「ラドン (架空の怪獣)」の版間の差分
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* その他 |
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2023年10月27日 (金) 22:58時点における版
ラドン | |
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東宝怪獣映画のキャラクター | |
初代ラドン | |
初登場 | 『空の大怪獣 ラドン』 |
作者 | |
演 |
ラドン (Rodan) は、映画『空の大怪獣 ラドン』をはじめとする東宝製作の怪獣映画に登場する架空の怪獣である。ゴジラ、モスラと共に東宝三大怪獣と称される。
特徴
翼竜プテラノドンが突然変異した怪獣[1][2]。名前もその略称が由来になっている[3]。東宝プロデューサーの田中友幸によれば、創作のきっかけは当時超音速ジェット機が話題になっていたことであり、「ゴジラを超音速で飛ばしたら」というコンセプトであったと述べている[4]。
企画当初は始祖鳥と想定されていた[4][5]。プテラノドンと比べるとさまざまな差違があり、その後頭部に生えている1本の角状の突起がラドンの場合は2本に分かれて生えている[2][注釈 1]うえ、嘴は鳥類のそれに近い形状で、鳥類に無い歯が生えている[6][注釈 2]が、プテラノドンなどの翼竜に比べればとても小さく短い。腹部にはニードルのようなゴツゴツとした鱗がある。尾はプテラノドンの細い皮膜が付いたものではなく、楕円状にゆるく拡がっている。着地しての直立二足歩行が可能であるうえ、翼を広げたままで陸上走行を行うことも多い。超音速で飛ぶ巨体は周囲にソニックブームを巻き起こし、市街を破壊してしまう[出典 1]。
登場作品によって攻撃能力が異なっており、『三大怪獣 地球最大の決戦』では嘴で敵をつつく攻撃や足の爪で引っかく攻撃が主で、ゴジラと互角に戦う力を持っている。また、『ゴジラvsメカゴジラ』ではゴジラの放射熱線を受けてファイヤーラドンと化し、それと同程度の威力のウラニウム熱線を吐く能力を身につけている。
ラドンの声にはコントラバスの音と人間の声を素材として加工したものが使われており[出典 2]、本作品の後も『ウルトラマン』に登場するアントラー[13]のほか、平成VSシリーズに登場するキングギドラやバトラの声などに流用された[14]。
『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』では怪獣島の怪獣の1体として[15]、『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』では『キングギドラの大逆襲』タイトル時期の企画に味方側の怪獣として[16][17]、『モスラ3 キングギドラ来襲』ではモスラ(新)の敵怪獣として[18]登場する予定があったが、いずれも途中で変更になっている。
ラドンが登場する作品リスト
公開順。右は各作品に登場する怪獣。右記は他の登場怪獣。
- 映画
- 『空の大怪獣 ラドン』(1956年) - メガヌロン
- 『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年) - ゴジラ、モスラ(幼虫)、キングギドラ
- 『怪獣大戦争』(1965年) - ゴジラ、キングギドラ
- 『怪獣総進撃』(1968年) - ゴジラ、ミニラ、モスラ(幼虫)、アンギラス、バラゴン、ゴロザウルス、マンダ、バラン、クモンガ、キングギドラ
- 『ゴジラvsメカゴジラ』(1993年) - ゴジラ、ベビーゴジラ、メカゴジラ、
- 『ゴジラ FINAL WARS』(2004年) - ゴジラ、ミニラ、モスラ(成虫)、カマキラス、クモンガ、ガイガン、マンダ、エビラ、アンギラス、キングシーサー、ヘドラ、モンスターX→カイザーギドラ
- 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』 (2019年) - ゴジラ、キングギドラ、モスラ
- その他
- アトラクション映画『怪獣プラネットゴジラ』(1994年) - ゴジラ、モスラ(成虫)
- テレビ特撮番組『ゴジラアイランド』(1997年)
- テレビアニメ『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』(2021年)
『空の大怪獣 ラドン』のラドン
ラドン RODAN[出典 3] | |
---|---|
別名 | 空の大怪獣[出典 4] |
身長 | 50 m[出典 5][注釈 3] |
翼長 | 120 m[出典 6][注釈 4] |
体重 | 1万5千 t[出典 7][注釈 5] |
飛行速度 | マッハ1.5[出典 8][注釈 6] |
出身地 | |
出現地 | 阿蘇山付近[32] |
水爆実験の放射能や火山ガスによる異常気象や地殻変動の影響で現代に復活した、プテラノドンの一種[出典 9][注釈 8]。
阿蘇山付近の炭坑の奥にある洞窟で卵から2頭の雛が誕生し、餌としている古代トンボの幼虫メガヌロンを捕食していた。成長した1頭が阿蘇山から出現し、航空自衛隊のF-86戦闘機と大規模な空中戦を展開して追撃を振り切った後、佐世保や福岡市天神地区に降り立って暴れ回る。このとき、口から煙のようなもの[注釈 9]を吐いており、パチンコ屋に突っ込んだタンクローリーを爆発炎上させている。
陸空両自衛隊からの猛攻によって危機に陥ったところにもう1頭が出現するが、最後は帰巣本能で阿蘇山へ帰ってきたところに自衛隊のミサイル攻撃を受け、その誘発で阿蘇山が噴火して2頭は脱出するもののマグマの噴出に巻き込まれて火口に落下し、溶岩の中に消える。
- 制作
- 巣の描写や餌の存在など、核を象徴したゴジラよりも、生物としての描写が強調されている[1]。また、ラドンの破壊描写はゴジラのような暴力性ではなく、人間の攻撃に対する苦悶の表現ともなっており、ラドンも被害者であるとの面を示唆している[1]。製作の田中友幸は、ラドンは無敵のゴジラよりも恐竜に近く、強力な怪獣であっても人類が倒すことのできない存在ではないと位置づけている[41]。
