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花田達朗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

花田 達朗(はなだ たつろう、1947年 - )は、日本社会学者早稲田大学名誉教授。東京大学名誉教授。専門は社会学、メディア研究、ジャーナリズム研究。

来歴

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に<主な出典:[1][2]

1947年長崎県生まれ。千葉県立千葉高等学校卒業。1971年3月早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒業。1980年7月ミュンヘン大学哲学部コミュニケーション学(新聞学)修士課程修了、1986年ミュンヘン大学大学院博士課程満期退学

1975年に当時の西ドイツに移住し、1986年に帰国。

1986年財団法人電気通信総合研究所(翌年改称)研究員、1987年財団法人電気通信政策総合研究所[注釈 1] 主任研究員を経て、1989年創価大学文学部社会学科助教授。

1992年4月東京大学社会情報研究所(旧新聞研究所)助教授、1995年4月同教授を経て、2003年4月同研究所所長に就任。社会情報研究所から大学院情報学環への改組により、2004年4月同教授、学環長に就任。2006年3月東京大学を退職。2006年4月早稲田大学教育・総合科学学術院教授に就任し、2018年3月同大学を定年退職。

この間、公共圏論、メディアの制度論と空間論などの研究のほか、早稲田大学では2007年より早稲田大学ジャーナリズム教育研究所所長として学部学生向けジャーナリスト養成教育の仕組み「全学共通副専攻・ジャーナリズムコース」を設置し、運用した。2015年に早稲田大学ジャーナリズム研究所を設立し、所長を務め、研究所のプロジェクトとして大学発の探査ジャーナリズム・ニュース組織「ワセダクロニクル」の立ち上げに立ち会った。

2006年から2013年まで石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞の選考委員を務めるとともに、同ジャーナリズム大賞の記念講座「報道が社会を変える」を担当し、授業運営に当たるとともに授業の成果物として書籍4冊を編集・出版した(「編著」の項を参照)。

早稲田大学退職後は、2018年2月に大学から独立して特定非営利活動法人となった「ワセダクロニクル」(2021年3月、Tokyo Investigative Newsroom Tansaと名称を変更)の国際アドバイザリーボードの一員を務めている。

2018年の早稲田大学退職とほぼ同時に、著作集となる「花田達朗ジャーナリズムコレクション」全6巻の刊行を開始し、2023年に完結を迎えた(「単著」の項を参照)。第1巻から第5巻に5回に分けて「年譜」が掲載されている。また、各巻には次の執筆者が「解説」を寄せている。

 第1巻: マーティン・ファクラー(ニューヨークタイムズ、アシスタント・アジア・エディター)、大石泰彦(青山学院大学法学部教授)

 第2巻: ゲルト・コッパー(ドイツ・ドルトムントTU大学名誉教授、欧州ジャーナリズムセンター初代理事長)、西土彰一郎(成城大学法学部教授)

 第3巻: 佐藤健二(東京大学大学院人文社会系研究科教授)、東島誠(立命館大学文学部教授)

 第4巻: 斉藤日出治(大阪産業大学元教授、大阪労働学校・アソシエ校長)、アルブレヒト・レスラー(ドイツ・ヘッセン州大学連合顧問弁護士)

 第5巻: 藤田真文(法政大学社会学部メディア社会学科教授)

 第6巻: 依光隆明(元高知新聞社会部長、元朝日新聞特別報道部長)、浅野良子(ブリティッシュ・カウンシル、元ブリティッシュ・スタディーズ・オッフィサー)、渡辺周(Tokyo Investigative Newsroom Tansa 編集長)

コミュニケーション、メディア、ジャーナリズム関係の海外の有力学術誌の編集委員を長年務めている。

International Advisory Board, new media & society, Sage Publications, from 1999 until 2007.

Editorial Board, Journalism Studies, Routledge/Tayler & Francis, from 2000 until present.

Editorial Board, javnost/the public, Journal of the European Institute for Communication and Culture, University of Ljubljana, from 2007 until present.

職歴

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  • 1978年ー1982年 (社)ミュンヘン・コミュニケーション共同研究所(AfK)研究員
  • 1986年7月ー1987年3月 (財)電気通信総合研究所(1987年2月、電気通信政策総合研究所と改称)研究員
  • 1987年4月ー1989年3月 (財)電気通信政策総合研究所主任研究員
  • 1989年4月ー1992年3月 創価大学文学部社会学科助教授
  • 1992年4月ー1995年3月 東京大学新聞研究所(1992年4月10日、社会情報研究所と改称)助教授
  • 1995年4月ー2004年3月 東京大学社会情報研究所教授
  • 2003年4月ー2004年3月 東京大学社会情報研究所長
  • 2004年4月ー2006年3月 東京大学大学院情報学環教授、情報学環長、学際情報学府長
  • 2006年4月ー2018年3月 早稲田大学教育・総合科学学術院教授

受賞歴

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主な著作

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<主な出典:[1][2]

単著

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  • 公共圏という名の社会空間(木鐸社、1996年)
  • メディアと公共圏のポリティクス(東京大学出版会、1999年)
  • 花田達朗ジャーナリズムコレクション・第1巻・ジャーナリズムの実践―主体・活動と倫理・教育 1 (1994-2010年)―(彩流社、2018年)
  • 花田達朗ジャーナリズムコレクション・第2巻・ジャーナリズムの実践―主体・活動と倫理・教育 2 (2011-2017年)―(彩流社、2018年)
  • 花田達朗ジャーナリズムコレクション・第3巻・公共圏―市民社会再定義のために―(彩流社、2020年)
  • 花田達朗ジャーナリズムコレクション・第4巻・メディアの制度論と空間論―両義性の葛藤―(彩流社、2021年)
  • 花田達朗ジャーナリズムコレクション・第5巻・テレコム・ポリシーとテクノロジー―1980年代と新自由主義―(彩流社、2022年)
  • 花田達朗ジャーナリズムコレクション・第6巻・公共圏の実践―時評と定義―(彩流社、2023年)

