「ヴィーガニズム」の版間の差分
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冒頭に大量の無出展独自研究を書き、賛否両方の意見を残す編集を、しているのに有効な出典のある食生活での注意点を移動ではなく、削除している。それなのに、私を別のページで「アンチ」と主張しているが、自分こそがWP:!を読むべきです。あと、フランス通信社による急進的なヴィーガンによる国内の肉屋襲撃が相次いでるとの報道を「子供への強制批判・健康被害・ニセ科学」項目にまとめるのはおかしいです。新項目名が気に入らないようてすが、「急進的ビーガン(完全菜食主義者)」と報道でもなっています。 タグ: ビジュアルエディター モバイル編集 モバイルウェブ編集 |
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[[File:Vegan and vegetarian grocery shopping and cookery books.jpg|thumb|ヴィーガン・フード。肉や魚だけでなく、卵や乳製品、はちみつも拒否する]] |
[[File:Vegan and vegetarian grocery shopping and cookery books.jpg|thumb|ヴィーガン・フード。肉や魚だけでなく、卵や乳製品、はちみつも拒否する]] |
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[[File:Direct Action Everywhere protest at Whole Foods Market.jpg|thumb|ヴィーガンは健康ではなく[[動物の権利]]を第一とし、動物の残酷な扱いに反対する。そのため動物性食品だけでなく毛皮や皮革などのすべての動物製品、動物実験も拒否する]] |
[[File:Direct Action Everywhere protest at Whole Foods Market.jpg|thumb|ヴィーガンは健康ではなく[[動物の権利]]を第一とし、動物の残酷な扱いに反対する。そのため動物性食品だけでなく毛皮や皮革などのすべての動物製品、動物実験も拒否する]] |
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'''ヴィーガニズム'''({{Lang-en-short|veganism}})は、肉・魚・卵・[[乳製品]]・[[蜂蜜]]・皮革製品・ウール・シルク・動物実験・動物園・水族館等々の動物由来及び動物虐待に関わる全ての動物性製品サービスを消費しないこと |
'''ヴィーガニズム'''({{Lang-en-short|veganism}})は、肉・魚・卵・[[乳製品]]・[[蜂蜜]]・皮革製品・ウール・シルク・動物実験・動物園・水族館等々の動物由来及び動物虐待に関わる全ての動物性製品・サービスを消費しないことなどで「人間による動物からの搾取に抗議し、人間が動物を搾取することなく生きるべきであるという主義、思想<ref name=":3">{{Cite web |title=「ヴィーガン」の本当の意味とは? |url=https://arcj.org/vegan/vegan-meaning/ |website=アニマルライツセンター |date=2019-06-18 |accessdate=2022-02-13 |language=ja |quote=上記のヴィーガン協会による1951年の文章にも、「個人的な状況が許す限りこの理想に近い生活をすることに努めている人」とあるように、完璧を求めているのではありません。}}</ref><ref name=":0" /><ref>{{Cite web |title=「ヴィーガン」という思想──私たちはどう生きるか。何を食べるか。 |url=https://www.gqjapan.jp/lifestyle/article/20200426-being-vegan |website=[[GQ JAPAN]] |date=2020-04-26 |access-date=2022-08-12 |language=ja-JP |first=Condé |last=Nast}}</ref>。 |
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世界最古のヴィーガン団体である[[:en:Vegan Society|The Vegan Society]](ヴィーガン協会)は、ヴィーガニズムを「衣食他全ての目的に於て‐実践不可能ではない限り‐いかなる方法による動物からの搾取、及び[[動物虐待|動物への残酷な行為]]の排斥に努める哲学と生き方」と定義している<ref name="UK" />。そして、ヴィーガン協会は、「個人的な状況が許す限りこの理想に近い生活をすることに努めている人」を'''ヴィーガン'''と定義している<ref name=":3" />。日本語では'''完全菜食主義'''と訳されている<ref name=":0" /><ref>[https://ejje.weblio.jp/content/veganism veganismの意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書]</ref>。肉・魚・卵・乳製品・蜂蜜も摂取しないため、十分に食生活に注意しないと[[鉄分|鉄]]や[[亜鉛]]、ビタミンA、ビタミンB2と[[ビタミンB12|B12]]、ビタミンD、DHA、[[カルシウム]]、[[タンパク質]]などの栄養不足になりやすい。[[青年期]]までの子どもを菜食で育てる場合は更に食生活・栄養不足に注意が必要である<ref name=":0" /><ref name=":4">{{Cite web |title=「ゆるヴィーガン」実践する栄養士が直伝 菜食できちんと栄養をとるコツ:朝日新聞GLOBE+ |url=https://globe.asahi.com/article/14475547 |website=朝日新聞GLOBE+ |access-date=2022-08-11 |language=ja-JP}}</ref>。大人であってヴィーガン食生活をする際には、動物性食品にしか含まれないために特に欠乏しやすいビタミンB12を中心に、魚に多いビタミンD、青魚に多いオメガ3系脂肪酸はサプリメント摂取が求められる<ref name=":4" />。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
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摂取範囲や頻度による区分があり、植物性食品のみのヴィーガン以外にも、肉を意識的に減らしているが摂取する[[フレキシタリアン]](セミ・ベジタリアン、準菜食主義<ref name=":1">{{Cite web |title=ノルウェーの菜食主義者を調査「食生活の実態」「動機」「サプリ利用状況」「主観的な健康状態」 |url=https://sndj-web.jp/news/001889.php |website=スポーツ栄養Web【一般社団法人日本スポーツ栄養協会(SNDJ)公式情報サイト】 |access-date=2022-08-11 |language=ja}}</ref>)、乳製品や卵は摂取する[[ラクト・オボ・ベジタリアニズム|ラクト・オボ・ベジタリアン]]、魚肉を除いた肉のみ食べない[[ペスカタリアニズム|ペスコ・タリアン]]と区分される<ref name=":1" />。 |
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⚫ | ヴィーガンとなった理由区分では、美容や健康に良いと考えているために菜食主義を行う「健康のためにプラントベース」(plant-based for health)<ref>食事において完全菜食主義だが、革製品は用いるタイプも内在する。</ref><ref>{{Cite web |title=dietary vegan,英辞郎 on the WEB |url=https://eow.alc.co.jp/sp/search.html?q=dietary%20vegan&pg=1 |website=eow.alc.co.jp |accessdate=2022-02-13}}</ref>、環境保全を理由に菜食主義を行う「環境のためにプラントベース」(plant-based for the environment<ref>{{Cite web |title=The Case for Plant Based |url=https://www.sustain.ucla.edu/food-systems/the-case-for-plant-based/ |website=UCLA Sustainability |access-date=2022-08-11 |language=en-US}}</ref>)等がある。 |
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⚫ | 範囲は単に動物性食品を食べることを避けることから、あらゆる動物製品を避けることを含む(革、ウール、[[毛皮]]{{refnest|group="注"|[[秋田昌美|Marzbow]]「人間は動物の肉を食べるだけでなく、毛皮を衣類にしたり、ペットショップで売り買いしたり、動物園で見世物にしたり、さまざまな動物虐待を行っています。わたしは地球上から動物虐待がなくなれば良いと願っています。」<ref>{{Cite web|url=https://web.archive.org/web/20190425053440/http://merzbow.net/cruelty-free-life/01/|title=「Cruelty Free Life」はじめに|website=merzbow.net|publisher=わたしの菜食生活|date=2019-04-25|accessdate=2019-12-19}}</ref>}}等々)。動物性食品を食べない、もしくは追加して動物製品を使わないということの実践とされる<ref>{{cite web|title=veganism - ''Cambridge Advanced Learner’s Dictionary'' |url=https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/veganism |date= |publisher=Cambridge University Press|accessdate=2019-8-11}}</ref>。食生活においてはほかの[[菜食主義]](ベジタリアン)の食生活とは異なり卵や乳製品も避ける<ref name="医と食"/>。 |
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'''ヴィーガニズム'''が動物の商品化を不可能でない限り排斥し、あらゆる目的での動物製品の使用を忌避するのに対し、'''プラントベース・ダイエット'''は食事から動物製品を排除するだけにとどまる<ref group="注">エシカル・ヴィーガニズムとダイエタリー・ヴィーガニズムの違いについては、例えば以下のように説明される。 |
'''ヴィーガニズム'''が動物の商品化を不可能でない限り排斥し、あらゆる目的での動物製品の使用を忌避するのに対し、'''プラントベース・ダイエット'''は食事から動物製品を排除するだけにとどまる<ref group="注">エシカル・ヴィーガニズムとダイエタリー・ヴィーガニズムの違いについては、例えば以下のように説明される。 |
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授乳中の母親のビタミンB12欠乏症は、子供に深刻な欠乏症や[[神経学|神経]]障害をもたらすとされている<ref>{{Cite journal |author=Kuhne T, Bubl R, Baumgartner R |title=Maternal vegan diet causing a serious infantile neurological disorder due to vitamin B12 deficiency |journal=Eur J Pediatr |year=1991 |pages=205–8 |volume=150 |issue=3 | doi=10.1007/BF01963568 |pmid=2044594}} |
授乳中の母親のビタミンB12欠乏症は、子供に深刻な欠乏症や[[神経学|神経]]障害をもたらすとされている<ref>{{Cite journal |author=Kuhne T, Bubl R, Baumgartner R |title=Maternal vegan diet causing a serious infantile neurological disorder due to vitamin B12 deficiency |journal=Eur J Pediatr |year=1991 |pages=205–8 |volume=150 |issue=3 | doi=10.1007/BF01963568 |pmid=2044594}} |
