辰馬半右衛門
辰馬 半右衛門[1](たつうま はんえもん[2]、前名・發蔵[3]、1877年(明治10年)8月11日[4] - 没年不明)は、日本の政治家、酒造家(銘酒・東自慢醸造本舗[注 1])[3][5]、実業家、兵庫県多額納税者[6][7]、海運業者。
兵庫県武庫郡鳴尾村長[4][8]。本辰馬商店店主[9]。辰馬商会社長[3][10]。京都貿易銀行頭取[6]。東辰馬酒造取締役[3][6]。阪神電気鉄道、日本摂酒各監査役[6]。族籍は兵庫県平民[3][6]。
経歴
[編集]先代・辰馬半右衛門の二男[3][4][6]。1892年、家督を相続し、前名・發蔵を改め襲名した[4]。清酒醸造業や、鉱山海運業を営んだ[5][6]。
1887年、西宮の辰馬家当主辰馬吉左衛門と「有限責任盛航会社」を設立した[11][12]。
1902年、摂津航業を買収して「辰馬商会」と改称した[3][6]。
1905年、阪神電気鉄道が開通すると地元の武庫川堤約7千坪を開墾して翌1906年に百花園[注 2]を開設、日本摂酒監査役に就任した[12]。頭取に就任した京都貿易銀行は「京都通商銀行」と改称、1921年4月休業破産、1930年4月、任意解散が認可された[12]。
人物
[編集]辰馬半右衛門について、『商工資産信用録 第29回』には「職業・雑、調査年月・1927年3月、正身身代・未詳、信用程度・B」とある[14]。
『商工資産信用録 第34回 近畿版』には「職業・地主、調査年月・1932年3月、正身身代・未詳、信用程度・C」とある[15]。
株式界の仕手としても著名であった。真偽のほどは不明だが、当時の株式市況では仕手筋たる「鳴尾辰馬困窮の風説」がしばしば流布された[12]。苦楽園付近にも約50万坪を保有し、「御影土地」の発起人としても登場しており、阪神間の主要な不動産投資家でもあった[12]。
家族・親族
[編集]- 辰馬家
辰馬家は古くより兵庫県武庫郡鳴尾村(現西宮市)に土着し、当主に至るまで15代の旧家である[3][4][6]。寛永年間から千石船数十隻を運航し、1885年、辰馬鉱業部を創業して和歌山県東牟婁郡三尾川で銅山を採掘した[12]。1915年、酒造経営が行き詰まったのを機に、小西酒造に商標をはじめ酒造蔵、土地、建物などいっさいを売却、小西酒造は新たに西宮市今津に「本辰酒造株式会社」を設立した[16]。
- 父・半右衛門[3][6]
- 母・まき(1845年 - ?、大阪、岩崎徳右衛門の八女)[3]
- 妻・清子(1884年 - ?、子爵水野忠款の叔母)[3][6]
- 男・明(1908年 - ?)[3][6]
- 長女・恭子(1901年 - ?、東京、鍋島二郎の妻[4]、あるいは大阪、生駒季子方に入家[6])
- 二女・慶子(1902年 - ?、兵庫、辰馬半蔵の長男章蔵の妻)[4]
- 親戚
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 『大日本紳士鑑』兵庫県武庫郡328頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2023年3月24日閲覧。
- ^ a b 『大阪経済雑誌 第15年(2)』27頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2024年11月23日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 『人事興信録 第3版』た171頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2019年7月5日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 『人事興信録 第13版 下』タ220頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2019年7月5日閲覧。
- ^ a b c 『関西実業名鑑 明治40年』武庫郡各村(摂津国)68頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2019年7月5日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 『人事興信録 第4版』た107頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2019年7月5日閲覧。
- ^ 『日本紳士録 第18版』全国多額納税者3頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2019年7月6日閲覧。
- ^ a b c 『人事興信録 第14版 下』タ222頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2019年7月5日閲覧。
- ^ 『開国五十年史 附録』394頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2024年11月23日閲覧。
- ^ 『日本全国諸会社役員録 明治40年』上編516頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2019年7月5日閲覧。
- ^ 『辰馬海運百五十年経営史(海事交通研究 1972年 第8集)』49頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2024年11月23日閲覧。
- ^ a b c d e f 小川功「六甲山麓の観光企業創設と機関銀行の虚構-阪神土地建物・船場銀行を中心に-」滋賀大学、彦根論叢 第378号 平成21(2009)年5月 55-74頁。
- ^ “西宮ペディア「阪神武庫川線」”. 西宮流 (2020年3月15日). 2024年12月3日閲覧。
- ^ 『商工資産信用録 第29回』兵庫県た之部43頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2024年5月29日閲覧。
- ^ 『商工資産信用録 第34回 近畿版』兵庫県た之部39頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2024年5月29日閲覧。
- ^ 白雪の明治・大正・昭和 第7章 酒造経営、大躍進の時代を画す、小西酒造。
参考文献
[編集]- 商業興信所編『日本全国諸会社役員録 明治40年』商業興信所、1893-1911年。
- 妹尾久造編『大日本紳士鑑』経済会、1895年。
- 『大阪経済雑誌 第15年(2)』大阪経済社、1907年。
- 大隈重信編『開国五十年史 附録』開国五十年史発行所、1908年。
- 橋本治策編『関西実業名鑑 明治40年』関西実業名鑑編纂所、1908年。
- 人事興信所編『人事興信録 第3版』人事興信所、1903-1911年。
- 交詢社編『日本紳士録 第18版』交詢社、1913年。
- 人事興信所編『人事興信録 第4版』人事興信所、1915年。
- 商業興信所編『商工資産信用録 第29回』商業興信所、1928年。
- 『商工資産信用録 第34回 近畿版』商業興信所、1933年。
- 人事興信所編『人事興信録 第13版 下』人事興信所、1941年。
- 人事興信所編『人事興信録 第14版 下』人事興信所、1943年。
- 『辰馬海運百五十年経営史(海事交通研究 1972年 第8集)』山県記念財団海事交通文化研究所、1972年。