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2020年8月20日 (木) 00:05時点における版
大追跡 | |
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ジャンル | 刑事ドラマ |
企画 | 加藤教夫(日本テレビ)、梅浦洋一(東宝) |
脚本 | 播磨幸治、柏原寛司、永原秀一ほか |
監督 | 長谷部安春、村川透ほか |
出演者 |
加山雄三 沖雅也 長谷直美 柴田恭兵 藤竜也ほか |
ナレーター | 森山周一郎 |
オープニング | 大野雄二「大追跡のテーマ」 |
エンディング | 同上 |
製作 | |
プロデューサー | 山口剛(日本テレビ)、石井幸一(東宝) |
制作 | 日本テレビ、東宝 |
放送 | |
音声形式 | モノラル |
放送国・地域 | 日本 |
放送期間 | 1978年4月4日 - 1978年9月26日 |
放送時間 | 火曜日 21:00 - 21:54 |
放送分 | 54分 |
回数 | 26 |
『大追跡』(だいついせき)は、1978年4月4日から1978年9月26日にかけて毎週火曜日21:00 - 21:54に日本テレビ系列で放映された刑事ドラマ。全26話。
概要
あらすじ
凶悪犯罪がはびこる港町・横浜。検挙率低下に悩む県警本部[1]は、県下で発生するあらゆる事案への介入権を有し、所轄レベルの捜査では進展しない事件に全くの別行動で対処する特殊セクション『遊撃捜査班』を試験的に設置した。
だがその実態は、警察組織のマニュアルから逸脱した捜査員の隔離を目的とした左遷部署であり、検挙率アップという実績を達成しなければ即時廃止される命運にあった。本部庁舎の片隅にある薄汚い物置部屋に集められた5人のはみ出し刑事たちは、同僚たちからハイエナのように忌避されながらも、犯罪者との孤立無援の戦いにひたすら挑み続ける。
特徴
石原プロモーション製作による前番組『大都会 PARTII』の後を受け、東宝出身の加山雄三を主演に据えた刑事ドラマ。プロデューサーの岡田晋吉らによる企画原案『追跡者』はアクションとともに人間ドラマ色を強くアピールした作品として立案されており、シリーズ当初も海外ドラマ風のオーソドックスなアクションドラマとしてのカラーが強いものだったが[2]、回を追う毎に出演者によるアドリブやギャグを加味した独特の作風へと変化していった。
原案者である岡田晋吉の元に加山自らオファーを持ち掛けたことがきっかけで、まず加山有りきという企画であったが、プロデューサーの山口剛は藤竜也主演の作品を構想していた。当時は藤主演のドラマ作品が存在せず、営業サイドからも藤単独主演の作品について難色を示されていたが、岡田からこの企画を提示された時に、山口は「本当の主演はあなたで、加山さんは『太陽にほえろ!』の石原裕次郎さん的なポジションで控えるということです」といった内容で説明し、藤の出演の了承を取り付けたという経緯がある(山口は日活映画『野良猫ロック』シリーズが頭にあったと語っている[2])。
『追跡者』の企画書の段階では、主人公は大河内英一(第一話の準備稿までは大河内であったが、加山の依頼で加山の知人の名前より、本編では新田英一に変更)、水原慎介、矢吹史朗の3人の刑事で、結城佳代子は刑事ではなく「連絡係」、滝本稔は企画段階では存在しなかった[3]。本作ではその滝本役は、監督の村川透の強い推薦により、後に『あぶない刑事』でブレイクするミュージカル俳優・柴田恭兵が初の連ドラレギュラー出演を果たしている[3]。視聴率はニールセン調査で初回19.5%、第21話では22.3%を記録するなど好調に推移し、続篇の企画も立てられた。この企画は紆余曲折を経て『俺たちは天使だ!』へと結実するが、メインキャストである沖雅也の死去により、オリジナルキャストによる続篇は実現不可能なものとなった。[4]
