Lions Express
Lions Express(ライオンズエクスプレス)は、かつて埼玉県さいたま市・東京都・神奈川県横浜市と福岡県福岡市を結んでいた高速バスの愛称名である。
2011年(平成23年)12月8日に運行開始した[1] が、2015年5月16日の出発便を以って休止となった[1]。
概要
[編集]"Lions Express" の名称は、かつての「西鉄ライオンズ」の本拠地であった福岡県と、現在の「埼玉西武ライオンズ」の本拠地である埼玉県を結ぶ路線であることにちなむ[1][2]。なお、運行主体もライオンズの新旧親会社である西日本鉄道(西鉄)と西武鉄道(西武)のそれぞれ関連会社である。
営業終了直前の走行距離約1,152kmは、西鉄が運行する「はかた号」(東京新宿 - 福岡)を抜き日本最長距離の路線バスとなっていた[1]。(開業時点では走行距離約1,170 km[3][4]。ただし、下りの全区間の所要時間15時間20分(上りは15時間10分)は、一般道区間の長い「いわみエクスプレス」下り(新木場駅→津和野駅、石見交通・JRバス中国)に次いで2番目。
さいたま - 福岡間を池袋と横浜YCATに立ち寄り[1]、東名高速道路・伊勢湾岸自動車道・新名神高速道路経由で結ぶ。「はかた号」と異なり、運行開始当初から東名高速道路経由であった。
運賃は時期別に設定されており、A運賃、B運賃(A運賃の2,000円引)、C運賃(A運賃の3,000円引)、D運賃(A運賃の4,000円引)の4種類である。4列シート車のみの設定となっており、価格帯も「はかた号」のエコノミーシート相当となっていた。
インターネットでの予約については、西鉄グループの路線を取り扱うハイウェイバスドットコムと、西武グループの路線を取り扱う発車オ〜ライネットの両方で取り扱っていた。運行開始当初、当時西鉄グループの路線を取り扱っていた楽バスでは取り扱っておらず発車オ〜ライネットのみで取り扱っていたが、2013年7月1日から楽バスが閉鎖されハイウェイバスドットコムに移行したため、同日以降の便についてはハイウェイバスドットコムでも取り扱うようになった。
2015年(平成27年)5月16日発車便を以って、運行を休止する旨のアナウンスがなされた[1][5][6]。これまでビジネス客や観光、レジャー客を中心に約4万5000人の利用があったものの、取材に対し西鉄は「利用者数の伸び悩みから、これ以上の運行継続は難しい」と説明しているという[7]。背景として、格安航空会社(LCC)による福岡 - 成田便の影響もあり、乗客は減少していたという[1]。
運行本数
[編集]- 夜行便 1日1往復
運行会社
[編集]運行経路・停車停留所
[編集]太字は停車停留所。大宮 - 横浜間および博多 - 天神間のみの利用は不可。
- 西武バス大宮営業所 - 大宮駅西口 - (首都高速埼玉大宮線・首都高速5号池袋線) - 池袋駅東口 - (首都高速5号池袋線・首都高速都心環状線・首都高速1号羽田線・首都高速神奈川1号横羽線) - YCAT(横浜駅) - (横浜横須賀道路・保土ヶ谷バイパス) - (新東名高速道路・伊勢湾岸自動車道・東名阪自動車道・新名神高速道路・名神高速道路・山陽自動車道・中国自動車道・九州自動車道) - 福岡IC - (福岡高速道路) - 博多バスターミナル - 西鉄天神高速バスターミナル
夜と朝に1回ずつ休憩を行う。休憩場所は上下便ともに足柄サービスエリアと下松サービスエリア。(上り便に限り、消灯前に吉備サービスエリアで休憩することがある。)
沿革
[編集]- 2011年(平成23年)
- 2012年(平成24年)
- 12月20日 - 西鉄高速バス運行便のみ、シートピッチをこれまでの91cmから104cmに拡張。また、「はかた号」と同じく全席にコンセントを装備し、「au Wi-Fi SPOT」にも対応する。対象ユーザー以外にも「バス車内無料Wi-Fiサービス」を開始する[11]。
- 2013年(平成25年)
- 4月1日 - 運賃パターンがこれまでの3パターンから4パターンに変更。通常期より3,000円引のC運賃を追加[12]。従来の運賃はそれぞれA運賃(旧通常期)、B運賃(旧週末)、D運賃(旧閑散期)となる。
- 7月1日 - 同日出発便より、Webでの予約先に「@バスで(ハイウェイバスドットコム)」が追加される。また、出発時間がこれまでより約2時間半早くなり、これにより天神及び大宮への到着時刻も9時前の到着になる[13]。
- この変更に伴い、大宮発便の池袋駅東口から横浜(YCAT)の所要時間が60分から70分に変更される。なお、同日より9月30日までは運賃割引キャンペーン(最大で20%引き)が実施され、同時期のみ運賃体系は3つになる。
- 2014年(平成26年)
- 2015年(平成27年)
- 5月16日 - この日の出発便を以って運行休止。
車両
