JR東日本E261系電車
JR東日本E261系電車 | |
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基本情報 | |
運用者 | 東日本旅客鉄道 |
製造所 | |
製造年 | 2019年 |
製造数 | 2編成16両 |
運用開始 | 2020年3月14日[1][2] |
投入先 | 東海道線 (JR東日本)・伊東線・伊豆急行線 |
主要諸元 | |
編成 | 8両編成(5M3T) |
軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
電気方式 | 直流 1,500 V(架空電車線方式) |
最高運転速度 | 120 km/h |
起動加速度 | 2.0 km/h/s |
減速度 | 4.5 km/h/s |
編成定員 |
164名 ※4号車を含めると180名 |
車両定員 | 20 - 36名 ※4号車は16名 |
車両重量 | 37.6 - 40.5 t |
編成重量 | 313.0 t |
全長 |
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車体長 |
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全幅 | 2,946 mm |
全高 |
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車体 | アルミニウム合金 |
台車 |
軸梁式ボルスタレス台車 DT88(電動台車) TR272A・TR272(付随台車) |
主電動機 | 外扇式全密閉かご形三相誘導電動機 MT79 |
主電動機出力 | 140 kW |
駆動方式 | TD平行カルダン駆動方式 |
歯車比 | 96:17(1:5.65) |
制御方式 | フルSiC(SiC-MOSFET)素子VVVFインバータ制御 |
制御装置 | 日立製作所製SC121形(1C4M制御)[3] |
制動装置 |
回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ 直通予備ブレーキ・抑速ブレーキ・耐雪ブレーキ |
保安装置 | ATS-P・ATS-SN |
E261系電車(E261けいでんしゃ)は、 東日本旅客鉄道(JR東日本)の直流特急形電車。2020年(令和2年)3月14日に、首都圏と伊豆方面を結ぶ特急「サフィール踊り子」として運用を開始した。
概要
[編集]JR東日本の「グループ経営構想V(ファイブ)〜限りなき前進〜」(現在は後継のグループ経営ビジョン「変革2027」へ移行)のもと、観光流動の創造と地域の活性化を目的として、伊豆エリアに向けた新たな観光特急列車「サフィール踊り子」用の車両として導入され、2020年(令和2年)3月14日より営業運転を開始した[1][2][4]。本形式の導入に伴い、それまで「スーパービュー踊り子」に使用されていた251系が全車置き換えられている。
トータルデザインは奥山清行が率いる「KEN OKUYAMA DESIGN」が担当した[4][5]。
全車グリーン車で、その内1号車にはJR東日本初のプレミアムグリーン車、2・3号車にはグリーン個室、4号車にはカフェテリア(ヌードルバー)を連結している[4][5]。JR東日本の在来線特急車両のグリーン車は255系以降4列配置が基本となっていたが、本形式ではグリーン車は3列配置、プレミアムグリーン車は2列配置となっている。
車内チャイム・車載メロディ・ミュージックホーンは、すべて福嶋尚哉作曲のオリジナルのものを使用している[6][注釈 1]。
2021年に鉄道友の会選定のローレル賞を受賞している[7]。
構造
[編集]車体
[編集]車体はアルミニウム合金製で、中空押出形材を使用したダブルスキン構造を採用している[8]。
外観のデザインコンセプトは「伊豆の圧倒的で雄大な自然」で、外装色の紺碧色は「伊豆の海と空」、白色は「伊豆の砂浜が太陽の光を受けて金色に輝く様子」、グレーは「溶岩地形である城ヶ崎海岸の黒々とした岩石」を表している[4][5]。
側窓は側面だけではなく、側天井部に天窓を設置している[8]。側天井部の窓には、遮光用カーテンを設置しないため、可視光透過率の低いガラスを使用している[8]。
車内
[編集]トイレは2・3・5・7号車に洋式便所・男性用小便所・洗面台を配置しており、このうち5号車の洋式便所は大型電動車椅子対応型となっている[8]。
バリアフリーとして、5号車に車椅子対応座席を2席配置している。また、多目的室を配置しており、室内には簡易ベッドとして使用できる座席を配置している[8]。
プレミアムグリーン車はバックシェル付きの電動リクライニング本革シートを1人用2席 × 10列配置しており、シートピッチは1,250 mm である[8]。荷棚の設置は省略して、座席下に荷物スペースがあるほか、専用の荷物置き場を有する[8]。
グリーン車は座席はE5系新幹線のグリーン車用を基本としたもので、高級感を持たせている[8]。電動レッグレスト、座席上部の読書灯が手元のスイッチで操作可能。シートピッチは1,160mmである[8]。背面式テーブル(車端部席ははね上げ式テーブル)及びひじ掛け内に小型のテーブルが収納されており、ドリンクホルダーも装着されている。
荷棚はアルミフレームに強化ガラスをはめ込んだものとしており、天窓からの太陽光を感じられるようにした[8]。室内の東京寄り(8号車は伊豆急下田寄り)には荷物置き場を設置している[8]。