横浜が舞台の刑事ドラマの特徴として、ロケ地が山手・本牧エリアに偏る傾向があるが、本作は、メインキャラクターの所属を県警本部の刑事部に設定したことにより、山手・本牧エリアのみならず、横浜駅・関内周辺も主なロケ地として登場する。また、ロケ現場を訪れていた一般の見物人を、沖や藤らが自家用車で次のロケ先まで乗せていくことも多かったという[4]。
登場人物
- 遊撃捜査班
- 新田 英一(にった えいいち):加山雄三
- 班長、警部。捜査第一課の課長補佐時代に銀行篭城事件で強行突入を指示した結果、2名の犠牲者を出したため、新設の部署で刑事部長直属の遊撃捜査班班長に左遷され、数々の難事件を押し付けられる羽目になった。
- 一見冷酷非情で、捜査のために水原たちを敢えて危地に立たせることも多いが、それは部下を信頼してのことであり、苦衷をにじませた表情を垣間見せることもある。弾道学のスペシャリストという設定も用意されており、劇中ではライフル狙撃の名手として自ら前線に立つ場面も多い。
- 水原 慎介(みずはら しんすけ):藤竜也
- 階級は巡査部長。浦浜警察署刑事課の部長刑事として、単独捜査中だった殺人事件の捜査主体を遊撃捜査班に横取りされるが、その時すでに遊撃捜査班への異動辞令が出ていた。
- 性格はややルーズで通俗的な分、枠に囚われた了見を嫌う型破りな男。非情とも思える新田の命令には真っ向から反発し、他のメンバーが「新田さん」と呼ぶのに対し、彼だけは「新田」と呼び捨てにすることが多い。しかし、県警上層部から無理難題を押し付けられる新田の苦労には、理解を示している様子。
- 赤いジャンパーにジーンズ姿がトレードマークで、斜に構えたポーズを取ることが多いが、トレーニングを欠かさない肉体派でもある。酒と女が大好きで、酒がらみの失策がしばしばある一方、女性は優しく丁重に扱うので、事件解決の糸口になったことも何度かあった。
- 矢吹 史朗(やぶき しろう):沖雅也
- 真面目一辺倒で、融通が全く利かない堅物刑事であるがゆえに遊撃捜査班に転属された。しかし水原や滝本に感化され、次第に砕けた様子を見せるようになっていった。空手の達人である一方、カナヅチという弱点があるが、それを逆手にとって容疑者を脅したことがあった。
- 滝本 稔(たきもと みのる):柴田恭兵
- 捜査に向かう車中でも、ヘラヘラしながら平気で漫画雑誌を読むような、現代風の若者。緊張感のある表情を見せることは少ないが、犯罪を憎む刑事魂は真っ当に持ち合わせている。お調子者で人がよく、遊撃捜査班のムードメーカー的存在。
- 結城 佳代子(ゆうき かよこ):長谷直美
- 男性顔負けのドライビングテクニックと、気性の荒さの持ち主。他人から女性扱いされ、見下されることが大嫌いだが、それでも時折見せる女らしい表情で、水原にはかわいがられている。
- その他
- 高岡 巌(たかおか いわお):渡辺文雄(セミレギュラー)
- 県警本部刑事部長、警視正。所轄では扱いきれなくなった人材を隔離し、なおかつ所轄がてこずっている犯罪に対処するために、遊撃捜査班を立ち上げた。
- 渡辺:桂小金治(セミレギュラー)
- 遊撃班メンバーの行きつけの喫茶店「みなとコーヒー」のマスター。四六時中チェスに耽り、チェスに関する様々な蘊蓄を垂れるが、実際はそれほど詳しくはない。腕相撲が異様に強かったり、妙な知識に詳しいなど、謎が多い人物。
- ナレーター(オープニング、予告編):森山周一郎
放映リスト
話数 | 放送日 (1978年) |
サブタイトル | 脚本 | 監督 | ゲスト出演者 | 視聴率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 4月4日 | ハイエナが集まった | 播磨幸治 | 長谷部安春 | 宍戸錠、川合伸旺、黒部進、穂積隆信、八名信夫、灰地順、阿藤海 | 13.4 |
2 | 4月11日 | 柏原寛司 | 藤岡重慶、岡本麗、井上博一、松山照夫、山本廉、井上茂 | 13.3 | ||
3 | 4月18日 | 悪女が躍る | 永原秀一 | 村川透 | 吉行和子、山口美也子、清水綋治、中島葵 | 17.8 |
4 | 4月25日 | 播磨幸治 | 中島ゆたか、南原宏治、岡崎二朗、林泰文、大前均、山本清 | 15.3 | ||