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*{{Cite journal |author=Weiss R, Fogelman Y, Bennett M |title=Severe vitamin B12 deficiency in an infant associated with a maternal deficiency and a strict vegetarian diet |journal=J Pediatr Hematol Oncol |year=2004 |pages=270–1 |volume=26 |issue=4 | doi=10.1097/00043426-200404000-00013 |pmid=15087959}}</ref>。必須脂肪酸のω-3脂肪酸、[[α-リノレン酸]]およびそれらの誘導体についても、これらの脂肪酸から変換される[[ドコサヘキサエン酸]](DHA)が[[視神経]]や[[中枢神経系]]の発達に必須であるが、ほとんどのヴィーガン食では含有量が非常に低いため、妊娠・授乳中のヴィーガンの母親は摂取を補う必要があるとする研究がある<ref>{{Cite journal |author=Sanders TA |title=Essential fatty acid requirements of vegetarians in pregnancy, lactation, and infancy |journal=Am. J. Clin. Nutr. |volume=70 |issue=3 Suppl |pages=555S–559S |year=1999 |doi= |url=http://www.ajcn.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=10479231 |pmid=10479231}}</ref>。 |
*{{Cite journal |author=Weiss R, Fogelman Y, Bennett M |title=Severe vitamin B12 deficiency in an infant associated with a maternal deficiency and a strict vegetarian diet |journal=J Pediatr Hematol Oncol |year=2004 |pages=270–1 |volume=26 |issue=4 | doi=10.1097/00043426-200404000-00013 |pmid=15087959}}</ref>。必須脂肪酸のω-3脂肪酸、[[α-リノレン酸]]およびそれらの誘導体についても、これらの脂肪酸から変換される[[ドコサヘキサエン酸]](DHA)が[[視神経]]や[[中枢神経系]]の発達に必須であるが、ほとんどのヴィーガン食では含有量が非常に低いため、妊娠・授乳中のヴィーガンの母親は摂取を補う必要があるとする研究がある<ref>{{Cite journal |author=Sanders TA |title=Essential fatty acid requirements of vegetarians in pregnancy, lactation, and infancy |journal=Am. J. Clin. Nutr. |volume=70 |issue=3 Suppl |pages=555S–559S |year=1999 |doi= |url=http://www.ajcn.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=10479231 |pmid=10479231}}</ref>。 |
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子供はバランスのよい食事を十分に摂る必要があるが、育児デマの一つである「子供へのヴィーガン食(完全菜食食)はよい」を行うと、ビタミンB12欠乏症によって嘔吐又は[[汎血球減少症]]が発生する。他にも、[[ビタミン欠乏症|ビタミンB欠乏症]]で「[[くる病]]」になったり、精神神経の発達異常、低栄養状態のリスクがある。子供へのヴィーガン食という根拠のない[[除去食]]は育児する人に手間がかかるだけで、子供の健康を損ねるリスクがある<ref>{{Cite web |title=「離乳食の開始を遅らせてもアレルギー予防はできない」小児科医が警鐘を鳴らす、危険な「育児デマ」(プレジデントオンライン) |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/6927a5212340ac30b7dab071f662462dfc465397 |website=Yahoo!ニュース |access-date=2022-08-11 |language=ja}}</ref>。 |
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アメリカ在住でヴィーガン生活を送ってきた女性がアレルギーや過敏症などを発症し、体調が思わしくないため医師に食生活を見直して魚を食べるように言われ、涙を流しながらサーモンを食べる様子がtiktokと話題になった。後日、女性は新たな動画でサーモンとエビを食べたことを明かし、涙無しに食べたことと「なかなか美味しかった」と語っている<ref>{{Cite web |title=「お魚さん、ごめんなさい」健康上の理由でサーモンを食べたヴィーガン女性が大粒の涙(米) |url=https://news.nicovideo.jp/watch/nw9976727 |website=ニコニコニュース |accessdate=2022-02-13 |language=ja}}</ref>。 |
アメリカ在住でヴィーガン生活を送ってきた女性がアレルギーや過敏症などを発症し、体調が思わしくないため医師に食生活を見直して魚を食べるように言われ、涙を流しながらサーモンを食べる様子がtiktokと話題になった。後日、女性は新たな動画でサーモンとエビを食べたことを明かし、涙無しに食べたことと「なかなか美味しかった」と語っている<ref>{{Cite web |title=「お魚さん、ごめんなさい」健康上の理由でサーモンを食べたヴィーガン女性が大粒の涙(米) |url=https://news.nicovideo.jp/watch/nw9976727 |website=ニコニコニュース |accessdate=2022-02-13 |language=ja}}</ref>。 |
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母親がヴィーガンであると、子供の出生時体重が軽くなる傾向がある<ref>{{Cite journal |author=Sanders TA |title=The nutritional adequacy of plant-based diets |journal=The Proceedings of the Nutrition Society |volume=58 |issue=2 |pages=265–9 |year=1999 |doi=10.1017/S0029665199000361 |url=http://journals.cambridge.org/abstract_S0029665199000361 |pmid=10466165}}</ref>。2017年にベルギーでヴィーガンの両親が、グルテンフリー・ラクトースフリーの食事を与え続けたことで、生後7か月の乳児を死亡させたことで有罪判決が下された。死亡時の体重が10ポンド以下(約4,500グラム以下)だったと報道された。2019年2月に、アメリカでヴィーガンの夫婦が生後5か月の息子に医師に言われた粉ミルクを与えずにネットの情報で作成したヴィーガンフードを与えるなど適切な食事を与えず、餓死寸前まで追い込んだことで逮捕されている。男児は出生時の体重が約3,430グラムだったのに、生後5か月でも3,860グラムほどしかなかった。児童家庭サービスからの通報で警察が発見した際に、男児は極度の栄養失調や脱水症で、目は窪んでいて、肌の張りが失われ、肋骨が浮きあがっていた。さらに体温や糖分を維持することが困難で無気力になり、泣き声もあげられずに、動くことも不可能な状態であった<ref>{{Cite web |title=「子供にヴィーガンを強いる親は起訴されるべき」 ベルギーの医師の主張が議論呼ぶ |url=https://news.nicovideo.jp/watch/nw5330695 |website=ニコニコニュース |accessdate=2022-02-13 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=【海外発!Breaking News】ヴィーガンのカップル、生後5か月の我が子を餓死寸前に(米) |url=https://japan.techinsight.jp/2019/02/ellis12410216.html |website=Techinsight(テックインサイト){{!}}海外セレブ、国内エンタメのオンリーワンをお届けするニュースサイト |date=2019-02-20 |accessdate=2022-02-13}}</ref>。ヴィーガンとして大人気YouTuberであったヨヴァナ・メンドーサ・アイレス([[:en:Yovana Mendoza Ayres|Yovana Mendoza Ayres]])が、魚料理を食べている疑惑が浮上した。炎上後に謝罪動画をあげ、6年間は完全なヴィーガンをしていたが、2年前から貧血気味で甲状腺ホルモンが低レベルであり非常に具合が悪く、一つ間違えば危険という状態であったこと、女性ホルモン値が[[閉経]]年齢レベルで生理が止まっていたこと、小腸の細菌増殖で腹部膨満感やひどい腹痛などが起こる[[小腸細菌異常増殖症]](SIBO)と診断されたことで、医師から卵や魚を食べるように言われて食べていたことを明かした<ref>{{Cite web |title=ヴィーガンの人気YouTuber、魚料理を食べていたことが発覚しSNS炎上(米)<動画あり> |url=https://news.nicovideo.jp/watch/nw5051328 |website=ニコニコニュース |accessdate=2022-02-13 |language=ja}}</ref>。 |
母親がヴィーガンであると、子供の出生時体重が軽くなる傾向がある<ref>{{Cite journal |author=Sanders TA |title=The nutritional adequacy of plant-based diets |journal=The Proceedings of the Nutrition Society |volume=58 |issue=2 |pages=265–9 |year=1999 |doi=10.1017/S0029665199000361 |url=http://journals.cambridge.org/abstract_S0029665199000361 |pmid=10466165}}</ref>。2017年にベルギーでヴィーガンの両親が、グルテンフリー・ラクトースフリーの食事を与え続けたことで、生後7か月の乳児を死亡させたことで有罪判決が下された。死亡時の体重が10ポンド以下(約4,500グラム以下)だったと報道された。2019年2月に、アメリカでヴィーガンの夫婦が生後5か月の息子に医師に言われた粉ミルクを与えずにネットの情報で作成したヴィーガンフードを与えるなど適切な食事を与えず、餓死寸前まで追い込んだことで逮捕されている。男児は出生時の体重が約3,430グラムだったのに、生後5か月でも3,860グラムほどしかなかった。児童家庭サービスからの通報で警察が発見した際に、男児は極度の栄養失調や脱水症で、目は窪んでいて、肌の張りが失われ、肋骨が浮きあがっていた。さらに体温や糖分を維持することが困難で無気力になり、泣き声もあげられずに、動くことも不可能な状態であった<ref>{{Cite web |title=「子供にヴィーガンを強いる親は起訴されるべき」 ベルギーの医師の主張が議論呼ぶ |url=https://news.nicovideo.jp/watch/nw5330695 |website=ニコニコニュース |accessdate=2022-02-13 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=【海外発!Breaking News】ヴィーガンのカップル、生後5か月の我が子を餓死寸前に(米) |url=https://japan.techinsight.jp/2019/02/ellis12410216.html |website=Techinsight(テックインサイト){{!}}海外セレブ、国内エンタメのオンリーワンをお届けするニュースサイト |date=2019-02-20 |accessdate=2022-02-13}}</ref>。ヴィーガンとして大人気YouTuberであったヨヴァナ・メンドーサ・アイレス([[:en:Yovana Mendoza Ayres|Yovana Mendoza Ayres]])が、魚料理を食べている疑惑が浮上した。炎上後に謝罪動画をあげ、6年間は完全なヴィーガンをしていたが、2年前から貧血気味で甲状腺ホルモンが低レベルであり非常に具合が悪く、一つ間違えば危険という状態であったこと、女性ホルモン値が[[閉経]]年齢レベルで生理が止まっていたこと、小腸の細菌増殖で腹部膨満感やひどい腹痛などが起こる[[小腸細菌異常増殖症]](SIBO)と診断されたことで、医師から卵や魚を食べるように言われて食べていたことを明かした<ref>{{Cite web |title=ヴィーガンの人気YouTuber、魚料理を食べていたことが発覚しSNS炎上(米)<動画あり> |url=https://news.nicovideo.jp/watch/nw5051328 |website=ニコニコニュース |accessdate=2022-02-13 |language=ja}}</ref>。 |