個室(座席)は伊豆急下田方面に向かって左側にあり、海側の眺望に配慮している[8]。
カフェテリア
[編集]オープンキッチンスペースと食事スペースから構成される[8]。食事スペースは海側にカウンター席を8席、山側にソファー席を4人分 × 2か所配置している[8]。
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グリーン車車内
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プレミアムグリーン車車内
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6人用個室
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4人用個室
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カフェテリア車内
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グリーン車座席
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プレミアムグリーン車座席
主要機器
[編集]制御装置には日立製作所製のフルSiCモジュール(SiC-MOSFET)適用の2レベル方式VVVFインバータ制御(SC121形)を採用した[3]。各電動車毎に制御装置を搭載する1C4M方式である[9]。
主電動機はE235系と同様、MT79形外扇式全密閉かご形三相誘導電動機(定格出力 140 kW)を採用している[9]。歯車比は1:5.65である[10]。
制動装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ方式としている。直通予備ブレーキ、耐雪ブレーキ、抑速ブレーキ機能を有する[10]。
台車は、軸梁式ボルスタレス台車で動力台車がDT88、付随台車はTR272(クロのみ前位台車がTR272A)となっている。製造は日立製作所[9]。すべての台車にフルアクティブ動揺防止装置及びヨーダンパが付いている[10]。先頭台車のみ駐車ブレーキを装備している[9]。
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DT88形動力台車
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TR272系付随台車
画像はクロE261形後位のTR272形
集電装置(パンタグラフ)は、上昇検知付きのシングルアーム方式であり、型番はPS33Hとしている。5号車の伊豆急下田方のパンタグラフは予備として設置されている[10]。
補助電源装置はIGBT素子を使用した東洋電機製造製の待機2重系の静止形インバータ(SIV)である[9][11]。形式はSC106A形、出力電圧は三相交流440V、定格容量は260 kVA である[10][9]。
空気圧縮機はMH3130-C1600F形を採用しており、毎分吐出容量は1,600 L[10]。
冷暖房装置はAU302A形床下集中式の空調装置を各車に1台搭載している。冷房使用時は出力42kW(36,000 kcal/h)、暖房使用時は出力20kW(17,200 kcal/h)のものとなっている[10]。
保安装置はATS-P・ATS-SNを搭載している。またデジタル列車無線、防護無線(自動発報機能付き)、EB・TE装置が搭載されている[10]。
車両情報制御装置には、JR東日本の在来線旅客車両で2例目となるINTEROSを搭載している[10]。
形式
[編集]1 - 3号車は川崎重工業[12][注釈 2]、4 - 8号車は日立製作所で製造[13]。
- クロE261形(Tsc)
- 東京方先頭車で、8号車。定員24名。運転室と業務用室を配置、床下に補助電源装置を搭載[14]。この車両のみ席番が逆順となっており、東京方が1番席となる。
- クロE260形(Tsc')
- 伊豆急下田方先頭車で、1号車。定員20名のプレミアムグリーン車で、座席は海側寄りに1+1列配置。運転室を配置、床下に補助電源装置を搭載[14]。
- モロE261形
- モロE260形
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クロE260形
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モロE260形100番台
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モロE261形100番台
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サシE261形
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モロE261形0番台
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モロE260形0番台
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モロE261形200番台
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クロE261形
編成表
