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酢酸カリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
酢酸カリウム
識別情報
CAS登録番号 127-08-2 チェック
PubChem 31371
ChemSpider 29104 ×
UNII M911911U02 チェック
E番号 E261 (防腐剤)
ChEMBL CHEMBL1201058 ×
特性
化学式 C2H3KO2
モル質量 98.14 g mol−1
外観 白色の潮解性の結晶性粉末
密度 1.8 g/cm3 (20 °C)[1]
1.57 g/cm3 (25 °C)
融点

292℃

沸点

分解

への溶解度 216.7 g/100 mL (0.1 °C)
233.8 g/100 mL (10 °C)
268.6 g/100 mL (25 °C)
320.8 g/100 mL (40 °C)
390.7 g/100 mL (96 °C)[2]
溶解度 エタノール、液体アンモニアに溶ける
ジエチルエーテルアセトンに溶けない
メタノールへの溶解度 24.24 g/100 g (15 °C)
53.54 g/100 g (73.4 °C)[1]
エタノールへの溶解度 16.3 g/100 g[1]
二酸化硫黄への溶解度 0.06 g/kg (0 °C)[1]
酸解離定数 pKa 4.76
構造
結晶構造 単斜晶系
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −722.6 kJ/mol[1]
標準モルエントロピー So 150.82 J/mol·K[3]
標準定圧モル比熱, Cpo 109.38 J/mol·K[3]
危険性
NFPA 704
1
1
0
半数致死量 LD50 3250 mg/kg (経口, ラット)[4]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

酢酸カリウム(さくさんカリウム、potassium acetate)は化学物質である。酢酸カリウム塩にあたる。水溶液は弱塩基性を示し、0.1M の溶液の pH は 9.7 である。

水酸化カリウム炭酸カリウムなどカリウムを含む塩基と酢酸を反応させ、

2CH
3
COOH+
K
2
CO
3
→ 2CH
3
COOK+
CO
2
+
H
2
O

という中和反応によって生成される。水酸化カリウムの場合も同様に中和される。

湿気、熱、燃焼、酸化剤に対しては不安定である。

利用

[編集]

酢酸カリウムは、塩化カルシウム塩化マグネシウムなどの塩素を含む塩の代わりに、除氷剤や融雪剤として用いられる。土壌に対する影響が少なく、腐食性も小さい。このような理由で滑走路などで用いられるが、値段は高価である。熱を奪い、油と複合体を形成する性質を利用して、消火剤として消火器にも入っている。重炭酸塩に分解され、酸化状態を中和する性質を利用して、糖尿病性ケトアシドーシスの治療に用いられている。

分子生物学で酢酸カリウムは、ドデシル硫酸とそれに結合したタンパク質を沈殿させ、タンパク質をDNAから引き離すのに使われる。またDNAのエタノール沈殿にも使われる。

欧州連合では酢酸カリウムは保存料pH調整剤として食品添加物にも使われている。

酢酸カリウムは組織の保存、固定、ミイラ化に使われる。現在多くの博物館では、1897年にKaiserlingにより提唱されたホルムアルデヒドをベースとする保存法を取っているが、これには酢酸カリウムも含まれている[5]。例えば、ウラジーミル・レーニンの遺体は酢酸カリウムを含む溶液に漬けられて保存されている[6]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e Potassium acetate”. 2024年11月1日閲覧。
  2. ^ Seidell, Atherton; Linke, William F. (1952). Solubilities of Inorganic and Organic Compounds. Van Nostrand 
  3. ^ a b Acetic acid, potassium salt in Linstrom, P.J.; Mallard, W.G. (eds.) NIST Chemistry WebBook, NIST Standard Reference Database Number 69. National Institute of Standards and Technology, Gaithersburg MD. http://webbook.nist.gov (retrieved 2014-05-18)
  4. ^ https://chem.nlm.nih.gov/chemidplus/rn/127-08-2 [リンク切れ]
  5. ^ Dale Ulmer, "Fixation. The Key to Good Tissue Preservation.", Journal of the International Society for Plastination, Vol 8 (1): 7-10, 1994
  6. ^ Andrew Nagorski, "The Greatest Battle", Simon and Shuster, 2007, page 53.