- ストーリーは前半が炭鉱での殺人事件の捜査に費やされ、後半に入ってからラドンが登場する[42]。オリジナル版にはラストシーンになるまでラドンが2頭いるという明確な描写がなく[28][注釈 10]、一応の伏線は張られているものの、世界各地で未確認飛行物体による被害が同時に出ているという本社からの電話を新聞記者が航空自衛隊の基地司令室で受け取るという非常に分かりづらい演出となっているため、海外公開版では2頭いることを説明するシーンが追加されている。最初期の準備稿では、登場するのは1頭のみであった[43][30]。脚本を担当した村田武雄は、2頭は夫婦であると述べており[43][44]、監督の本多猪四郎や特技監督の円谷英二らも同様の認識であったという[7]。村田は、2頭が焼け落ちるシーンの撮影現場を見て感動したといい、2頭にして良かったと述べている[43]。
- 黒沼健による原作では、凍結爆弾によって倒されるという展開であった[45][46]。また、同作品のラドンは肺とエラを持つ水陸両生生物であり、海中に潜んでいるという描写が存在する[46]。
- 撮影時のアップ写真は存在しない[6]。
- デザイン
- 本作品のラドンは背中に緑と黄色のラインが入っている。デザインは数回にわたって検討され、「始祖鳥タイプ[42][7]」、「鳥の羽をつけたもの[7]」、「翼竜タイプ」の検討用粘土モデルが作られている。初期のデザインスケッチには始祖鳥をモチーフとしたものも存在していたが、後には翼竜をモチーフとしたものに変更された[出典 11]。
- デザイン画では、頭部の角が1本であったが、粘土原型の段階では2本に改められていた[2]。
- 造形
- 頭部造形は利光貞三、胴体は八木勘寿、八木康栄による[7]。スーツの翼は、天竺布にラテックスを塗っているために重量があり、人の手では支えられないことから炭火で炙って曲げた竹を入れて支え、さらにピアノ線で吊っている[24]。
- 造形物はスーツのほか、上半身のみのギニョール[47][7]とサイズの異なる飛行モデルが数種類作られた[47][注釈 11]。東宝特撮映画で怪獣の飛び人形が制作されたのは本作品が初であり、布ベースのものや針金の芯に紙を貼ってラテックスを塗ったものなどが用いられたとされる[49]。ラストシーンは、ピアノ線が切れて落下する様子がそのまま用いられた[50](詳細は空の大怪獣 ラドン#特撮を参照)。
- 子供のラドンは、手踊り式のギニョール・モデルで表現されている[出典 12][注釈 12]。
- ラドンの飛行により発生する飛行機雲は、作画合成で表現された[39][注釈 13]。
- 演技
- 演じる中島は、鳥の動きを研究し、初出現シーンでは毛づくろいのように翼をついばむ動きを取り入れているが、(着ぐるみでの演技であるがゆえに)足の形が鳥のような逆「く」の字にはならないため、足元が映らないよう意識していた[47]。また、特撮班カメラマンの富岡素敬は、ピアノ線が多く塗装で消す作業も大変であったため、アップではピアノ線が翼の影に隠れるようなるべく下から上方を映すなどの工夫を行ったという[53]。
- 岩田屋の上に出現するシーンや西海橋をくぐるシーンなどでも、中島が入ったままのスーツを吊っている[出典 13]。西海橋のシーンでは、ワイヤーが空回りして7メートルほどの高さから落下する事故が起きたが、下に水を張っていたことが幸いして大事には至らなかった[出典 14]。中島は、翼があったことも無事の要因に挙げている[47]。造形助手の開米栄三は、人間が入った状態で吊るとは聞いていなかったと述べている[57]。
- 自衛隊との戦闘シーンでは、ミニチュアのロケット弾による火や煙が覗き穴から入ってしまい、中島は唇に火傷を負った[58]。後にその対策として、中に風防を入れたり、体に石鹸水を塗るなど試行錯誤を行ったという[58]。
ゴジラシリーズ(昭和)のラドン
ラドン (各作品共通)[25] RODAN[出典 15] | |
---|---|
別名 | 空の大怪獣[出典 16] |
身長 | 50 m[出典 17] |
翼長 | 120 m[出典 18][注釈 14] |
体重 | 1万5千 t[出典 17] |
飛行速度 | マッハ1.5[出典 19] |
出身地 | |
出現地 |
昭和期のゴジラシリーズに登場したラドンは、各作品のストーリー上の矛盾はあるもののすべて同一のものとされており[65]、便宜上二代目ラドンと呼ばれることが多い[出典 23]。初代と比べると背中の形が異なり[11]、全体がやや細身で、瞳も人間のそれに近くなり、首と嘴は初代より若干長くなっている[注釈 17]。尾の形状は初代のような楕円形ではなく、本体に向かって台形でトビなどの猛禽類の尾羽に近くなっている。
『三大怪獣 地球最大の決戦』
阿蘇山から登場した初代の同族[注釈 18]。出現地点は横浜上空→箱根→富士高原→下落合[62]。
ゴジラを持ち上げて叩き落とすなど互角に戦うが、モスラが仲裁に入り、戦いは引き分けに終わる。モスラにキングギドラとの戦いに加わるよう言われるが、「いつも我々をいじめてきた人類を守る必要はない」とゴジラと共に拒否する。しかし、キングギドラに単身でも立ち向かうモスラの姿に心を打たれてゴジラと共に参戦し、空中で急旋回して体当たりをする、モスラを背中に乗せて飛ぶなどの善戦を経て、キングギドラを宇宙へ撃退する。
- スーツアクターは宇留木耕嗣[98][99][注釈 19]。
- ゴジラともども、擬人的な表現が行われている[100]。脚本の第1稿では、ラドンが軍事基地を破壊する描写があり、密輸船を破壊するゴジラの描写ともども正義の怪獣となる布石としていた[81]。
- 初出現シーンは、『空の大怪獣 ラドン』を踏襲したものとなっている[95]。
- 造形
- スーツは本作品のための新規造形[出典 24]。頭部は利光貞三、胴体は八木勘寿、八木康栄による[99][7]。
