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「阿弥陀如来」の版間の差分

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=== チベット仏教 ===
=== チベット仏教 ===
[[チベット仏教]]では、無量寿仏と無量光仏は区別されている。また、ゲルク派第二位の[[パンチェン・ラマ]]は無量光仏の化身とされる。チベット死者の書によれば、([[大日如来]]、[[阿しゅく如来|阿閦如来]]、[[宝生如来]]に続いて)死後の4日目に魂の救済に現れるとされる。
[[チベット仏教]]では、無量寿仏と無量光仏は区別されている。また、ゲルク派第二位の[[パンチェン・ラマ]]は無量光仏の化身とされる。チベット死者の書によれば、([[大日如来]]、[[阿閦如来]]、[[宝生如来]]に続いて)死後の4日目に魂の救済に現れるとされる。


=== その他の経典における阿弥陀如来 ===
=== その他の経典における阿弥陀如来 ===

2020年8月13日 (木) 06:22時点における版

阿弥陀如来
銅造阿弥陀如来坐像
高徳院・鎌倉大仏)
阿弥陀如来
梵名 「アミターバ」
अमिताभ, Amitābha
「アミターユス」
अमितायुस्, Amitāyus
別名 阿弥陀仏
無量光仏
無辺光仏
無礙光仏
無対光仏
焔王光仏(光炎王仏)
清浄光仏
歓喜光仏
智恵光仏
不断光仏
難思光仏(難思議仏)
無称光仏
超日月光仏
経典仏説無量寿経
仏説観無量寿経
仏説阿弥陀経
主要経典注釈書無量寿経優婆提舎願生偈
無量寿経優婆提舎願生偈註
安楽集
観無量寿経疏
信仰 浄土教
融通念仏宗
浄土宗
浄土真宗
時宗
関連項目 観音菩薩
勢至菩薩
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阿弥陀如来(あみだにょらい)は、大乗仏教如来の一つである。梵名アミターバअमिताभ, Amitābha)、あるいはアミターユスअमितायुस्, Amitāyus)といい、それを阿弥陀と音写する。阿弥陀仏(阿弥陀佛)ともいい、また略して弥陀仏ともいう。

梵名のアミターバは「量(はかり)しれない光を持つ者」[1]、アミターユスは「量りしれない寿命を持つ者」[1]の意味で[2]、これを漢訳して・無量光仏無量寿仏ともいう。西方にある極楽浄土という仏国土(浄土)を持ち(東方は薬師如来)、五智如来において西方に位置する観自在王如来と同一視するが、真言宗では阿弥陀が法蔵菩薩であったときに師事した仏として、別尊とする。

経典・儀軌

浄土三部経

浄土三部経」の内、『無量寿経』と『阿弥陀経』の成立時期については、無量寿経の成立時期と編纂者を参照。

観無量寿経』については、サンスクリット原典が2011年現在発見されていない。中央アジアで作成されたと考えられる。

仏説無量寿経
一切の衆生救済のために王位を捨てて、世自在王仏のもとで法蔵菩薩と名乗り修行し、衆生救済のための五思惟[注釈 1]し、浄土への往生の手立てを見出し、衆生救済のための「四十八願」を発願したのち、改めて誓いを立て修行し、それが成就し仏となった報身仏と説かれる。また、現在も仏国土である「極楽」で説法をしていると説かれている。
特に浄土教諸宗においては、「四十八願」のうち「第十八願」を重要視する。
仏説阿弥陀経
「極楽」のありさまと、阿弥陀仏の徳が説かれる。東方・南方・西方・北方・下方・上方世界のガンジス河の砂の数ほどの諸仏から賞賛されていると説かれる。そして「極楽」に生まれる方法[注釈 2]が説かれる。

信仰

浄土真宗

浄土真宗においては、阿弥陀如来一仏を本尊とする。中心教義も阿弥陀如来の本願力[注釈 3]にのみ帰依することとする(詳細は、他力本願を参照)。真宗においては、『観無量寿経』の「住立空中尊」という表現から、立像であるべきとされる。

