篠田浩一郎
表示
篠田 浩一郎(しのだ こういちろう、1928年2月18日 - 2022年12月25日)は、日本のフランス文学・比較文学者、記号学者、翻訳家。東京外国語大学名誉教授。
略歴
[編集]東京生まれ。1954年東京大学文学部仏文科を卒業。1957年から東京外国語大学で教え、助教授、教授。1991年定年退官、名誉教授。
19世紀フランス文学の研究から出発し、記号学や物語論など当時先端的な文学理論を吸収しながら、文学評論にとどまらず、強制収容所文学の分析などを含めた視野の広い研究を展開した。晩年は日本文化の研究にも手を染めた。翻訳も多数ある。とりわけポール・ニザン『アデン・アラビア』、ミシュレ『魔女』、ロラン・バルト『サド、フーリエ、ロヨラ』は有名。
2022年12月25日、老衰のため葉山町の病院で死去。94歳没[1]
著書
[編集]- 『フランス・ロマン主義と人間像』(未來社) 1965年
- 『フランス 美と歴史の発見』(美術出版社) 1967年
- 『ゲーテの木 戦闘的ヒューマニズムの文学』(晶文社) 1972年
- 『形象と文明 書くことの歴史』(白水社) 1977年
- 『フランス 美と歴史を歩く』(美術出版社) 1977年
- 『中世への旅 歴史の深層をたずねて』(朝日選書) 1978年
- 『構造と言語 - 書くことの論理』(現代評論社) 1978年
- 『批評の記号学』(未來社) 1979年
- 『閉ざされた時空 ナチ強制収容所の文学』(白水社) 1980年
- 『竹取と浮雲 説話はいかに書かれるか』(集英社) 1981年
- 『空間のコスモロジー』(岩波書店) 1981年 - フーリエ、ピエール・ルルー、ジュール・ヴェルヌ、ミシュレ論
- 『小説はいかに書かれたか 『破戒』から『死霊』まで』(岩波新書) 1982年
- 『都市の記号論』(青土社) 1982年
- 『再びセーヌは流れる 歴史の中のフランス作家群像』(TBSブリタニカ) 1982年
- 『物語と小説のことば』(国文社) 1983年
- 『仮面・神話・物語 ふたたび中世への旅』(朝日選書) 1983年
- 『幻想の類型学』(筑摩書房) 1984年
- 『カオスから / カオスへ』(洋泉社) 1986年
- 『新ふらんす記』(白水社) 1986年
- 『ロラン・バルト 世界の解読』(岩波書店) 1989年
- 『修羅と鎮魂 日本文化試論』(小沢書店) 1990年
翻訳
[編集]- 『十九世紀フランス文学』(ソーニェ、渋沢孝輔と共訳、白水社、文庫クセジュ) 1958年
- 『フランス哲学入門』 (アンドレ・クレソン、白水社、文庫クセジュ) 1958年
- 『ディエンビエンフー陥落』(ジュール・ロワ、朝倉剛共訳、至誠堂) 1965年
- 『戦後のフランス小説』(モーリス・ナドー、みすず書房) 1966年
- 『アデン・アラビア』(ポール・ニザン、晶文社) 1966年
- 『中国で経験したこと』(ジュール・ロワ、山崎庸一郎, 岩崎力共訳、至誠堂) 1966年
- 『魔女』(ミシュレ、現代思潮社) 1967年、のち岩波文庫
- 『実存主義と政治』(ビュルニエ、紀伊国屋書店) 1968年
- 『テレーズ・ラカン』(ゾラ、講談社、世界文学全集) 1968年、のち文庫
- 『アントワーヌ・ブロワイエ』(ニザン、晶文社) 1968年
- 『フランス哲学史』 (アンドレ・ロビネ、望月一雄共訳、白水社、文庫クセジュ) 1968年
- 『街の草』(ピエール・ガスカール、晶文社) 1969年
- 『シメール』(ピエール・ガスカール、筑摩書房) 1970年
- 『エッセ・クリティック』(ロラン・バルト、高坂和彦, 渡瀬嘉朗共訳、晶文社) 1972年
- 『ユートピアの歴史』(ジャン・セルヴィエ、朝倉剛共訳、筑摩叢書) 1972年
- 『サド、フーリエ、ロヨラ』(ロラン・バルト、みすず書房) 1975年
- 『現代フランス小説史』(モーリス・ナドー、みすず書房) 1976年
- 『アフリカの夏』(ムハンマッド・ディブ、中島弘二共訳、河出書房新社、現代アラブ小説全集9) 1978年
- 『ユートピア』(ジャン・セルヴィエ、朝倉剛共訳、白水社、文庫クセジュ) 1983年
- 『絵画の記号学 エクリチュール, パンチュール』 (ルイ・マラン、山崎庸一郎共訳、岩波書店) 1986年
外部リンク
[編集]脚注
[編集]- ^ “仏文学者の篠田浩一郎氏死去”. 時事通信. 2023年1月5日閲覧。