- 円谷からラドンの羽を鳥のように折りたためないか造形班に要望があり、翼の骨材に支点を入れて制作されたが、ラテックスを塗った段階で弾力を持ってしまい、上手くいかなかった[出典 25]。操作棒で動かす操り人形式のモデルが作られ、ゴジラと見合って戦う場面のほとんどで使われている[102]。また、アップ用の頭部は口と目玉がリモコンで動く[99]。阿蘇山から現れるシーンで使われた際には、顎の開閉部分のギミックが丸見えになっている。嘴はFRP製[92]。
- 細かい表情やゴジラとの対決シーンのほとんどには、2尺サイズの棒操り式のギニョールが使われている[出典 26]。大型の飛行ミニチュアも用意され、劇中ではモスラの幼虫を背中に乗せて飛行するという芸当を見せる[注釈 20]。飛行人形の一つは『怪獣総進撃』まで用いられた[49][注釈 21]。操演は初代と異なり、モスラで用いられた木枠による方式が採用され[102]、羽ばたきが可能となった[95]。
- 2尺大の飛行ミニチュアはゴジラと併せて円谷特技プロに貸し出され、『ウルトラQ』に登場する怪鳥リトラに改造された[92][103]。改造は井上泰幸。返却されたこのミニチュアは、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(1966年)で利光らによって「大コンドル」に改造され、登場した[104][103][注釈 22]。
『怪獣大戦争』
キングギドラ対策としてゴジラと共にX星人に指名されてX星に運ばれて、キングギドラと戦う。X星人からは「
その後、X星人に操られてゴジラやキングギドラ共々地球を襲うが、地球人の反撃でコントロールが切れてからはゴジラと共闘してキングギドラと再戦し、海へ落下する。キングギドラを宇宙へ撃退するが、自身はゴジラと共に最後まで海から姿は見せなかった[106]。
- スーツアクターは篠原正記[出典 27]。
- 着ぐるみ(ぬいぐるみ)は前作『三大怪獣 地球最大の決戦』の流用である[出典 28]。翼幅が広く修正され[出典 29]、頭と脚部も外観が変化している[109]。ゴジラと共にキングギドラに体当たりして撃退するシーンには、2尺の操演人形が使用されている[7]。X星に運ばれるシーンでは、1尺サイズの人形が用いられた[7]。
- 都市を襲撃するシーンは、『空の大怪獣 ラドン』からの流用である[110]。
『怪獣総進撃』
小笠原の怪獣ランドで保護されており[111]、近海の海洋牧場で飼育されているイルカを主食としている[注釈 23]。出現地点はモスクワ→ウラル上空→東京 第7・8地区→富士山麓→青木ヶ原[83]。
怪獣ランドを占領したキラアク星人に操られてモスクワのクレムリン宮殿を襲撃した後、ウラル山脈上空でSSTを撃墜し、宇宙船ファイヤードラゴンの護衛を任せられる。キラアク星人のコントロールが切れた後、バラン、バラゴン、マンダを除く怪獣と共闘し、富士のすそ野でキングギドラと戦うが、途中で戦いから外れて飛び立っている。キングギドラを倒した後に出現した怪獣ファイヤードラゴン(キラアク星人の円盤)に接近するも高熱で負傷させられるが、ラストでは再び怪獣ランドに戻っている。
- スーツアクターは新垣輝雄[112][7]。
- 再び『地球最大の決戦』のものが流用されている[出典 30]。頭と翼が補修された際、喉元に縦長のコブのようなものが生じている[113]。
- 操演用モデルは、スーツと同サイズのものと小サイズのものが用いられたが、後者は翼の形状がコウモリ状になっている[2][113]。
『ゴジラvsメカゴジラ』のラドン
ラドン RODAN[出典 31] | |
---|---|
別名 | |
身長 | 70 m[出典 33] |
翼長 | 150 m[出典 34][注釈 24] |
体重 | 1万6千 t[出典 36] |
飛行速度 | マッハ3[出典 37] |
出身地 | アドノア島[出典 38][注釈 25] |
出現地 | アドノア島[出典 39] |
アドノア島から出土した卵から孵化したプテラノドンが島に投棄された核廃棄物の放射性物質で変異した怪獣[出典 40]。その巣にゴジラザウルスの卵を托卵された状態で中生代から眠りについていたため、ゴジラザウルスの幼体=ベビーゴジラを同胞の兄弟と認識し、その卵を護っている[出典 41]。
高速飛行により生じるソニックブームや鋭いクチバシを武器とする[出典 42]。
ベビーの卵に反応して出現したゴジラに機動力を活かして善戦し、ついには岩山に生き埋めにするが、直後にゴジラの尾の一撃で叩き落とされ、何度も踏みつけられた末に飛翔しようとしたところに放射熱線を浴びせられ、敗北する。
- 制作
- 東宝プロデューサーの富山省吾は、当初シリーズ最終作となる予定であったことから人気怪獣を揃えたと述べている[137]。一方、脚本を担当した三村渉は、スケールや空間の広がりを感じさせる機動力のある怪獣が欲しかったため、新規に怪獣を登場させるよりも知名度のあるラドンを起用したと述べている[138]。
- 準備段階では雌雄2匹で登場する案も存在し、トサカのついた雄のデザインも起こされている[出典 43]。
- 当初、アドノア島に出現する怪獣はラドンのみであったが、特技監督の川北紘一からの要望により、ゴジラも登場することとなった[142]。ゴジラとの直接対決は『三大怪獣 地球最大の決戦』以来であり[143]、ゴジラとの戦闘描写は同作品での対決シーンを再現している[144]。準備稿では、恐竜時代にラドンの前身であるプテラノドンがゴジラザウルスと戦うシーンが冒頭に存在した[138][145]。
- 序盤から終盤まで出番があるため、川北はラドンを本作品の主役であると評している[146]。
- デザイン
- デザインは吉田穣[出典 44]。川北からの要望により、翼竜に近い姿となった[151][152][注釈 26]。吉田によれば、明確な決定稿は描いておらず、ラフデザインで提出したものが採用されたといい、他のデザイナーによるデザイン案もあまりイメージに大差はなかったという[147]。
