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「梁書」の版間の差分

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2020年9月3日 (木) 11:20時点における版

梁書』(りょうしょ)は、南朝502年から557年)の歴史を記した歴史書。56巻。629年貞観3年)に、姚察の遺志を継いで、その息子の姚思廉が成立させた。

概要

同時期に完成した『晋書』などの官撰の正史とは趣きを異に、司馬氏父子の『史記』などに通ずる私撰の史書としての意味合いを持っている。

本紀6巻・列伝50巻で構成されており、梁から陳にかけて編纂された『梁史』も参照にされている。

後世の評価では、概ね公正で体裁も整った良史とされるが、列伝の立伝方針や編纂順序等に難ありとの評価もある。また、引用文以外の文章は当時全盛の駢儷文を採用せず、古文を用いて叙述している点にも特徴がある。

卷五十四 列傳第四十八 諸夷には、倭国を含め、当時の東・東南・西・中央・南アジア諸国について記載がある[1]。倭伝では、倭王武が大将軍に除正されたことなどが記されている。

内容

本紀

  1. 本紀第一 - 武帝
  2. 本紀第二 - 武帝中
  3. 本紀第三 - 武帝下
  4. 本紀第四 - 簡文帝
  5. 本紀第五 - 元帝
  6. 本紀第六 - 敬帝

列伝

  1. 列伝第一 皇后 - 太祖張皇后高祖郗皇后太宗王皇后高祖丁貴嬪高祖阮修容世祖徐妃
  2. 列伝第二 - 昭明太子哀太子愍懐太子
  3. 列伝第三 - 王茂曹景宗柳慶遠
  4. 列伝第四 - 蕭穎達夏侯詳蔡道恭楊公則鄧元起
  5. 列伝第五 - 張弘策庾域鄭紹叔呂僧珍
  6. 列伝第六 - 柳惔柳忱席闡文韋叡韋愛
  7. 列伝第七 - 范雲沈約沈旋
  8. 列伝第八 - 江淹任昉
  9. 列伝第九 - 謝朏謝覧
  10. 列伝第十 - 王亮張稷王瑩
  11. 列伝第十一 - 王珍国馬仙琕張斉
  12. 列伝第十二 - 張恵紹馮道根康絢昌義之
  13. 列伝第十三 - 宗夬劉坦楽藹
  14. 列伝第十四 - 劉季連陳伯之
  15. 列伝第十五 - 王瞻王志王峻王暕王泰王份王琳王錫王僉張充柳惲蔡撙江蒨
  16. 列伝第十六 太祖五王 - 臨川王宏安成王秀南平王偉鄱陽王恢始興王憺
  17. 列伝第十七 - 長沙嗣王業永陽嗣王伯游衡陽嗣王元簡桂陽嗣王象
  18. 列伝第十八 - 蕭景蕭昌蕭昂蕭昱
  19. 列伝第十九 - 周捨徐勉
  20. 列伝第二十 - 范岫傅昭傅映蕭琛陸杲
  21. 列伝第二十一 - 陸倕到洽明山賓殷鈞陸襄
  22. 列伝第二十二 - 裴邃夏侯亶韋放
  23. 列伝第二十三 高祖三王 - 南康王績廬陵威王続邵陵携王綸
  24. 列伝第二十四 - 裴子野顧協徐摛鮑泉
  25. 列伝第二十五 - 袁昂
  26. 列伝第二十六 - 陳慶之蘭欽
  27. 列伝第二十七 - 王僧孺張率劉孝綽王筠
  28. 列伝第二十八 - 張緬張纘張綰
  29. 列伝第二十九 - 蕭子恪蕭子範蕭子顕蕭子雲
  30. 列伝第三十 - 孔休源江革
  31. 列伝第三十一 - 謝挙何敬容
  32. 列伝第三十二 - 朱异賀琛
  33. 列伝第三十三 - 元法僧元樹元願達王神念羊侃羊鴉仁
  34. 列伝第三十四 - 司馬褧到漑劉顕劉之遴許懋
  35. 列伝第三十五 - 王規劉瑴宗懍王承褚翔蕭介褚球劉孺劉潜殷芸蕭幾
  36. 列伝第三十六 - 臧盾傅岐
  37. 列伝第三十七 - 韋粲江子一張嵊沈浚柳敬礼
  38. 列伝第三十八 太宗十一王・世祖二子 - 尋陽王大心南海王大臨南郡王大連安陸王大春忠壮世子方等貞恵世子方諸
  39. 列伝第三十九 - 王僧弁
  40. 列伝第四十 - 胡僧祐徐文盛杜崱陰子春
  41. 列伝第四十一 孝行 - 滕曇恭沈崇傃荀匠庾黔婁吉翂甄恬韓懐明劉曇浄何炯庾沙弥江紑劉霽褚脩謝藺
  42. 列伝第四十二 儒林 - 伏曼容何佟之范縝厳植之賀瑒司馬筠卞華崔霊恩孔僉盧広沈峻孔子祛皇侃
  43. 列伝第四十三 文学上 - 到沆丘遅劉苞袁峻庾於陵劉昭何遜鍾嶸周興嗣呉均
  44. 列伝第四十四 文学下 - 劉峻劉沼謝幾卿劉勰王籍何思澄劉杳謝徴臧厳伏挺庾仲容陸雲公任孝恭顔協
  45. 列伝第四十五 処士 - 何点阮孝緒陶弘景諸葛璩沈顗劉慧斐范元琰劉訏劉歊庾詵張孝秀庾承先
  46. 列伝第四十六 止足 - 顧憲之陶季直蕭眎素
  47. 列伝第四十七 良吏 - 庾蓽沈瑀范述曾丘仲孚孫謙伏暅何遠
  48. 列伝第四十八 諸夷 - 林邑国扶南国・盤盤国・丹丹国・干陁利国・狼牙修国・婆利国・中天竺国師子国高句驪百済新羅・文身国・大漢国・扶桑国河南王国高昌国・滑国・周古柯国・呵跋檀国・胡蜜丹国・白題国・亀茲于闐・渇盤陁国・末国・波斯国宕昌国鄧至国武興国芮芮国
  49. 列伝第四十九 - 豫章王綜武陵王紀臨賀王正徳河東王誉
  50. 列伝第五十 - 侯景王偉