5 | 5月2日 | 潜入刑事 | 永原秀一 | 長谷部安春 | 曽根晴美、片桐竜次、田口久美、天本英世、汐路章 | 15.5 |
6 | 5月9日 | ワルは眠らせろ | 佐治乾 | 青木義朗、八城夏子、片岡五郎、関山耕司、武藤章生、 | 16.5 | |
7 | 5月16日 | 札束と赤いバラ | 和久田正明 | 村川透 | 伊佐山ひろ子、江角英明、丹古母鬼馬二、辻萬長、 | 10.6 |
8 | 5月23日 | 必死の追走 | 柏原寛司 | 緑魔子、深江章喜、磯村健治、山西道広、上野山功一、宍戸錠 | 13.3 | |
9 | 5月30日 | 現金輸送車強奪 | 澤田幸弘 | 浜田晃、三谷昇、福本清三、伊藤高 | 11.7 | |
10 | 6月6日 | 耳 | 永原秀一 | 林ゆたか、織本順吉、中西良太、穂積隆信 | 14.3 | |
11 | 6月13日 | 女豹が跳んだ | 柏原寛司 | 野田幸男 | 青木英美、宮口二朗、野瀬哲男 | 16.5 |
12 | 6月20日 | 殺し屋に墓はない | 和久田正明 | 片桐竜次、川崎あかね、佐原健二、中田博久 | 14.4 | |
13 | 6月27日 | 横浜チンピラ・ブギ | 金子成人 | 村川透 | 峰のぼる、国谷扶美子、飯山弘章、草薙幸二郎、宮井えりな | 12.5 |
14 | 7月4日 | 大逆転 | 峯尾基三 | 待田京介、テレサ野田、岡本麗、関川慎二 | 13.8 | |
15 | 7月11日 | 黒い影 | 柏原寛司 | 松森健 | 睦五朗、大下哲矢、絵沢萌子、八名信夫、二見忠男 | 8.3 |
16 | 7月18日 | 暴行魔 |
和久田正明 | 西村潔 | 大野木克志、麻生淳子、門馬勝美 | 16.0 |
17 | 7月25日 | 殺し屋 | 金子成人 | 風吹ジュン、岸田森、蟹江敬三、山本麟一 | 11.0 | |
18 | 8月1日 | レディー・キラー | 柏原寛司 | 松森健 | 石橋蓮司、志賀勝、田中浩、黒部進、頭師孝雄、 | 13.6 |
19 | 8月8日 | ご不要な亭主、始末します | 永原秀一 柏原寛司 |
櫻井一孝 | 丹古母鬼馬二、川崎あかね、稲野和子、伊佐山ひろ子、 田口久美、中島葵、宮井えりな、山口美也子、横森久、 |
14.5 |
20 | 8月15日 | 日の丸愚連隊 | 蘇武道夫 | 曽根晴美、近藤宏、山本昌平、小林昭二、阿藤海 | 10.9 | |
21 | 8月22日 | 危険なハイウェイ | 峯尾基三 | 西村潔 | ホーン・ユキ、南原宏治、松本敏男 | 12.8 |
22 | 8月29日 | 淳子のミステリー・ゾーン | 佐治乾 | 大信田礼子、大塚国夫、浜田晃、内田昌宏、金井美稚子 | 17.5 | |
23 | 9月5日 | 殺人刑事ウォンテッド | 和久田正明 | 小澤啓一 | 菅貫太郎、小池雄介、岡本麗、岡本ひろみ、
江角英明、梅津栄、粟津號 |
11.9 |
24 | 9月12日 | 爆殺魔 | 峯尾基三 | 清水紘治、蟹江敬三、清水理絵、仙波和之、 北川欽三、五條博、花原照子、久遠利三、柿沼大介 |
14.8 | |
25 | 9月19日 | 横浜コネクション | 山田正弘 柏原寛司 |
小池要之助 | 山本麟一、片桐夕子、片桐竜次、金子研三、下之坊正道、 石光豊、大竹智子、藤原すみよ、小山ひとみ、菅沼赫 |
13.3 |
26 | 9月26日 | サヨナラは銃弾で… | 柏原寛司 | 村川透 | 安部徹、大前均、宇南山宏、吉浜正皓、草薙幸二郎、
松田優作(特別出演)、中島ゆたか(特別出演) |
13.0 |
ゲスト出演者の補足
スタッフ
- 原案 - 岡田晋吉(日本テレビ)
- 企画 - 加藤教夫(日本テレビ)、梅浦洋一(東宝)
- プロデューサー - 山口剛(日本テレビ)、石井幸一(東宝)
- 撮影 - 小泉健一郎、稲垣久夫、田島文雄
- 照明 - 隠田紀一、椎葉昇、渡辺三雄、大野晨一、岡庭正隆
- 録音 - 西村和彦、大庭弘、板寺昇
- 美術 - 斉藤嘉男
- 編集 - 神島帰美
- 助監督 - 正森和郎、小池要之助、堀内泰治、田辺隆史、崎田憲一