- 皮膜内に大きな骨のようなものが見受けられるが、設定ではこれは血管であるとされている[2][132]。また、頭の突起物も2本から3本になっている[2][51]ほか、尾の形も初代や二代目の平面な尾ではなく、背部に棘の列が並ぶ細いものに変更され、嘴も長くなり、よりプテラノドンに近付けられている。
- 造型
- 造型はMONSTERSが担当[出典 45]。本作品では着ぐるみを使わず、大小2種類の人形の繰演と手繰りのアップ用ギニョール(上半身のみ、下半身のみ)の4種類が用いられた[出典 46]。粘土原型は、1/1サイズを山田太一[152]、1/2サイズを伊藤成昭[162]が担当した。MONSTERS代表の若狭新一は、本作品での設定を踏まえ、顔はデザイン画よりも凶悪さを抑えたと述べている[157]。
- メインモデルは、頭部から首がラジコンで可動する[出典 47]。翼の膜は、発泡ポリスチレンの前後にラテックスを張り合わせている[148][163]。角や背びれはFRP製[155]。アップ用ギニョールはまぶたの開閉ギミックを備える[157][152]。川北は、クローズアップに耐えられることがテーマであったと述べている[153]。
- 上半身ギニョールは、まぶたがラジコン、くちばしが指での操作となっている[158]。
- 製作初期段階では着ぐるみを使うことも想定されていた[150][140][注釈 27]。また、川北は人が入らない造形としたため、スタイルが良くなったと評している[164]。初期には、体表に毛を生やすという案も存在した[157]。
- 撮影
- アドノア島セットの撮影では、川北自らギニョールでの演技を行うなど熱が入っていたが、操演には苦戦し、撮り直しもたびたび行われた[165]。崖の上に降り立つシーンでは、カメラに映らない位置に隠れた助監督が着地の瞬間に尾を掴んでバランスを保つなど、強引な手法がとられた[出典 49]。川北は、一部のシーンでは人が入っても良かったと述懐している[167]。
- 巨大感を表現するため、ゴジラとぶつかるシーンでは火薬を用いて火花を上げている[153]。衝撃波の表現では、火薬によって土などを放つ装置を用いている[153][158]。この際、カメラを正面に構えると衝撃波でラドンが見えなくなるため、カメラポジションごとに飛行するラドンの方向を変えている[158]。そのほか、ジェットファンで埃を巻き上げる手法もとっている[153]。
- ゴジラがラドンを踏みつけるシーンは、当初は頭を踏む予定であったが、内部にメカがあることから、翼の根本を踏むかたちに改められた[166]。
- ゴジラの顔をくちばしで突くシーンは、上半身ギニョールを用いて撮影された[158]。
- 大プールでの撮影では、20メートル以上におよぶアームを備える工事用クレーンが操演に用いられた[168]。川北によれば、波の描写に扇風機を用いる予定であったが、ラドン自体が揺れてしまうことから、断念した[146]。衝撃波は、水中に仕込んだ火薬玉を爆発させて描写している[158]。
- 川北は、前作『ゴジラvsモスラ』でのモスラの描写を発展させてさらにスピード感のある描写を目指したが、衝撃波の描写との兼ね合いが難しく、両立させようと欲張った結果、中途半端になってしまったと述べている[167]。
- 鳴き声は過去のラドンのものを用いている[169]。
ファイヤーラドン
ファイヤーラドン[注釈 28] FIRERODAN[出典 50] | |
---|---|
別名 | 翼竜怪獣[123][注釈 29] |
身長 | 70 m[出典 51] |
翼長 | 150 m[出典 52][注釈 30] |
体重 | 1万6千 t[出典 51] |
飛行速度 | マッハ3[170][注釈 31] |
出身地 | アドノア島[130][125][注釈 32] |
ゴジラに敗れたラドンが、ベビーの卵に付着していた古代のシダ類・シプニオキス(架空の植物)をサイコメトリングして生じた「エスパー・コーラス」の影響で、エネルギーをスパークさせて深紅のボディーに変化した姿[出典 53]。口からウラニウム熱線[出典 54][注釈 33]を吐くことが可能となった。シプニオキスの波動に激しく反応する。出現地点はアドノア島→青森→松島→仙台→太平洋上空→東京→幕張[117]。
同じ巣で生まれたゆえに兄弟だと思い込んでいるベビーを追って青森市・仙台市・松島・東京湾・浦安市に飛来し、ベビーを輸送中のヘリコプターを破壊して輸送用のコンテナごとベビーを強奪する。
幕張に降り立った後、コンテナからベビーを引き出そう(助け出そう)としているところで、到着したガルーダやメカゴジラと交戦する。ドッグファイトの末にガルーダを撃墜し、メカゴジラの右目(レーザーキャノン)を破壊するもののプラズマ・グレネイドの零距離発射で胸を破られ、緑色の血の泡を吹きながら倒されてしまう。しかし、同じくベビーを求めて到着したゴジラまでもスーパーメカゴジラによって瀕死に陥った際には、残り少ない命を振り絞って飛び立つとスーパーメカゴジラの攻撃を受けながらもゴジラのもとへ降り立ち、そこで体組織が体内の放射性物質に耐えられず風化する。これによってゴジラに生命エネルギーを与えて復活させるだけではなく[注釈 34]、舞い散った粉はスーパーメカゴジラのダイヤモンドコーティング装甲を溶かして[173]プラズマ・グレネイドを使用不可能にしたうえ、粉からの強力な妨害電波の発生によって計器にトラブルを起こさせてコントロール障害まで招いた結果、ゴジラに勝機を与えることとなる。
- 劇中ではファイヤーラドンの名前は出ず、単にラドンと呼ばれている[91]。
- 書籍『ゴジラVSメカゴジラ超全集』では、体色が変化したのはカメレオンやタコのような攻撃色であると推測している[34]。また、ゴジラと一体化したのは、チョウチンアンコウのオスがメスの身体に一体化するのと同様に種の保存を目的としたものであり、同族と信じていたベビーを守るための手段であったと解釈している[34]。
- 制作
- 脚本段階では「ホワイトラドン」という名称で[146][123]、これに準じたデザインも描かれている[出典 55]。吉田は白では撮影で汚れるだけだろうと述べており[147]、若狭も従来のイメージと違いすぎて生物的にも見えなかっただろうと語っている[157]。