末法濁世の衆生は、煩悩具足の凡夫であり、自らの力(自力[注釈 4])では、いかなる善も完遂しえないとする。そのため「他力[注釈 5]」によってのみ救済されるとする。

釈尊が「浄土三部経」によって説かれたことに由来し、善導は『観無量寿経疏』にて、法然は『選択本願念仏集』(『選択集』)にて注釈し、それらを受けた親鸞が『顕浄土真実教行証文類』(『教行信証』)において引用・注釈する。この事は『歎異抄』の第二章に、端的に述べられている。

最も優れた仏としての阿弥陀仏

浄土教諸宗において主に用いられる『仏説無量寿経』では、「無量寿仏の威神光明、最尊第一にして、諸仏の光明及ぶこと能わざるところなり」、親鸞の著書『顕浄土真実教行証文類』では、「十方恒沙の諸仏如来、みな共に無量寿仏の威神功徳不可思議なるを讃嘆したまう。また言わく、無量寿仏の威神、極まりなし。十方世界無量無辺不可思議の諸仏如来、彼を称嘆せざるはなし」「諸仏中の王なり、光明中の極尊なり」とする。[4]

根本仏としての阿弥陀仏

西山深草派顕意は、阿弥陀如来を一切の仏の根本とし、諸仏は阿弥陀仏を化主とすると主張する。この理解の教証として顕意は、善導が『般舟経』に依拠して説いた言葉である「三世の諸仏は念弥陀三昧[注釈 6]によって正覚を得た」をあげる。しかし、鎮西派良忠は「念阿弥陀仏三昧」は『般舟経』においては説かれず、一切の仏は阿弥陀仏を念じて成仏した訳ではないとし、「念仏三昧」を「念阿弥陀仏三昧」とする理解は阿弥陀仏を「法門の主」とするための善導の独自解釈だとする。[5]

チベット仏教

チベット仏教では、無量寿仏と無量光仏は区別されている。また、ゲルク派第二位のパンチェン・ラマは無量光仏の化身とされる。チベット死者の書によれば、(大日如来阿閦如来宝生如来に続いて)死後の4日目に魂の救済に現れるとされる。

その他の経典における阿弥陀如来

浄土三部経以外にも阿弥陀如来は多くの大乗経典に登場する。 法華経の薬王菩薩本事品にも阿弥陀如来は登場し、サンスクリット語原文においては法華経の観世音菩薩普門品にも阿弥陀如来について言及されている。 仏説出生菩提心経においても阿弥陀如来の願力が言及されている。 大乗離文字普光明蔵経においても、大乗離文字普光明蔵経の持経者が阿弥陀如来の来迎を得ることが説かれている。

成立年代

阿弥陀仏信仰の成立年代とその地域については、仏像にせよ、文献にせよ、特定の手がかりとなるものが少ない。しかし、浄土系経典に用いられる仏教用語は部派仏教の用語を下敷きとしており、少なくとも部派仏教確立より以後の成立と考えられる。また浄土系経典の漢訳者の出身地は西域および北インドが多いことから、これらの地域で阿弥陀仏信仰が盛んであったことがうかがえる。

また、アレクサンドロス大王の東方遠征以降、ギリシア系のインド・グリーク朝やイラン系のクシャーナ朝などの支配のもと、北インドと西方世界の交流があったことを背景に、ゾロアスター教ミトラ教、あるいはキリスト教などが阿弥陀仏信仰の成立に影響したとの説も一部で見られるが、いまだ客観的根拠に乏しい。

碑文に記された阿弥陀仏の最古の例は、北インドのマトゥラー近郊出土の足だけを残す仏の台座(マトゥラー博物館所蔵)である。記銘によると、クシャーナ朝のフヴィシカ王の28年(西暦2世紀後半)に、隊商により奉献されたものである。

