「大韓民国国家情報院」の版間の差分
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2020年8月29日 (土) 08:24時点における版
座標: 北緯37度28分01秒 東経127度04分30秒 / 北緯37.467041度 東経127.075068度
国家情報院 | |
---|---|
국가정보원 | |
組織の概要 | |
設立年月日 | 1961年6月13日 |
継承前組織 | |
管轄 | 大韓民国政府 |
本部所在地 | ソウル特別市瑞草区内谷洞 |
標語 | Anonymous dedication to freedom and truth |
人員 | 2万人 |
年間予算 | Classified |
行政官 |
|
上位組織 | 大統領 |
ウェブサイト | www.nis.go.kr eng.nis.go.kr |
国家情報院 | |
---|---|
各種表記 | |
ハングル: | 국가정보원 |
漢字: | 國家情報院 |
発音: | クッカヂョンボウォン |
日本語読み: | こっかじょうほういん |
英語表記: | National Intelligence Service(NIS) |
国家情報院(こっかじょうほういん)は、大韓民国(韓国)の国家安全保障に係わる情報・保安及び犯罪捜査などに関する事務を担当するために大統領直属で設置された情報機関である。緊急通報用電話番号は111(国家保安ホットライン)。
韓国中央情報部(KCIA) が改称した「国家安全企画部」(ANSP)が金大中政権下の1999年に改編された。国情院(ハングル表記:국정원)と略称される。現在の院長は朴智元。
概要
「国家情報院法」第3条にはその職責を
- 国外情報及び国内保安情報(政府転覆・諜報・テロ及び国際犯罪などの組職)の収集・作成及び配布
- 国家機密に属する文書・資材・施設の保全及び地域に対する保安業務(ただし各機関に対する保安監査は除く)
- 刑法中内乱の罪、外為の罪、軍刑法中反乱の罪、暗号不正使用罪、軍事機密保護法に規定された罪、国家保安法に規定された罪に対する捜査
- 国情院職員の職務に係わる犯罪に対する捜査
- 情報及び保安業務の企画・調整
などと規定されている.
国家情報院は危機管理とその監視機能を担当し、南北が対立する状況下での安全保障維持を目的とする。この法には政治関与禁止条項があるが、安全企画部時代には遵守されず、国内政治に深く介入して野党や言論機関に対する工作をして来た。初代院長である李鍾賛はこのような工作の排除、組職の構造改革、経済・産業・通商・技術分野の情報収集強化などを策定した。院長の下に第1次長(海外部門)・第2次長(国内部門)・第3次長(北朝鮮部門)で構成される。
沿革
- 1961年 6月 - 朴正煕政権は韓国中央情報部(KCIA)を創設し、金鍾泌を部長に任命。
- 1973年 8月 - 中央情報部、金大中を東京から拉致(金大中事件)。
- 1979年10月 - 中央情報部長金載圭、酒席で朴正煕大統領を射殺(朴正煕暗殺事件)。
- 1981年 1月 - 全斗煥政権、中央情報部を拡大、再編して国家安全企画部を創設。
- 1999年 1月 - 金大中新政権は国家安全企画部を廃止し、大幅に縮小した大統領直属機関として国家情報院を新設。
職級
国家情報院の職員(技能職を除く)は、1級~9級に分かれる。4級以下は、職列(情報、治安、捜査、工業、通信、電算)名を職名の前に冠する。以下の表は、国家情報院職員法施行令に基づく。なお、対応する軍・警察の階級は、他部門からの特別採用時に付与される職級に基づく。
級 | 職名 | 朝鮮語 | 対応する軍の階級 | 対応する韓国警察の階級 |
---|---|---|---|---|
1級 | 管理官 | 관리관 | - | - |
2級 | 理事官 | 이사관 | 大佐 | 治安監 |
3級 | 副理事官 | 부이사관 | 中佐・大佐 | 警務官 |
