「QGIS」の版間の差分
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2020年9月6日 (日) 07:55時点における版
開発元 | QGIS Development Team |
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初版 | 2009年1月5日 |
最新版 |
3.14.0
/ 2020年6月19日 |
リポジトリ | |
プログラミング 言語 | C++, Python, Qt |
対応OS | Microsoft Windows, Linux, macOS, Android(ベータ版) |
プラットフォーム | Cross-platform |
対応言語 | 多言語対応 |
種別 | GIS |
ライセンス | GNU GPL |
公式サイト | https://qgis.org/ |
QGIS(キュージーアイエス、旧称:Quantum GIS)は、地理情報システムの閲覧、編集、分析機能を有するクロスプラットフォームのオープンソースソフトウェア・GISソフトである。
無料でありながら、有料・高額なGISソフト(代表的なものはArcGIS)に近い機能・操作性を備えており、機能の追加も無料のプラグインで行うことができる。
最新版
2020年6月現在、バージョン3.14.0が無料で公開されている。
主な変更点・新機能
変更点
2.0での主な変更点
- 2.0はメジャーバージョンアップで、直近の旧バージョン1.8とは相違点が多くなっている。
- 古い部分(エンジン)部分を排除して、将来性のある新エンジンに変更した。
- PythonプラグインのAPIを大きく変更[1]した。
- 作業環境保存場所などを変更した。[2]
バージョン2.0から作業環境の保存場所[注釈 1]や設定ファイルの名称が変更された。(2.0から、作業環境に保存されるPythonプラグインのAPIが大きく変更されるなど、互換性が失われたことから、2.0と1.8を同時に実行出来るようにするため。)
バージョン | 作業環境 | 設定ファイル |
---|---|---|
1.8 以下 | ~/.qgis/ | ~/.config/QuantumGIS/QGIS.conf |
2.0 以上 | ~/.qgis2/ | ~/.config/QuantumGIS/QGIS2.conf |
バージョン・Release history
- 1.0以降の状態
バージョン | コードネーム(開発)[注釈 2] | 公開 | 主な変更点、備考 |
---|---|---|---|
1.0.0 | "Kore" | 2009年1月5日 | Release Checklist Announcing the release of QGIS 1.0 'Kore' |
1.1.0 | "Pan" | 2009年5月12日 | Release Checklist Announcing the releases of QGIS 1.0.2 (stable) and QGIS 1.1.0 'Pan' (unstable) |
1.2.0 | "Daphnis" | 2009年9月1日 | Release Checklist Announcing the release of QGIS 1.2.0 'Daphnis' |
1.3.0 | "Mimas" | 2009年9月20日 | Release Checklist Announcing the release of QGIS 1.3.0 'Mimas' |
1.4.0 | "Enceladus" | 2010年1月10日 | Release Checklist Announcing the release of QGIS 1.4.0 'Enceladus' |
1.5.0 | "Tethys" | 2010年7月29日 | Release Checklist Announcing the release of QGIS 1.5 |
1.6.0 | "Copiapó" | 2010年11月27日 | Release Checklist Announcing the release of QGIS 1.6 'Copiapó'
コピアポ(スペイン語: Copiapó):チリ北部にある都市で、アタカマ州の州都 |
1.7.0 | "Wrocław" | 2011年6月19日 | Release Checklist [1] 日本語も表示できる安定化版。 ヴロツワフ(ポーランド語:Wrocław):ポーランド西部にある第4の都市で、ドルヌィ・シロンスク県の県都 |
1.8.0 | "Lisboa" | 2012年6月21日 | Release Checklist [2] 日本語の"文字化け"があった。有志により、修正情報が告知されている。 リスボン(ポルトガル語: Lisboa):ポルトガルの首都 |