- 音楽 - 大野雄二
- 演奏 - ユー・アンド・エクスプロージョン・バンド
- 主題曲・サントラ盤 - ディスコメイトレコード
- 音楽プロデューサー - 飯田則子(日本テレビ音楽)
- 選曲 - 鈴木清司
- 整音 - 黒丸治夫
- 効果 - 沢田一郎(沢田効果)
- 制作主任 - 寺本巌、江島進、水谷務、吉田由二
- 番組宣伝 - 山口晋(日本テレビ)
- 技斗 - 林邦史朗
- 現像 - 東洋現像所
- 衣裳協力 - 大賀、カントー、青山EIKO
- 銃器類協力 - MGCボンド・ショップ
- 協力 - 加山プロモーション、国際放映
- 制作 - 東宝株式会社
音楽
「大追跡のテーマ Theme from “THE GREAT CHASE”」 | |
---|---|
ユー・アンド・エクスプロージョン・バンド の シングル | |
A面 | 大追跡のテーマ |
B面 | 黄昏は男の香り |
リリース | |
ジャンル |
ポップス 劇伴 |
時間 | |
レーベル |
ディスコメイトレコード (DSK-122) |
プロデュース |
大野雄二 飯田則子 鈴木清司 |
いずれも作曲は大野雄二。
- オープニング、エンディング:「大追跡のテーマ」
- 演奏:大野雄二とYou & The Explosion Band
- 挿入歌:「Shadows of a Man」「I'll Be Gone」
- 作詞:奈良橋陽子、歌:Tom Snyder
エンディングシーンで度々使われたヴォーカル曲「Shadows of a Man」は、番組中や放映当時に発売されたサウンドトラック盤LPではノンクレジットだったが、CD化の際に番組内では未使用の「I'll Be Gone」と共にゴダイゴのドラマー、トミー・スナイダー(Tom Snyder名義)の歌唱であることが明らかにされた。
第13話「横浜チンピラ・ブギ」では「協力」としてヴァイオリニストの辻久子がクレジットされている。劇中にヴァイオリンを基調とした音楽が多く挿入されている他、劇中に登場した3500万円のストラディバリのヴァイオリンが最後は辻の元に戻るというストーリーも盛り込まれている。
2005年に発売された大野雄二のアルバム『Made In Y.O.』には大野自身のアレンジによる「大追跡のテーマ」のセルフ・リメイクバージョンが収録されている(VAP VPCG-84811)。
スタッフ
放送終了後の影響
- シリーズ後半に顕著だが、メンバー同士が現場で出会ったり、行動開始の際等に同時に掌を縦に上げながら互いに「オットー」と言うお決まりの仕草がある。コミカルな中にもチームワークの良さを端的に表すフレーズだが、設定ではなく、撮影現場でアドリブ的に出てきたアイデアという。他にも「ワン、ツー、スリー、ゴー!!」などのフレーズがある。藤竜也、柴田恭兵、長谷直美らは、それぞれの後の出演作(『俺たちは天使だ!』、『プロハンター』、『あぶない刑事』)にて、この動作をセルフパロディとして用いている。
- 藤竜也は、後に出演した『プロハンター』において、元神奈川県警刑事の探偵・水原という本作の人物設定を引き継いだかのような役で登場する。ただしこちらは「水原 淳」という名前の別人であり、ストーリー上は本作品とは全く繋がりがない。なお、両方の作品で実質的なメインライターを務めた柏原寛司は雑誌のインタビューにて、当作品とプロハンターの水原は「同一人物」として描いたと話しており、両作品と後に制作され火曜サスペンス劇場で放送された作品「コンピューターの身代金」を含めて「水原シリーズ」として扱っている。
テーマ曲の流用
- 「大追跡のテーマ」は、後に同じ日本テレビ系のスポーツ情報番組『独占!!スポーツ情報』のオープニングテーマとして使われ(1990年代中頃)、さらに1980年代終盤にはザ・グレート・カブキの入場テーマにも使われた。また、サントラ盤に収録のBGM「One O'clock Fever(非常線25時)」も1980年代前半に『ズームイン!!朝!』の一コーナー「あどべんちゃあレディ」のテーマ曲に使われていた。