[編集]- 西武観光バスはトイレ付き、横4列シート、ハイデッカー、34人乗りのいすゞ・ガーラ。2009年より新たに採用された埼玉西武ライオンズ球団のイメージカラーであるレジェンドブルー地に球団のロゴを入れたデザイン[10]。ハイデッカー構造としているのは、他路線での間合い運用を考慮しているため。ただし、続行便および車両点検時は青・赤・緑の3色帯にレオマークが入った、従来のライオンズカラーの三菱ふそう・エアロエースが使用される。運行開始より2013年までは日産ディーゼル・スペースウィング(西日本車体工業02MC SD-II)が使用されていた。運行終了後はドリームさいたま号など、他路線に転用されている。
- 西鉄高速バスはトイレ付き、横4列シート、スーパーハイデッカー、34人乗りの日野・セレガ。白地に黒の西鉄ライオンズのロゴとマーク(NLマーク)を入れたデザイン[10]。開業当初は38人乗りハイデッカーで他路線同様の「白夜行」デザインに黒の西鉄ライオンズのロゴとマーク(NLマーク)を入れた車両が使用されていたが、2012年12月20日より車両が一新され、シートピッチが拡張された広めのものとなり、西武観光バスと同様に34人乗りとなった。また同時に車内での無料Wi-Fiサービスが開始され、これに伴い全座席にコンセントが追加された。運行終了後は西鉄本体(博多営業所)に移管し、主にはかた号などの続行用として繁盛期を中心に使用されていたが、2台のうち1台は九州島内路線用の塗装(火の鳥カラー)に塗り替えられ島原号として使用されている。もう1台は長らく高速予備車扱いとして塗装はそのままの状態で車庫で待機していたが、2019年にトイレを撤去・車内外大規模改装工事をおこない、西鉄最高級のラグジュアリーバスツアーブランド『GRANDAYS』専用車に転用された。因みに、初代の専用車は暫くはロゴが剥がされた白夜行塗装のまま福岡 - 湯布院線「ゆふいん号(ノンストップ便)」を中心に使用されたが、後に火の鳥カラーに塗り替えられ、現在は福岡 - 大分線「とよのくに号」などで使用されている。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j 服部展和 (2015年5月14日). “日本一の長距離バス 16日最終便 ライオンズエクスプレス”. 東京新聞 (中日新聞社) 2015年5月16日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b c 『[高速バス]福岡〜横浜・池袋(大宮)線「Lions Express」 12/8から運行開始』(PDF)(プレスリリース)西鉄高速バス・西武観光バス、2011年11月11日 。
- ^ “高速バスに大宮―博多路線新設 全国最長の1170キロ”. asahi.com (朝日新聞社). (2011年11月15日)[リンク切れ]
- ^ “福岡〜大宮に高速バス路線 全国最長を更新”. J-CASTニュース (ジェイ・キャスト). (2011年11月15日)
- ^ 夜行高速バス 福岡〜横浜・池袋(大宮)線 「Lions Express」 5月16日(土)をもって運行を終了します (PDF) - 西日本鉄道 2015年4月10日
- ^ 高速乗合バス Lions Express 【福岡線】 2015年5月16日(土)をもって運行を終了します (PDF) - 西武観光バス 2015年4月10日
- ^ 恵知仁 (2015年4月10日). “日本最長の夜行高速バス「Lions Express」運行休止”. 乗りものニュース (メディア・ヴァーグ) 2015年4月10日閲覧。
- ^ 一般乗合旅客自動車運送事業の事業計画変更(路線延長)認可申請状況 (PDF, P.1 表8つ目) - 九州運輸局 受付・処分 8月分
- ^ 『高速バス新路線 大宮福岡線(Lions Express)開業のお知らせ』(PDF)(プレスリリース)西武バス、2011年11月11日 。[リンク切れ]
- ^ a b c 『夜行高速バス 福岡〜横浜・池袋(大宮)線「Lions Express」 デザイン決定!』(PDF)(プレスリリース)西鉄高速バス・西武観光バス、2011年12月1日 。
- ^ 『夜行高速バス「はかた」号、「Lions Express」のバス車内サービス拡充に向けた新たな取り組みについて(PDF)』(PDF)(プレスリリース)西日本鉄道、2012年12月14日 。2012年12月17日閲覧。
- ^ “夜行高速バス「はかた号」「Lions Express」 新たな運賃体系を導入します!(PDF)” (PDF). 西日本鉄道 (2013年2月26日). 2013年2月26日閲覧。
- ^ “夜行高速バス「Lions Express」 『運賃割引キャンペーン』を実施します!(PDF)” (PDF). 西日本鉄道 (2013年5月31日). 2013年6月3日閲覧。
- ^ “消費税率引上げに伴う乗合バス各種運賃の改定について” (PDF). 西日本鉄道 (2014年2月24日). 2014年6月26日閲覧。
- ^ “本州・四国方面夜行高速バスのダイヤ改正を12月18日(木)に実施します” (PDF). 西日本鉄道 (2014年11月17日). 2014年11月18日閲覧。