阿弥陀仏に言及した経典の現存する最古の例は、後漢末期の西暦179年に西域僧の支婁迦讖によって漢訳された『仏説般舟三昧経』である。また西暦148年にはすでに安世高が『無量寿経』を漢訳したと伝えられるが、欠本となっており現存しない。

西暦2世紀末になってこれらの彫刻や文献が出現することから、阿弥陀仏の信仰と教義はクシャーナ朝前期の西暦1世紀から2世紀の間に発達したと推測される。

真言・陀羅尼

  • 小咒は、オン・アミリタ・テイセイ・カラ・ウン[注釈 7]oṃ amṛta-teje hara hūṃ)。
  • 大咒(無量寿如来根本陀羅尼)は、ノウボウ・アラタンノウトラヤーヤ・ノウマク・アリヤーミターバーヤ・タタギャタヤアラカテイ・サンミャクサンボダヤー・タニャタ・オン・アミリテイ・アミリトウドバンベイ・アミリタサンバンベイ・アミリタギャラベイ・アミリタシッテイ・アミリタテイセイ・アミリタビキランデイ・アミリタビキランダギャミネイ・アミリタギャギャノウキチキャレイ・アミリタドンドビソワレイ・サラバアラタサダニエイ・サラバキャラマキレイシャキシャヨウキャレイ・ソワカ
  • チベット伝承の「無量光仏心咒」は、オーン・アミターバ・フリーヒoṃ amitābha hrīḥ[6]
  • チベット伝承の「無量寿仏心咒」は、オーン・アマーラニ・ジーヴァーンティーイェー・スヴァーハーoṃ amāraṇi jīvāntīye svāhā[6]

曼荼羅

垂迹神

像形

絹本著色山越阿弥陀図
(京都・禅林寺(永観堂)所蔵)
阿弥陀如来像(龍門石窟潜渓寺洞主尊)唐時代
軍威石窟阿弥陀三尊像(韓国慶尚南道)新羅統一時代 7世紀

三昧耶形は蓮の花(金剛界曼荼羅では開花した蓮華、胎蔵曼荼羅では開きかけた蓮華)。種子(種子字)は ह्रीः (キリーク、hrīḥ)。

造形化された時は、装身具を着けない質素な服装の如来形で、印相は定印、説法印、来迎印などがある(詳しくは印相を参照のこと)。

阿弥陀三尊として祀られるときは、脇侍観音菩薩勢至菩薩を配する。

密教においては、五仏(五智如来)の一如来として尊崇される。像容は一般的には上記の顕教のものと同じだが、一部には装身具を身につけたものもある。

密教式の阿弥陀如来のうち、紅玻璃色阿弥陀如来と呼ばれるものは髷を高く結い上げて宝冠を戴き体色が赤いのが特徴である。主に真言宗で伝承される。 また宝冠阿弥陀如来というものもあり、こちらは天台宗の常行三昧の本尊として祀られる。紅玻璃色阿弥陀如来と同じく宝冠などの装身具を身につけ、金剛法菩薩、金剛利菩薩、金剛因菩薩、金剛語菩薩の四菩薩を眷属とする。

日本における主な作例

阿弥陀三尊像(兵庫・浄土寺)
国宝

日本語への影響

鎌倉時代以降、日本では浄土教の隆盛を受けて、阿弥陀如来に関連した単語や言い回しが登場するようになる。

十八番(おはこ)
前述のとおり、浄土教において四十八願のうち第十八願を本願として重要視することから、もっとも得意なことを指す。(市川家の家の芸歌舞伎十八番の台本を箱入りで保存したことからとする説もある)
あみだくじ
あみだくじの形は元々線を中心から周りに放射状に引いたものであり、それが阿弥陀如来像の光背に似ていたことから[22]
あみだ被り
帽子やヘルメットを後頭部にひっかけるように浅く被ること。上記と同じく見た目が光背に似ていることから。
他力本願
前述のとおり努力しないことや無責任であることを表現するのに使われるが、本来の意味を誤解・誤用した語である。

