「ザンスカール戦争」の版間の差分
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地球連邦政府の意向を無視する形で軍事的行動を推し進めたザンスカール帝国の力は止まることを知らず、数十隻に及ぶ艦隊、最新型の[[モビルスーツ]]の開発、[[衛星]]基地カイラスギリーの敷設、新設したモトラッド艦隊、そして最終的な作戦として巨大[[サイコミュ]]要塞[[エンジェル・ハイロゥ]]の建設にまで至った。これに対するリガ・ミリティアの抵抗は日に日に増していった。リガ・ミリティアの抵抗はザンスカールにとっては厄介なものであったが、それ以上に恐れたのは地球連邦軍の本格的な軍事行動である。物量 |
地球連邦政府の意向を無視する形で軍事的行動を推し進めたザンスカール帝国の力は止まることを知らず、数十隻に及ぶ艦隊、最新型の[[モビルスーツ]]の開発、[[衛星]]基地カイラスギリーの敷設、新設したモトラッド艦隊、そして最終的な作戦として巨大[[サイコミュ]]要塞[[エンジェル・ハイロゥ]]の建設にまで至った。これに対するリガ・ミリティアの抵抗は日に日に増していった。リガ・ミリティアの抵抗はザンスカールにとっては厄介なものであったが、それ以上に恐れたのは地球連邦軍の本格的な軍事行動である。物量では地球連邦軍に劣るため、ザンスカール帝国は政治的手段で地球連邦を押さえ込もうと試みる。結果、地球連邦軍は一部が決起したのみであった。 |
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== 地球浄化作戦 == |
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2008年8月6日 (水) 04:55時点における版
ザンスカール戦争は、TVアニメ『機動戦士Vガンダム』の作品に登場する架空の戦争。スペースコロニー一国家のザンスカール帝国とレジスタンス組織リガ・ミリティア、地球連邦軍との間で行われた紛争である。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
概要
コスモ・バビロニア建国戦争から30年、宇宙では各コロニー自治政府間で散発的な軍事衝突が頻発し、さながら戦国時代のような不安定な状況に陥っていた。そのような情勢の中で宇宙世紀0149年にサイド2のコロニー国家「ザンスカール帝国」が建国。これに対して地球連邦政府及び地球連邦軍は見て見ぬふりであった。ザンスカール帝国は宇宙戦国時代と連邦の無関心を利用してその影響力を強め、各コロニーを平定、或いは制圧していった。また、超常的な力を発揮するマリア・ピァ・アーモニアとそれを支持する団体、そして元々木星公社の重役であったフォンセ・カガチのギロチンを使った徹底的な弾圧と恐怖政治により、着実に力を増していった。そしてザンスカールは地球のヨーロッパ地区を侵攻して民間空港ラゲーンを自軍の基地として接収、地球侵攻作戦を進める。これに危機感を抱いた民間人有志がレジスタンス組織「リガ・ミリティア」を結成、モビルスーツ開発計画『V(ヴィクトリー)計画』を発動させる。宇宙世紀0153年、ヨーロッパ北部を中心にゲリラ的抵抗を続けたリガ・ミリティアはV計画で開発したモビルスーツを武器に組織的抵抗を行う。その一方で一部の地球連邦軍部隊とも協力関係を結び、衛星基地カイラスギリーによる侵攻作戦を阻止。またザンスカール本国へ二度に亘る攻撃や、モトラッド艦隊による地球浄化作戦(地球クリーン作戦)にも徹底した抵抗を行う。最終的にはムバラク・スターン率いる地球連邦軍の一艦隊「ジャンヌ・ダルク艦隊」とも共闘を取り付けたリガ・ミリティアが、ザンスカール帝国が発動させた最終作戦「エンジェル・ハイロゥ作戦」を阻止することで戦争は終結するが、ザンスカール帝国のみならずリガ・ミリティアやムバラク艦隊も壊滅的な打撃を受け、自然消滅した。
宇宙戦国時代
宇宙世紀0123~0128年のコスモ・バビロニア建国戦争、宇宙世紀0133~0136年の木星戦役以後、地球連邦は急速にその影響力を失っていった。各コロニー間では旧態依然としたまま統制力を失っていく一方の連邦政府に対する不満が噴出。連邦政府の統治から脱却し、次々と自治政府を打ち出していった。スペースコロニーの数が一年戦争時に比べて多過ぎたため、過去のように各コロニーを完全に統治するのは困難であった。その結果、旧世紀時代のような多数の独立国家を生み出す要因となった。木星戦役の頃には既に一部コロニーが自治政府を打ち出していたが(機動戦士クロスボーン・ガンダムでその情勢が描かれている)、木星戦役が終結して約10年後には連邦政府は各自治政府間の散発的な紛争を止めるだけの影響力も無かった。そこにザンスカール帝国の付け入る隙があったとされる。マリア・ピァ・アーモニアを支持する団体の力を利用したフォンセ・カガチは自身の資本力と政治的手腕を発揮して、他のコロニーよりも強大な国家を建国するに至ったのである。
