県]]での風土体験を元に、同県を舞台にしたいくつかの作品を発表している。本作は『獄門島』や『本陣殺人事件』と並び称される「岡山もの」の代表作である。 |
||
182行目: | 182行目: | ||
=== 1971年版 === |
=== 1971年版 === |
||
『'''サスペンスシリーズ 八つ墓村'''』は、[[NHK総合テレビジョン|NHK総合]]の「[[銀河テレビ小説|銀河ドラマ]]」枠(月-金曜日21:00 - 21:30)で[[1971年]][[8月2日]]から[[8月6日]]まで放送された。全5回。 |
『'''サスペンスシリーズ 八つ墓村'''』は、[[NHK総合テレビジョン|NHK総合]]の「[[銀河テレビ小説|銀河ドラマ]]」枠(月-金曜日21:00 - 21:30)で[[1971年]][[8月2日]]から[[8月6日]]まで放送された。全5回。 |
||
; スタッフ |
|||
:* 脚本 - [[小畑欣治]] |
|||
:* 演出 - [[安江泰雅]]他 |
|||
; キャスト |
; キャスト |
||
189行目: | 192行目: | ||
:* 里村典子 - [[有吉ひとみ]] |
:* 里村典子 - [[有吉ひとみ]] |
||
:* 里村慎太郎 - [[内田稔]] |
:* 里村慎太郎 - [[内田稔]] |
||
:* 小梅 - [[飯田蝶子]] |
|||
:* 英泉 - [[美川陽一郎]] |
:* 英泉 - [[美川陽一郎]] |
||
:* 長英 - [[藤原釜足]] |
:* 長英 - [[藤原釜足]] |
||
197行目: | 201行目: | ||
=== 1978年版 === |
=== 1978年版 === |
||
『'''[[古谷一行の金田一耕助シリーズ#横溝正史シリーズI・II|横溝正史シリーズII]]・八つ墓村'''』は、[[Japan News Network|TBS系列]]で[[1978年]][[4月8日]]から[[5月6日]]まで毎週土曜日22:00 - 22:55に放送された。全5回。 |
『'''[[古谷一行の金田一耕助シリーズ#横溝正史シリーズI・II|横溝正史シリーズII]]・八つ墓村'''』は、[[Japan News Network|TBS系列]]で[[1978年]][[4月8日]]から[[5月6日]]まで毎週土曜日22:00 - 22:55に放送された。全5回。 |
||
; スタッフ |
|||
:* 監督 - [[池広一夫]] |
|||
; キャスト |
; キャスト |
||
:* 金田一耕助 - [[古谷一行]] |
:* 金田一耕助 - [[古谷一行]] |
||
225行目: | 230行目: | ||
:* 慎太郎と美也子の関係が変更されて正体を知る彼が被害者の1人になり、事業に失敗して借金を田治見家に断られて自殺した夫の仇討ちを企む美也子と、田治見要蔵の32人殺しで家族を殺された諏訪弁護士との複数犯となっている。 |
:* 慎太郎と美也子の関係が変更されて正体を知る彼が被害者の1人になり、事業に失敗して借金を田治見家に断られて自殺した夫の仇討ちを企む美也子と、田治見要蔵の32人殺しで家族を殺された諏訪弁護士との複数犯となっている。 |
||
:* 辰弥の父・亀井陽一は面を被って顔を隠し寺男・富蔵として密かに辰弥を見守り、鍾乳洞で殺されかけた辰弥を救うべく喉を剃刀で切り裂かれながらも美也子を絞殺して、自身も息絶えた。 |
:* 辰弥の父・亀井陽一は面を被って顔を隠し寺男・富蔵として密かに辰弥を見守り、鍾乳洞で殺されかけた辰弥を救うべく喉を剃刀で切り裂かれながらも美也子を絞殺して、自身も息絶えた。 |
||
:* ドラマの |
:* ドラマの最後で、八つ墓村は刑部川の下流にあったため、台風による氾濫により村も鍾乳洞も濁流に押し流されて消滅したことが語られ、事件では助かった辰弥も再び鍾乳洞に入り込んで水死している。そのため、日和警部が金田一と「祟りじゃないか」と語り合うところで終わり、原作のハッピーエンドとは程遠い後味の悪い結末となっている。なおこの作品を含むシリーズIIについては、「原作の改竄が甚だしい」と『[[週刊TVガイド]]』に投書が掲載されている。「八つ墓村」については、当時、『[[週刊新潮]]』が[[鰐淵晴子]]がミスキャストであると酷評している。監督の[[池広一夫]]は[[大映]]の出身。その後、テレビに転じ、テレビドラマの監督や脚本を務めている。諏訪弁護士は原作より重要な役割となっているが、演じる[[内田朝雄]]は[[大映]]の出身。池広の監督作品にも多数出演している。 |