編著

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  • (コーディネーター花田達朗)「個」としてのジャーナリスト(早稲田大学出版部、2008年)
  • (コーディネーター花田達朗)「可視化」のジャーナリスト(早稲田大学出版部、2009年)
  • (コーディネーター花田達朗)「境界」に立つジャーナリスト(早稲田大学出版部、2010年)
  • (コーディネーター花田達朗)「対話」のジャーナリスト(早稲田大学出版部、2011年)
  • (早稲田大学ジャーナリズム教育研究所・公益財団法人放送番組センター編)放送番組で読み解く社会的記憶―ジャーナリズム・リテラシー教育への活用―(日外アソシエーツ、2012年)
  • (早稲田大学ジャーナリズム教育研究所編)エンサイクロペディア現代ジャーナリズム(早稲田大学出版部、2013年)
  • (早稲田大学ジャーナリズム教育研究所編)レクチャー現代ジャーナリズム(早稲田大学出版部、2013年)
  • (花田達朗編)内部的メディアの自由―研究者・石川明の遺産とその継承―(日本評論社、2013年)
  • (早稲田大学ジャーナリズム研究所編)日本の現場―地方紙で読む 2016―(早稲田大学出版部、2016年)

共編著

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  • (花田達朗・吉見俊哉・コリン・スパークス編)カルチュラル・スタディーズとの対話(新曜社、1999年)
  • (花田達朗・広井脩編)論争 いま、ジャーナリスト教育(東京大学出版会、2003年)
  • 吉見俊哉・花田達朗編)社会情報学ハンドブック(東京大学出版会、2004年)
  • (花田達朗+教育学部花田ゼミ編)新聞は大震災を正しく伝えたか―学生たちの紙面分析―(早稲田大学出版部、2012年)
  • (花田達朗・高田昌幸・清水真編)日本の現場―地方紙で読む 2012―(旬報社、2012年)
  • (編集委員会+鎌田慧・花田達朗・森まゆみ編)いいがかりー原発「吉田調書」記事取り消し事件と朝日新聞の迷走ー(七つ森書館、2015年)
  • (渡辺周・花田達朗・ワセダクロニクル編)始動! 調査報道ジャーナリズム―「会社」メディアよ、さようなら― (彩流社、2017年)
  • (渡辺周・花田達朗・大矢英代・ワセダクロニクル編)市民とつくる調査報道ジャーナリズム―「広島東洋カープ」をめざすニュース組織― (彩流社、2017年)
  • (渡辺周・花田達朗・金黙敬・野中章弘・加地紗弥香・ワセダクロニクル編)探査ジャーナリズムとNGOとの協働 (彩流社、2017年)
  • (花田達朗・スティーブン・バトラー・渡辺周・木村英昭・ワセダクロニクル編)探査ジャーナリズム/調査報道―アジアで台頭する非営利ニュース組織―(彩流社、2018年)
  • Tatsuro Hanada and Makoto Watanabe (eds.) The Emerging Investigative Journalism Movement in Japan and Asia, Waseda Chronicle, 2020.

共著

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  • (花田達朗・別府三奈子・大塚一美・デービッド・E・カプラン)調査報道ジャーナリズムの挑戦ー市民社会と国際支援戦略―(旬報社、2016年)
  • 農文協編)地方紙の眼力―改憲・安全保障・震災復興・原発・TPP・地方創生―(農村漁村文化協会、2017年)
  • (大石泰彦編)ジャーナリズムなき国の、ジャーナリズム論(彩流社、2020年)
  • (Mit Klaus Winckler) Kommerzielles Fernsehen in der Medienkonkurrenz; Japan - Fernsehdualismus und Medienkonzentration. Berlin: Wissenschaftsverlag Volker Spiess, 1984.
  • Elixmann, D. & Neumann, K.-H. (eds.) Communications Policy in Europe. Berlin/Heidelberg, Germany: Springer Verlag, 1990.
  • Wolfgang Pape (ed.) Models of Integration in Asia and Europe: Generating Public Space for Our Common Futures, Luxembourg: European Commission, 2001.
  • Josef Ehmer, Helga Grebing und Peter Gutschner (Hrsg.) “Arbeit”: Geschichte - Gegenwart - Zukunft, (ITH-Tagungsberichte; Bd.36), Leipzig: Akademische Verlagsanstalt, 2002.
  • JoséVidal Beneyto (ed.) LA VENTANA GLOBAL, Buenos Aires: Taunus, 2002.
  • Andrew Calabrese and Colin Sparks (eds.) Toward a Political Economy of Culture – Capitalism and Communication in the Twenty-First Century, Lanham: Rowman & Littlefield Publishers, 2004.
  • Hans Bohrmann, Elisabeth Klaus, Marcel Machill (eds.) Media Industry, Journalism Culture and Communication Policies in Europe, Köln: Herbert von Halem Verlag, 2007.

脚注

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注釈

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  1. ^ 現在の一般財団法人マルチメディア振興センターにあたる。

出典

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  1. ^ a b 花田達朗教授 略歴・業績」『学術研究 : 人文科学・社会科学編』第66巻、早稲田大学教育・総合科学学術院教育会、2018年3月、352-355頁、CRID 1050001202470752896hdl:2065/00056903ISSN 2186-6996 
  2. ^ a b 『花田達朗ジャーナリズムコレクション・第1巻・ジャーナリズムの実践ー主体・活動と倫理・教育 1 (1994-2010年)』彩流社、2018年。 奥付「著者プロフィール」を参照。

外部リンク

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