- 脚本第2稿では、ガルーダの爆発によってゴジラが復活するという展開であったが、核によって蘇るのは命をテーマとした作品に反するとして、決定稿ではファイヤーラドンの命を受け取るというかたちに改められた[138][146]。
- デザイン・造型
- 赤い体色は、前作『ゴジラvsモスラ』で極彩色の怪獣が好評であったことから、当初はメカゴジラの配色案として検討されていたものであった[174]。川北は、ゴジラの赤い熱線と共に命の脈動の力強さを赤で象徴しており、鋭利で金属質なメカゴジラとの対比を表現していると述べている[175][146]。一方、吉田は色が変わってもナイトシーンでは見え方があまり変わらなかったと評している[147]。
- 造形物は、ラドンのものを塗り替えている[出典 56]。彩色は伊藤成昭が担当した[176]。
- コンテナを奪うシーンでは、下半身のみのモデルが用いられた[出典 57]。撮影ではコンテナを掴んだ足を上に向け、カメラを逆さにして撮影している[177]。
- その後、1/2サイズモデルは2009年時点で東宝の倉庫に保管されているのが確認されている[178]。
- 撮影
- 復活時にウラニウム熱線を吐く描写は、本来必要のないものであったが、川北はゴジラと同等の力を得たことを観客にわかりやすく見せるため、挿入した[146]。
- レインボーブリッジを破壊するシーンは、写真を背景に置き、破壊される部分のみミニチュアを制作して撮影している[177]。
- 幕張での飛行シーンの操演では、「モノレール」と呼ばれる天井に設置されたレール状の器具が用いられた[166][158]。数十年使われていたことから動きが悪くなっており、速度が上がらなかったり、止まれずに激突したりするなど、助監督の鈴木健二は撮影に苦労した旨を記録している[166]。また、モノレールでは直線的な動きのみになるため、クレーンによる操演と使い分けている[158]。
- メカゴジラの目を突くシーンでは、ギニョールではなく、鉄柱を差し込んだ飛行用モデルを用いている[158]。
- 胸から流れる体液は、当初濁った黄色とする予定であったが、うまく色が出せず、周囲のスタッフからの意見に任せた結果、完成作品での色合いとなった[158]。
- 風化した粉は、銀粉にプラスチックの削りカスやコンクリートの硬化剤などを混ぜている[179]。しかし、埃っぽく見えてしまうため、最終的には銀粉のみとなった[180]。撮影では、川北が自ら陣頭に立って銀粉を撒いていったが、スタッフはマスクを着用しなければならないほどの量が用いられた[180][181]。鈴木によれば、スタッフは前作でも金粉を用いた撮影で苦労していたため、銀粉の撮影と聞いて顔をしかめていたという[166]。
- 備考
- 2023年に展開されたゴジラシリーズとテレビアニメ『呪術廻戦』の初コラボレーショングッズのうち、ラドンについてはファイヤーラドンに準じたデザインで描かれている(相手は伏黒恵)[182]。
『ゴジラ FINAL WARS』のラドン
ラドン RODAN[出典 58] | |
---|---|
別名 | 空の大怪獣[出典 59] |
体長 | 100 m[出典 60] |
翼長 | 200 m[出典 61] |
体重 | 3万 t[出典 60] |
飛行速度 | マッハ1.5[184] |
出現地 | ニューヨーク[191][注釈 35] |
X星人の手先として登場。日本人初の国連事務総長・醍醐の乗る事務総長専用機を襲撃した後、アメリカのニューヨークで暴れ回って衝撃波でビル街を破壊していき、迎撃に出た空中戦艦ランブリングと交戦する。その最中に一度はX星人に回収されるも、再び地球侵略のために解放され、ランブリングを撃沈する。
その後、キングシーサーやアンギラスと共にゴジラを倒す刺客として送られ、富士の裾野で戦う。連携攻撃を試みるも、ゴジラが尻尾で弾いたアンギラスボールによって撃墜されたうえ、アンギラスとキングシーサーが倒れているラドンの上に次々と飛ばされ、完全に戦意を消失する。武器は超音速衝撃粉砕波(ソニックブーム)[183][188]だが、劇中未使用[185]。
- デザイン
- デザインは西川伸司[出典 62]。MONSTERSからの要望で背面のデザインも描かれている[195]。『怪獣総進撃』以来の着ぐるみでの登場であり、頭の突起物が前作の3本から2本に戻り[184][189]、尾の形状も初代に近付けられている。鳥型怪獣であることから、ボリュームを上半身に持たせている[195]。体色は明るい茶色[196]。翼をマントのように畳むという指示から、肘を曲げられる形状としているが、曲げたとき皮膜にシワが寄ってしまうため、翼に扇風機で風を当てている[出典 63]。また、翼の指の構造は実際の翼竜と同じになった。足が弱く見えないよう、腹部から足にかけて鎧状のディテールを取り入れている[184]。
- 造形
- 造形はモンスターズが担当[197]。造形物は、人が入るメインスーツと「飛びラドン」と呼ばれる人が入らない飛行用モデルが、同一の型から抜かれて制作された[出典 64]。頭部原型は藤原カクセイが担当[202][199]。メインスーツは口の開閉を外部操作でコントロールするギミックが神尾のサイズに合わせて作られた頭部ヘルメットの上に取り付けられた[199]。ケレン味の表現から、翼をマントのように体を覆い隠すことができる形状となっている[196]。翼はビニールレザー製で、質感が表裏で異なるため、ボディや腕を2枚重ねで挟むように取り付けられた[198][199]。
- 飛行用モデルでは飛行姿勢のために前方に頭部が向いている[201]。飛行タイプは、ノーマルのものと翼の形状が若干異なる[199]。
- 撮影・演出
- スーツアクターは神尾直子[出典 65]。
- 当初は、スーツと飛行用モデルを同程度の頻度で併用する予定であったが、実際にはスーツでのカット数は少ないものとなった[197]。造形の若狭新一によれば、スーツは摩天楼のシーンを象徴的に表現できるようにすることがテーマであったと語っており[197]、西川も、スーツは翼を広げるカットのためだけにあるようなものであったと述べている[193]。