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ヴィーガンの母親から双子が生まれる確率は動物性食品を食べている人の5分の1であるとされるが、これを報告した論文では、ヴィーガンでない人たちが乳製品を摂取することが、特に乳牛に成長ホルモンを与えている地域において双子妊娠の確率を増加させていると結論付けている<ref>{{Cite journal |last=Steinman |first=G. |year=2006 |month=May |title=Mechanisms of twinning: VII. Effect of diet and heredity on the human twinning rate |journal=Journal of Reproductive Medicine |volume=51 |issue=5 |pages=405–10 |pmid=16779988 |url=http://www.reproductivemedicine.com/online/2006/405.pdf |accessdate=2007-02-25 }}</ref>。 |
ヴィーガンの母親から双子が生まれる確率は動物性食品を食べている人の5分の1であるとされるが、これを報告した論文では、ヴィーガンでない人たちが乳製品を摂取することが、特に乳牛に成長ホルモンを与えている地域において双子妊娠の確率を増加させていると結論付けている<ref>{{Cite journal |last=Steinman |first=G. |year=2006 |month=May |title=Mechanisms of twinning: VII. Effect of diet and heredity on the human twinning rate |journal=Journal of Reproductive Medicine |volume=51 |issue=5 |pages=405–10 |pmid=16779988 |url=http://www.reproductivemedicine.com/online/2006/405.pdf |accessdate=2007-02-25 }}</ref>。親に不適切なヴィーガン食を与えられた乳幼児が極度の[[栄養失調]]に陥り、脊柱奇形や骨折が発生したり、あるいは死に至った事例が何件か報道されている<ref>Davies, Rob. [http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/2094460/Couple-face-questioning-after-vegan-daughter-suffers-bone-disease.html "Couple face questioning after vegan daughter suffers bone disease"], ''The Daily Telegraph'', June 8, 2008. |
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⚫ | *Planck, Nina. [http://www.nytimes.com/2007/05/21/opinion/21planck.html?ex=1337400000&en=37878847a13bd4bc&ei=5090 "Death by Veganism"], ''The New York Times'', May 21, 2007.</ref><ref name=":2">{{Cite web|url=http://japan.techinsight.jp/2016/10/yokote201610101352.html |title=【海外発!Breaking News】厳格なヴィーガン母を逮捕 生後11か月の子に「果物、ナッツ、水、日光で十分」(米)|publisher=Techinsight|date=2016-10-14|accessdate=2016-10-17}}</ref>。 |
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親に不適切なヴィーガン食を与えられた乳幼児が極度の[[栄養失調]]に陥り、脊柱奇形や骨折が発生したり、あるいは死に至った事例が何件か報道されている<ref>Davies, Rob. [http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/2094460/Couple-face-questioning-after-vegan-daughter-suffers-bone-disease.html "Couple face questioning after vegan daughter suffers bone disease"], ''The Daily Telegraph'', June 8, 2008. |
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責任ある医学のための医師委員会の栄養部長であり、 |
責任ある医学のための医師委員会の栄養部長であり、1乳児死亡事件の検察側鑑定証人を務め、1996年頃からヴィーガンであるエイミー・ラヌー博士<ref>{{Cite web |title=New Heritage Cooking: Veggie Hero: Dr. Amy Lanou |url=https://newheritagecooking.blogspot.com/2006/07/veggie-hero-dr-amy-lanou.html |website=New Heritage Cooking |date=2006-07-05 |access-date=2022-08-11 |last=Jill}}</ref>は、ヴィーガン食について「赤ん坊にとって安全であるだけでなく、動物性食品ベースの食事より健康的である」、「本当の問題は(その子供が)どんな種類の食べ物も十分に与えられなかったことにある」と主張している<ref>Lanou, Amy Joy. [http://www.chron.com/disp/story.mpl/editorial/outlook/4919336.html "Just the facts: A vegan diet is safe, healthy for infants"], ''Houston Chronicle'', June 25, 2007.</ref>。 |
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2016年8月、[[イタリア]]の保守政党[[フォルツァ・イタリア]]の国会議員[[エルヴィラ・サヴィーノ]]は、ヴィーガンの食生活が「子供の食事において大事となる[健康でバランスの取れた成長]に不可欠な栄養素に欠けているもの」であることを理由に、それを自分の子供に強制する親を罰する法案を同国議会に提出したが成立しなかった。サヴィーノの法案は16歳以下の子供を対象としたもので、この法案が可決され成立となれば、親が子供へのヴィーガン食の強制だけでも最長で1年、子供がそれによって病気を患った場合は最長4年、そこから子供が死去した場合は最長6年の懲役が科せられるという。しかし、同氏の法案がやや過激な内容のものであることから、これに対して「刑罰よりも正しい情報を周知させることに重点を置くべきだ」という意見も多く出ている<ref>{{Cite web|url=http://karapaia.livedoor.biz/archives/52223830.html |title=子どもに完全菜食主義を強制する親を罰する法案が提出。最長で6年の懲役へ(イタリア)|publisher=カラパイア 不思議と謎の大冒険|date=2016-08-28|accessdate=2016-09-13}}</ref>。 |
2016年8月、[[イタリア]]の保守政党[[フォルツァ・イタリア]]の国会議員[[エルヴィラ・サヴィーノ]]は、ヴィーガンの食生活が「子供の食事において大事となる[健康でバランスの取れた成長]に不可欠な栄養素に欠けているもの」であることを理由に、それを自分の子供に強制する親を罰する法案を同国議会に提出したが成立しなかった。サヴィーノの法案は16歳以下の子供を対象としたもので、この法案が可決され成立となれば、親が子供へのヴィーガン食の強制だけでも最長で1年、子供がそれによって病気を患った場合は最長4年、そこから子供が死去した場合は最長6年の懲役が科せられるという。しかし、同氏の法案がやや過激な内容のものであることから、これに対して「刑罰よりも正しい情報を周知させることに重点を置くべきだ」という意見も多く出ている<ref>{{Cite web|url=http://karapaia.livedoor.biz/archives/52223830.html |title=子どもに完全菜食主義を強制する親を罰する法案が提出。最長で6年の懲役へ(イタリア)|publisher=カラパイア 不思議と謎の大冒険|date=2016-08-28|accessdate=2016-09-13}}</ref>。 |
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2021年の朝日新聞による「『ヴィーガン給食』取り入れた公立小学校 みんなで食べられ、みんながおいしい」と題された記事にて、'''アレルギーに対応した給食'''の一環として、八王子の公立小学校でヴィーガン給食を定期的に提供することになったことを肯定的に報道した際に、多くの医療関係者から批判を受けて記事が削除される事態になった<ref name=":0">{{Cite web |title=「ヴィーガン給食」導入した公立学校、絶賛するマスコミに疑問 栄養学的な問題、個人の思想の押し付けは許されるのか? |url=https://www.buzzfeed.com/jp/yasumimorito/vegan-school-lunch |website=BuzzFeed |access-date=2022-08-11 |language=ja |first=Yasumi |last=Morito}}</ref>。[[BuzzFeed Japan]]は「ヴィーガンは健康にいい」というイメージだけが一人歩きをして、栄養バランスが崩れて健康被害が出る可能性を医師らが危惧していることを報じた。[[都民ファーストの会]]の森愛東京都議会議員が、役所の食堂にヴィーガン食導入を勧めた千代田区議の小野なり子のツイートに「私も昨日の都議会一般質問で、給食のオーガニック食材化を求めて質疑しました。大田区の保育園・フリースクールでも'''ヴィーガン給食で不登校や発達障害のお子さんに実績を上げています!'''」とリプライしていることに、バズフィードはヴィーガン食が不登校や発達障害に良い影響があるエビデンスはなく、こうしたニセ科学と結びついた特定の食スタイルの推進は、不登校や発達障害に悩む人たちを惑わせ、「家庭の食事が我が子の不登校や発達障害に影響しているのか」と無意味な自責感を与えるなどの問題があると指摘している<ref name=":0" />。バズフィードはヴィーガン給食導入した校長が'''ガンに効く呼吸法'''を主張する人物を自身の学校に呼んだことを含めて、'''ヴィーガニズムは思想'''であり、'''健康法としては[[ニセ科学]]'''と指摘している<ref name=":0" />。 |
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フランスでは菜食主義者による肉屋襲撃が起きており、フランス食肉専門店・食肉ハムソーセージ専門店・総菜店連盟は「一種のテロ」と批判した。家畜飼養や食肉処理で生計を立てている人々と、動物の大量殺害を止めさせようと活動している人々の間で、衝突が発生しているケースがみられる<ref>{{Cite web|url=https://www.afpbb.com/articles/-/3191492|title=「刑務所に入る覚悟」 菜食主義者による襲撃相次ぐ フランス|publisher=AFPBB|date=2018-09-30|accessdate=2020-02-18}}</ref>。 |