2.0.0-2.0.1 | "Dufour" | 2013年9月8日 | New vector API, integration of SEXTANTE geoprocessor, symbology and labelling overhaul Changelog for QGIS 2.0 日本語表記も問題ないが、プラグインが間に合っていない。 デュフール峰(Dufour):スイスとイタリアとの国境にあるモンテローザ山塊の最高峰(4,634m) |
2.2 | "Valmiera" | 2014年2月22日[3] | DXFエクスポートツール、選択した部分を新しいベクタレイヤとして貼り付け、式ビルダが過去の履歴を保持など Changelog for QGIS 2.2 ヴァルミエラ(ラトビア語: Valmiera):北欧・旧ソ連のラトビアにある都市名 |
2.4 | "Chugiak" | 2014年6月27日 | Changelog for QGIS 2.4 チュギアック(Chugiak):米国・アラスカ州アンカレッジ郊外の地名。当地に居住するプロジェクト創始者のGary Shermanの業績を称えてこのコードネームが命名された[4] |
2.6 | "Brighton" | 2014年11月1日 | Changelog for QGIS 2.6 ブライトン (Brighton):イギリス・イングランド南東部、イースト・サセックス州西端に位置する。シーサイド・リゾートとして有名。 |
2.8 | "Wien" | 2015年2月20日 | Changelog for QGIS 2.8 この版(2.8)は、長期保守版(LTR: Long Term Release)として計画された。長期保守版は、仕様が固定され、公開後1年間のバグ修正が保障される。 ウィーン (独:Wien):オーストリアの首都。 |
2.10 | "Pisa" | 2015年7月22日 | Changelog for QGIS 2.10 ピサ (伊:Pisa):イタリア共和国トスカーナ州ピサ県の県都。ピサの斜塔で有名である。 |
2.12 | "Lyon" | 2015年10月30日 | Changelog for QGIS 2.12 リヨン (仏:Lyon):フランスの南東部に位置する都市で、ローヌ=アルプ地域圏の首府、ローヌ県の県庁所在地である。国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)の本部が置かれている。 |
2.14 | "Essen" | 2016年3月1日 | Changelog for QGIS 2.14 この版(2.14)は、以前の版(2.8)に次ぐ長期保守版(LTR)として計画された。前回(2.8)同様、仕様は固定され、公開後1年間のバグ修正が保障される。 エッセン (独:Essen):ドイツ西部の都市。人口は約57万人。かつては、鉄鋼業の財閥クルップ家の本拠地があり、周辺都市をあわせたルール工業地帯としてドイツの産業を牽引した。2010年の欧州文化首都に選ばれている。 |
2.16 | "Nødebo" | 2016年7月23日 | Changelog for QGIS 2.16 ヌゼボー (デンマーク語:Nødebo):デンマーク首都コペンハーゲンの北、約40kmに所在する村。地域最古のNødebo教会は、教会のフレスコ画と16世紀初期の祭壇画で知られる。 |
2.18 | "Las Palmas" | 2016年11月8日 | Changelog for QGIS 2.18 ラス・パルマス(スペイン語:Las Palmas):スペイン領のカナリア諸島、ラス・パルマス県(Provincia de Las Palmas)の県都、ラス・パルマス・デ・グラン・カナリアのラス パルマス大学において第14回QIS開発者会議(14th QGIS Developer Meeting in Las Palmas)が開催された。 |
3.0 | "Girona" | 2018年2月23日 | Changelog for QGIS 3.0 第15回QGIS開発者会議(2015/5/5~2015/5/8)([3])開催地 |
3.2 | "Bonn" | 2018年6月22日 | Changelog for QGIS 3.2 第16回QGIS開発者会議(2016/8/21~2016/8/23)([4])開催地 |
3.4 | "Madeira" | 2018年10月26日 | Changelog for QGIS 3.4 |
3.6 | "Noosa" | 2019年2月22日 | Changelog for QGIS 3.6 |
3.8 | "Zanzibar" | 2019年6月21日 | Changelog for QGIS 3.8 |
3.10 | "A Coruña" | 2019年10月25日 | Changelog for QGIS 3.10 |
3.12 | "București" | 2020年2月21日 | Changelog for QGIS 3.12 |
3.14 | "Pi" | 2020年6月19日 | Changelog for QGIS 3.14
