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この'''テアーノー'''は、[[トラーキア]]の王[[キッセウス]]とテーレクレイアの娘で<ref>高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、p.149a。</ref>、[[トロイア]]の老臣アンテーノールの妻である。[[アルケロコス]]、[[アカマース]]、[[ヘリカーオーン]]、[[ラーオドコス]]、[[ポリュボス]]、[[アゲーノール]]、[[イーピダマース]]、[[コオーン]]、[[ラーオダマース]] 、[[デーモレオーン]]<ref>『イーリアス』2巻、3巻、4巻、11巻、15巻、20巻。</ref>、[[エウリュマコス]]<ref>スミュルナのクイントゥス、14巻。</ref>、[[グラウコス]]、[[メドーン]]、テルシロコス<ref>ウェルギリウス『アエネーイス』6巻。</ref>、[[ヒッポロコス (ギリシア神話)|ヒッポロコス]]<ref>高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.204b。</ref>、娘クリノーの母<ref>[[パウサニアス]]、10巻27・4。</ref>。またアンテーノールの妾の子[[ペーダイオス]]を自分の子と等しく育てた<ref>『イーリアス』5巻。</ref>。 |
この'''テアーノー'''は、[[トラーキア]]の王[[キッセウス]]とテーレクレイアの娘で<ref>高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、p.149a。</ref>、[[トロイア]]の老臣アンテーノールの妻である。[[アルケロコス]]、[[アカマース]]、[[ヘリカーオーン]]、[[ラーオドコス]]、[[ポリュボス]]、[[アゲーノール]]、[[イーピダマース]]、[[コオーン]]、[[ラーオダマース]] 、[[デーモレオーン]]<ref>『イーリアス』2巻、3巻、4巻、11巻、15巻、20巻。</ref>、[[エウリュマコス]]<ref>スミュルナのクイントゥス、14巻。</ref>、[[グラウコス]]、[[メドーン]]、テルシロコス<ref>ウェルギリウス『アエネーイス』6巻。</ref>、[[ヒッポロコス (ギリシア神話)|ヒッポロコス]]<ref>高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.204b。</ref>、娘クリノーの母<ref>[[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]、10巻27・4。</ref>。またアンテーノールの妾の子[[ペーダイオス]]を自分の子と等しく育てた<ref>『イーリアス』5巻。</ref>。 |
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テアーノーは[[イーリオス]]の[[アテーナー]]神殿の女[[神官]]で、『イーリアス』の2日目に[[ディオメーデース]]が活躍したときには、アテーナーにディオメーデースを退けてくれるように祈願した<ref>『イーリアス』6巻。</ref>。また[[アマゾーン]]の女王[[ペンテシレイア]]がトロイアのために戦ったとき、[[アンティマコス (ギリシア神話)|アンティマコス]]の娘[[ティーシポネー]]がトロイアの女たちを扇動してともに[[ギリシア]]軍と戦わせようとしたが、テアーノーは女たちを説得して思いとどまらせた<ref>スミュルナのクイントゥス、1巻。</ref>。 |
テアーノーは[[イーリオス]]の[[アテーナー]]神殿の女[[神官]]で、『イーリアス』の2日目に[[ディオメーデース]]が活躍したときには、アテーナーにディオメーデースを退けてくれるように祈願した<ref>『イーリアス』6巻。</ref>。また[[アマゾーン]]の女王[[ペンテシレイア]]がトロイアのために戦ったとき、[[アンティマコス (ギリシア神話)|アンティマコス]]の娘[[ティーシポネー]]がトロイアの女たちを扇動してともに[[ギリシア]]軍と戦わせようとしたが、テアーノーは女たちを説得して思いとどまらせた<ref>スミュルナのクイントゥス、1巻。</ref>。 |
2021年11月15日 (月) 10:54時点における版
テアーノー(古希: Θεανώ, Theānō)は、ギリシア神話の女性である。長母音を省略してテアノとも表記される。主に、
のほか数人が知られている。以下に説明する。
メタポントスの妻
このテアーノーは、イーカリアの王メタポントスの妻で、ポセイドーンとメラニッペーの2子アイオロスとボイオートスの養母である。
テアーノーは子供ができなかったので、メタポントスに離婚すると脅され、羊飼いから双子(アイオロスとボイオートス)を得てメタポントスを納得させた。後にテアーノーはメタポントスの子を生んだが、メタポントスはアイオロスとボイオートスばかりかわいがったため、テアーノーは子供たちに2人を殺すよう命じた。ところがテアーノーの子供たちは逆に2人に殺されてしまい、子供たちの遺体が運ばれてきたときに自殺した[1]。なお、エウリーピデースの悲劇『縛られたメラニッペー』では、アイオロスとボイオートスを殺そうとしたのはテアーノーの兄弟だった[2]。
アンテーノールの妻
このテアーノーは、トラーキアの王キッセウスとテーレクレイアの娘で[3]、トロイアの老臣アンテーノールの妻である。アルケロコス、アカマース、ヘリカーオーン、ラーオドコス、ポリュボス、アゲーノール、イーピダマース、コオーン、ラーオダマース 、デーモレオーン[4]、エウリュマコス[5]、グラウコス、メドーン、テルシロコス[6]、ヒッポロコス[7]、娘クリノーの母[8]。またアンテーノールの妾の子ペーダイオスを自分の子と等しく育てた[9]。
テアーノーはイーリオスのアテーナー神殿の女神官で、『イーリアス』の2日目にディオメーデースが活躍したときには、アテーナーにディオメーデースを退けてくれるように祈願した[10]。またアマゾーンの女王ペンテシレイアがトロイアのために戦ったとき、アンティマコスの娘ティーシポネーがトロイアの女たちを扇動してともにギリシア軍と戦わせようとしたが、テアーノーは女たちを説得して思いとどまらせた[11]。
後世の伝承では、アンテーノールに脅されて、パラディオンをギリシア軍に引き渡すことに同意したとされる[12]。
その他のテアーノー
脚注
参考文献
- ウェルギリウス『アエネーイス』岡道男・高橋宏幸訳、京都大学学術出版会(2001年)
- 『ギリシア悲劇全集12 エウリーピデース断片』岩波書店(1993年)
- 『ディクテュスとダーレスのトロイア戦争物語 トロイア叢書1』岡三郎訳、国文社(2001年)
- クイントゥス『ギリシア戦記』松田治訳、講談社学術文庫(2000年)
- ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫(2005年)
- ホメロス『イリアス(上・下)』松平千秋訳、岩波文庫(1992年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店(1960年)