||
=== 1991年版 === |
=== 1991年版 === |
2016年10月23日 (日) 08:06時点における版
八つ墓村 | ||
---|---|---|
著者 | 横溝正史 | |
発行日 | 1971年4月26日 | |
ジャンル | 小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
ページ数 | 494 | |
コード |
ISBN 4041304016 ISBN 978-4041304013(文庫本) | |
ウィキポータル 文学 | ||
|
『八つ墓村』(やつはかむら)は、横溝正史の長編推理小説。「金田一耕助シリーズ」の一つ。
本作を原作とした映画が3本、テレビドラマが6作品、漫画が5作品、舞台が1作品ある(2014年3月現在)。9度の映像化は横溝作品の中で最多である(次いで『犬神家の一族』が映画3本、ドラマ5本)。
1977年の映画化の際、キャッチコピーとしてテレビCMなどで頻繁に流された「祟りじゃ〜っ! 八つ墓の祟りじゃ〜っ!」という登場人物のセリフは流行語にもなった。
概要と解説
『本陣殺人事件』(1946年)、『獄門島』(1947年)、『夜歩く』(1948年)に続く「金田一耕助シリーズ」長編第4作。
小説『八つ墓村』は、1949年3月から1950年3月までの1年間、雑誌『新青年』で連載された。戦後の『新青年』は、新興ミステリー雑誌に押されるかたちで精彩を欠き、大衆娯楽雑誌として細々と刊行されている状態だった。本作品が久々のミステリー小説の連載であり、連載が始まった同じ号には、江戸川乱歩のエッセーが掲載された。連載は予定通り進まず、作者の病気で休載中、同誌が休刊となった。その後、1950年11月から1951年1月まで雑誌『宝石』で『八つ墓村 続編』として連載された。『宝石』連載再開にあたっては、編集部より「『新青年』の休刊のため中断していたが、多くのファンの要望に応えて本誌で完結させることになった」という趣旨の挨拶が掲載され、これまでのストーリーの要約も掲載されるなど、初めて読む読者に配慮がなされている。
作者は、戦時下に疎開した両親の出身地である岡山県での風土体験を元に、同県を舞台にしたいくつかの作品を発表している。本作は『獄門島』や『本陣殺人事件』と並び称される「岡山もの」の代表作である。
作者は、農村を舞台にして、そこで起こるいろいろな葛藤を織り込みながらできるだけ多くの殺人が起きる作品を書きたいと思っていたところ、坂口安吾の『不連続殺人事件』を読み、同作がアガサ・クリスティーの『ABC殺人事件』の複数化であること、そしてこの方法なら一貫した動機で多数の殺人が容易にできることに気がつき、急いで本作の構想を練り始めた。そこで『獄門島』の風物を教示してもらった加藤一(ひとし)氏に作品の舞台に適当な村として伯備線の新見駅の近くの村を教えてもらったところ、そこに鍾乳洞があると聞き、以前に外国作品の『鍾乳洞殺人事件』[1]を読んだことがあることから俄然興味が盛り上がった。作品の書き出しに当たって、衝撃的な過去の事件「村人32人殺し」である昭和13年に岡山県で実際に起こった津山事件(加茂の30人殺し)が初めて脳裏に閃いた。本格探偵小説の骨格は崩したくはなかったが、当時の『新青年』は純粋の探偵雑誌というよりも大衆娯楽雑誌の傾向が強かったことから、スケールの大きな伝奇小説を書いてみようと思い立ち、それには津山事件はかっこうの書き出しになると気がついた。ただし、作品の舞台はわざと津山事件のあった村よりはるか遠くに外しておいた[2]。
物語は、冒頭部分を作者が自述、それ以降を主人公の回想手記の形式で進行する。山村の因習や祟りなどの要素を含んだスタイルは、後世のミステリー作品に多大な影響を与えた。村の名前は実在した近隣の地名、真庭郡八束村(現在の真庭市蒜山)が元である。
作品の評価
- 1952年に「第5回探偵作家クラブ賞」候補にノミネートされる[3]。