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==急進的ヴィーガンによる肉屋襲撃・テロ== |
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フランスでは急進的な完全菜食主義者による肉屋襲撃や脅迫がより過激化してきている。そのため、2018年6月にフランス食肉専門店・食肉ハムソーセージ専門店・総菜店連盟(La Confédération française de la boucherie, boucherie-charcuterie, traiteur、CFBCT)は「一種のテロ」と批判し、政府への精肉店の保護とテロ対策を求めた<ref name=":5" />。ブシェリー・アボリシオン(仏語:肉屋廃止)と269ライフ・フランスは同年9月22日にフランス全土の精肉店前デモを実施した。精肉店前デモ子豚の死骸を使った急進的な菜食主義者活動家の一人は、精肉店の窓ガラス破壊行為を非難せず、「いざとなったら刑務所に入る覚悟はできている」「われわれの活動で制限されているのは対人暴力のみだ」などと主張している<ref name=":5" />。家畜飼養や食肉処理など畜産業界や食肉業界で生計を立てているフランス人や伝統的に肉食を好むフランス人と、急進的完全菜食主義者(急進的ヴィーガン)」グループの人々の間で、衝突や対立しているケースがみられる。[[ポールバレリー・モンペリエ第3大学]]教授は和解の可能性は「ない」と語っている<ref name=":5">{{Cite web|url=https://www.afpbb.com/articles/-/3191492|title=「刑務所に入る覚悟」 菜食主義者による襲撃相次ぐ フランス|publisher=AFPBB|date=2018-09-30|accessdate=2020-02-18}}</ref>。 |
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== ヴィーガンに対する差別・攻撃 == |
== ヴィーガンに対する差別・攻撃 == |
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2022年8月12日 (金) 00:15時点における版
ヴィーガニズム(英: veganism)は、肉・魚・卵・乳製品・蜂蜜・皮革製品・ウール・シルク・動物実験・動物園・水族館等々の動物由来及び動物虐待に関わる全ての動物性製品・サービスを消費しないことなどで「人間による動物からの搾取に抗議し、人間が動物を搾取することなく生きるべきであるという主義、思想[1][2][3]。
世界最古のヴィーガン団体であるThe Vegan Society(ヴィーガン協会)は、ヴィーガニズムを「衣食他全ての目的に於て‐実践不可能ではない限り‐いかなる方法による動物からの搾取、及び動物への残酷な行為の排斥に努める哲学と生き方」と定義している[4]。そして、ヴィーガン協会は、「個人的な状況が許す限りこの理想に近い生活をすることに努めている人」をヴィーガンと定義している[1]。日本語では完全菜食主義と訳されている[2][5]。肉・魚・卵・乳製品・蜂蜜も摂取しないため、十分に食生活に注意しないと鉄や亜鉛、ビタミンA、ビタミンB2とB12、ビタミンD、DHA、カルシウム、タンパク質などの栄養不足になりやすい。青年期までの子どもを菜食で育てる場合は更に食生活・栄養不足に注意が必要である[2][6]。大人であってヴィーガン食生活をする際には、動物性食品にしか含まれないために特に欠乏しやすいビタミンB12を中心に、魚に多いビタミンD、青魚に多いオメガ3系脂肪酸はサプリメント摂取が求められる[6]。
概要
摂取範囲や頻度による区分があり、植物性食品のみのヴィーガン以外にも、肉を意識的に減らしているが摂取するフレキシタリアン(セミ・ベジタリアン、準菜食主義[7])、乳製品や卵は摂取するラクト・オボ・ベジタリアン、魚肉を除いた肉のみ食べないペスコ・タリアンと区分される[7]。 ヴィーガンとなった理由区分では、美容や健康に良いと考えているために菜食主義を行う「健康のためにプラントベース」(plant-based for health)[8][9]、環境保全を理由に菜食主義を行う「環境のためにプラントベース」(plant-based for the environment[10])等がある。
範囲は単に動物性食品を食べることを避けることから、あらゆる動物製品を避けることを含む(革、ウール、毛皮[注 1]等々)。動物性食品を食べない、もしくは追加して動物製品を使わないということの実践とされる[12]。食生活においてはほかの菜食主義(ベジタリアン)の食生活とは異なり卵や乳製品も避ける[13]。
ヴィーガニズムが動物の商品化を不可能でない限り排斥し、あらゆる目的での動物製品の使用を忌避するのに対し、プラントベース・ダイエットは食事から動物製品を排除するだけにとどまる[注 2]。また、環境保全目的で部分的にヴィーガニズムを実践する人々は、畜産業が環境を破壊しているため持続可能でないという考えから拒否している。ただ彼らの主張は、ヴィーガニズムの定義と全く乖離しており、とくに日本では商業主義者がヴィーガニズムを「消費者が買うことのできる出来合いのアイデンティティー」としてモラルハイジャックしているという指摘が海外のヴィーガンから上がっている[14]。
英国ビーガン協会の定義によれば、「衣食他全ての目的に於て‐実践不可能ではない限り‐いかなる方法による動物からの搾取、及び動物への残酷な行為の排斥に努める哲学と生き方」である[4]。
ヴィーガン (vegan) という単語は、1944年のイギリスにおいてヴィーガン協会の共同設立者であるドナルド・ワトソンによって造語され[注 3]、ヴィーガン協会は卵や乳製品の摂取にも反対していた。1951年、ヴィーガン協会は「ヴィーガニズム」の定義を拡大し、「人間は動物を搾取することなく生きるべきだという主義」の意味だとした[17]。1960年、H・ジェイ・ディンシャーはアメリカ・ヴィーガン協会を設立し、ヴィーガニズムをジャイナ教のアヒンサー(生物に対する非暴力)の概念に結びつけた[18]。
ヴィーガニズムの運動は年々拡大を遂げている。ヴィーガンのレストランも増加しており、ヴィーガンが運営するヴィーガン企業への出資も非常に活発である[19]。
現在のヴィーガンの主な食生活であるプラントベース・ダイエットにかかわる情報としては、ボクシング、柔術、テニス、サーフィン、陸上競技、アメリカンフットボールなど、ありとあらゆるスポーツ選手がプラントベース・ダイエットを実践している他、アイアンマン・トライアスロンやウルトラマラソンなどの耐久競技のトップ選手の中にも、プラントベース・ダイエットを実践する者がいる[20]。ただしこれらは身体のコンディショニングのための食事であり、ヴィーガンとは直接的な関わりは無い。
アメリカ栄養士協会とカナダ栄養士協会は、栄養のバランスが充分考慮されたヴィーガン食は、ライフサイクルのどの段階でも適合できる食事だとしている[21]。バランスを充分考慮したプラントベース・ダイエットは、心臓病など数多くの慢性疾患に対して予防効果があると言われている[22]。また、カナダ小児医師会は、適切な注意を払ってよく計画されたヴィ―ガンの食事は、胎児、乳児、子供および青年期の成長のすべての段階で健康的なライフスタイルを提供できると結論付けた[23]。
プラントベース・ダイエットは、食物繊維、マグネシウム、葉酸、ビタミンC、ビタミンE、鉄分、フィトケミカルの含有量が高く、カロリー、飽和脂肪、コレステロール、長鎖オメガ3脂肪酸、ビタミンD、カルシウム、亜鉛、ビタミンB12が低い傾向がある[24]。
ビタミンB12は、土壌に含まれている場合も多く、温室栽培、室内栽培、水耕栽培など管理されきった場所で栽培された植物性の食物には、ビタミンB12がほとんど含まれていないため、ヴィーガンはビタミンB12が強化された野菜などを意図的に摂取する必要があるとされている[25]。同時に、栄養強化食品やサプリメントを摂取しない場合であってもビタミンB12欠乏症の症状がみられないとする研究もある。
菜食は、心不全、大腸癌、高コレステロール血症、高血圧、前立腺癌、脳梗塞になりにくいとされ[26]、きちんとバランスが取れていれば、健康によく必要な栄養素をとることができるとされている[27]。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のように、キャンパス内のすべての食堂に菜食メニューを設定したうえ、ヴィーガン専用食堂を設置する機関もある。[28]ミシガン州立大学の研究では、赤み肉や加工肉は健康寿命を減らしてしまうとされており、菜食料理は健康寿命に良好な影響をもたらすとされる。[29]
研究によれば、全世界の人口がヴィーガンになると、食品関連の温室効果ガス排出量が70%減少するほか、世界で年間810万人が死亡せずにすみ、年間7000~1000億ドルの社会的負担が減少するという。[30]
訳語
完全菜食主義者・絶対菜食主義者などの訳語はヴィーガニズムの定義に正確に合致しておらず、ヴィーガンという言葉に対する認識の違いが生じている。
『研究社 医学英和辞典第2版』では、veganの訳語を「完全菜食主義者(の) 超純粋派ベジタリアンの」としている[31]。『栄養・生化学辞典 普及版』では「菜食主義者」の項に、「卵、乳は摂取する vegetarian と、それも拒否する完全菜食主義の vegan がある」と記載している[32]。『英和・和英 栄養・食糧学用語集』では、vegan/veganismの訳語は「菜食主義/菜食主義者 【徹底した】」である[33]。『医学書院医学大辞典第2版』では、新保愼一郎によって書かれた「菜食主義者」の項目に、「南アジアの厳格な殺生戒の仏教徒のように動物性食品を全く口にしない菜食主義者(ビーガン)〔ママ〕」とある[34]。
『メイヨー・クリニック健康医学大事典』では「厳格な菜食主義者(絶対菜食主義者)〔ママ〕」とある[35]。『家政学用語辞典』では、「厳格な完全菜食主義〔ママ〕」とある[36]。
『医と食』の菜食主義者の類型を説明した論文では「ビーガン(ヴィーガン・vegan)〔ママ〕」という小項目に「ビーガンは、ストリクト・ベジタリアン、ピュア・ベジタリアン、トータル・ベジタリアンなどとも呼ばれます。『絶対菜食主義者』、『完全菜食主義者』という訳語をみることもあります〔ママ〕」と記載されている(『医と食』は、国立健康栄養研究所・理事長の渡邊昌が管理栄養士向け雑誌として創刊)[13] 『Vegetarian research』に掲載された菜食主義者の類型を示す論文では、「vegan(ビーガン:純菜食、完全菜食)〔ママ〕」と記載され、しかるべき用語はビーガン協会など「ビーガン」で記載されている[37]。
腸内細菌の研究を行っている理化学研究所の辨野義己らは、論文名で「完全菜食主義者〔ママ〕」とし「野菜ジュースのみを長期間摂取している菜食主義者」の研究報告を行っている[38]。食事療法家で医師の甲田光雄は、論文名に「完全菜食療法」という用語を入れている[39]。
なお、ヴィーガニズムは食事に限らないので、ヴィーガン達の多くは「菜食主義」という言葉の代わりに「脱搾取主義」や「脱搾取主義者」を使っている。[40]
歴史
ベジタリアンという言葉の誕生
菜食主義は古代インドや古代ギリシアまでさかのぼることができるが、肉食を避ける人々の呼び方として「ベジタリアン」(vegetarian、菜食主義者)という英語が使われるようになったのは、19世紀に入ってからである[41]。『オックスフォード英語辞典』では、この単語の初期の使用例として、1839年にイングランドの女優ファニー・ケンブルが米国のジョージアで使用した例を挙げている[42]。この時期のベジタリアンという言葉では、肉だけでなく卵と乳製品も避けたり、いかなる目的でも動物の利用を避ける人々を指す言葉として使われ、より厳格な完全な菜食主義者も指していた[43]。
このころ、ヴィーガンまたは厳格な菜食者のコミュニティを設立しようという試みが何度もあった。1834年、ルイーザ・メイ・オルコットの父であり超越主義者としても知られるエイモス・ブロンソン・オルコットは、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンに、厳格な菜食主義を実践するテンプル・スクールを建てた[44]。オルコットはまた、1844年にマサチューセッツ州ハーバードにて、農業を含むあらゆる動物の利用に反対するためのコミュニティのフルーツランズを設立したが、こちらは7か月しか続かなかった[45]。
一方、イングランドでは1838年にJames Pierrepont Greaves (1777-1842) がサリー州ハムにて、厳格な菜食主義を実践するためのコミュニティのオルコット・ハウスを設立した[46]。その会員が1847年に畏全英・ベジタリアン協会の設立に関り、同年9月にケント州ラムズゲートのノースウッド・ヴィラで初の会議を開催した[47]。なお、この時の会合で議長を務めたのはサルフォードの議員であるJoseph Brothertonである[47]。