このようにコロニー間の紛争・対立が続き、連邦政府も効果的な対策を講じることができない不安定な情勢を指して「戦国時代」と形容したのが宇宙戦国時代の興りである。宇宙戦国時代の期間定義に関しては諸説あるが、連邦政府の権威失墜が決定的となった木星戦役終結後の宇宙世紀0140年頃を開始年とする説が有力である。
ザンスカール帝国の躍進
地球連邦政府の意向を無視する形で軍事的行動を推し進めたザンスカール帝国の力は止まることを知らず、数十隻に及ぶ艦隊、最新型のモビルスーツの開発、衛星基地カイラスギリーの敷設、新設したモトラッド艦隊、そして最終的な作戦として巨大サイコミュ要塞エンジェル・ハイロゥの建設にまで至った。これに対するリガ・ミリティアの抵抗は日に日に増していった。リガ・ミリティアの抵抗はザンスカールにとっては厄介なものであったが、それ以上に恐れたのは地球連邦軍の本格的な軍事行動である。物量では地球連邦軍に劣るため、ザンスカール帝国は政治的手段で地球連邦を押さえ込もうと試みる。結果、地球連邦軍は一部が決起したのみであった。
地球浄化作戦
地球クリーン作戦、ローラー作戦などとも呼ばれる。劇中における統一語は「地球クリーン作戦」。建前上、女王マリアの地球降臨前に地球を浄化する、とされているが、実態はタイヤ付き兵器によって編成されたモトラッド艦隊が地球上の建造物を踏み潰し、住人を虐殺するというものであった。核兵器やビーム兵器などの大量破壊兵器による虐殺に比較すると地球環境に対して与える影響は少なかった。タイヤ付き兵器の発案はバイク乗りのドゥカー・イク、モトラッド艦隊司令はクロノクル・アシャー、参謀はアルベオ・ピピニーデンであった。
リガ・ミリティアは何とかこの作戦を止めようとしたが、周囲への影響からどうしても戦艦を撃沈することができず、またシャクティやミューラ・ミゲル等のリガ・ミリティア関係者が人質に取られ、リガ・ミリティアや連邦軍の作戦は後手に回ることが多かった。
結局、連邦政府とザンスカール帝国の間に停戦協定が結ばれ、作戦そのものが中止された。だがリガ・ミリティアの払った犠牲は大きかった。作戦は中止されたがモトラッド艦隊は解散せず、最終決戦ではエンジェル・ハイロゥの護衛を行なっている。
エンジェル・ハイロゥ作戦
巨大サイコミュ要塞エンジェル・ハイロゥによって増幅した精神波を地球規模で地球の居住者へ向けて照射し、人類の闘争意欲を消失させることで戦乱を鎮めるのがザンスカールの作戦目的である。広範囲の生物を死に至るまで眠らせ続ける事も可能であり、カガチの真の目的はそれによる地球人類の殲滅にあったがその事実は操作者である女王マリアには伏せられていた。また、地球浄化作戦はこの作戦の陽動という側面があった。
宇宙世紀0153年6月、その効果を最大限に発揮するためザンスカールはエンジェル・ハイロゥを地球上空に降下させながら、その周囲に主力艦隊を展開して守備に当たった。これに対しリガ・ミリティアと連邦軍ムバラク艦隊の連合艦隊は所持戦力で突破できると判断して包囲、攻勢に出た。連合艦隊はまず前線を守備していたアルベオ・ピピニーデン麾下のラステオ艦隊を破り、次いで指揮系統の混乱(タシロ、カガチ間の権力闘争が要因)に乗じてタシロ・ヴァゴ率いるタシロ艦隊を撃破するもエンジェル・ハイロゥの地球降下などによって一時戦闘は中断された。戦闘再開後、更にリーンホースJrの特攻によりクロノクル・アシャー指揮下のモトラッド艦隊を全滅させた。
最後に残ったムッターマ・ズガン配下のズガン艦隊の戦力は大きく、敵味方が入り乱れる激戦で両陣営は指導者や司令官(マリア、カガチ、ズガン、ムバラクの死亡、ジン・ジャハナムが行方不明)まで失うという多大な犠牲を出しながらも指揮命令系統を失ったことで双方共に停戦命令を含む新たな命令を受領が不可能となり惰性で戦闘は継続された。両軍の指揮系統が崩壊し混乱が戦場を支配する中、エンジェル・ハイロゥは当初予定されていた性能を超えた超常的な力を発揮して戦闘を強制的に停止させ、作戦は失敗に終わる。この戦いでザンスカール帝国は指導者と主力艦隊を失って戦争継続能力を喪失、ザンスカール戦争はうやむやのうちに自然終結した。
その後の地球圏
ザンスカール戦争終結後の情勢はVガンダムはじめとするTVアニメ本編では一切描かれていないが、その後も宇宙の混乱は治まらず、連邦政府の衰退は続いたとされる。