- 田中潤司は作者作品ベスト5を選出した際、本作品を5位に挙げ[4]、作者もこれを「妥当なもの」としている[5]。
- 『週刊文春』が推理作家や推理小説の愛好者ら約500名のアンケートにより選出した「東西ミステリーベスト100」の国内編では、本作品は1985年版で44位に[6]、2012年版で57位に選出されている[7]。
物語
前作『夜歩く』の一人語りと同様に、冒頭の過去談を除いては、主人公・寺田辰弥の一人語りの形式をとる。物語は全て彼の口から語られ、彼の体験の順に並ぶ。そのため、金田一による捜査や推理、それに説明は時系列上は遅れて出るところが多い。
あらすじ
戦国時代(永禄9年=1566年)のとある小村に、尼子氏の家臣だった8人の落武者たちが財宝とともに逃げ延びてくる。最初は歓迎していた村人たちだったが、やがて毛利氏による捜索が厳しくなるにつれ災いの種になることを恐れ、また財宝と褒賞に目がくらみ、武者たちを皆殺しにしてしまう。武者大将は死に際に「この村を呪ってやる! 末代までも祟ってやる!」と呪詛の言葉を残す。その後、村では奇妙な出来事が相次ぎ、祟りを恐れた村人たちは野ざらしになっていた武者たちの遺体を手厚く葬るとともに、村の守り神とした。これが「八つ墓明神」となり、いつの頃からか村は「八つ墓村[8]」と呼ばれるようになった。
大正時代、村の旧家「田治見家」の当主・要蔵が発狂し、村人32人を惨殺するという事件が起こる。要蔵は、落武者たちを皆殺しにした際の首謀者・田治見庄左衛門の子孫でもあった。
そして20数年後の昭和24年、またもやこの村で謎の連続殺人事件が発生することとなる。物語は、神戸に住む寺田辰弥の身辺をかぎ回る不審人物の出現から始まる。彼は母1人子1人で、戦争から戻ってくると天涯孤独の身となっていた。そして復員後2年近く過ぎたある日、彼の行方をラジオで捜していた老人と、弁護士の仲介で面会する。ところが、2人きりになったとたん、老人は血を吐いて死ぬ。
登場人物
- 金田一耕助(きんだいち こうすけ)
- 私立探偵。鬼首村[9]で起きた事件の解決後、弟の死に疑念を抱いた西屋の主人の依頼を受けて八つ墓村にやって来た。
- 寺田辰弥(てらだ たつや)
- 「私」こと本編の主人公で語り部。事件後、金田一の勧めで事件の手記を著す。後述の大量虐殺事件を起こした田治見要蔵の息子とされ、村人や田治見家の奉公人からは、到着当初から密かな敵意を向けられている。戸籍上は大正12年生まれだが、実際には大正11年生まれで、事件当時数えで27(28)歳。
- 色白だが、乳児の頃に要蔵に加えられた暴行のため、全身に、裸になるのをはばかられるような火傷のあとがあり、人定の決め手の一つとなった。
- 実は要蔵の息子ではなく、母・井川鶴子と秘密の恋人だった小学校教師・亀井陽一との間に生を受けた。母亡き後、義父・寺田虎造と、再婚した義母はよくしてくれたが、彼女の実子である弟妹が生まれたことから距離が出来てしまい、虎造とも意見の衝突があって家を飛び出した。その後神戸の友人のところに転がり込んでいたところで召集され、復員すると義父母らの所在はわからなくなっており、天涯孤独の身となる。
- 田治見家の跡取りとして八つ墓村に呼び戻され、事件に巻き込まれる。事件周辺の女性に好意を寄せられる。
- 磯川常次郎(いそかわつねじろう)
- 岡山県警警部。
田治見家
落武者たちの殺害の首謀者である田治見庄左衛門の子孫。東屋と呼ばれる村の分限者(金持ち、資産家)。資産は昭和24年(1949年)当時の金額で1億2000万円以上にも達する。
- 田治見小梅(たじみ こうめ)
- 田治見小竹(たじみ こたけ)
- 一卵性の双子の老姉妹。要蔵の伯母(辰弥の大伯母)で、両親を失った要蔵を育てた。田治見家の財産を狙う親族に嫌悪感を持ち、子供がなく頼りない久弥・春代らへの失望を隠さず、辰弥が跡取りとして家督を継ぐことを心より願っている。
- 田治見要蔵(たじみ ようぞう)
- 田治見家先代。自分の思い通りにならないものを権威で捻じ伏せる、身勝手で独善的な暴君の如き性格。