ヴィーガニズムへの移行
健康への影響からではなくむしろ道徳的側面から菜食主義を実践してきた者たちは、動物の利用を完全にやめようと議論しはじめた。全米ベジタリアン協会の1851年の会誌には皮革に代わる靴の素材についての議論が掲載された[49]。
1886年、イングランドの運動家ヘンリー・ソルトが執筆した A Plea for Vegetarianism (菜食主義の請願)が出版され、道徳上、菜食主義は必須だと説いた。のちにソルトは動物福祉から動物の権利へパラダイム・シフトした最初の一人として知られるようになった[50]。彼の著作はマハトマ・ガンジーにも影響を与え、二人は親しくなった[48]。1910年には、英国史上初のヴィーガン向け料理本となるNo Animal Food: Two Essays and 100 Recipes(Rupert H. Wheldon著)が出版された[51]。歴史学者のリア・レネンマン (Leah Leneman、1944-1999) は、1901年から1912年の間、協会の大多数が卵や乳製品に対する見解を同じくしていたと記している。当時のある会員は「殺す必要のある雄鶏が数羽いなければ卵は手に入りません」と述べている[52]。協会内での見解は統一されないままだったが、1923年の会誌に「動物製品を断つことは菜食主義者として理想的な立場である」という内容の記事が掲載された[53]。
1931年11月には、ロンドンでベジタリアン協会の会議が開催され、ソルトを含む会員約500人が参加し、マハトマ・ガンジーが The Moral Basis of Vegetarianism (菜食主義の道徳的基礎)という題で、健康のためだけではなく、道徳の問題として肉のない食事を勧めるのが、協会の使命であることを語った[54]。ガンジーはロンドン留学当時のベジタリアンが食と病のことばかりを話題にしていたとし、次のように語った。
「健康上の理由から菜食を実践することは、一番ひどい方法です。病苦など、つまり単純に健康上の理由から菜食主義を実践する人の多くはこの食習慣から退却することにわたしは気づきました。菜食主義を貫くには、道徳的な基礎が必要なのです。」と宣う医者であった。[55]
オルタナティブ・ムーブメント
1960年代~1970年代に、米国で高まった対抗文化、ヒッピームーブメントの流れを受けて、既存の食事、環境、農産物生産者への懸念を表明する菜食主義者たちの運動があらわれ、有機食品への関心が高まった。当時、最も影響力があった著作は、1971年に出版されたフランシス・ムア・ラッペの「小さな惑星の緑の食卓」で、「食物連鎖の頂点から降りること」を提案[56] したこの本は300万部以上を売る成功を収めた。
1970年代後半より、医学者ジョン・A・マクドゥーガル、コールドウェル・エセルスティン、ニール・バーナード、ディーン・オーニッシュ、Michael Klaper、Michael Greger、栄養学者コリン・キャンベルらは、動物性脂肪や動物性タンパク質を中心とした、標準的なアメリカの食生活は体に悪いと主張し始めた。代わりの彼らの提案は、低脂肪で植物中心の食事によって、冠状動脈型の心臓病や糖尿病、ある種のがんといった生活習慣病を予防したり回復できるということである[57]。 CNNの番組に専門家として度々出演する医学者のサンジェイ・グプタはキャンベルの『チャイナ・スタディー』は世界中の人々の食生活を変えたと述べている[58]。
1980年代にはヴィーガニズムはパンク・ロックと結びついた。米国ではストレートエッジのハードコアパンク、英国ではクラスなどのアナルコパンクと関連するようになり、音楽的メッセージやライフスタイルによって大衆に影響を与えるようになった。この影響はイベントなどを通じて、21世紀の現在に至るまで続いている[59]。
2010年代
2010年代に入ると、ヴィーガニズムはさらに一般に受け入れられるようになり、ヴィーガン料理のメインディッシュも一般的になり、料理のメニューにヴィーガン向けの表示を掲載するレストラン・チェーンも登場した[60]。ヴィーガニズムへの関心はウィキペディアの閲覧数にも表れていた。英語版のヴィーガニズムの記事は2009年8月の時点で73,000 回閲覧されたのに対し、2013年8月の時点では閲覧数が145,000回に伸びていた。これは、同時期の英語版・フランス語版・ドイツ語版・ポルトガル語版・ロシア語版・スペイン語版ウィキペディアにおける菜食主義の記事の閲覧数よりも大きな数字である[61]。
2010年には、オランダでベジタリアン向けに代替肉を販売する De Vegetarische Slager が開店し[62]、2011年にはヨーロッパで初めてのヴィーガン向けスーパーマーケットがドイツで開店した。また、ドルトムントには Vegilicious という店が開店し[63]、Vegilicious系列のスーパーマーケット Veganz が2011年にベルリンで開店、他地域にも店舗を展開している[64] 。そして2013年、伝統的に肉料理がふるまわれてきたオクトーバーフェストで、200年の歴史の中で初めてヴィーガン向けの料理がふるまわれた[65]。
近年では、パームヤシから採取されるパームオイルが、その栽培過程で熱帯雨林や原生林を大規模に伐採して植林して栽培する事から、野生動物の生息地を奪うだけでなく、生態系全体を破壊してしまう事から、食肉生産のための動物を飼育する牧場をつくる事と等しく、世界中で問題となっている為、パームオイルを使用している食品や洗剤なども避けているの者も多く、動物性食品だけではなく、植物性食品であっても、その成分や製造過程にも配慮が必要となってきている。
ヴィーガンの人口
2012年のギャロップの調査によると、アメリカ国民の2%がヴィーガンであると自認しているという[66]。2017年には、ReportBuyerに掲載された記事によると、アメリカ国民の6%がヴィーガンであるという[67]。イギリスでは2007年の時点で、豆腐と肉の代用食品の売り上げが7億8,650万ポンドで、2012年に行われた政府の調査に対し2%の国民がヴィーガンであると自認していると回答した[68]。
オランダ・ヴィーガニズム協会は、2007年の時点で全国民の0.1%にあたる1万6千人がヴィーガンであることを自認していることを発表した[69]。ドイツ・ベジタリアン協会は2013年の時点で、全国民約8200万人のうち、80万人がヴィーガンであることを自認していることを発表した[65]。イスラエルで2014年に行れた調査でも、全国民の5%近くがヴィーガンであることを自認していることが判明した[70]。
国 | ヴィーガン (%) | データ調査年 |
---|---|---|
カナダ | 2.3% | 2016[71] |
フィンランド | 0.5% | 2013[72] |
ドイツ | 1.6% | 2018[73] |
イスラエル | 5% | 2015[74][75] |
イタリア | 0.6% – 2.8% | 2015[76][77] |
日本 | 2.7% | 2016[78] |
ポーランド | 1.6% | 2013[79] |
ポルトガル | 0.6% | 2017[80] |
スロベニア | 0.3% – 0.5% | 2007/2008[81] |
スペイン | 0.2% | 2017[82] |
スウェーデン | 4% | 2014[83] |
スイス | 3% | 2017[84] |
イギリス | 7% | 2018[85] |
アメリカ | 6% | 2017[86] |
ヴィ―ガンの著名人
- ノバク・ジョコビッチ ビッグタイトルを、史上最多の63獲得しているテニスプレイヤー。ヴィ―ガンになった理由は倫理的なものだとし、動物の屠殺に耐えられないこと、気候変動への配慮などを挙げている[87]。しかし自身へのヴィーガンというラベル付けはしばしば誤解され、誤用される可能性があるために好まず、またヴィーガンという言葉も好きではないため、自身は「「プラント・ベース」と呼ばれるのを好むとしている[88]。
- J・M・クッツェー ノーベル賞受賞作家。アニマルライツ運動を支持している。[89]
- ティク・ナット・ハン ベジタリアンとして知られているベトナムの禅僧活動・活動家。しかし、「ベジタリアンでいるということは、乳製品や卵も消費しないことを意味します。なぜならそれらは畜肉業界の生産物だからです。もし私たちが消費をやめれば、彼らは生産をやめます。集団的自覚のみが行動への充分な決意を創り出すのです。」と述べており、本来ヴィーガニズムと同義の、健康も環境もスピリチャルも似非科学も一切関係ない通常のベジタリアニズムを主張していることから、ヴィーガンと認められる[90]
- アンジェラ・デイヴィス アメリカ合衆国の学者・活動家。黒人差別と動物差別は同根だとして、自身がヴィーガンであることを明言している。また差別問題を解決したいのなら、ヴィーガニズムは避けることはできないと主張している[91]
- ビリー・アイリッシュ ミュージシャン。12歳の時からヴィ―ガンを実践。ラグジュアリーブランドに「毛皮の使用しないでほしい」と嘆願し、毛皮廃止を実現させた[92]。
- ホアキン・フェニックス 俳優。動物の権利団体PETAのサポーターであり[93]、映画「ジョーカー」でアカデミー主演男優賞を受賞した際、「この機会を声なきもののために」と述べ、畜産利用される乳牛の窮状に言及し、動物の権利やジェンダーの不均衡や人種差別は、不正義に対する戦いなんだとスピーチした[94][95]。
- リバー・フェニックス 俳優。弟のホアキン同様、子供のころからヴィ―ガン。熱帯雨林を購入するなどの環境保護活動家であると同時に動物の権利の擁護者であった[96]。
- ナタリー・ポートマン 俳優。「動物は食事ではなく感情のある生き物だ」という考えから9歳の時ヴィ―ガンになった[97]。「植物はかわいそうではないのか?」との質問に「植物は痛みを感じない」と答えている[98]。動物の権利団体PETAのビデオで主演し[99]、2019年には工場畜産の問題をテーマにしたドキュメンタリー映画「EATING ANIMALS」の、制作とナレーションを務めた[100]。
- アリアナ・グランデ ミュージシャン。2013年にドキュメンタリー映画『フォークス・オーバー・ナイブズ~いのちを救う食卓革命』を観てから、もともと動物好きなこともあり、ヴィーガンになった[101]。
- ウディ・ハレルソン 俳優。30年以上ヴィ―ガンであり、2019年、動物の権利団体PETAと協力して、テキサスで毎年開催される豚のロデオに抗議した[102][103]。
- トビー・マグワイア 俳優。2009年にヴィ―ガンになった。インタビューで「"肉が食べたい "と思ったことは一度もないんです。むしろ、子供の頃は、肉を食べるのが本当に辛かった」「肉を食べる人を批判するつもりはないけれど、なんとなく嫌なんです」と述べている。また、自宅に入る人には革製品を取り除いてもらうようお願いしている[104][105]。
- ビル・クリントン 第42代アメリカ合衆国大統領。心臓病を患ったことから、2010年から、食事をヴィ―ガン食に変更している[106]。
- 小松原美里 アイスダンス北京五輪代表。子宮付近に腫瘍ができたことがきっかけでヴィ―ガンになった。スケート靴も非動物性の「ビーガンレザー」を使用しており、この靴で銅メダルを獲得している[107]。
各国・地域のヴィーガニズム
この節の加筆が望まれています。 |
アメリカ
アメリカでは、ヴィーガンの比率は2009年には1%であったが、2013年には2.5%、2017年には6%と10年弱で6倍になっている[108][109][110][111][112][113]。
2018年にはマクドナルドがヴィーガン対応のバーガーをアメリカ本国でも発売することを決定した[114]。またAndroid P Beta 2でGoogleの絵文字がアップデートされた際には、サラダの絵文字から卵が除かれヴィーガン対応のサラダの絵文字になる[115] など、ヴィーガンの人々に配慮する企業が増えつつある。
オーストラリア
オーストラリアでは2015年から2016年にかけて「ヴィーガン」の単語が最も検索された[116]。
インド
インドでは元々ジャイナ教を始め宗教的理由で菜食を選択する人間が多いこともあり、特にグジャラート州とマハーラーシュトラ州では人口の4%以上がヴィーガンであるとされている[117]。
中東
2022年1月、中東初のビーガンフードフェスティバルがドバイで開催された[118]。投資家で起業家でもある、サウジアラビアの王子Khaled bin Alwaleedはビーガンで、昔はトロフィーハンティングをやっていたが、現在は動物園にも反対、植物ベースの食料システムに投資し、ソーシャルネットワークで動物擁護団体PETAをリツイートするなどして、積極的に動物の権利を発信している[119][120]。
台湾
中華民国では台湾素食という菜食文化があり[121]、台湾政府がこれを認めている[122]。台湾の素食は「肉、魚介類、五葷、卵、乳製品」を使用しないというものであり[123]、ヴィーガン対応の料理でもある。台湾において比較的ヴィーガン人口が多いことからティージーアイ・フライデーズ台湾は台湾でビヨンドバーガーを販売する方針である[124]。