4級 | 情報書記官 | 정보서기관 | 少佐・中佐 | 総警 |
5級 | 情報事務官 | 정보사무관 | 大尉・少佐 | 警正 |
6級 | 情報主事 | 정보주사 | 中尉・大尉 | 警衛・警監 |
7級 | 情報主事補 | 정보주사보 | 上士・准尉・少尉・中尉 | 警査 |
8級 | 情報書記 | 정보서기 | 中士・上士 | 警長 |
9級 | 情報書記補 | 정보서기보 | 下士 | 巡警 |
歴代の国家情報院長(前身のKCIA、安企部の部長を含む)
- 初代 金鍾泌(1961年5月20日 - 1963年1月6日)
- 2代 金容珣(1963年1月7日 - 1963年2月20日)
- 3代 金在春(1963年2月21日 - 1963年7月11日)
- 4代 金炯旭(1963年7月12日 - 1969年10月20日)
- 5代 金桂元(1969年10月21日 - 1970年12月20日)
- 6代 李厚洛(1970年12月21日 - 1973年12月3日)
- 7代 申稙秀(1973年12月4日 - 1976年12月5日)
- 8代 金載圭(1976年12月6日 - 1979年10月26日)
- 職務代行 尹鎰均(1979年10月27日 - 1979年10月30日)
- 9代 李熺性(1979年10月30日 - 1979年12月12日)
- 職務代行 尹鎰均(1979年12月13日 - 1980年4月13日)
- 10代 全斗煥(1980年4月14日 - 1980年7月17日)
- 11代 兪学聖(1980年7月18日 - 1982年6月1日)
- 12代 盧信永(1982年6月2日 - 1985年2月18日)
- 13代 張世東(1985年2月19日 - 1987年5月25日)
- 14代 安武赫(1987年5月26日 - 1988年5月6日)
- 15代 裴命仁(1988年5月7日 - 1988年12月4日)
- 16代 朴世直(1988年12月5日 - 1989年7月18日)
- 17代 徐東権(1989年7月19日 - 1992年3月30日)
- 18代 李相淵(1992年3月31日 - 1992年10月8日)
- 19代 李賢雨(1992年10月9日 - 1993年2月2日)
- 20代 金悳(1993年2月26日 - 1994年12月23日)
- 21代 権寧海(1994年12月24日 - 1998年3月4日)
- 22代 李鍾賛(1998年3月5日 - 1999年5月25日)
- 23代 千容宅(1999年5月26日 - 1999年12月23日)
- 24代 林東源(1999年12月24日 - 2001年3月26日)
- 25代 辛建(2001年3月27日 - 2003年4月24日)
- 26代 高泳耉(2003年4月25日 - 2005年7月10日)
- 27代 金昇圭(2005年7月11日 - 2006年11月22日)
- 28代 金万福(2006年11月23日 - 2008年2月11日)
- 29代 金成浩(2008年3月26日 - 2009年2月12日)
- 30代 元世勲(2009年2月12日 - 2013年3月21日)
- 31代 南在俊(2013年3月22日 - 2014年5月21日)
- 院長代行 韓基範(2014年5月22日 - 2014年7月15日)
- 32代 李丙琪(2014年7月16日 - 2015年3月1日)
- 院長代行 韓基範(2015年3月1日 - 2015年3月18日)
- 33代 李炳浩(2015年3月18日 - 2017年5月31日)
- 34代 徐薫(2017年6月1日 - 2020年7月2日)
- 院長代行 崔容煥(2020年7月3日 - 2020年7月28日)
- 第35代 朴智元(2020年7月29日 -)
最近の動き
- 2005年5月26日、国情院の過去史真実委員会は第4代中央情報部長金炯旭の失踪について、1979年10月に当時の部長金載圭の指示によりフランスのパリで殺害されたとする中間調査結果を発表した。