- 26年前、妻子がありながら井川鶴子に欲情して付きまとい、彼女からの反発と拒絶に逆恨みし、その報復として彼女を拉致して暴行し、無理矢理に妾にした。辰弥の父親が亀井陽一という噂を聞いて、鶴子と辰弥に暴行。鶴子母子が家出して10日余り後、発狂して猟銃と日本刀で武装して32人を虐殺し、山の中へと姿を消した。後に鍾乳洞の「猿の腰掛」で虐殺された落武者の甲冑を纏い、屍蝋化した遺体で発見された。前途を悲観した小梅・小竹姉妹に毒殺されたとされる。
- 田治見おきさ(たじみ おきさ)
- 要蔵の妻。26年前の事件で、要蔵に斬り殺された。
- 田治見久弥(たじみ ひさや)
- 要蔵の長男で、田治見家当代。事件当時数えで41歳。肺病(肺結核が肺壊疽まで進行しているとされる)を患っており自分の寿命が短いことを悟り、辰弥に田治見家の跡取りとなることを心より願い、病床の中で辰弥を探し出し家を託す。辰弥が父・要蔵の血を引いていないということを承知の上で彼を跡継ぎに選んだ。
- 辰弥を引見中に毒殺されたことが、村人の彼に対する疑いを深めることになる。
- 田治見春代(たじみ はるよ)
- 要蔵の長女。35、6歳の、少し髪の縮れた色の小白い女性。1度は嫁いだが、心臓が弱く子供が産めない体となったため離縁され、実家に戻って小梅と小竹の身の回りの世話をしている。辰弥の気持ちを察しており、辰弥に出生の秘密をしばらく隠していた。
- 辰弥が腹違いの実弟ではないことを知っており、初対面から異性として密かに好意を寄せ、辰弥に近づく女性にあからさまな嫉妬を示したりしている。
- 鍾乳洞で刺殺された際、犯人の左の小指を噛み切り、それが原因で死に至らしめた。愛する辰弥に最期を看取られた。
その他
- 久野恒実(くの つねみ)
- 村の診療所の医者で、田治見家の親戚筋。しかし医師としての腕は心もとなく(久弥に処方した薬は「いまどき、どこの田舎医者でもこんな調合はしない」と評された)、診療所の薬品管理も杜撰である。子だくさん。腕が確かで丁寧な診療をする疎開医師の新居医師に患者を奪われつつある。趣味は推理小説を読むこと。疑われずに新居医師を殺害する方法を妄想し、日記に書き付けていたことが犯人に利用され、後に失踪、毒殺された。
- 里村慎太郎(さとむら しんたろう)
- 要蔵の甥。母の実家を継ぐべく里村姓を名乗った要蔵の弟・修二の息子。典子の兄。元軍人(階級は少佐)。太り肉(じし)の色の白い大男で、頭を丸刈りにして無精髭がもじゃもじゃしており、かなり爺むさい感じがある。戦後は没落し、村に戻って失意の生活を送っている。
- 美也子とは戦中からつきあいがあり、ひそかに好意を寄せていた。戦況が不利なことを悟り、美也子に資産を宝石等に代えるよう助言したりしていた。殺人現場で美也子を見かけ、苦悩する。
- 事件解決後、最終的に辰弥から田治見家の家督を譲られた。また、女性に対して懐疑的になったことで生涯結婚はしないと決め、妹夫婦の2人目の男児を跡継ぎにすることにした。
- 里村典子(さとむら のりこ)
- 慎太郎の妹。26年前の事件のさなかに8か月で生まれた。実年齢よりかなり幼く見え、精神的にも幼い印象。天真爛漫な性格。額の広い頰のこけた女で、不美人の印象があったが、辰弥に一途な好意を寄せ、傍目にもどんどん美しくなっていく。鍾乳洞で辰弥と結ばれ、彼の子を宿す。
- お島(おしま)
- 田治見家に仕えている女中。
- 野村荘吉(のむら そうきち)
- 西屋と呼ばれる村の分限者。美也子の亡き夫・達雄の兄。太平洋戦争の3年目に脳溢血で亡くなったとされる弟の死に疑念を抱き、美也子に毒殺されたに違いないと考え復讐に燃えていた。
- 森美也子(もり みやこ)
- 荘吉の義妹で、未亡人。30歳をいくらか出ている。肌の白くてきめの細かい美人。面長で古風な顔立ちだが、古臭い感じはなく都会的な女性。姐御肌、もしくはそのように振舞っていると辰弥からは見られており、同じ都会人であり、村での数少ない味方として辰弥から好意を寄せられていた。一方で、春代や典子からは素直でない複雑な性格を看破されている。一連の殺人事件の真犯人で、慎太郎に好意を寄せており、没落した彼が金持ちになれば自分に求婚するであろうと考え、彼に田治見家を相続させるため凶行に手を染めた。
- 春代に噛み切られた小指の傷から感染症に罹り、1週間ほど苦痛にのた打ち回った挙げ句に壮絶な最期を遂げた。
- 諏訪(すわ)
- 神戸の弁護士。野村家縁者。色白のでっぷりと太った、いかにも人柄の良さそうな人物。美也子にひそかな好意を寄せていたとされる。
