3-メルカプトヘキサノール
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3-メルカプトヘキサノール 3-Mercapto hexanol[1] | |
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別称 3-メルカプト-1-ヘキサノール | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 51755-83-0 |
特性 | |
化学式 | C6H14OS |
モル質量 | 134.24 g mol−1 |
外観 | 無色ないしわずかに薄い黄色の透明液体 |
匂い | 柑橘香 |
嗅覚閾値 | 60ng/l[2] |
沸点 |
45℃(0.001kPa) |
関連する物質 | |
関連するC6H14OSの異性体 | C6H14OSを参照 |
関連物質 | 1-ヘキサノール 4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
3-メルカプトヘキサノール(英: 3-Mercapto hexanol、3MHと略される)は、化学式C6H14OSで表されるチオールの一種である。この物質の前駆体はパッションフルーツやソーヴィニヨン・ブラン[3]、甲州葡萄[4]などのブドウに含まれ、ワインに特徴的な香りをもたらす。日本の消防法では、危険物第4類第3石油類に区分される[1]。
ワイン
[編集]ボルドー大学の富永敬俊により、白ワイン用のブドウ品種であるソーヴィニヨン・ブランの果汁から、本物質の前駆体であるシステイン抱合体およびグルタチオン抱合体が発見された[4]。この前駆体は、発酵の過程で酵素によって3-メルカプトヘキサノールとなり、パッションフルーツやグレープフルーツ様と表現される香りを放つ[5]。同ワインの品種香の基となる物質には他に4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノンがあり、そちらはカシスの芽の香りと表現される[6]。メルシャンの研究では、ブドウに含まれる前駆体は早朝から深夜にかけて増加し、日中は減少することが確認された[7]。この物質は銅イオンと結合しやすく、ブドウの栽培に硫酸銅を含むボルドー液を過剰に使用すると、ワインの特徴的な香りが損なわれることともなる[8]。
脚注
[編集]- ^ a b 3-メルカプト-1-ヘキサノール(東京化成工業)
- ^ 富永 2003, p. 59
- ^ 富永 2003, pp. 46–47
- ^ a b 小林弘憲「甲州ブドウの持つ香りのポテンシャルを引き出すワイン醸造」(PDF)『生物工学』第89巻第12号、日本生物工学会、2011年、728-731頁、2017年10月15日閲覧。
- ^ “このワインに、十円玉を入れてみると……”. All_About. p. 2 (2006年5月27日). 2017年10月15日閲覧。
- ^ 富永 2003, p. 37
- ^ “ワインの香りはブドウの収穫時間によって変わる -メルシャンが科学的に解明”. マイナビ. (2012年11月15日) 2017年10月15日閲覧。
- ^ 富永 2003, p. 22
参考文献
[編集]- 富永敬俊『きいろの香り ボルドーワインの研究生活と小鳥たち』フレグランスジャーナル社、2003年5月20日。ISBN 978-4-894790674。