日本
日本ベジタリアン協会はヴィーガンを「動物に苦しみを与えることへの嫌悪から動物性のものを利用しない人」と定義しているが、実際には日本ではヴィーガンを「健康食」として認識するものも少なくない[125]。
政治的な思想との関連についての意見もある。速水健朗はヴィーガンを左翼的な「食に関しての理想主義者」と主張している[126]。もっとも左派にもヴィーガニズムに否定的なものは存在し、例えば日本共産党と連携している左翼団体対レイシスト行動集団[127] がヴィーガニズムを民族差別に繋がると主張[128] するなどしている。
右派の流れとしては、神道や仏教の影響を受けた獣肉食忌避の歴史を背景にしているものがある。動物の権利を菜食(精進料理)と関連付けて述べた人物としては、古くは空海がいた。
一切衆生は皆是我が四恩なり。無明愚癡に因るが故に、彼の血肉を愛して其の命根を断つ。此の愚癡の罪に坐(つみ)せらるるが故に、畜生の果を感す。 — 十住心論
戦後には宗教右派に大きな影響を与えた生長の家の初代総裁である谷口雅春が生命尊重の観点から肉食への反対を主張していた。
「世界の平和も、肉食の廃止から」といいたいのでありますが、政府が肉食を奨励して牛肉なども国費を使って大量に輸入しているのだから、我々の思想が政界を浄化しない限りは、国内の闘争も、世界の戦争もなかなかおさまりそうにないのであります。(略)平和論をなすもの、本当に平和を欲するならば、肉食という殺生食をやめる事から始めなければならないのであります。 — 『心と食物と人相と』
この谷口雅春の主張は肉だけでなく魚や鶏卵、乳製品の摂取をも好ましくないというヴィーガニズムに近い考えで、堕胎や優生学に対して反対の立場を鮮明にしていた生長の家のプロライフ(生命尊重)思想から来るものであった。生長の家はヴィーガニズムに好意的で機関誌にヴィーガン料理店への取材記事を掲載している[129]。
右翼的な政治主張をしている人物としては憲法無効論を主張している南出喜久治が「人間が肉食から離れて直接に穀物を食べれば、世界の食料事情は著しく改善される」と述べて肉食に否定的な見解を示している[130]。また、エコロジー右翼団体の新政未来の党はアニマルライツ活動をしている学生運動家の文章を機関誌に掲載[131]している。
ただし、1980年代以降に拡大した国内のヴィ―ガニズムは、政治や宗教からは離れた市民運動が主流となっている。以下の団体はいずれも特定の政治や宗教組織に属していない。
PETA Asiaは動物の権利団体として世界最大規模のPETA(1980年設立)のアジア支部で、日本を含むアジアの15の国を対象にヴィ―ガン普及活動を展開している[132]。日本での活動初期は街頭デモンストレーションや書簡による企業への抗議を[133][134][135][136][137]、2020年以降は日本国内の複数の畜産施設の内部告発[138][139][140]を行い法的手段を用いるなどして、ヴィ―ガンになるよう呼び掛けている。
PETAなどの欧米における運動の影響をうけた[141]団体として、1987年に創設されたNPO法人アニマルライツセンターがある。同団体の目的は動物利用を前提とした畜産動物福祉の向上運動[142]であり、ヘンリー・ソルトによる動物の権利へのパラダイム・シフト以前の方針だが、ヴィ―ガンレシピなどの情報も発信している[143]。
1993年に発足した認定NPO法人日本ベジタリアン協会は、官庁にベジタリアン・ヴィ―ガンのJAS規格の新設を提案したり、各地でヴィ―ガンイベントやヴィ―ガニズムの講演会を開催するなどの活動を行っている[144]。
2010年に設立された一般社団法人Life Investigation Agency(LIA)は所属する職員全員がヴィーガニズムを実践した生活をしていることを公表し、動物の権利や自然環境を尊重する活動を行っている[145]。全国の小学校や中学校などを中心に無料で授業を行ったり、動物に対する犯罪や自然環境に対する犯罪行為の刑事告発を3500件以上おこなったりなどしている。
2013年に発足したNPO法人ベジプロジェクトジャパンは各地の大学食堂にヴィーガン対応の料理をメニューに入れる学生運動[131] やヴィーガン料理店の記された地図の配布[146] を行っている。
その他、複数の団体や個人が、動物利用の問題に警鐘を鳴らす啓発活動を各地で展開している。
日本におけるヴィ―ガンの普及
- 2017年3⽉から、内閣府は毎週⾦曜⽇をミートフリーの⽇として、ベジタリアン・ヴィーガンメニューを提供[147]。
- 2019年11月、ベジタリアン・ヴィーガン関連制度推進のための議員連盟発足。会議ではヴィ―ガン料理が提供された[148]。
- 2021年4月から、東京都台東区が、全国の自治体初のヴィ―ガン認証制度を開始[149]。翌年同区は区内のハラール・ヴィーガン・ベジタリアンメニュー対応店舗を紹介する「食の多様性対応マップ」を作成した[150]。
- 2022年4月から、東京都庁職員食堂(一般開放)で、毎週月曜日にベジタリアン対応の料理、第三月曜日には完全菜食のヴィ―ガン食を提供開始[151]。
- 2022年5月から、世界79か国で普及する英国ヴィーガン協会の認証マークのサービスが開始[152]。
ヴィ―ガン普及の動きがある一方で、近年では堀江貴文が「ヴィーガンを潰す」と発言[153] するなど、ヴィーガンへの反感を表明(ヴィーガフォビア)する人も出てきている。
動物製品の忌避と関わり方
動物製品の忌避
19世紀から20世紀初めのベジタリアンは健康上の理由で動物製品(畜産副産物)を避ける者と倫理上の理由で避ける者に分かれていたが、その状況は依然としてそのままである。 プラントベース・ダイエットは、肉・魚・卵・乳製品を摂取しないように心掛ける一方、動物由来の成分が含まれている衣服や化粧品を使うことは許容する[154]。 それに対しヴィーガンは、食物や衣服、娯楽などあらゆる目的での動物の商品化を拒否している[155]。 全英ヴィーガン協会は、動物実験を含む動物の利用を可能な限り避けた製品だけを認定している[156]。
動物由来の製品には獣肉や鶏肉、海産物、卵、乳製品、はちみつ、毛皮および皮革、ウール、シルクなどのほかに、あまり知られていないものとして蜜蝋、骨灰、ボーンチャイナ、コチニールカイガラムシおよびその虫から採取される色素、カゼイン、ゼラチン、アイシングラス、ラノリン、ラード、レンネット、コチニールとは別のカイガラムシから採取されるシェラック、ヘット, 乳清、黄色油脂などがあり、これらの多くは完成品の原材料リストに記載されていないこともある[157]。
また、ヴィーガンは、動物実験が行われた製品の購入も避けている。彼等は毛皮のコートや革靴、皮革製の車用シート、ウールのジャンパー、シルクのスカーフ、カメラフィルム、ダウンやフェザーの入った羽毛布団の購入を避けるほか、場合によっては製造時に鶏卵を用いるインフルエンザ用ワクチンといった特定のワクチンの使用も拒んでいる。ただし、状況によってはヴィーガン向けでない製品をチャリティ目的で購入したり、使い古すこともある。 ウールの代用品には、アクリル、綿、麻、レーヨン、ポリエステルなどがある。一部のヴィーガン向けの衣服や、靴、もしくは皮革の代用品としてヴィーガンらの間では石油由来の原料が愛用されているが、これらの原料は製造時に地球環境へ大きなダメージを与えるため、論争の火種になっているが[158]、近年では、プラスチックなどの石油由来の製品による海洋汚染などが大々的に報道されるようになってきており、世界的に石油由来の製品から自然な素材への移行傾向があり、パイナップルレザーなどの開発も進んでいる為、この問題も次第に縮小して行くと思われる。
卵、乳、はちみつ、絹との関わり方
ヴィーガンは卵・乳製品・はちみつ[159]等の製造時に動物を苦しめたり早すぎる死をもたらすことから、ヴィーガンはこれらの製品を避けている[160]。
詰め込まれて飼われていようが(バタリーケージ)、放し飼いにされていようが、雄鶏は卵を産まないため経済的な利益がないとみなされ、多くの雄鶏が殺処分される[161]。
乳牛から搾乳するにも、授乳期を延ばすために人工授精という形で常に牝牛を妊娠させる必要がある。牡の仔牛は生まれてすぐ、もしくは肉牛として育てられてから食肉処理される。牝は生まれてすぐ24時間から48時間以内に母親から引き離されて育てられる。残された母牛には搾乳機が取り付けられ、結果として乳牛は人間から搾取されているということになる[162]。 野生の牛は20年まで生きるが、家畜として飼育されている牛は5年で屠られ、ひき肉へと加工される[163]。 これはヤギにも当てはまる[164]。
昆虫を加工した品も避けるべきだという考えに賛同しない菜食主義者もいるが、ヴィーガンは、絹およびカイコ由来の製品を避けている[165]。現代の養蜂方法は残酷で搾取的であるという見解は多くのヴィーガンの間で一致している。蜂たちの食料の貯蔵物であるはちみつを搾取する代わりにコーンシロップや砂糖を摂取という方法がとられており[166]、リュウゼツランを原料とするアガベシロップもヴィーガンの間で愛用されている[167]。Vegan Society と American Vegan Societyは蜂蜜や絹など昆虫由来の製品の使用はヴィーガンにはふさわしくないとする一方、Vegan Actionと Vegan Outreachは個人の自由という見解を示している [168]。
はちみつの代替として、植物由来のアガベシロップを用いる。ヴィーガンにとって、アガベシロップは大切な甘味調味料となっている[169][170]。
日常の食生活
ヴィーガン向けの料理には、チリスープ、ラタトゥイユ、ファラフェル、フムス、ヴェジー・ブリトー、ライス・アンド・ビーンズ、野菜炒め、ヴェジーバーガー、パスタ・プリマヴェーラといったパスタ料理が挙げられる。
大豆は完全タンパク質を含んでいるため[171]、豆乳や豆腐、テンペ、代替肉といった形で使用される。にがりを加えて作られる豆腐は水分含有量によって硬さが異なり、それぞれに適した調理方法があるほか、豆腐を柔らかくしたり滑らかにしたものをサラダドレッシングやスイーツ、シェイクの材料にすることができ、植物性タンパク質はしばしばパスタのソースに用いられる[172]。
また、麩(小麦のグルテン)も蛋白源としてしばしば利用される。 グルテンミートといった代替肉は、小麦や大豆のグルテンを原料としており、ベジタリアン・ソーセージやベジタリアン・ミンス、ヴェジーバーガーといった、ベジタリアン向けの食品に加工される。
乳製品の代用品
豆乳やアーモンドミルク、ココナッツミルク、植物性ミルク(コメやオートムギなどを原料としたものが有名)が、牛や山羊の乳の代わりに用いられ、その中でも豆乳とアーモンドミルクは比較的手に入りやすい方である。ただしアーモンドに関しては生産にミツバチを酷使するため避けるべきではないかという議論もある[173]。
牛乳1カップ(250ml)につき8gのたんぱく質が含まれているのに対し、豆乳は1カップにつき7gのたんぱく質が含まれている。その一方で、アーモンドミルクはカロリー・タンパク質共に控えめである[174]
動物の乳や肉同様、豆乳には完全タンパク質が含まれており、飲むと必須アミノ酸の摂取にもつながり、必要なたんぱく質全部をとることができる[171]。 ただし、母乳の代わりとして乳幼児に豆乳を与えることはできず、母乳を与えない場合は牛乳、または豆乳ベースの乳児用ミルク(SBIF)を与える必要がある[175]
成分 | 全乳[176] | 豆乳[177] |
---|---|---|
エネルギー密度 (cal/235ml[178]) | 149 | 80 |
脂肪分 (g) | 7.9 | 4 |
飽和脂肪量 (g) | 4.6 | 0.5 |
コレステロール (mg) | 24 | 0 |
ナトリウム (mg) | 105 | 100 |
カリウム (mg) | 322 | 300 |
炭水化物 (g) | 12 | 4 |
タンパク質 (g) | 8 | 7 |
アナログチーズはナッツやタピオカでできており[179]、Daiyaという商品は風味や溶けやすさにおいて通常のチーズと変わらない[180]。 ニュートリショナル・イースト[注 4] はチーズに近い風味をしており、ヴィーガン料理においてチーズの代用品として広く使われている[181]。チーズの代用品は家庭でも作ることができ、Joanne StepaniakのVegan Vittles (1996), The Nutritional Yeast Cookbook (1997), The Uncheese Cookbook (2003), Mikoyo SchinnerのArtisan Vegan Cheese (2012)などにレシピが掲載されている[182]。 たとえば、あるヴィーガン向けブリーチーズは、カシューナッツと豆乳と豆乳ヨーグルト、ココナッツオイルから作られている[183]。 また、Earth Balanceといったヴィーガン向けマーガリンも存在する[184]。
卵の代用品
