4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン
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4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン | |
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別称 4-mercapto-4-methylpentan-2-one; 4-methyl-4-mercapto-2-pentanone; 4-sulfanyl-4-methylpentan-2-one; 4-Sulphanyl-4-methylpentan-2-one; 4-methyl-4-sulfanylpentan-2-one; 2-Pentanone, 4-mercapto-4-methyl-; 4-Methyl-4-mercaptopentan-2-one; 4-Methyl-4-thiolpentan-2-one; 4-Methyl-4-sulfanyl-2-pentanone | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 19872-52-7 |
PubChem | 88290 |
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特性 | |
化学式 | C6H12OS |
モル質量 | 132.22 g mol−1 |
匂い | ネコの尿の香り、低濃度ではカシスの芽の香り |
嗅覚閾値 | 0.8ng/l[1] |
関連する物質 | |
関連するC6H12OSの異性体 | C6H12OSを参照 |
関連物質 | 4-メトキシ-2-メチル-2-ブタンチオール ギ酸3-メルカプト-3-メチルブチル 3-メルカプトヘキサノール |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン(英: 4-Mercapto-4-methyl-2-pentanone)は、化学式C6H12OSで表されるチオールの一種である[2]。MMPとも略記される[3]。トロピカルな香りを持ち、天然にはソーヴィニヨン・ブランワインから見出され[4]、特徴的な香りをもたらす。食肉工場などでは、ネコの尿を思わせる原因物質ともなっている[5]。
ワイン
[編集]ボルドー大学の学生であったフィリップにより、ソーヴィニヨン・ブランワインから発見された。これは、有機硫黄化合物がワインの品種香に寄与すると証明された初の例であり、フィリップは1993年に博士号を授与された[6]。この物質は果汁中にシステイン抱合体の形で存在し、システイン-S-コンジュゲート βリアーゼにより抱合が切り離され、カシスの芽の香りと表現される特徴的な香りをもたらす[7]。同ワインの品種香の基となる物質には他に3-メルカプトヘキサノールがあり、そちらはパッションフルーツやグレープフルーツ様と表現される[8]。
煎茶
[編集]香料メーカーの研究により、煎茶の火入れ工程で発生することが明らかになった[3]。含有量は微量であるが、嗅覚閾値が低いため、4-メトキシ-2-メチル-2-ブタンチオールとともに煎茶の香気成分として重要な役割を果たしていると考えられている[9]。
脚注
[編集]- ^ 富永 2003, p. 59
- ^ National Institute of Standards and Technology. “4-mercapto-4-methyl-2-pentanone”. webbook.nist.gov. 2017年9月7日閲覧。
- ^ a b “煎茶の品質に関与する香気寄与成分”. 小川香料. 2017年10月21日閲覧。
- ^ CID 88290 - PubChem
- ^ 富永 2003, p. 37
- ^ 富永 2003, p. 38
- ^ 富永 2003, pp. 210–212
- ^ 富永 2003, pp. 47–48
- ^ “煎茶の香気寄与成分の探索”. 小川香料. 2017年10月21日閲覧。
参考文献
[編集]- 富永敬俊『きいろの香り ボルドーワインの研究生活と小鳥たち』フレグランスジャーナル社、2003年5月20日。ISBN 978-4-894790674。