[編集]8両2編成(RS1編成・RS2編成)が大宮総合車両センター東大宮センターに配置されている。
形式 | |||||||||
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クロE261-0 8号車 (Tsc) |
モロE261-200 7号車 (Ms) |
モロE260-0 6号車 (M2s) |
モロE261-0 5号車 (M1s) |
サシE261-0 4号車 (TD) |
モロE261-100 3号車 (M1s1) |
モロE260-100 2号車 (M2s1) |
クロE260-0 1号車 (Tsc') | ||
定員 | 24人 | 30人 | 36人 | 14人 | (16人) | 20人 | 20人 | 20人 | |
空車重量 | 38.6t | 40.5t | 39.2t | 40.2t | 39.2t | 39.1t | 37.6t | 38.6t | |
編成番号 | RS1 | 1 | 201 | 1 | 1 | 1 | 101 | 101 | 1 |
RS2 | 2 | 202 | 2 | 2 | 2 | 102 | 102 | 2 |
- ■ プレミアムグリーン車
- ■ グリーン車(2・3号車はグリーン個室)
運用
[編集]この節の加筆が望まれています。 |
2020年3月14日ダイヤ改正より特急「サフィール踊り子」として、東京駅・新宿駅[注釈 3] - 伊豆急下田駅間で営業運転を開始した[1][2]。
定期列車1往復と臨時列車1往復が運転されている[1]。
このうち、サフィール踊り子1号・2号は毎日運転の定期列車として、3号(月・木・金曜日)・4号(火・水曜日以外の毎日)は臨時列車として[注釈 4]、それぞれ東京駅 - 伊豆急下田駅間、5号は土休日に新宿駅 - 伊豆急下田駅間で運転される。
サフィール踊り子1号 | サフィール踊り子2号 | サフィール踊り子3号 | サフィール踊り子4号 | サフィール踊り子5号 | |
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始発駅 | 東京 | 伊豆急下田 | 東京 | 伊豆急下田 | 新宿 |
終着駅 | 伊豆急下田 | 東京 | 伊豆急下田 | 東京 | 伊豆急下田 |
運転日 | 毎日運転 | 毎日運転 | 月・木・金曜日 | 火・水曜日以外の毎日 | 土休日 |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d 『2020年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2019年12月13日、4頁。オリジナルの2019年12月13日時点におけるアーカイブ 。2020年3月26日閲覧。
- ^ a b c 「特急“サフィール踊り子”が運転を開始」『railf.jp 鉄道ニュース』交友社、2020年3月15日。2020年4月9日閲覧。
- ^ a b 「MODELERS FILE 東日本旅客鉄道E261系直流特急形電車」『とれいん』、エリエイ、2020年7月。
- ^ a b c d 『伊豆エリアへ新たな観光特急列車を運行します』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2018年5月8日。オリジナルの2020年3月1日時点におけるアーカイブ 。2020年3月26日閲覧。
- ^ a b c 「新型特急E261系、伊豆方面に投入へ JR東日本初「プレミアムグリーン車」設定」『乗りものニュース』2018年5月8日。オリジナルの2019年3月30日時点におけるアーカイブ。2020年3月26日閲覧。
- ^ “「サフィール踊り子」音源制作”. スイッチオフィシャルサイト. スイッチ. 2020年3月19日閲覧。
- ^ “2021年 ブルーリボン・ローレル賞選定車両”. 鉄道友の会 (2021年5月26日). 2021年5月27日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 『鉄道ピクトリアル』2020年9月号 pp. 126 - 132
- ^ a b c d e f 『鉄道ピクトリアル』2020年9月号 pp. 133 - 136
- ^ a b c d e f g h i 「付録 JR東日本E261系特急型直流電車(特急〔サフィール踊り子〕用)主要諸元表」『鉄道ダイヤ情報』、交通新聞社、2020年4月。
- ^ 「東日本旅客鉄道株式会社E261系電車用補助電源装置」(PDF)『東洋電機技報』第144号、東洋電機製造、2021年10月、30 - 32頁、2022年2月26日閲覧。(インターネットアーカイブ)。
- ^ 「E261系6両が甲種輸送される」『railf.jp(鉄道ニュース)』交友社、2019年11月6日。2020年3月28日閲覧。
- ^ 「【JR貨】【JR東】 JR東日本E261系(日立製作所製作分)が甲種輸送される」『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』ネコ・パブリッシング、2019年11月7日。2022年2月26日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 『鉄道ピクトリアル』2020年9月号 pp. 134 - 136(編成図および主要諸元表)
参考文献
[編集]外部リンク
[編集]- サフィール踊り子:JR東日本