- 新居修平(あらい しゅうへい)
- 疎開医者。40代半ばくらい。大阪からの疎開者だが、歯切れの良い江戸弁を話す。確かな技術と円満な人柄で、村人の信頼を得ている。その一方で、患者を奪われたと思い込んでいる久野には恨まれている。
- 井川丑松(いかわ うしまつ)
- 鶴子の父で辰弥の祖父。胡麻塩頭を丸坊主にした、渋紙色の顔色をしている。孫の辰弥との面談中に毒殺される。
- 井川浅枝(いかわ あさえ)
- 鶴子の母で辰弥の祖母に当たる。
- 寺田鶴子(てらだ つるこ)
- 辰弥の母。旧姓は「井川(いかわ)」。19歳当時郵便局で事務員をしていたが、自分につきまとっていた田治見要蔵にきっぱりと拒否を示したことで、彼の逆恨みによる報復によって拉致され無理矢理、妾にされた。
- 亀井陽一との噂で要蔵に暴行を加えられ、元からの狂態もあって「いつか殺される」と悟って辰弥と神戸に避難。その後、15歳年上の寺田虎造と結婚。辰弥が7歳の頃死去。要蔵にされた仕打ちのトラウマに終生苦しんでいた。
- 井川兼吉(いかわ けんきち)
- 丑松の甥。鶴子が監禁された後に丑松の養子となった。
- 亀井陽一(かめい よういち)
- 小学校の訓導(教諭)で、鶴子の恋人。要蔵による拉致以前から鶴子と結ばれており、拉致後も密かに会っていた。辰弥の実の父親。26年前の事件の時は隣村の和尚の元に碁を打ちに行って無事であった。事件後、遠くの小学校に転勤する。
- 長英(ちょうえい)
- 隣村の村境にある真言宗麻呂尾寺の住職で英泉の師匠。久弥に個人的に帰依されていた。80歳を超えた老齢で中風にかかり、伏せっている。八つ墓村の住人ではないが村に檀家が多く、村民の信望も篤い。
- 英泉(えいせん)
- 長英の弟子で、長英にかわって麻呂尾寺のことを取り仕切っている。50代くらい。度の強い眼鏡をかけている、白髪交じりの厳しい顔の男。戦争中は満州の寺で苦行僧となっていたが、終戦後に引き揚げて麻呂尾寺に入った。
- 辰弥の実の父・亀井陽一と同一人物。辰弥の来村を知り、変装して周辺に性情を聞いて回る等していた。洪禅が毒殺された際、辰弥が田治見家を横領するために凶行を重ねており、出生の真実を知る自分が邪魔で殺害しようとしていると思い込んで騒ぎを起こした。一方で抜け穴から密かに田治見家離れに忍び込み、成長した辰弥の寝姿を見て落涙したこともある。事件解決後に師によって息子と引き合わされ親子の名乗りをあげ和解する。神戸の新居で一緒に暮らして欲しいと辰弥に請われるが、殺人事件の犠牲者の冥福を祈ると固辞した。
- 洪禅(こうぜん)
- 田治見家代々の菩提寺蓮光寺(禅宗)の住職。30代くらいで、痩せて度の強い眼鏡をかけており、書生のような風貌。久弥の葬儀の席上、毒殺された。
- 妙蓮(みょうれん)
- 通称「濃茶の尼」。50歳過ぎで、兎口の唇がまくれあがり大きな黄色い乱杭歯がのぞいている。迷信深く八つ墓明神の祟りを恐れている。手当たり次第他人のものを盗む癖があるため、村人たちからは疎まれている。夫と子供を26年前の事件で殺され、出家する。辰弥に対して激しい敵対心を持つ。
- 梅幸(ばいこう)
- 慶勝院の尼。妙蓮とは対照的なきちんとした尼で、村人の人望もある。田治見家関係者以外で辰弥の本当の父親のことを知る唯一の人物。それを辰弥に告げようとした直前に毒殺される。
- 片岡吉蔵(かたおか きちぞう)
- 西屋の博労。年ごろ50歳前後の、顔も体もゴツゴツといかつい男。26年前の事件では新妻を殺された。それゆえに要蔵の身内である辰弥に憎しみを抱き、事件が進むに連れて次第に暴走していく。辰弥を追って鍾乳洞に乱入し、落盤により死亡。
映画
登場人物が非常に多く、人物相関が入り組んでいる上、トリックが複雑で巧妙なことから、映像化作品はいずれも大幅な改編省略を余儀なくされている。
特に里村典子(さとむら のりこ)は、事実上のヒロインであるにもかかわらず、1951年の松田定次監督作と1996年の市川崑監督作の各映画版に登場する他は削除されている。
1951年版
1951年11月2日に公開された。東映、監督は松田定次、主演は片岡千恵蔵。
『八つ墓村』最初の映画化作品。地方の旧家を舞台にした正統派のミステリー。片岡演じる金田一はスーツ上下にソフト帽というダンディなスタイルで登場。