- 2012年の大統領選挙において、インターネット上で野党陣営の文在寅候補を誹謗中傷する書き込みを指示し、与党陣営の朴槿恵候補が有利となるような世論操作等の選挙介入を行った疑いで元世勳前国家情報院長が在宅起訴された[1]。国家情報院法違反罪と公職選挙法違反罪で懲役4年の実刑判決が確定している[2]。
- 2014年6月18日、国家情報院が通信アプリLINEのデータ(無料通話およびテキストメッセージ)を傍受しているとFACTAオンラインが報じた。同記事では、韓国政府のサイバーセキュリティ関係者が、日本の内閣官房サイバーセキュリティセンターとの協議の場であっさりと認めたとされる。併せて、通信回線から直接データを収集(傍聴)するワイヤータッピング は「通信の秘密」を守る法律が無い韓国では違法では無いと韓国側が主張していることや、得られたデータが中国企業テンセントに流出した疑いもあるとも報じた[3]。
- 2017年5月、北朝鮮の秘密警察である国家保衛省は韓国の国家情報院が米国の中央情報局(CIA)と連携して、同国の最高指導者である金正恩朝鮮労働党委員長の暗殺を試みたと発表し[4][5][6]、暗殺に関与した国家情報院院長の李炳浩(当時)とCIA関係者の引き渡し[7]と正式な謝罪[8]を要求した。
- 文在寅政権が誕生後、詳しい日時は不明なものの、国家情報院において徐薫国情院長から「北朝鮮に対する一切の工作活動を禁止する」と命令されたという[9]。
虚偽報道被害
2017年5月の大統領選挙前に、朴槿恵大統領の弾劾結論発表の数日前に憲法裁判所に弾劾関連の動向を査察した疑惑があるとSBSにスクープとして報道され、国家情報院と憲法裁判所は不可能と否定したが、当時大統領候補だった文在寅は国家情報院への批判を行い、文在寅陣営と共に民主党は国会情報委員会の招集を要求し、文在寅の支持者も国家情報院を波状的に批判していた。
しかし、10月30日に文在寅政権による国情院改革発展委員会が、この報道の調査結果で「査察を行ったといえるほどの資料・文献は発見されず、(国情院の)憲裁担当官が憲裁関連の報告書を作った事実はなく、実際に憲裁へ出入りした事実はない」「査察疑惑が事実と認められるほどの事由は発見されなかった」と表明した。
朝鮮日報は、文大統領とその当選で大統領府に勤めている文在寅陣営関係者の誰も説明責任を果たさずに国情院への「清算」作業は拡大していることや、疑惑を最初に報じたSBSの記者を大統領府行政官としたことを批判した[10]。
脚注
- ^ 前国家情報院長らを在宅起訴 公職選挙法違反=韓国 聯合ニュース 2013/06/11
- ^ “元情報機関トップ、懲役4年の実刑確定 韓国大統領選介入事件 最高裁判決”. 産経新聞. (2018年4月19日) 2018年5月6日閲覧。
- ^ “韓国国情院がLINE傍受”. FACTAオンライン (ファクタ出版). (2014年6月18日) 2018年3月7日閲覧。
- ^ “北朝鮮 米韓がキム委員長暗殺狙い派遣のグループ摘発と発表”. NHK. (2017年5月5日). オリジナルの2017年5月5日時点におけるアーカイブ。 2017年11月23日閲覧。
- ^ “北朝鮮、金正恩氏の暗殺企んだとしてCIAを非難 スパイの存在に言及”. AFP. (2017年5月5日) 2017年5月10日閲覧。
- ^ “「正恩氏狙った米韓テロ計画摘発」…北秘密警察”. 読売新聞. (2017年5月6日) 2017年5月10日閲覧。
- ^ “北朝鮮、韓国情報機関トップの引き渡し要求 「正恩氏暗殺計画」で”. CNN. (2017年5月13日) 2017年5月13日閲覧。
- ^ “北朝鮮が米国に「正式な謝罪」要求、金正恩氏暗殺計画で―米メディア”. Record China. (2017年5月8日) 2017年5月10日閲覧。
- ^ 編集人兼発行人湯浅次郎 「選択三月号」 選択出版株式会社、2018年3月1日、三十二頁より
- ^ 【記者手帳】事実でなかった疑惑報道…誰も説明せず