脚注

注釈

  1. ^ 五劫思惟(ごこうしい)…「五劫」とは、無限に近い、非常に長い期間のこと。思惟とは、「作是思惟」とは、心を集中し、物事の道筋を立てて深く願が進むこと。
  2. ^ 生まれる方法…浄土教諸宗各々で、「浄土三部経」の解釈が異なるため、このことに関しての詳細は省略する。それぞれの宗旨・宗派のページを参照。
  3. ^ 阿弥陀如来の本願力…阿弥陀如来のはたらき。
  4. ^ 「自力」とは、「自己に備わった能力」をいう。「仏・菩薩などのはたらきを意味」する「他力」に対する[3]
  5. ^ ここでの「他力」は、阿弥陀仏の本願力(はたらき)のこと。
  6. ^ 阿弥陀仏を念ずることによる精神統一。
  7. ^ 新義真言宗等一部宗派では『オン・アミリタ・テイイ・カラ・ウン』と読む

出典

  1. ^ a b 「阿弥陀仏」 - 日本大百科全書(ニッポニカ)
  2. ^ 『うちのお寺は浄土宗』2015年、双葉文庫、14ページ。
  3. ^ 『岩波仏教辞典』岩波書店、2002年、560頁より引用。
  4. ^ 聖教電子化研究会 仏説無量寿経巻上 p.30聖教電子化研究会 仏説無量寿経巻上 p.158聖教電子化研究会 仏説無量寿経巻上 p.323
  5. ^ 法然門流における弥陀法身/報身説の検討 中村玲太 pp19-22
  6. ^ a b 阿彌陀佛心咒及祈請文 - 侯松蔚
  7. ^ 金色堂堂内諸像及天蓋 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  8. ^ 銅造阿弥陀如来坐像 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  9. ^ 木造阿弥陀如来坐像〈定朝作/(鳳凰堂安置)〉 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  10. ^ 木造阿弥陀如来坐像(講堂安置) - 国指定文化財等データベース(文化庁
  11. ^ 木造阿弥陀如来及両脇侍像(金堂安置) - 国指定文化財等データベース(文化庁
  12. ^ 木造阿弥陀如来坐像(阿弥陀堂安置) - 国指定文化財等データベース(文化庁
  13. ^ 木造阿弥陀如来及両脇侍坐像(往生極楽院阿弥陀堂安置) - 国指定文化財等データベース(文化庁
  14. ^ 木造阿弥陀如来及両脇侍坐像(棲霞寺旧本尊) - 国指定文化財等データベース(文化庁
  15. ^ 木造阿弥陀如来坐像(本堂安置) - 国指定文化財等データベース(文化庁
  16. ^ 銅造阿弥陀如来及両脇侍像(伝橘夫人念持仏) - 国指定文化財等データベース(文化庁
  17. ^ 木造阿弥陀如来及両脇侍立像(浄土堂安置) - 国指定文化財等データベース(文化庁
  18. ^ 木造阿弥陀如来坐像 他 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  19. ^ 絹本著色山越阿弥陀図 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  20. ^ 絹本著色山越阿弥陀図 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  21. ^ 絹本著色阿弥陀二十五菩薩来迎図〈/(早来迎)〉 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  22. ^ 宇津野善晃 『よくわかる仏像の見方』 JTB

参考文献

  • 中村元福永光司田村芳朗・今野 達・末木文美士 編『岩波仏教辞典 第二版』岩波書店、1995年。ISBN 4-00-080205-4 
  • 浄土真宗教学編集所 浄土真宗聖典編纂委員会 編纂『<浄土真宗聖典>浄土三部経 -現代語版-』本願寺出版社、1996年。ISBN 4-89416-601-1 
  • 真宗大谷派宗務所出版部 編『歎異抄』(第3版)真宗大谷派宗務所出版部、2005年。ISBN 4-8341-0037-5 
  • 中村 元、福永光司・田村芳朗・末木文美士・今野 達 編『岩波仏教辞典』(第二版)岩波書店、2002年。ISBN 4-00-080205-4 

関連項目