1977年版
1977年10月29日に公開された。松竹、監督は野村芳太郎、主演は渥美清。
この映画のキャッチコピーに使用された濃茶の尼(こいちゃのあま)のセリフ「祟りじゃ〜っ!」が流行語になったことでも有名。多治見家(本作では「多治見」と表記している)は岡山県の吹屋ふるさと村にある広兼邸でロケが行われた。
配収19億9000万円を挙げた松竹映画の大ヒット作。
1996年版
1996年10月26日に公開された。東宝/フジテレビジョン・角川書店・東宝提携、監督は市川崑、主演は豊川悦司。
1970年代に数多くの金田一映画を手がけてきた市川による映画化作品。物語は簡素化されているが、原作に比較的忠実に描かれている。特に、原作ではヒロイン的な扱いながら映像化の際は省略されることの多い典子の扱いが比較的重い点が特徴。この映画では、金田一は諏訪弁護士の依頼により村を訪れている。そのほか、犯人特定のきっかけが非常に露骨なものとなっている。
この映画の主題歌「青空に問いかけて」は、テレビドラマ『俺たちの朝』の主題歌を作曲家・小室等がセルフカバーしたものである。
テレビドラマ
この節の内容の信頼性について検証が求められています。 |
1969年版
NETテレビ系列の「怪奇ロマン劇場」枠(毎週土曜日22:30 - 23:26)で1969年10月4日に放送された。
1971年版
『サスペンスシリーズ 八つ墓村』は、NHK総合の「銀河ドラマ」枠(月-金曜日21:00 - 21:30)で1971年8月2日から8月6日まで放送された。全5回。
- キャスト
- その他
-
- 金田一は登場せず、磯川警部だけは出番は多くはないものの登場する。時間的制約もあり、殺害されるのは久弥、洪禅、濃茶の尼、小梅、春代。そのため久野医師の役割が原作より軽くなり、梅幸、丑松は登場しない。辰弥が尋ね人のラジオ放送を聴く場面から始まり、すぐに諏訪弁護士と面会。その際、諏訪の事務所に、辰弥について根掘り葉掘り尋ねる不審な電話がかかってくるというのが発端。殺人事件がいくつかカットされているものの、大筋は後のドラマ化に比べると原作に忠実である。辰弥が濃茶の尼の庵の近くで慎太郎を目撃し疑いを抱くエピソード、英泉が洪禅が殺害された後、辰弥を責め立てて春代に咎められるエピソードも残されている。辰弥と典子のロマンスも原作に忠実に描かれている。ただし原作の根幹部分である現場に残された殺人メモのくだりはカットされ、美也子は思いを寄せる慎太郎に田治見家を継がせようと、邪魔な人間を殺害して罪を辰弥にかぶせようとしたと説明がされている。美也子は春代を殺害して鍾乳洞から逃げ出すものの慎太郎に目撃される。美也子は殺人に使用した毒を使い自殺。原作通り、辰弥は英泉と親子の名乗りをあげる。辰弥は宝の地図を慎太郎に渡し、「僕は田治見家の人間ではありません。この地図はあなたのものです。」と呼びかけるが、慎太郎は地図を焼き捨てて立ち去る。田治見家の財産という欲望のからんだ殺人事件を目の当たりにして、宝探しの思いは消えたのである。辰弥と典子はそれを見送り、田治見家の墓に向かい肩を並べて手を合わせる場面で終了する。鍾乳洞についてはロケも検討されたが最終的にはセットが作られた。田治見要蔵の大量殺人のくだりは、美也子の回想で簡単に触れられる。映像としては、要蔵が銃を撃っている場面が数秒あるだけである。出演者のうち、柳川慶子と内田稔は当時、劇団「雲」のメンバーだった。ビデオはNHKには残っていない。
1978年版
『横溝正史シリーズII・八つ墓村』は、TBS系列で1978年4月8日から5月6日まで毎週土曜日22:00 - 22:55に放送された。全5回。
- スタッフ
-
- 監督 - 池広一夫
- キャスト
- その他
-
- 企画:(旧)角川春樹事務所・毎日放送、製作:毎日放送・大映京都・映像京都。
- 最も長尺の映像化であるが、原作にあまり忠実ではなく、犯行動機も原作とは異なり怨恨によるものとなっている。
- 慎太郎と美也子の関係が変更されて正体を知る彼が被害者の1人になり、事業に失敗して借金を田治見家に断られて自殺した夫の仇討ちを企む美也子と、田治見要蔵の32人殺しで家族を殺された諏訪弁護士との複数犯となっている。