- 飛行シーンのほとんどは、ブルーバック合成で描写された[205]。ニューヨークのシーンでは、飛行形態のものが使用された[206]。ビルの上に出現するシーンは、ブルーバックの高さが足りず天井が見切れてしまったため、後日撮り直された[207]。
- 摩天楼での登場シーンでは、翼で顔を隠すことを指示されたが、スーツの頭部が神尾の頭より上にあるため腕が届かず、カメラワークにより隠れているように見せている[203]。
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のラドン
ラドン RODAN[208] | |
---|---|
体長 | 46.9 m[208] |
翼長 | 265.5 m[208] |
体重 | 不明[208] |
メキシコのイスラ・デ・マーラの活火山火口内を巣としており[209]、休眠状態のところをモナークに管理されていた怪獣。現地では「炎の悪魔」[208][209]と呼ばれて恐れられている。頑丈な身体は1,200度もの超高温となっている[208][209]うえ、翼竜よりは怪鳥然とした容姿の体表が溶岩のような形状をしており、翼端が赤熱している。後述の通りモスラの鱗粉を焼く際には胴体から爆発状の火炎が発生し、モスラの毒針に刺された際には傷口から炎が噴出していた。高熱を利用した上昇気流により、急速な上昇飛行や回転飛行[210]が可能である。
アラン・ジョナに強要されたエマ・ラッセル博士が自身と夫マーク・ラッセル博士の開発した装置「オルカ」を起動させたことによって目覚めると、ミサイルで攻撃してきたモナーク部隊を追って飛び立ち、近辺の街をソニックブームで壊滅させ、モナークの戦闘機隊も全滅させる。モナークの誘導先で遭遇したキングギドラとは交戦するものの海へ叩き落とされたため、後にプエルトリコ沖で使用されたオキシジェン・デストロイヤーの影響は受けなかった。それ以降、世界中の怪獣を支配下に置いたキングギドラに従う怪獣の一員となり、ゴジラを芹沢博士たちが目覚めさせるまでの時間を稼ぐために出撃した部隊を攻撃する。
その後、ゴジラとキングギドラの戦いでは、モスラの加勢によってゴジラが一時優位になると飛来し、モスラと交戦する。高熱を帯びた身体によってモスラの鱗粉を焼いて無力化し、空中戦でも優位に立って追い詰めるが、モスラに腹部の毒針で貫かれてダウンする。ゴジラがキングギドラを倒した後には、他の怪獣たちと共に恭順する。エンドロールでは、フィジー諸島の火山に移住したという記事が一瞬映る。
- 映像作品としてはモスラと共に15年ぶりに登場。CGで描かれ、容姿こそ前述のように初代に近いが、飛行時には着ぐるみや操演では不可能だった空中での回転アクションを見せている。
- コンセプトアートではゴジラやモスラと共にキングギドラと戦っており、口から火炎を吐いて攻撃している[211]。
- 監督のマイケル・ドハティがインタビューで明かしたところによれば、誰に対しても戦ってやろうという一方で自分が生き残れるかを一番に考えている聡いキャラクターであるほか、ゴジラに恭順して首を垂れるシーンは日本人の女性アニメーターが動きを担当したという[212]。一方、「あらゆる面でゴジラよりも強い」と断言した強さについては「フェニックスの神話から要素を取り入れた」とも明かしている[209]。
- デザインには火山のイメージが全面的に活かされているほか、造型については東宝から突起や翼、胸板などを初代に沿うよう、細かく具体的なオーダーがあったという[209]。
『怪獣プラネットゴジラ』のラドン
ラドン[注釈 36] | |
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別名 | 翼竜怪獣[214] |
身長 | 70 m[213] |
翼長 | 150 m[213] |
体重 | 1万6千 t[213] |
飛行速度 | マッハ3[214] |
出身地 | 怪獣プラネット[214] |
ゴジラやモスラと共に緑の惑星「怪獣プラネット」に生息していた[213]。飛来した宇宙探査船アース号にウラニウム熱線[214]で襲いかかったりしたが、アース号の惑星からのワープによる離脱に巻き込まれたのか地球の東京駅に出現し、ゴジラと戦う。アース号から散布された緑の惑星の木の実を浴びて大人しくなり、青い光球に包まれて宇宙へ帰る。
- 造形物はファイヤーラドンの流用。
『ゴジラアイランド』のラドン
ゴジラアイランドの怪獣として登場する。嘴による突き攻撃が得意技。ゴジラと共闘し、敵が送り込む怪獣と最前線に向かうことが多い。
「人工太陽編」ではメガロを掴んで上空からデストロイアに落下させるなど、頭脳攻撃を見せる。
島にあるラドン温泉には体を癒すためによく入浴している(ゴジラやキングシーサーも入ることがある)。
造形物はバンダイのソフビ人形。
『ゴジラアイランド』のファイヤーラドン
ラドンが火の精霊の力を得てパワーアップした姿。名前こそファイヤーラドンだが、通常のラドンの色違いだったオリジナルと違い、全身が炎に包まれて輝いており、口から火炎を吐くなど、設定もオリジナルと異なる。
ネオヘドラが出現した際、かつてヘドラを倒すためにはゴジラの熱線では威力が足りなかったことから、キングシーサーの提案で誕生する。誕生には人間の祈りも必要となる。口から強力な超高熱火炎[215]を発射し、その火力は4万度におよぶ。
『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』のラドン
ラドン | |
---|---|
全長 | 約5 m程度[216] |
翼竜ケツァルコアトルスに似た飛行怪獣[出典 66]。『古史羅ノ図』に描かれた「羅甸天狗」に酷似している[219]。地球上の生物の多くが共通して持つホメオボックス遺伝子が発見されなかったことから、既存のどの生物とも異なることや電気ウナギなどに見られる発電器官に類似した層状の組織が細胞内にあり、胃に対応する器官がないことが解剖の結果で判明する[216]。細胞組織から放射性物質であるラドンが検出されたため、 「未確認生物 ラドン検出」 などと報道されたことでいつの間にか「ラドン」と呼ばれることになった[217]。また、その鳴き声からは高周波の電磁波が発信されている他、自身も特定の波長に反応する性質があることから、「電波怪獣ラドン」とも呼ばれている[216][218]。獰猛な性質で動物や人間を襲い、電波に反応して電柱のトランスなどの電波の流れるものや電磁波を出すものを襲撃する習性があり、高音に反応する[216]。
