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三相 (仏教)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
仏教用語
三相
パーリ語 tilakkhaṇa
サンスクリット語 trilakṣaṇa
日本語 三相
英語 Three marks of existence
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三相(さんそう、: tilakkhaṇa: trilakṣaṇa)とは、主に上座部仏教で用いられる概念であり、全ての存在および物事は、無常[1]無我[2][3][4]であるという仏教の根本思想を表す。三相は『ダンマパダ』の277,278,279節などに記載されている[5]

  1. 無常(anicca アニッチャ)- 諸行無常
  2. (dukkha ドゥッカ)- 一切皆苦, 一切行苦
  3. 無我(anatta アナッタ) - 諸法無我, 諸法非我

人間は三相について妄想を抱いており、この妄想によって人は苦しむ(無明)。この妄想を除去することで苦しみを終えることができ、清浄への(visuddhiyā)道である。これが四諦八正道で語られる仏教の核心部である。

ゴータマ・ブッダの教説において、縁起という現象の根源的な3つの性質を表現したもの[6]上座部仏教ヴィパッサナー瞑想では、この三相を繰り返し観ずる(経験する)ことがその本質的な内容となっている[7][8]

抜粋

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「一切の形成されたものは無常である」(諸行無常)と智慧をもって観るときに、ひとは苦から厭い離れる。これが清浄への道である。
「一切の形成されたものは苦である」(一切行苦)と智慧をもって観るときに、ひとは苦から厭い離れる。これが清浄への道である。
「一切の事物無我である」(諸法無我)と智慧をもって観るときに、ひとは苦から厭い離れる。これが清浄への道である。 —  パーリ仏典, ダンマパダ,20 Maggavaggo, Sri Lanka Tripitaka Project

無常を常と捉えるのは、想顚倒、心顚倒、見顚倒である。
苦を楽とと捉えるのは、想顚倒、心顚倒、見顚倒である。
無我を我と捉えるのは、想顚倒、心顚倒、見顚倒である。
不浄を浄と捉えるのは、想顚倒、心顚倒、見顚倒である。

無常なものに常をいだき、苦であるものに楽をいだき、無我なものに我をいだき、不浄なものに浄をいだく。
衆生らは、邪見によって心乱され狂わせられる、マーラにとらわられた安楽なき人々である。 —  パーリ仏典, 赤馬品, 顛倒経, Sri Lanka Tripitaka Project

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ Steven Collins (1998). Nirvana and Other Buddhist Felicities. Cambridge University Press. pp. 140. ISBN 978-0-521-57054-1. https://books.google.com/books?id=Z2go_y5KYyoC 
  2. ^ Richard Gombrich (2006). Theravada Buddhism. Routledge. p. 47. ISBN 978-1-134-90352-8. https://books.google.com/books?id=jZyJAgAAQBAJ , Quote: "All phenomenal existence [in Buddhism] is said to have three interlocking characteristics: impermanence, suffering and lack of soul or essence."
  3. ^ Robert E. Buswell Jr.; Donald S. Lopez Jr. (2013). The Princeton Dictionary of Buddhism. Princeton University Press. pp. 42–43, 47, 581. ISBN 978-1-4008-4805-8. https://books.google.com/books?id=DXN2AAAAQBAJ 
  4. ^ Carl Olson (2005). The Different Paths of Buddhism: A Narrative-Historical Introduction. Rutgers University Press. pp. 63–64. ISBN 978-0-8135-3778-8. https://books.google.com/books?id=QRp-AixBLKUC 
  5. ^ パーリ仏典, ダンマパダ,20 Maggavaggo, Sri Lanka Tripitaka Project
  6. ^ 魚川 2015, pp. 49–50.
  7. ^ 藤本 2015, p. 171.
  8. ^ ウ・ジョーティカ 2016, p. 372,397.

参考文献

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  • 魚川祐司『仏教思想のゼロポイント』新潮社、2015年5月。 
  • 藤本晃『悟りの4つのステージ』サンガ、2015年。 
  • ウ・ジョーティカ『自由への旅』魚川祐司(訳)、新潮社、2016年。 

関連項目

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