- 辰弥の父・亀井陽一は面を被って顔を隠し寺男・富蔵として密かに辰弥を見守り、鍾乳洞で殺されかけた辰弥を救うべく喉を剃刀で切り裂かれながらも美也子を絞殺して、自身も息絶えた。
- ドラマの最後で、八つ墓村は刑部川の下流にあったため、台風による氾濫により村も鍾乳洞も濁流に押し流されて消滅したことが語られ、事件では助かった辰弥も再び鍾乳洞に入り込んで水死している。そのため、日和警部が金田一と「祟りじゃないか」と語り合うところで終わり、原作のハッピーエンドとは程遠い後味の悪い結末となっている。なおこの作品を含むシリーズIIについては、「原作の改竄が甚だしい」と『週刊TVガイド』に投書が掲載されている。「八つ墓村」については、当時、『週刊新潮』が鰐淵晴子がミスキャストであると酷評している。監督の池広一夫は大映の出身。その後、テレビに転じ、テレビドラマの監督や脚本を務めている。諏訪弁護士は原作より重要な役割となっているが、演じる内田朝雄は大映の出身。池広の監督作品にも多数出演している。
1991年版
『名探偵・金田一耕助シリーズ・八つ墓村』は、TBS系列の2時間ドラマ「月曜ドラマスペシャル」(毎週月曜日21:00 - 22:54)で1991年7月1日に放送された。
- キャスト
- その他
-
- 古谷主演による再ドラマ化作品。原作に比較的近いが、物語の簡素化が激しい。
1995年版
『横溝正史シリーズ6・八つ墓村』は、フジテレビ系列の2時間ドラマ「金曜エンタテイメント」(毎週金曜日21:02 - 22:52)で1995年10月13日に放送された。
- キャスト
- その他
-
- 平幹二朗演じる田治見の殺人事件が32人ではなく8人に変更されている。また、犯人の犯行動機も異なる。片岡鶴太郎主演の金田一シリーズでは、牧瀬里穂を毎回何らかの役で起用するのが恒例だったが、本作では落武者のリーダー格・菊姫役を与えられている。
2004年版
『金田一耕助シリーズ・八つ墓村』は、フジテレビ系列の2時間ドラマ「金曜エンタテイメント」(金曜日21:00 - 23:22)で2004年10月1日に放送された。
- キャスト
- その他
-
- 原作に比較的近い展開ながら、1977年の松竹映画版へのオマージュらしいオカルト風味も込められた。映像化の際、変更されることの多い、原作で1ページ未満の金田一が病床の犯人・美也子と対決するシーンを解決編の形で再現している点を評価するファンも多い。
- 里村典子の他にも、野村荘吉・田治見おきさ・井川浅枝・井川兼吉・片岡吉蔵らが省略されている[10]。また、1977年の映画版と同様に、英泉と辰弥の実父・亀井陽一が同一人物であるという設定はない。
- 辰弥の母・鶴子は寺田虎造と結婚していない。そのため、母子共に井川姓のままである。
- 原作とは異なって落武者虐殺に反対した人物がいたと設定されており、それが辰弥の実父・亀井陽一の先祖・亀井氏であることが金田一の口から語られている。
- 等々力警部や磯川警部および日和警部の代役である橘署長が転勤という形で登場し、金田一に協力する。
- 1977年の映画版と1978年のテレビドラマ版のような、辰弥と美也子の鍾乳洞での争いはない。
- 美也子に煽られて村民が暴徒と化して鍾乳洞の奥に辰弥を追いつめるが、落人の怨霊を見た直後、落盤により暴徒79名全員が亡くなった。この二次災害による犠牲者を含めれば、美也子の犯行による犠牲者の総数は、それまでに殺害した8名と彼女自身も含め88名になる。
- 原作とは異なり、落盤から4日後に辰弥は母が遺してくれた父の描いた地図を頼りに自力で鍾乳洞を脱出した。
舞台
2008年版
2008年12月10日から12月14日、劇団ヘロヘロQカムパニー、前進座劇場。
- キャスト
-
- 金田一耕助 - 関智一
- 寺田辰弥 - 永松宏隆
- 森美也子 - 長沢美樹
- 田治見要蔵 / 久弥 / 庄左衛門 - 中博史
- 里村慎太郎 - 小西克幸
- 里村典子 - 沢城みゆき
- 田治見小梅 - 林智子
- 田治見小竹 - 津本陽日
- 田治見春代 - 三石琴乃
- 新居修平 - 近藤浩徳
- 井川鶴子 - 那珂村タカコ
- 井川丑松 - 藤田けん
- 片岡吉蔵 - 松浦俊秀
- 洪禅 - 宇藤秀和
- 英泉 - 中村隆之
- 濃茶の尼 - 橋本亜紀
- 梅幸尼 - 笹井千恵子
- 久野恒実 - 世田壱恵
- 諏訪咲 - 松本和子