卵を使わないマヨネーズ風調味料のブランドには、Vegenaise, Nayonaise, Miso Mayo, and Plamil's Egg-Free Mayoが挙げられる[185]。 マヨネーズ製造において、卵は増粘剤・つなぎとして入れられる。加熱することにより、卵のたんぱく質の粘り気が増し、他の材料をつなぎ合わせる[186]。 卵1個分の代わりに、挽いた亜麻仁をテーブルスプーン3杯分入れ、亜麻仁3:水1の割合で混ぜ合わせてできたものは、増粘剤とつなぎの役割を持つ。また、Bob's Red MillやEner-G eggといった市販品も卵の代わりとして使うことができる[187]。 ヴィーガン向けのパンケーキには、卵の代わりにベーキングパウダーが使われる[188]。 このほかにも、きなこ1:水1を混ぜたものや、潰したバナナもしくはプルーンないしは林檎ソース4分の1カップ、裏ごしした豆腐や潰した芋[189]、もしくは小麦粉をテーブルスプーン4杯分・植物油1杯・水2杯・ベーキングパウダー半杯分を混ぜてこねたものや[186] 滑らかにした豆腐やマッシュポテトも卵の代わりとして生地に加えられる。
ヴィーガンの栄養群
医療関係者でつくるNPO団体責任ある医療のための医師の会 (PCRM) は、1991年より果物・豆類(豆、えんどう豆、レンズマメ、ラッカセイなど)、穀物、野菜からなる新四大食品群を取り入れたコレステロールを含まない・低脂肪の完全菜食の推奨を続けてきた。PCRMは一人当たり一日に3皿以上の果物(かんきつ類やメロン、イチゴなどビタミンCの豊富な食べ物は一日1皿以上)と、たんぱく質を豊富に含む豆類2つ以上(豆乳・豆腐・テンペなど大豆加工品のような)、5皿以上の全粒穀物(トウモロコシ、大麦、米、小麦のような。加工品としてはパンやトルティーヤといった)、4皿以上の緑黄色野菜(ブロッコリやニンジン、サツマイモのような)を摂取することが望ましいとしている[190]。
PCRMのヴィーガン向け食品群はアメリカ合衆国農務省 (USDA) が1956年から92年までに推奨してきた四大食品群(肉・乳・野菜/果物・穀物およびその加工品)に代わるものとして作られた[191]。 1992年、米国農務省は四大食品群に代わってフードガイド・ピラミッドを発表し、2011年にはマイプレートとなり、これら食品を5つのグループに分けており、穀物・野菜・果物・乳製品・タンパク質(肉、鶏肉、魚介類・卵、豆類およびその加工品・ナッツや種子)から構成されている[192]。 また、イギリス政府も正しい食事プレートを推奨しており、5つの食品群(果物と野菜・いもやパン等の炭水化物・乳製品・肉/魚/卵/豆などのたんぱく質・脂質および糖分)からなる、このうち乳製品とタンパク質は大豆などの植物性たんぱく質のものからとってもよいため、ヴィーガンでもこれを実践することができる[193]。
栄養
ビタミンB12
ビタミンB12は、細胞分裂、赤血球の生成及び成熟分裂、DNA合成、神経の正常な動作に必要とされており、細菌によって合成されている。ビタミンB12が欠乏すると重大な健康問題となり、神経が損傷するだけでなく、巨赤芽球性貧血に陥ることもある[195]。 ヴィーガンはもちろん、ベジタリアンでさえビタミンB12強化食品やサプリメントを摂取すべきだという合意が栄養士の間にある[196]。 多くの場合に(少なくとも欧米では)ヴィーガンが植物中心の食生活からビタミンB12を摂取することは難しいということが、ヴィーガニズムへの反論としてしばしば指摘される[197]。
ビタミンB12の生成は、細菌やきのこ・藻類といった微生物が行っているため、植物も動物も自分でビタミンB12を生成することはできない。
草食性の動物では、自分の第一胃において反芻することで細菌が生成したものを吸収したり、ウサギのように盲腸糞を食べることもある。肉食の動物ではこうした動物を食べることでビタミンB12の摂取源となる。 きちんと洗われていない植物には、土中の、特に糞の細菌に由来するビタミンB12が含まれる可能性がある[195]。特に発展途上国においては、飲み水にもこうしたB12を生成する細菌が含まれている可能性がある[195]。 栄養士のリード・マンゲルスらは、人間の体内の細菌は消化器官の中でビタミンB12を生成するが、その多くは吸収されることなく排泄されるため尿に少量含まれている程度だとしている。 医学研究者のジェームズ・ハルステッド (James Halsted) は、動物性たんぱく質の摂取が少量あるいはまったくないにもかかわらず、イランのある地域の住民から正常な濃度のビタミンB12が検出されたのは、一緒に暮らしている動物の排せつ物や人間の屎尿を肥料として利用し、その屎尿で育った作物が十分に洗われぬまま食べられていたからであることを、1960年代に行った調査で明らかにした。 人間の口もB12の摂取源となるが、大した量ではないうえ、B12に類似した非活性物質であることが多い[198]
欧米は衛生環境が整っているため、完全菜食ではビタミンB12不足を招きやすい傾向にある。 そのため、このような地域においてビタミンB12を摂取するには、サプリメントや栄養強化食品を食べる必要がある[199]。 サプリメントのビタミンB12は産業的に細菌合成したのものであり動物由来ではない。
ビタミンB12のRDA(μg)[200] | |
---|---|
0~6か月 | 0.4 |
7~12か月 | 0.5 |
1~3歳 | 0.9 |
4~8歳 | 1.2 |
9~13歳 | 1.8 |
14歳以上 | 2.4 |
妊娠中・授乳中 | 2.4~2.6 |
サプリメントや栄養強化食品を摂取していないヴィーガンに関するいくつかの研究にてビタミンB12欠乏症の症状がみられなかったことから、ヴィーガン達のコミュニティーの間では、このような栄養補助食品の必要性を疑問視する声も上がっている[201]。
マンゲルスらによれば意見の相違は、こうしたサプリメントを摂取しなかったヴィーガンに対する長期的な調査が皆無なことや、ビタミンB12を測定する標準的な手段がないことが原因だとしている[202]。また、もしビタミンB12を含むサプリメントや栄養強化食品を摂取しなかった場合、数十年かかるかもしれないが欠乏症になるだろうとしている[202]。
また、ビタミンB12が含まれる食品として、味噌やテンペといった発酵食品、アラメやワカメ、海苔、昆布、スピルリナといった海藻、葉野菜や穀物・豆類には、ビタミンB12があり、さらに言えば雨水にも含まれている。 麦芽シロップ、シイタケ、パセリ、サワードウにもB12は含まれているが、これらの食品に含まれるB12は非活性のものであると見られている[194]。
タンパク質
タンパク質はアミノ酸で構成されている。雑食性の動物は、タンパク質の3分の1を植物から摂取しており、ラクト・オボ・ベジタリアンはタンパク質の半分以上を植物から摂取していると、栄養学者のリード・マンゲルスは話している[203]。 動物性たんぱく質を摂取しないヴィーガンは、たんぱく質全てを植物性の食べ物からまかなっているということになる。このとき、人間の体内では合成できない必須アミノ酸も植物性タンパク質だけでまかなえるのかという疑問が生まれる[204]。
植物性たんぱく質は、大豆(豆腐・テンペ・豆乳等の加工品や枝豆など)やエンドウマメ、ピーナッツ、黒豆、ヒヨコマメ(ホムスなどの形で食べられることが多い)といった豆類や、キヌアや玄米、トウモロコシ、大麦、ブルグア、小麦(全粒パンやセイタンとして食べられる)といった穀物類、アーモンドや麻の実、ヒマワリの種といったナッツ類などに多く含まれている[205]。
また、その他の野菜や穀物などの植物性の食べ物にもたんぱく質は含まれている。
キヌアと大豆に関しては、いずれも必須アミノ酸を含んでいるため、完全たんぱく質の摂取に役立つ食べ物と言える[206]。
マンゲルスらは、1日に必要なたんぱく質を大豆から摂取することで、生物学的に見て体内に必要な分のたんぱく質を賄うことができるとし、アメリカ合衆国農務省が学校昼食プログラムで、肉由来にたんぱく質の食品を大豆由来のものに差し替えるかもしれないと付け加えた[171]。
必須アミノ酸全てを多く含む伝統的な料理には、ベリーズ料理のライス・アンド・ビーンズ、コーン・アンド・ビーンズ、ホムス、全粒小麦で作られたピタパンなどがあげられる。 従来、適切なタンパク質摂取を植物性の食品で確保するためには、足りない必須アミノ酸を補いあうように、一回の食事毎に様々なタンパク源を組み合わせて摂取すべきだとされていた。しかし、アメリカ栄養士会は、成人の場合、必要な必須アミノ酸は1日の間に摂取されていれば良く、一回の食事毎に全ての必須アミノ酸を取る必要はないという立場を1993年以来取っている[207]。
その他
ビタミンDは紫外線を浴びれば体内でも合成されるが、日照が制限されている場合に、適切でないヴィーガン食を続ければ欠乏症を起こすことがある[208]。ω-3脂肪酸は必須脂肪酸で、ヴィーガン食では比較的少ない[209]。
ヴィーガン向けグッズ・認定基準
全英ヴィーガン協会の定めるヴィーガン向けグッズの認定基準は、「動物由来の成分を使っておらず、製品および原材料の製造において製造元・支援者・下請けに至るまで動物実験が行われていない」ことである。協会のウェブサイトには認定を受けた企業や製品のリストが掲載されている[210]。 Beauty Without Cruelty は、ヴィーガン向け化粧品・トイレタリーの製造元として、ヴィーガンのコミュニティ内で広く知られている。この企業から認定を受けた企業には南アフリカの Esse Organic Skincareなどがある。 イギリスのAnimal AidやHonesty Cosmeticsはネット上でヴィーガン向けトイレタリーなどのグッズを販売している[211]。また、Kiss My Faceはイギリス・アメリカ・カナダで幅広くヴィーガン向けトイレタリーを販売している。バス用品などの販売を行うラッシュは、世界中に法人を持ち、ネット通販を行っている。ラッシュは自社製品の83%は動物由来原料不使用・動物実験なしだと主張している。カナダのHaut Mineralsはヴィーガン向けBBクリームといった製品を製造しており[212]、オーストラリアのThe Choose Cruelty Free のウェブサイトには、現地で手にはいるヴィーガン向け製品のリストが掲載されている[213]。
動物由来の原料は安く、化粧品において広く使われている。動物が食肉目的で屠られた後に残った物(骨・目玉・脳髄など)は加工されてさまざまな目的で使われている。特に脂肪は化粧品において広く使われている。 ヴィーガンは Animal Ingredients A to Z (2004) の情報を基に材料に動物由来のものがないか照らし合わせている。 たとえば、獣脂は石鹸の原料として広く使われており、コラーゲンから分離されたグリセリンは潤滑剤や保湿剤としてヘアケア用品や保湿用クリーム、ひげそり用クリーム、せっけんや歯磨き粉に使われている。植物由来のもので同じ働きをするものも存在するが、原材料名にグリセリンの表記がある場合はたいてい動物由来である。 羊のウールからとれるラノリンも広く使われ、リップクリームや保湿用クリームに入っていることが多い。ステアリン酸も現状のところ顔用クリームやひげそり用クリーム、シャンプーなどに入っている。グリセリン同様、こちらも植物から採取することができるが、動物由来のものが主流である。 動物の乳からとれる乳酸やヒドロキシ酸は保湿剤としてよくつかわれる。シャンプーや保湿剤、歯磨き粉に入っているアラントインは、牛の尿からとれるほか、植物のコンフリーからもとれる[214]。
子供への強制批判・健康被害・ニセ科学
授乳中の母親のビタミンB12欠乏症は、子供に深刻な欠乏症や神経障害をもたらすとされている[215]。必須脂肪酸のω-3脂肪酸、α-リノレン酸およびそれらの誘導体についても、これらの脂肪酸から変換されるドコサヘキサエン酸(DHA)が視神経や中枢神経系の発達に必須であるが、ほとんどのヴィーガン食では含有量が非常に低いため、妊娠・授乳中のヴィーガンの母親は摂取を補う必要があるとする研究がある[216]。
子供はバランスのよい食事を十分に摂る必要があるが、育児デマの一つである「子供へのヴィーガン食(完全菜食食)はよい」を行うと、ビタミンB12欠乏症によって嘔吐又は汎血球減少症が発生する。他にも、ビタミンB欠乏症で「くる病」になったり、精神神経の発達異常、低栄養状態のリスクがある。子供へのヴィーガン食という根拠のない除去食は育児する人に手間がかかるだけで、子供の健康を損ねるリスクがある[217]。
アメリカ在住でヴィーガン生活を送ってきた女性がアレルギーや過敏症などを発症し、体調が思わしくないため医師に食生活を見直して魚を食べるように言われ、涙を流しながらサーモンを食べる様子がtiktokと話題になった。後日、女性は新たな動画でサーモンとエビを食べたことを明かし、涙無しに食べたことと「なかなか美味しかった」と語っている[218]。