梁書諸夷伝

卷五十四 列傳第四十八 諸夷には、倭国を含め、当時の東・東南・西・中央・南アジア諸国について記載がある[2]。各国、歴史的な実在と比定が確認されているもの、未確認のものがある。以下、掲載国とその概要を記す。

海南諸国

  • 林邑国 - 「林邑國者,本漢日南郡象林縣,古越裳之界也」
  • 扶南国
  • 盤盤国
  • 丹丹国
  • 干瑽利国 - 在南海洲上
  • 狼牙修国 - 在南海中
  • 婆利国 - 在廣州東南海中洲上
  • 中天竺国 - 在大月支東南數千里。天竺と同一。
  • 師子国 - 現在のセイロン島。 - 「天竺旁國也」

東夷諸戎

  • 高句驪
  • 百済
  • 新羅
  • 文身国 - 文身國,在倭國東北七千餘里
  • 大漢国 - 在文身國東五千餘里
  • 扶桑国 - 沙門慧深いわく「扶桑在大漢國東二萬餘里,地在中國之東,其土多扶桑木,故以爲名。」

西北諸戎

  • 河南王国 - 河南王者,其先出自鮮卑慕容氏
  • 高昌国
  • 滑国 - 滑國者,車師之別種也
  • 周古柯国 - 周古柯國,滑旁小國也
  • 呵跋檀国 - 呵跋檀國,亦滑旁小國也
  • 胡蜜丹国 - 胡蜜丹國,亦滑旁小國也
  • 白題国 - 白題國,王姓支名史稽毅,其先蓋匈奴之別種胡也
  • 亀茲 - 龜茲者,西域之舊國也
  • 于闐 - 于闐國,西域之屬也
  • 渇盤陁国 - 渇盤陁國,于闐西小國也。西鄰滑國,南接罽賓國,北連沙勒國。所治在山谷中,城周回十餘里,國有十二城。風俗與于闐相類(タシュクルガン・タジク自治県[3])
  • 末国 - 末國,漢世且末國也。勝兵萬餘戸。北與丁零,東與白題,西與波斯接
  • 波斯国 - 波斯國,其先有波斯匿王者,子孫以王父字爲氏,因爲國號
  • 宕昌国 - 宕昌國,在河南之東南,益州之西北,隴西之西,羌種也
  • 鄧至国 - 鄧至國,居西涼州界,羌別種也。白水羌ともいい、中国の南北朝時代族が建国。現在の四川省九寨溝県
  • 武興国 - 武興國,本仇池
  • 芮芮国 - 芮芮國,蓋匈奴別種。魏、晋世,匈奴分爲數百千部,各有名號,芮芮其一部也

関連項目

脚注

  1. ^ 梁書卷五十四 列傳第四十八 諸夷
  2. ^ 梁書卷五十四 列傳第四十八 諸夷。以下、いずれも同リンクより。
  3. ^ 玄奘三蔵大唐西域記

外部リンク