逃尾商店街の逃尾町駅前ロータリーで行われていた七夕祭りの最中に飛来し、ユンたちと交戦した後に空高く飛ぶが突然死する[出典 67]。
千葉県房総半島沖の海や逃尾市上空などに細部に差異が見られる小型の個体である第2形態が出現したのち、海中から成体が群れで出現した[217]。ジャイロZの誘導電波に誘導されて逃尾市郊外の峠道のカーブで路線バスを襲撃するが、誘導作戦で穴の開いたペットボトルを弓道部の女子高生が矢で放つことでに気をそらされる。だが、当初は初期形態同様突然死し、街には多数の死体が散乱していた[216][221]。
その後は生物として安定したことで突然死を起こすことがなくなり、オセアニア、ニューヨーク、ヨーロッパ、ロンドンなど世界各地に出現した[出典 68]。そして、紅塵によって荒れ果てた東京に出現し、ゴジラテレストリスを襲撃するが、光のリングによって返り討ちに遭う[223]。
- シリーズ構成・脚本の円城塔によれば、生身の人間が戦う相手として、人間と同スケールでかつCGで多数登場させられるものを検討した結果、小型のラドンを登場させることとなった[224]。『クローバーフィールド/HAKAISHA』のように鳥が怪獣の周囲に飛んでいる描写を入れることで、怪獣の巨大感を出しており、ゴジラの周囲を飛ぶことからラドンに決まった[225]。外見は、監督の高橋敦史の意向によりそれまで怪獣がいない世界観とするため、いきなり正体不明なものを登場させて「怪獣だ」と呼ばせるよりも、「恐竜だ」とするほうがリアリティを出せるため、必然的に恐竜と近く、恐竜感の強いデザインへと至ったという[224][225]。
その他の作品
- 1966年に朝日ソノラマから発売されたソノシート『大怪獣戦 30怪獣大あばれ!!』収録の「宇宙怪獣対地球怪獣」では、宇宙怪獣と戦う地球怪獣空軍の1体として登場する[226]。
- 漫画『怪獣王ゴジラ』では、悪の科学者であるマッド鬼山が、かつて現れたラドンを改造した設定で登場。
- 『CRゴジラ3』の実写カットは『FINAL WARS』の着ぐるみを使用。[要出典]登場パートには「ゴジラ対ラドン」(「ラドン」のロゴは『空の大怪獣 ラドン』のタイトルのもの)というタイトルがつく。
- 小説『GODZILLA 怪獣黙示録』では、複数の個体の出現が確認されている。1体目は2005年11月に白頭山から出現して南西へ移動し、北京でアンギラスと合流するも生物化学兵器「ヘドラ」によって駆除される[227][228]。2体目「ラドンII」は日本の九州を通過している[229]。ゴジラ出現後、2030年代後半にはローマに居座り、イタリア半島を餌場としていた[230]ほか、ユーラシア大陸中央部にて群れで生息しているらしく、シベリア経由で移動するヨーロッパ系難民を捕食していた[231]ほか、幼体と思わしき個体がメガヌロンに追われる「オペレーション・グレートウォール」の工員を襲っていた[232]。同作に登場するメガギラスを天敵として敵視していたことも明言されている[233]。
- 『幻星神ジャスティライザー』に登場する星神獣エンオウは、ラドンをモチーフとしている[234]。
テーマ曲
ラドンのテーマは、1993年のファイヤーラドンに到るまで伊福部昭作曲のテーマ曲が使用されてきた。テーマ曲は大きく分けて2種類あり、それぞれ「初代ラドンのテーマ」、「二代目ラドンのテーマ」と呼ばれる。ファイヤーラドンのテーマも、二代目のものの編曲であった。
「初代のテーマ」は、アントン・ヴェーベルンの曲風の高音の弦楽器のバックに低音の金管楽器のメロディーがかぶさるという、独特のものであった。ラドンのテーマを含め、『空の大怪獣 ラドン』の音楽は全体的に『ゴジラ』から続くスタンス(怪獣による破壊と恐怖、不安感、悲劇性)を踏襲した荘重なものであった。
一方、怪獣映画が子供を強く意識したより娯楽性の強い映画に変貌した当時に発表された「二代目のテーマ」は、トランペットが高らかに旋律を奏でるという旋律を重視した、より明快な曲に変更された。これは、怪獣を恐怖や不安といった漠然としたものの具象としてではなく、よりヒーロー性の強いキャラクターとして描くようになったことによる変化であった。また、テーマ曲におけるゴジラとの差別化という観点もあった。
『ゴジラvsメカゴジラ』でも、作中でのラドンの位置づけからこの路線は継承された。この作品では、二代目のものに重厚さを増した編曲がなされた。このような従来のテーマ曲の重厚化は、平成シリーズにおける編曲の基本であった。
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』においては、他の登場怪獣(ゴジラ、モスラ、キングギドラ)がそれぞれテーマ曲を製作されているのに対し、ラドンについては特有のテーマ曲はないが劇中の登場から追走劇のBGMが「Rodan」[注釈 37]と題されており、ボストン戦のBGM「Battle In Boston」においてもラドンの登場シーンに該当する部分へ引用されているなど、事実上のラドンのテーマ曲として扱われている。内容は異なっているものの、金管楽器を多用していることや、特定の旋律を繰り返すことによって怪獣のテーマとして印象付ける展開は、過去のラドンのテーマ曲と共通する。また、この「Rodan」においては「Rodan!」と名前を連呼するコーラスが入っているのも特徴となっている。
脚注
注釈
- ^ 『ゴジラvsメカゴジラ』では3本。
- ^ 元となったプテラノドンにも無い。
- ^ 資料によっては「全長50メートル」と記述している[22][30]。
- ^ 資料によっては、「200メートル」と記述している[36]。
- ^ 資料によっては、「100トン」と記述している[36]。