母親がヴィーガンであると、子供の出生時体重が軽くなる傾向がある[219]。2017年にベルギーでヴィーガンの両親が、グルテンフリー・ラクトースフリーの食事を与え続けたことで、生後7か月の乳児を死亡させたことで有罪判決が下された。死亡時の体重が10ポンド以下(約4,500グラム以下)だったと報道された。2019年2月に、アメリカでヴィーガンの夫婦が生後5か月の息子に医師に言われた粉ミルクを与えずにネットの情報で作成したヴィーガンフードを与えるなど適切な食事を与えず、餓死寸前まで追い込んだことで逮捕されている。男児は出生時の体重が約3,430グラムだったのに、生後5か月でも3,860グラムほどしかなかった。児童家庭サービスからの通報で警察が発見した際に、男児は極度の栄養失調や脱水症で、目は窪んでいて、肌の張りが失われ、肋骨が浮きあがっていた。さらに体温や糖分を維持することが困難で無気力になり、泣き声もあげられずに、動くことも不可能な状態であった[220][221]。ヴィーガンとして大人気YouTuberであったヨヴァナ・メンドーサ・アイレス(Yovana Mendoza Ayres)が、魚料理を食べている疑惑が浮上した。炎上後に謝罪動画をあげ、6年間は完全なヴィーガンをしていたが、2年前から貧血気味で甲状腺ホルモンが低レベルであり非常に具合が悪く、一つ間違えば危険という状態であったこと、女性ホルモン値が閉経年齢レベルで生理が止まっていたこと、小腸の細菌増殖で腹部膨満感やひどい腹痛などが起こる小腸細菌異常増殖症(SIBO)と診断されたことで、医師から卵や魚を食べるように言われて食べていたことを明かした[222]。
ヴィーガンの母親から双子が生まれる確率は動物性食品を食べている人の5分の1であるとされるが、これを報告した論文では、ヴィーガンでない人たちが乳製品を摂取することが、特に乳牛に成長ホルモンを与えている地域において双子妊娠の確率を増加させていると結論付けている[223]。親に不適切なヴィーガン食を与えられた乳幼児が極度の栄養失調に陥り、脊柱奇形や骨折が発生したり、あるいは死に至った事例が何件か報道されている[224][225]。
責任ある医学のための医師委員会の栄養部長であり、1乳児死亡事件の検察側鑑定証人を務め、1996年頃からヴィーガンであるエイミー・ラヌー博士[226]は、ヴィーガン食について「赤ん坊にとって安全であるだけでなく、動物性食品ベースの食事より健康的である」、「本当の問題は(その子供が)どんな種類の食べ物も十分に与えられなかったことにある」と主張している[227]。
2016年8月、イタリアの保守政党フォルツァ・イタリアの国会議員エルヴィラ・サヴィーノは、ヴィーガンの食生活が「子供の食事において大事となる[健康でバランスの取れた成長]に不可欠な栄養素に欠けているもの」であることを理由に、それを自分の子供に強制する親を罰する法案を同国議会に提出したが成立しなかった。サヴィーノの法案は16歳以下の子供を対象としたもので、この法案が可決され成立となれば、親が子供へのヴィーガン食の強制だけでも最長で1年、子供がそれによって病気を患った場合は最長4年、そこから子供が死去した場合は最長6年の懲役が科せられるという。しかし、同氏の法案がやや過激な内容のものであることから、これに対して「刑罰よりも正しい情報を周知させることに重点を置くべきだ」という意見も多く出ている[228]。
2021年の朝日新聞による「『ヴィーガン給食』取り入れた公立小学校 みんなで食べられ、みんながおいしい」と題された記事にて、アレルギーに対応した給食の一環として、八王子の公立小学校でヴィーガン給食を定期的に提供することになったことを肯定的に報道した際に、多くの医療関係者から批判を受けて記事が削除される事態になった[2]。BuzzFeed Japanは「ヴィーガンは健康にいい」というイメージだけが一人歩きをして、栄養バランスが崩れて健康被害が出る可能性を医師らが危惧していることを報じた。都民ファーストの会の森愛東京都議会議員が、役所の食堂にヴィーガン食導入を勧めた千代田区議の小野なり子のツイートに「私も昨日の都議会一般質問で、給食のオーガニック食材化を求めて質疑しました。大田区の保育園・フリースクールでもヴィーガン給食で不登校や発達障害のお子さんに実績を上げています!」とリプライしていることに、バズフィードはヴィーガン食が不登校や発達障害に良い影響があるエビデンスはなく、こうしたニセ科学と結びついた特定の食スタイルの推進は、不登校や発達障害に悩む人たちを惑わせ、「家庭の食事が我が子の不登校や発達障害に影響しているのか」と無意味な自責感を与えるなどの問題があると指摘している[2]。バズフィードはヴィーガン給食導入した校長がガンに効く呼吸法を主張する人物を自身の学校に呼んだことを含めて、ヴィーガニズムは思想であり、健康法としてはニセ科学と指摘している[2]。
急進的ヴィーガンによる肉屋襲撃・テロ
フランスでは急進的な完全菜食主義者による肉屋襲撃や脅迫がより過激化してきている。そのため、2018年6月にフランス食肉専門店・食肉ハムソーセージ専門店・総菜店連盟(La Confédération française de la boucherie, boucherie-charcuterie, traiteur、CFBCT)は「一種のテロ」と批判し、政府への精肉店の保護とテロ対策を求めた[229]。ブシェリー・アボリシオン(仏語:肉屋廃止)と269ライフ・フランスは同年9月22日にフランス全土の精肉店前デモを実施した。精肉店前デモ子豚の死骸を使った急進的な菜食主義者活動家の一人は、精肉店の窓ガラス破壊行為を非難せず、「いざとなったら刑務所に入る覚悟はできている」「われわれの活動で制限されているのは対人暴力のみだ」などと主張している[229]。家畜飼養や食肉処理など畜産業界や食肉業界で生計を立てているフランス人や伝統的に肉食を好むフランス人と、急進的完全菜食主義者(急進的ヴィーガン)」グループの人々の間で、衝突や対立しているケースがみられる。ポールバレリー・モンペリエ第3大学教授は和解の可能性は「ない」と語っている[229]。
ヴィーガンに対する差別・攻撃
また、ヴィーガンに対して憎悪攻撃に走るものもおり、イギリスでは菜食主義者向けマーケットでリスを食べ続け、いやがらせを行った男に罰金刑が処せられた。[230] また、差別によりヴィーガンが不当に解雇されたり、企業の採用候補から除外される事件があった。[231][232]
法律事務所CrosslandSolicitorsの調査によると、英国を拠点とする「1,000人を超える」ヴィーガン従業員のうち、3分の1近くが職場で差別されていると感じていることがわかっている。[233]2018年、当時ウェイトローズフード誌の編集者だったウィリアムシットウェルは、「ヴィーガンを1人ずつ殺すシリーズ」を提案した[234]ほか、ブリストルの大学生は、雄牛の去勢を見て食肉処理場を訪れるか、落第するかを選ばされたが、大学はヴィーガン協会の指摘により中止した。[235]
関連項目
脚注
注釈
- ^ Marzbow「人間は動物の肉を食べるだけでなく、毛皮を衣類にしたり、ペットショップで売り買いしたり、動物園で見世物にしたり、さまざまな動物虐待を行っています。わたしは地球上から動物虐待がなくなれば良いと願っています。」[11]
- ^ エシカル・ヴィーガニズムとダイエタリー・ヴィーガニズムの違いについては、例えば以下のように説明される。
- "Veganism", Vegetarian Times, January 1989: 「ウェブスター辞典は VEGAN という言葉に対して『動物食品や酪農製品を食べない人』という最も簡単で狭義の定義を与えている。この定義はダイエタリー・ヴィーガニズムを説明したものであるが、実際ヴィーガンの中でも多数派の、いわゆるエシカル・ヴィーガンはその哲学を更に押し進めている。」
- "Vegan Diets Become More Popular, More Mainstream", Associated Press/CBS News, January 5, 2011: 「ヴィーガニズムとは本質的に徹底した菜食主義であるが…ヴィーガンはあらゆる動物製品を拒否している…エシカル・ヴィーガンは、人間の消費のために動物を害することを道徳的に嫌悪する…しかし、ヴィーガンという言葉は、より広範な哲学を指すものとしてではなく、ヴィーガニズムの食習慣を実践する人々を指すものとして用いられることが多い。」
- Francione, Gary L., Garner, Robert. The Animal Rights Debate: Abolition Or Regulation? Columbia University Press, 2010, p.62: 「一部の人たちにとってヴィーガニズムは食習慣や生活様式の問題かもしれない。しかし、エシカル・ヴィーガニズムは個人における深い道徳的・政治的誓約であり、食物だけでなく衣料その他、一切の動物製品の不使用に及ぶ。エシカル・ヴィーガニズムは、人間以外の動物を商品として扱うことを個人として拒否することなのだ…」
- Margaret Puskar-Pasewicz. Cultural Encyclopedia of Vegetarianism. ABC-Clio, 2010, p.242: 「ヴィーガンはライフスタイル・ヴィーガンとダイエタリー・ヴィーガンの2種類に分けられる。ライフスタイル・ヴィーガンは、食事と生活すべてにおいて動物製品を忌避する…ダイエタリー・ヴィーガンは食事についてのみ動物製品を排除する。」
- ^
- ヴィーガンという言葉の起源について:「私は、初期の読者たちから『乳製品を食べないベジタリアン』を置き換えるような、より簡潔な言葉のアイデアを募った。dairyban、vitan、benevore、sanivore、beaumangeurといった突飛な案も出たが、結局私が採用したのは私自身の案である vegan だった。それはベジタリアン (vegetarian) の最初の3文字と最後の2文字—つまり『ベジタリアンの初めと終わり』—で構成されている。この言葉は『オックスフォード英語辞典』に採録されたが、それよりもっと良い言葉を作ろうとはした人はいなかった。」[15]
- 「私たちのグループや雑誌、そして私たち自身がどのような名前で呼ばれるべきか、私たち全員でよく考えなければなりません。『ノン・デイリー(非乳製品)』は一般に通じる口語表現として普及しましたが、「ノン・ラクト(非乳製品)」と同様、語感が否定的すぎます。しかも、我々が卵を食べることにも反対していることが表わされていません。」[16]
- ^ パンに使用するイーストとは異なる
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- 心臓病に関するCaldwell Esselstynの返答は p. 57. を参照。
- 糖尿病に関するNeal D. Barnardの返答は p. 73. を参照。
- ディーン オーニッシュの減量・心臓疾患の回復についての返答は p. 21.
- 工場式農場および薬剤耐性菌に関するMichael Gregerの返答はhttps://books.google.com/books?id=Zld_VNtw0e0C&pg=PA109 p. 109]を参照。
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- "I feel especially honoured to find on my right, Mr. Henry Salt. It was Mr. Salt's book 'A Plea for Vegetarianism’, which showed me why apart from a hereditary habit, and apart from my adherence to a vow administered to me by my mother, it was right to be a vegetarian. He showed me why it was a moral duty incumbent on vegetarians not to live upon fellow-animals. It is, therefore, a matter of additional pleasure to me that I find Mr. Salt in our midst."
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- In the book, Wheldon argued that "it is obvious that, since we should live as to give the greatest possible happiness to all beings capable of appreciating it and as it is an indisputable fact that animals can suffer pain, and that men who slaughter animals needlessly suffer from atrophy of all finer feelings, we should therefore cause no unnecessary suffering in the animal world." See Wheldon, Rupert. No Animal Food, Health Culture Co, New York-Passaic, New Jersey, 1910, pp. 11?12.
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