- 諏訪(弁護士) - 中尾隆聖
- 駐在 - 上田伸哉
- 川瀬(刑事) - 高野慎平
- 磯川(警部) - 辻親八
- 落武者若大将 - 秋本泰英
- おきさ - 杉崎聡美
- その他
-
- ほぼ原作に忠実に舞台化された作品。原作通りにラストで典子が辰弥の子を宿し、希望を感じさせる締めくくりとなっている。
ラジオドラマ
1952年版
『灰色の部屋 八つ墓村』は、1952年7月2日から7月23日までNHKラジオ第2放送で放送された。全4回。
1996年版
1996年7月15日から11月11日までTBSラジオで放送された。全18回。
関連ドラマ
漫画
本作品の漫画との関係は横溝正史#経歴および金田一耕助#漫画化作品に譲る。
- 八つ墓村 :『週刊少年マガジン』、1968年10月13日に連載開始、作画:影丸譲也、出版社:講談社
- 少年誌で初めて取り上げられた劇画による金田一耕助シリーズの第1作目。影丸はその後、1979年に『悪魔が来りて笛を吹く』、2006年に『霧の別荘の惨劇』(原作『霧の別荘』)を発表。
- 八つ墓村:作画:つのだじろう、秋田書店(絶版)
- 八つ墓村:作画:掛布しげを、チャンスコミック社(雑誌掲載後未刊行)
- 八つ墓村:作画:JET、あすかコミックス、角川書店
- 被害者1人が減らされている。また、鍾乳洞で辰弥を絞殺しようとした美也子を、春代が最後の力を振り絞って櫛で首をかき切って倒し、愛する辰弥を救って息絶えた。さらには、辰弥は亀井陽一という男性の息子であることを慎太郎ら田治見家の人間は全員知っており、辰弥と典子は結ばれて子供が宿るという原作の結びつきも削除された。亀井陽一が英泉と同一人物という設定も削除され、美也子は財産目当ての悪女として描かれたため、慎太郎も自身に都合がいいかもしれないという認識しか美也子にはない。
- 八つ墓村:作画:長尾文子、秋田書店
CD
- CD 八つ墓村:CDブック、角川書店、1996年
- 八つ墓村:東宝映画『八つ墓村』オリジナル・サウンドトラック
ゲーム
- 八つ墓村(2009年4月23日発売、ニンテンドーDS用、フロム・ソフトウェア)
関連イベント
- エキスポランド「人が演じる幽霊屋敷」『八つ墓村』
- 本作は幽霊が登場しないため1977年の松竹映画版の内容を再現している。
脚注
- ^ 『鍾乳洞殺人事件』はD・K・ウィップル(Kenneth Duane Whipple)が1934年に著した長編推理作品で、『横溝正史翻訳コレクション 鐘乳洞殺人事件/二輪馬車の秘密―昭和ミステリ秘宝』(扶桑社文庫)に収載されている。
- ^ 『真説 金田一耕助』(横溝正史著・角川文庫、1979年) 「八つ墓村考 Ⅲ」を参照。
- ^ このときの受賞作は、水谷準の『ある決闘』と江戸川乱歩の『幻影城』であった(1952年 第5回 日本推理作家協会賞 日本推理作家協会公式サイト参照)。
- ^ 1位から5位までの作品は、1.『獄門島』、2.『本陣殺人事件』、3.『犬神家の一族』、4.『悪魔の手毬唄』、5.本作品。
- ^ 『真説 金田一耕助』(横溝正史著・角川文庫、1979年)を参照。
- ^ 他の横溝作品では、『獄門島』が1位、『本陣殺人事件』が7位、『悪魔の手毬唄』が42位、『蝶々殺人事件』が69位に選出されている。
- ^ 他の横溝作品では、『獄門島』が1位、『本陣殺人事件』が10位、『犬神家の一族』が39位、『悪魔の手毬唄』が75位に選出されている。
- ^ 鳥取県と岡山県の県境にある山中の寒村。作品中で金田一は「この向こう」の鬼首村(おにこうべむら)からの帰りに八つ墓村に立ち寄ったと説明され、前作『夜歩く』との連続性が示唆されている。
- ^ 鬼首村と書いておにこうべ村と読むと、『夜歩く』と『悪魔の手毬唄』に記されている。鬼首村は『夜歩く』と『悪魔の手毬唄』の舞台として登場するが、『夜歩く』の鬼首村は八つ墓村と同じく岡山県と鳥取県の県境、『悪魔の手毬唄』の鬼首村は岡山県と兵庫県の県境と位置が異なっており、それぞれ同名の別の村である。ただし、角川文庫版では第3章に上記2作品をまとめて参照させる作者註がついている
- ^ ただし、片岡吉蔵に関しては序盤の32人殺しのシーンにてそれと思われる人物が登場しており、田治見おきさも32人殺しの説明の際に名前だけ登場している。