- ^ 書籍『ゴジラVSキングギドラ 怪獣大全集』では、「マッハ1」と記述している[27]。
- ^ 資料によっては、「九州の炭鉱地帯地下[3]」「九州の炭鉱地下[22]」「阿蘇山近くの炭鉱[35]」「阿蘇山の地底[23]」と記述している。
- ^ 劇中でプテラノドンとの関連性を示すような発言があるが、直接は明言されていない。なお、シナリオでのプテラノドンは、「中生紀に生息した飛竜の一種で空飛ぶ始祖鳥としては最大のもの」と設定されている[5]。
- ^ 資料によっては、「(ゴジラの)白熱光に似た息[22]」「ガス放射[35]」「ガス状のもの[31]」と記述している。
- ^ 福岡での戦闘のラストシーンに、地上にいるラドンの上空を飛行するもう1頭のラドンが写っている。
- ^ 書籍『東宝編 日本特撮映画図鑑 BEST54』では「大中小」の3種類[42]、書籍『円谷英二特撮世界』では「5個」[39]、書籍『東宝特撮映画大全集』では「(着ぐるみを含めて)7種類」[40]、書籍『キャラクター大全ゴジラ』では「3尺、2尺」[7]と記述している。
- ^ 書籍『怪獣人生 元祖ゴジラ俳優・中島春雄』では着ぐるみで中島が自らが入ったと記している[52]。書籍『大ゴジラ図鑑2』でも、「人が入る縫いぐるみ」と記述している[44]。
- ^ 書籍『東宝特撮映画全史』では、グラスワークによるものと記述している[47]。
- ^ 『怪獣大戦争』公開当時の資料では220メートルとなっていた[77]。資料によっては、『怪獣大戦争』のみ「翼長150メートル」と記述しているもの[78][79]や『怪獣大戦争』『怪獣総進撃』を「150メートル」[76][80]と記述しているものがある。
- ^ 資料によっては、阿蘇山火口[3][76]、阿蘇山地下[59]と記述している。
- ^ 資料によっては、「出生地」として記述している[22]。
- ^ 書籍『東宝特撮映画全史』では「目が丸くなってひょうきんな感じになっている[95]」、書籍『ゴジラ大全集』では「顔つきは鳥に近くなった[96]」と評している。
- ^ 2頭の子供であり、前作で目撃された雛が成長した姿という説もある[59][97]。書籍『ゴジラ大百科』では、初代の2匹のうち一方が甦ったものと記述している[38]。
- ^ 書籍『キャラクター大全ゴジラ』では、坂本晴哉と記述している[7]。
- ^ 理由は三大怪獣 地球最大の決戦#特撮を参照。
- ^ 書籍『ゴジラ大全集』では、『怪獣総進撃』で用いられたのは『怪獣大戦争』の大サイズと小サイズと記述している[96]。
- ^ 書籍『大ゴジラ図鑑2』では、大コンドルに改造されたのは『怪獣大戦争』の1/2サイズのものと記述している[92]。
- ^ 書籍『ゴジラVSメカゴジラ超全集』では、魚類と記述している[34]。
- ^ 資料によっては「120メートル」と記述している[出典 35]。
- ^ 資料によっては、「出生地」として記述している[22]。
- ^ 川北は、怪鳥としてのデザインを重視していると述べている[153]。
- ^ 初期デザイン案は、スーツ造形を想定して描かれていた[出典 48]。川北によれば、若狭は撮影後もキャンペーン用に人が入るスーツを作ることを提案していたという[146]。
- ^ 資料によっては、ファイアーラドンと記述している[130]。
- ^ 資料によっては、空の大怪獣と記述している[128]。
- ^ 資料によっては、「120メートル」と記述している[117][128]。
- ^ 資料によっては、「マッハ3以上」と記述している[171]
- ^ 資料によっては、「出現地」として記述している[128]。
- ^ 資料によっては、ウラニウム光線[26]、ウラニュウム光線[122]、ウルトニウム熱線[118]と記述している。
- ^ 書籍によっては、ゴジラの第二の脳を再生したと記述している[170][125]。
- ^ 書籍『ゴジラ解体全書』では、「不明」と記述している[189]。
- ^ 書籍『ゴジラ 全怪獣大図鑑』では、ファイヤーラドンと記述している[213]。
- ^ ラドンの海外名。
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参考文献
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- 講談社 編『ゴジラ&東宝特撮 OFFICIAL MOOK』 vol.0《ゴジラ&東宝特撮作品 総選挙》、講談社〈講談社シリーズMOOK〉、2022年12月21日。ISBN 978-4-06-530223-1。
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- 雑誌
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- 宇宙船(ホビージャパン)
- 『宇宙船』vol.172(SPRING 2021.春)、ホビージャパン、2021年4月1日、ISBN 978-4-7986-2470-9。
- 「宇宙船vol.176特別付録 宇宙船YEARBOOK 2022」『宇宙船』vol.176(SPRING 2022.春)、ホビージャパン、2022年4月1日、ISBN 978-4-7986-2796-0。
- 小説
- 大樹連司『GODZILLA 怪獣黙示録』監修:虚淵玄、角川書店、2017年10月25日。ISBN 978-4-04-106181-7。
- 大樹連司『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』監修:虚淵玄、角川書店、2018年4月25日。ISBN 978-4-04-106345-3。
- 劇場パンフレット
- 『ゴジラ FINAL WARS』パンフレット 2004年12月4日発行 / 発行所:東宝(株)出版・商品事業室
関連項目
- 『帰ってきたウルトラマン』 - 第10話では名前が登場する。
- 『大怪獣バラン』 - 『空の大怪獣 ラドン』と同じ黒沼健原作の怪獣映画。