石野博信
人物情報 | |
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生誕 |
1933年11月9日(91歳) 日本 宮城県牡鹿郡渡波町(現石巻市) |
出身校 | 関西学院大学文学部 |
学問 | |
研究分野 | 考古学 |
研究機関 | 徳島文理大学文学部 |
石野 博信(いしの ひろのぶ、1933年 - )は、日本の考古学者。奈良県立橿原考古学研究所研究嘱託、兵庫県立考古博物館名誉館長。主として古墳時代を研究領域としており、とくに纒向遺跡の発掘調査に携わったことで知られる。
経歴
[編集]1933年(昭和8年)、宮城県牡鹿郡渡波町(現在の石巻市)に生まれる。宮城県石巻高等学校、関西学院大学文学部を経て関西大学大学院で考古学を学ぶ。
大学院修了後、兵庫県教育委員会に入り、のち奈良県立橿原考古学研究所の所員となって1971年(昭和46年)より関川尚功とともに奈良県桜井市の纒向遺跡の発掘調査に携わった。纒向遺跡出土土師器の分類によって纒向編年を行い、また、外部からもたらされた大量の土器の存在から纒向遺跡を3世紀の都市的な遺跡であることを明らかにした[1]。 こののち、橿原考古学研究所研究部長、副所長兼附属博物館館長、兵庫県立考古博物館初代館長、徳島文理大学文学部教授および香芝市二上山博物館館長歴任。奈良県立橿原考古学研究所研究嘱託、兵庫県立考古博物館名誉館長。
前方後円墳にかえて「長突円墳」の用語を使用しており[2]、この墳形は、3世紀中葉に大王墓として採用されて6世紀末までつづくが、継体朝における反乱の将であった筑紫国造磐井も長突円墳(前方後円墳)を造営していたことから「前方後円墳体制」は精神的紐帯に過ぎず、祭祀の内容もまた大きく変質していったと唱えている[3]。また、寺沢薫の唱えた「纒向型前方後円墳」については、関東地方以西においては邪馬台国の女王卑弥呼の登場した2世紀末葉の段階から、その拡散の可能性が考えられるとしている[4]。
主な発掘調査と文化財関係委員
[編集]兵庫県内では加茂遺跡(川西市)、芦屋市会下山遺跡(芦屋市)、田能遺跡(尼崎市)、奈良県内では纒向遺跡のほか、藤ノ木古墳(斑鳩町)、太安万侶墓(奈良市)などの発掘調査に携わった。
また、奈良県、橿原市、桜井市、明日香村、兵庫県、姫路市、香川県、京都府、宮崎県、宮崎市、東京都世田谷区、長野県須坂市、福島県会津坂下町、および、故郷の宮城県石巻市など各地方公共団体における文化財関係委員を歴任している。
単著
[編集]- 『縄文時代の兵庫』兵庫考古研究会、1979年11月。
- 『古墳文化出現期の研究』学生社、1985年3月。
- 『古代近畿と東西交流』學生社、1991年7月。ISBN 4311201613
- 『日本原始・古代住居の研究』吉川弘文館、1990年3月。ISBN 4642076697
- 『古代大和へ、考古学の旅人』雄山閣出版、1994年3月。ISBN 4639012152
- 『古代住居のはなし』吉川弘文館、1995年5月。ISBN 4642074627
- 『全国古墳編年集成』雄山閣出版、1995年11月。ISBN 4639013264
- 『古代の「海の道」―古代瀬戸内海の国際交流』學生社、1996年11月。ISBN 4311202075
- 『女王卑弥呼の祭政空間―考古学で考える邪馬台国の時代』恒星出版、2002年6月。ISBN 4907856083
- 『邪馬台国と古墳』學生社、2002年4月。ISBN 431130045X
- 『初期古墳と大和の考古学』學生社、2003年12月。ISBN 4311300549
- 『考古学者石野博信のアジア民族建築見てある記』小学館、2003年12月。ISBN 4096260703
- 『古代近畿と物流の考古学』學生社、2003年12月。ISBN 4311300557
- 『古墳時代史』雄山閣(増補改訂版)、2005年5月。ISBN 4639018886
- 『大和・纒向遺跡』学生社(増補新版)、2008年10月。ISBN 4311304943
- 『古墳時代を考える』雄山閣、2006年6月。ISBN 4639019327
- 『楽しい考古学―遺跡の中で見る夢』大和書房、2007年8月。ISBN 4479840672
- 『邪馬台国の候補地・纒向遺跡』新泉社、2008年12月。ISBN 4787709313
共著
[編集]- 石野・関川尚功『纒向』桜井市教育委員会、1976年9月。
- 石野・森浩一『対論 銅鐸』學生社、1994年6月。ISBN 4311201915
- 石野・岡内三真・小林三郎・佐原真・高橋護・大塚初重『邪馬台国研究―新たな視点』朝日新聞社、1996年5月。ISBN 4022197919
- 石野・水野正好・森田克行・原口正三・都出比呂志・福永伸哉・門脇禎二・酒井龍一『邪馬台国と安満宮山古墳』吉川弘文館、1999年11月。ISBN 4642077618
- 石野・金関恕・高倉洋彰・藤田三郎・岡村道雄・菅谷文則・森浩一『唐古・鍵遺跡の考古学』學生社、2001年7月。ISBN 431120244X
- 石野・網干善教・河上邦彦・福永伸哉・田中晋作・和田萃『古代葛城とヤマト政権』學生社、2003年5月。ISBN 4311202636
- 石野・西川寿勝・野崎清孝・水野正好・岡本健一『三角縁神獣鏡・邪馬台国・倭国』新泉社、2006年11月。ISBN 4787706071
- 石野・岡本健一・菅野雅雄・塚口義信・辰巳和弘・上野誠『三輪山と日本古代史―大和王権発祥の地から古代日本の謎を解く』学生社、2008年4月。ISBN 4311203195
編著
[編集]- 『日本史・空から読む〈西日本編 第1巻〉九州』日本航空写真文化社、1985年5月。
- 『日本史・空から読む〈西日本編 第2巻〉中国・四国』日本航空写真文化社、1985年5月。
共編著
[編集]- 石野・河上邦彦・岩崎卓也・白石太一郎編『古墳時代の研究』雄山閣(全13巻)
- 石野・森浩一編、大塚初重・金達寿・和田萃・大林太良・豊田有恒著『藤ノ木古墳とその文化』山川出版社、1989年5月。ISBN 4634602202
論文
[編集]- 「古墳の変質」『季刊考古学 第7号』雄山閣、1984年。
- 「長突円墳(前方後円墳)は大和王権の政治的記念物か」『季刊考古学 第90号』雄山閣、2005年2月。
ほか多数
脚注
[編集]- ^ 石野・関川『纒向』(1976)
- ^ 石野『邪馬台国の考古学』(2001)p.57
- ^ 石野「長突円墳(前方後円墳)は大和王権の政治的記念物か」(2005)
- ^ 石野『邪馬台国の候補地 纒向遺跡』(2008)p.54
外部リンク
[編集]- 奈良県立橿原考古学研究所
- 「石野博信、考古学ここだけの話 vol.1」(兵庫県立考古博物館)
- 「石野博信、考古学ここだけの話 vol.16」(兵庫県立考古博物館)
- 「石野博信、考古学ここだけの話 vol.17」(兵庫県立考古博物館)
- 「石野博信、考古学ここだけの話 vol.18」 (兵庫県立考古博物館)
- 二上山博物館(関西デジタルアーカイブ)
- 兵庫人 挑む「石野博信」(神戸新聞)