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製作言語
C++で書かれており、C++やPythonの拡張に対応している。Qtの拡張が使える他[5] 、Qtを用いているGEOSやSQLite、GDAL、GRASS GIS、PostGIS、PostgreSQLの連携にも対応している。[6]
macOS、Linux、UNIX、Microsoft WindowsのOSにて動作し、macOSでの動作はX Window Systemを使用せず、ユーザインタフェースがより華麗で速く動く。GRASS GISのグラフィカルユーザインタフェース (GUI) も使用出来る。他の商用GISソフトウェアに比べファイルサイズが少ないことから、RAMや使用電力を抑えられる。
ボランティアによる開発グループにより定期的なアップデートやバグフィックスが行われており、2012年には48言語に翻訳され、世界各国の教育機関や職場にて利用されている。
ライセンス
GNU GPLで頒布されており、利用者が使用目的に合わせて自由に修正することができる。例えば、QGIS BrowserとQGIS Serverの機能はデータの取得やレンダリングの際に同じコードにより動作するが、現在はインターフェースが異なっている。このように多くの拡張プラグインが利用可能である。
データフォーマット
GIS業界で標準的なデータ仕様となっているArcGISのシェープファイル(Shapefile 拡張子.shp)や、Coverage data、MapInfo、PostGISなど多くのフォーマットに対応している他[7]、Web Map ServiceやWeb Feature Serviceなどの外部情報にも対応している。[5] シェープファイルは3つのファイルからなり、属性情報は dBASE 形式に収められている。政府系機関がサービスを行っている「基盤地図情報」も、同サイトで無料ダウンロード出来るコンバーターソフトを使えば、Shapefileに変換可能で、QGISに読み込むことが出来る。 QGIS1.8.0以降では、Google EarthやGoogle Mapsで用いられているKML形式にも対応しており、Google Mapsなどで作られたKMLデータをダウンロードし、これを活用できる。
プロジェクトファイル
QGISでは、読み込んだ空間データの場所、地図としての表示・印刷の設定(地図の表示範囲、色付け・シンボルの形・大きさなどのレイヤの表示方法、レイヤの順序、凡例、方位記号など)をまとめてプロジェクトと呼び、プロジェクトをファイルとして保存したものをプロジェクトファイル(拡張子 ".qgs")と呼ぶ。 プロジェクトファイルの形式は、XHTMLやXMLに似たタグ(<units> </units>)を使ってデータを挟むテキスト形式(マークアップ言語)であり、エディタで開き、中身を編集することも可能。
測地系
QGISは、PROJ.4[5](地図投影法および測位法の変換を行うC言語で記述されたライブラリ)を利用し、多くの測地系に対応する。 QGISでは測地系をそれぞれのレイヤとデータフレームに設定することができる。測地系が定義されていれば、実行時でのベクタレイヤの投影(オンザフライプロジェクション)による異なる測地系同士のデータ重ねあわせが可能であり、表示投影方法も設定により変えることができる。
QGISで用いられる測地系の例
- 米国の測地系:世界測地系(WGS84)
- Google EarthやGoogle Mapsで用いられている。
- 日本の測地系:日本測地系2000(JGD2000)[注釈 3]
- 日本測地系(旧日本測地系):日本国内のインターネット地図サービスで多く用いられている。
日本語環境
海外製の無料ソフトなので日本語の情報が不足し、バージョンによって日本語化など一部に不具合が合ったり、不具合の解消に手間がかかる。(1.8.0の場合。現在は、有志によりインターネットに情報が公開され、不具合の解消は可能) 2.01は、問題なく日本語が使える。
機能
PostGISやGRASS GIS、MapServerを含む外部のオープンソースGIS拡張機能を統合することができる。[5]
プラグイン
- Python言語で書かれたプラグインにより拡張機能が使用できる。
- その中にはGoogle Geocoding APIを用いたジオコードやArcGISに標準採用された機能に似たジオプロセスツール、PostgreSQLやMySQLのインターフェース、Mapnikによる地図表示機能などがある。
主なプラグイン
- OpenLayersプラグイン
公式にはサポートされていないが、関係するプラグインによって、Google Mapsを一つのレイヤーとして読込、表示できる。1.8.0や1.7.4などで動作確認済み。 衛星画像は、ArcGISを作っている会社がArcGISのために提供している物よりも、格段に高品質・情報量が多く、多言語環境・日本語環境に於いては、GISデータを作成する場合に、大いに効力を発揮する。
2.01でも読込可能だが、地図の切り替え時にエラーとなり、強制終了してしまう。(その後、プラグインのバージョンアップで解消)
- GEarthViewプラグイン
QGISで作成したGISデータを、Google Earthにて3D表示出来るもの。 先にGoogle Earthを使用するパソコンにインストールしておく必要がある。 モニタ画面に写るQGISの表示範囲だけが、反映されるようなので、あらかじめ表示したい範囲をQGISで選定しておく。 適宜調整は必要だが、QGISで作成した高機能な2Dデータを、GEarthViewのアイコンボタン一つでカシミール3Dのように3D化出来る。 Google Earthには、QGisViewとしてレイヤーが追加表示される。 QGISの表示範囲を動かしながら、GEarthViewのアイコンをクリックするたびに、その都度データは自動更新される。
- mmgisプラグイン
シェープファイルのテーブルの集計に便利(合計や平均値、最大・最少などを即座に計算してくれる)。また、Excelなどで利用したい場合、CSV形式のテキストファイルを出力可能。
- プラグインの場所、インストールなど
その他
QGISに付属するソフトウェア
QGISのインストールでは、以下のようなGISに関連するフリーソフトが組み込まれる。"QGIS"とバージョンに応じた開発コードネーム(例:QGIS 2.2では「QGIS Valmiera」)内にショートカットが作成される。日本語の情報はほとんどない。
QGIS で作成されたデータファイルのほか、すべてのWMS(Web Map Service) を参照することができる閲覧に特化したソフト。
- SAGA GIS(System for Automated Geoscientific Analysesの略)
ドイツの大学にある開発チームによって公開されているGISソフト。地形、水文関係のモジュールが多数実装され、リモートセンシングのオブジェクト分割(Segmentation)用モジュールも同梱。
「MSYS」とはCやfortranのコンパイラで、開発者向けのもの。
Linux やSolaris、macOSなどのUnix系ベースのソフト。コマンドラインでの操作が基本となる。
QGISに類似するソフト、連携できるソフト
- MANDARA(無料GISソフト)
日本の人文地理学者谷謙二(埼玉大学教育学部准教授)が開発しているGISソフト。「地理情報分析支援システム」と説明。MANDARA
- Google Earth(3D表示可能なGISソフト)
パソコンにソフトウェアをインストールしておく必要がある。
- Google Maps(衛星画像や地図など切り替えが可能な地図ソフト)
KLMを使いブラウザで見ることが出来る。QGISではプラグインを使って、1つのレイヤーとして取り扱える。このほか他社の地図データも同様に扱え、高価なArcGISよりも選択肢が広い。
QGIS プログラミング
開発関係
QGIS ユーザー情報、バグ報告
メーリングリストなど
- qgis-user-gis(英語)
注釈
- ^ QGISユーザガイド(QIS2.0) "–-configpath" オプションで作業環境パスを変更することができる。
- ^ バージョン1.5までは衛星、バージョン1.6以降はQGIS Developer Meetingの開催地がコードネームとされることが多い。
- ^ 学術的名称は「日本測地系2000」("The Japanese Geodetic Datum 2000")、日本国内の法令上名称と通用名は「世界測地系」。
出典
- ^ “(Qgis-developer) Python plugin API changes from 1.8 to 2.0”. 7 July 2015閲覧。
- ^ Sutton, Tim. “(Qgis-developer) QGIS 2.0 Milestone: Feature freeze & updated release timetable”. OSGeo.org. 7 July 2015閲覧。
- ^ Fischer, Jürgen E.. “Announcing the release of QGIS 2.2”. OSGeo.org. 22 February 2014閲覧。
- ^ “QGIS 2.4 testing phase”. 20 November 2015閲覧。
- ^ a b c Cavallini, Paolo (August 2007). “Free GIS desktop and analyses: QuantumGIS, the easy way”. The Global Geospatial Magazine. 2008年12月31日閲覧。
- ^ “Project details for Quantum GIS - Quantum GIS 0.9.0”. Freshmeat. 2008年12月31日閲覧。
- ^ Gray, James (2008年3月26日). “Getting Started With Quantum GIS”. Linux Journal